JP2002199877A - 酵素の可逆的な不活性化およびその酵素を含むキット - Google Patents

酵素の可逆的な不活性化およびその酵素を含むキット

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JP2002199877A
JP2002199877A JP2000364771A JP2000364771A JP2002199877A JP 2002199877 A JP2002199877 A JP 2002199877A JP 2000364771 A JP2000364771 A JP 2000364771A JP 2000364771 A JP2000364771 A JP 2000364771A JP 2002199877 A JP2002199877 A JP 2002199877A
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dna polymerase
ligase
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organic solvent
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Ariel Louwrier
アリエル・ロウリアー
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Advanced Biotechnologies Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 熱安定DNAポリメラーゼまたはリガーゼを
可逆的に不活性化するための方法を提供する。 【解決手段】 この方法は熱安定DNAポリメラーゼま
たはリガーゼの混合物をジカルボン酸無水物と反応させ
るステップを含み、この反応は乾燥したDNAポリメラ
ーゼまたはリガーゼを用いて無水の非プロトン性有機溶
媒中で行なわれ、ジカルボン酸無水物も実質的に無水で
あり、この反応の結果、酵素活性は本質的に完全に不活
性化する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の分野】この発明は、酵素を可逆的に不活性化す
るための方法に関し、特に、DNAポリメラーゼおよび
リガーゼを可逆的に不活性化するための方法に関する。
【0002】
【発明の背景】サーマス・アクアティカス(Thermus aq
uaticus)(Taq)から単離されたDNAポリメラーゼ
は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)において少量のD
NAおよびRNA(逆転写酵素とともにRT−PCRに
おいて)を増幅させるために大量に用いられる。この酵
素は熱安定性のタンパク質であるため、二本鎖DNAか
ら一本鎖DNAを作るために必要とされる熱変性に耐え
得るが、全く影響されないわけではない。
【0003】PCRプロセス自体は4つの異なる段階を
必要とする。第1に、一般的に92°−96℃において
2−4分間の初期DNA変性ステップがある。続いて別
の、短い変性ステップ(92°−96℃において10秒
間)があり、その後プライマ、すなわち一本鎖(変性)
DNAの相補的な範囲に非常に特異的にアニーリングす
るよう化学的に合成されたDNAの短いセグメントが、
変性されたDNAにアニーリングされる。最終段階は伸
長ステップであり、これは72℃において行なわれ、そ
の時間は合成しなければならないDNA鎖の長さに依存
する。後の3つの段階は20−30回繰返される。後の
3つの段階の各サイクルは所望のDNAフラグメントを
2倍量生産し、その結果PCR産物は指数関数的に増加
する(2 n、n=サイクル数)。
【0004】前述の4つの段階はすべて、適切に成し遂
げられるかどうかが正確な温度制御にかかっている。こ
れを達成するために、さまざまなサーモサイクラが商業
的に入手可能である。変性段階における温度制御は明ら
かに必須である。なぜなら温度が低すぎると必要な一本
鎖DNAの鋳型が十分量生成されないし、また酵素は9
4℃−95℃以上で迅速に不活性化するため、温度が高
