JP2002234881A - 光学活性な5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸誘導体の製造方法 - Google Patents

光学活性な5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸誘導体の製造方法

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JP2002234881A
JP2002234881A JP2001032687A JP2001032687A JP2002234881A JP 2002234881 A JP2002234881 A JP 2002234881A JP 2001032687 A JP2001032687 A JP 2001032687A JP 2001032687 A JP2001032687 A JP 2001032687A JP 2002234881 A JP2002234881 A JP 2002234881A
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thiazolidine
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JP2001032687A
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Yukifumi Nishimoto
幸史 西本
Toru Inoue
井上  徹
Masaya Ikenaka
雅也 生中
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Nagase and Co Ltd
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Nagase and Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 (R)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾ
リジン−4−カルボン酸および(S)−5、5−ジメチ
ル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸エステル、
さらにこれらを原料としたN−アシル−(R)−5、5
−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸
を、効率よく製造する。 【解決手段】 5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジ
ン−4−カルボン酸エステルの光学異性体混合物に微生
物由来のエステル分解酵素を作用させ、得られた(R)
−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カル
ボン酸および(S)−5、5−ジメチル−1、3−チア
ゾリジン−4−カルボン酸エステルを得る。さらにこれ
を原料とし、アシル化剤を反応させてN−アシル−
(R)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4
−カルボン酸を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、5、5−ジメチル
−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸エステルの光
学異性体混合物のエステル分解酵素による光学分割、お
よびこれにより得られる光学異性体を原料とするN−ア
シル−(R)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジ
ン−4−カルボン酸の製造法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生理作用を有する多くの化合物
が、光学異性体の混合物として使用されている。しか
し、多くの場合、望ましい活性は一方の光学異性体のみ
に存在する。さらに、不必要な他方の光学異性体は所望
の生物学的活性とは逆に毒性を有する場合もあることが
知られている。したがって、有効かつ安全な医薬や生理
活性化合物の提供のために立体化学的に純粋な化合物の
提供が望まれている。
【0003】光学活性な5、5−ジメチル−1、3−チ
アゾリジン−4−カルボン酸誘導体であるN−t−ブト
キシカルボニル−(R)−5、5−ジメチル−1、3−
チアゾリジン−4−カルボン酸は、プロテアーゼ阻害作
用を有する抗エイズ薬の合成中間体としての使用が、特
開平10−182601号公報に開示されている。そし
て、その実際的かつ工業的な製法が、望まれている。
【0004】これまで、光学活性な5、5−ジメチル−
1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸誘導体を得るた
めには、光学活性なペニシラミンから誘導することが行
われていた。例えば、N−t−ブトキシカルボニル−
(R)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4
−カルボン酸の製法に関しては、L−ペニシラミンをホ
ルムアルデヒドで環化させ、N−t−ブトキシカルボニ
ル化する方法が公知である。光学活性なペニシラミンの
製法に関しては、DL−ペニシラミンをl−ノルエフェ
