JP2002226286A - 摺動部材 - Google Patents

摺動部材

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JP2002226286A
JP2002226286A JP2001021408A JP2001021408A JP2002226286A JP 2002226286 A JP2002226286 A JP 2002226286A JP 2001021408 A JP2001021408 A JP 2001021408A JP 2001021408 A JP2001021408 A JP 2001021408A JP 2002226286 A JP2002226286 A JP 2002226286A
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silicon nitride
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Yusuke Okamoto
裕介 岡本
Yoshiteru Yasuda
芳輝 保田
Minoru Ota
稔 太田
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Nissan Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 厳しい条件の下でも摩擦係数を有意に低減
し、優れた潤滑性を発揮する摺動部材を提供すること。 【解決手段】 この摺動部材は、窒化ケイ素質焼結体の
表面に、SiとC及び/又はNとを含有し親油性を有す
る修飾層を堆積させて成る。修飾層におけるC及び/又
はN、並びにSiの存在比が、次式 4XSi:(4X+3X)=1:0.40〜1:0.85… (式中のXSi,X及びXは、それぞれ上記修飾層
におけるSi、C及びNの存在比(原子数比)を示す)
で表される関係を満足する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、エンジンなどの摺
動部品に好適に使用される摺動部材、更に詳しくは、そ
の表面に設ける修飾層に関するものである。
【0002】
【従来の技術】自動車用を始めとする各種エンジンには
多くの摺動部分があるが、近年高まっているエネルギー
節約の観点から、それら摺動部分の摩擦低減が一層強く
要請されている。例えば、自動車エンジン中のバルブリ
フターのカム−シム間の摩擦の低減は、実用燃費向上に
利くことから特に強く求められているものの一つであ
る。ところが、この部分の摺動については、面圧が大き
い一方で相対的な摺動速度が小さいことからいわゆる境
界潤滑条件となり易く、潤滑部分の油膜維持が大きな問
題となる。このように、かかる厳しい条件下でもなお界
面に油膜を保ち摩擦係数を低くすることが常に求められ
ている。このような潤滑改善の手法としては、例えば特
開平2000−169266号公報に記載されているよ
うに、材料表面に潤滑を目的とした皮膜を形成する方法
が知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上述のような従来技術
においては、硬質の皮膜を材料表面に形成することで摩
擦の低減が図られており、摩擦低減に一定の効果は予測
されるが、皮膜表面は単に下地の物理的形状を模したも
のに過ぎず、また皮膜自体の有するべき特性や組成につ
いてはなんら言及されていないことから、摩擦特性には
更に改良の余地があると考えられる。
【0004】本発明は、このような従来技術の有する課
題に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、
厳しい条件の下でも摩擦係数を有意に低減し、優れた潤
滑性を発揮する摺動部材を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、上記目的
を達成すべく基材の表面処理手法について鋭意検討を重
ねた結果、特定の性質を有する修飾層を所定材料の表面
に被覆し、所要に応じてその表面の物理的・化学的性状
を制御することにより、上記目的が達成されることを見
