JP2002221590A - 沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法 - Google Patents
沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法Info
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- JP2002221590A JP2002221590A JP2001019137A JP2001019137A JP2002221590A JP 2002221590 A JP2002221590 A JP 2002221590A JP 2001019137 A JP2001019137 A JP 2001019137A JP 2001019137 A JP2001019137 A JP 2001019137A JP 2002221590 A JP2002221590 A JP 2002221590A
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- Y02E—REDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
- Y02E30/00—Energy generation of nuclear origin
- Y02E30/30—Nuclear fission reactors
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- Monitoring And Testing Of Nuclear Reactors (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】位相空間内での主成分分析ないし独立成分分析
により、安定性に関係する情報だけを取り出すことがで
き、安定性監視の精度を大きく向上させる。 【解決手段】沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内に配置
された複数の中性子束検出器のうち、同一水平断面に配
置された検出器からの信号の時系列データを、多次元の
位相空間上のデータとみなして、その複数の主軸を主成
分分析により求め、各主軸への射影データを元の時間関
数のデータ列に戻し、その時系列データの統計分析によ
り、沸騰水型原子炉の安定度を計測・監視する。
により、安定性に関係する情報だけを取り出すことがで
き、安定性監視の精度を大きく向上させる。 【解決手段】沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内に配置
された複数の中性子束検出器のうち、同一水平断面に配
置された検出器からの信号の時系列データを、多次元の
位相空間上のデータとみなして、その複数の主軸を主成
分分析により求め、各主軸への射影データを元の時間関
数のデータ列に戻し、その時系列データの統計分析によ
り、沸騰水型原子炉の安定度を計測・監視する。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、独立性分分析によ
る統計分析手法を用いた沸騰水型原子炉の安定性計測監
視方法に関する。
る統計分析手法を用いた沸騰水型原子炉の安定性計測監
視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】沸騰水型原子炉では、炉心を負のボイド
反応度係数になるように設計しており、出力の増加→ボ
イド増加→出力抑制という固有の安定なフィードバック
メカニズムをもっている。しかしながら、特定の運転状
態、特に低炉心流量、高出力での運転状態では、出力増
加からボイド増加に至る伝達過程の遅れ時間が影響し
て、出力の増加→ボイド増加→出力低下→ボイド低下→
出力増加というサイクルで振動現象が起こり得る。この
振動は、通常、炉心内で一体の振動現象として観測され
るため、「炉心安定性」という言葉で呼ばれている。ま
た、炉心内に多数配置された燃料チャンネル内では、沸
騰が起こり二相流状態になっているため、入口圧力と出
口圧力との間に時間遅れが生じ、燃料チャンネル入口流
量の振動が起こり得る。これは、炉心内の局所的な燃料
チャンネルで起こる事象であることから、「チャンネル
安定性」と呼ばれる。さらに、炉心の中性子束の振動
と、チャンネル入口流量の振動が相互に影響しあって、
炉心内で空間的に比均質の振動事象が起こり得るが、こ
れは、「領域安定性」と呼ばれる。
反応度係数になるように設計しており、出力の増加→ボ
イド増加→出力抑制という固有の安定なフィードバック
メカニズムをもっている。しかしながら、特定の運転状
態、特に低炉心流量、高出力での運転状態では、出力増
加からボイド増加に至る伝達過程の遅れ時間が影響し
て、出力の増加→ボイド増加→出力低下→ボイド低下→
出力増加というサイクルで振動現象が起こり得る。この
振動は、通常、炉心内で一体の振動現象として観測され
るため、「炉心安定性」という言葉で呼ばれている。ま
た、炉心内に多数配置された燃料チャンネル内では、沸
騰が起こり二相流状態になっているため、入口圧力と出
口圧力との間に時間遅れが生じ、燃料チャンネル入口流
量の振動が起こり得る。これは、炉心内の局所的な燃料
チャンネルで起こる事象であることから、「チャンネル
安定性」と呼ばれる。さらに、炉心の中性子束の振動
と、チャンネル入口流量の振動が相互に影響しあって、
炉心内で空間的に比均質の振動事象が起こり得るが、こ
れは、「領域安定性」と呼ばれる。
【0003】この3通りの振動事象について、振動の程
度を監視することが運転上必要であり、これを目的にし
た従来技術として、炉心内に配置された多数の局所中性
子検出器(LPRM)と、これらを平均して得られる炉
心平均中性子検出器(APRM)信号を利用した安定性
監視方法がある。
度を監視することが運転上必要であり、これを目的にし
た従来技術として、炉心内に配置された多数の局所中性
子検出器(LPRM)と、これらを平均して得られる炉
心平均中性子検出器(APRM)信号を利用した安定性
監視方法がある。
【0004】図7は、沸騰水型原子炉の水平断面図にお
ける、燃料チャンネル1の配置と、4体おきに配置され
たLPRM検出器2の位置を示す。垂直方向には、この
LPRM検出器2は4体設置されている。これらの、L
PRM検出器2ないしAPRMから得られる時系列信号
