JP2002250902A - 眼用レンズの設計方法及びそれを用いて得られた眼用レンズ - Google Patents

眼用レンズの設計方法及びそれを用いて得られた眼用レンズ

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JP2002250902A
JP2002250902A JP2001049880A JP2001049880A JP2002250902A JP 2002250902 A JP2002250902 A JP 2002250902A JP 2001049880 A JP2001049880 A JP 2001049880A JP 2001049880 A JP2001049880 A JP 2001049880A JP 2002250902 A JP2002250902 A JP 2002250902A
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Tomoki Suzaki
朝樹 洲崎
Atsushi Kobayashi
敦 小林
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 眼に適用された眼用レンズの光軸が、眼の光
軸の位置とずれた場合においても、それら二つの光軸が
同軸上の場合におけるレンズ光学特性と同等乃至はそれ
に近いレンズ光学特性を備えた眼用レンズの設計方法の
提供。 【解決手段】 レンズ適用者が必要とするレンズ度数を
与えるように、レンズ規格が設定された仮レンズを、所
定の模型眼に対して適用して、レンズ適用者におけるレ
ンズ安定位置に対応した模型眼上の位置に配置せしめた
後、かかる仮レンズの配置状態を保持しつつ、それら仮
レンズと模型眼からなる光学系の光学特性を算出する一
方、該仮レンズのレンズ形状を順次変化せしめ、そして
それぞれの変化状態における光学特性を算出する操作を
繰り返して、光学特性が最良となる仮レンズ形状を求め
て、該最良の仮レンズ形状から、目的とする眼用レンズ
のレンズ規格を決定する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【技術分野】本発明は、眼用レンズの新規な設計方法及
びそれを用いて得られた眼用レンズに係り、特に、眼用
レンズが、それの適用された角膜上又は眼内において移
動して、眼の光軸に対して眼用レンズの光軸がずれた場
合においても、見え方の大きな変化を回避して、その安
定性を有利に確保した眼用レンズのレンズ規格を求める
方法、及びそのようにして求められたレンズ規格に基づ
いて、目的とする眼用レンズを製造する方法、更には、
そのようにして製造された眼用レンズに関するものであ
る。
【0002】
【背景技術】従来から、コンタクトレンズや眼内レンズ
等の眼用レンズは、レンズ単体において設計されてきて
おり、レンズの光軸上での結像特性が最適化されてなる
レンズとして製造され、装用されてきているのであり、
また、そのような最適化のために、各種の手法が提案さ
れている。例えば、特許第2859092号明細書にお
いては、眼用レンズのデザイン方法として、形状が既に
設定された一方のレンズ面における各基準点に入射され
る光線の通過経路が考慮され、かかる光線の通過経路上
に位置する他方のレンズ面上の点における傾斜角度が、
該光線に対して目的とする屈折力を及ぼし得るように決
定されるようにしたデザイン手法が明らかにされてい
る。また、特許第2913191号明細書においては、
レンズの球面収差を少なくするために、光線追跡法を採
用してレンズを設計する方法が明らかにされており、そ
こでは、設計するレンズの屈折面の形状を設定するに際
し、光軸からの任意の高さを通過する光線が、レンズを
通過した後に、予め設定された所望の最終通過点を通過
するように、光線の通過する点での曲面の傾きを決定
し、任意の光線の高さにおける曲面の傾きから、曲面全
体の形状を設計する方法が、提案されている。
【0003】さらに、特許第3022640号明細書に
おいては、非球面レンズの製造方法として、人体の眼と
予備的なレンズからなるシステムの数学的モデルを製作
する段階と、そのように製作されたモデルを使用して、
