JP2002189421A - ディスプレイ用フィルターおよびその製造方法 - Google Patents

ディスプレイ用フィルターおよびその製造方法

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JP2002189421A
JP2002189421A JP2000390143A JP2000390143A JP2002189421A JP 2002189421 A JP2002189421 A JP 2002189421A JP 2000390143 A JP2000390143 A JP 2000390143A JP 2000390143 A JP2000390143 A JP 2000390143A JP 2002189421 A JP2002189421 A JP 2002189421A
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protective film
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JP2000390143A
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English (en)
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Masaaki Kikkai
正彰 吉開
Masato Koyama
正人 小山
Fumiharu Yamazaki
文晴 山▲崎▼
Yukinori Asai
幸紀 浅井
Shin Morohashi
諸橋  慎
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Mitsui Chemicals Inc
Original Assignee
Mitsui Chemicals Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 銀薄膜層の凝集に起因した画面欠陥の少ない
ディスプレイ用フィルターおよびその製造方法を提供す
る。 【解決手段】 ディスプレイ用フィルターは、透明基体
(A)、および該透明基体(A)の一方の主面上に形成
された透明導電性薄膜層(D)を含む透明積層体(E)
と、透明導電性薄膜層(D)上の周端部に形成された電
極(F)と、透明導電性薄膜層(D)上の該電極(F)
を形成しない部分に貼り合わせられた透明保護フィルム
(G)とを備え、透明導電性薄膜層(D)は、高屈折率
薄膜層(B)と、銀または銀を含む金属薄膜層(C)と
の組み合わせ(B)/(C)を繰り返し単位として2回
以上繰り返して積層され、さらにその上に高屈折率薄膜
層(B)が積層されて構成され、透明保護フィルム
(G)の吸水率が1.5質量%以下である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、たとえばプラズマ
ディスプレイ(PDP)、ブラウン管(CRT)、液晶
表示装置(LCD)等のディスプレイから発生する電磁
波の遮蔽用として用いられるディスプレイ用フィルター
およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】社会の情報化に伴って、情報関連の機器
や部品に関する技術が著しく進歩、普及しつつある。デ
ィスプレイ装置は、テレビジョン用、パーソナルコンピ
ュータ用、駅や空港などの案内表示用その他各種の情報
提供用に広く普及しており、装置の仕様として大画面か
つ薄型が要求される。近年、こうした仕様を満足するプ
ラズマディスプレイが注目され、業務用だけでなく家庭
内にも普及しつつある。
【0003】一方、プラズマディスプレイは、動作原理
上、強度の漏洩電磁界および近赤外光を発生する。この
対策として、可視光が通過可能で、漏洩電磁界および近
赤外光を遮蔽するためのフィルター(電磁波フィルタ
ー)が画面上に設けられる。
【0004】フィルターを構成する近赤外線および電磁
波の遮蔽材料として、1)金属メッシュまたは、合成樹脂
または金属繊維のメッシュに金属を被覆したものと、近
赤外線を吸収する色素との組み合わせ、2)酸化インジウ
ム−錫(ITO)などの透明導電性薄膜と銀などの金属
薄膜とを積層した透明導電性薄膜と(場合によっては)
近赤外線を吸収する色素との組み合わせ、などに大別で
きる。
【0005】関連する先行技術として、特開平9−33
0667号には透明樹脂板上に導電性ペーストをメッシ
ュ状に塗布乾燥させて作成した電磁波シールド板が記載
され、これは上記1)のタイプに属する。また、特開平9
−331488号等では、基体上に透明導電性薄膜を形
成した電磁波フィルターが記載され、これは上記2)のタ
イプに属する。
【0006】こうした電磁波シールド板を用いること
で、ディスプレイから発生する電磁波を効率よく遮蔽す
ることができる。特に2)のタイプは、1)のタイプと比較
してメッシュによる遮光部分の発生やモワレの発生がな
く、しかも透明性が高い点でより好ましい。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、2)のタ
イプにおいて銀成分を含む透明導電性薄膜を用いた場
合、銀薄膜層の劣化、凝集が起こると反射性の画面欠陥
が出現し、たとえば銀薄膜層の凝集部分の直径が0.3
mm程度になると、反射性の変色部分として肉眼でも確
認できるようになり、特にディスプレイを消灯した場合
に顕著となる。
【0008】この対策として、たとえば特公昭59−4
4993号では、銀薄膜層の代わりに金−銀薄膜層と合
金化することによって耐久性を向上させている。しかし
ながら、薄膜層の合金化によって薄膜層の表面抵抗率が
増加し、電磁波遮蔽能力が極端に低下してしまう。表面
抵抗率の増加を抑制するには、合金化に必要な銀以外の
金属の割合は必然的に制限される。その結果、銀単体に
比べて耐久性が大幅に向上するものの、実用に十分な耐
久性は達成できない。
【0009】本発明者は、特開平10−73718号に
おいて、透明導電性薄膜層の周端部を保護することによ
り銀薄膜層の劣化を防止できることを提案している。
【0010】また本発明者は、特開平10−21738