ドリンで光学分割し、D−ペニシラミンを生産する方法
(特公昭54−4937号)や、l−プソイドノルエフ
ェドリンで光学分割し、D−ペニシラミンを生産する方
法(特公昭55−34795号)、L−リジンで光学分
割し、D−ペニシラミンを生産する方法(特公昭55−
30710号)、光学活性なスレオ−1−(p−ニトロ
フェニル)−2−アミノ−1、3−プロパンジオールで
光学分割し、D−またはL−ペニシラミンを得る方法
(特公昭55−30711号)等が報告されている。
【0005】しかし、これらの方法は、DL−ペニシラ
ミンを適当な誘導体に変えて光学分割する必要があり、
光学分割した後には、再度誘導体から光学活性なペニシ
ラミンに導かなければならない。このことから、光学活
性な5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カ
ルボン酸誘導体の製法としては、多工程を要するなどの
問題を含むものであった。
【0006】本発明の出願人と同一人の出願になる特開
平6−14797号には2−アリールプロピオン酸の光
学異性体混合物から光学活性な2−アリールプロピオン
酸とその対掌体エステルを酵素、殊にクレブシエラ・オ
キシトカに属する微生物由来のエステル分解酵素を用い
て、高い光学純度で効率よく製造することが可能となっ
たことが明らかにされている。
【0007】ところで、酵素反応は基質特異性が極めて
高いものが多く、反応進行の可能性を予測することは困
難とされている。本発明の発明者らは、2−アリールプ
ロピオン酸の光学異性体混合物にアスパジーラス・メレ
ウスに属する微生物由来のエステル分解酵素を用いて同
様の反応を試みたが、反応が全く進行しなかった。
【0008】その一方、複素環化合物であるテトラヒド
ロフラン−2−カルボン酸の光学異性体混合物にクレブ
シエラ・オキシトカに属する微生物由来のエステル分解
酵素を作用させると、そのエステル加水分解には選択性
がなく、光学活性なテトラヒドロフラン−2−カルボン
酸を得ることはできなかった。しかし、アスパジーラス
・メレウスに属する微生物由来のエステル分解酵素を同
様に作用させると、光学活性なテトラヒドロフラン−2
−カルボン酸とその対掌体エステルを高い光学純度で効
率よく製造することができるという知見を持っている。
【0009】かかる状況下において、本発明の発明者ら
は、複素環化合物である5、5−ジメチル−1、3−チ
アゾリジン−4−カルボン酸エステルの酵素による光学
選択的加水分解を行い、極めて高い光学純度で(R)−
5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボ
ン酸および(S)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾ
リジン−4−カルボン酸エステルを得ることができる知
見を得た。本発明はかかる知見を基にして成されたもの
である。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、安価
で、光学選択性の高い酵素を利用した(R)−5、5−
ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸およ
び(S)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−
4−カルボン酸エステルの新規な製造方法と、さらにこ
れを原料としたN−アシル−(R)−5、5−ジメチル
−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸を、効率よく
工業的に得る方法を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、5、5−ジメ
チル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸エステル
の光学異性体混合物に微生物由来のエステル分解酵素を
作用させ、光学選択的に加水分解させることを特徴とす
るものであり、本発明者らによって初めて成し遂げられ
たものであって、(R)−5、5−ジメチル−1、3−
チアゾリジン−4−カルボン酸および(S)−5、5−
ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸エス
テルの製造、さらにこれを原料としたN−アシル−
(R)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4
−カルボン酸の製造方法を確立するものである。
【0012】ここにおいて、上記5、5−ジメチル−
1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸エステルの光学
異性体混合物は下記式(I)
【0013】
【化8】 (式中、Rは炭素原子数1〜10の直鎖状又は分枝鎖状
アルキル基である)で表される。
【0014】上記式で示される化合物を適宜媒体中、ク
レブシエラ(Klebsiella)属、アスパジーラ
ス(Aspergillus)属またはバチルス(Ba
cillus)属に属するいずれかの微生物に由来する
エステル分解酵素を作用させることにより本発明の光学
選択的加水分解反応が行われる。
【0015】さらに好適な実施形態では、上記エステル
分解酵素がクレブシエラ・オキシトカ(Klebsie
lla oxytoca)、アスパジーラス・メレウス
(Aspergillus melleus)、バチル
