JP2002216687A - 熱電界放射陰極の動作条件設定方法とそのための装置 - Google Patents
熱電界放射陰極の動作条件設定方法とそのための装置Info
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Classifications
-
- H—ELECTRICITY
- H01—ELECTRIC ELEMENTS
- H01J—ELECTRIC DISCHARGE TUBES OR DISCHARGE LAMPS
- H01J2237/00—Discharge tubes exposing object to beam, e.g. for analysis treatment, etching, imaging
- H01J2237/06—Sources
- H01J2237/063—Electron sources
- H01J2237/06308—Thermionic sources
- H01J2237/06316—Schottky emission
Landscapes
- Electron Sources, Ion Sources (AREA)
Abstract
(57)【要約】
【課題】電流変動の少ない安定した電子放射が得られる
熱電界放射陰極を提供する。 【解決手段】エミッション電流のS/N比が極大になる
ようにフィラメント電流を決定する熱電界放射陰極の動
作方法とその設定方法。並びに、前記熱電界放射陰極の
動作条件を設定するための装置。
熱電界放射陰極を提供する。 【解決手段】エミッション電流のS/N比が極大になる
ようにフィラメント電流を決定する熱電界放射陰極の動
作方法とその設定方法。並びに、前記熱電界放射陰極の
動作条件を設定するための装置。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子顕微鏡、電子
露光機、電子ビームテスタ、ウエハ検査装置、オージェ
電子分光装置などの電子源として用いられている熱電界
放射陰極の動作方法とそのための装置に関する。
露光機、電子ビームテスタ、ウエハ検査装置、オージェ
電子分光装置などの電子源として用いられている熱電界
放射陰極の動作方法とそのための装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、より高輝度の電子ビームを得るた
めに、タングステン単結晶の針状電極を用いた熱電界放
射陰極が利用されている。この熱電界放射陰極は、軸方
位が<100>からなるタングステン単結晶ニードル
に、ジルコニウム及び酸素からなる被覆層(以下、Zr
O被覆層という)を設け、該ZrO被覆層によってタン
グステン単結晶の(100)面の仕事関数を4.5eV
から約2.8eVに低下させたもので、前記ニードルの
先端部に形成された(100)面に相当する微小な結晶
面のみが電子放出領域となるので、従来の熱陰極よりも
高輝度の電子ビームが得られ、しかも長寿命である特徴
を有する。また冷電界放射陰極よりも安定で、低い真空
度でも動作し、使いやすいという特徴を有している。
めに、タングステン単結晶の針状電極を用いた熱電界放
射陰極が利用されている。この熱電界放射陰極は、軸方
位が<100>からなるタングステン単結晶ニードル
に、ジルコニウム及び酸素からなる被覆層(以下、Zr
O被覆層という)を設け、該ZrO被覆層によってタン
グステン単結晶の(100)面の仕事関数を4.5eV
から約2.8eVに低下させたもので、前記ニードルの
先端部に形成された(100)面に相当する微小な結晶
面のみが電子放出領域となるので、従来の熱陰極よりも
高輝度の電子ビームが得られ、しかも長寿命である特徴
を有する。また冷電界放射陰極よりも安定で、低い真空
度でも動作し、使いやすいという特徴を有している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前記利点があ
る反面、熱電界放射陰極の欠点として、雑音の低周波成
分が大きいという点があげられる。特に前者において1
Hz〜5000Hzの間で、放射電流は約0.23%の
フリッカ雑音(1/f雑音)を含むが、低周波ではフリ
ッカ雑音より高いレベルの電流変動を含み、この成分は
