JP2002243536A - 超音波伝播時間測定方法及びガス濃度センサ - Google Patents

超音波伝播時間測定方法及びガス濃度センサ

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JP2002243536A JP2001041680A JP2001041680A JP2002243536A JP 2002243536 A JP2002243536 A JP 2002243536A JP 2001041680 A JP2001041680 A JP 2001041680A JP 2001041680 A JP2001041680 A JP 2001041680A JP 2002243536 A JP2002243536 A JP 2002243536A
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ultrasonic
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圭吾 伴野
Hideki Ishikawa
秀樹 石川
Yoshikuni Sato
美邦 佐藤
Noboru Ishida
昇 石田
Takafumi Oshima
崇文 大島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 正確な伝播時間を認識できる超音波伝播時間
測定方法及びガス濃度センサを提供すること。 【解決手段】 超音波素子5により送信され受信された
受信波は、全波整流された後、積分回路37により積分
され、ピークホールド回路39にてピーク値を保持され
る。ガス濃度の検出については、そのピーク値を基にス
レッショルドレベル計算部21eにおいて判定値を設定
し、比較器43にて、全波整流された受信波の振幅がそ
の設定値に達したと判定した時間をを到達時間とする。
そして発信時間から到達時間までの期間に基づき、ガス
濃度を検出する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、超音波伝播時間測
定方法及びガス濃度センサに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、超音波の伝播時間から音速を
測定するために、特公平5一72527号公報や特表昭
60一502171号公報等に記載の技術が提案されて
いる。これらの技術とは、超音波素子から超音波(送信
波)を送信してその反射波(受信波)を受信し、送信か
ら受信までの伝播時間に基づいて音速を測定するもので
ある。
【0003】この測定では、特に受信波を検知する方法
として、比較器のスレッショルドレベル(判定値)に固
定値を使用し、受信波そのもの又は受信波の積分値とス
レッショルドレベルを比較して、伝播時間を測定する方
法がよく知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、超音波の受信
波は、圧力もしくは他の要因で減衰することがあり、こ
のような場合、従来の技術では、比較器のスレッショル
ドレベルに固定値を使用しているために、受信波が減衰
により変化し、認識する伝播時間に誤差が生じてしま
う。
【0005】そのため、伝播時間から算出される音速が
不正確になることがあるという問題がある。本発明は前
記問題点を解決するためになされたものであり、その目
的は、正確な伝播時間を認識できる超音波伝播時間測定
方法及びガス濃度センサに関するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】(1)前
記目的を達成するための請求項1の発明は、超音波を超
音波素子によって送信し、その送信波の反射波を別の超
音波素子又は同じ超音波素子によって受信し、前記超音
波の送信から受信までの伝播時間を計測する超音波の伝
播時間測定方法であって、前記受信波を全波整流し、該
全波整流波の全部または一部を積分し、該積分値に基づ
いて判定値を設定する判定値設定工程と、前記伝播時間
を計測する場合には、前記判定値を用いて前記受信波の
到達時間を決定する時間計測工程と、を有することを特
徴とする超音波伝播時間測定方法を要旨とする。
【0007】本発明では、超音波の受信波を全波整流
し、その全波整流波に基づいて判定値(スレッショルド
レベル)を設定し、実際の伝播時間の測定に際しては、