が、プラントの通常運転時でもゆらいでいることを利用
して安定性を監視する方法で、時系列信号の統計解析に
より、振動の起こりやすさを減幅比という尺度で評価す
るものである。統計解析としては、時系列信号の自己相
関関数や、自己回帰モデルが用いられる(たとえば、特
開平11−231089号公報参照)。
ける、燃料チャンネル1の配置と、4体おきに配置され
たLPRM検出器2の位置を示す。垂直方向には、この
LPRM検出器2は4体設置されている。これらの、L
PRM検出器2ないしAPRMから得られる時系列信号
が、プラントの通常運転時でもゆらいでいることを利用
して安定性を監視する方法で、時系列信号の統計解析に
より、振動の起こりやすさを減幅比という尺度で評価す
るものである。統計解析としては、時系列信号の自己相
関関数や、自己回帰モデルが用いられる(たとえば、特
開平11−231089号公報参照)。
【0005】図8は、自己相関関数による減幅比の求め
方の例を示したものである。振動の程度の尺度として用
いられる減幅比は、自己相関関数の場合、相関関数のあ
い続くピークの高さの比(DR=C2/C1)として求
められる。また、振動周期は、ピークの間の時間差の逆
数(FR=1/T1)として得られる。この減幅比が
1.0に近いほど振動し易くなっていることを意味す
る。
方の例を示したものである。振動の程度の尺度として用
いられる減幅比は、自己相関関数の場合、相関関数のあ
い続くピークの高さの比(DR=C2/C1)として求
められる。また、振動周期は、ピークの間の時間差の逆
数(FR=1/T1)として得られる。この減幅比が
1.0に近いほど振動し易くなっていることを意味す
る。
【0006】図9は自己回帰モデルによる安定性評価法
の手順を示したものである。この図9に示すように、自
己回帰モデルによる方法では、時系列データ(S1)か
ら、自己回帰モデルの係数を統計的推定法で推定し(S
2)、このモデルから、インパルス応答を計算する(S
2)。このインパルス応答は、図8の自己相関関数と同
じような変化になるため、あい続くピークの比から、減
幅比と振動周波数が求まる(S4)。
の手順を示したものである。この図9に示すように、自
己回帰モデルによる方法では、時系列データ(S1)か
ら、自己回帰モデルの係数を統計的推定法で推定し(S
2)、このモデルから、インパルス応答を計算する(S
2)。このインパルス応答は、図8の自己相関関数と同
じような変化になるため、あい続くピークの比から、減
幅比と振動周波数が求まる(S4)。
【0007】LPRMとAPRMの信号から求まる減幅
比を見ることで、炉心安定性とチャンネル安定性の識別
は可能になる。すなわち、特定のLPRM信号のみで大
きな減幅比が観測された場合、チャンネル安定性とみな
すことができるし、すべてのLPRM信号およびAPR
M信号で大きな減幅比が観測された場合、炉心安定性が
悪化したとみなすことができる。
比を見ることで、炉心安定性とチャンネル安定性の識別
は可能になる。すなわち、特定のLPRM信号のみで大
きな減幅比が観測された場合、チャンネル安定性とみな
すことができるし、すべてのLPRM信号およびAPR
M信号で大きな減幅比が観測された場合、炉心安定性が
悪化したとみなすことができる。
【0008】一方、領域安定性は、炉心内で空間的に非
均一の振動であり、LPRM信号間で、位相が異なる。
この監視のために、従来では、特定の重み係数w(x,
y)を事前に求めておき、
均一の振動であり、LPRM信号間で、位相が異なる。
この監視のために、従来では、特定の重み係数w(x,
y)を事前に求めておき、
【数1】 という式で、領域安定性に対応する時系列データを作成
する。ここで、φ(x,y,t)は、炉心の(x、y)
位置の検出器の出力信号である。重み係数は、すべて一
定値であれば、APRMと同じ信号になるが、X−Y平
面を二つに区切る境界を隔てて、正負で振動する一次モ
ードの領域安定性では、w(x、y)もその分布に比例
した正負の値をもつ。このR(t)の時系列信号の統計
解析により求めた減幅比が、領域安定性の尺度となる。
する。ここで、φ(x,y,t)は、炉心の(x、y)
位置の検出器の出力信号である。重み係数は、すべて一
定値であれば、APRMと同じ信号になるが、X−Y平
面を二つに区切る境界を隔てて、正負で振動する一次モ
ードの領域安定性では、w(x、y)もその分布に比例
した正負の値をもつ。このR(t)の時系列信号の統計
解析により求めた減幅比が、領域安定性の尺度となる。
【0009】図10に、3種類の安定性モードを示して
おく。(a)は炉心安定性、(b)はチャンネル安定
性、(c)は領域安定性を示す。
おく。(a)は炉心安定性、(b)はチャンネル安定
性、(c)は領域安定性を示す。
【0010】以上説明した従来の方法では、領域安定性
の事前の分布を与える必要があるため、実際のプラント
の運転条件により、時々刻々変化する領域安定性のモー
ドの分布を適切に反映した安定性の計測と監視を行うこ
とは困難であった。
の事前の分布を与える必要があるため、実際のプラント
の運転条件により、時々刻々変化する領域安定性のモー
ドの分布を適切に反映した安定性の計測と監視を行うこ
とは困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】上述したように、従来
の安定性計測監視方法においては、時々刻々と変化する
領域安定性のモードの分布を適切に反映した安定性の計
測と監視を行うことは困難であった。
の安定性計測監視方法においては、時々刻々と変化する
領域安定性のモードの分布を適切に反映した安定性の計
測と監視を行うことは困難であった。
【0012】本発明はかかる従来の事情に対処してなさ
れたものであり、主成分分析、独立成分分析という多変
量解析の手法をあらたに炉心安定性計測方法に導入し、
3つの安定性モード(炉心安定性、チャンネル安定性、
領域安定性)を分離して、夫々の安定度合を計測し、監
視に利用する沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法を提
供することを目的としている。
れたものであり、主成分分析、独立成分分析という多変
量解析の手法をあらたに炉心安定性計測方法に導入し、
3つの安定性モード(炉心安定性、チャンネル安定性、
領域安定性)を分離して、夫々の安定度合を計測し、監
視に利用する沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法を提