ス・サブチリス(Bacillus subtili
s)、バチルス・アミロリクエファシエンス(Baci
llus amyroliquefaciens)また
はバチルス・アルカロフィラス(Bacillus a
lcalophilus)に属するいずれかの微生物に
由来するエステル分解酵素を作用させる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明をさらに詳しくより
具体的に説明する。
【0017】本発明は、5、5−ジメチル−1、3−チ
アゾリジン−4−カルボン酸エステルの光学異性体混合
物を基質とし、微生物由来のエステル分解酵素を作用さ
せ、(R)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン
−4−カルボン酸および(S)−5、5−ジメチル−
1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸エステルを得
て、溶媒抽出により(S)−5、5−ジメチル−1、3
−チアゾリジン−4−カルボン酸エステルを除いた後、
(R)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4
−カルボン酸を原料としてN−アシル−(R)−5、5
−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸を
得る製造方法に関する。
【0018】ここにおいて、原料として用いられるとこ
ろの5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カ
ルボン酸エステルの光学異性体混合物は、DL−ペニシ
ラミンをホルムアルデヒドで環化させ、5、5−ジメチ
ル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸の光学異性
体混合物を得て、これをエステル化する方法や、D−ペ
ニシラミンをホルムアルデヒドで環化させ、エステル化
した後、塩基などを用いた公知の方法でラセミ化する方
法で得ることができる。
【0019】本発明方法の酵素反応基質となる光学異性
体混合物である5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジ
ン−4−カルボン酸エステルは、下記一般式(I)で示
される。
【0020】
【化9】
【0021】式中、Rは炭素原子数1〜10の直鎖状又
は分枝鎖状アルキル基であり、好ましくはメチル、エチ
ル、プロピル、イソプロピル、ブチル、ヘキシル、オク
チル等であり、公知エステル化の方法により容易に当該
カルボン酸を原料として合成することができる。例え
ば、相応するアルコールと5、5−ジメチル−1、3−
チアゾリジン−4−カルボン酸の光学異性体混合物を酸
触媒存在下脱水縮合させる方法や相応するアルコールに
塩化チオニルを作用させ、そこに5、5−ジメチル−
1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸の光学異性体混
合物を作用させてエステル化する方法により得られる。
【0022】本発明に用いられる微生物由来の酵素は、
5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボ
ン酸エステルの光学異性体混合物を光学選択的に加水分
解し、(R)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジ
ン−4−カルボン酸に変換する能力を有するものであれ
ばいずれをも使用することができる。
【0023】好ましくは、クレブシエラ属、アスパジー
ラス属、バチルス属に属する微生物由来のエステル分解
酵素であり、より好ましくは、クレブシエラ・オキシト
カ、アスパジーラス・メレウス、バチルス・サブチリ
ス、バチルス・アミロリクエファシエンス、バチルス・
アルカロフィラスに由来するエステル分解酵素である。
そして、これらは例えば固定化酵素、該酵素を含有する
微生物菌体、菌体培養物もしくは菌体処理物等であって
もよい。
【0024】かかる酵素の具体例としては、例えば、S
NSM−87(クレブシエラ・オキシトカ由来、ナガセ
生化学工業社製)、XP−488(アスパジーラス・メ
レウス由来、ナガセ生化学工業社製)、アシラーゼ(ア
パジーラス・メレウス由来、天野エンザイム社製)、ビ
オプラーゼAL−45(バチルス・サブチリス由来、ナ
ガセ生化学工業社製)、結晶細菌アルカリプロテアーゼ
(バチルス・アミロリクエファシエンス、ナガセ生化学
工業社製)、プラフェクト4000E(バチルス・サブ
チリス由来、ジーシーアイ社製)、プロペラーゼ100
0E(バチルス・アルカロフィラス由来、ジーシーアイ
社製)があげられる。
【0025】本発明の反応は、5、5−ジメチル−1、
3−チアゾリジン−4−カルボン酸エステルの光学異性
体混合物を適宜媒体、例えば水またはリン酸緩衝液、酢
酸緩衝液、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン−
塩酸緩衝液に溶解または分散し、前記酵素剤、もしくは
微生物および培養物より採取したエステル分解酵素を添
加し、攪拌することにより行う。
【0026】通常酵素反応の全過程で、使用する酵素反
応のための至適なpHを保持するために、例えばリン酸
カリウム緩衝液が使用される。反応液のpHは3〜1
0、好ましくは5〜9である。