例えば、比較器において、受信波又は全波整流波と判定
値とを比較し、その比較器により出力された先頭のパル
スが発生した時間(受信波又は全波整流波の振幅が判定
値を超えた時間)を受信波の到達時間としている。
【0008】つまり、超音波の受信波は、周囲の環境
(例えば雰囲気の圧力)により減衰することがあり、そ
の場合には、従来の様に固定の判定値を用いると、受信
波または全波整流波が固定値に達するまでの時間が長く
なり、正確な伝播時間の測定ができないので、本発明で
は、判定値を実際の受信波の強度に基づいて調節可能な
ように設定している。
【0009】このため、例えば受信波が減衰した場合に
は、(その受信波または全波整流波に基づいて設定され
る)判定値も小さくなるので、実際の測定の際に、受信
波または全波整流波が(小さな)判定値に達する時間
(到達時間)が正確なものとなる。つまり、本発明で
は、判定値自身を圧力等の影響を加味して調整すること
ができるので、実際の測定の際に、受信波が圧力等の要
因で減衰しても、送信波の発信から受信波の受信までの
伝播時間は変化せず、常に、正確な伝播時間の計測が可
能になる。
【0010】更に本発明では、判定値設定工程におい
て、全波整流波を用いることにより、例えば、全波整流
されていない受信波を用いる場合に比べて、受信波の減
衰に対する判定値の追従性が高いという特長を有する。
このことを、図1及び図2を用いて説明する。尚、図1
の上段の波形は全波整流波を示し、下段は、後述するよ
うに、上段の全波整流波を基に生成される方形波を示
す。また、図2の上段の波形は受信波を示し、下段は、
上段の受信波に対応する方形波を示す。更に、図1及び
図2においては、右側にゆくほど、減衰の激しい波形を
示す。
【0011】本発明の判定値設定工程における積分は、
例えば、図1に例示する様に、全波整流波(図1の上
段)を所定の値aと比較し、前記所定の値aを超えるパ
ルス数に対応する数の方形波(図1の下段)を発生さ
せ、その方形波を積分する方法により行われる。
【0012】この積分方法では、全波整流波が大きく減
衰するほど、所定の値aを超える全波整流波のパルスの
数(即ち方形波の数)は少なくなり、積分値として小さ
い値が算出され、判定値も小さい値が設定される。本発
明では、前記所定の値aと比較する波形として、総パル
ス数の多い全波整流波を用いているので、図1に例示す
る様に、全波整流波の減衰に対して、方形波の数の追従
性がよい(すなわち、全波整流波が減衰しても方形波の
数が変わらなかったり、逆に、全波整流波のわずかな減
衰によって、方形波の数が大きく減少したりすることが
ない)。
【0013】一方、前記所定の値aと比較する波形とし
て、全波整流していない受信波を用いる場合には、図2
に例示する様に、受信波の総パルス数が少ない(全波整
流波の1/2)ために、受信波の減衰に対する方形波の
数の追従が悪くなってしまう。
【0014】つまり、受信波が減衰しても方形波の数が
変化しなかったり(図2の、)、逆に、受信波のわ
ずかな減衰に対して、方形波の数が大幅に減少すること
(図2の、)が生じてしまう。この様に、本発明で
は、受信波の減衰に対して、方形波の数の追従性がよ
く、その方形波の積分値を基に設定される判定値もま
た、常に受信波の減衰に正確に追従するものとなる。
【0015】その結果、本発明の超音波伝播時間測定方
法は、より一層、雰囲気の圧力変動等の影響を受けにく
く、正確に伝播時間の計測をすることができる。 ・前記判定値設定工程では、例えば、マイクロコンピュ
ータを用いて、前記積分値に所定の係数を乗じた値を判
定値とすることができる。
【0016】また、前記所定の係数は、例えば、前記積
分値に応じて変化させることができる。 ・前記全波整流波とは、全波整流を行った後の受信波を
いう。 (2)請求項2の発明は、前記伝播時間計測工程におい
て、前記受信波または前記全波整流波が前記判定値に達
した時間を到達時間とすることを特徴とする前記請求項
1に記載の超音波伝播時間測定方法を要旨とする。
【0017】本発明の超音波伝播時間測定方法では、伝
播時間計測工程において、例えば、受信波または全波整
流波(の振幅)が判定値に達した時間を到達時間とす
る。従って、本発明は、受信波を積分し、その積分値が
判定値に達する時間を到達時間とする方法に比べて、受
信波を積分する必要がないので、演算処理が軽減され、
また、装置構成を簡素化できるという利点がある。