供することを目的としている。
【0013】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明に係る安定性計測監視方法においては、炉心
内に配置されたLPRM検出器のうち、同一水平断面に
配置されたp個の検出器からの信号の時系列データを、
各時刻ごとにp次元のベクトルデータxi(t)(I=
1,2,…p)として、p次元の位相空間内のデータと
みなし、主成分分析を適用して、この位相空間内の複数
の主軸を求める。この主軸は、x(t)の共分散行列を
下記の(1)式
め、本発明に係る安定性計測監視方法においては、炉心
内に配置されたLPRM検出器のうち、同一水平断面に
配置されたp個の検出器からの信号の時系列データを、
各時刻ごとにp次元のベクトルデータxi(t)(I=
1,2,…p)として、p次元の位相空間内のデータと
みなし、主成分分析を適用して、この位相空間内の複数
の主軸を求める。この主軸は、x(t)の共分散行列を
下記の(1)式
【数2】 としたとき、下記の(2)式で求まる固有値λiとこれ
に対応した固有ベクトルuiにより定義することができ
る。ただし、uiは、p次元の固有ベクトルである。
に対応した固有ベクトルuiにより定義することができ
る。ただし、uiは、p次元の固有ベクトルである。
【0014】
【数3】 ここで、固有値λiの大きいものから順に得られる複数
の主軸へ射影した時系列データは、下記の(3)式のよ
うに得られる。
の主軸へ射影した時系列データは、下記の(3)式のよ
うに得られる。
【0015】
【数4】 ここで、x(k)(t)が、k番目の主軸に射影した時
系列データであり、この時系列データの統計解析によ
り、沸騰水型原子炉の安定性を計測し、監視に用いる。
系列データであり、この時系列データの統計解析によ
り、沸騰水型原子炉の安定性を計測し、監視に用いる。
【0016】また、本発明では、他の手法として、前記
の主成分に対応した固有ベクトルの代わりに、独立成分
分析により求めた主軸に対応するベクトルを用いる。こ
こでは、前述のp次元の中性子検出器からの観測信号ベ
クトルを、x(t)としたとき、これが、少数の独立成
分(m次元、m<p)S(t)を用いて、
の主成分に対応した固有ベクトルの代わりに、独立成分
分析により求めた主軸に対応するベクトルを用いる。こ
こでは、前述のp次元の中性子検出器からの観測信号ベ
クトルを、x(t)としたとき、これが、少数の独立成
分(m次元、m<p)S(t)を用いて、
【数5】 x(t)=As(t) ……(4) なる関係に従って観測されたものと仮定する。ここで、
変換係数Aは、p*m次元の行列である。
変換係数Aは、p*m次元の行列である。
【0017】このとき独立成分分析では、先ず測定値の
時系列データを主成分分析することにより、Xを無相関
且つ共分散行列が単位行列となるように変換する。即
ち、Xの共分散行列をCとしたとき、直交行列Eと対角
行列Dを用いてC=EDETと表わすことができるの
で、これを用いてC−1/2をC−1/2=D−1/2
E Tにより求め、
時系列データを主成分分析することにより、Xを無相関
且つ共分散行列が単位行列となるように変換する。即
ち、Xの共分散行列をCとしたとき、直交行列Eと対角
行列Dを用いてC=EDETと表わすことができるの
で、これを用いてC−1/2をC−1/2=D−1/2
E Tにより求め、
【数6】 と変換することにより、X’の共分散行列は単位行列と
なり無相関化される。ここでD−1/2は対角要素がD
−1の平方根と等しい対角行列である。源信号Sが正規
分布に従っていればX’は無相関且つ独立となるが、こ
こではSは正規分布には従わないとすると、X’の各成
分は、互いに無相関でも、独立ではない。このため、
なり無相関化される。ここでD−1/2は対角要素がD
−1の平方根と等しい対角行列である。源信号Sが正規
分布に従っていればX’は無相関且つ独立となるが、こ
こではSは正規分布には従わないとすると、X’の各成
分は、互いに無相関でも、独立ではない。このため、
【数7】Y=WX’ ……(6) なる変換(Wは、m*p次元の行列)を行なったとき
に、Yの従う確率分布ができるだけ正規分布から離れる
ように反復計算によってWを求める。このようにして求
めたWが(4)式のA’の推定値であるとするものであ
り、同式のA’=V −1/2Aなる関係からAが求めら
れる。
に、Yの従う確率分布ができるだけ正規分布から離れる
ように反復計算によってWを求める。このようにして求
めたWが(4)式のA’の推定値であるとするものであ
り、同式のA’=V −1/2Aなる関係からAが求めら
れる。
【0018】この独立成分分析の具体的な手順について
は従来公知である(例えばAdapo Hyvarin
en:“Fast and Robust Fixed
−Point Algorithms for Ind
ependent Component Analys
is”, IEEE Trans. on Neura
l Networks, 10(3), 626−63
4, 1999参照)。
は従来公知である(例えばAdapo Hyvarin
en:“Fast and Robust Fixed
−Point Algorithms for Ind
ependent Component Analys
is”, IEEE Trans. on Neura
l Networks, 10(3), 626−63
4, 1999参照)。
【0019】また、この方法以外にも、たとえば、Ru
ck Thawonmas:“独立成分解析第13回D
eflation法”、Computer Toda
y,No.99、PP66−71、2000、では、
(6)式のYの高次モーメント(4次)を最小、ない
し、最大にするような基準で、係数Wを求める方法が提
案されている。
ck Thawonmas:“独立成分解析第13回D
eflation法”、Computer Toda
y,No.99、PP66−71、2000、では、
(6)式のYの高次モーメント(4次)を最小、ない
し、最大にするような基準で、係数Wを求める方法が提
案されている。
【0020】なお、本発明では、(3)式の代わりに、
(6)式のm次元ベクトルY(t)の各成分の時系列デ
ータの統計解析により、沸騰水型原子炉の安定性を計測
し、監視に用いることもできる。
(6)式のm次元ベクトルY(t)の各成分の時系列デ
ータの統計解析により、沸騰水型原子炉の安定性を計測
