JP2002248089A - 磁気共鳴イメージング装置および方法 - Google Patents

磁気共鳴イメージング装置および方法

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JP2002248089A JP2001047700A JP2001047700A JP2002248089A JP 2002248089 A JP2002248089 A JP 2002248089A JP 2001047700 A JP2001047700 A JP 2001047700A JP 2001047700 A JP2001047700 A JP 2001047700A JP 2002248089 A JP2002248089 A JP 2002248089A
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久晃 越智
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 複数のRF受信コイルを用いた高速撮影におい
てアーチファクトや画像劣化の無い画像を得る。 【解決手段】 少なくとも3個のRF受信コイルからなる
マルチプルRFコイルを用いて核磁気共鳴信号を受信し、
位相エンコード方向のエンコードステップを間引いた計
測を行い、各RF受信コイルで折り返しの発生した画像を
取得し、RF受信コイルの受信感度分布を用いて行列演算
にて、それぞれの画像の折り返しを除去した後、各画像
を結合して1枚の画像を得る核磁気共鳴イメージング方
法において、撮像断面、又は軸に応じてRF受信コイルの
最適な組み合わせを選択し、選択した組み合わせに応じ
てRF受信コイルで受信した信号を結合し、結合した信号
を用いて画像の折り返しを行列演算にて除去する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、被検体中の水素や
燐等からの核磁気共鳴(以下、「NMR」という)信号を
測定し、核の密度分布や緩和時間分布等を映像化する核
磁気共鳴撮影(MRI)装置に関し、特に複数のRF受信コ
イルを用い、位相エンコードを間引いて信号を取得した
際に生じる折り返しアーチファクトを、各RF受信コイル
の感度分布を用いた行列演算により除去するMRl装置に
関する。
【0002】
【従来の技術】MRIでは、位相エンコード量を変えなが
らシーケンスを繰り返し実行し、1枚の画像再構成に必
要なエコー信号を取得する。そのため、画像の取得時間
は繰り返し回数が大きく影響する。高速撮影を行う場
合、一般的には、1回の繰り返し内に複数のエコー信号
を発生させるマルチエコータイプのシーケンスを用いた
り、繰り返しの時間間隔を数〜数十msにまで短縮したシ
ーケンスを用いる。しかし、このようなシーケンスで
は、画像のコントラストが低下したり、形態歪みの原因
となることがある。
【0003】一方、複数のRF受信コイルを用いた高速撮
影方法も提案されている。この方法では、位相エンコー
ドを間引いて計測を行い繰り返し回数を低減する。図9
によりこの方法を説明する。図中、上3桁が同じである
4桁の数字で示された要素は同一の要素であり、その下
1桁の数字は、複数ある同一要素を区別するために付さ
れたものである(以下、同じ)。
【0004】図9(a)は、通常撮影の場合であり、各
位相エンコード量で取得した信号902(9021〜9027)を
k空間に配置し画像1枚分のデータ901とする。これをフ
ーリエ変換した画像906が図9(c)である。これに対し
上記高速撮影方法では、図9(b)に示すように、通常
撮影と同じFOVについて位相エンコードステップ間隔を
例えば2倍にし、データを間引いた計測を行う。この場
合、1ラインおきにデータ904を計測し、905(9051〜905
4)の位置に相当するデータは計測しない。このとき、
計測したデータの量は半分になるので、マトリクスを半
分にして画像を作成すると、図9(d)のように折り返
しの発生した画像908が得られる。この折り返しは、通
常画像906(図9(c))の上側9071と下側9072がそれぞ
れ斜線で示す領域9092、9091で重なって生じる。
【0005】複数のRF受信コイルを用いた高速撮影方法
では、このようにして発生した信号折り返しを、信号処
理によって除去する。この信号処理方法として、各RF受
信コイルの感度分布をもとに行列演算を行う方法(SENS
E:Sensitivity Encoding for Fast MRI(Klass P.Prue