レンズ眼球システムを介する光線通路を追跡するという
分析を実施する段階と、予備的レンズの非球面定数kの
値を変化させて、最も鮮明な焦点と最小限の画像収差と
を有するように最適化される光線通路の追跡を備えたレ
ンズ眼球システムを達成するように為した段階とを含ん
でなる手法が、提案されている。
【0004】しかしながら、それら従来からの眼用レン
ズの設計方法乃至は製造方法は、何れも、レンズの光軸
上での結像特性を最適化するものであって、人体の眼の
光学的な概略(模型眼)に対して最適化するレンズ設計
方法(眼球光学系を考慮した設計方法)であり、あくま
でも、レンズの光軸上での設計方法であるところから、
眼用レンズを実際に眼に適用する殆どの場合において、
眼の瞳孔中心(光軸)とレンズの光学中心とが一致して
いない点を考慮していないところが欠点となり、眼に適
用されたレンズが所望とする位置(眼の光軸)からずれ
た場合において、それらレンズと眼からなる光学系の光
学特性が悪くなる等といった問題を内在するものであっ
た。例えば、コンタクトレンズにあっては、殆どの場
合、眼の瞳孔中心(光軸)とレンズの光学中心とは一致
しておらず、角膜上での動きや安定位置も、レンズ適用
者によって異なっているのである。そのため、コンタク
トレンズの安定位置による見え方の鮮明さや、動きによ
る見え方の安定性が問題となっているのである。
【0005】
【解決課題】ここにおいて、本発明は、かかる事情を背
景にして為されたものであって、その解決課題とすると
ころは、眼に適用(装用乃至は挿入)された眼用レンズ
の光軸が、眼の光軸の位置とずれた(移動した)場合に
おいても、それら二つの光軸が同軸上の場合におけるレ
ンズ光学特性と同等乃至はそれに近いレンズ光学特性を
備えた眼用レンズを設計するための方法、及びそのよう
な設計方法に従って、目的とする眼用レンズを製造する
方法、更には、そのような設計方法に従って得られた有
用な眼用レンズを提供することにある。
【0006】
【解決手段】そして、本発明にあっては、かくの如き課
題の解決のために、(A1 )レンズ適用者が必要とする
レンズ度数を与えるように、仮レンズのレンズ規格を設
定する工程と、(A2 )該仮レンズを所定の模型眼に対
して適用して、レンズ適用者におけるレンズ安定位置に
対応した模型眼上の位置に配置せしめる工程と、(A
3 )かかる仮レンズの配置状態を保持しつつ、それら仮
レンズと模型眼からなる光学系の光学特性を算出する一
方、該仮レンズのレンズ形状を順次変化せしめ、そして
それぞれの変化状態における光学特性を算出する操作を
繰り返して、光学特性が最良となる仮レンズ形状を求め
る工程と、(A4 )該最良の仮レンズ形状から、目的と
する眼用レンズのレンズ規格を決定する工程と、を含む
ことを特徴とする眼用レンズの設計方法を、その要旨と
するものである。
【0007】すなわち、このような本発明に従う眼用レ
ンズの設計方法にあっては、模型眼に対して仮レンズを
レンズ安定位置に適用した状態において、換言すれば、
それら模型眼と眼用レンズとの光軸を予測される実際の
ズレ量までずらせた状態において、その光学系の光学特
性を算出する一方、仮レンズのレンズ形状を種々変化せ
しめて、それぞれのレンズ形状変化状態における光学特
性を算出し、そして、その光学特性が最良(最高)とな
る仮レンズ形状を求めるようにしたものであるところか
ら、そのような最良の仮レンズ形状から求められたレン
ズ規格にて形成される眼用レンズにあっては、実際に眼
に適用した場合において、眼の光軸との間にずれが生じ
ても、良好な光学特性が確保され得ることとなるのであ
り、以て見え方の鮮明さや見え方の安定性が効果的に向
上せしめられ得ることとなるのである。
【0008】また、本発明にあっては、前記した課題の
解決のために、(B1 )レンズ適用者が必要とするレン
ズ度数を与えるように、仮レンズのレンズ規格を設定す
る工程と、(B2 )該仮レンズを所定の模型眼に対して
適用して、レンズ適用者におけるレンズ安定位置に対応
した模型眼上の位置に配置せしめ、そしてその状態にお
いて、それら仮レンズと模型眼とからなる光学系の正視
化を行なう工程と、(B3 )更に、かかる正視化状態に
おいて、それら仮レンズと模型眼とからなる光学系の光