温度、印加電界強度、陰極の形状によって変化すること
が知られている(真空,第29巻,第1号(1986)
13−25参照)。
る反面、熱電界放射陰極の欠点として、雑音の低周波成
分が大きいという点があげられる。特に前者において1
Hz〜5000Hzの間で、放射電流は約0.23%の
フリッカ雑音(1/f雑音)を含むが、低周波ではフリ
ッカ雑音より高いレベルの電流変動を含み、この成分は
温度、印加電界強度、陰極の形状によって変化すること
が知られている(真空,第29巻,第1号(1986)
13−25参照)。
【0004】熱電界放射陰極の実際の操作条件における
重要なパラメータとしてチップ温度がある。一般的にチ
ップはそれに接合されたタングステンフィラメントに直
流電流を通電することによりジュール加熱され、その温
度はフィラメント電流により制御される。たとえば上記
ZrO被覆型タングステン熱電界放射陰極の最適動作温
度は1800Kとされている(J.Appled Ph
ysics.,46,5(1975)2029−205
0参照)。この知見をもとにチップ温度が1800K相
当となるフィラメント電流を設定するのが一般的な方法
であるが、単一の熱電界放射陰極においても、搭載した
電極構成のデザインの違いにより熱放散が変わるため、
所定のチップ温度を得るフィラメント電流設定値が変化
する。チップ温度は放射温度計により測定できるが、装
置によってはチップ温度を測定するための窓がないもの
があり、実際のチップ温度を把握できない場合がある。
また1800Kに合わせたとしても、電極構成などによ
り熱放散のされかたが異なるので、熱電界放射陰極が電
流変動の少ない安定した電子放射を得る動作温度にある
かどうかは厳密には保証できない。安定性を確認する手
段として、長期間連続して電子放射したときのプローブ
電流のドリフトの程度をみる方法があるが、確認のため
に数十時間を要するし、必ずしも1回で調整することが
できず、多大な時間が掛かってしまうという問題があ
る。ここでいうプローブ電流とは、軸上電流を意味す
る。
重要なパラメータとしてチップ温度がある。一般的にチ
ップはそれに接合されたタングステンフィラメントに直
流電流を通電することによりジュール加熱され、その温
度はフィラメント電流により制御される。たとえば上記
ZrO被覆型タングステン熱電界放射陰極の最適動作温
度は1800Kとされている(J.Appled Ph
ysics.,46,5(1975)2029−205
0参照)。この知見をもとにチップ温度が1800K相
当となるフィラメント電流を設定するのが一般的な方法
であるが、単一の熱電界放射陰極においても、搭載した
電極構成のデザインの違いにより熱放散が変わるため、
所定のチップ温度を得るフィラメント電流設定値が変化
する。チップ温度は放射温度計により測定できるが、装
置によってはチップ温度を測定するための窓がないもの
があり、実際のチップ温度を把握できない場合がある。
また1800Kに合わせたとしても、電極構成などによ
り熱放散のされかたが異なるので、熱電界放射陰極が電
流変動の少ない安定した電子放射を得る動作温度にある
かどうかは厳密には保証できない。安定性を確認する手
段として、長期間連続して電子放射したときのプローブ
電流のドリフトの程度をみる方法があるが、確認のため
に数十時間を要するし、必ずしも1回で調整することが
できず、多大な時間が掛かってしまうという問題があ
る。ここでいうプローブ電流とは、軸上電流を意味す
る。
【0005】本発明の目的は、熱電界放射陰極が電流変
動の少ない安定した電子放射をするように適切な動作条
件に短時間で設定する方法及びその装置を提供すること
で、熱電界放射陰極を用いる電子線利用機器の稼働率を
向上することに寄与する点にある。
動の少ない安定した電子放射をするように適切な動作条
件に短時間で設定する方法及びその装置を提供すること
で、熱電界放射陰極を用いる電子線利用機器の稼働率を
向上することに寄与する点にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、フィラ
メント電流を変えながらプローブ電流のS/N比を測定
し、前記S/N比が極大となるフィラメント電流を定め
ることを特徴とする熱電界放射陰極の動作条件の設定方