ssmann et.al),Magnetic Resonance in Medicine 4
2:952−962(1999))等が知られている。この行列演
算により、原理的には用いたコイルの数Nの分だけ、位
相エンコード数を間引くことができ、その結果、撮影時
間を短縮(1/N倍)できる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記撮影方法
では、RF受信コイルの配置により結果の画像が大きく変
化する場合がある。特に、用いたRF受信コイル間の感度
分布の違いがほとんど無い場合や、受信信号が小さい領
域では、行列演算が発散し、画像が正しく展開できな
い。また、展開後の画像のS/Nが極端に劣化したり、画
像に輝点のアーチファクトが発生したりすることがあ
る。
【0007】このことを、図10に示すような8の字型
の受信コイル405を用いて、上記高速撮影を行う場合を
例にして説明する。静磁場の方向が図中Z方向とする
と、MR信号(RF磁場)はX−Y平面内で回転する。受信コ
イルをX−Y平面上に設置すると、コイル上の点A,B,
C,Dを結ぶライン101回りに図中斜線で示すような感度
領域1021〜1023が生じている。このような8の字型のRF
受信コイル4051、4052を、図11に示すようにZ方向に
一定距離をはさんで対向させて用いた場合、コイル4051
の感度分布は1021〜1023であり、コイル4052の感度分布
は1024〜1026である。図の矢印方向(Z方向)に位相エ
ンコード(Ph)を取った場合、どちらのコイルもライン
1031、1032上では、Y軸と平行な断面で感度が一様に低
いため、これらコイルで受信した計測データを用いて上
記行列演算を行った場合、行列演算が発散し、結果の画
像にノイズやアーチファクトが生じる。
【0008】また、ある特定の方向にRF受信コイルを最
適配置しても、撮影軸や、断面を変えた場合、エンコー
ドの軸を変えた場合には結果画像にアーチファクトや画
質劣化が生じる可能性がある。
【0009】そこで、本発明では、複数のRF受信コイル
で取得した信号に行列演算を行い画像の折り返しを除去
する機能を備えたMRI装置において、撮影する断面や位
相エンコード軸に拘わらず、アーチファクトや画像劣化
の無い画像を得ることを目的とする。また上記MRI装置
において、行列演算の負担を軽減し、簡易な構成で高画
質の画像を得ることを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成する本発
明のMRI装置は、静磁場中に置かれた被検体に傾斜磁場
および高周波磁場を所定のパルスシーケンスで印加する
磁場発生手段と、前記被検体から発生する核磁気共鳴信
号を受信する少なくとも3個のRF受信コイルからなるマ
ルチプルRFコイルと、前記核磁気共鳴信号を処理し画像
再構成する画像再構成手段とを備えた磁気共鳴イメージ
ング装置において、前記画像再構成手段は、前記マルチ
プルRFコイルから、撮影時の位相エンコード軸について
最適な感度分布となるRF受信コイルの組み合わせを選択
するコイル選択手段と、前記選択された複数のRF受信コ
イルの組み合わせについて各RF受信コイルで計測したデ
ータを合成する合成手段と、合成データについて行列演
算を行い、折り返しアーチファクトを除去する演算手段
とを備えたものである。
【0011】複数のRF受信コイルの組み合わせ(受信コ
イル群)の合成データを用いることにより、任意の撮影
断面および軸について感度の低領域をなくすことがで
き、これによりSNがよく行列演算時の品質劣化がない画
像を得ることができる。また行列演算の行列数を減らす
ことができ、演算処理の負担を軽減することができる。
【0012】好適には、コイル選択手段が選択する受信
コイルの組み合わせ数Nは、撮影時の位相エンコードの
間引き率を1/Mとするとき、N=Mとする。この場合、行
列演算の対象が正方行列となるので、演算処理の負担が
軽減される。最も好適にはN=M=2である。また複数の
受信コイルの組み合わせを選択する場合、複数の組み合
わせに同一の受信コイルが含まれていてもよい。
【0013】また本発明のMRI方法は、少なくとも3個の
RF受信コイルからなるマルチプルRFコイルを備えた磁気
共鳴イメージング装置を用いて、位相エンコード方向お
よび/またはスライスエンコード方向のエンコードステ
ップを間引いた撮影を行うことにより、各RF受信コイル
で受信した核磁気共鳴信号を信号処理し画像を得る磁気
共鳴イメージング装置における信号処理方法であって、