出し、本発明を完成するに至った。
【0006】即ち、本発明の摺動部材は、窒化ケイ素質
焼結体の表面に、ケイ素(Si)と炭素(C)及び/又
は窒素(N)とを含有し親油性を有する修飾層を堆積さ
せて成ることを特徴とする。
【0007】また、本発明の摺動部材の好適形態は、上
記修飾層におけるC及び/又はN、並びにSiの存在比
が、次式 4XSi:(4X+3X)=1:0.40〜1:0.85… (式中のXSi,X及びXは、それぞれ上記修飾層
におけるSi、C及びNの存在比(原子数比)を示す)
で表される関係を満足することを特徴とする。更に、本
発明の摺動部材の他の好適形態は、上記修飾層の厚さが
20nm〜350nmであることを特徴とする。
【0008】
【発明の実施の形態】以下、本発明の摺動部材について
詳細に説明する。なお、本明細書において、「%」は特
記しない限り質量百分率を示すものとする。上述の如
く、本発明の摺動部材は、窒化ケイ素質焼結体とその表
面に被覆した修飾層とを備え、この修飾層は、Siと、
C及びNの少なくとも1つの元素とを含み、親油性を有
する。このように、本発明では、上記課題に対して、基
材ないしは下地部材たる窒化ケイ素質焼結体上に特定の
修飾層を形成し、必要に応じてその組成・厚さを所定の
ものとすることにより潤滑性に優れた摺動部材としてい
る。
【0009】ここで、「窒化ケイ素焼結体」とは、窒化
ケイ素の結晶粒と焼結助剤成分と不可避不純物を基質と
する焼結体のほか、SiCやTiN、カーボン繊維など
の第二相成分を特性強化のために分散させたものも意味
するものとする。このように、本発明ではこれらの複合
材料まで含めて「窒化ケイ素質焼結体」として扱うこと
にする。
【0010】次に、基材表面に設ける修飾層は、原則と
してSiとNを主体として含むが、Cが含まれていても
よい。また、本発明においては、修飾層におけるSi/
C/Nの各存在比(原子数比)をXSi,X,X
したときに、4XSi:(4X+3X)の比が1:
0.40〜1:0.85の範囲となる場合に、摩擦低減
の効果をより顕著に得ることができる。この理由は現時
点では必ずしも明らかではないが、化学量論組成からの
ずれにより修飾層表面に未結合手が発生し、ここに油が
付着し易くなるために高面圧・低摺動速度の厳しい条件
でも表面の油膜が維持されるためと考えられる。なお、
Si、C、Nの総量、即ちSi+N、Si+N+C、又
はSi+Cの合計量を修飾層の組成の60原子%以上と
することで、かかる効果を高めることができる。
【0011】また、上述した修飾層は親油性を有する
が、本発明において、かかる「親油性」の判断は、試
料、即ち真空槽内にて表面に修飾層を形成し、その真空
槽内から取り出して30分以内に行う油滴接触角の大小
により行うことができる。具体的には、平板状の試料を
水平に設置し、その表面に所定の自動車用エンジンオイ
ルを適量滴下し、この油滴の接触角を測定する。測定の
温度は25℃、湿度は50%とする。本発明において
は、かかる接触角の大きさが13゜以下、好ましくは1
0゜以下の場合、その試料が親油性を有するものと判断
する。
【0012】基材表面に修飾層を設ける方法としては、
修飾層の密着性などの点でスパッタリング法が適してい
るが、プラズマCVDなど適宜の方法を用いることもで
きる。なお、下地基材の表面については、ある程度平滑
に仕上げておくと、修飾層がもたらす効果をより大きく
引き出すことができる。更に詳しくは、日本工業規格に
規定されるRa値で0.5以下とすることが望ましい。
このような表面粗さは、目標とする粗さのレベルに応
じ、研削のみでも研削とラッピングを組み合わせて達成
してもよい。なお、研削仕上げの場合は、条痕が表面に
存在するが、以下では特に注記のない限り上記のRa値
は条痕と直交方向に測定したときのもので評価すること
とする。一方、下地基材の表面は平滑であるに越したこ
とはないが、最初から平滑性が高過ぎる場合は、表面修
飾の効果が相対的に薄れることがある。本発明で修飾層
の効果が特に大きく得られるのはRaが0.02を超え
る場合である。よって、本発明において、窒化ケイ素質
焼結体基材の好適な表面粗さとしては、0.02〜0.
