JP2002241265A - 点眼用水性懸濁製剤およびその製造方法 - Google Patents
点眼用水性懸濁製剤およびその製造方法Info
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Abstract
分である9−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチル]グ
アニンを有効治療量として十分量含有するとともに、医
薬品として安定性に優れた点眼用の水性懸濁製剤の提
供。 【解決手段】 0.2〜5重量%の9−[(2−ヒドロ
キシエトキシ)メチル]グアニンまたはその薬学的に許
容される塩の微細結晶、0.05〜1重量%のポリ酢酸
ビニルの部分ケン化物および0.01〜1重量%の非イ
オン性界面活性剤を含有し、そのpHが6〜8であるこ
とを特徴とする点眼用の水性懸濁製剤であり、とくに、
有効成分である9−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチ
ル]グアニンまたはその薬学的に許容される塩の微細結
晶が、その短径が50μm以下、長径が70μm以下で
あり、かつ短径と長径の比が1:10以下のものである
点眼用水性懸濁製剤。
Description
ルス剤である9−[(2−ヒドロキシエトキシ)メチ
ル]グアニンまたはその薬学的に許容される塩を有効成
分として含有する点眼用水性懸濁製剤、およびその製造
方法に関する。
ル]グアニン(一般名:アシクロビル(JAN;IN
N);以下単にアシクロビルと記載する場合もある。)
は、プリン骨格を有する抗ウイルス作用薬であり、ヘル
ペス群ウイルスに対して選択的に作用し、しかも正常細
胞への傷害性が低いことから、ヘルペス感染症治療薬と
して臨床的に広く使用されている化合物である。
る溶解性が極めて低く、酸性またはアルカリ性の水溶液
中には溶解するものの、中性付近の水溶液には極めて溶
けにくい化合物である。そのうえ、酸性あるいはアルカ
リ性下においても、その溶解状態は不安定なものであ
り、溶液中で容易に結晶析出を生ずる。したがって、ア
シクロビルについて、長期間の保存安定性が要求される
水溶性製剤の開発を困難なものとしている。そのため、
現在眼角膜ヘルペス感染症に対して臨床的に使用されて
いるアシクロビルの眼用製剤としては、眼軟膏剤だけで
あり、点眼用の水溶性製剤はいまだ開発されていない。
患者自身での投与が比較的困難であること、また、塗布
適用直後には視界が遮断されてしまい、通常の状態に戻
るまでには数時間を要するなど、多くの問題点を有して
いる。したがって、患者が容易に投与できうる点眼製剤
の開発が求められており、これまでに、いくつかの点眼
製剤の検討が行なわれてきている。
は、アシクロビルにポリビニルピロリドンを配合した水
溶液製剤が提案されており、また、特開平9−1430
96号公報には、アシクロビルと多価アルコールとを含
有する抗ウイルス剤組成物が提案されている。これらの
製剤は、いずれも溶解補助剤としてポリビニルピロリド
ンあるいは多価アルコール等を用いて、難水溶性のアシ
クロビルの溶解性を確保しようとした製剤であるが、使
用する溶解補助剤の添加量が限定されているうえ、溶解
させたアシクロビルは、未だ結晶化しやすいことから、
製剤の安定性、特に長期保存安定性の面では不十分なも
のであった。
濁製剤の提案もなされている。例えば、特開平10−2
87552号公報には、アシクロビルに水を加え、加温
濾過してなる滅菌されたアシクロビルの水性懸濁点眼剤
が提案されている。また、特開平11−228386号
公報には、アシクロビル等に代表される難水溶性の有効
成分を、塩基性下に溶解水溶液とした後、酸と混合させ
ることにより結晶を沈殿させ、その際に増粘剤としてイ
オン感受性の親水性ポリマーを添加させた懸濁製剤が提
案されている。さらに特開平2000−247887号
公報には、親水性高分子の存在下にアシクロビルをpH
2以下で一旦完全に溶解させ、次いでpH6〜9に調整
することで微細なアシクロビルの結晶を析出させた懸濁
製剤が提案されている。
ビルの溶解性が低いために、懸濁液製剤として調製する
ことを目的とするものであり、加熱やpH調整によりア
シクロビルを一旦完全に溶解させた後、結晶を再度析出
させることにより、アシクロビルの結晶サイズを点眼使
用に適する範囲にコントロールした懸濁製剤を得ようと
するものである。
も、懸濁含有されたアシクロビルの結晶の安定性は不十
分なものであった。すなわち、これらの懸濁製剤は、有
効成分となるアシクロビルの含有量を高めるための手段
としては有効なものであるが、難水溶性のアシクロビル
の結晶を、懸濁製剤の調製時のみに微細化しているだけ
である。つまり、長期保存にともなう製剤中での結晶の
状態変化については対応ができておらず、製剤中の結晶
の成長を抑制できない問題点があるため、医薬品製剤と
しては不十分なものであった。