し、監視に用いることもできる。
【0021】また、本発明では、同一水平断面に並んだ
LPRM検出器から作成したp次元の信号ベクトルの代
わりに、単一ないし複数個(少数個)の検出器からの信
号z k(t)、zl(t)を用いることもできる。この
信号を、下記のように並べることで、p次元の信号ベク
トルを作成する。
LPRM検出器から作成したp次元の信号ベクトルの代
わりに、単一ないし複数個(少数個)の検出器からの信
号z k(t)、zl(t)を用いることもできる。この
信号を、下記のように並べることで、p次元の信号ベク
トルを作成する。
【0022】
【数8】
【0023】すなわち、単一の検出器からのデータを、
時間をずらして作成したp次元のベクトルとしてみな
し、これを、前記同様の方法によって解析し、沸騰水型
原子炉の安定性を計測し、監視に用いる。
時間をずらして作成したp次元のベクトルとしてみな
し、これを、前記同様の方法によって解析し、沸騰水型
原子炉の安定性を計測し、監視に用いる。
【0024】また、本発明では、多次元の位相空間か
ら、主成分分析ないし独立成分分析により求まる変換軸
への射影行列の係数((2)式のui、ないし、(4)
式のA)の値から、安定性モードを識別して監視に用い
ることもできる。ここで、p次元の射影ベクトルであ
る、(2)式のui、ないし、p*m次元の行列の特定
の列ベクトル(A(i,k)、i=1,…,p)の符号
を、図11に(+)または(−)で示すように、計測位
置に対応させて表示することで、炉心水平断面での振動
モードを識別することができる。すなわち、すべての要
素が同一符号の場合には「炉心安定性」、正負の符号が
混じっている場合には「領域安定性」とみなす。
ら、主成分分析ないし独立成分分析により求まる変換軸
への射影行列の係数((2)式のui、ないし、(4)
式のA)の値から、安定性モードを識別して監視に用い
ることもできる。ここで、p次元の射影ベクトルであ
る、(2)式のui、ないし、p*m次元の行列の特定
の列ベクトル(A(i,k)、i=1,…,p)の符号
を、図11に(+)または(−)で示すように、計測位
置に対応させて表示することで、炉心水平断面での振動
モードを識別することができる。すなわち、すべての要
素が同一符号の場合には「炉心安定性」、正負の符号が
混じっている場合には「領域安定性」とみなす。
【0025】また、本発明では、各主軸への射影データ
を元の時間関数のデータ列に戻す際に、特定の主軸を除
き、残りのすべての軸から構成される空間に射影したデ
ータを元の時間関数のデータ列に戻し、その時系列デー
タの統計分析により、沸騰水型原子炉の安定度を計測・
監視する。(2)式では、p個の固有ベクトル、(4)
式では、m個の固有ベクトルが得られるが、このうち、
安定性に寄与する成分は、通常、0.5Hz程度の振動
成分を持っているため、各固有ベクトルへ射影した時系
列データが対応する成分を持っていない場合、安定性監
視には必要ない成分となる。これらの成分を除いたk個
の固有ベクトルを並べた射影行列を、B(p*k)とす
ると、
を元の時間関数のデータ列に戻す際に、特定の主軸を除
き、残りのすべての軸から構成される空間に射影したデ
ータを元の時間関数のデータ列に戻し、その時系列デー
タの統計分析により、沸騰水型原子炉の安定度を計測・
監視する。(2)式では、p個の固有ベクトル、(4)
式では、m個の固有ベクトルが得られるが、このうち、
安定性に寄与する成分は、通常、0.5Hz程度の振動
成分を持っているため、各固有ベクトルへ射影した時系
列データが対応する成分を持っていない場合、安定性監
視には必要ない成分となる。これらの成分を除いたk個
の固有ベクトルを並べた射影行列を、B(p*k)とす
ると、
【数9】 Y(t)=BBTX(t) ……(8) という形で変換したp次元の射影ベクトルY(t)は、
安定性に関係する成分だけを抽出した時系列データとな
る。この統計分析により、安定性の計測と監視を行う。
安定性に関係する成分だけを抽出した時系列データとな
る。この統計分析により、安定性の計測と監視を行う。
【0026】また、本発明では、時系列データの統計分
析により、沸騰水型原子炉の安定度を計測する際に、統
計分析として時系列信号の自己相関関数を用いて、安定
度の尺度である減幅比を計測する。時系列信号の自己相
関関数は、
析により、沸騰水型原子炉の安定度を計測する際に、統
計分析として時系列信号の自己相関関数を用いて、安定
度の尺度である減幅比を計測する。時系列信号の自己相
関関数は、
【数10】 により求めることができる。この相関関数は、図8に示
すような振動応答になるため、あい続くピークの値を、
C1,C2とした時、減幅比DRは、
すような振動応答になるため、あい続くピークの値を、
C1,C2とした時、減幅比DRは、
【数11】 DR=C2/C1 ……(10) 振動周波数FRは、
【数12】 FR=1.0/T1 ……(11) により求めることができる。
【0027】また、本発明では、時系列データの統計分
析により、沸騰水型原子炉の安定度を計測する際に、統
計分析として時系列信号の自己回帰モデルを用いて、安
定度の尺度である減幅比を計測する。自己回帰モデル
は、
析により、沸騰水型原子炉の安定度を計測する際に、統
計分析として時系列信号の自己回帰モデルを用いて、安
定度の尺度である減幅比を計測する。自己回帰モデル
は、
【数13】 という過去M点のデータの線形結合で予測する回帰モデ
ルであり、観測データxi(t)から最小2乗法などで
自己回帰係数a(m)を求めるものである。この係数が
わかれば、図9に示したような手順でインパルス応答を
求めることができ、そのあい続くピークの値から、(1
0)(11)式により安定性の尺度である減幅比と振動
周波数を求めることができる。
ルであり、観測データxi(t)から最小2乗法などで
自己回帰係数a(m)を求めるものである。この係数が
わかれば、図9に示したような手順でインパルス応答を
求めることができ、そのあい続くピークの値から、(1
0)(11)式により安定性の尺度である減幅比と振動
周波数を求めることができる。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る沸騰水型原子
炉の安定性計測監視方法の実施の形態を図面に基づき説
明する。
炉の安定性計測監視方法の実施の形態を図面に基づき説
明する。
【0029】まず、図1および図2によって本発明の第
1実施形態を説明する。