5Raを挙げることができる。
【0013】また、本発明において、かかる修飾層の厚
さについては、20nm以上、350nm以下とするの
が望ましい。20nm未満では表面平滑化の効果が小さ
くなり、350nmを超えると表面の平滑性が再び低下
することがあり効果が小さくなる。また、必要以上に厚
い修飾層を形成することはプロセス効率の観点からも有
利ではない。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例及び比較例により更に
詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定される
ものではない。
【0015】(実施例1及び比較例1) [焼結体(基材)の調製]β型窒化ケイ素を主成分とす
る窒化ケイ素粉末(電気化学工業製、NP−500)に
焼結助剤としてYとNdを2mol%ずつ
添加し、エタノールを用いた湿式ボールミルで94時間
混合した。混合後の粉末を乾燥し、50mm×60mm
×厚さ6mmの角板に圧粉成形した。この成形体に圧力
392MPaで冷間静水圧プレスを施した後、電気炉を
用いて0.94MPaの窒素雰囲気中1900℃で4時
間焼成した。更にこの焼結体を9.8MPaの窒素雰囲
気中、2000℃で4時間焼成した。焼成完了後、得ら
れた焼結体を研削により一辺35mm、厚さ4mmの角
板に加工した。片側の表面はラッピングにより平滑面に
仕上げた。ラッピング加工後この研磨面の表面粗さ(日
本工業規格に定められるところの表面粗さRa)を表面
粗さ計で測定したところ、0.060であった。測定長
さは5mm、カットオフは0.25mmとした。
【0016】[修飾層の形成]次に、マグネトロンスパ
ッタリング装置(ナノテック株式会社、NANOCOA
T400)を用いて、この試料(窒化ケイ素質焼結体)
の表面(ラップ面)に修飾層を形成した。2mm程度の
目のステンレスの金網で内径8cm程度の筒を作り、ま
ずこの中に試料を収めた。これは試料そのものが絶縁体
であるため代わりに金網に加速電圧を印加するためであ
る。次いで、金網で囲った試料を真空容器内に収め、3
×10−4Paまで排気してから、試料表面をいったん
アルゴンでスパッタリングして清浄にした。更に窒化ケ
イ素焼結体のターゲットを用いて1時間スパッタリング
処理した。このとき試料は150℃程度に加熱した。雰
囲気ガスには引き続きアルゴンを用いた。処理時の容器
内圧力は約1Paであった。印加した高周波の周波数は
13.56MHz、出力は300Wである。試料を囲ん
だ金網には加速電圧として2.0kVを印加した。
【0017】[親油性の評価]上述の処理が終了した
後、真空槽内から試料を取り出し、直ちに(30分以内
に)親油性の評価を行った。即ち、試料を恒温恒湿容器
内に水平に設置し、表面に自動車用エンジンオイル5W
−30SJ(日産純正モーターオイル)を0.1ml注
射器にて静かに滴下し、滴下から10秒後にこれを水平
方向から写真撮影した。測定の温度は25℃、湿度は5
0%とした。撮影された映像からオイルの接触角を測定
した。測定方法の概略を図1に示す。同図において、符
号11は試料(基材又は表面に修飾層を設けた基材)、
12は油滴、13は接触角を示す。この試験では、接触
角が小さいほど親油性に優れることを示す。測定の結果
接触角は9°であった。
【0018】[表面粗さの測定]また、スパッタリング
後、形成した修飾層の表面の粗さを、上記同様に表面粗
さ計で測定した。処理後の試料の粗さ(修飾層の表面粗
さ)Raは0.045で平滑度が向上していた。
【0019】[修飾層の組成と厚さの測定]上述のよう
に形成した修飾層の組成と厚さを、次の操作によりX線
光電子分光(XPS)法によって分析した。試料をノル
マルヘキサンで5分間超音波洗浄し、測定用真空容器に