撮影断面または位相エンコード方向および/またはスラ
イスエンコード方向に応じて少なくとも2以上のRF受信
コイルの組み合わせを選択するステップと、選択された
RF受信コイルの組み合わせについて各RF受信コイルの計
測データをそれぞれ合成するステップと、RF受信コイル
の組み合わせ毎に合成計測データ及び感度分布を用いて
行列演算を行ない、折り返しアーチファクトが除去され
た画像データを作成するステップを有することを特徴と
する。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明のMRI装置につい
て、図面を参照して詳述する。
【0015】図1は典型的なMRI装置の構成である。こ
のMRI装置は、被検体401の周囲に静磁場を発生する磁石
402と、該空間に傾斜磁場を発生する傾斜磁場コイル403
と、この領域に高周波磁場を発生するRFコイル404と、
被検体401が発生するMR信号を検出するRFプロープ405と
を備えている。図では、静磁場が図中上下方向に発生し
ている垂直磁場のMRI装置を示したが、被検体401の体軸
方向である水平磁場の装置であってもよい。
【0016】傾斜磁場コイル403は、X、Y、Zの3方向の
傾斜磁場コイルで構成され、傾斜磁場電源409からの信
号に応じてそれぞれ傾斜磁場を発生する。RFコイル404
はRF送信部410の信号に応じて高周波磁場を発生する。R
Fプローブ405の信号は、信号検出部406で検出され、信
号処理部407で信号処理され、また計算により画像信号
に変換される。画像は表示部408で表示される。傾斜磁
場電源409、RF送信部410、信号検出部406は制御部411で
制御され、制御のタイムチャートは一般にパルスシーケ
ンスと呼ばれている。ベッド412は被検体が横たわるた
めのものである。
【0017】本発明のMRI装置では、RFプローブ405とし
て、複数の受信コイルを用いた「マルチプルRFコイル」
もしくは「フェーズドアレイコイル」と呼ばれる技術を
用いる。この技術では、相対的に高感度な小型RF受信コ
イルを複数個並べて、各コイルで取得した信号を合成す
ることより、RF受信コイルの高い感度を保ったまま視野
を拡大し、高感度化を図る。
【0018】図2に、垂直磁場用のマルチプルRFコイル
の一例を示す。このマルチプルRFコイルは、8つの8の
字型RF受信コイル4051〜4058からなり、その2つずつを
XY平面上およびYZ平面上にそれぞれ所定の距離をはさん
で対向配置したもので、これらコイルに囲まれる空間内
に置かれる被検体からのNMR信号を受信する。
【0019】このようなマルチプルRFコイルの信号検出
部の一部を図3に示す。8個のRF受信コイル405(4051
〜4058)は、それぞれプリアンプ302に接続されて一つ
のマルチプルRFコイル301を構成する。信号検出部406
は、4個のAD変換・直交検波回路303が並列してなり、
前記各プリアンプ302の出力が接続されている。
【0020】信号処理部407は、各受信コイルからの信
号を合成し、合成後の信号にフーリエ変換、バックプロ
ジェクション法、ウェーブレット変換などの処理を施
し、画像データを作成する信号合成処理手段304を備え
ている。信号合成処理手段304は、さらに、合成後の信
号を用いて、折り返しアーチファクトを除去するための
行列演算する手段を備えている。
【0021】次に、このような構成のMRI装置におけ
る撮影方法および信号処理方法について説明する。撮影
方法としては、一般的なスピンエコーシーケンスやグラ
ディエントエコーシーケンスを採用することができる。
すなわち、例えば図4に示すようなグラディエントエコ
ーシーケンスでは、高周波パルス601およびスライス選
択傾斜磁場パルス602を印加した後、位相エンコード傾
斜磁場パルス603および読み出し傾斜磁場パルス604を印
加し、サンプリングウィンド605内で、エコー信号606を
計測する。このようなシーケンスを繰り返し時間607で
繰り返す。この際、繰り返し毎に位相エンコード傾斜磁
場の強さを変えることにより、1枚の画像再構成に必要
な位相エンコード数のエコー信号のセット(計測デー
タ)を得る。
【0022】通常の撮影方法では、位相エンコード数
は、FOVと空間分解能を考慮して64、128、256、512
等の値が選ばれる。これに対し、マルチプルRFコイルを
用いた撮像では、同じ位相エンコード数で、エンコード
ステップを適当な間引き率で間引いて撮影を行う。例え
ば、位相エンコード数が64の場合、通常は1〜64ま
での位相エンコードのデータを全て計測するのに対し、