学特性を算出する一方、該仮レンズのレンズ形状を順次
変化せしめ、そしてそれぞれの変化状態における光学特
性を算出する操作を繰り返して、光学特性が最良となる
仮レンズ形状を求める工程と、(B4 )該最良の仮レン
ズ形状から、目的とする眼用レンズの規格を決定する工
程と、を含むことを特徴とする眼用レンズの設計方法を
も、その要旨とするものである。
【0009】従って、このようなB1 工程〜B4 工程よ
りなる、本発明に従う眼用レンズの設計方法にあって
は、仮レンズを模型眼に対してレンズ安定位置において
適用せしめて、かかる仮レンズと模型眼とからなる光学
系の正視化を行なった状態において(B2 工程)、その
光学系の光学特性を算出する一方、そのような正視化状
態において、仮レンズ形状を種々変化せしめて、それぞ
れの変化状態における光学特性を算出し、最も光学特性
の良い仮レンズ形状を求める(B3 工程)ようにしたも
のであるところから、更に一層優れた光学特性を与え得
る眼用レンズを、簡便に且つ有利に設計することが出来
るのである。
【0010】なお、上記した二つの本発明に従う眼用レ
ンズの設計方法のうちの後者の方法の有利な態様の一つ
によれば、前記光学系の正視化が、前記模型眼の眼軸
長、角膜前面の曲率半径、水晶体前面の曲率半径、水晶
体後面の曲率半径、瞳孔径、補正レンズの度数のうちの
何れか一つ又は二つ以上を組み合わせて、変化させるこ
とにより、実施されることとなる。
【0011】また、かかる二つの本発明に従う眼用レン
ズの設計方法の好ましい態様の一つによれば、前記光学
特性は、波面収差、PSF、またはMTFにおいて算出
され、これにより、数値的な解析が容易に行なわれ得る
のである。
【0012】さらに、それら本発明方法の望ましい態様
の他の一つによれば、前記模型眼として、レンズ適用者
の模型眼が、有利に用いられることとなる。
【0013】なお、本発明は、また、上述の如き設計方
法において決定されたレンズ規格に基づいて、目的とす
る眼用レンズを製造することを特徴とする眼用レンズの
製造方法をも、その要旨とするものであり、更にそのよ
うな設計方法に従って製造された眼用レンズをも、その
対象とするものである。かかる製造手法によって、優れ
た光学特性を与える眼用レンズが有利に製造され得るこ
ととなったのであり、また、それによって製造された眼
用レンズは、眼の光軸からずれた場合においても、見え
方の鮮明さや安定性の向上したものとなっているのであ
る。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に具体的に明ら
かにするために、図面を参照しつつ、本発明の構成につ
いて、詳細に説明することとする。
【0015】先ず、図1には、本発明に従うA1 工程〜
4 工程を含む第一の態様たる眼用レンズの設計方法に
ついて、その設計フロー図が示されており、そこにおい
て、ステップ:S1では、レンズ適用者が必要とするレ
ンズ度数を与えるように、仮レンズのレンズ規格が設定
されることとなる。なお、ここで、レンズ適用者が必要
とするレンズ度数は、眼用レンズの適用される対象者の
眼に対する、各種の装置を用いた検査により、従来と同
様にして求められるものである。そして、そのようなレ
ンズ度数を与えるレンズ形状が、従来からの眼用レンズ
形状に係る当業者の知識に基づいて、仮に選定され、仮
レンズとして、そのレンズ規格、具体的にはレンズの後
面カーブ(BC)、前面カーブ(FC)、直径(DI
A)、中心厚み(CT)、非球面係数等が、レンズ材料
の屈折率を考慮して設定されることとなるのである。
【0016】次いで、ステップ:S2において、かかる
仮レンズが所定の模型眼の光学系に対して適用されるの
であって、その際、そのような仮レンズの適用状態は、
後述する光学特性の演算のために、数学的に表現される
こととなる。
【0017】なお、ここで用いられる模型眼としては、
公知の各種の一般的な模型眼が対象とされ得るものであ
って、例えば、グルストランド(Gullstrand)模型眼に
あっては、その調節休止時(休調状態)における標準パ
ラメータが採用され、以下の如き数値設定が為されるこ
