JP2002210466A - 排水量を削減した電解水生成方法及び装置 - Google Patents

排水量を削減した電解水生成方法及び装置

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JP2002210466A JP2001007508A JP2001007508A JP2002210466A JP 2002210466 A JP2002210466 A JP 2002210466A JP 2001007508 A JP2001007508 A JP 2001007508A JP 2001007508 A JP2001007508 A JP 2001007508A JP 2002210466 A JP2002210466 A JP 2002210466A
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Toshiro Shimofusa
房 敏 郎 下
Noritaka Nishitani
谷 典 孝 西
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Abstract

(57)【要約】 【課題】最近塩化ナトリウム水溶液の電解法による殺菌
性電解水製造装置の大型化に伴い、副生する大量のアル
カリ性排液の処理が問題となっている。これは電解に使
用される水溶液使用量の減少、装置の小型化による効率
化の他、排出するアルカリ液量の減少及び中和処理等の
環境上の問題があり、これらの課題を解決することがで
きる殺菌性電解水の製造方法及び装置の開発が急務とな
っている。 【解決手段】ナトリウム及び/ またはカリウムの塩化物
の水溶液を、隔膜として陽イオン交換膜を備えた電解槽
の陽極側に供給して電気分解する工程において、電解槽
の陰極側に生成するアルカリ液を濃縮された状態に保持
することよってアルカリ液の排出量を減少せしめ、陰極
側のアルカリ液排出量に較べて陽極側から多量の次亜塩
素酸を含有する電解水を取り出すことを特徴とする、次
亜塩素酸を含有する電解水の製造方法である。

Description

【発明の詳細な説明】 【発明が属する技術分野】
【0001】本発明は、殺菌性を有する電解水の製造方
法及び製造装置に関するもので、更に詳しく述べると、
ナトリウム及び/ またはカリウムの塩化物水溶液を電気
分解することにより、次亜塩素酸を含有した殺菌効果の
高い電解水を製造する方法及び装置である。ここで電解
槽は隔膜として陽イオン交換膜を備え、塩化物水溶液を
電解槽の陽極側に供給し、陰極側に生成するアルカリ液
を濃縮された状態に保持することによって、陰極側から
のアルカリ性排出液の量を減少することができる方法で
ある。この方法は大型の電解水製造装置や大量に電解水
を使用するプール、病院等の公共施設の衛生・殺菌、食
品工業における衛生・殺菌分野等に広く適用可能であ
り、水の使用量並びにアルカリ性排出液量を削減し、ラ
ンニングコストを低減することができる。
【0002】
【従来の技術】近年隔膜式電解法で製造される電解水の
強力な殺菌性能に着目した用途開発も着実に進展し、装
置の大型化も積極的に検討されつつある。しかしその反
面では、大量の強アルカリ排水が発生するため後処理に
伴う装置のランニングコストや環境保全の観点からの問
題点が指摘されている。特開平2-111708号等には、塩化
ナトリウム水溶液を電気分解して種々な pH を有する次
亜塩素酸水溶液が得られる殺菌水が開示され、生成され
た電解水の有効性に関する評価がなされている。しかる
に陰極側から発生するアルカリ液の有効な処理法は記載
されていない。
【0003】特開平6-55174 号には、電解槽から発生す