するウイルス感染症を治療するための簡便な点眼剤の開
発は、眼角膜ヘルペス感染症の治療剤として極めて有効
なものであるにもかかわらず、難水溶性のアシクロビル
を有効成分として含有する点眼剤は、未だ医薬品として
実用化されるに至っていないのが現状である。そのた
め、アシクロビルを十分量含有するとともに、医薬品と
しての安定性を維持し得る有用な点眼剤の開発が求めら
れていた。
水溶性のアシクロビルは、水溶液中に溶解させた後、冷
却時に結晶が析出する場合に限らず、微細結晶状態で懸
濁させている状態においても、温度変化や含有される分
散剤等の影響を受けて、結晶成長が起こり、比較的速や
かに、数10〜100μm以上の長径を有し、かつ短径
と長径との比が1:10を超える針状晶あるいは板状晶
の結晶に成長することを見出した。
濁製剤中では、好ましいものではない。したがって、製
剤的に安定であるアシクロビル含有の水性懸濁製剤とす
るためには、懸濁製剤中でかかる結晶の成長を生じさせ
ないようすればよい点に着目し、検討を加えた。
ルの部分ケン化物、および非イオン性界面活性剤の両者
の存在下に、pH3〜8の範囲内で結晶を溶解させずに
懸濁化した後、そのpHを点眼製剤としての適用範囲内
である6〜8に調整した場合には、アシクロビルが発揮
するバイオアベイラビリティーを損なうことなく、その
結晶成長を抑制する、製剤的に極めて安定性に優れた点
眼用の水性懸濁製剤を調製し得ることを新たに見出し、
本発明を完成させるに至った。
有効成分であるアシクロビルを有効治療量として十分量
含有するとともに、医薬品として安定性に優れた点眼用
の水性懸濁製剤を提供することを課題とする。さらに本
発明は、かかる安定性に優れた点眼用の水性懸濁製剤の
製造方法を提供することを課題とする。
めに、本発明の基本的な一態様は、安定性に優れたアシ
クロビルを含有した点眼用の水性懸濁製剤の製造方法を
提供するものであり、具体的な請求項1に記載の発明
は、0.2〜5重量%のアシクロビルまたはその薬学的
に許容される塩の微細結晶を、0.05〜1重量%のポ
リ酢酸ビニルの部分ケン化物および0.01〜1重量%
の非イオン性界面活性剤を含有するpH3〜8の水溶液
中に結晶状態のまま懸濁させた後、そのpHを6〜8に
調整することを特徴とする点眼用水性懸濁製剤の製造方
法である。
5重量%のアシクロビルまたはその薬学的に許容される
塩の微細結晶を、0.05〜1重量%のポリ酢酸ビニル
の部分ケン化物を含有するpH3〜8の水溶液中に結晶
状態のまま懸濁させ、そのpHを6〜8に調整した後、
さらに0.01〜1重量%の非イオン性界面活性剤を添
加し、攪拌することを特徴とする点眼用水性懸濁製剤の
製造方法である。
の薬学的に許容される塩の微細結晶を、ポリ酢酸ビニル
の部分ケン化物、および非イオン性界面活性剤の両者の
存在下に、特定のpH領域内で、結晶を完全に溶解させ
ない状態で懸濁化することにより、保存時におけるアシ
クロビルまたはその薬学的に許容される塩の結晶成長を
特異的に抑制させた、安定性に優れる点眼用水性懸濁製
剤の製造方法を提供する点に特徴を有する。
発明は、請求項1または2に記載の製造方法において、
ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物のケン化度が、70〜9
5モル%であるポリ酢酸ビニルの部分ケン化物を使用す
る点眼用水性懸濁製剤の製造方法である。かかるケン化
度を有するポリ酢酸ビニルの部分ケン化物を使用するこ
とにより、含有されるアシクロビルまたはその薬学的に
許容される塩の微細結晶について、結晶成長がより効果
的に抑制される。
項1または2に記載の製造方法において、ポリ酢酸ビニ
ルの部分ケン化物の重合度が、300〜2000である
ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物を使用する点眼用水性懸
濁製剤の製造方法である。かかる重合度を有するポリ酢
酸ビニルの部分ケン化物を使用することにより、含有さ
れるアシクロビルまたはその薬学的に許容される塩の微
細結晶について、結晶成長がより効果的に抑制される。
求項1または2に記載の製造方法において、0.01〜
1重量%のポリビニルピロリドンをさらに含有する点眼
用水性懸濁製剤の製造方法である。かかる量のポリビニ
ルピロリドンを添加することにより、懸濁製剤中におけ
る有効成分であるアシクロビルまたはその薬学的に許容
される塩の分散性が向上される特徴を有する。
アシクロビルを含有した点眼用の水性懸濁製剤そのもの
を提供する。具体的には、請求項6に記載の本発明は、
上記の点眼用水性懸濁製剤の製造方法により製造された
点眼用水性懸濁製剤を提供する。
剤にあっては、懸濁状態で含有されるアシクロビルまた
はその薬学的に許容される塩の微細結晶は、眼房水移行
性が妨げられることなく、かつ有効な治療剤効果を発揮
し得る粒子径を有する微細結晶であればよい。
記請求項6で提案される水性懸濁製剤において、製剤中