0号において、低透湿性の透明保護層を用いることによ
り銀薄膜層の劣化を防止できることを提案している。
【0011】本発明の目的は、銀薄膜層の凝集に起因し
た画面欠陥の少ないディスプレイ用フィルターおよびそ
の製造方法を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
本発明者は鋭意検討を行なったところ、低透湿度の透明
保護フィルムを用いても、時間経過に伴う反射性の変色
部分の拡大、増加を完全に解消できないことを見出し
た。
【0013】また、透明保護フィルムを用いた場合、新
たに発生した反射性の変色部分を詳細に分析を行なった
ところ、新たに発生したと思われた銀層の凝集部分は実
際には新たに発生したわけではなく、透明導電性薄膜層
と透明保護フィルムとを貼りあわせた直後、すなわち、
貼り合わせた後240時間以内(以下、初期と称する)
に発生した微小な変色部分の一部が経時で拡大して、一
見新たに発生したように見えていたことが判った。すな
わち、反射性の変色部分は突然発生したわけではなく、
当初より存在していた微小な変色部分が一定の割合で大
きくなることにより顕在化していた。
【0014】また、初期において直径0.1mm以上の
変色部分は、経時により直径0.3mm以上に一定の割
合で大きくなり、外観を著しく損なうことが判った。
【0015】また、初期において直径0.1より小さい
変色部分はあまり大きくならず、外観を著しく損なうこ
とも無いことを見出した。
【0016】また、初期に発生する反射性の変色部分
は、透明保護フィルムを通して侵入する水分やその他の
因子によるものではなく、透明保護フィルムに当初より
含まれる水分に起因して発生することを見出し、さらに
所定値の吸水率に抑えた透明保護フィルムを用いると、
初期での反射性変色部分の発生が抑えられることを見出
した。
【0017】一般に透湿性の低い粘着材または接着剤を
用いて貼り合わせを行なっても、透明保護フィルムの吸
水率が上記の範囲より高くなると、反射性の変色部分の
発生を抑制できない。
【0018】透明保護フィルムを形成し得る材料とし
て、高湿度下でも吸水しない材料が好ましく、特に高湿
度下で放置した場合、たとえば温度・湿度の高い夏場で
も、吸湿して吸水率が上記値を超えない材料が好まし
い。
【0019】このように時間経過に伴って反射性変色部
分の発生を抑制するには、初期に発生する直径0.1m
m以上の反射性の変色部分を極力少なくすることが有力
であり、吸湿性の低い透明保護フィルムを用いることに
より解決できる。
【0020】そこで、本発明は、透明基体(A)、およ
び該透明基体(A)の一方の主面上に形成された透明導
電性薄膜層(D)を含む透明積層体(E)と、透明導電
性薄膜層(D)上の周端部に形成された電極(F)と、
透明導電性薄膜層(D)上の該電極(F)を形成しない
部分に貼り合わせられた透明保護フィルム(G)とを備
え、透明導電性薄膜層(D)は、高屈折率薄膜層(B)
と、銀または銀を含む金属薄膜層(C)との組み合わせ
(B)/(C)を繰り返し単位として2回以上繰り返し
て積層され、さらにその上に高屈折率薄膜層(B)が積
層されて構成され、透明保護フィルム(G)の吸水率が
1.5質量%以下であることを特徴とするディスプレイ
用フィルターである。
【0021】また本発明は、透明保護フィルム(G)の
吸水率が0.8質量%以下であることが好ましい。
【0022】また本発明は、該透明保護フィルム(G)
は、透明基体(H)、および該透明基体(H)の一方の
主面上に形成された反射防止層、アンチグレア層及びア
ンチニュートンリング層の群の中から選ばれる一つの層
とを含むことが好ましい。
【0023】また本発明は、透明基体(A)の一方の主
面上に、高屈折率薄膜層(B)と銀または銀を含む金属
薄膜層(C)との積層からなる透明導電性薄膜層(D)
を形成して、透明積層体(E)を形成する第1工程と、
透明導電性薄膜層(D)上の周端部に金属を含む電極
(F)を形成する第2工程と、透明導電性薄膜層(D)
上の電極(F)を形成しない部分に透明保護フィルム
(G)を形成する第3工程と、フィルム形成後240時
間、23±10℃、50±30%RHの環境下に保管し
て、直径0.1mm以上の銀層の凝集による反射性の変
色部分を30個/m2以下に維持する第4工程とを含む
ことを特徴とするディスプレイ用フィルターの製造方法
である。
【0024】また本発明は、透明保護フィルム(G)の
吸水率が1.5質量%以下であることが好ましい。
【0025】また本発明は、透明保護フィルム(G)の
吸水率が0.8質量%以下であることが好ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】1.透明基体(A) 透明基体(A)は、ガラス板、合成樹脂などの透明性材
料が使用可能であり、軽量化、強度向上を図る点で透明
プラスチックフィルムが好ましい。
【0027】透明プラスチックフィルムは、透明であれ
ば特に限定されず、例えば、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタレー
ト、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリカーボネ
ート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセチルセル
ロース、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピレ
ン、ポリアミド、ポリイミド等のホモポリマー、および
これらの樹脂のモノマーと共重合可能なモノマーとのコ
ポリマーからなる高分子フィルムが挙げられる。
【0028】透明プラスチックフィルムの形成法は、溶
融押し出し法、キャスト法、カレンダー法等公知のプラ
スチックフィルムの製造法を用いることが可能である。
【0029】透明プラスチックフィルムの全光線透過率
は、好ましくは70%以上、より好ましくは75%以上
であり、80%以上が最も好ましい。ただし、後述する
ように色度補正層を形成する場合にはこの限りではな
い。
【0030】透明プラスチックフィルム単体の全光線透
過率は、一般に、界面でのフレネル反射によって92%