収めた後、表面から5nmをアルゴンでスパッタして測
定面とした。この、表面から5nmにおける組成を以て
修飾層の組成を代表させた。測定にはPHI社製複合表
面分析装置ESCA−5600を用い、X線源にはMg
のKα線(1253.6eV)、300Wのものを用い
た。測定エリアは直径0.8mmの円内で、測定深さは
4nmである。
【0020】次いで、同装置を用いて深さ方向のプロフ
ァイルを求めた。測定はイオンスパッタリング法を用い
た。即ち、修飾層を表面から掘り取りながら組成の測定
を行い、掘り取り開始からの時間の関数として記録し
た。掘り取った部分の大きさは3mm×3mmで、この
ほぼ中心の直径0.8mmの円内の範囲に対しXPS測
定を行った。この分析は、測定で現れる組成が顕著に変
化し、基材の組成を反映したものになるまで掘り進めな
がら行った。この種の測定においては、最初は修飾層の
組成が分析結果として得られるが、掘り進むに従い、あ
るところで基材の組成に転じ、その後はその組成で安定
する。図2に測定で得られる結果の概略を示す。この組
成変化が現れて更に測定値が安定するまで測定してか
ら、分析を終了して試料を取り出した。掘った部分の段
差を表面粗さ計で読み取り、これを掘り取り開始からの
時間に直線的に割り当てて深さプロファイルに換算し
た。分析の結果修飾層の厚さは65nmと求められ、組
成(原子数比)はSiが55原子%、Nが37原子%、
Cが0.5原子%であった。組成から4XSi:(4X
+3X)の比率を計算すると1:0.514であっ
た。
【0021】[摩擦特性の評価]試験にはピンオンディ
スク法を用いた。試験法の概略を図3に示す。この試験
では3本のピン24を円周上に配置し、ピン自身は転が
らないようにしたまま摺動させる。荷重は490N、ピ
ンの周速は0.03m/sである。ピンの材質は浸炭鋼
で直径は5mm、長さ5mmの円柱形状である。ピンは
その側面で試料(基材又は表面に修飾層を設けた基材)
製の角板21と摺動する。なお、図3中、符号22は摺
動痕、23は回転方向を示している。潤滑油には自動車
用エンジンオイル5W−30SJ(日産純正モーターオ
イル)を用い、ディスクとピンの全体が潤滑油中に浸る
ようにした。オイルの温度は80℃に保った。初期のな
じみ効果を考慮して、試験開始から60分時点の測定値
を以てその試料の摩擦係数とみなした。
【0022】本例の摺動部材の効果を確認するために、
表面に修飾層を設けない部材を比較のために作製した
(比較例1)。この例では基材となる窒化ケイ素の作成
までは実施例1と同様の手順で行い、一辺35mm×厚
さ4mmの角板に加工した後、表面をラッピングして仕
上げた。Raは同様に0.060であった。その後の修
飾層形成プロセスは一切行わずにそのまま摩擦特性評価
に供した。試験条件は上記の修飾層を設けた試験片と同
様である。測定の結果、表面に修飾層を設けた部材での
摩擦係数は0.110(実施例1)であったが、表面に
修飾層を設けない部材では0.128であった(比較例
1)。表面に修飾層を設けた部材では表面の平滑性が向
上すると同時に摩擦係数の低減が見られ、低減の割合は
14.1%であった。以下に記載する実施例及び比較例
では、修飾層を設けない部材に対して、修飾層の形成に
より5%以上の摩擦低減が見られたものを効果があると
判定した。また10%以上の低減があったものを特に効
果があると判定した。
【0023】(実施例2)実施例1と同様の基材(Ra
=0.060)を用いたが、修飾層形成時の処理時の雰
囲気ガスに、アルゴンとアンモニアの混合ガスを用いた
例である。アルゴンとアンモニアの混合比は4:1(体
積比)とした。それ以外のプロセスは実施例1と同様に
行った。表面組成を調べた結果、実施例1と比較して窒
素の割合が高まっており、Si:42原子%、C:0.