るアルカリ排水を常時取り出す必要がない小型卓上型電
解槽が開示されている。この方法は小型の電解槽では有
効かもしれないが、使用量、使用時間によっては排水量
の大幅な削減とはならないという問題点が残されてい
る。しかも得られる電解水の性状が変動するため適用で
きない用途も多い。
【0004】特開平10-128331 号にはアノード電極が隔
膜に接して設けられた構造を有する電解槽が開示され、
排水を削減できるものであるが、電解質の濃度不均一や
陰極側への不純物蓄積によるイオン透過率の低下などの
問題点がある。また、特開平11-253943 号に開示されて
いる電解水生成装置は、煩雑なシステムからなる構成の
ためコストが嵩み経済性が乏しく、特開平2000-51857号
には電解槽の陽極側にガスの通過を防止するフィルター
を設けた電解水生成装置が開示されているが、大量の殺
菌水製造には適用できない。また特開平2000-117253 号
には電解水供給装置における次亜塩素酸濃度管理方法が
開示されているが、得られた電解水の殺菌力が低く、殺
菌性持続時間も短いため適用できない使用分野も多い。
【0005】前述の様に隔膜式電解法によって殺菌性を
有する次亜塩素酸を含む電解水を生成する多くの方法が
開示されているが、最近環境上の観点から特に問題とな
っている、電解槽の陰極側に生成するアルカリ液の生成
量を抑制する方法が解決されたとは言い難い状況にあ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】最近塩化ナトリウム水
溶液の電解法による殺菌性電解水製造装置の大型化に伴
い、副生する大量のアルカリ性排液の処理が問題となっ
ている。これは電解に使用される水溶液使用量の減少、
装置の小型化による効率化の他、排出するアルカリ液量
の減少及び中和処理等の環境上の問題があり、これらの
課題を解決することができる殺菌性電解水の製造方法及
び装置の開発が急務となっている。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者等は塩化ナトリ
ウム水溶液等のアルカリ金属の塩化物水溶液を、隔膜電
解槽で電気分解して殺菌性を有する次亜塩素酸含有液を
生成させる時、隔膜として陽イオン交換膜を使用してそ
の陽イオン選択透過性を利用すれば、ナトリウムイオン
等陽イオンのみを選択的に隔膜を透過させることがで
き、陰イオンの通過が抑制されるため、陰極側にはアル
カリ液が濃縮された状態に保持された状態で電解するこ
とができることに着目した。そこでこれらの塩化物水溶
液を電解槽の陽極側に供給すれば、陽極側に生成した次
亜塩素酸を含有する電解水は濃縮されないそのままの濃
度で系外に取り出されるが、陰極側に生成するアルカリ
液の排出量を減少させれば陰極側のアルカリ液は濃縮さ
れた状態となり、アルカリ液の排出量を減少させること
が可能となることを見出した。
【0008】更に、陰極側にアルカリ液を濃縮させた場
合の濃縮度合いと電解電流効率及び、陽極側及び陰極側
の生成液の組成等について検討した結果、アルカリ金属
の塩化物水溶液を電解する場合には陽極側から取り出す
次亜塩素酸含有液に対して、陰極側のアルカリ液排出量
を 1/20 から 1/80 程度に減少しても電流効率等が殆低
下せず安定した状態で電解ができることを見出した。こ
れらの知見に基づいて本発明に到達した。
【0009】すなわち、ナトリウム及び/ またはカリウ
ムの塩化物の水溶液を、隔膜として陽イオン交換膜を備
えた電解槽の陽極側に供給して電気分解する工程におい
て、電解槽の陰極側に生成するアルカリ液を濃縮された
状態に保持することよってアルカリ液の排出量を減少せ
しめ、陰極側のアルカリ液排出量に較べて陽極側から多