法であり、前記の方法で定められたフィラメント電流に
保持し、動作させることを特徴とする熱電界放射電極の
動作方法である。
メント電流を変えながらプローブ電流のS/N比を測定
し、前記S/N比が極大となるフィラメント電流を定め
ることを特徴とする熱電界放射陰極の動作条件の設定方
法であり、前記の方法で定められたフィラメント電流に
保持し、動作させることを特徴とする熱電界放射電極の
動作方法である。
【0007】さらに前記熱電界放射陰極が、軸方位が<
100>からなるタングステン単結晶ニードルに、ジル
コニウム及び酸素からなる被覆層を設けてなることを特
徴とする熱電界放射陰極の動作条件の設定方法であり、
前記の方法で定められたフィラメント電流に保持し、動
作させることを特徴とする熱電界放射電極の動作方法で
ある。
100>からなるタングステン単結晶ニードルに、ジル
コニウム及び酸素からなる被覆層を設けてなることを特
徴とする熱電界放射陰極の動作条件の設定方法であり、
前記の方法で定められたフィラメント電流に保持し、動
作させることを特徴とする熱電界放射電極の動作方法で
ある。
【0008】また、熱電界放射陰極と、制御電極と、引
き出し電極と、前記引き出し電極を通過する電子ビーム
のプローブ電流を受ける電極を含む電子ビーム利用機器
において、前記プローブ電流のS/N比を測定すること
が可能なスペクトルアナライザを有し、フィラメント電
流を変えながらプローブ電流のS/N比を前記スペクト
ルアナライザにより測定し、前記S/N比が極大となる
フィラメント電流を定めることを特徴とする熱電界放射
陰極の動作条件の設定が可能な電子ビーム利用機器であ
る。
き出し電極と、前記引き出し電極を通過する電子ビーム
のプローブ電流を受ける電極を含む電子ビーム利用機器
において、前記プローブ電流のS/N比を測定すること
が可能なスペクトルアナライザを有し、フィラメント電
流を変えながらプローブ電流のS/N比を前記スペクト
ルアナライザにより測定し、前記S/N比が極大となる
フィラメント電流を定めることを特徴とする熱電界放射
陰極の動作条件の設定が可能な電子ビーム利用機器であ
る。
【0009】さらに、前記熱電界放射陰極が、軸方位が
<100>からなるタングステン単結晶ニードルに、ジ
ルコニウム及び酸素からなる被覆層を設けてなることを
特徴とする電子ビーム利用機器である。
<100>からなるタングステン単結晶ニードルに、ジ
ルコニウム及び酸素からなる被覆層を設けてなることを
特徴とする電子ビーム利用機器である。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明者は、従来技術の状況に鑑
みいろいろ検討を重ねた結果、フィラメント電流と引き
出し電圧を変えていったときに、熱電界放射陰極のプロ
ーブ電流から得られるS/N比が温度依存性を有し、特
定のチップ温度(従って、特定のフィラメント電流値に
対応する)で極大値をとるという新しい知見を得て、更
に、前記S/N比が極大となるようにフィラメント電流
値に設定して熱電界放射陰極を動作させるのみで、電流
変動の少ない安定した電子放射を得るように熱電界放射
陰極を設定することができるという知見を得て、本発明
に至ったものである。
みいろいろ検討を重ねた結果、フィラメント電流と引き
出し電圧を変えていったときに、熱電界放射陰極のプロ
ーブ電流から得られるS/N比が温度依存性を有し、特
定のチップ温度(従って、特定のフィラメント電流値に
対応する)で極大値をとるという新しい知見を得て、更
に、前記S/N比が極大となるようにフィラメント電流
値に設定して熱電界放射陰極を動作させるのみで、電流
変動の少ない安定した電子放射を得るように熱電界放射
陰極を設定することができるという知見を得て、本発明
に至ったものである。
【0011】本発明は、上記したとおりに、熱電界放射
陰極の放射電流から得られるS/N比が温度依存性を有
し、特定のチップ温度(従って、特定のフィラメント電
流値に対応する)で極大値をとるという新しい知見に基
づいている。図1は、本発明者が得たデータの一部であ
り、所定の角電流密度を得るようにフィラメント電流と
引き出し電圧とを変えたときに、プローブ電流から得ら