2原子%、N:46原子%の割合であった。4XSi
(4X +3X)の比率は1:0.826になっ
た。また、摩擦係数は0.114で(実施例2)、表面
修飾を施さない試料(比較例1)に比べると10.9%
の摩擦係数低減が見られた。
【0024】(実施例3)実施例1と同様の基材を用い
る一方、修飾層形成時の処理温度を200℃まで高めた
例である。その他のプロセスと評価は実施例1と同様に
行った。表面組成を調べた結果4XSi:(4X+3
)の比率は1:0.416で、実施例1と比較して
窒素+炭素の割合が小さいものとなっていた。摩擦係数
は0.102で、表面修飾を施さない試料(比較例1)
に比べると20.3%の摩擦係数低減が見られ、この例
も摩擦低減に効果があるものと判定された。
【0025】(実施例4)修飾層にCを入れた例であ
る。基材は実施例1と同様のものを用い、修飾層形成時
のターゲット材料を窒化ケイ素から窒化ケイ素+炭化ケ
イ素の複合材に換えている。ターゲットの炭化ケイ素の
割合は20体積%である。その他のプロセスと評価は実
施例1と同様に行った。修飾層の組成を分析した結果、
Siが47原子%,Nが原子24%、Cが11原子%含
まれていた。摩擦係数は0.108で、修飾層を設けな
い試料(比較例1)に比べ15.6%の摩擦低減が見ら
れた。
【0026】(実施例5)実施例4から更に修飾層の中
の各原子の成分比を変えたものである。実施例4で用い
たターゲットを更に交換した。引き続き窒化ケイ素+炭
化ケイ素の複合材のターゲットであるが、ターゲット中
の炭化ケイ素の割合を35体積%に増した。その他のプ
ロセスと評価は実施例1と同様に行った。修飾層の組成
を分析した結果、Siが49原子%,Nが20原子%、
Cが23原子%含まれていた。摩擦係数は0.104
で、修飾層を設けない試料(比較例1)に比べ18.8
%の摩擦低減が見られ、特に効果ありと判定された。
【0027】(実施例6及び比較例2)基材を変えた例
である。実施例1における1900℃4時間+2000
℃4時間の焼成過程に代えて、1900℃、窒素雰囲気
0.98MPa、12時間の焼成プロセスで焼結体を作
製した例である。他のプロセス及び評価は実施例1と同
様に行った。修飾層形成前の表面粗さRaは0.08
2、修飾層形成後は0.070で、摩擦係数は修飾層形
成前の0.132(比較例2)に対し修飾層形成後は
0.111に下がった(実施例6)。
【0028】(実施例7及び比較例3)表面の粗さを変
えた例である。基材は実施例1と同様のものを用い、表
面は研削のみで仕上げた。他のプロセス及び評価は実施
例1と同様に行った。表面粗さRaを条痕と垂直方向で
測定したところ0.42であった。摩擦係数は修飾層を
設けない材料の0.141(比較例3)から形成した材
料では0.125に下がった(実施例7)。
【0029】(実施例8及び比較例4)同様に表面の粗
さを変えた例である。基材は実施例1と同様のものを用
い、表面は研削のみで仕上げたが、実施例1よりは粒度
の細かい砥石を用いてやや平滑に仕上げた。他のプロセ
ス及び評価は実施例1と同様に行った。表面粗さRaを
条痕と垂直方向で測定したところ0.20であった。摩
擦係数は修飾層を設けない材料の0.131(比較例
4)から形成した材料では0.114に下がった(実施
例8)。
【0030】(実施例9)修飾層の厚さを変えた例であ
る。基材は実施例1と同じものを用い、同様のプロセス
で処理したが、スパッタリングにより表面に堆積させる
時間を2時間にした。評価は再び実施例1と同様に行っ
た。修飾層の厚さをXPSで定量した結果は141n
m、摩擦係数は0.102で修飾を施さない試料(比較
例1)に対し20.3%の低減が見られた。
【0031】(実施例10)同様に修飾層の厚さを変え
た例である。基材は実施例1と同じものを用い同様のプ
ロセスで処理したが、スパッタリングの時間を4時間に
延長した。XPSによる分析、摩擦試験は実施例1と同
様に行った。分析の結果、修飾層の厚さは320nmで
摩擦係数は0.110であった。修飾を行わない試料
(比較例1)に対し14.1%の低減が見られた。
【0032】(実施例11及び比較例5)基材に窒化ケ
イ素と炭化ケイ素の複合材を使用した例である。実施例
1で原料粉末として窒化ケイ素粉末に代えて、窒化ケイ
素粉末(電気化学工業、NP−500)75質量%と炭
化ケイ素粉末(昭和電工、ウルトラデンシック)25質
量%の混合物を用い、以降のプロセスと評価は実施例1
と同様に行った。表面組成を調べた結果、Si:50原
子%、C:7原子%、N:30原子%の割合であった。
4XSi:(4X+3X)の比率は1:0.590
と計算された。修飾前の試料の表面粗さはRaで0.1
2であった。摩擦係数測定の結果は修飾層を施したもの
が0.108(実施例11)、施さなかったものが0.