量の次亜塩素酸を含有する電解水を取り出すことを特徴
とする、次亜塩素酸を含有する電解水の製造方法であ
る。
【0010】前記において電解槽の陰極側から取り出さ
れた電解液を、再び該電解槽の陰極側に循環させる次亜
塩素酸を含有する電解水の製造方法及び、電解槽に供給
されるアルカリ金属の塩化物水溶液が、pH8以上であり
且つpH13以下に調整されている場合、更に、電解槽への
供給液がpH8以上であり且つpH13以下に調整され、該電
解槽の陽極側から取り出される電解液がpH6以上であり
且つpH7以下とする、次亜塩素酸を含有する電解水の製
造方法及びその様に構成された製造装置も本発明に含ま
れている。
【0011】前記の製造方法及び装置の陰極側より排出
されたアルカリ液は、陽極槽への供給水に混合して金属
塩化物水溶液のpHをアルカリ性にしたり、或いは陽極槽
から得られる殺菌性を有する次亜塩素酸水溶液のpHを中
性にするために使用することができる。次亜塩素酸水溶
液はpHをほぼ中性にすることによって一層殺菌用に適し
た性状となる。
【0012】本発明において原料として使用されるアル
カリ金属の塩化物を溶解するために使用する水は特に限
定しないが、イオン交換水がより好ましい。また殺菌性
を有する電解水とは、電気分解によって得られた次亜塩
素酸を含む水溶液で殺菌作用を有する水を指している。
以下、本発明について詳しく説明する。
【0013】本発明の殺菌性を有する電解水の製造方法
においては、原料としてナトリウム及び/ またはカリウ
ムの塩化物水溶液を使用する必要がある。また、本発明
の殺菌性を有する電解水は塩化ナトリウム水溶液等、ア
ルカリ金属の塩化物水溶液のみから容易に得られること
が、本発明の特徴の一つである。
【0014】塩化ナトリウムまたは塩化カリウム水溶液
の濃度は特に限定しないが2〜30%が好ましい。2%以
下に低下すると陰極から塩素ガスが発生し更に、酸素も
発生して電極を消耗させる原因となるからである。ま
た、電気抵抗も高くなって電流効率が低下する。塩化ナ
トリウム水溶液の濃度が2〜30%の範囲内であれば、電
解における塩素の電流効率を 95 %以上に保持すること
ができ、電力を有効に使用できるからである。
【0015】また、用いる電解水によっては電解工程に
おいてしばしば電解槽の陰極に水酸化カルシウムが析出
するため、電解電流が低下して安定した次亜塩素酸溶液
の生成が阻害される場合がある。そのため原料としてア
ルカリ金属塩化物の水溶液を調整する場合、イオン交換
水のみで溶解すれば水酸化カルシウムが析出するおそれ
がないため好ましい。
【0016】本発明の次亜塩素酸を含有する電解水の製
造方法及び装置では、隔膜として陽イオン交換膜を備え
た電解槽を使用する必要がある。陽イオン交換膜は陽イ
オンの選択透過性を有し、陰イオンの通過を阻止する作
用を有するためである。尚、陽イオン交換膜の材質は特
に限定しないが、残留塩素成分に対して強い耐性を有す
るフッ素系陽イオン交換膜の使用が好ましく、隔膜寿命
の延長、電気抵抗の低減等の効果が得られる。例えば、
デュポン社製「ナフィオン」等が使用可能である。前述
の様に陽イオン交換膜は陽イオンのみを選択的に透過さ
せ、陰イオンの通過を抑制するために使用されるもので
あるが、薄い皮膜状の交換膜ではこの作用が充分でない
場合もある。このため電解槽の隔膜として陽イオンの選
択透過性を一層高めて陰イオンの通過を抑制し、且つ電
気抵抗の増加を抑えた、厚みがあり多孔性を有する態様
の陽イオン交換膜または陽イオン交換層も本発明に含ま
れている。
【0017】更に、電解槽への供給液としては前述の様
にナトリウム及び/ またはカリウムの塩化物水溶液を使
用する必要がある。陽極側へ注入されたこれらの金属塩