を越えることはないが、表面に反射防止層などを形成す
ることで光線透過率の向上を図ることができる。
【0031】2.透明導電性薄膜層(D) 透明導電性薄膜層(D)は、可視光を通過させ、電磁界
および近赤外光を遮蔽する波長選択特性を有するため、
可視光透過特性がフラットでないと着色して見えてしま
い、フィルターをディスプレイ装置に装着した場合、デ
ィスプレイ本来の色を損ない、画面全体が好ましくない
色調となってしまう場合が有る。この対策として、着色
を打ち消すような波長吸収特性を示す色素を透明プラス
チックフィルムに練り込んだり、フィルム表面に塗布す
る方法などによって、フィルター全体を所望の色調に調
整できる。
【0032】透明プラスチックフィルムの厚みは特に限
定されないが、ハンドリング性の観点から25〜250
μmが好ましい。
【0033】透明プラスチックフィルムの表面には、透
明導電性薄膜層(D)との密着性を向上させる目的で、
例えば、水性ポリウレタン系、シリコン系のコート剤等
で下地層を形成しても構わない。
【0034】透明導電性薄膜層(D)は、高屈折率薄膜
層(B)と、銀または銀を含む金属薄膜層(C)と含ん
で構成される。
【0035】銀などの金属薄膜と高屈折率薄膜とを積層
した多層薄膜は、金属薄膜固有の導電性および光学特性
を示すだけでなく、高屈折率薄膜が金属薄膜による反射
を抑制する機能を有することによって、多層膜全体とし
て所望の導電性、近赤外線カット能、透明性を実現でき
る。
【0036】透明導電性薄膜層(D)は、高屈折率薄膜
層(B)と銀または銀を含む金属薄膜層(C)との組み
合わせ(B)/(C)を繰り返し単位として2回以上繰
り返して積層して構成され、(B)/(C)の繰り返し
回数は2回以上4回以下であることが好ましく、その最
上層に高屈折率薄膜(B)を積層することが好ましい。
すなわち、透明導電性薄膜層(D)は、下層から上層に
向かう順序で次に示すような構造が好ましい。 1) (B)/(C)/(B)/(C) 2) (B)/(C)/(B)/(C)/(B) 3) (B)/(C)/(B)/(C)/(B)/(C) 4) (B)/(C)/(B)/(C)/(B)/(C)/(B) 5) (B)/(C)/(B)/(C)/(B)/(C)/(B)/(C) 6) (B)/(C)/(B)/(C)/(B)/(C)/(B)/(C)/(B)
【0037】高屈折率薄膜層(B)と金属薄膜層(C)
と交互に繰り返して積層することによって、金属薄膜層
(C)による反射を効率良く抑制できる。また、(B)
/(C)の繰り返し回数を上記範囲に設定することによ
って、多層膜全体として所望の導電性、近赤外線カット
能、透明性を実現できる。
【0038】透明導電性薄膜層(D)の全光線透過率
は、好ましくは40%以上、より好ましくは65%以上
であり、65%以上が最も好ましく、逆に40%を下回
ると、ディスプレイに装着した場合に画面が暗くなって
好ましくない。
【0039】また、透明導電性薄膜層(D)は、銀など
の金属薄膜層を含むため、光の吸収や反射の影響によっ
て80%を超える透過率を実現することは難しい。
【0040】3.高屈折率薄膜層(B) 高屈折率薄膜層(B)は、好ましくは1.6以上、より
好ましくは1.8以上の屈折率を有する材料で形成で
き、例えば、インジウム、チタン、ジルコニウム、ビス
マス、錫、亜鉛、アンチモン、タンタル、ネオジウム、
ランタン、トリウム、マグネシウム、ガリウムなどの酸
化物あるいは硫化物、これらの酸化物あるいは硫化物の
混合物、複合酸化物、複合硫化物などが挙げられる。
【0041】これらの酸化物や硫化物は、金属と酸素、
硫黄との間の化学量論的組成にずれがあっても、光学特
性が大きく変化しない範囲であれば構わない。これらの
材料の中で、酸化インジウム、酸化インジウム−錫(I
TO)、酸化錫は、透明性が高く、屈折率が高いことに
加えて、製膜速度が速く、金属薄膜層との密着性が良好
である点で好ましい。
【0042】高屈折率薄膜層(B)の厚みは、要求され
る光学特性に応じて任意に設定できるが、5〜200n
mが好ましく、10〜100nmがより好ましい。
【0043】また、多層薄膜における高屈折率薄膜層
(B)は、各層ともに同じ材料で同じ厚みでも構わない
が、各層の一部または全部が異なる材料、異なる厚みで
も構わない。
【0044】高屈折率薄膜層(B)の形成方法は、スパ
ッタリング法、イオンプレーティング法、イオンビーム
アシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法など公知の手法を
用いることができる。
【0045】例えば、高屈折率薄膜層(B)としてIT
O薄膜をスパッタリング法により形成する場合、次のよ
うな工程になる。まず、透明基体(A)を真空容器内に
静置し、容器内圧力が0.01Paになるまで排気す
る。次に、圧力が0.18Paとなるようにアルゴンガ
スを導入し、さらに全圧が0.26Paとなるように酸
素ガスを導入する。次に、ターゲットとしてインジウム
−錫合金を用いてマグネトロンDCスパッタリング法に
より透明基体(A)の表面に所望の厚みのITO薄膜層
を形成する。
【0046】4.金属薄膜層(C) 金属薄膜層(C)の材料は、銀または、銀を含む合金が
好ましい。銀は、a)薄膜の表面抵抗率が低いこと、b)良
好な赤外線反射特性を示すこと、c)高屈折率薄膜層と積
層した場合に良好な光学特性を示すことから好適であ
る。一方、銀単独では、化学的・物理的安定性に乏し
く、環境中の汚染物質、水分、熱、光線によって劣化が
生ずる傾向がある。そこで、金、白金、パラジウム、イ
ンジウム等の環境に安定な金属一種以上と銀との合金を
使用することが好ましい。
【0047】銀合金を使用した場合、銀の割合が少なく
なると導電率が低下し、電磁波シールド能が低下するた
め、合金中の銀の割合は90%以上であることが好まし
い。
【0048】金属薄膜層(C)は、極端に薄くなると島
状構造になるため、均一な厚みを得るには4nm以上の
厚みが好ましく、所望の透明性を確保するには30nm
以下の厚みが好ましい。ただし、フィルター全体で40
%以上の全光線透過率を確保できる場合は、金属薄膜層
(C)の厚みは30nmを超えても構わない。
【0049】また、多層薄膜における金属薄膜層(C)