ととなる。 1)曲率半径(mm)の設定 ・角膜 前面/後面:7.7/6.8 ・水晶体 前面/後面:10.0/−6.0 ・等質核 前面/後面:7.911/−5.76 2)屈折面位置(mm)の設定 ・角膜 前面/後面:0.0/0.5 ・水晶体 前面:3.6 ・等質核 前面/後面:4.146/6.565 ・水晶体 後面:7.2 ・黄斑部 :24.0 3)屈折率の設定 ・角膜 :1.376 ・房水 :1.336 ・水晶体 :1.386 ・等質核 :1.406 ・同格水晶体:1.4085
【0018】尤も、本発明にあっては、上記のグルスト
ランド模型眼の如き一般的な模型眼が用いられる他、上
記の1)〜3)の中の任意のパラメータを、レンズ適用
者から求められた数値に変更して、一般的な模型眼をレ
ンズ適用者眼(装用者眼)に近似させてなるものを、レ
ンズ適用者の模型眼として用いることも出来る。具体的
には、角膜の前面、後面や、水晶体の前面、後面の曲率
半径を測定して、その求められた数値を用いたり、また
超音波を利用して、上記2)の各屈折面位置を測定して
得られた数値を用いる等して、模型眼をレンズ装用者眼
により近似させるようにすれば、本発明に従うレンズ設
計方法の精度をより一層高めることが可能となる。
【0019】そして、かかる模型眼に適用された仮レン
ズは、模型眼上においてレンズ適用者におけるレンズ安
定位置に対応する位置、換言すればレンズ適用者へのレ
ンズの装用状態において、レンズが安定的に位置せしめ
られる部位に配置されるように、その光軸が模型眼の光
軸に対して所定のズレ量となるように、移動せしめられ
ることとなる(ステップ:S3)。なお、そのようなレ
ンズ適用者におけるレンズ安定位置は、一般に、予め別
途に求められたものであって、具体的には、レンズ適用
眼に対して試験レンズ(眼用レンズ)を装用せしめて、
レンズを安定的に位置せしめた状態において、そのよう
なレンズのズレ量を求めて、模型眼の光軸に対する仮レ
ンズの光軸のズレ量とされることとなるのである。そし
て、標準的な眼用レンズを設計するに際しては、一般
に、レンズ適用眼における眼用レンズの安定位置による
ズレ量の平均値が採用され、例えば、眼用レンズがコン
タクトレンズである場合においては、そのようなズレ量
は、それら光軸の交差角度において30°以内であるよ
うに選定され、また眼用レンズが眼内レンズである場合
にあっては、そのようなズレ量が、模型眼の角膜上にお
いて4mm以内であるように選定される。
【0020】そして、そのように仮レンズの光軸が模型
眼の光軸に対して所定のズレ量において移動、配置せし
められて、レンズ安定位置に配置せしめられた状態にお
いて(ステップ:S3)、それら仮レンズと模型眼とか
らなる光学系の光学特性が算出されると共に、仮レンズ
のレンズ形状を種々変化せしめて、その状態での光学特
性が算出され、そして、それら求められた光学特性の中
より、そのような光学特性が最良乃至は最高となる仮レ
ンズの形状を求める工程(ステップ:S4〜S6)が実
行されるのである。
【0021】具体的には、仮レンズを模型眼上において
レンズ安定位置に配置せしめた状態において、換言すれ
ば模型眼の光軸に対して仮レンズの光軸を所定のズレ量
においてずらせた状態において(ステップ:S3)、仮
レンズと模型眼とからなる光学系の光学特性を算出する
と共に(ステップ:S4)、そのように算出された光学
特性に基づき、かかる仮レンズの光軸をずらせた状態に
おいて、該仮レンズのレンズ形状を変化せしめ、そして
その変化状態における光学特性を再び算出し、更に、そ
のようなレンズ形状の変化−光学特性の算出を繰り返し
て、複数の光学特性値を求め(ステップ:S5)、そし
てその中より、最良の光学特性を選定して、該最良の光
学特性を与える仮レンズ形状が求められるのである(ス
テップ:S6)。
【0022】なお、かかるステップ:S5における仮レ
ンズのレンズ形状の変化は、レンズ規格の何れか一つ或
いは二つ以上を組み合わせて変化させることによって、
実施され得るが、眼用レンズがコンタクトレンズの場合
にあっては、一般に、仮レンズの後面カーブ(BC)
は、レンズ装用者の角膜曲率半径に対応して、決定され
ることとなるところから、そのようなBCを変化させる
ことは、望ましくなく、それ故に、仮レンズの前面カー