すぎると酵素活性が破壊されるためである。同様に、ア
ニーリングステップ中の温度が低すぎるとプライマが非
特異的にDNAに結合し、その結果非特異的な産物が指
数関数的に増幅される。温度が高すぎるとプライマ−鋳
型のアニーリングが全く起こらず、産物が形成されな
い。最後に、72℃における伸長ステップは酵素にとっ
て最適であり、合成される産物の量が最大となる。した
がってその最適温度からのばらつきは、明らかにPCR
産物の収量を減少させる。
【0005】プライマの設計を支援するための精巧なコ
ンピュータパッケージが入手可能であり、市販のサーモ
サイクラにおいて高レベルの温度制御が可能であるにも
かかわらず、非特異的なプライマのアニーリングの問題
は続いている。その主要な原因は、反応物が混ぜ合せら
れるときの温度が最適でなく、プライマ−鋳型のアニー
リングを助長することにある。その後第1の変性温度に
達するまでの経過時間において、少量の非特異的アニー
リングおよび伸長が起こり、結局は非特異的な産物形成
の混入という結果になる。
【0006】この問題を軽減するために目下利用可能な
いくつかのアプローチは労力、費用および時間がかかる
ものである。これらの「ホットスタート」法は、手動
で、またはロウを用いることにより、アニーリング温度
に達するまで反応物を物理的に分離するステップを含
む。イネス(Innes),M.A.、ゲルファンド(Gelfa
nd),H.D.、スニンスキ(Sninsky),J.J.お
よびホワイト,T.J.(Ed.)による、「PCRプロ
トコル、方法および応用のガイド(PCR Protocols, aGu
ide to Methods and Applications)」(アカデミック
・プレス、カリフォルニア、USA)を参照されたい。
これらの方法は実験プロセスに多くの余分な時間を持ち
込むだけでなく、ロウのバリア自体、またはいくつかの
反応物が既に混合され加熱された後に反応容器を開く必
要があることによって、混入物を導入するおそれがあ
る。
【0007】ケロッグ(Kellog),D.E.らによる、
バイオテクニクス(Biotechniques)16、1134−
1137(1994)に考察されるとおり、酵素の活性
部位に対して特異的な抗体(低温において結合し活性を
阻害するが、高温において変性する)が入手可能である
が、これは高価であり、またすべての抗体が一度に変性
するため、段階的な活性化応答を行なうことができな
い。
【0008】可逆的に不活性化された、化学修飾された
バージョンの酵素が入手可能であり、これは米国特許U
S5,677,152に説明および例示される。その先
行特許の内容全体をここに引用により援用する。
【0009】その米国特許における化学修飾された酵素
は、酵素および試薬すなわちジカルボン酸無水物の両方
が溶解された単相水系を用いて合成される。しかし、修
飾酵素を調製するこの方法は、pH、温度および過剰の
試薬の制約が非常に厳しい。これは主に、ジカルボン酸
無水物修飾試薬がこの雰囲気下において水中で自発的に
加水分解する(酸を形成する)ためである。無水物が多
すぎると、(発熱性の)酸形成が大きく増加し、劇的に
pHが下がって温度が上昇するため、続いて酵素が変性
する。無水物が少なすぎると、大多数の無水物が自発的
に加水分解し、タンパク質を修飾するためのものが残ら
なくなる。
【0010】反応を行なうことのできる温度も必然的に
非常に制限されており、約25℃以下といわれるが通常
は4℃以下で、12時間(または一晩)などの長時間に
わたって行なわれる。これは、温度が少しでも上昇する
と水中での修飾試薬の加水分解率が上昇し、pHおよび
酵素変性の問題をより一層大きくするためである。最後
に、酵素の調製が無事完了したとき、そこには酸が混入
している。酵素を再活性化し、酵素活性を復帰させるた
めには高温が用いられる。
【0011】この発明の一般的な目的は、非特異的な産
物の形成を大幅に減少させる、核酸の増幅用の熱安定酵
素を不活性の形で合成でき、続いてそれを高温によって
活性化することによって、前述により例示し強調した主
要な問題が避けられるような方法を提供することであ
る。
【0012】
【発明の概要】この発明の第1の局面に従うと、熱安定