化物の水溶液中に含まれている、解離されたナトリウム
イオン等の陽イオンは電解槽中で陽イオン交換膜を透過
して陽極側から陰極側へ移動することが可能である。し
かし、陰イオンは陽イオン交換膜によって陽極側から陰
極側への透過が抑制される。
【0018】このためアルカリ金属の塩化物水溶液の陽
極側への供給と陽イオン交換膜の陽イオン選択透過性と
が相まって、陰極側に生成したアルカリ性溶液の排出量
を抑制すると、陰極側に生成した陰イオンのみが蓄積さ
れアルカリ液が濃縮される。このため陽極側で生成され
た次亜塩素酸を含有する電解水の取り出し量に較べて、
陰極側に生成したアルカリ液排出量を著しく抑制できる
ことが本発明の最も大きな特徴である。
【0019】本発明においては電解槽の陰極側から取り
出された、電解液を再び該電解槽の陰極側に循環させる
こともできる。この循環系には要すればアルカリ液貯蔵
槽を設けて、アルカリ液中に含まれる水素ガスの分離を
促進すると共に循環液の一部を系外に取り出すことも可
能である。アルカリ液を循環させることは循環させない
場合と較べて、アルカリ液の濃度分布が均一化される、
また電極表面に発生した水素ガスが効率的に除去される
等の作用により、電解条件が安定しその結果性状の安定
した殺菌水が得られる。更に循環系に冷却器を設けて電
解槽の温度を適正に制御することによって、電流効率を
向上させることができる。
【0020】またアルカリ金属の塩化物水溶液を電解槽
に供給する場合、予め水溶液のpHを8以上であり且つ13
以下に調整しておく方法も本発明に含まれている。pHが
高い塩化物水溶液を電解槽へ供給して電解すれば、陽極
側に生成する次亜塩素酸を含有する電解水のpHがほぼ中
性領域に入る様に調節することができる。この様な電解
条件で得られた陽極側からの取出液は、そのまま或いは
水で希釈すれば殺菌用に適した性状になるため好まし
い。
【0021】殺菌性を有する電解水の pH は特に限定し
ないが、6.0 以上、7.5 以下が好ましい。電解水の酸性
が高くなりpHが 3.5ぐらい迄低下すると、手を洗う時そ
の周辺の空気中から微量の塩素ガスが検出され、塩素ガ
スの臭気がかなり感じられる様になる。細菌の培養試験
では pH が低い電解水は pH が高いものに較べて強い殺
菌作用を示すが、怪我をした指を洗浄する時には痛みが
感じられる。 pH が中性領域の電解水も培養試験では充
分に高い殺菌効果を示すとともに、洗浄に使用する時塩
素ガスは検出されず、官能試験でも塩素ガスの臭気が殆
ど感じられないかまたはほんの僅か感じられる程度であ
る。
【0022】その他、酸性の殺菌性電解水は嗽をした場
合には苦味がかなり感じられ、また、常温で放置した場
合有効塩素濃度が急速に低下して殺菌性が低下すること
が認められる。一方、pHが 8.5ぐらいになると塩素ガス
の臭気は殆ど感じられないが、培養試験による殺菌効果
がやや低下する傾向が認められ、怪我の部分を洗浄した
時の痛み、嗽の時の苦味等が感じられる様になる。pHが
更に上昇すると培養試験による殺菌性が次第に低下す
る。
【0023】その他、殺菌性電解水の金属に対する腐食
性は中性付近では水道水よりやや高い程度であるが、酸
性がかなり高い場合(pH 3.5程度)は高い腐食性を示
す。これらの点から pH が6以上であり、7以下の範囲
内においては、殺菌性も高く塩素ガスの臭気も殆ど感じ
られず、洗浄に使用した場合傷の痛み嗽の苦味等の刺激
性がなく、常温でかなりの期間放置しても殺菌性が低下
しないため、殺菌性を有する電解水として使用するのに
適している。
【0024】前記と同様な趣旨でアルカリ金属の塩化物
水溶液を電解槽に供給する場合、予め水溶液のpHを8以
上であり且つ13以下に調整し、電解槽の陽極側から取り