ブ(FC)や中心厚み(CT)、非球面係数を変化せし
めることによって、レンズ形状が変化せしめられること
となる。
【0023】また、かくの如きステップ:S4及びS5
において算出される、仮レンズと模型眼とからなる光学
系の光学特性としては、一般に、相互に関係を有する波
面収差、PSF(Point Spread Function )及びMTF
(Modulation Transfer Function)のうちの何れかの数
値として、また解像力の数値として、算出されることと
なる。ここで、それら波面収差、PSF、MTF、及び
解像力は、何れも、よく知られた光学系の特性を示す関
数であって、具体的には、波面収差は、光学系を通過し
た波面の理想波面からのズレとして認識され、光線追跡
により算出される波面と理想像点を中心とする参照球面
の差によって、波面収差が求められることとなる。ま
た、PSFは、物体空間にある点物体の光学系による像
の像面における強度分布を表わす関数として認識され、
以下の数1にて示される式を用いて算出される点像強度
分布:I(x,y)にて示されるものである。
【数1】
【0024】さらに、MTFは、正弦波パターンの像の
コントラストの変化を空間周波数の関数として表わした
ものとして認識され、上記のPSF:点像強度分布I
(x,y)のフーリエ変換で与えられるものである。
【0025】そして、また、解像力は、レンズの性能を
表わす量の一つとして認識され、図票の像のうちで見分
けられる黒白一対の最小幅(mm)の逆数にて示される
ものである。
【0026】なお、これらの光学特性の算出は、当業者
には周知の事項であり、商業的に入手可能なソフトウェ
アパッケージを用いての算出が、一般的に採用されるこ
ととなる。例えば、シンクレア・オプティクス社(Sinc
lair Optics, Inc. )のオスロ・シックス(OSLO SIX)
や、フォーカス・ソフトウェア社(Focus Software,In
c.)のゼマックス(ZEMAX )等のソフトウェアパッケー
ジを用いて、計算することが可能である。
【0027】そして、かかる光学特性の算出が、模型眼
の光軸に対して仮レンズの光軸をずらせた状態下におい
て、仮レンズのレンズ形状を種々変化せしめて、順次実
施され、これによって得られた複数の光学特性の中か
ら、最良乃至は最高のものが決定されて、それに対応す
る仮レンズ形状が求められることとなるのである。
【0028】更にその後、そのような最良の光学特性を
与える仮レンズ形状から、目的とする眼用レンズのレン
ズ規格(BC、FC、DIA、CT、非球面係数)が、
決定されることとなる(ステップ:S6)。
【0029】このように、図1に示される設計フローに
従って、目的とする眼用レンズのレンズ規格を決定する
手法にあっては、眼球モデル(模型眼)を用いて、それ
に対する眼用レンズの安定位置を想定し、それによって
得られる瞳孔中心(模型眼の光軸)からの眼用レンズの
光軸のズレを設定して、そのズレ量において、仮レンズ
形状のレンズ規格を変数にして、最適化を行なうように
したものであるところから、眼用レンズのレンズ規格を
実際の適用状態下におけるレンズの移動に対しても、良
好な光学特性を与えるものとすることが出来、以て、そ
のようなレンズ規格に従って得られる眼用レンズの見え
方の鮮明さや安定性の向上を効果的に図り得ることとな
ったのである。
【0030】ところで、本発明においては、上述せる如
き設計方法において、更に正視化工程を加えた、図2に
示される如きフロー図に従うレンズ設計手順も、有利に
採用されるものであって、それは、前記した前記B1
程〜B4 工程を含む眼用レンズの設計方法に対応するも
のである。
【0031】そして、そのような図2に示される設計フ
ロー図において、ステップ:S14の工程が、新たに挿
入されて、この点において、図1の設計フロー図とは異
なっているのみであり、図2における他のステップ:S
11〜ステップ:S13及びステップ:S15〜ステッ
プ:18は、それぞれ、図1におけるステップ:S1〜
ステップ:S7に対応して、同一の工程とされている。
【0032】従って、かかる図2に示される設計フロー
図によれば、先ず、図1におけるステップ:S1〜S3