に懸濁化されたアシクロビルまたはその薬学的に許容さ
れる塩の微細結晶が、その短径が50μm以下、長径が
70μm以下であり、かつ短径と長径の比が1:10以
下のものである点眼用水性懸濁製剤である。
用の水性懸濁製剤について、より詳細に説明する。
有効成分は、アシクロビルまたはその薬学的に許容され
る塩である。この場合のアシクロビルの薬学的に許容さ
れる塩としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機
酸との塩;酢酸、乳酸、クエン酸、フマル酸、マレイン
酸、コハク酸等の有機酸との塩;ナトリウム、カリウ
ム、カルシウム等のアルカリ金属またアルカリ土類金属
との塩などを挙げることができる。
ロビルまたはその薬学的に許容される塩を含め、単にア
シクロビルと称する。したがって、アシクロビルとは、
遊離のアシクロビルのみならず、その薬学的に許容され
る塩の形態のアシクロビルをも包含するものである。
ビルの微細結晶は、最終的に調製される水性懸濁製剤
が、点眼用であることから、懸濁状態で含有されたアシ
クロビルについての眼房水移行性を妨げられることな
く、有効な治療剤効果を発揮し得る粒子径を有する微細
結晶であればよい。すなわち、その微細結晶の粒径は、
短径および長径が共に75μm以下であり、かつ短径と
長径の比が1:10以下のものを使用した場合に、かか
る目的が達成されることが判明した。そのなかでも特
に、微細結晶の短径が50μm以下、長径が70μm以
下であり、かつ短径と長径の比が1:10以下のものを
使用するのが好ましく、かかる微細結晶を使用すること
により、結晶状態が長期にわたり安定し、良好な水性懸
濁製剤が調製できることが判明した。
0.2〜5重量%、好ましくは0.5〜3重量%であ
る。含有量が0.2重量%未満であると、製剤中におけ
るアシクロビルの含有量が不十分であり、目的とする薬
効が十分に発揮されない可能性があり、好ましいもので
はない。逆に、5重量%を超える場合には、懸濁製剤中
で難水溶性のアシクロビルの微細結晶が凝集しやすくな
るため、結晶成長抑制効果が十分に発揮でき得ず、その
結果、最終的に調製された懸濁製剤の安定性が低くなる
恐れがあり、好ましいものではない。
ビニルの部分ケン化物は、酢酸ビニルを重合し、分子中
のアセチル基の一部をケン化することにより得られる親
水性の高分子化合物であり、部分ケン化型ポリビニルア
ルコールと表記される場合もある。この場合のポリビニ
ルアルコールとは、ポリ酢酸ビニルのほとんど全てのア
セチル基が水酸基に変換された多価アルコールである
が、本発明の水性懸濁製剤の調製においては、そのケン
化度が70〜95モル%のポリ酢酸ビニルの部分ケン化
物を選択するのがよいことが判明した。
酸ビニルの部分ケン化物の添加によるアシクロビルの結
晶成長抑制効果が十分に得られないばかりでなく、加水
分解により酢酸が生成しやすくなるため、最終的に調製
される水性懸濁製剤の安定性を低下させる恐れがあり、
好ましいものではない。一方、ケン化度が95モル%よ
り高くなると、点眼剤製剤中に配合される他の成分(例
えば、ホウ酸、ホウ砂等)の影響により、ゲル化が起こ
る可能性があり、また好ましいものではない。
分ケン化物の添加量は、0.05〜1重量%、好ましく
は0.1〜1重量%である。添加量が0.05重量%未
満では、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物による結晶成長
抑制効果が十分に得られない恐れがあり、好ましくな
い。逆に添加量が1重量%を超える場合には、水性懸濁
製剤の粘度が著しく高くなる場合があり、その結果、含
有される有効成分であるアシクロビルが凝集しやすくな
り、結晶成長抑制効果が十分に得られなくなる恐れが生
じるだけでなく、点眼時の使用感が大幅に低下するた
め、好ましくない。
部分ケン化物の重合度は、300〜2000、好ましく
は300〜1700、さらに好ましくは300〜140
0である。当該重合度が300未満では、ポリ酢酸ビニ
ルの部分ケン化物による結晶成長抑制効果が十分に得ら
れない恐れがあり、逆に重合度が2000を超える場合
には、懸濁製剤の粘度が著しく高くなる場合があり、そ
の結果アシクロビルが凝集してしまい、結晶成長抑制効
果が十分に得られなくなる恐れが生じるだけでなく、点
眼時の使用感が大幅に低下するため、好ましくない。
ケン化物においては、その重合度を代替的に表す指標と
して、20℃における4%水溶液の粘度が用いられてい
る(JIS K6726)。この粘度で表示した場合に
は、本発明で用いるポリ酢酸ビニルの部分ケン化物は、
20℃における4%水溶液の粘度が3〜60mPa・s
であるものが好ましく、なかでも3〜40mPa・sで
あるものがさらに好ましい。
は、有効成分であるアシクロビルの微結晶が製剤中に懸
濁化されている製剤であり、その懸濁化のために、分散
剤として非イオン性界面活性剤を含有する。