1実施形態を説明する。
【0030】図1は安定性計測監視方法を実施するため
の系統構成を示している。この図1に示すように、本実
施形態においては、P個の沸騰水型原子炉の中性子束信
号(LPRM信号)S11が信号入力部101に入力さ
れ、時系列データ保存部102に時系列データとして保
存される。さらに、時系列データは、多次元ベクトル再
構成部103において、指定した次元の多次元空間に変
換される。
の系統構成を示している。この図1に示すように、本実
施形態においては、P個の沸騰水型原子炉の中性子束信
号(LPRM信号)S11が信号入力部101に入力さ
れ、時系列データ保存部102に時系列データとして保
存される。さらに、時系列データは、多次元ベクトル再
構成部103において、指定した次元の多次元空間に変
換される。
【0031】こうして変換されたデータは、主成分分析
部104において主成分分析され、または独立成分分析
部105において独立成分分析され、これにより複数の
主軸に対応する固有ベクトルが求められる。
部104において主成分分析され、または独立成分分析
部105において独立成分分析され、これにより複数の
主軸に対応する固有ベクトルが求められる。
【0032】さらに、射影ベクトル算出部106におい
て、元の時系列データをこの固有ベクトルへ射影して作
る時系列データをもとにして、相関関数演算部107に
より相関関数が求められ、またはインパルス応答演算部
108により自己回帰モデル解析によるインパルス応答
が求められる。この応答波形から、減幅比・振動周波数
演算部109において安定性の尺度である減幅比と振動
周波数が求められ、表示部110に表示されて監視に用
いられる。
て、元の時系列データをこの固有ベクトルへ射影して作
る時系列データをもとにして、相関関数演算部107に
より相関関数が求められ、またはインパルス応答演算部
108により自己回帰モデル解析によるインパルス応答
が求められる。この応答波形から、減幅比・振動周波数
演算部109において安定性の尺度である減幅比と振動
周波数が求められ、表示部110に表示されて監視に用
いられる。
【0033】また、主成分分析ないし独立成分分析によ
り求められた固有ベクトルは、振動モード判定部111
においてその要素の符号により振動モードを判別して1
10での表示に利用する。
り求められた固有ベクトルは、振動モード判定部111
においてその要素の符号により振動モードを判別して1
10での表示に利用する。
【0034】図2は、このような実施形態のうち、時系
列データの位相空間への変換と主軸への射影による時系
列データの復元を示したものである。
列データの位相空間への変換と主軸への射影による時系
列データの復元を示したものである。
【0035】この図2の(a)に示すように、p次元の
時系列データX1(t)…X2(t)は、各時刻ごとの
値として(b)に示すp次元空間X1、X2、X3に点
Pとしてプロットされる。そこで、このp次元空間内で
の主軸U1を、主成分分析ないし独立成分分析により求
める。さらに、この主軸U1への射影値を求め、これを
もとの時間の関数としてプロットして得られた(c)に
示す時系列データY1として、先に延べた相関分析、な
いし、自己回帰モデルによる統計分析法で、安定度の指
標である減幅比と振動周波数とを求める。
時系列データX1(t)…X2(t)は、各時刻ごとの
値として(b)に示すp次元空間X1、X2、X3に点
Pとしてプロットされる。そこで、このp次元空間内で
の主軸U1を、主成分分析ないし独立成分分析により求
める。さらに、この主軸U1への射影値を求め、これを
もとの時間の関数としてプロットして得られた(c)に
示す時系列データY1として、先に延べた相関分析、な
いし、自己回帰モデルによる統計分析法で、安定度の指
標である減幅比と振動周波数とを求める。
【0036】本実施形態によると、位相空間内での主成
分分析ないし独立成分分析により、安定性に関係する情
報だけを取り出すことができ、安定性監視の精度を大き
く向上することができる。
分分析ないし独立成分分析により、安定性に関係する情
報だけを取り出すことができ、安定性監視の精度を大き
く向上することができる。
【0037】次に、図3および図4によって本発明の第
2実施形態を説明する。
2実施形態を説明する。
【0038】図3は本実施例による安定性計測監視方法
を示すシステム構成図である。この図3に示すように、
本実施形態においても、沸騰水型原子炉の中性子束信号
(LPRM信号)S31が信号入力部301に入力さ
れ、時系列データ保存部302に時系列データとして保
存される。さらに、時系列データは、多次元ベクトル再
構成部303において、指定した次元の多次元空間に変
換される。
を示すシステム構成図である。この図3に示すように、
本実施形態においても、沸騰水型原子炉の中性子束信号
(LPRM信号)S31が信号入力部301に入力さ
れ、時系列データ保存部302に時系列データとして保
存される。さらに、時系列データは、多次元ベクトル再
構成部303において、指定した次元の多次元空間に変
換される。
【0039】こうして変換されたデータは、主成分分析
部304において主成分分析され、または独立成分分析
部305において独立成分分析され、これにより複数の
主軸に対応する固有ベクトルが求められる。
部304において主成分分析され、または独立成分分析
部305において独立成分分析され、これにより複数の
主軸に対応する固有ベクトルが求められる。
【0040】そして、本実施形態では、主成分分析ない
し独立成分分析により求めたすべての固有ベクトルへ射
影した個別の時系列データが、個別の射影ベクトル算出
部306aにおいて、まず算出される。次に、この個別
の時系列データから、安定性に関する情報をもった固有
ベクトルだけが、射影ベクトル選択部306において選
択される。
し独立成分分析により求めたすべての固有ベクトルへ射
影した個別の時系列データが、個別の射影ベクトル算出
部306aにおいて、まず算出される。次に、この個別
の時系列データから、安定性に関する情報をもった固有
ベクトルだけが、射影ベクトル選択部306において選
択される。
【0041】図4は、この安定性に関連した主軸の選択
を行うためのシステム構成を示している。すなわち、図
4に示すように、個別の主軸に対応する時系列データS
41をもとに相関関数演算部307により相関関数が求
められ、またはインパルス応答演算部308により自己