DNAポリメラーゼまたはリガーゼを可逆的に不活性化
するための方法が提供され、この方法は熱安定ポリメラ
ーゼまたはリガーゼの混合物をジカルボン酸無水物と反
応させるステップを含み、この反応は乾燥したDNAポ
リメラーゼまたはリガーゼを用いて無水の非プロトン性
有機溶媒中で行なわれ、ジカルボン酸無水物も実質的に
無水であり、この反応の結果、酵素活性は本質的に完全
に不活性化される。
【0013】乾燥されたDNAポリメラーゼまたはリガ
ーゼは第1に非プロトン性有機溶媒に懸濁され、次いで
そこに実質的に無水のジカルボン酸無水物が加えられて
反応が行なわれることが好ましい。反応は約30℃以上
の温度で行われることが好適である。
【0014】この方法は、非プロトン性有機溶媒を含む
液相から、可逆的に不活性化された酵素を含む固相を分
離して、固相を有機溶媒で洗浄するさらなるステップを
含むことが好ましい。
【0015】洗浄に続き、可逆的に不活性化された酵素
は乾燥されることが好適である。無水の非プロトン性有
機溶媒は、t−メチルブチルエーテル(t−MBE)、
ブチルエーテル、四塩化炭素、シクロヘキサノン、酢酸
エチル、メチルエチルケトン、メチルペンタノン、プロ
ピルエーテル、ピリジンおよびスルホランを含む群から
選択されることが好ましい。
【0016】この発明の第2の局面に従うと、前述の方
法によって調製された、可逆的に不活性化されたDNA
ポリメラーゼまたはリガーゼが提供される。
【0017】この発明の第3の局面に従うと、上述によ
り定められた、可逆的に不活性化されたDNAポリメラ
ーゼを含む、ポリメラーゼ連鎖反応を行なうためのキッ
トが提供される。
【0018】
【好ましい実施例の説明】この発明の好ましい実施例
を、添付の図面を参照して、例としてより特定的に説明
する。
【0019】この発明のシステムは、ポリメラーゼを可
逆的に不活性にするための修飾試薬としてジカルボン酸
無水物を用いることによる、熱安定DNAポリメラーゼ
の化学修飾を含む。
【0020】「熱安定酵素」という言葉は、熱に対して
比較的安定であり、不可逆的な活性の損失を受けること
なく、修飾基を取除くために用いられるより高い温度、
典型的には50℃以上の温度に耐え得るような酵素を呼
ぶものである。好適な熱安定DNAポリメラーゼは、た
とえばサーマス・アクアティカス(Thermus aquaticu
s)、サーマス・サーモフィラス(Thermus thermophilu
s)およびサーモトガ・マリティマ(Thermotoga mariti
ma)などのバクテリアに由来するポリメラーゼを含む。
【0021】DNAポリメラーゼの化学修飾は、約5−
10%またはそれ以下の水分含有率の、好適には分散保
護剤の存在下にある、乾燥した固体のアモルファスまた
は結晶の形の酵素において行なわれる。分散保護剤は一
般的に、酵素の乾燥中に酵素のネイティブな構造を保護
することのできる、炭水化物などの物質である(ダブリ
ス(Dabulis),K.およびクリバノフ(Klibanov),
A.(1993)Biotechnol. Bioeng. 41、566-57
1)。乾燥は、凍結乾燥機、真空乾燥機(環境温度を用
いる)または噴霧乾燥システムを用いることによって
(これに制限されるものではないが)達成できる。
【0022】乾燥された酵素配合物は第1に、修飾試薬
と反応しないが好適には修飾試薬がその用いられる濃度
において完全に可溶である、非プロトン性の無水の有機
溶媒に浸漬される。溶媒の例には、t−メチルブチルエ
ーテル(t−MBE)、ブチルエーテル、四塩化炭素、
シクロヘキサノン、酢酸エチル、メチルエチルケトン、
メチルぺンタノン、プロピルエーテル、ピリジンおよび
スルホランが含まれる。
【0023】次に加えられる、修飾試薬を含むジカルボ
ン酸無水物は、反応効率のためには溶媒に可溶であるこ
とが好ましい(界面活性剤を用いてもよい)が、選択さ
れる溶媒は酵素をあまり溶解できないことが好ましく、
そのことによって無水の有機溶媒(プラス溶解した修飾
試薬)における固体の酵素懸濁液の2相システムが存在
し、反応の終りにおいて修飾された酵素の分離を非常に
促進する。
【0024】手順全体の例の詳細な説明としては、下記
の実施例1を参照されたい。反応(図2)が完了した後