出される電解液のpHを6以上であり且つ7以下とする電
解水の製造方法も本発明に含まれている。次亜塩素酸を
含有する電解槽の陽極側からの取り出し液のpHをほぼ中
性領域に保持させることによって、殺菌用にそのまま使
用できる電解水を得ることができるためである。
【0025】その他、電解槽の陽極側から取り出される
次亜塩素酸水溶液のpHは、通常の電解条件ではかなり低
い値となる。次亜塩素酸水溶液を殺菌用に適したpHが6
以上であり且つ7以下に調整するため、電解槽の陰極側
からのアルカリ液を加える方法も本発明に含まれてい
る。陰極側からのアルカリ液を陽極側から取り出される
次亜塩素酸水溶液の中和用に使用することにより、この
電解系における陽極側から取り出される次亜塩素酸水溶
液に対して、系外に排出される陰極側に生成したアルカ
リ液排出量の比率を一層低下させることができる。
【0026】電解槽の陰極側においてアルカリ液を濃縮
できる限界については、例えば、塩化ナトリウム水溶液
を原料として用いた場合は、溶液の濃度や電解条件に依
存するので一概に言えないが、殺菌性電解水の製造量に
対して、循環液として使用した陰極側のアルカリ液排出
量がおおむね 1/20 から 1/80 程度迄減少させることが
可能である。この程度の濃縮度に達すると水酸化ナトリ
ウムの結晶がアルカリ水貯水槽に析出し始め、殺菌性電
解水の性状の変動や電解電流の変動が大きくなる傾向に
あるため、この様な状態に達した時点が限界と考えられ
る。排出されるアルカリ液は通常中和処理後放出される
が従来の排水量に比べ大幅に削減することができる。
【0027】次亜塩素酸水溶液生成量に対して系外に排
出されるアルカリ液量の具体的な比率は、後述の実施例
に示す様に 1/30(実施例1) 、1/60 (実施例2) 及び 1
/80 (実施例3) と著しく低い比率に抑えることが可能
となる。通常陰極側からの排出液は中和処理後廃棄され
るが、処理量が少なくなるためこれらの後処理が著しく
容易となる。これが本発明の最も大きな効果の一つであ
る。尚、実施例は何れも回分操作について示したもので
あるが、その内容から明らかな様に連続操作も可能であ
る。
【0028】また好ましくは、一部のアルカリ液を陽極
槽入口及び/ または出口に適宜供給し、得られる電解水
のpHを6から7に調整するために使用することが可能で
あり、アルカリ液排出量を一層減少させることができ
る。また、一部のアルカリ液をアルカリ金属の塩化物水
溶液槽に供給することによっても同様な効果が得られ
る。これらの方法によっても、系外へのアルカリ液排出
量を減少することが可能であり、経済性及び環境へ寄与
することができる。
【0029】本発明の方法によって得られた電解水は高
い殺菌性を有し、しかも使用後環境を害する分解生成物
が全く発生しない特徴を有するものである。また電解水
の原料もナトリウム及び/ またはカリウムの塩化物水溶
液を使用するのみで有害な薬剤は全く使用されていな
い。
【0030】図1に本発明の電解水製造装置の一様態の
フローシートを示す。本発明における殺菌性電解水の生
成装置は、次亜塩素酸を含む電解水生成ブロック16、ア
ルカリ液循環ブロック17、次亜塩素酸を含む電解水の濃
度調整ブロック18の3つの部分からなっている。電解水
生成ブロック16ではナトリウム及び/ またはカリウムの
塩化物水溶液1が、隔膜式電解槽4の陽極側に供給され
て電解される。電解槽陽極側への供給液には陰極側から
排出されたアルカリ水の一部が混合され、pHを高めて電
解槽へ供給することもできる。電解槽には隔膜として陽
イオン交換膜が使用されている。陽イオン交換膜は陽イ
オンの選択透過性を有し、陰イオンの通過を抑制する作
用を有するためである。電解によって陽極側には次亜塩