は、各層ともに同じ材料で同じ厚みでも構わないが、各
層の一部または全部が異なる材料、異なる厚みでも構わ
ない。
【0050】金属薄膜層(C)の形成方法は、スパッタ
リング法、イオンプレーティング法、イオンビームアシ
スト法、真空蒸着法など公知の手法を用いることができ
る。
【0051】例えば、金属薄膜層(C)として銀薄膜を
スパッタリング法によりITO薄膜上に形成する場合、
次のような工程になる。まず、一方の主面上にITO薄
膜が形成された透明基体(A)を真空容器内に静置し、
容器内圧力が0.01Paになるまで排気する。次に、
圧力が0.18Paとなるようにアルゴンガスを導入す
る。次にターゲットとして銀を用いてマグネトロンDC
スパッタリング法によりITO薄膜上に所望の厚みの銀
薄膜層を形成する。
【0052】透明導電性薄膜層(D)、特に金属薄膜層
(C)の劣化防止を目的として、透明導電薄膜層(D)
の周端部を封止することも可能であり、封止材料とし
て、例えば、トリアジンアミン系化合物、チオジプロピ
オン酸エステル系化合物、ベンゾイミダゾール系化合物
などの単独、またはこれらの化合物を含む透明樹脂が使
用できる。
【0053】また、フィルターの調色を目的として、透
明基体(A)、透明導電性薄膜層(D)(高屈折率薄膜
層(B)、金属薄膜層(C))、透明保護フィルム
(G)、粘着材層または接着剤層などのフィルター構成
部材の一部または全部に、色素や顔料などを塗布した
り、練り込んだり、その他の手法を用いて調色層を設け
ることも可能である。特に、色素や顔料の塗布や練り込
みが容易になる点で、透明基体(A)や粘着材層、接着
剤層に調色層を設けることが好ましい。
【0054】透明導電性薄膜層(D)の形成方法は、透
明基体(A)の一方の主面上に、第1層目の高屈折率薄
膜層(B1)を形成し、その上に第1層目の金属薄膜層
(C1)を形成し、以後同様に、第n層目の高屈折率薄
膜層(Bn)と金属薄膜層(Cn)を交互に繰り返し積
層し、最後に高屈折率薄膜層(B’)を形成する。
【0055】5.電極(F) 透明導電性薄膜層(D)の周端部には、透明導電性薄膜
層の接地を目的として少なくとも金属を含む電極(F)
を形成している。
【0056】透明導電性薄膜層(D)は、透明性と導電
性を兼ね備えているため、ディスプレイ用のフィルター
として十分機能するが、バルクの金属より電気抵抗が高
く、低い導電性を示す。そのため、透明導電性薄膜層
(D)と接地用の金具やリード線とを電気接続した場
合、接点での導通が十分でないと、有効な電磁波遮蔽能
力が得られない可能性がある。そこで、ディスプレイ画
面の視野から外れたフィルターの周端部に電極を形成す
ることが好ましく、これによって透明導電性薄膜層
(D)を確実に接地できる。
【0057】電極(F)は、金属単体膜または、金属粒
子や金属繊維を樹脂中に分散させた導電ペースト膜など
で形成でき、特に、良好な導電性を示し、加工や塗布が
容易な点で導電ペーストが好ましい。
【0058】導電ペーストに分散する金属として、金、
銀、銅、鉄など、高い導電率を有し、入手の比較的容易
な金属を使用できる。
【0059】導電ペーストに用いる樹脂として、粘度が
高く、金属の分散性が良好な樹脂を使用することが好ま
しく、例えば、アクリル系、ウレタン系、メラミン系の
樹脂などを使用できる。
【0060】導電ペースト中の金属と樹脂との割合は特
に限定されないが、所望の導電性を確保して、透明導電
性薄膜層(D)を確実に接地するには、比抵抗が1×1
-3Ω/□以下となるように調整することが好ましい。
【0061】電極(F)を金属単体膜で形成する方法
は、スパッタリング法、イオンプレーティング法、イオ
ンビームアシスト法、真空蒸着法、湿式塗工法など公知
の手法を用いることができる。
【0062】電極(F)を導電ペーストで形成する方法
は、スクリーン印刷法、フレキソ印刷法など公知の印刷
方法を用いることができる。
【0063】6.透明保護フィルム(G) 透明導電性薄膜層(D)の表面にキズが入ったり、環境
中の汚染物質、例えば水分、光線などの侵入によって金
属薄膜層が劣化すると、画面ノイズとして現われる。こ
うした損傷や劣化を防止するため、透明導電性薄膜層
(D)の上に透明保護層を設けることが好ましい。
【0064】透明保護層の形成方法には、1)透明導電性
薄膜層(D)の上に樹脂を直接塗布する方法、2)透明導
電性薄膜層(D)の上に粘着材または接着剤で透明フィ
ルムを貼り合わせる方法などが考えられる。
【0065】上記1)の方法では、水分などの環境汚染物
質の外部侵入を確実に防ぐために、熱や紫外線による樹
脂硬化を十分に行ない、しかもある程度以上の厚み(約
10μm以上)を確保する必要がある。ところが、ある
程度以上の厚みのある樹脂を十分に硬化すると、樹脂層
の収縮が起きて、反りが発生し易くなる。
【0066】一方、上記2)の方法では、硬化処理が無い
ため反りが発生せず、異物侵入対策として厚みのあるフ
ィルムを使用できる点で好ましい。
【0067】透明保護フィルム(G)を構成する透明基
体(H)は、透明基体(A)と同様に、透明プラスチッ
クフィルムを使用でき、例えば、ポリエチレンテレフタ
レート、ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンナフタ
レート、ポリアリレート、ポリアクリレート、ポリカー
ボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリアセチル
セルロース、ポリエチレン、ポリエステル、ポリプロピ
レン、ポリアミド、ポリイミド等のホモポリマー、およ
びこれらの樹脂のモノマーと共重合可能なモノマーとの
コポリマーからなる高分子フィルムが挙げられる。
【0068】こうした透明プラスチックフィルムの屈折
率は1.6〜1.7程度であるため、フィルター最外面
に配置すると、空気とフィルムとの界面で約6%のフレ
ネル反射が起こる。この反射の大部分は正反射成分であ
り、フィルターをディスプレイに取付けた場合、外光や
室内照明光の反射が顕著になり画面が見づらくなる。そ
こで、透明プラスチックフィルムの表面に、フィルムと
空気との界面反射を低減するための反射防止層を設けた
り、正反射成分を低減するためのアンチグレア層やアン