(数時間しか要しない)、酵素配合物は融和性の有機溶
媒(たとえばヘキサン)または溶媒混合物中で数回洗浄
され、ジカルボン酸無水物修飾試薬のあらゆる残渣が取
除かれた後、乾燥される(たとえば真空下で、または3
0−70℃において)。
【0025】乾燥によって、調製物に混入し得る修飾試
薬のあらゆる残渣が取除かれる。これらのステップが完
了した後、修飾された酵素の既知量が水溶液に再溶解さ
れてもよく、または乾燥した粉末として保存されてもよ
い。(使用に際して)水溶液中で加熱されると、不活性
化された酵素はネイティブな活性形に戻る(図3)。
【0026】修飾試薬のジカルボン酸無水物は、たとえ
ばシトラコン酸無水物またはシス−アコニット酸無水物
(図1)であってもよく、これらは両方とも無水の非プ
ロトン性有機溶媒に溶解できる。
【0027】用いられるジカルボン酸無水物は次の一般
的な化学式を有するものが好適である。
【0028】
【化1】
【0029】ここでR1およびR2は水素または有機ラジ
カルであって、連結していてもよく、または次の一般的
な化学式を有するものであり、
【0030】
【化2】
【0031】ここでR1およびR2は有機ラジカルであ
り、好ましくは連結されており、水素はシスであり、前
記反応の結果、酵素活性は本質的に完全に不活性化す
る。
【0032】それはたとえば、無水マレイン酸またはテ
トラヒドロフタル酸無水物であってもよい。しかし当業
者に明らかであるとおり、他のジカルボン酸無水物を用
いてもよい。たとえば、非環式のジカルボン酸無水物を
修飾試薬として用いてもよい。
【0033】乾燥したポリメラーゼまたはリガーゼを実
質的に無水の修飾試薬および非プロトン性の無水有機溶
媒とともに用いることによって、溶液中の遊離水素イオ
ンの存在が避けられるため、酵素が溶媒中に懸濁される
ときに酵素配合物のpHに基づく(酸またはアルカリ)
変性が起こらないことが確実となる。
【0034】このシステムの顕著な利点は、このシステ
ムが実質的に全く水を含まないため、(酵素に存在する
リシン基の)修飾反応を直接的および簡単に制御できる
ことにある。この無水システムにはpH状態がなく、反
応は約50℃の高温において、これまでと比較して非常
に迅速に(5時間およびそれ以下で)行なうことができ
る。
【0035】修飾試薬を自発的に加水分解して有害な酸
副産物にする水が本質的になく、存在してくるおそれも
ないため、迅速な反応を確実にするために、この場合に
は酵素の破壊をおそれることなく簡単に大過剰量の修飾
試薬を加えることができる。
【0036】実施例1 サーマス・アクアティカス由来のDNAポリメラーゼ
(50,000ユニット)を、2%スクロース(分散保
護剤)の存在下、二度蒸留した脱イオン水中で真空乾燥
する。得られるアモルファス粉末を5mLの無水t−M
BEに加え、そこに過剰量のシトラコン酸無水物を加え
て問題のリシン基を修飾する(5%(v/v))。次い
で溶媒を37℃にて5時間維持する。この段階で10m
Lのヘキサンを用いて粉末を4回洗浄し、混入している
修飾試薬のあらゆる残渣を取除く。最後に、粉末を−2
0℃、4℃にて保存するか、または水溶液もしくは保存
緩衝液(20mM Tris−HCl;100mM 塩化カ
リウム;0.1mM エチレンジアミンテトラ酢酸;1
mM ジチオトレイトール;0.5%(v/v)ツイン
20;0.5%(v/v)ノニデット(Nonidet)P4
0;50% グリセロール;pH9.2)中に所望の濃
度(通常5ユニット/μL)に溶解して−20℃にて保
存する。
【0037】実施例2 サーマス・アクアティカス由来のDNAポリメラーゼ
(50,000ユニット)を、分散保護剤非存在下、薄
い緩衝液(10mM Tris−HCl、pH9.2)中で
凍結乾燥する。得られる粉末を次いで5mLの無水t−
MBEに加え、そこに十分量のシトラコン酸無水物を加
えて問題のリシン基を修飾する(5%)。次いで溶媒を
50℃にて5時間維持する。反応完了後、10mLのヘ
キサンを用いて粉末を4回洗浄し、修飾試薬のあらゆる
残渣を取除く。最後に、粉末を−20℃、4℃にて保存
するか、または水溶液もしくは保存緩衝液(20mM
Tris−HCl;100mM 塩化カリウム;0.1mM