素酸を含有し、有効塩素濃度が10000 〜30000 ppm を含
み、pHが2〜8の電解水が生成される。
【0031】陽極側から殺菌性を有する次亜塩素酸を含
有する電解水が取り出される。電解水は濃度調整ブロッ
ク18においてその使用目的に応じ、水道水等の浄水15で
希釈されて使用に供される。電解槽4の隔膜には陽イオ
ン交換膜が使用されている。陽イオン交換膜は陽イオン
のみを選択的に透過させ、陰イオンの通過を抑制するた
めに使用されるものであるが、薄い皮膜状の交換膜では
この作用が充分でない場合もある。このため電解槽の隔
膜として陽イオンの選択透過性を高め陰イオンの通過を
抑制し、且つ電気抵抗の増加を抑えた、厚みがあり多孔
性を有する態様の陽イオン交換膜または陽イオン交換層
も本発明では有効に使用できる。
【0032】陽極側へ供給されたアルカリ金属塩化物の
水溶液中に含まれている、解離されたナトリウムイオン
等の陽イオンは電解槽中で陽イオン交換膜を透過して陽
極側から陰極側へ移動することが可能である。しかし、
陰イオンは陽イオン交換膜によって陽極側から陰極側へ
の透過が抑制される。このため、電解槽の陰極側には濃
縮された水酸化ナトリウムまたは水酸化カリウム等の通
常pH 10 以上のアルカリ液が生成される。アルカリ液は
アルカリ液取出管7を通ってアルカリ液循環槽9に取り
出され、更にアルカリ液循環ポンプ3によって再び電解
槽へ循環される。
【0033】ここで、アルカリ液循環槽9からアルカリ
液の系外への排出量を抑制すれば、電解槽4の陰極側と
アルカリ液循環槽9との循環系において、陰極側に生成
した陰イオンのみが陰極側生成液の循環系に蓄積され
る。すなわち、アルカリ液が濃縮された状態で保持され
る。このため陽極側で生成された次亜塩素酸を含有する
電解水の取り出し量に較べて、陰極側に生成したアルカ
リ液排出量を著しく減少させることができる。
【0034】運転の初期にはアルカリ液循環槽を空にし
ておき、所定量のアルカリ水が副生され貯蔵されてから
循環使用することも可能である。また陰極側の取出液中
には電解槽4で発生した水素ガスが含まれているが、循
環槽でアルカリ液を静置させることにより液中に含まれ
る水素ガスの分離・放出が促進される。アルカリ液を循
環槽9にそのまま放置した場合、気相部に蓄積される水
素ガスの濃度は0.1 〜10%となる。空気中の水素ガスの
濃度が4%以上になると爆発範囲に入るため、空気ブロ
アー13により外気を吹き込んで希釈し爆発限界外に保持
する必要がある。
【0035】
【発明の実施の形態】以下に実施例をあげて、本発明を
更に具体的に説明する。
【0036】(実施例1)塩化ナトリウム水溶液貯蔵槽
1及びアルカリ液循環槽9に、10%塩化ナトリウム水溶
液をそれぞれ 100リットル及び1リットル注入し、塩化
ナトリウム水溶液供給ポンプ2及びアルカリ液供給ポン
プ3によって、それぞれ100 ml/minの流量で隔膜式電解
槽4へ供給した。電解槽には電解用直流電源装置5から
供給された電圧を印加して電解電流 40 Aで電解した。
電解槽4の陽極側から電解水取出管6によって取り出さ
れた次亜塩素酸を含む電解水は、有効塩素濃度が20,000
ppm、pHは平均3.8 であった。また、陰極側からアルカ
リ液取出管7によってアルカリ液循環槽9に取り出され
たアルカリ液は、再びアルカリ液循環ポンプ3によって
電解槽に戻されて電解される様になっている。
【0037】最初に10%塩化ナトリウム水溶液1リット
ルをアルカリ水循環槽9に供給して電解を開始してか
ら、次亜塩素酸を含む電解水6を陽極側より安定した状
態で生成できた量は 30 リットルであった。30リットル
を越えて陰極側の液の水酸化ナトリウム濃度が約 16 %