本発明が採用する高速撮影方法では、例えば一つおきに
位相エンコード1、3、5・・・63のデータを計測す
る。この場合、間引き率は1/2である。
【0023】次に、間引き率1/2(M=2)で撮影した場合
の信号処理について図5を参照して説明する。図5中、
参照データ及び計測データ5011〜5018は、図2の各RF受
信コイル4051〜4058で取得した参照データ及び計測デー
タに対応する。
【0024】ここで、参照データは、各受信コイルの感
度分布に対応するデータである。感度分布は、k空間の
低周波域のデータにローパスフィルタかけることによっ
て求めることができ、予め低周波域のデータを参照デー
タとして計測してもよいし、本計測のデータのうち低周
波域のデータを参照データとしてもよい。このような各
受信コイルの感度分布は、その後の行列演算で折り返し
を除去する場合に用いられる。
【0025】信号処理の最初のステップでは、まず8個
の受信コイルのうち、撮影断面および位相エンコード方
向に基づき最適な2組の受信コイルの組み合わせ(受信
コイル群)を選択する(ステップ502)。最適な組み合
わせとは、後に行う行列演算のステップ504で行列演算
が発散しないような組み合わせであり、具体的には、
1)第1および第2のコイル群の全体としての感度分布
を合成したときに、位相エンコード方向に感度分布の低
領域がないこと、2)第1および第2のコイル群の感度
分布が互いに同じではないことである。
【0026】このことを図10に示すような8の字コイ
ルで説明する。既に、図11について説明したように、
Z方向に一定距離をおいて対向配置した2つの8の字コ
イル4053及び4054は、感度分布が同じであり、且つライ
ン1031、1032を含む断面で感度分布が低領域となるた
め、行列演算が発散する。これに対し、図6に示すよう
に、Z−Y平面に平行な面上に、X方向に一定距離をおい
て対向する2つのコイル4053と4054を加え、コイル4051
と4053とを組み合わせるとともにコイル4052と4054とを
組み合わせた場合、コイル4051と4053の信号を合成した
感度分布1027と、コイル4052と4054の信号を合成した感
度分布1028とは、互いに異なるものとなり、且つ低領域
がなくなる。この結果、行列演算で発散しなくなる。
【0027】このような最適な組み合わせは、コイルの
配置が一定であれば、撮影断面および位相エンコード方
向によって決まるので、これら撮影条件が設定されると
自動的に最適な組み合わせが選択されるようになってい
る。
【0028】例えば図2に示すマルチプルRFコイルの配
置において、Y−Z平面或いはY−X平面の撮影を、Y方向
を位相エンコード方向として撮影する場合は、図2
(b)に示すように、第一の組み合わせとしてコイル405
1、4053、4055、4057を選択し、第二の組み合わせとし
てコイル4052、4054、4056、4058を選択する。また、マ
ルチプルRFコイル及び被検体の配置を同じにしたまま、
他の断面を撮影する場合、例えば、X−Z平面の撮影でX
方向またはZ方向を位相エンコード方向とする場合は、
図2(c)に示すように第一の組み合わせとしてコイル4
051、4052、4053、4054を選択し、第二の組み合わせと
してコイル4055、4056、4057、4058を選択する。
【0029】次に、選択した各組み合わせのデータ203
1、2032についてそれぞれ信号合成を行う(ステップ504
1及び5042)。各RF受信コイルで取得したMRIの信号501
は、通常は複素数であるので、ステップ504では例えば
複素の加算処理を行う。または、各信号の2乗和の平方
根としても良い。この場合は、加算に比ベS/Nが高くな
るメリットがある。なお図3に示す実施形態では、信号
の合成をAD変換後に行っているが、アナログ信号を直接
合成し、その後AD変換してもよい。
【0030】このようにして合成した信号5051及び5052
を用いて、画像の折り返しを除去するための行列演算を
行う(ステップ506)。この行列演算は、間引き率を1/
M、コイル数をNとするとき行列[N×M]の演算となる
が、本実施例では、2つの群を選択し、これら群の合成
計測データについて、行列演算することにより、行列は
[2×2]となり、演算を非常に簡略化することができる。
【0031】この行列演算により計測データに含まれる
折り返しが除去された画像データ5071及び5072が得られ
る。これら画像データ5071及び5072を信号合成し(ステ
ップ508)、最終的な画像507を得る。ステップ508にお