と同様なステップ:S11〜S13の工程に従って、所
定の模型眼に仮レンズを適用して、レンズ適用者への装
用状態によって決定されるレンズ安定位置に、所定のズ
レ量において配置せしめられる。
【0033】そして、図2において新たに挿入されたス
テップ:S14においては、そのような仮レンズの適用
された模型眼の正視化が行なわれることとなるのであ
る。具体的には、そのような仮レンズを所定の模型眼に
対して適用し、レンズ安定位置に配置せしめた状態(ス
テップ:S13)において、かかる模型眼の眼軸長を変
化させて、それら仮レンズと模型眼とからなる光学系の
正視化、換言すれば模型眼の網膜上への結像化(網膜上
への像面の配置)が行なわれることとなる。
【0034】その後、ステップ:S15〜ステップ:S
18が、先の図1におけるステップS4〜ステップ:S
7と同様にして実施され、目的とする眼用レンズのレン
ズ規格が決定されるのである。
【0035】このような図2に示される設計フローにあ
っては、仮レンズと模型眼とからなる光学系の正視化を
行なうステップ:S14の工程が挿入されていることに
よって、先の図1に示される設計フローの場合の如く、
ステップ:S5における仮レンズの形状変化によって、
同時にレンズ度数も変化させて正視化せしめ、最良の光
学特性を探索する操作に比べて、ステップ:S16にお
ける仮レンズの形状変化を行ない易く、また最良の光学
特性が見出され易くなるのであり、以てレンズ設計にお
ける作業も全体的に容易となると共に、眼用レンズのレ
ンズ設計がより一層正確に行なわれ得ることとなるので
ある。
【0036】ところで、かかる図1や図2に示される如
き設計フローに従って得られたレンズ規格を用いて、目
的とする眼用レンズ、例えばコンタクトレンズを得る場
合にあっては、所定の屈折率のレンズ材料を用い、それ
に対して、前記レンズ規格に従う切削や研磨等の加工を
施すことにより、またモノマーの重合等によるレンズの
モールド成形操作に用いられる成形型の成形キャビティ
を、前記レンズ規格に対応した後面カーブ(BC)や前
面カーブ(FC)に形成し、更に直径(DIA)や中心
厚み(CT)、非球面係数を与えることにより、目的と
する眼用レンズを得る手法が採用され、以て優れたレン
ズ特性を有する眼用レンズが得られることとなったので
ある。
【0037】以上、本発明の代表的な設計フローに基づ
いて、本発明を具体的に説明してきたが、それは文字通
りの例示であって、本発明は、そのような例示の具体例
にのみ限定して解釈されるものではないことが、理解さ
れるべきである。
【0038】例えば、本発明は、コンタクトレンズの設
計において有利に採用され得るものであるが、先にも触
れたように、眼内レンズ等の他の各種眼用レンズの設計
においても、同様に採用され得るものである。加えて、
本発明は、コンタクトレンズの装用に関して、涙液レン
ズの有無に拘わらず、適用される設計である。
【0039】また、本発明は、眼用レンズの屈折度の符
合の如何に拘わらず適用され得るものであり、その他、
単焦点レンズ、多焦点レンズ等、各種の屈折力を有する
眼用レンズの設計にも、有利に適用され得るものであ
る。
【0040】さらに、上述せる具体的態様にあっては、
仮レンズのレンズ規格と共に、模型眼についても、それ
を数値化して演算を行ない、模型眼の網膜上の結像状態
をシミュレーションすることにより、目的とする眼用レ
ンズのレンズ規格を決定することが出来るようになって
いるが、本発明は、それに限られるものでは決してな
く、当業者が考え得る各種の手法において、実施するこ
とが可能である。
【0041】加えて、図2に例示の具体例では、模型眼
と仮レンズからなる光学系の正視化を模型眼の眼軸長を
変化させることで実現しているが、そのような正視化操
作のみならず、かかる眼軸長、角膜前面の曲率半径、角
膜後面の曲率半径、水晶体前面の曲率半径、水晶体後面
の曲率半径、瞳孔径、補正レンズの度数の何れか一つ或
いは二つ以上を組み合わせて、変化させることによっ
て、実現することも可能である。
【0042】その他、一々列挙はしないが、本発明は、
当業者の知識に基づいて種々なる変更、修正、改良等を
加えた態様において実施され得るものであり、また、そ