れるS/N比が温度依存性を有し、フィラメント電流値
に対して、極大値をとることが明かである。
陰極の放射電流から得られるS/N比が温度依存性を有
し、特定のチップ温度(従って、特定のフィラメント電
流値に対応する)で極大値をとるという新しい知見に基
づいている。図1は、本発明者が得たデータの一部であ
り、所定の角電流密度を得るようにフィラメント電流と
引き出し電圧とを変えたときに、プローブ電流から得ら
れるS/N比が温度依存性を有し、フィラメント電流値
に対して、極大値をとることが明かである。
【0012】一般的に熱電界放射陰極において、真空度
が低下すると吸着ガス分子の陰極表面移動によりノイズ
が増大する。従って、ある程度以上の真空度を確保する
必要があるが、チップ温度が低い場合、ごく希に吸着し
たガスの再脱離がしにくくなり、同様の理由によりノイ
ズが増大する。フィラメント温度の高い領域でノイズが
増大する機構は明らかではない。
が低下すると吸着ガス分子の陰極表面移動によりノイズ
が増大する。従って、ある程度以上の真空度を確保する
必要があるが、チップ温度が低い場合、ごく希に吸着し
たガスの再脱離がしにくくなり、同様の理由によりノイ
ズが増大する。フィラメント温度の高い領域でノイズが
増大する機構は明らかではない。
【0013】本発明者は、前記知見に基づくときに、所
定の角電流密度において、電流変動の少ない動作を得る
フィラメント電流値を、ノイズ測定することにより比較
的短時間で決定することができることを見出し、本発明
に至ったものである。即ち、前記ノイズ測定結果より、
その極大値を示すフィラメント電流値に設定することの
みで、熱電界放射陰極の動作条件を定めることができ
る。本発明に拠れば、フィラメント電流値をS/N比の
観点から最適化できるため、チップ温度を確認する必要
がなく、放射温度計で温度測定を行う必要がなく、温度
測定用の窓がない装置においても、最適化を図ることが
可能となる。
定の角電流密度において、電流変動の少ない動作を得る
フィラメント電流値を、ノイズ測定することにより比較
的短時間で決定することができることを見出し、本発明
に至ったものである。即ち、前記ノイズ測定結果より、
その極大値を示すフィラメント電流値に設定することの
みで、熱電界放射陰極の動作条件を定めることができ
る。本発明に拠れば、フィラメント電流値をS/N比の
観点から最適化できるため、チップ温度を確認する必要
がなく、放射温度計で温度測定を行う必要がなく、温度
測定用の窓がない装置においても、最適化を図ることが
可能となる。
【0014】更に本発明者は、前記の方法で定めた動作
条件で熱電界放射陰極を動作させるとき、従来方法に比
べて非常に短時間で、従来法法と同じ動作条件に達する
ことができるという知見を得て、本発明に至ったもので
ある。即ち、本発明に拠れば、従来は数十時間掛けて行
われていた熱電界放射陰極の動作条件の設定作業が、2
〜3時間程度ででき、熱電界放射陰極を有する電子銃利
用機器の稼働率を著しく向上できるという効果が得られ
る。
条件で熱電界放射陰極を動作させるとき、従来方法に比
べて非常に短時間で、従来法法と同じ動作条件に達する
ことができるという知見を得て、本発明に至ったもので
ある。即ち、本発明に拠れば、従来は数十時間掛けて行
われていた熱電界放射陰極の動作条件の設定作業が、2
〜3時間程度ででき、熱電界放射陰極を有する電子銃利
用機器の稼働率を著しく向上できるという効果が得られ
る。
【0015】更に本発明者は、熱電界放射陰極を有する
電子ビーム機器において、前記動作条件の設定方法を予
め搭載することにより、特にプローブ電流の安定性が要
求される高分解能電子顕微鏡、電子ビームテスタ、ウエ
ハ検査装置において、交換時のカソード自身のバラツキ
や搭載時の電極部品の微妙なずれが起きても、その都度
安定な動作条件を容易に設定できる装置を提案し、提供
するものである。
電子ビーム機器において、前記動作条件の設定方法を予
め搭載することにより、特にプローブ電流の安定性が要
求される高分解能電子顕微鏡、電子ビームテスタ、ウエ
ハ検査装置において、交換時のカソード自身のバラツキ
や搭載時の電極部品の微妙なずれが起きても、その都度
安定な動作条件を容易に設定できる装置を提案し、提供
するものである。