は、従来から医薬品に利用されてきた非イオン性界面活
性剤のなかから、安全性の高いものから選択すればよ
く、例えば、ポリソルベート類、ポリオキシエチレンヒ
マシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ステアリン
酸ポリオキシル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロ
ピレングリコール類等を挙げることができる。
の分散性や、点眼剤としての適用を考慮すると、親水性
が比較的高い、HLB(親油−親水バランス)が10以
上、好ましくはHLBが12以上のものが好ましく選択
される。
としては、例えば、ポリソルベート80、ポリオキシエ
チレン硬化ヒマシ油40、ポリオキシエチレン硬化ヒマ
シ油60、ステアリン酸ポリオキシル40、ポリオキシ
エチレン(160)ポリオキシプロピレン(30)グリ
コールや、ポリオキシエチレン(200)ポリオキシプ
ロピレン(70)グリコール等を挙げることができる。
そのなかでも、点眼用製剤に使用する点を考慮すると、
ポリソルベート80またはポリオキシエチレン硬化ヒマ
シ油60を使用するのが、特に好ましい。
0.01〜1重量%、好ましくは0.05〜0.5重量
%である。当該添加量が0.01重量%より低いと、有
効成分であるアシクロビルが安定に懸濁化されなくな
り、結果として、最終的に得られる懸濁液剤の安定性が
低下する可能性がある。また、1重量%を超える場合に
は、製剤中の界面活性剤の濃度が高くなるために、アシ
クロビルの微細結晶の凝集が生じ易く、分散安定性が低
下する恐れがあり、好ましいものではない。
ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物と非イオン性界面活性剤
を含有する水溶液中に、有効成分であるアシクロビルの
微細結晶が懸濁状態で分散しているものである。有効成
分のアシクロビルの微細結晶が沈降している場合には、
使用時に軽く振とうして、再分散させた後、使用すれば
よく、製剤中でのアシクロビルの微細結晶の沈降は、製
剤の品質上に何らの影響を与えるものではないことが判
明した。
リビニルピロリドンを懸濁製剤中に添加させることによ
り、有効成分であるアシクロビルの微細結晶が沈降した
際の再分散性を、より向上させることができる。かかる
再分散性を高めるために添加されるポリビニルピロリド
ンは、一般に医薬品用途で使用されているものから選択
すればよく、分子量が約20000〜50000程度の
ものが好ましく使用される。
1〜1重量%、好ましくは0.1〜1重量%である。添
加量が0.01重量%より低いと、ポリビニルピロリド
ンの添加による再分散性向上効果が十分に得られない可
能性があり、好ましいものではない。また、逆に1重量
%を超えると、最終的に得られる懸濁製剤の粘度が高く
なり、その結果、アシクロビルの微細結晶が凝集してし
まい、結晶成長抑制効果が十分に得られなくなる可能性
があるだけでなく、再分散性が悪くなる恐れがあり、好
ましいものではない。
い製剤のpH領域は4.8〜8.5であるが、点眼液の
pH調整は、眼刺激を減らす目的よりも、含有される薬
液の安定化、薬効の増強を目的とする場合が多いとされ
ている(第十改訂調剤指針、日本薬剤師会編)。
も、そのpHは、一般的に点眼液として許容される中性
付近に調整することが好ましい。特に本発明の水性懸濁
製剤においては、含有される有効成分であるアシクロビ
ルの微細結晶の安定性を考慮すると、その製剤のpH
は、6〜8に調整されることが好ましい。
8を超える場合には、有効成分であるアシクロビルの微
細結晶の溶解性が変化するため、結晶成長が起こりやす
くなり、好ましいものではない。さらにまた、製剤中に
配合されるポリ酢酸ビニルの部分ケン化物および非イオ
ン性界面活性剤の安定性が低下してしまい、懸濁製剤の
安定性が低下する恐れがある。
剤にあっては、そのpH安定性を考慮し、その安定性を
損なわない限り、上記成分の他に、等張化剤や緩衝剤、
保存剤、pH調整剤等、一般に点眼用液剤に用いられる
各種の成分をさらに添加することができる。
ル、プロピレングリコール、ソルビトール、マンニトー
ル等の水溶性多価アルコール;塩化ナトリウム、塩化カ
リウム等のような電解質物質などを挙げることができ
る。そのなかでも、グリセロールが好ましく使用され
る。
広く用いられているホウ酸、あるいはホウ酸/ホウ砂
(四ホウ酸ナトリウム)混合系の他、リン酸二水素ナト
リウム/リン酸水素二ナトリウム混合系や、リン酸二水
素カリウム/リン酸水素二ナトリウム混合系などを使用
することができる。
(塩)やリン酸(塩)の他、塩酸や水酸化ナトリウム等
の酸、アルカリを用いることも可能である。
ニウムや塩化ベンゼトニウム等の第四級アンモニウム塩
類、グルコン酸クロルヘキシジン、塩酸アルキルジアミ
ノエチルグリシン、あるいはパラオキシ安息香酸メチ
ル、パラオキシ安息香酸プロピル等のパラベン類、また