120(比較例5)で、10.0%の低減があった。
【0033】(実施例12)修飾層の組成を、更に広い
範囲で変化させた例である。実施例1と同様の基材(R
a=0.060)を用いたが、修飾層形成時の処理時の
雰囲気ガスに、アルゴンとアンモニアの混合ガスを用
い、更にアルゴンとアンモニアの混合比を1:2(体積
比)とした。それ以外のプロセスは実施例1と同様に行
った。表面組成を調べた結果、実施例1、実施例2と比
較して窒素の割合が高まっており、Si:39原子%、
C:0.5原子%、N:45原子%の割合であった。4
Si:(4X+3X)の比率は1:0.878と
計算された。摩擦係数は0.121で表面修飾を施さな
い試料(比較例1)に比べると低減したが、低減幅は
5.5%と小さくなった。
【0034】(実施例13)引き続き修飾層の組成を変
化させた例である。実施例1と同じ基材を用いている
が、スパッタリング処理時に試料を約250℃まで加熱
している。それ以外のプロセスと評価は実施例1と同様
に行った。分析の結果、Si、C、Nはそれぞれ60原
子%、1原子%、28原子%含まれていることが分かっ
た。組成比4XSi:(4X+3X)は1:0.3
66と計算された。摩擦係数は0.120で摩擦係数の
低減は6.2%とやや小さくなった。
【0035】(実施例14及び比較例6)表面が更に粗
い基材を使った例である。実施例1と同様の手順で基材
を用意したが、表面の仕上げにやや粗い研削砥石を用い
た。修飾を施す前に粗さを測定したところRa=0.5
5であった。この後は実施例1と同様の条件で表面に修
飾層を形成し摩擦係数の測定を行った。修飾を施さない
試料(比較例6)に比べ、摩擦係数は6.2%低減し
た。
【0036】(実施例15及び比較例7)表面を極度に
平滑にしてから表面修飾を行った例である。実施例1と
同様の手順で基材を用意したが、表面のラッピングにも
う一段細かい砥粒を用いた。修飾を施す前に粗さを測定
したところRa=0.016で、修飾後の測定でも0.
016であった。この後は実施例1と同様の条件で表面
に修飾層を形成し摩擦係数の測定を行った。修飾を施さ
ない試料(比較例7)と比べ摩擦係数は6.4%低減し
た。
【0037】(実施例16)表面の修飾層を薄くした例
である。実施例1と同様の基材を用意した後、スパッタ
リングの時間を20分に短縮した。その他の手順は実施
例1と同様に行った。摩擦係数には比較例1と比して
7.0%の低減が見られた。
【0038】(実施例17)表面の修飾層を厚くした例
である。実施例1と同様の基材を用意した後、スパッタ
リングの時間を6時間に延長した。その他の手順は実施
例1と同様に行った。分析の結果修飾層の厚さは400
nmと求められた。摩擦係数は比較例1と比して8.6
%低減した。
【0039】(比較例8)修飾層内においてSi、C、
Nの合計量が少なかった例である。実施例1に対し、タ
ーゲット材料を窒化ケイ素+ジルコニアの複合材料に変
更した。ターゲットにおけるジルコニアの含有率は40
体積%である。その他のプロセスと評価は実施例1と同
様に行った。表面におけるSi、N、Cの割合(原子数
比)は31%、16%、4%で合計51%であった。摩
擦係数を評価したところ、修飾層のない材料では0.1
25であったが、修飾層を設けた材料は0.130(比
較例8)と効果は見られなかった。
【0040】(比較例9)同様に修飾層内においてS
i、C、Nの合計量が少なかった例である。実施例1に
対し、ターゲット材料をアルミナに変更した。その他の
プロセスと評価は実施例1と同様に行った。X線光電子
分光による分析の結果、表面におけるSi、N、Cの割
合(原子数比)は4%、2%、5%で合計11%であっ
た。なお膜厚は42nmであった。摩擦係数を評価した
ところ、修飾層のない材料では0.132であったが、
修飾層を設けた材料でも0.129と効果はわずかなも
のに留まった。
【0041】以上に説明した各例における摺動部材の組
成や各種性能を表1〜6にまとめて記載する。
【0042】
【表1】
【0043】
【表2】
【0044】
【表3】
【0045】
【表4】
【0046】
【表5】
【0047】
【表6】
【0048】表1〜表6から、現時点において、製造・