チニュートンリング層を設けることが好ましい。これら
の反射防止層、アンチグレア層、アンチニュートンリン
グ層は、外気に触れるフィルター最外面に配置される。
【0069】ここで、反射防止層、アンチグレア層、ア
ンチニュートンリング層は、所望の光学特性が得られる
ように層厚、屈折率、表面粗さ等が適切に設定され、そ
の形成方法として塗布、印刷または公知の各種製膜法や
透明成形物を粘着材や接着剤を用いて貼り合わる方法な
どがある。
【0070】反射防止層は、可視域における屈折率が
1.5以下、好ましくは1.4以下の膜が好ましい。例
えば、フッ素系透明高分子樹脂やフッ化マグネシウム、
シリコン系樹脂、酸化珪素等の単層膜が挙げられ、ま
た、屈折率の異なる金属酸化物、フッ化物、ケイ化物、
ホウ化物、炭化物、窒化物、硫化物等の無機化合物また
はシリコン系樹脂やアクリル樹脂、フッ素系樹脂等の有
機系化合物の薄膜を2層以上多層積層したものがある。
【0071】反射防止層の形成方法として、無機化合物
薄膜の場合、スパッタリング、イオンプレーティング、
イオンビームアシスト、真空蒸着、湿式塗工法等、公知
の方法を用いることができ、有機化合物薄膜の場合、湿
式塗工法など公知の塗工法を用いることができる。
【0072】透明プラスチックフィルムの表面に反射防
止層を形成した場合、可視光反射率は5%以下が好まし
く、3%以下がさらに好ましく、2%以下であることが
最も好ましい。
【0073】アンチニュートンリング層は、物質界面間
での光干渉縞を弱める機能を有し、アンチグレア層は防
眩効果を高める機能を有し、両者とも散乱光成分を増加
させて正反射成分を低減する機能を有する点で共通し、
いずれも0.1〜10μm程度の微小な凹凸形状の表面
状態を有し、可視光に対して透明な層で構成される。
【0074】アンチニュートンリング層やアンチグレア
層の材料は、例えば、アクリル系樹脂、シリコン系樹
脂、メラミン系樹脂、ウレタン系樹脂、アルキド系樹脂
等にシリカ、メラミン、アクリル、アルミナ等の有機ま
たは無機微粒子を分散させ、インキ化させたものが挙げ
られる。
【0075】これらの層の形成方法は、バーコート法、
リバースコート法、ダイコート法等の公知の塗布方法を
用いることができる。
【0076】アンチニュートンリング層やアンチグレア
層の透過率は、70〜95%が好ましく、80〜95%
がさらに好ましい。また、ヘイズ値は0.5〜20%が
好ましく、1〜10%がさらに好ましい。
【0077】また、シリコン系樹脂、アクリル樹脂、フ
ッ素系樹脂等の有機系化合物の中にアンチニュートンリ
ング能またはアンチグレア能を有する微粒子を分散させ
たインキを透明プラスチックフィルムに塗布することに
よって、反射防止層およびアンチニュートンリング層ま
たはアンチグレア層の機能を有する層を形成することが
可能である。
【0078】透明保護フィルム(G)の透湿度は、20
g/m2・day以下であることが好ましく、10g/
2・day以下であることがさらに好ましく、5g/
2・day以下であることが最も好ましい。
【0079】また、反射防止層、アンチニュートンリン
グ層、アンチグレア層の表面に手垢や塵埃が付着するの
を防止するため、静電防止能や防汚性を付与することも
可能である。
【0080】透明保護フィルム(G)の貼り合わせ方法
は、粘着材または接着剤を用いた公知の貼り合わせ手法
を用いることができる。粘着材または接着剤は、無着色
で高透明であることが好ましく、実用上の接着強度があ
ればシート状のものでも液状のものでも構わない。
【0081】例えば、シート状の粘着材を使用する場
合、透明保護フィルム(G)や透明導電性薄膜層(D)
の上に直接貼り付ける。液状の接着剤を使用する場合、
透明保護フィルム(G)の上に、例えば、アクリル系、
ウレタン系、エポキシ系の液状の接着剤を公知のバーコ
ート法、リバースコート法、グラビアコート法、ダイコ
ート法等の方法で塗布した後、室温または加温下で放置
する。次に真空下でピンチロールで透明保護フィルム
(G)を圧着させて、貼り合わせが完了する。
【0082】粘着材または接着剤層の厚みは特に限定さ
れないが、0.5〜50μmが好ましく、1〜30μm
の範囲がさらに好ましい。粘着材または接着剤を用いて
貼り合わせた後は、部材間に入り込んだ空気泡を脱泡し
たり、粘着材または接着材中に固溶させたり、あるいは
部材間の密着力を高めるために、加温、加圧下で養生を
行なうことが好ましい。加圧条件は2〜20気圧が一般
的であり、加温条件は各部材の耐熱性を考慮して室温〜
80℃が一般的である。
【0083】なお、フィルターの調色を目的として、粘
着材または接着材中に色素を分散させることも可能であ
る。
【0084】7.反射性変色部分 透明導電性薄膜層(D)の上に透明保護フィルム(G)
を形成した時点から所定時間(例えば240時間)が経
過した初期段階で、金属薄膜層(C)において銀層が凝
集して反射性変色部分が発生した場合、直径0.1mm
以上の反射性変色部分が30個/m2以下であることが
好ましい。直径0.1mm以上の反射性変色部分が5個
/m2以下であることがさらに好ましい。初期に発生す
る反射性変色部分の個数が30個/m2を超えると、時
間経過とともに徐々に増大して、直径0.3mm以上の
反射性変色部分が認められるようになり、画面ノイズが
目立つようになる。
【0085】直径0.1mm以上の反射性変色部分を3
0個/m2以下とするためには、透明保護フィルム
(G)の吸水率は1.5%以下であることが好ましく、
5個/m 2以下とするためには吸水率を0.8%以下と
することが好ましい。
【0086】吸水率が上記範囲を超えると、透明保護フ
ィルム(G)中に含まれる水分に起因して、金属薄膜層
(C)で銀層が凝集・劣化するため好ましくない。
【0087】透明保護フィルム(G)の吸湿を防ぎ、吸
水率を上記範囲内に抑える方法には、1)透明保護フィル
ムを製膜した直後、または塗布・乾燥工程などで水分が
排除されやすい工程の直後から、雰囲気の温度および湿
度を管理することによって、貼り合わせ工程までに吸湿
を防止する方法や、2)貼り合わせ工程の直前に高温また
は低湿度の雰囲気下で透明保護フィルムを放置して乾燥
させ、積極的に吸水率を低下させる方法などがある。