は、クロロブタノール等を挙げることができ、これらの
うちから一種以上を適宜選択して、使用することがで
る。その場合の添加量は、第四級アンモニウム塩にあっ
ては、0.003〜0.02重量%程度であり、パラベ
ン類にあっては、0.05〜0.1重量%程度であり、
クロロブタノールにあっては0.25〜0.5重量%の
範囲内で用いればよい。
体的製造方法について説明する。
難水溶性の抗ウイルス剤であるアシクロビルの微細結晶
を、特定量のポリ酢酸ビニルの部分ケン化物および非イ
オン性界面活性剤とを含有する液中において、特定のp
H領域で、しかもアシクロビルの微細結晶を完全に溶解
させない状態で懸濁、分散させることにより、安定性に
優れた、アシクロビル含有の点眼用水性懸濁製剤を製造
することができる。
用する限り、その他の条件は特に限定されないが、以下
に記載する二段階の調製方法を用いることにより、アシ
クロビルの微細結晶を含有する安定性に優れた、水性懸
濁製剤を製造することができる。
懸濁製剤の製造方法における第一段階は、アシクロビル
の微細結晶を、ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物を含有す
るpH3〜8、より好ましくはpH4〜7.5の液中
で、懸濁化を行う段階である。
シクロビルの微細結晶の水に対する溶解性が高くなり、
後にpHを中性付近に調整する際に、その溶解度が急激
に低下する結果、pHの調整時にアシクロビルの微細結
晶の針状化が起こりやすくなる。その結果、最終的に調
製される水性懸濁製剤の結晶安定性が低下する恐れがあ
り、好ましいものではない。
性条件下である場合にあっても、アシクロビルの微細結
晶の水に対する溶解性が高くなり、後にpHを中性付近
に調整する際に、その溶解度が急激に低下する結果、p
H調整時にアシクロビル結晶の針状化が起こりやすくな
る。さらに、含有されているポリ酢酸ビニルの部分ケン
化物中のアセチル基がケン化分解してしまう可能性があ
り、やはり結果として最終的に得られる水性懸濁製剤の
安定性が低下する恐れがあり、好ましいものではない。
の微細結晶の懸濁化においては、アシクロビルの結晶径
が75μm以上である場合には、この懸濁化の段階で、
その結晶径を40μm以下、好ましくは30μm以下に
なるように、微粒子化しておくことにより、最終的に点
眼用として良好な懸濁製剤を得ることができる。また、
アシクロビルの微細結晶を懸濁化するための攪拌条件
は、使用するアシクロビルの粒子径により、適宜選択す
ることができる。
前記した第一段階で調製した懸濁・分散物を、pH6〜
8、好ましくはpH6.5〜7.5に再度調整した後、非
イオン性界面活性剤、および必要に応じてポリビニルピ
ロリドンを添加し、さらに攪拌、分散させることによ
り、アシクロビルを含有する、最終製剤としての水性懸
濁製剤を製造する段階である。
場合、あるいはpHが8を超える場合には、ポリ酢酸ビ
ニルの部分ケン化物による結晶成長抑制効果が十分に得
られず、アシクロビルの微細結晶が、結晶成長する恐れ
があることに加え、そのようなpHでは点眼時に目に刺
激を与える場合があり、好ましいものではない。
においては、製剤中に添加される非イオン性界面活性
剤、および所望により添加されるポリビニルピロリドン
の両者は、目的とする水性懸濁製剤の安定性を損なわな
い限り、この第二段階の製造工程で添加してもよく、ま
た、あらかじめ上記第一段階の製造工程でポリ酢酸ビニ
ルの部分ケン化物と共に添加しておいてもよい。
おいて、第一段階におけるアシクロビルの微細結晶を懸
濁させるpH3〜8の液を調製する場合にあっては、最
終的に得られる水性懸濁製剤のpH安定性を考慮する
と、ホウ酸あるいはリン酸第二水素ナトリウム等の酸を
使用するのが好ましい。また、第一段階においてpHを
酸性にした後、第二段階でpH6〜8の懸濁製剤を調製
する場合にあっては、一般的に点眼剤のpH調整に用い
られる塩基から選択して使用すればよく、最終的に得ら
れる水性懸濁製剤のpH安定性を考慮すると、例えば、
前記のリン酸二水素ナトリウム等の酸と組み合わせるこ
とにより、水性懸濁製剤に緩衝作用を付加することがで
きるリン酸水素二ナトリウムの他、水酸化ナトリウムあ
るいはホウ砂等を用いるのが望ましい。
て上記の酸とアルカリを組み合わせてあらかじめpHが
調整されたリン酸緩衝液あるいはホウ酸緩衝液等の緩衝
液を使用することもできる。
あっては、製剤中にさらに添加することができる保存
剤、等張化剤等の配合は、上記した第一段階あるいは第
二段階のいずれの工程でおいても、必要に応じて適宜行
うことができる。
た保存剤の特性に応じてその配合量を調整すればよく、
さらに等張化剤を用いる場合は、他の成分による全体の
浸透圧を把握したうえで、最終的な製剤の浸透圧が25
0mOsm〜400mOsmの範囲になるように調整す
ればよい。
製剤は、点眼用であることからあらかじめ滅菌しておく
ことが必要であり、その方法については、一般に医薬品