エチレンジアミンテトラ酢酸;1mM ジチオトレイ
トール;0.5%(v/v)ツイン20;0.5%(v
/v)ノニデットP40;50% グリセロール;pH
9.2)中に所望の濃度(通常5ユニット/μL)に溶
解して−20℃にて保存する。
【0038】実施例3 サーマス・アクアティカス由来のDNAポリメラーゼ
(50,000ユニット)を、1M Tris−HClの存
在下でpH9.2にて乾燥または凍結乾燥する。得られ
るアモルファス粉末を次いで5mLの無水酢酸エチルに
加え、そこに過剰量のシトラコン酸無水物を加えて問題
のリシン基を修飾する(5%(v/v))。次いで溶媒
を50℃にて5時間維持する。この段階で10mLのヘ
キサンを用いて粉末を4回洗浄し、混入している修飾試
薬のあらゆる残渣を取除く。最後に、粉末を−20℃、
4℃にて保存するか、または水溶液もしくは保存緩衝液
(20mM Tris−HCl;100mM 塩化カリウ
ム;0.1mM エチレンジアミンテトラ酢酸;1mM
ジチオトレイトール;0.5%(v/v)ツイン2
0;0.5%(v/v)ノニデットP40;50% グ
リセロール;pH9.2)中に所望の濃度(通常5ユニ
ット/μL)に溶解して−20℃にて保存する。
【0039】実施例4 サーマス・アクアティカス由来のDNAポリメラーゼ
(50,000ユニット)を、10mM Tris−HCl
の存在下でpH9.2にて乾燥または凍結乾燥する。得
られるアモルファス粉末を次いで5mLの無水メチルエ
チルケトンに加え、そこに過剰量のシトラコン酸無水物
を加えて問題のリシン基を修飾する(1%(v/
v))。次いで溶媒を50℃にて5時間維持する。この
段階で10mLのヘキサンを用いて粉末を4回洗浄し、
混入している修飾試薬のあらゆる残渣を取除く。最後
に、粉末を−20℃、4℃にて保存するか、または水溶
液もしくは保存緩衝液(20mM Tris−HCl;10
0mM 塩化カリウム;0.1mMエチレンジアミンテ
トラ酢酸;1mM ジチオトレイトール;0.5%(v
/v)ツイン20;0.5%(v/v)ノニデットP4
0;50% グリセロール;pH9.2)中に所望の濃
度(通常5ユニット/μL)に溶解して−20℃にて保
存する。
【0040】実施例5 サーマス・アクアティカス由来のDNAポリメラーゼ
(50,000ユニット)を、10mM Tris−HCl
の存在下でpH9.2にて乾燥または凍結乾燥する。得
られるアモルファス粉末を次いで5mLの無水四塩化炭
素に加え、そこに過剰量のシトラコン酸無水物を加えて
問題のリシン基を修飾する(1%(v/v))。次いで
溶媒を37℃にて5時間維持する。この段階で10mL
のヘキサンを用いて粉末を4回洗浄し、混入している修
飾試薬のあらゆる残渣を取除く。最後に、粉末を−20
℃、4℃にて保存するか、または水溶液もしくは保存緩
衝液(20mM Tris−HCl;100mM 塩化カリ
ウム;0.1mM エチレンジアミンテトラ酢酸;1m
M ジチオトレイトール;0.5%(v/v)ツイン2
0;0.5%(v/v)ノニデットP40;50% グ
リセロール;pH9.2)中に所望の濃度(通常5ユニ
ット/μL)に溶解して−20℃にて保存する。
【0041】実施例1−5の酵素の使用結果 酵素粉末を適切な緩衝液中に再溶解すると、それらは酵
素の変換の可逆性によって厳密に制御可能である。実施
例1−5によるDNAポリメラーゼをうまく修飾し、適
切な濃度で水溶液中に再溶解すると、それらは95℃に
おける15分間の初期加熱ステップによって再活性化さ
れ、その後のPCRを行なうことができる。このステッ
プを省略し、かつ酵素が修飾されていると、反応産物が
得られない。図4は、活性化ステップがあるときおよび
ないときの、β−アクチンのPCRの結果を示すもので
あり、すべての実施例の方法が所定の結果を達成するこ
とを例示する。図4において、レーンAはマーカーを示
し、レーンB−C、D−E、F−G、H−IおよびJ−
Kは、活性化した条件および活性化しない条件におけ
る、それぞれ実施例1、2、3、4および5からのPC
Rの結果を示す。
【0042】図4における結果を与えるための実験的な
PCRの条件は以下のとおりである。すべてのサンプル
は使用前に緩衝水溶液(20mM Tris(pH8.