いて信号を合成する場合にも、複素の加算処理をしても
よいし、信号の2乗和の平方根を取ってもよい。
【0032】こうして得られた最終画像507は、行列演
算によって折り返しアーチファクトが除去された画像で
あり、しかも行列演算に用いる計測データおよび参照デ
ータは、行列演算が発散しない最適な組み合わせを合成
したデータであるので、行列演算に伴う画質劣化やアー
チファクトのない高画質の画像が得られる。さらに単に
2組のデータを用いているので行列演算を極めて簡単に
行うことができる。
【0033】以上、本発明の第1の実施形態を説明した
が、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々の
変更が可能である。例えば、上記実施形態では、8個の
RF受信コイルを用いた場合を示したが、コイルの数は8
個に限定されず、図6に示したように4個であってもそ
れ以外の数でもよい。但し、回路構成を単純にし、また
被検者の不快感を低減するためにはコイル数は少ないほ
うが望ましい。
【0034】また以上の実施形態では、位相エンコード
のステップ間隔を2倍にし(間引き率1/2)、2つのコイ
ルの組み合わせを選択した場合を示したが、ステップ間
隔を3倍、4倍、それ以上にすることも可能である。その
場合、選択するコイルの組み合わせの数Nは、位相エン
コードのステップ間隔Mと同数かそれ以上とすることが
必要である。行列演算を簡略化するためにはN=Mであ
ることが好ましい。
【0035】次に本発明の第2の実施形態として、選択
した受信コイルの組み合わせにおいて、コイルの重なり
がある場合、即ち互いに共通するコイルを持つ場合を説
明する。
【0036】図7に第2の実施形態の一例を示す。ここ
でも受信コイルとしては、第1の実施形態と同様に8つ
の8の字コイルからなるマルチプルRFコイル4051〜4058
を用いた場合を示す。この実施形態では、第1の組み合
わせとしてコイル4051〜4054を選択し、第2の組み合わ
せとしてコイル4053〜4056を選択する。コイル4053、40
54は2つの組み合わせのいずれにも属している。
【0037】この実施形態においても、コイルの組み合
わせを選択した後は、図5のステップ5042、5042により
各受信コイルの計測データを合成し、ステップ506で組
み合わせごとに計測データと感度分布を示す参照データ
とを用いて折り返しアーチファクトを除去する行列演算
を行い、ステップ508で信号合成して最終画像を得るこ
とは第1の実施形態と同様である。
【0038】第2の実施形態によれば、最適な感度分布
となるコイルの組み合わせ選択の自由度が増し、より画
質の良好な画像を得ることができる。以上説明した第1
および第2の実施形態では、静磁場方向(Z方向)が垂
直である垂直磁場のMRI装置について説明したが、MR
I装置の静磁場の方向が異なる場合(例えば水平磁場)
であっても同様に適用できる。
【0039】図8に、水平磁場に適用可能なループコイ
ルの組み合わせを示す。このマルチプルRFコイルでは、
例えばY−Z平面の撮影を、Y方向を位相エンコード方向
として撮影する場合、或いはX−Z平面の撮影を、X方向
を位相エンコード方向として撮影する場合は、図8
(b)に示すように、第1の組み合わせとしてコイル405
1、4053、4055、4057を選択し、第2の組み合わせとし
てコイル4052、4054、4056、4058を選択する。また、マ
ルチプルRFコイル及び被検体の配置を同じにしたまま、
例えばX−Y平面の撮影を、Y方向を位相エンコード方向
とする場合は、図5(c)に示すように第1の組み合わ
せとしてコイル4051、4052、4053、4054を選択し、第2
の組み合わせとしてコイル4055、4056、4057、4058を選
択する。
【0040】この場合も、図2の場合と同様に選択され
たコイルの組み合わせ毎に計測データを合成後、画像の
折り返し除去のための行列演算をすることができる。
【0041】また本発明は三次元計測にも適用すること
できる。この場合は、位相エンコード方向だけでなく、
スライスエンコード方向にデータを間引いて高速化して
もよいし、位相エンコード方向、スライス方向を組み合
わせてデータを間引き、高速化してもよく、エンコード
ステップを間引く軸について感度分布が最適な組み合わ
せとなるように受信コイルの組み合わせを選択する。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、マルチプルRFコイルを
用いた高速撮影において、撮影断面や軸を考慮して最適