の滅菌に適用可能な方法から適宜選択して用いることが
できる。特に、本発明の水性懸濁製剤は、有効成分であ
るアシクロビルの微細結晶が懸濁している剤型であるた
め、最終製剤に対して加熱滅菌や濾過滅菌を適用するこ
とはできない。したがって、配合するアシクロビルの微
細結晶、およびその他の各成分については、懸濁製剤の
調製前に、それぞれ適切な方法で滅菌しておくことが望
ましい。
・分散工程において使用する機器により、分散・攪拌時
に熱が発生する場合には、適宜冷却しながら実施するこ
とが望ましい。そのような攪拌・分散機としては、ディ
スパーザーやホモミキサー、ホモジナイザーなど、一般
に医薬品用途で用いられる攪拌・分散装置であれば種々
選択することが可能である。そのなかでも、液中に懸濁
する固体(結晶)を効率よく微細化できるものが好まし
く選択される。具体的には、例えば、クレアミクス
((株)クレアテック製)などの回転式ホモジナイザー
の他、湿式ジェットミルや高圧ジェット流乳化装置等が
挙げられる。
眼用の水性懸濁製剤の製造方法により、ポリ酢酸ビニル
の部分ケン化物および非イオン性界面活性剤の存在下、
アシクロビルの微細結晶を、酸性〜中性のpH領域にお
いて微細に懸濁化した後、最終的にアシクロビルの水溶
性が最も低く、かつ涙液と近いpH領域であるpH6〜
8となるように調整することにより、有効成分となるア
シクロビルの微細結晶の結晶成長が抑制された、優れた
安定性を有する水性懸濁製剤を調製することができる。
水性懸濁製剤は、懸濁したアシクロビルの微細結晶が、
保管時に製剤中に沈降している場合であっても、軽く振
とうすることにより容易に再懸濁させることが可能であ
り、製剤安定性を維持するために製剤の粘度を高める必
要がないことから、点眼時に不快な感覚を生ずることな
く、他の一般的な点眼製剤と同様に使用することができ
る利点を有する。
に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定され
るものではない。
水性懸濁製剤の製造) I)配合処方 下記表1−1ないし表1−5に記載の配合処方に基づ
き、アシクロビル含有の水性懸濁製剤(実施例/比較
例)を調製した。
(単位:w/v%)
緩衝液(pH6.5)
(単位:w/v%)
(単位:w/v%)
溶解状態とした後、使用した。 7)リン酸二水素ナトリウム/リン酸水素二ナトリウム
緩衝液(pH7.0) 8)リン酸二水素ナトリウム/リン酸水素二ナトリウム
緩衝液(pH7.0) ただし、カーボポール水溶液と混合して使用した。
(単位:w/v%)
用 11)pH調整剤2を用いてpHを中性付近に調整した
後、添加
(単位:w/v%)
ム緩衝液(pH7.0) *)測定不可(氷点降下法による測定結果)
のものをそのまま使用した。その平均粒子径は、レーザ
ー回折式粒度分布測定により25.9μmであり、顕微
鏡観察下において、短径:長径が1:10を超える針状
結晶は認められなかった。使用したアシクロビルの微細
結晶についての位相差顕微鏡写真を、図1に示した。
いて、そのケン化度、重合度および粘度(4%水溶液;
20℃)を、下記表2にまとめた。
全ケン化物のケン化度および重合度
化物に代えて、他の親水性高分子を添加した懸濁製剤
例、およびポリ酢酸ビニルの部分ケン化物および親水性
高分子の両者を添加しない懸濁製剤例をおいた。なお、
各ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物については、水分を除
いた固形分で換算した。
(日本薬局方適合品)またはポリオキシエチレン硬化ヒ
マシ油60(医薬品添加物規格適合品)を使用した。さ
らに比較例として、界面活性剤を添加しない場合につい
て、同様に懸濁製剤を調製し比較した。
よび保存剤は、表1中に記載したものをそれぞれ使用し
た。
ナイザーであるクレアミクスCLM−0.8S((株)
クレアテック製)を用いて行った。具体的には、以下の
2方法を基本として、その調製を行った。
は、あらかじめ有効量の保存剤を溶解させた50mMリ
ン酸緩衝液(pH6.5)を調製し、表1−1に示した
ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物および非イオン性界面活
性剤を添加(製剤2、5、8にあっては、ポリビニルピ
ロリドンも一緒に添加)し、完全に溶解した後、アシク
ロビルの微細結晶を加え、グリセロールにより等張化し
た。次いで、水冷下で10.000rpm、10分間懸
濁、攪拌することにより、水性懸濁製剤を調製した。
には、あらかじめ有効量の保存剤を溶解させた50mM
リン酸二水素ナトリウム水溶液を調製し、表1−2中に
示したポリ酢酸ビニルの部分ケン化物を加えて完全に溶
解した後、アシクロビルの微細結晶を添加し、水冷下で
10,000rpm、5分間攪拌することにより懸濁化
を行った。このときのpHは4.0〜4.2であった。次
いで、1N水酸化ナトリウム水溶液を用いてpHが6.