【0088】上記1)の方法は、透明保護フィルムを温度
・湿度の管理区画から外部へ持ち出す際に、乾燥剤を同
封したり、防湿性の梱包材を用いて梱包する必要がある
ため、梱包コストが増加する。また、上記1)の方法は、
低湿度下の環境でも透明保護フィルムは若干ながら吸湿
するため、完全に吸水量を抑制できない。したがって、
積極的に吸水率を低減できる上記2)の方法が好ましい。
また、低湿保管と強制乾燥の両方を併用することも可能
である。
【0089】乾燥条件は特に制限されないが、粘着材ま
たは接着剤を透明保護フィルム上に形成した状態で乾燥
する場合、透明保護フィルム、粘着材、接着剤の耐熱性
を考慮して乾燥温度を決定でき、例えば40〜100℃
で1〜24時間放置する。例えば、透明保護フィルムに
トリアセチルセルロースを、粘着材としてアクリル系粘
着材を用いた場合、60℃条件下で12時間乾燥を行な
うと、吸水率を0.8質量%以下に低減できる。
【0090】8.フィルター全般 透明導電性薄膜層の周端部に金属を含む電極層を形成す
る第2工程と、透明導電性薄膜層の電極を形成しない部
分に透明保護フィルムを形成する第3工程は、順番が逆
になっても構わない。
【0091】また、本発明に係るディスプレイ用フィル
ターをディスプレイへ装着する方法は、1)透明基体
(A)の透明導電性薄膜層(D)を形成していない面に
適当な粘着材または接着剤を用いてディスプレイ表面に
直接貼りあわせる方法や、2)透明基体(A)の透明導電
性薄膜層(D)を形成していない面に適当な粘着材また
は接着剤を用いてガラス板やプラスチック板などの十分
な強度・剛性を持つ透明支持体に貼り合わせて、ディス
プレイの前面に静置する方法、等が挙げられる。
【0092】特に上記2)の場合、透明支持体の裏面に反
射防止、アンチニュートンリング、アンチグレア等の機
能を有する層を付与することも可能である。
【0093】次に図面を参照して本発明の好ましい構成
例を説明する。図1は、本発明に係るディスプレイ用フ
ィルターの構成例を示す平面図である。図2は、図1中
のA−A線に沿った断面図である。
【0094】透明積層体(10)は、透明基体(1)
と、透明基体(1)の一方の主面上に形成された透明導
電性薄膜層(2)などで構成される。透明導電性薄膜層
(2)上の周端部に、金属を含む電極(5)が形成され
ている。透明導電性薄膜層(2)上の周端部以外の中央
部分、すなわち電極(5)が形成されていない部分に、
透明保護フィルム(11)が形成されている。
【0095】透明保護フィルム(11)は、透明基体
(3)と、透明基体(3)の一方の主面上に形成され
た、反射防止機能、アンチグレア機能およびアンチニュ
ートンリング機能のうち少なくとも1つの機能を有する
光学機能層(4)などで構成され、粘着材または接着剤
から成る接着層(6)を介して透明導電性薄膜(2)の
上に貼り合わされている。
【0096】
【実施例】次に本発明の具体的な実施例について説明す
る。なお、評価項目、評価方法を以下に示す。
【0097】(1) 高屈折率薄膜層(B)および金属
薄膜層(C)の厚み(nm) 製膜条件から実験的に求めた値であり、実際に測定した
値ではない。具体的には、高屈折率薄膜層に関しては、
まず、単独で高屈折率薄膜層を形成し、その分光光学特
性および屈折率から膜厚を推定した(標準試料)。膜厚
は、スパッタリング法においては形成電力に比例し、形
成時関に反比例すると仮定して標準試料との条件の違い
から計算して求めた。
【0098】金属薄膜層に関しては、まず、単独で金属
薄膜層を形成し、蛍光X線型膜厚測定装置(セイコー電
子工業株式会社製,SFT7105)を用いて膜厚を測定した
(標準試料)。膜厚は、スパッタリング法においては形
成電力に比例し、形成時関に反比例すると仮定して標準
試料との条件の違いから計算して求めた。
【0099】(2) 透湿性(g/m2/24hr) ASTM−E96に準拠して行なった。
【0100】(3) 吸水率(%) 以下の実施例の透明保護フィルム(G)は、透明基体
(H)に粘着材もしくは接着剤層を形成したものを使用
していることが多いが、吸水率を測定したサンプルでは
貼り合わせを行なっても正確な評価を行なうことが出来
ない。そこで、同じ条件で処理を行ない、同じ条件で取
り扱いを行なった透明基体(H)の吸水率をもって、各
実施例において用いた透明保護フィルム(G)の吸水率
とした。
【0101】また、吸水率は、 1)測定対象とする透明基体(H)試料の重量を測定する
(この時の重量をAとする)。 2)80℃乾燥条件下で試料を放置し、60分おきに重量
を測定する。重量変化が起こらなくなるまで放置する。 3)重量変化が起こらなくなった時の重量を測定する(こ
の時の重量をBとする)。 4)以下の計算式により吸水率C(%)を計算する。 C=(A−B)/B*100 (%)
【0102】(4)反射性欠陥数(個) 10cm角の範囲において測定を行なった。電極を形成
していない部分を対象として測定を行なった。
【0103】測定範囲上1mの位置から蛍光灯(三波長
管:ナショナル ツイン1 FPL27EX-N)で照明して、
0.3mの位置から目視で反射性の変色部分を観察し
た。
【0104】反射性の変色部分の大きさは、汎用のルー
ペ(倍率10倍)を用いて目視で測定し、直径が0.1
以上0.3mm未満のものと、0.3mm以上のものに
区分した。評価は、透明保護フィルムを貼りあわせた1
0日後、30日後、60日後に行なった。
【0105】以下の測定結果は、(表1)にまとめて示
す。 [実施例1]まず、透明基体上に透明導電性薄膜層の形
成を行なった。2軸延伸ポリエチレンテレフタレート
(PET)フィルム(厚み75μm、東洋紡績株式会社
製A4100)の一方の主面に、DCマグネトロンスパ
ッタリング法により、金属薄膜層として銀薄膜層を、高
屈折率薄膜層としてITO薄膜層を、ITO薄膜(厚み
40nm)/銀薄膜(厚み10nm)/ITO薄膜(8
0nm)/銀薄膜(10nm)/ITO薄膜(80n
m)/銀薄膜(10nm)/ITO薄膜(40nm)の
順に作成し、これによって、3層の金属薄膜層と4層の
高屈折率薄膜層からなる透明導電性薄膜層を形成した。
【0106】ITO薄膜の形成方法は、、まず、PET
フィルムを真空容器内に静置し、圧力を0.01Paと