回帰モデル解析によるインパルス応答が求められる。こ
の応答波形から、減幅比・振動周波数演算部309にお
いて安定性の尺度である減幅比と振動周波数が求められ
る。そして、時系列データの相関関数ないし自己回帰モ
デルにより求まる振動周波数が0.5Hz近傍にあるか
どうか判断され、Yesであると安定性に関連する主軸
として選定され、Noであると安定性に関連しない主軸
として除外される。この後、図3の系統において射影ベ
クトル計算部306cでの計算および第1実施形態と同
様の操作が行われる。
を行うためのシステム構成を示している。すなわち、図
4に示すように、個別の主軸に対応する時系列データS
41をもとに相関関数演算部307により相関関数が求
められ、またはインパルス応答演算部308により自己
回帰モデル解析によるインパルス応答が求められる。こ
の応答波形から、減幅比・振動周波数演算部309にお
いて安定性の尺度である減幅比と振動周波数が求められ
る。そして、時系列データの相関関数ないし自己回帰モ
デルにより求まる振動周波数が0.5Hz近傍にあるか
どうか判断され、Yesであると安定性に関連する主軸
として選定され、Noであると安定性に関連しない主軸
として除外される。この後、図3の系統において射影ベ
クトル計算部306cでの計算および第1実施形態と同
様の操作が行われる。
【0042】本実施形態によれば、上述の手法により選
別された複数の主軸から構成される超平面に、元の時系
列データを射影することで、安定性に関係する時系列デ
ータだけを抜き出すことができ、このデータを解析する
ことで、精度の良い減幅比を出すことが可能になる。
別された複数の主軸から構成される超平面に、元の時系
列データを射影することで、安定性に関係する時系列デ
ータだけを抜き出すことができ、このデータを解析する
ことで、精度の良い減幅比を出すことが可能になる。
【0043】従来の方法では、安定性に関係しない低周
波数や高周波数の振動成分を除くために、時間領域での
低域通過フィルターや高域通過フィルターを使用してい
たが、これは、安定性に関係する0.5Hzの振動成分
を歪めてしまう効果ももつため、減幅比の推定精度を悪
化させる原因となっていた。本実施形態の方法により、
このような欠点を除いた高精度の安定性尺度(減幅比)
の推定が可能になる。
波数や高周波数の振動成分を除くために、時間領域での
低域通過フィルターや高域通過フィルターを使用してい
たが、これは、安定性に関係する0.5Hzの振動成分
を歪めてしまう効果ももつため、減幅比の推定精度を悪
化させる原因となっていた。本実施形態の方法により、
このような欠点を除いた高精度の安定性尺度(減幅比)
の推定が可能になる。
【0044】次に、図5によって本発明の第3実施形態
を説明する。
を説明する。
【0045】図5は本実施例による安定性計測監視方法
における安定性モードの識別方法を説明するためのフロ
ーチャートである。この図5に示すように、本実施形態
においては、前述した炉心安定性、領域安定性、チャン
ネル安定性の3通りの安定性モードを識別する。
における安定性モードの識別方法を説明するためのフロ
ーチャートである。この図5に示すように、本実施形態
においては、前述した炉心安定性、領域安定性、チャン
ネル安定性の3通りの安定性モードを識別する。
【0046】まず、主成分分析または独立成分分析によ
る固有ベクトルが算出され(ステップS501)、ここ
で算出された固有ベクトルが特定の要素で大きな値とな
るか判定される(ステップS502)。Yesである
と、チャンネル安定性モードと識別される(ステップS
503)。Noであると、固有ベクトルの各要素の符号
が一致するか判定され(ステップS504)、Yesで
あると、炉心安定性モードと識別される(ステップS5
05)。Noであると、固有ベクトルの各要素の符号が
正負(+,−)に別れるか判定され(ステップS50
6)、Yesであると、領域安定性モードと識別される
(ステップS507)。
る固有ベクトルが算出され(ステップS501)、ここ
で算出された固有ベクトルが特定の要素で大きな値とな
るか判定される(ステップS502)。Yesである
と、チャンネル安定性モードと識別される(ステップS
503)。Noであると、固有ベクトルの各要素の符号
が一致するか判定され(ステップS504)、Yesで
あると、炉心安定性モードと識別される(ステップS5
05)。Noであると、固有ベクトルの各要素の符号が
正負(+,−)に別れるか判定され(ステップS50
6)、Yesであると、領域安定性モードと識別される
(ステップS507)。
【0047】このように、本実施形態においては、主成
分分析ないし独立成分分析により求まる固有ベクトルの
各要素の符号を、図5のように分析することで3通りの
安定性モードを識別できる。すなわち、チャンネル安定
性モードの場合には、特定の要素の値が大きくなり、対
応する検出器の位置での不安定性が起こることが識別す
ることができる。また、大きさがそろっている場合に
は、符号をみて、同一符号の場合、炉心全体が共通で振
動しているとみなせるため、炉心安定性モードと識別す
ることができる。また、符号が正負に別れる場合には、
領域安定性モードと判断することができる。領域安定性
のモードは、前述した図11に示すような形で、固有ベ
クトルの符号を対応する位置に表示することで識別する
ことができる。
分分析ないし独立成分分析により求まる固有ベクトルの
各要素の符号を、図5のように分析することで3通りの
安定性モードを識別できる。すなわち、チャンネル安定
性モードの場合には、特定の要素の値が大きくなり、対
応する検出器の位置での不安定性が起こることが識別す
ることができる。また、大きさがそろっている場合に
は、符号をみて、同一符号の場合、炉心全体が共通で振
動しているとみなせるため、炉心安定性モードと識別す
ることができる。また、符号が正負に別れる場合には、
領域安定性モードと判断することができる。領域安定性
のモードは、前述した図11に示すような形で、固有ベ
クトルの符号を対応する位置に表示することで識別する
ことができる。
【0048】次に、図6によって本発明の第4実施形態
を説明する。
を説明する。
【0049】本実施例は、独立成分分析を適用して炉心
安定性と領域安定性の二つのモードを分離し、これによ
り安定度を評価するものであり、図6は本実施形態の説
明図である。
安定性と領域安定性の二つのモードを分離し、これによ
り安定度を評価するものであり、図6は本実施形態の説
明図である。