5〜7.5の範囲になるように調整した後、表1−2中
に示した非イオン性界面活性剤を添加、グリセロールに
より等張化し、水冷下でさらに10,000rpm、5
分間攪拌することにより、水性懸濁製剤を調製した。
表1−1〜表1−5に記載の配処方に基づく水性懸濁製
剤(実施例/比較例)を調製した。調製した各水性懸濁
製剤について、調製直後のpHおよび浸透圧を測定し、
それぞれ表中に示した。なお浸透圧は、アドバンスドオ
スモメータModel3D3(ADVANCED IN
STRUMENTS社製)を用いて測定した。
L容のポリエチレン製3ピース型点眼容器にそれぞれ5
mLずつ分注し、以下の各試験に供した。
リングを行い、光学顕微鏡(オリンパス(株)製:BX
50)を用いた位相差観察または微分干渉観察により結
晶状態の観察を行った。その結果、製剤1〜24におい
ては、懸濁化したアシクロビルの微細結晶の針状晶化は
認められなかった。しかしながら、アシクロビルの微細
結晶をpH調整によって一度完全に溶解した後、析出さ
せる方法で調製した製剤25〜32(比較例)において
は、調製直後の段階で既に針状結晶が多数認められた。
代表的製剤における結晶状態について、その微分干渉顕
微鏡写真および位相差顕微鏡写真を図2〜図5に示し
た。
た水性懸濁製剤について、以下の方法による結晶安定性
を評価した。すなわち、各懸濁製剤を分注した容器を、
室温および40℃の恒温槽中に保存させ、経時的に取り
出して、懸濁液が均一になるように手で振とうした後、
光学位相差顕微鏡により製剤中のアシクロビル微細結晶
の変化を、以下の評価により観察した。
での観察を行い。以下の基準により評価を行った。 ◎:結晶の針状成長や凝集が全く認められない。 ○:短径:長径が1:10を超える針状結晶は認められ
ないが、わずかに結晶の凝集が見られる。 △:一部の視野で短径:長径が1:10を超える針状ま
たは板状の結晶が観察される。 ×:多くの視野で短径:長径が1:10を超える針状ま
たは板状の結晶が明確に認められるもの。 ××:ほとんど全ての結晶が短径:長径が1:10を超
えて針状晶化している場合。
態を、以下の基準で評価した。 □:多くの視野で結晶の凝集が顕著に観察されるもの。 ■:ほとんどの結晶が凝集しているも。
径の測定は、顕微鏡画像をビデオ入力した画像処理装置
(オリンパス(株)製model VM−30)を用い
て行った。これらの結果を、下記の表3にまとめて示し
た。
結晶状態の変化
ビル微細結晶状態の変化
本発明の方法により調製された水性懸濁製剤において
は、アシクロビルの微細結晶が、調製直後の微細結晶の
状態を維持したまま、安定に保持されていることがわか
る
ついて、その製剤安定性試験を、以下の方法にしたがっ
て行った。すなわち、各懸濁製剤を分注した点眼容器を
室温下、および40℃の恒温槽内に保管し、経時的に取
り出して、その製剤のpHの測定を行った。実施例およ
び試験例で調製した代表的な製剤(実施例/比較例)に
ついての測定の結果を、表4に示した。
本発明の方法により調製された水性懸濁製剤は、製剤的
にも安定であることがわかる。これに対して比較例の製
剤(製剤25および30)は、懸濁製剤のpHの低下が
認められ、製剤的な安定性にかけているものであること
が理解される。なお、同時に、本発明の水性懸濁製剤で
ある製剤1〜17中のアシクロビルの定量と浸透圧の測
定を経時的に行ったところ、本試験の測定期間中、いず
れの製剤においても明確な変化は認められず、全て許容
範囲内であり、製剤の安定性が確認された。
験 上記の実施例で調製した各水性懸濁製剤のうち、製剤
1、2、製剤4、5、および製剤7、8、17につい
て、沈降したアシクロビルの微細結晶の再分散性につい
て評価検討した。すなわち、水性懸濁製剤を分注した各
容器を、室温下で保存し、経時的に取り出し、容器を転
倒させて、沈降したアシクロビルの微細結晶が見かけ上
均一になるまでに要する転倒回数を求めた。
本発明の水性懸濁製剤の調製方法において、ポリビニル
ピロリドンを配合すること(製剤2、5、8)により、
沈降したアシクロビルの微細結晶の再分散性が向上して
いることが理解される。