程度になると、陰極側の液の粘度が増しアルカリ液循環
ポンプ3の流量が低下して電解電流もバラツキが見られ
始めた。この状態が陰極側のアルカリ液を循環使用でき
る限界と判断されたので、この時点でアルカリ液循環槽
9のアルカリ液1リットルを排出した。
【0038】(実施例2)実施例1の装置において、塩
化ナトリウム水溶液貯蔵槽1の10%塩化ナトリウム水溶
液を実施例1で得られた排出アルカリ水約 500 cc を加
えて pH 12.5に調整した。塩化ナトリウム水溶液に実施
例1と同様な条件で電気分解を行なった。その結果、電
解槽4の陽極側から取り出された次亜塩素酸を含む電解
水の有効塩素濃度は 20,000 ppm 、pHは平均 6.8であっ
た。
【0039】この運転においても陰極側のアルカリ液を
循環使用できる限界に達し、アルカリ液循環槽より陰極
側のアルカリ液1リットルを排出した時点における、陽
極側からの電解水生成量に対するアルカリ液排出量の比
率はほぼ1/ 30であった。しかし、実施例1で得られた
アルカリ排出液の半分を塩化ナトリウム水溶液のpH調整
用に使用した操作を、更なる殺菌水製造にも繰り返した
ので、系外に排出した陰極側のアルカリ液は 500 cc で
あった。従って、陽極側から取り出した次亜塩素酸を含
む電解水に対する比率は 1/60 となる。
【0040】(実施例3)実施例1の試験において、ア
ルカリ液循環槽9のアルカリ液をアルカリ液供給ポンプ
12によって、電解槽4の陽極側より取り出された次亜塩
素酸を含む電解水取出管6に2ml/minで注入して混合し
た。また、この試験では 2.5時間でアルカリ液循環槽に
水道水を300 ml添加した。その結果図2に示すように、
得られた電解水の有効塩素濃度は20,000 ppm、pHは 6.1
〜6.5 の範囲となって有効塩素成分を活性が高い次亜塩
素酸の状態に保つことが出来た。
【0041】この試験ではアルカリ液循環槽9のアルカ
リ液の pH が14を越えたあたりから、電解電流にバラツ
キが見られ、この状態が正常に電解できる限界と判断さ
れたので、この時点でアルカリ液循環槽のアルカリ液 7
50mlを排水した。尚、陽極側より取り出された電解水の
量は約 60 リットルであった。
【0042】(実施例4)実施例1において塩化ナトリ
ウムの代わりに塩化カリウムを用いた以外は、同様にし
て電解水を製造した。陽極槽から得られた電解水は、実
施例1とほぼ同様の性状を示し、最初アルカリ液循環槽
に1リットルの塩化カリウム溶液を供給した状態で電解
を開始してから、安定した状態で陽極側から取り出すこ
とができた次亜塩素酸水溶液の量は約 25 リットルであ
った。
【0043】(比較例)塩化ナトリウム水溶液貯蔵槽1
から10%塩化ナトリウム水溶液を電解槽へ100 ml/minで
供給し、陰極槽からのアルカリ液の排出を抑制せずにそ
のまま取り出した以外は、実施例1と同様にして陽極槽
からは次亜塩素酸水溶液を取り出した。その結果、陽極
側からの次亜塩素酸水溶液の取出量 30 リットルに対し
て、陰極側からのアルカリ液排出量は次亜塩素酸水溶液
の取出量とほぼ同量の 30 リットルであった。前記の実
施例1〜4及び比較例における次亜塩素酸を含む電解水
量の生成量、アルカリ液排出量及び、電解水量に対する
アルカリ液排出量の比率を表1に示す。
【0044】
【表1】
【0045】
【発明の効果】本発明は、殺菌性を有する電解水の製造
方法及び製造装置に関するもので、アルカリ金属の塩化
物水溶液の陽極側への供給と、陽イオン交換膜の陽イオ
ン選択透過性とが相まって、陰極側に生成したアルカリ
性溶液を濃縮することができる製造方法及び装置であ
る。このため陽極側で生成された次亜塩素酸を含有する
電解水の取り出し量に較べて、陰極側に生成したアルカ