【0027】用いる酵素の量に特に限定はないが、基質
である5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−
カルボン酸エステルの光学異性体混合物に対し、0.1
〜50g/基質mol程度が好ましい範囲である。
【0028】反応温度は10〜70℃、好ましくは20
〜60℃である。反応時間は用いる酵素の量、反応温
度、反応pH等で変動するが、通常1〜96時間程度で
完了する。
【0029】反応終了後、生成した(R)−5、5−ジ
メチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸と未反
応の(S)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン
−4−カルボン酸エステルを溶媒抽出法、結晶析出法、
カラムクロマトグラフ法など通常用いられる分離操作で
分取する。溶媒抽出法では、水層から(R)−5、5−
ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸を得
ることができる。塩基の存在下トルエンや酢酸エチル、
イソプロピルエーテル、t−ブチルメチルエーテルを用
いて抽出を行うとき、有機層から未反応の5、5−ジメ
チル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸エステル
を光学活性体すなわち(S)体として95%以上の回収
率で回収することが可能である。
【0030】そして、回収した(S)−5、5−ジメチ
ル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸エステル
は、塩基などを用いた方法でラセミ化することができる
ので、これにより、(S)−5、5−ジメチル−1、3
−チアゾリジン−4−カルボン酸エステルの循環使用も
可能となるである。ラセミ化の反応には、有機溶媒を使
用し、塩基としてはナトリウムメチラート、1、8−ジ
アザビシクロ(5、4、0)−7−ウンデセン、t−ブ
トキシカリウムなどを用いる。
【0031】加水分解反応によって生成した(R)−
5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボ
ン酸は反応液から、未反応の(S)−5、5−ジメチル
−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸エステルを除
いた後、結晶析出法、カラムクロマトグラフ法によって
取り出すことができる。
【0032】ここに得られた(R)−5、5−ジメチル
−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸は、無機塩基
存在下、水中または水および有機溶媒の混合溶媒中で、
アシル化剤を作用させ、N−アシル−(R)−5、5−
ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸に誘
導することが可能である。アシル化剤としては下記一般
式(IV)および(V)で示される。
【0033】
【化10】
【0034】
【化11】
【0035】ここで、R’はそれぞれ、水素原子である
かまたはハロゲン原子で置換されていても良い炭素原子
数1〜10の直鎖状または分枝鎖状アルキル基、フェニ
ル基、ベンジルオキシ基、t−ブトキシ基、9−フルオ
レニルメトキシ基であり、Xは、塩素原子またはオキシ
イミノ−2−フェニルアセトニトリル基、p−オキシフ
ェニルジメチルスルホニウム・メタンスルホン酸塩基、
N−オキシスクシンイミド基、アジド基である。
【0036】そして、これらアシル化剤との反応によっ
て得られるN−アシル−(R)−5、5−ジメチル−
1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸は、下記一般式
(VI)で示される。
【0037】
【化12】
【0038】ここで、R’は、水素原子であるかまたは
ハロゲン原子で置換されていてもよい炭素原子数1〜1
0の直鎖状又は分枝鎖状アルキル基、フェニル基、t−
ブトキシ基、9−フルオレニルメトキシ基、ベンジルオ
キシ基等である。
【0039】アシル化反応は、例えば、N−t−ブトキ
シカルボニル化の場合、(R)−5、5−ジメチル−
1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸を無機塩基の存
在下、公知のt−ブトキシカルボニル基導入試薬、例え
ばジ−t−ブチルジカーボネートや、t−ブチルアジド
ホルメート、2−t−ブトキシカルボニルオキシイミノ
−2−フェニルアセトニトリル等を作用させて行うこと
ができ、容易に光学活性なN−t−ブトキシカルボニル
−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カル
ボン酸を得ることができる。反応は適宜媒体、例えば、
水酸化ナトリウム水溶液や、水酸化カリウム、炭酸カリ
ウム、炭酸ナトリウム水溶液などのアルカリ水溶液中ま
たは、これらと有機溶媒、例えばイソプロピルアルコー
ル、1、4−ジオキサン、t−ブチルアルコール等で、
好ましくはt−ブチルアルコールとの混合溶媒中で混合
攪拌することにより行われる。
【0040】以下、実施例を挙げて本願発明を更に具体
的に説明するが、本願発明はそれら実施例に限定される
ものではない。
【0041】なお、実施例における酵素反応液中の5、