なるように排気する。次に圧力が0.18Paとなるよ
うにアルゴンガスを導入し、さらに全圧が0.26Pa
となるように酸素ガスを導入する。次に、ターゲットと
してインジウム−錫合金(錫の質量割合は10質量%)
を用いてマグネトロンDCスパッタリング法によりIT
O薄膜層の形成を行なう。
【0107】銀薄膜層の形成方法は、圧力を0.01P
aとなるように排気する。次に圧力が0.18Paとな
るようにアルゴンガスを導入する。次に金属銀をターゲ
ットとしてマグネトロンDCスパッタリング法によりI
TO薄膜上に銀薄膜層を形成する。
【0108】このように形成した透明導電性薄膜層の周
端部に銀ペースト(三井化学株式会社製MSP−600
F)をスクリーン印刷法により塗布し、室温で24時間
乾燥させ、厚み20μmの電極を形成した。
【0109】次に、透明保護フィルムとPETフィルム
の透明導電性薄膜を形成した面とを貼り合わせた。
【0110】透明保護フィルムとして、前述と同じPE
Tフィルムを用い、一方の主面上に反射防止層を設け
た。具体的には、電子ビーム蒸着法を用いて厚さ90n
mの酸化珪素薄膜を反射防止層として形成した。なお、
得られた透明保護フィルムの透湿度を測定した。
【0111】次に透明保護フィルムの裏面、すなわち反
射防止層を形成していない面に粘着材層を形成した。具
体的には、両面に剥離フィルムを有するアクリル系粘着
フィルム(積水化学株式会社製ダブルタックフィルム#
5510)を用意し、片方の剥離フィルムを剥離した状
態でピンチロールを用いて透明保護フィルムへ貼り付け
た。次に、反対側の剥離フィルムを剥離した状態で、透
明導電性薄膜層上の電極が形成されていない部分にピン
チロールを用いて貼り合わせて、ディスプレイ用フィル
ターを得た。
【0112】また、得られたディスプレイ用フィルター
の製造工程と同じ環境で同じ雰囲気下に保管したサンプ
ルの吸湿度を測定した。このとき全ての工程は、23℃
×50%RHの環境下で行なった。また、得られたディ
スプレイ用フィルターの反射性変色部分を測定した。
【0113】[実施例2]透明保護フィルムとしてトリ
アセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム
株式会社製フジタック:厚み75μm)を用いた以外は
実施例1と同様にディスプレイ用のフィルターを作成し
た。
【0114】実施例1と同様に、透明保護フィルムの透
湿度、吸水率を測定した。また、実施例1と同様に、デ
ィスプレイ用フィルターの反射性変色部分を測定した。
【0115】[実施例3]実施例1と同様に、ディスプ
レイ用フィルターを作成した。ただし、保護フィルムに
粘着材層を形成する工程と、透明導電性薄膜層と貼り合
わせる工程との間で60℃×95%R.H.の環境下で
24時間保護フィルムを放置し、保護フィルムが吸湿し
やすい環境とした。
【0116】実施例1と同様に、透明保護フィルムの透
湿度、吸水率を測定した。また、実施例1と同様に、デ
ィスプレイ用フィルターの反射性変色部分を測定した。
【0117】[実施例4]実施例2と同様に、ディスプ
レイ用フィルターを作成した。ただし、保護フィルムに
粘着材層を形成する工程と、透明導電性薄膜層と貼り合
わせる工程との間で60℃×95%R.H.の環境下で
24時間保護フィルムを放置し、保護フィルムが乾燥し
やすい環境とした。その後、再び60℃の環境下で24
時間保護フィルムを放置し、脱水しやすい環境とした。
【0118】実施例1と同様に、透明保護フィルムの透
湿度、吸水率を測定した。また、実施例1と同様に、デ
ィスプレイ用フィルターの反射性変色部分を測定した。
【0119】[実施例5]実施例2と同様に、ディスプ
レイ用フィルターを作成した。ただし、保護フィルムに
粘着材層を形成する工程と、透明導電性薄膜層と貼り合
わせる工程との間で10℃×40%R.H.の環境下で
24時間保護フィルムを放置し、冬場の代表的な環境を
再現し、冬場に屋外で取り扱われる場合を想定した。
【0120】実施例1と同様に、透明保護フィルムの透
湿度、吸水率を測定した。また、実施例1と同様に、デ
ィスプレイ用フィルターの反射性変色部分を測定した。
【0121】[実施例6]実施例2と同様に、ディスプ
レイ用フィルターを作成した。ただし、透明保護フィル
ムに反射防止層を形成する前にシリコーン樹脂(東レダ
ウコーニング株式会社製,品番:SR2410)をバー
コート法により塗布後、80℃で乾燥し、厚み2μmの
ガスバリア層を形成した。
【0122】実施例1と同様に、透明保護フィルムの透
湿度、吸水率を測定した。また、実施例1と同様に、デ
ィスプレイ用フィルターの反射性変色部分を測定した。
【0123】[比較例1]実施例4と同様に、ディスプ
レイ用フィルターを作成した。ただし、吸湿を行なわせ
た後の乾燥工程を行なわなかった。
【0124】実施例1と同様に、透明保護フィルムの透
湿度、吸水率を測定した。また、実施例1と同様に、デ
ィスプレイ用フィルターの反射性変色部分を測定した。
【0125】[比較例2]実施例2と同様に、ディスプ
レイ用フィルターを作成した。ただし、保護フィルムに
粘着材層を形成する工程と、透明導電性薄膜層と貼り合
わせる工程との間で30℃×60%R.H.の環境下で
24時間保護フィルムを放置し、夏場の代表的な環境を
再現し、夏場に屋外で取り扱われる場合を想定した。
【0126】実施例1と同様に、透明保護フィルムの透
湿度、吸水率を測定した。また、実施例1と同様に、デ
ィスプレイ用フィルターの反射性変色部分を測定した。
【0127】[比較例3]比較例2と同様に、ディスプ
レイ用フィルターを作成した。ただし、透明保護フィル
ムに反射防止層を形成する前にシリコーン樹脂(東レダ
ウコーニング株式会社製品番:SR2410)をバーコ
ート法により塗布後、80℃で乾燥し、厚み2μmのガ
スバリア層を形成した。
【0128】実施例1と同様に、透明保護フィルムの透
湿度、吸水率を測定した。また、実施例1と同様に、デ
ィスプレイ用フィルターの反射性変色部分を測定した。
【0129】
【表1】
【0130】(表1)において、60日後の反射性変色
部分の大きさと数を測定したが、30日後と全く同じ結
果であり、新たな発生も成長も認められなった。また、