【0050】図6の(a)に示すように、炉心安定性と
領域安定性が混在した波形では、(b)に示す周波数ス
ペクトルのように、0.5Hz付近に二つの異なる振動
周波数が現れる。
領域安定性が混在した波形では、(b)に示す周波数ス
ペクトルのように、0.5Hz付近に二つの異なる振動
周波数が現れる。
【0051】そこで、この波形に独立成分分析を適用し
て、第1、第2成分を抽出し、それぞれに射影した時系
列波形から周波数スペクトルを求めると、(c)に示す
第1独立成分の周波数スペクトルと、(d)に示す第2
成分の周波数スペクトルのように、二つのピークが分離
される。従って、この二つの時系列波形から安定度を評
価すれば、炉心安定性の安定度と領域安定性の安定度
を、個別に評価できるため、安定性監視の精度が大きく
向上する。このような分離は、従来の安定性監視方法
や、主成分分析による方法では達成できなかったもの
で、本発明の特徴のひとつでもある。
て、第1、第2成分を抽出し、それぞれに射影した時系
列波形から周波数スペクトルを求めると、(c)に示す
第1独立成分の周波数スペクトルと、(d)に示す第2
成分の周波数スペクトルのように、二つのピークが分離
される。従って、この二つの時系列波形から安定度を評
価すれば、炉心安定性の安定度と領域安定性の安定度
を、個別に評価できるため、安定性監視の精度が大きく
向上する。このような分離は、従来の安定性監視方法
や、主成分分析による方法では達成できなかったもの
で、本発明の特徴のひとつでもある。
【0052】
【発明の効果】以上で説明したように、本発明に係る沸
騰水型原子炉の安定性計測監視方法によれば、位相空間
内での主成分分析ないし独立成分分析により、安定性に
関係する情報だけを取り出すことができ、安定性監視の
精度を大きく向上することができる。また、固有ベクト
ルとして求まる係数の符号の分析により、安定性モード
(炉心安定性と領域安定性とチャンネル安定性)の識別
監視が可能になる。従来の方法では、特に領域安定性に
関しては、事前に分かっている重み係数を用いた監視が
必要であったが、本発明によれば、重み係数をデータか
ら随時求めることが可能であるため、安定性監視を柔軟
かつ高精度で行うことができる。
騰水型原子炉の安定性計測監視方法によれば、位相空間
内での主成分分析ないし独立成分分析により、安定性に
関係する情報だけを取り出すことができ、安定性監視の
精度を大きく向上することができる。また、固有ベクト
ルとして求まる係数の符号の分析により、安定性モード
(炉心安定性と領域安定性とチャンネル安定性)の識別
監視が可能になる。従来の方法では、特に領域安定性に
関しては、事前に分かっている重み係数を用いた監視が
必要であったが、本発明によれば、重み係数をデータか
ら随時求めることが可能であるため、安定性監視を柔軟
かつ高精度で行うことができる。
【図1】本発明の第1実施形態による安定性計測監視方
法を説明するためのシステム構成図。
法を説明するためのシステム構成図。
【図2】(a),(b),(c)は、図1に示した第1
実施形態において、時系列データを位相空間に変換し固
有ベクトルを求め、その固有ベクトルへの射影により新
たな時系列データを作成する方法を示す説明図。
実施形態において、時系列データを位相空間に変換し固
有ベクトルを求め、その固有ベクトルへの射影により新
たな時系列データを作成する方法を示す説明図。
【図3】本発明の第2実施形態による安定性計測監視方
法を説明するためのシステム構成図。
法を説明するためのシステム構成図。
【図4】図3に示した第2実施形態における安定性に関
連した主軸の選定方法を示す説明図。
連した主軸の選定方法を示す説明図。
【図5】本発明の第3実施形態による安定性計測監視方
法を説明するためのシステム構成図。
法を説明するためのシステム構成図。
【図6】(a),(b),(c),(d)は本発明の第
4実施形態による安定性計測監視方法を示す説明図。
4実施形態による安定性計測監視方法を示す説明図。
【図7】本発明の対象とする中性子束の計測位置と炉心
断面図を示す模式図。
断面図を示す模式図。
【図8】時系列信号の相関関数の形状と、あい続くピー
クの比から安定度の尺度である減幅比と振動周波数を求
める方法を示す説明図。
クの比から安定度の尺度である減幅比と振動周波数を求
める方法を示す説明図。
【図9】自己回帰モデルを用いて安定度の尺度である減
幅比と振動周波数を求める方法を示す説明図。
幅比と振動周波数を求める方法を示す説明図。
【図10】(a),(b),(c)は炉心安定性、チャ
ンネル安定性、領域安定性の区別を炉心水平断面図上で
示した説明図。
ンネル安定性、領域安定性の区別を炉心水平断面図上で
示した説明図。
【図11】固有ベクトルの符号を計測位置に対応させて
表示し、領域安定性・炉心安定性モードの識別に利用で
きることを示す説明図。
表示し、領域安定性・炉心安定性モードの識別に利用で
きることを示す説明図。
1 燃料チャンネル 2 LPRM検出器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 武内 豊 神奈川県川崎市川崎区浮島町2番1号 株 式会社東芝浜川崎工場内 (72)発明者 江畑 茂男 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 (72)発明者 玉置 哲男 神奈川県横浜市磯子区新杉田町8番地 株 式会社東芝横浜事業所内 Fターム(参考) 2G075 CA08 CA38 DA18 EA02 FA06 FA19 FB10 FB16 GA18
Claims (7)
- 【請求項1】 沸騰水型原子炉の原子炉圧力容器内に配
置された複数の中性子束検出器のうち、同一水平断面に
配置された検出器からの信号の時系列データを、多次元
の位相空間上のデータとみなして、その複数の主軸を主
成分分析により求め、各主軸への射影データを元の時間
関数のデータ列に戻し、その時系列データの統計分析に
より、沸騰水型原子炉の安定度を計測・監視することを
特徴とする沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法。 - 【請求項2】 請求項1記載の沸騰水型原子炉の安定性
計測監視方法において、主成分分析の代わりに、独立成
分分析を用いて複数の主軸を求めることを特徴とする沸
騰水型原子炉の安定性計測監視方法。 - 【請求項3】 請求項1または2記載の沸騰水型原子炉