5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸
及び5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カ
ルボン酸エステル、そして、N−t−ブトキシカルボニ
ル化反応後のN−t−ブトキシカルボニル−5、5−ジ
メチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸の定量
及び光学純度の測定は、以下のそれぞれの分析条件によ
り高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により行っ
た。
【0042】5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン
−4−カルボン酸の高速液体クロマトグラフィー分析条
件 カラム:スミキラルOA−5000 0.46cmφ・
25cm(住化分析センター社製) 移動層:水・アセトニトリル・2mM硫酸銅(85:1
5) 流速 1mL/分 検出 UV 254nm。
【0043】5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン
−4−カルボン酸エステルの高速液体クロマトグラフィ
ー分析条件 カラム:キラルパックAD 0.46cmφ・25cm
(ダイセル化学社製) 移動層:ヘキサン・イソプロピルアルコール・ジエチル
アミン(75:25:0.3) 流速 1mL/分 検出 UV 254nm。
【0044】N−t−ブトキシカルボニル−5、5−ジ
メチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸の高速
液体クロマトグラフィー分析条件 カラム:スミキラルOA−4400 0.46cmφ・
25cm(住化分析センター社製) 移動層:ヘキサン・エタノール・トリフルオロ酢酸(9
7:3:0.1) 流速 1mL/分 検出 UV 254nm。
【0045】<実施例1>蒸留水1000mlに5、5
−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸メ
チル175g(1mol)を添加し、SNSM−87
(クレブシエラ・オキシトカ由来、ナガセ生化学工業社
製)1gを加え、40℃で24時間攪拌した。反応終了
後、反応液に5N 水酸化カリウム水溶液を加えてpH
を10.0に調整し、1000mlの酢酸エチルを用い
て3回、5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4
−カルボン酸メチルを抽出、除去した。次に水層に濃硫
酸を加えてpH4程度に調製後、100mlまで濃縮し
て冷却し、24時間静置した。晶出した沈殿をろ過した
ところ、光学純度98%e.e.の(R)−5、5−ジ
メチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸が収率
42%で得られた。得られた(R)−5、5−ジメチル
−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸を2N水酸化
ナトリウム水溶液200mlに溶解させ、t−ブタノー
ルを150ml加えた。更に、氷冷下ジ−t−ブチルジ
カーボネート87gを加え、25℃で24時間攪拌し
た。反応終了後、反応液を200mlまで濃縮し、5%
亜硫酸カリウム水溶液を加えてpH3程度に調整し、4
00mlの酢酸エチルを用いて3回抽出した。抽出液を
合わせて濃縮し、ヘキサンと酢酸エチルの混合溶媒から
再結晶させたところ、光学純度99%e.e.のN−t
−ブトキシカルボニル−(R)−5、5−ジメチル−
1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸がトータル収率
40%で得られた。
【0046】<実施例2>蒸留水1000mlに5、5
−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸メ
チル175g(1mol)を添加し、SNSM−87
(クレブシエラ・オキシトカ由来、ナガセ生化学工業社
製)2gを加え、60℃で48時間攪拌した。反応終了
後、反応液に5N 水酸化カリウム水溶液を加えてpH
を10.0に調整し、1000mlの酢酸エチルを用い
て3回抽出した。抽出液を合わせて濃縮したところ、光
学純度99%e.e.の(S)−5、5−ジメチル−
1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸メチルが収率4
2%で得られた。
【0047】<実施例3〜11>実施例3〜8は基質と
して5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カ
ルボン酸メチルエステル0.1molを、実施例9〜1
1は基質として5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジ
ン−4−カルボン酸ブチルエステル0.1molを使用
して、表1に示す各種エステル分解酵素により、実施例
1に準じた方法で反応させ、光学活性なN−t−ブトキ
シカルボニル−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジ
ン−4−カルボン酸を得た。その結果を表1にまとめて
示す。
【0048】
【表1】
【0049】
【発明の効果】本発明の方法を用いることにより、