【0018】(3)請求項3の発明は、前記伝播時間計
測工程において、前記受信波、前記全波整流波、または
それらの波形の一部を積分し、該積分値が前記判定値に
達した時間を到達時間とすることを特徴とする前記請求
項1に記載の超音波伝播時間測定方法を要旨とする。
【0019】本発明の超音波伝播時間測定方法では、例
えば、受信波の積分値、受信波の一部の積分値、全波整
流波の積分値、または、全波整流波の一部の積分値が前
記判定値に達した時間を到達時間とする。本発明では、
受信波等の積分値を到達時間の決定に用いるので、受信
波または全波整流波にノイズが含まれている場合でも、
そのノイズにより到達時間を誤って決定してしまうこと
がない。
【0020】つまり、受信波、全波整流波の一部にノイ
ズが含まれていても、積分値には大きな影響を与えない
ため、ノイズによって到達時間が影響されることはな
い。 (4)請求項4の発明は、前記請求項1〜3のいずれか
に記載の超音波伝播時間測定方法を用いることを特徴と
するガス濃度センサを要旨とする。
【0021】超音波の伝播時間は、被測定ガス(例えば
大気等の雰囲気ガス)中に含まれる(検出したい)特定
ガス(例えば蒸発燃料)のガス濃度により変化する。従
って、伝播時間を測定することにより特定ガスのガス濃
度を検出することができる。特に本発明の場合、上述し
た超音波伝播時間測定方法を用いて、正確に伝播時間を
測定することができるので、ガス濃度を正確に検出する
ことができる。
【0022】(5)請求項5の発明は、内燃機関におけ
る吸気管又はキャニスタパージライン内のガス濃度の測
定に用いられることを特徴とする前記請求項4に記載の
ガス濃度センサを要旨とする。本発明のガス濃度センサ
は、例えば、吸気管又はキャニスタパージライン内を流
れるガス濃度(蒸発燃料濃度)を測定することができ
る。
【0023】従って、このガス濃度センサは、内燃機関
に供給される燃料と空気の比率の適切な制御に利用する
ことができる。例えば、本発明のガス濃度センサにより
吸気管又はキャニスタパージライン内のガス濃度を測定
し、他の方法によりガス流量を測定すれば、前記ガス濃
度と前記ガス流量とから、蒸発燃料として吸気管から内
燃機関に供給される燃料量(以下蒸発燃料量)を算出で
きる。
【0024】従って、上記蒸発燃料量と、インジェクタ
から内燃機関に供給される既知量の燃料量とから、内燃
機関に供給される燃料の総量を正確に算出することがで
き、その総量に基づき、内燃機関内で燃焼に関与するガ
スにおける燃料と空気の比率を適切に制御することがで
きる。その結果、排ガス中に含まれる有害成分を低減す
ることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】以下、本発明の超音波伝播時間測
定方法、及びガス濃度センサの実施の形態の例(実施
例)を、図面を参照して説明する。 (実施例)本実施例は、超音波伝播時間測定方法を利用
したガス濃度センサにより、被測定ガス(即ち測定対象
の雰囲気)である空気中における特定ガス(蒸発燃料)
のガス濃度を検出するものである。
【0026】a)まず、本実施例のガス濃度センサの構
成について説明する。本実施例のガス濃度センサは、圧
電素子を利用して超音波を発生する超音波式のガス濃度
センサであり、特に超音波の送信と受信とが兼用の超音
波送受信素子(以下単に超音波素子とも記す)を用い
る。
【0027】具体的には、図3に示す様に、ガス濃度セ
ンサ1は、ガス濃度の検出に必要な駆動・演算の処理を
行う駆動・演算用回路3、超音波の送受信を行う超音波
素子5、特定ガスを含む被測定ガスである吸入空気が導
入される測定室7、測定室7内にて超音波を反射させる
ために超音波素子5と対向する側に所定距離離れて設け
られた反射面9、測定室7内の温度を測定するサーミス
タ11、吸入空気が流入するガス流入孔13、吸入空気
が流出するガス流出孔15より構成されている。
【0028】b)次に、ガス濃度センサ1の基本原理に
ついて、図4を用いて説明する。尚、図4では、説明の
ために、超音波送素子5の送信部5aと受信部5bとを
別体に示しているが、本実施例では、送信と受信との兼
用素子を用いる。 図4に示す様に、ガス濃度センサ1を用いて濃度測定
を行う場合には、送信部5aから超音波を送信し、その
超音波を受信部5bにより受信する。このとき、送信波
形と受信波形との間には、吸入空気中の特定ガス(例え