のような実施の態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り
において、何れも、本発明の範疇に属するものであるこ
とは、言うまでもないところである。
【0043】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
に従う眼用レンズの設計方法によれば、レンズの光軸と
眼の光軸とがずれた場合においても、それら光軸が同軸
上に位置する場合と比較して、それ程、レンズ特性の変
化の少ない眼用レンズのレンズ規格を有利に決定し得る
こととなったのであり、また、そのようにして求められ
たレンズ規格に基づいて、目的とする眼用レンズを製造
することにより、見え方の鮮明さや安定性に優れた眼用
レンズを有利に得ることが出来ることとなったのであ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の態様を示す設計フロー図であ
る。
【図2】本発明の第二の態様を示す設計フロー図であ
る。

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 レンズ適用者が必要とするレンズ度数を
    与えるように、仮レンズのレンズ規格を設定する工程
    と、 該仮レンズを所定の模型眼に対して適用して、レンズ適
    用者におけるレンズ安定位置に対応した模型眼上の位置
    に配置せしめる工程と、 かかる仮レンズの配置状態を保持しつつ、それら仮レン
    ズと模型眼からなる光学系の光学特性を算出する一方、
    該仮レンズのレンズ形状を順次変化せしめ、そしてそれ
    ぞれの変化状態における光学特性を算出する操作を繰り
    返して、光学特性が最良となる仮レンズ形状を求める工
    程と、 該最良の仮レンズ形状から、目的とする眼用レンズのレ
    ンズ規格を決定する工程と、を含むことを特徴とする眼
    用レンズの設計方法。
  2. 【請求項2】 レンズ適用者が必要とするレンズ度数を
    与えるように、仮レンズのレンズ規格を設定する工程
    と、 該仮レンズを所定の模型眼に対して適用して、レンズ適
    用者におけるレンズ安定位置に対応した模型眼上の位置
    に配置せしめ、そしてその状態において、それら仮レン
    ズと模型眼とからなる光学系の正視化を行なう工程と、 更に、かかる正視化状態において、それら仮レンズと模
    型眼とからなる光学系の光学特性を算出する一方、該仮
    レンズのレンズ形状を順次変化せしめ、そしてそれぞれ
    の変化状態における光学特性を算出する操作を繰り返し
    て、光学特性が最良となる仮レンズ形状を求める工程
    と、 該最良の仮レンズ形状から、目的とする眼用レンズの規
    格を決定する工程と、を含むことを特徴とする眼用レン
    ズの設計方法。
  3. 【請求項3】 前記光学系の正視化が、前記模型眼の眼
    軸長、角膜前面の曲率半径、角膜後面の曲率半径、水晶
    体前面の曲率半径、水晶体後面の曲率半径、瞳孔径、補
    正レンズの度数のうちの何れか一つ又は二つ以上を組み
    合わせて、変化させることにより、実施される請求項2
    に記載の眼用レンズの設計方法。
  4. 【請求項4】 前記光学特性が、波面収差、PSF、M
    TF、または解像力において算出される請求項1乃至請
    求項3の何れかに記載の眼用レンズの設計方法。
  5. 【請求項5】 前記模型眼が、レンズ適用者の模型眼で
    ある請求項1乃至請求項4の何れかに記載の眼用レンズ
    の設計方法。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の
    設計方法において決定されたレンズ規格に基づいて、目
    的とする眼用レンズを製造することを特徴とする眼用レ
    ンズの製造方法。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至請求項5の何れかに記載の
    設計方法に従って製造された眼用レンズ。
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