【0016】前記装置についてその熱電界放射陰極が、
軸方位が<100>からなるタングステン単結晶ニード
ルに、ジルコニウム及び酸素からなる被覆層を設けてな
るものである場合、特に有効である。
軸方位が<100>からなるタングステン単結晶ニード
ルに、ジルコニウム及び酸素からなる被覆層を設けてな
るものである場合、特に有効である。
【0017】
【実施例】[実施例]電子ビーム機器の一例として電子
顕微鏡に用いる熱電界放射陰極を以下の手順で作製し
た。まず絶縁碍子の金属支柱にフィラメントとしてタン
グステンワイヤーを溶接固定した後、タングステン単結
晶ニードルをタングステンワイヤーに溶接固定し、電解
研磨法によりタングステン単結晶ニードルの先端を尖ら
せた後、約1500℃に加熱し、ジルコニウムと酸素か
らなる被覆層を設けた熱電界放射陰極を作製した。この
熱電界放射陰極にサプレッサ電極をネジで固定、一体化
して熱電界放射電子銃を作製した。
顕微鏡に用いる熱電界放射陰極を以下の手順で作製し
た。まず絶縁碍子の金属支柱にフィラメントとしてタン
グステンワイヤーを溶接固定した後、タングステン単結
晶ニードルをタングステンワイヤーに溶接固定し、電解
研磨法によりタングステン単結晶ニードルの先端を尖ら
せた後、約1500℃に加熱し、ジルコニウムと酸素か
らなる被覆層を設けた熱電界放射陰極を作製した。この
熱電界放射陰極にサプレッサ電極をネジで固定、一体化
して熱電界放射電子銃を作製した。
【0018】図2に実施例に用いた電子顕微鏡の中で本
発明にかかわる電子放射部及びS/N比計測部を模式的
に示す。ニードル1及びフィラメント2よりなる前記熱
電界放射陰極を、フィラメント加熱電源5により通電加
熱する。ニードル先端部に引き出し電極4により電界を
印加し、電子放射を行う。ニードル1先端部以外の部分
から放射する電流をカットするためにサプレッサ電極3
にバイアス電源6により負の電位を印加する。放出され
た電子はコンデンサレンズ9及び対物レンズ10により
収束され、試料台中央に設けられたアパーチャー11を
通過したものが、プローブ電流としてカップ状電極12
により受けられる。その先に連結された電流の増幅と電
圧出力への変換を目的とした電流アンプを介して、スペ
クトルアナライザとして広く用いられるFFTアナライ
ザ14により、S/N測定を行う。
発明にかかわる電子放射部及びS/N比計測部を模式的
に示す。ニードル1及びフィラメント2よりなる前記熱
電界放射陰極を、フィラメント加熱電源5により通電加
熱する。ニードル先端部に引き出し電極4により電界を
印加し、電子放射を行う。ニードル1先端部以外の部分
から放射する電流をカットするためにサプレッサ電極3
にバイアス電源6により負の電位を印加する。放出され
た電子はコンデンサレンズ9及び対物レンズ10により
収束され、試料台中央に設けられたアパーチャー11を
通過したものが、プローブ電流としてカップ状電極12
により受けられる。その先に連結された電流の増幅と電
圧出力への変換を目的とした電流アンプを介して、スペ
クトルアナライザとして広く用いられるFFTアナライ
ザ14により、S/N測定を行う。
【0019】S/N比の測定は、5×10-8Paの真空
中で、フィラメント電流を2.0から2.5Aまで徐々
に上げながら、その都度、角電流密度が250μA/s
rになるように引き出し電圧を調整して行った。尚、サ
プレッサ電極にはバイアス電圧として500V印加し
た。
中で、フィラメント電流を2.0から2.5Aまで徐々
に上げながら、その都度、角電流密度が250μA/s
rになるように引き出し電圧を調整して行った。尚、サ
プレッサ電極にはバイアス電圧として500V印加し
た。
【0020】<S/N比の測定>S/N測定は、カップ
状電極で受けたプローブ電流を電流アンプ(ケースレー
社製)を介してFFTアナライザ(菊水電子工業社製)
によりパワースペクトラムに変換して行った。測定条件
は、分析周波数レンジを1kHz(フレームタイム;2
00ms、サンプリング;512ポイント)としてオー
バーオール値を全体の信号量とし、バンド幅300Hz
(100〜400Hz)における実効値をノイズ量とし
てS/N比に換算した。
状電極で受けたプローブ電流を電流アンプ(ケースレー