ば蒸発燃料)のガス濃度に応じて伝播時間のズレがあ
る。
【0029】例えば図4(a)に示す様に、蒸発燃料の
ガス濃度が低い場合には、送信波形と受信波形とのズレ
である伝播時間T1は小さく、一方、図4(b)に示す
様に、蒸発燃料のガス濃度が高い場合には、伝播時間T
2は大きい。従って、この伝播時間に対応したセンサ出
力を取り出すことにより、ガス濃度を検出することがで
きる。
【0030】次に、前記原理に基づいたガス濃度セン
サ1の動作の概略を説明する。被測定ガスは、ガス流入
孔13から測定室7内に流入し、ガス流出孔15から外
部に流出するので、その間に、測定室7内で被測定ガス
中の特定ガスの濃度を測定する。つまり、測定室7内で
超音波の伝播時間を測定する際には、まず、超音波素子
5から超音波を送信する。送信された超音波は、被測定
ガス中を通過し、反射面9にて反射し、再度被測定ガス
中を通過して、同じ超音波素子5により受信する。
【0031】駆動・演算用回路3では、後に詳述する様
に、送信波の送信タイミング(発信時間)から受信波の
受信タイミング(到達時間)までの伝播時間を算出する
とともに、サーミスタ11からの信号に基づいて、測定
室7内の温度を検出する。ここで、伝播時間はガス濃度
に関連した値であり、また温度の影響を受けるので、駆
動・演算用回路3では、後に詳述する手順にて、所定の
マップから特定ガスのガス濃度を求める。
【0032】c)次に、上述したガス濃度検出の手順
を、前記駆動・演算用回路3における処理とともに、一
層詳細に説明する。尚、図5のマイクロプロセッサ21
内は、機能的に表現している。 (i)図5のブロック図に示す様に、まず、マイクロプロ
セッサ21の送信タイミング部21aにより、送信タイ
ミングを示す信号が作られ、送信回路25に送られる。
送信回路25からは、送受信切替回路27を介して超音
波素子5に電気パルス信号が送信される。送信された電
気パルス信号は、超音波素子5により超音波(送信波)
とされて反射面9に送信される。
【0033】そして、反射面9で反射し超音波素子5に
よって受信されたパルスエネルギー(受信波)は、超音
波素子5にて電気信号に変えられる。ここで、送受信切
替回路27により、送信回路25から受信増幅回路29
に切替られるので、超音波素子5からの(受信波を示
す)電気信号は、受信増幅回路29で増幅され、全波整
流回路31により全波整流された後に、クリップ回路3
3によりノイズがカットされる。
【0034】次に、方形波生成回路35にて、(受信波
を示す)電気信号に対応する方形波が発生する。つま
り、電気信号のパルスのうち、所定の値aを超えるパル
スの数だけの方形波が発生する。その方形波は、積分回
路37によって積分され、その積分値をもとにピークホ
ールド回路39によりピーク値を保持される。
【0035】そして、そのピーク値は、A/D変換部2
1dにてデジタル変換され、スレッショルドレベル計算
部21eにて、適切な増幅率で増幅され、スレッショル
ドレベルとされる。更に、そのスレッショルドレベル
は、D/A変換部21fにてアナログ変換され、比較器
43に送られる。
【0036】比較器43では、全波整流回路31で全波
整流した後の電気信号が、そのスレッショルドレベルに
到達したか否かを判定する。 (ii)ここまでの受信波の変化をまとめて図6に示すが、
受信波は、受信増幅回路29により増幅され(同図
)、全波整流回路31により全波整流された(同図
)後に、クリップ回路33によりノイズがカットされ
る。次に、全波整流された受信波(全波整流波)に対応
する方形波(同図)が、方形波発生回路35により生
成される。その方形波は、積分回路37にて積分され
(同図)、その積分値を基に、ピークホールド回路3
9は、スレッショルドレベル計算に用いられるピーク値
(同図)を保持する。このピーク値を用いて、スレッ
ショルドレベル計算部21eは、スレッショルドレベル
を設定し(同図)、そのスレッショルドレベルは比較
器43において、受信波の到達の判定に用いられる。
【0037】つまり、比較器43において、そのスレッ
ショルドレベルと図6の全波整流波とが比較され(同
図)、全波整流波のパルスのうち、スレッショルドレ
ベルを超える最初のパルスを検出すると、受信波が到達
したと判定される(同図)。
【0038】(iii)図5に戻り、比較器43で受信波が
到達したと判定されると、そのことを報知する信号をマ
イクロプロセッサ21の濃度変換部21bに送信する。