2、製剤4、製剤8、製剤12、および製剤16につい
て、点眼後のアシクロビルの眼内移行性を以下の方法に
より測定した。すなわち、実施例で調製したアシクロビ
ル含有の水性懸濁製剤50μLを家兎(ニュージーラン
ド白色種、雄性、体重2.0kg〜3.0kg)4羽に
点眼し、1時間後に、ベノキシール点眼麻酔下26G注
射針により家兎の房水を全量採取した。別に点眼に用い
たアシクロビルの標準溶液を調製し、房水および標準溶
液について、HPLC法によりアシクロビルの定量を行
った。試験した各製剤の眼房水内移行性試験の結果を表
6に示した。
行性
のアシクロビルの眼房水内への移行性である眼房水内濃
度は、いずれも、アシクロビルのヘルペスウイルスに対
するID50(50%阻止濃度)である約0.03μg
/mL(Crumpaker,C.S.ら:Antim
icrob. Agents Chemother.,
15,642(1979))を大きく上回るものであ
り、点眼剤として有効であることが確認された。
溶性の抗ウイルス剤であるアシクロビルを有効成分とす
る点眼用水性懸濁製剤において、ポリ酢酸ビニルの部分
ケン化物および非イオン性界面活性剤を特定量含有する
水溶液中に、特定量のアシクロビルの微細結晶を添加し
て、特定のpH範囲において結晶を溶解させない状態で
懸濁化することにより、有効性が損なわれることなく、
アシクロビルの結晶成長が抑制された、製剤的な安定性
に優れた、点眼用の水性懸濁製剤を調製することができ
る。
染症の治療剤として、アシクロビルを有効成分とする簡
便な点眼剤は、未だ医薬品として実用化されるに至って
いない現状下においては、本発明で提供されるアシクロ
ビルを十分量含有するとともに、医薬品としての安定性
を維持し得る水性懸濁製剤は、医療上多大な貢献を与え
るものである。
た、アシクロビルの微細結晶についての位相差顕微鏡写
真である。
8(実施例)について、調製後1日目および室温に1ヶ
月保存した後の製剤の微分干渉顕微鏡写真である。
12(実施例)について、調製後1日目の製剤の位相差
顕微鏡写真である。
例)について、調製後1日目および室温に1ヶ月保存し
た後の製剤の位相差顕微鏡写真である。
例)について、調製後1日目の製剤の位相差顕微鏡写真
である。
Claims (7)
- 【請求項1】 0.2〜5重量%の9−[(2−ヒドロ
キシエトキシ)メチル]グアニンまたはその薬学的に許
容される塩の微細結晶を、0.05〜1重量%のポリ酢
酸ビニルの部分ケン化物および0.01〜1重量%の非
イオン性界面活性剤を含有するpH3〜8の水溶液中に
結晶状態のまま懸濁させた後、そのpHを6〜8に調整
することを特徴とする点眼用水性懸濁製剤の製造方法。 - 【請求項2】 0.2〜5重量%の9−[(2−ヒドロ
キシエトキシ)メチル]グアニンまたはその薬学的に許
容される塩の微細結晶を、0.05〜1重量%のポリ酢
酸ビニルの部分ケン化物を含有するpH3〜8の水溶液
中に結晶状態のまま懸濁させ、そのpHを6〜8に調整
した後、さらに0.01〜1重量%の非イオン性界面活
性剤を添加し、攪拌することを特徴とする点眼用水性懸
濁製剤の製造方法。 - 【請求項3】 ポリ酢酸ビニルの部分ケン化物のケン化
度が、70〜95モル%である請求項1または2に記載
の点眼用水性懸濁製剤の製造方法。 - 【請求項4】 ポリ酢酸ビニルの重合度が、300〜2
000である請求項1または2に記載の点眼用水性懸濁
製剤の製造方法。 - 【請求項5】 0.01〜1重量%のポリビニルピロリ
ドンをさらに含有する請求項1または2に記載の点眼用
水性懸濁製剤の製造方法。 - 【請求項6】 請求項1または2に記載の製造方法によ
り得られた点眼用水性懸濁製剤。 - 【請求項7】 懸濁化された9−[(2−ヒドロキシエ
トキシ)メチル]グアニンまたはその薬学的に許容され
る塩の微細結晶が、その短径が50μm以下、長径が7
0μm以下であり、かつ短径と長径の比が1:10以下
のものである請求項6に記載の点眼用水性懸濁製剤。
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