(R)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4
−カルボン酸および(S)−5、5−ジメチル−1、3
−チアゾリジン−4−カルボン酸エステル、さらにこれ
らを原料としたN−アシル−(R)−5、5−ジメチル
−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸を、効率よく
得ることができる。ここに得られる(R)−5、5−ジ
メチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸または
N−アシル−(R)−5、5−ジメチル−1、3−チア
ゾリジン−4−カルボン酸はプロテアーゼ阻害作用を有
する抗エイズ薬を製造するための合成中間体として使用
される。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4C033 AB07 4C086 AA04 BC82 MA01 MA04 NA14 ZB33 ZC20 ZC55

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、Rは炭素原子数1〜10の直鎖状又は分枝鎖状
    アルキル基である)で表される5、5−ジメチル−1、
    3−チアゾリジン−4−カルボン酸エステルの光学異性
    体混合物に微生物由来のエステル分解酵素を作用させる
    ことを特徴とする式(II) 【化2】 で表される(R)−5、5−ジメチル−1、3−チアゾ
    リジン−4−カルボン酸の製造方法。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の化合物(I)に微生物
    由来のエステル分解酵素を作用させることを特徴とする
    式(III) 【化3】 (式中、Rは炭素原子数1〜10の直鎖状又は分枝鎖状
    アルキル基である)で表される(S)−5、5−ジメチ
    ル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸エステルの
    製造方法。
  3. 【請求項3】 光学活性な5、5−ジメチル−1、3−
    チアゾリジン−4−カルボン酸エステルに塩基を作用さ
    せることを特徴とする当該化合物のラセミ化方法。
  4. 【請求項4】 請求項3に記載の方法で得たラセミ化し
    た化合物を用いる請求項1に記載の方法。
  5. 【請求項5】 請求項3に記載の方法で得たラセミ化し
    た化合物を用いる請求項2に記載の方法。
  6. 【請求項6】 エステル分解酵素がクレブシエラ(Kl
    ebsiella)属、アスパジーラス(Asperg
    illus)属またはバチルス(Bacillus)属
    に属するいずれかの微生物に由来するエステル分解酵素
    である請求項1〜2または4〜5のいずれかに記載の方
    法。
  7. 【請求項7】 エステル分解酵素がクレブシエラ・オキ
    シトカ(Klebsiella oxytoca)、ア
    スパジーラス・メレウス(Aspergillus m
    elleus)、バチルス・サブチリス(Bacill
    us subtilis)、バチルス・アミロリクエファ
    シエンス(Bacillus amyroliquef
    aciens)またはバチルス・アルカロフィラス(B
    acillus alcalophilus)に属する
    いずれかの微生物に由来するエステル分解酵素である請
    求項1〜2または4〜5のいずれかに記載の方法。
  8. 【請求項8】 請求項1または4、もしくは6〜7のい
    ずれかによって得た化合物(II)を無機塩基存在下、
    水中または水および有機溶媒の混合溶媒中で、式(I
    V)または(V) 【化4】 【化5】 (それぞれ式中、R’は、水素原子であるかまたはハロ
    ゲン原子で置換されても良い炭素原子数1〜10の直鎖
    状または分枝鎖状アルキル基、フェニル基、ベンジルオ
    キシ基、t−ブトキシ基、9−フルオレニルメトキシ基
    であり、Xは、塩素原子またはオキシイミノ−2−フェ
    ニルアセトニトリル基、p−オキシフェニルジメチルス
    ルホニウム・メタンスルホン酸塩基、N−オキシスクシ
    ンイミド基、アジド基である。)で表されるアシル化剤
    を作用させることを特徴とする式(VI) 【化6】 (式中、R’は、水素原子であるかまたはハロゲン原子
    で置換されても良い炭素原子数1〜10の直鎖状または
    分枝鎖状アルキル基、フェニル基、ベンジルオキシ基、
    t−ブトキシ基、9−フルオレニルメトキシ基であ
    る。)で表されるN−アシル−(R)−5、5−ジメチ
    ル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸の製造方
    法。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の製造方法において、ア
    シル化剤としてジ−t−ブチルジカーボネートを用いる
    ことを特徴とする式(VII) 【化7】 で表されるN−t−ブトキシカルボニル−(R)−5、
    5−ジメチル−1、3−チアゾリジン−4−カルボン酸
    の製造方法。
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