加工の簡便さの観点から、最も好適な例は実施例3であ
り、これに次ぐ例としては実施例9、更には実施例1及
び8を挙げることができる。
【0049】以上、本発明を好適実施例により詳細に説
明したが、本発明はこれら実施例に限定されるものでは
なく、本発明の要旨の範囲内において種々の変形が可能
である。例えば、本発明の適用対象たる基材について
は、窒化ケイ素質焼結体のほか、他の非酸化物セラミッ
クス、例えば炭化ケイ素質焼結体などを挙げることもで
きる。また、本発明の摺動部材は、各種エンジンや内燃
機関などの種々の摺動部分に適用でき、例えばバルブリ
フターのカム−シム間の摺動部材に好適に用いることが
できる。
【0050】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明によれ
ば、特定の性質を有する修飾層を所定材料の表面に被覆
し、所要に応じてその表面の物理的・化学的性状を制御
することとしため、厳しい条件の下でも摩擦係数を有意
に低減し、優れた潤滑性を発揮する摺動部材を提供する
ことができる。
【0051】即ち、代表的には、本発明は、窒化ケイ素
焼結体表面に親油性を有する修飾層を堆積させること
で、修飾層を形成しない例に比べ5%以上、条件によっ
ては摩擦を10%以上低減した摺動部材を実現するもの
である。また、修飾層にSi、C、Nを原子数比で60
%以上含むようにし、更にSi、C、Nの比を特定の比
率の範囲とすることで摩擦低減効果を高めることがで
き、修飾層を形成しない例に比べ5%以上、条件によっ
ては10%以上摩擦を低減した摺動部材を提供できる。
更に、修飾層を形成する前の基材の表面粗さを特定範囲
に制御すれば、本発明の効果はより顕著になる。具体的
には、表面粗さRaを0.02〜0.5の範囲にすれば
よい。また加えて、修飾層の厚さを20nm以上350
nm以下とすることで低摩擦化効果を効率的に得ること
ができる。これにより、自動車エンジン内における摩擦
損失の低減を図ることができ、更にはロッカーアームな
どの他の部品への展開も可能であり、工業的有用性は極
めて高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】親油性評価(接触角測定)の方法を示した側面
図である。
【図2】X線光電子分光における深さ方向の組成プロフ
ァイルと、修飾層深さの決定法を説明するグラフであ
る。
【図3】摩擦特性の評価における素材とピンの配置を模
式的に示す斜視図である。
【符号の説明】
11 基材又は表面に修飾層を設けた基材(試料) 12 油滴 13 接触角 21 基材又は表面に修飾層を設けた基材(試料) 22 摺動痕 23 回転方向 24 ピン

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 窒化ケイ素質焼結体の表面に、ケイ素
    (Si)と炭素(C)及び/又は窒素(N)とを含有し
    親油性を有する修飾層を堆積させて成ることを特徴とす
    る摺動部材。
  2. 【請求項2】 上記修飾層におけるC及び/又はN、並
    びにSiの存在比が、次式 4XSi:(4X+3X)=1:0.40〜1:0.85… (式中のXSi,X及びXは、それぞれ上記修飾層
    におけるSi、C及びNの存在比(原子数比)を示す)
    で表される関係を満足することを特徴とする請求項1に
    記載の摺動部材。
  3. 【請求項3】 上記修飾層が少なくともSiとC及び/
    又はNとを、合計量で60原子%以上の割合で含むこと
    を特徴とする請求項1又は2に記載の摺動部材。
  4. 【請求項4】 上記修飾層を堆積する前の窒化ケイ素質
    焼結体の表面粗さが、日本工業規格に規定されるRa値
    で0.02〜0.5であることを特徴とする請求項1〜
    3のいずれか1つの項に記載の摺動部材。
  5. 【請求項5】 上記修飾層の厚さが20nm〜350n
    mであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1
    つの項に記載の摺動部材。
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