30日後に認められた直径0.3mm以上の反射性変色
部分は、10日後に認められた直径0.1以上0.3m
m未満の反射性変色部分が増大していたことが確認され
た。
【0131】なお、PETはポリエチレンテレフタレー
ト、TACはトリアセチルセルロースを意味し、 透湿性の
単位は[g/m2/24hr]、吸水率の単位は
[%]、反射性変色部分数の単位は[個/10cm角]
である。
【0132】(表1)を考察すると、保護フィルムの吸
水率が1.5質量%以上となると、保護フィルムの貼り
合わせ後240時間以内に直径0.1以上0.3mm未
満の反射性変色部分が発生した場合、その時点ではディ
スプレイに装着しても外観を大きく損なわないものの、
その後、直径0.3mm以上の反射性変色部分へと成長
して、外観を大きく損なうことが判る。
【0133】また、保護フィルムの吸水率が1.5質量
%未満である場合、貼り合わせ後240時間以内の反射
性変色部分はなく、時間経過後も直径0.3mm以上の
反射性変色部分とはなり得ない。
【0134】また、貼り合わせ後240〜720時間の
間に発生した反射性変色部分は、直径0.3mm以上に
は成長しなかった。
【0135】また、夏場に屋外で保管を行なうと、透明
保護フィルムの材料によっては吸湿し、外観を損なう反
射性変色部部分を引き起こすことが判る。
【0136】
【発明の効果】以上詳説したように本発明によれば、銀
薄膜層の凝集が殆んど無く、反射性の変色部分に起因し
た画面欠陥の少ないディスプレイ用フィルターを実現で
きる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るディスプレイ用フィルターの構成
例を示す平面図である。
【図2】図1中のA−A線に沿った断面図である。
【符号の説明】
1 透明基体(A) 2 透明導電性薄膜層(D) 3 透明基体(H) 4 光学機能層 5 電極(F) 6 接着層 10 透明積層体(E) 11 透明保護フィルム(G)
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02B 1/10 H05K 9/00 V 1/11 H01J 11/02 E H05K 9/00 G02B 1/10 Z // H01J 11/02 A (72)発明者 山▲崎▼ 文晴 愛知県名古屋市南区丹後通2−1 三井化 学株式会社内 (72)発明者 浅井 幸紀 愛知県名古屋市南区丹後通2−1 三井化 学株式会社内 (72)発明者 諸橋 慎 愛知県名古屋市南区丹後通2−1 三井化 学株式会社内 Fターム(参考) 2K009 AA02 AA05 BB14 BB24 BB28 CC02 CC03 CC06 CC14 DD02 DD03 DD04 DD07 EE00 EE03 4F100 AA20 AA33 AB24C AK01D AK42 AR00A BA05 BA08 BA10A BA10D BA41 CB05 EC182 EG001 EH461 EH661 GB41 JD08 JD15D JG01B JG01C JG01E JM02B JM02C JM02E JN01A JN01B JN01C JN01D JN01E JN06D JN18B JN18E JN28 JN30D YY00D 5C040 GH10 JA07 MA08 5E321 AA04 BB23 BB25 CC16 GG05 GH01 5G435 AA01 AA13 AA16 BB02 BB06 BB12 FF02 GG11 GG33 HH02 HH03 KK07

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 透明基体(A)、および該透明基体
    (A)の一方の主面上に形成された透明導電性薄膜層
    (D)を含む透明積層体(E)と、 透明導電性薄膜層(D)上の周端部に形成された電極
    (F)と、 透明導電性薄膜層(D)上の該電極(F)を形成しない
    部分に貼り合わせられた透明保護フィルム(G)とを備
    え、 透明導電性薄膜層(D)は、高屈折率薄膜層(B)と、
    銀または銀を含む金属薄膜層(C)との組み合わせ
    (B)/(C)を繰り返し単位として2回以上繰り返し
    て積層され、さらにその上に高屈折率薄膜層(B)が積
    層されて構成され、 透明保護フィルム(G)の吸水率が1.5質量%以下で
    あることを特徴とするディスプレイ用フィルター。
  2. 【請求項2】 透明保護フィルム(G)の吸水率が0.
    8質量%以下であることを特徴とする請求項1記載のデ
    ィスプレイ用フィルター。
  3. 【請求項3】 該透明保護フィルム(G)は、透明基体
    (H)、および該透明基体(H)の一方の主面上に形成
    された反射防止層、アンチグレア層及びアンチニュート
    ンリング層の群の中から選ばれる一つの層とを含むこと
    を特徴とする請求項1または2に記載のディスプレイ用
    フィルター。
  4. 【請求項4】 透明基体(A)の一方の主面上に、高屈
    折率薄膜層(B)と銀または銀を含む金属薄膜層(C)
    との積層からなる透明導電性薄膜層(D)を形成して、
    透明積層体(E)を形成する第1工程と、 透明導電性薄膜層(D)上の周端部に金属を含む電極
    (F)を形成する第2工程と、 透明導電性薄膜層(D)上の電極(F)を形成しない部
    分に透明保護フィルム(G)を形成する第3工程と、 フィルム形成後少なくとも240時間、23±10℃、
    50±30%RHの環境下に保管して、直径0.1mm
    以上の銀層の凝集による反射性の変色部分を30個/m
    2以下に維持する第4工程とを含むことを特徴とするデ
    ィスプレイ用フィルターの製造方法。
  5. 【請求項5】 透明保護フィルム(G)の吸水率が1.
    5質量%以下であることを特徴とする請求項4記載のデ
    ィスプレイ用フィルターの製造方法。
  6. 【請求項6】 透明保護フィルム(G)の吸水率が0.
    8質量%以下であることを特徴とする請求項5記載のデ
    ィスプレイ用フィルターの製造方法。
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