な受信コイルの組み合わせを選択し、合成後のデータに
ついて行列演算するようにしたので、行列演算による画
像の劣化がなく良好な画像を得ることができる。また撮
影断面や軸を変えた場合でもアーチファクトや画像劣化
の無い安定な画像を得ることができる。さらに行列演算
の負担を軽減し、画像再構成を高速化することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明が適用されるMRI装置の全体構成を示す
【図2】本発明の第1の実施形態を説明する図
【図3】本発明が適用されるRFコイルの受信部を示す図
【図4】一般的なグラディェントエコーのシーケンスを
説明する図
【図5】本発明の信号処理を説明する図
【図6】本発明の原理を説明する図
【図7】本発明の第2の実施形態を説明する図
【図8】本発明の他の実施形態を説明する図
【図9】画像の折り返しを説明する図
【図10】一般的な8の字コイルを説明する図
【図11】複数のコイルの感度分布を説明する図
【符号の説明】
401 被検体、402 磁石、403 傾斜磁場コイル、404
RFコイル、405 RFプローブ、406 信号検出部、407
信号処理部、408 表示部、409 傾斜磁場電源、410 R
F送信部、411 制御部、412 ベッド
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 越智 久晃 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 (72)発明者 谷口 陽 東京都国分寺市東恋ヶ窪一丁目280番地 株式会社日立製作所中央研究所内 Fターム(参考) 4C096 AA01 AB15 AB25 AD10 AD12 AD13 CC06 CC08 CC17 DA13 DB09 DB12 DB16

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】静磁場中に置かれた被検体に傾斜磁場およ
    び高周波磁場を所定のパルスシーケンスで印加する磁場
    発生手段と、前記被検体から発生する核磁気共鳴信号を
    受信する少なくとも3個のRF受信コイルからなるマルチ
    プルRFコイルと、前記核磁気共鳴信号を処理し画像再構
    成する画像再構成手段とを備えた磁気共鳴イメージング
    装置において、 前記画像再構成手段は、前記マルチプルRFコイルから、
    撮影時の位相エンコード軸について最適な感度分布とな
    るRF受信コイルの組み合わせを少なくとも2以上選択す
    るコイル選択手段と、前記選択された複数の受信コイル
    の組み合わせについて、それぞれ各RF受信コイルで計測
    したデータを合成する合成手段と、合成データについて
    折り返しアーチファクトを除去する行列演算を行う演算
    手段とを備えたことを特徴とする磁気共鳴イメージング
    装置。
  2. 【請求項2】前記コイル選択手段が選択するRF受信コイ
    ルの組み合わせの数Nは、撮影時の位相エンコードの間
    引き率を1/Mとするとき、N=Mであることを特徴とする
    請求項1記載の磁気共鳴イメージング装置。
  3. 【請求項3】前記コイル選択手段が選択する複数のRF受
    信コイルの組み合わせは、共通の受信コイルを含むこと
    を特徴とする請求項1記載の磁気共鳴イメージング装
    置。
  4. 【請求項4】少なくとも3個のRF受信コイルからなるマ
    ルチプルRFコイルを備えた磁気共鳴イメージング装置を
    用いて、位相エンコード方向および/またはスライスエ
    ンコード方向のエンコードステップを間引いた撮影を行
    うことにより、各RF受信コイルで受信した核磁気共鳴信
    号を信号処理し画像を得る磁気共鳴イメージング装置に
    おける信号処理方法であって、 撮影断面または位相エンコード方向および/またはスラ
    イスエンコード方向に応じて少なくとも2以上のRF受信
    コイルの組み合わせを選択するステップと、選択された
    RF受信コイルの組み合わせについて各RF受信コイルの計
    測データをそれぞれ合成するステップと、RF受信コイル
    の組み合わせ毎に合成計測データ及び感度分布を用いて
    行列演算を行い、折り返しアーチファクトが除去された
    画像データを作成するステップとを有する方法。
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