社製)を介してFFTアナライザ(菊水電子工業社製)
によりパワースペクトラムに変換して行った。測定条件
は、分析周波数レンジを1kHz(フレームタイム;2
00ms、サンプリング;512ポイント)としてオー
バーオール値を全体の信号量とし、バンド幅300Hz
(100〜400Hz)における実効値をノイズ量とし
てS/N比に換算した。
【0021】各フィラメント電流設定時におけるプロー
ブ電流のS/N比を図1に示す。これより、グラフ上も
しくはパソコンなどによる曲線近似を行い、極大値を算
出した結果、フィラメント電流は2.34Aであった。
尚、本設定時におけるチップ温度を放射温度計により測
定したところ、1772Kであった。また、最適化に所
要した時間は約2時間であった。
ブ電流のS/N比を図1に示す。これより、グラフ上も
しくはパソコンなどによる曲線近似を行い、極大値を算
出した結果、フィラメント電流は2.34Aであった。
尚、本設定時におけるチップ温度を放射温度計により測
定したところ、1772Kであった。また、最適化に所
要した時間は約2時間であった。
【0022】S/N比の極大値を求める別の方法とし
て、フィラメント電流の設定条件をまず低め(例えば
2.0A)と高め(例えば2.5A)の2点を選び、そ
れぞれの設定に対して、前述した方法によりS/N比を
測定する。さらにその中間の電流値で同様にS/N比を
測定し、この3点の内、S/N比が大きい方から2点選
び、その中間のS/N比を測定する。この作業を繰り返
すことにより、S/N比が極大となるフィラメント電流
値を求めることができる。この手順に従えば、マニュア
ルで容易に実施でき、またAD変換器・パソコン・DA
変換器などを組み合わせれば自動的に実施することも可
能である。
て、フィラメント電流の設定条件をまず低め(例えば
2.0A)と高め(例えば2.5A)の2点を選び、そ
れぞれの設定に対して、前述した方法によりS/N比を
測定する。さらにその中間の電流値で同様にS/N比を
測定し、この3点の内、S/N比が大きい方から2点選
び、その中間のS/N比を測定する。この作業を繰り返
すことにより、S/N比が極大となるフィラメント電流
値を求めることができる。この手順に従えば、マニュア
ルで容易に実施でき、またAD変換器・パソコン・DA
変換器などを組み合わせれば自動的に実施することも可
能である。
【0023】
【発明の効果】本発明によれば、短時間でノイズの少な
い動作条件を求めることができ、しかも長期間安定した
エミッションが容易に確保できる。ことに、チップ温度
を確認することができないタイプの装置においても、フ
ィラメント温度を知ることなくフィラメント電流値を制
御して、短時間でノイズの少ない動作条件を求めること
ができ産業上非常に有用である。
い動作条件を求めることができ、しかも長期間安定した
エミッションが容易に確保できる。ことに、チップ温度
を確認することができないタイプの装置においても、フ
ィラメント温度を知ることなくフィラメント電流値を制
御して、短時間でノイズの少ない動作条件を求めること
ができ産業上非常に有用である。
【図1】フィラメント電流値とプローブ電流のS/N比
との関係を示す図。
との関係を示す図。
【図2】プローブ電流のS/N比測定回路の模式図。
1 :ニードル 2 :フィラメント 3 :サプレッサー電極 4 :引き出し電極 5 :フィラメント加熱電源 6 :バイアス電源 7 :高圧電源 8 :全放射電流測定用電流計 9 :コンデンサレンズ 10:対物レンズ 11:アパーチャー 12:カップ状電極 13:電流アンプ 14:FFTアナライザ
Claims (6)
- 【請求項1】フィラメント電流を変えながらプローブ電
流のS/N比を測定し、前記S/N比が極大となるフィ
ラメント電流を定めることを特徴とする熱電界放射陰極
の動作条件の設定方法。 - 【請求項2】前記熱電界放射陰極が、軸方位が<100
>からなるタングステン単結晶ニードルに、ジルコニウ
ム及び酸素からなる被覆層を設けてなることを特徴とす
る請求項1記載の熱電界放射陰極の動作条件の設定方
法。 - 【請求項3】請求項1記載の設定方法で定められたフィ
ラメント電流に保持し、動作させることを特徴とする熱