この信号を受信した時間が受信タイミング(到達時間)
である。尚、送信タイミング(発信時間)は、予め送信
タイミング部21aから濃度変換部21bに送信され、
そのデータは濃度変換部21bにて記憶されている。
【0039】そして、マイクロプロセッサ21の濃度変
換部21bでは、比較器43からの信号を受けて、発信
時間から到達時間までの期間(即ち伝播時間)を算出す
る。 (iv)一方、サーミスタ11からの信号は、温度測定回路
45を介してA/D変換部21cに入力され、その温度
を示す信号は、濃度変換部21bに入力する。
【0040】(v)従って、濃度変換部21bでは、前記
伝播時間に温度条件を加味して、特定ガスのガス濃度を
求める。具体的には、まず、伝播時間を用いて下記式
(1)から音速Cを算出する。 音速C=(素子表面から反射面の往復距離)/伝播時間…(1) 次に、この音速Cは温度により変化するので、測定され
た温度から基準温度における音速KCに換算し、この音
速KCとガス濃度との関係(比例関係)を示すマップ
(例えば図7のようなマップ)から、ガス濃度を求め
る。
【0041】そして、このガス濃度の値は、PWM出力
21gを経て、PWMアナログ変換回路47によりアナ
ログ値に変換されて、アナログ出力される。この様に、
本実施例では、受信波(全波整流波)の積分値を基にス
レッショルドレベルを設定し、伝播時間を測定する際に
は、送信波の送信タイミングから受信波(全波整流波)
がスレッショルドレベルに到達するまでの時間を伝播時
間として計測し、その伝播時間に基づいて、更に温度を
考慮してガス濃度を検出しているので、雰囲気(被測定
ガス)の圧力低下等の影響を受け難く、常に正確にガス
濃度を検出することができる。
【0042】つまり、従来の技術(固定のスレッショル
ドレベル)では、被測定ガスの圧力が下がると受信波の
波形が減衰し、受信波がスレッショルドレベルを超える
時間が遅くなり、結果として伝播時間が長くなって、ガ
ス濃度が不正確になるが、本実施例のような測定方法で
あれば、受信波が減衰したとしても、受信波(全波整流
波)を基にスレッショルドレベルを設定するため、常
に、正確な伝播時間が測定でき、正確なガス濃度を検出
できるという効果がある。
【0043】特に本実施例では、スレッショルドレベル
の設定において、全波整流波を用いているので、受信波
の減衰に対するスレッショルドレベルの追従性が高いと
いう特長を有する。つまり、総パルス数が多い全波整流
波を基に方形波を生成するので、方形波の数は全波整流
波の減衰に正確に追従し、その方形波の積分値を基に設
定されるスレッショルドレベルもまた、全波整流波の減
衰に正確に追従する。
【0044】そのため、本実施例のガス濃度センサ1
は、雰囲気(被測定ガス)の圧力低下等の影響を一層受
け難く、常に正確な伝播時間を測定することができ、そ
の結果、より正確なガス濃度を測定できるという効果を
有する。また本実施例では、全波整流波がスレッショル
ドレベルに達した時間を到達時間とする方法を用いてい
る。
【0045】そのため、受信波を積分し、その積分値が
スレッショルドレベルに達する時間を到達時間とする方
法に比べて、受信波を積分する必要がないので、演算処
理が軽減され、また、装置構成を簡素化できるという利
点がある。尚、本実施例は、請求項1、2、4、5の発
明の範囲内の例である。
【0046】d)次に、本実施例のガス濃度センサ1の
効果を確認するために行った評価実験について説明す
る。 評価には、図8のような、ガス流量を調節するマスフ
ローコントローラ、評価対象のガス濃度センサ、ガス濃
度センサの測定値を表示する測定器(表示装置)、濃度
を確認するための濃度分析計(例えば赤外線式濃度分析
計)等からなる評価装置を用いた。
【0047】測定は、温度25℃の条件において、混合
ガスの圧力を変え、ガス濃度検出の際の伝播時間を計測
し、伝播時間変化率を算出した。尚、伝播時間変化率と
は、伝播時間の変化を、理論値からのズレがないときを
0%として変化率で表したものである。
【0048】この結果を、図9に示すが、従来のガス濃
度センサでは、気圧が低いほど伝播時間の誤差が大きく
なるのに対し、本実施例のガス濃度センサでは、気圧が
変化しても、ほとんど誤差がなかった。尚、この結果
は、超音波素子を送信素子と受信素子2つに分けて用い
た場合も同様である。
【0049】尚、本発明は上記の形態に何等限定される
ものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の
形態で実施することができる。 ・例えば、実施例において、比較器43でスレッショル
ドレベルと比較する対象は、全波整流した後の受信波
(全波整流波)ではなく、受信波(全波整流されていな
いもの)を用いることができる。
【0050】・また、実施例において、比較器43でス
レッショルドレベルと比較する対象は、受信波または全
波整流波の積分値(あるいは、受信波または全波整流波
の一部の波形の積分値)であってもよい。つまり、図5
の積分回路37で算出された積分値は、ピークホールド
回路39に伝えられるとともに、比較器43にも送ら
れ、そこで、D/A変換部21fから送られるスレッシ
ョルドレベルと比較され、前記積分値が前記スレッショ
ルドレベルを超えた時間を到達時間とする。
【0051】尚、この場合の実施例は、請求項1、3、
4、5の発明の範囲内の例である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 受信波を基に方形波を生成する方法に関する
説明図である。
【図2】 受信波を基に方形波を生成する方法に関する
説明図である。
【図3】 実施例のガス濃度センサを示す説明図であ
る。
【図4】 実施例のガス濃度センサの基本原理を示す説
明図である。
【図5】 実施例のガス濃度センサの電気的構成を示す
ブロック図である。
【図6】 実施例の受信波の処理を示す説明図である。
【図7】 実施例のガス濃度を求めるためのマップを示
すグラフである。
【図8】 実施例のガス濃度センサの評価装置の説明図
である。
【図9】 実施例の気圧を変化させた場合の伝播時間変
化率を示すグラフである。
【符号の説明】
1...ガス濃度センサ 3・・・駆動・演算回路 5・・・超音波送受信素子(超音波素子) 7・・・測定室 9・・・反射面 11・・・サーミスタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐藤 美邦 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 (72)発明者 石田 昇 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 (72)発明者 大島 崇文 愛知県名古屋市瑞穂区高辻町14番18号 日 本特殊陶業株式会社内 Fターム(参考) 2G047 AA01 BA03 BC02 BC15 GG14 GG33 GG43 2G064 AA15 AB05 CC33 CC54 3G084 BA27 DA04 EA01 EA07 EA11

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 超音波を超音波素子によって送信し、そ
    の送信波の反射波を別の超音波素子又は同じ超音波素子
    によって受信し、前記超音波の送信から受信までの伝播
    時間を計測する超音波の伝播時間測定方法であって、 前記受信波を全波整流し、該全波整流波の全部または一
    部を積分し、該積分値に基づいて判定値を設定する判定
    値設定工程と、 前記伝播時間を計測する場合には、前記判定値を用いて
    前記受信波の到達時間を決定する時間計測工程と、 を有することを特徴とする超音波伝播時間測定方法。
  2. 【請求項2】 前記伝播時間計測工程において、前記受
    信波または前記全波整流波が前記判定値に達した時間を
    到達時間とすることを特徴とする前記請求項1に記載の
    超音波伝播時間測定方法。
  3. 【請求項3】 前記伝播時間計測工程において、前記受
    信波、前記全波整流波、またはそれらの波形の一部を積
    分し、該積分値が前記判定値に達した時間を到達時間と
    することを特徴とする前記請求項1に記載の超音波伝播
    時間測定方法。
  4. 【請求項4】 前記請求項1〜3のいずれかに記載の超
    音波伝播時間測定方法を用いることを特徴とするガス濃
    度センサ。
  5. 【請求項5】 内燃機関における吸気管又はキャニスタ
    パージライン内のガス濃度の測定に用いられることを特
    徴とする前記請求項4に記載のガス濃度センサ。
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