リ液排出量を著しく減少できることが本発明の最も大き
な特徴である。この方法は大型の電解水製造装置や大量
に電解水を使用するプール、病院等の公共施設の衛生・
殺菌、食品工業における衛生・殺菌分野等に広く使用可
能であり、水の使用量並びにアルカリ性排出液量を削減
し、ランニングコストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電解水製造装置の一様態のフローシー
トを示す。
【符号の説明】
1 塩化ナトリウム水溶液貯蔵槽 2 塩化ナトリウム水溶液供給ポンプ 3 アルカリ液循環ポンプ 4 隔膜式電解槽 5 電解用直流電源装置 6 次亜塩素酸を含む電解水取出管 7 アルカリ液取出管 8 アルカリ液供給管 9 アルカリ液循環槽 10 空気送風管 11 逆止弁 12 アルカリ液供給ポンプ 13 空気ブロアー 14 水素ガス排気管 15 希釈用水の注入管 16 次亜塩素酸を含む電解水生成ブロック 17 アルカリ液循環ブロック 18 次亜塩素酸を含む電解水の濃度調整ブロック
【図2】
実施例3における電解槽の電解時
間と、陽極側から得られた次亜塩素酸水溶液の pH 及び
有効塩素濃度の推移を示す。
【符号の説明】
21 次亜塩素酸水溶液の pH 22 〃 〃 〃 の 有効塩素濃度(ppm)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C02F 1/76 C02F 1/76 A Fターム(参考) 4D050 AA04 AB06 BB06 BD04 CA10 4D061 DA03 DB10 EA02 EB01 EB04 EB13 EB39 ED12 ED13 FA08 GC05 GC18

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ナトリウム及び/ またはカリウムの塩化物
    の水溶液を、隔膜として陽イオン交換膜を備えた電解槽
    の陽極側に供給して電気分解する工程において、電解槽
    の陰極側に生成するアルカリ液を濃縮された状態に保持
    することによってアルカリ液の排出量を減少せしめ、陰
    極側のアルカリ液排出量に較べて陽極側から多量の次亜
    塩素酸を含有する電解水を取り出すことを特徴とする、
    次亜塩素酸を含有する電解水の製造方法及び装置。
  2. 【請求項2】該電解槽の陰極側から取り出されたアルカ
    リを含む電解液を、該電解槽の陰極側に循環して電解さ
    せる、請求項1記載の次亜塩素酸を含有する電解水の製
    造方法及び装置。
  3. 【請求項3】該電解槽に供給されるナトリウム及び/ ま
    たはカリウムの塩化物水溶液が、pH8以上であり且つpH
    13以下に調整されている、請求項1または2記載の次亜
    塩素酸を含有する電解水の製造方法及び装置。
  4. 【請求項4】該電解槽に供給されるナトリウム及び/ ま
    たはカリウムの塩化物水溶液が、pH8以上であり且つpH
    13以下に調整され、該電解槽の陽極側から取り出される
    電解液がpH6以上であり且つpH7以下である、請求項1
    または2記載の次亜塩素酸を含有する電解水の製造方法
    及び装置。
  5. 【請求項5】陽極槽で得られた次亜塩素酸を含有する電
    解水を、pHが6以上であり且つpH7以下に調整するた
    め、少なくともアルカリ液の一部として該電解槽の陰極
    側の循環液を使用する、請求項2乃至4のいずれかに記
    載の次亜塩素酸を含有する電解水の製造方法及び装置。
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