0);100mM KCl;0.1mM EDTA;1
mM DTT;0.5% ツイン20;0.5% ノニ
デットP40;50% グリセロール)に溶解され、使
用前に5U/μlに希釈された。反応緩衝液:10mM
Tris pH8.3、50mM KCl。活性化ステッ
プ(用いるとき)は、95℃にて15分間。PCRは、
94℃にて2分間の初期変性(1サイクル);94℃に
て20秒間の変性、60℃にて30秒間のアニーリン
グ、72℃にて30秒間の伸長(30サイクル);72
℃にて5分間の最終伸長からなる。ヒトDNA鋳型の濃
度は(100ng/μl);dNTPs(各0.2m
M)、1.5mM MgCl2;プライマ1(5′−A
TT TGC GGT GGA CGA TGG AG
−3′)およびプライマ2(5′−AGA GAT G
GC CAC GGC TGC TT−3′)は反応ご
とに各250ng。
【図面の簡単な説明】
【図1】 シトラコン酸無水物およびシス−アコニット
酸無水物の構造を示す図である。
【図2】 有機溶媒中でのシトラコン酸無水物と(DN
A鎖の)リシン残基との反応を示す図である。
【図3】 加熱したときの、修飾されたリシン残基と水
との反応を示す図である。
【図4】 本文中に説明する実験的な実施例の結果を明
らかにする、アガロースゲルの写真を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4B024 AA20 CA01 4B050 CC07 DD02 GG10 KK06 LL03 4B063 QA01 QQ42 QR08 QR62 QS25 QS36 QX02

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱安定DNAポリメラーゼまたはリガー
    ゼを可逆的に不活性化するための方法であって、この方
    法は熱安定DNAポリメラーゼまたはリガーゼの混合物
    をジカルボン酸無水物と反応させるステップを含み、こ
    の反応は乾燥したDNAポリメラーゼまたはリガーゼを
    用いて無水の非プロトン性有機溶媒中で行なわれ、ジカ
    ルボン酸無水物も実質的に無水であり、この反応の結
    果、酵素活性が本質的に完全に不活性化する、方法。
  2. 【請求項2】 乾燥されたDNAポリメラーゼまたはリ
    ガーゼは第1に非プロトン性有機溶媒に懸濁され、次い
    でそこに実質的に無水のジカルボン酸無水物が加えられ
    て反応が行なわれる、請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 反応は約30℃よりも高い温度で行なわ
    れる、請求項1または2に記載の方法。
  4. 【請求項4】 前記方法は、可逆的に不活性化された酵
    素を含む固相を非プロトン性有機溶媒を含む液相から分
    離し、固相を有機溶媒で洗浄するさらなるステップを含
    む、請求項1から3のいずれかに記載の方法。
  5. 【請求項5】 洗浄に続いて、可逆的に不活性化された
    酵素は乾燥される、請求項1から4のいずれかに記載の
    方法。
  6. 【請求項6】 無水の非プロトン性有機溶媒は、t−メ
    チルブチルエーテル(t−MBE)、ブチルエーテル、
    四塩化炭素、シクロヘキサノン、酢酸エチル、メチルエ
    チルケトン、メチルペンタノン、プロピルエーテル、ピ
    リジンおよびスルホランを含む群から選択される、請求
    項1から5のいずれかに記載の方法。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載の方法
    によって調製された、可逆的に不活性化されたDNAポ
    リメラーゼまたはリガーゼ。
  8. 【請求項8】 請求項7に記載の可逆的に不活性化され
    たDNAポリメラーゼを含むポリメラーゼ連鎖反応を行
    なうための、キット。
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日本化学会編「有機合成IV-酸・アミノ酸・ペプチド-」(H4.11.30)丸善株式会社,P.268-269, JPNX007032422, ISSN: 0000865324 *

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