の安定性計測監視方法において、同一水平断面に配置さ
れた検出器の代わりに、単一ないし複数個の検出器から
の信号に着目し、その時系列データの異なる時刻のデー
タを多次元の位相空間に埋め込んで用いることを特徴と
する沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法。 - 【請求項4】 請求項1または2記載の沸騰水型原子炉
の安定性計測監視方法において、多次元の位相空間か
ら、主成分分析ないし独立成分分析により求まる変換軸
への射影行列の係数の値から、安定性モードを識別して
監視に用いることを特徴とする沸騰水型原子炉の安定性
計測監視方法。 - 【請求項5】 請求項1から3までのいずれかに記載の
沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法において、各主軸
への射影データを元の時間関数のデータ列に戻す際に、
特定の主軸を除き、残りのすべての軸から構成される空
間に射影したデータを元の時間関数のデータ列に戻し、
その時系列データの統計分析により、沸騰水型原子炉の
安定度を計測・監視することを特徴とする沸騰水型原子
炉の安定性計測監視方法。 - 【請求項6】 請求項1から3までのいずれか、または
請求項5記載の沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法に
おいて、時系列データの統計分析により、沸騰水型原子
炉の安定度を計測する際に、統計分析として時系列信号
の自己相関関数を用いて、安定度の尺度である減幅比を
計測することを特徴とする沸騰水型原子炉の安定性計測
監視方法。 - 【請求項7】 請求項1から3までのいずれか、または
請求項5記載の沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法に
おいて、時系列データの統計分析により、沸騰水型原子
炉の安定度を計測する際に、統計分析として時系列信号
の自己回帰モデルを用いて、安定度の尺度である減幅比
を計測することを特徴とする沸騰水型原子炉の安定性計
測監視方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001019137A JP2002221590A (ja) | 2001-01-26 | 2001-01-26 | 沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001019137A JP2002221590A (ja) | 2001-01-26 | 2001-01-26 | 沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002221590A true JP2002221590A (ja) | 2002-08-09 |
Family
ID=18885069
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001019137A Pending JP2002221590A (ja) | 2001-01-26 | 2001-01-26 | 沸騰水型原子炉の安定性計測監視方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002221590A (ja) |
Cited By (9)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2007240464A (ja) * | 2006-03-10 | 2007-09-20 | Toshiba Corp | 沸騰水型原子炉炉心状態監視装置 |
JP2008255571A (ja) * | 2007-03-31 | 2008-10-23 | Univ Waseda | 大型建造物の診断システム、大型建造物の診断プログラム、記録媒体および大型建造物の診断方法 |
JP2010085183A (ja) * | 2008-09-30 | 2010-04-15 | Toshiba Corp | 出力監視装置 |
JP2010256328A (ja) * | 2009-04-22 | 2010-11-11 | Korea Electric Power Corp | 発電所計測器性能監視予測方法 |
JP2011137701A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-07-14 | Toshiba Corp | 原子炉の出力監視装置及びその方法 |
JP2011203047A (ja) * | 2010-03-25 | 2011-10-13 | Tokyo Electric Power Co Inc:The | 燃料集合体の流量計測方法 |
WO2011142383A1 (ja) | 2010-05-14 | 2011-11-17 | 株式会社東芝 | 原子炉の出力監視装置 |
JP2011242168A (ja) * | 2010-05-14 | 2011-12-01 | Toshiba Corp | 原子炉の出力監視装置及びその方法 |
FR3062747A1 (fr) * | 2017-02-06 | 2018-08-10 | Altran Technologies - Altran | Procede pour determiner la puissance degagee par un milieu fissile |
-
2001
- 2001-01-26 JP JP2001019137A patent/JP2002221590A/ja active Pending
Cited By (10)
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US9177676B2 (en) | 2010-05-14 | 2015-11-03 | Kabushiki Kaisha Toshiba | Nuclear reactor power monitor |
FR3062747A1 (fr) * | 2017-02-06 | 2018-08-10 | Altran Technologies - Altran | Procede pour determiner la puissance degagee par un milieu fissile |
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