電界放射電極の動作方法。 - 【請求項4】前記熱電界放射陰極が、軸方位が<100
>からなるタングステン単結晶ニードルに、ジルコニウ
ム及び酸素からなる被覆層を設けてなることを特徴とす
る請求項3記載の熱電界放射陰極の動作方法。 - 【請求項5】熱電界放射陰極と、制御電極と、引き出し
電極と、前記引き出し電極を通過する電子ビームのプロ
ーブ電流を受ける電極を含む電子ビーム利用機器におい
て、前記プローブ電流のS/N比を測定することが可能
なスペクトルアナライザを有し、フィラメント電流を変
えながらプローブ電流のS/N比を前記スペクトルアナ
ライザにより測定し、前記S/N比が極大となるフィラ
メント電流を定めることを特徴とする熱電界放射陰極の
動作条件の設定が可能な電子ビーム利用機器。 - 【請求項6】前記熱電界放射陰極が、軸方位が<100
>からなるタングステン単結晶ニードルに、ジルコニウ
ム及び酸素からなる被覆層を設けてなることを特徴とす
る請求項5記載の電子ビーム利用機器。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001347248A JP2002216687A (ja) | 2000-11-17 | 2001-11-13 | 熱電界放射陰極の動作条件設定方法とそのための装置 |
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000350598 | 2000-11-17 | ||
JP2000-350598 | 2000-11-17 | ||
JP2001347248A JP2002216687A (ja) | 2000-11-17 | 2001-11-13 | 熱電界放射陰極の動作条件設定方法とそのための装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002216687A true JP2002216687A (ja) | 2002-08-02 |
Family
ID=26604141
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2001347248A Pending JP2002216687A (ja) | 2000-11-17 | 2001-11-13 | 熱電界放射陰極の動作条件設定方法とそのための装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002216687A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004073010A1 (ja) * | 2003-02-17 | 2004-08-26 | Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | 電子銃 |
JP2008047309A (ja) * | 2006-08-11 | 2008-02-28 | Hitachi High-Technologies Corp | 電界放出型電子銃、およびその運転方法 |
-
2001
- 2001-11-13 JP JP2001347248A patent/JP2002216687A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2004073010A1 (ja) * | 2003-02-17 | 2004-08-26 | Denki Kagaku Kogyo Kabushiki Kaisha | 電子銃 |
JPWO2004073010A1 (ja) * | 2003-02-17 | 2006-06-01 | 電気化学工業株式会社 | 電子銃 |
JP2008047309A (ja) * | 2006-08-11 | 2008-02-28 | Hitachi High-Technologies Corp | 電界放出型電子銃、およびその運転方法 |
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A02 | Decision of refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20040105 |