JP2002187127A - 長繊維ペレットの製造方法および製造装置 - Google Patents

長繊維ペレットの製造方法および製造装置

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JP2002187127A
JP2002187127A JP2000384977A JP2000384977A JP2002187127A JP 2002187127 A JP2002187127 A JP 2002187127A JP 2000384977 A JP2000384977 A JP 2000384977A JP 2000384977 A JP2000384977 A JP 2000384977A JP 2002187127 A JP2002187127 A JP 2002187127A
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fiber bundle
resin
fiber
bundle
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Seiji Tanaka
清次 田中
Hiroshi Otani
洋 大谷
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】強化繊維束の抜けや被覆された樹脂部の割れな
どにより強化繊維束の一部が露出することがなく、ま
た、成形品の表面に強化繊維束の浮きが生じず、射出成
形機の金型汚れが殆どなく、成形材料の樹脂含浸性が高
く、以て高品位な成形品を大量生産できる長繊維ペレッ
トの製造方法および製造装置を提供する。 【解決手段】連続的に供給されてくる繊維束を幅方向に
開繊した後、マトリックス樹脂を開繊繊維束間に含浸さ
せる含浸工程を有する長繊維ペレットの製造方法におい
て、開繊繊維束を、曲面を有するダイと該ダイの曲面部
と対向する位置に設けられた加熱部材との間の前記ダイ
の曲面に当接して通過させ、薄膜状の上記マトリックス
樹脂を上記ダイから吐出して開繊繊維束に塗布してダイ
側になすりつけ、該マトリックス樹脂を開繊繊維束の内
部までしみ込ませて含浸することを特徴とする長繊維ペ
レットの製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、FRTP(繊維強
化熱可塑性樹脂)の成形材料となる長繊維ペレットの製
造方法および製造装置に関する。さらに詳しくは、クリ
ールから高速で引き出された強化繊維束に、マトリック
ス樹脂である熱可塑性樹脂を内部までしみ込ませた樹脂
含浸度の高い長繊維ペレットの製造方法および製造装置
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、電気・電子機器分野の急速な普及
と高性能化に伴い、電気・電子機器の人体への影響防止
や機器相互の放射電磁波干渉による誤作動防止などのた
め、例えばパーソナルコンピューター、ワードプロセッ
サ等のOA機器や、携帯電話、トランシーバー等の通信
機器のような筺体や内装部品などに導電性機能を付与
し、電磁波シールド性の要求とともに、強度や耐衝撃性
が強く求められている。
【0003】従来、繊維強化熱可塑性樹脂原料の製造方
法としては、射出成形に供する繊維強化構造物を作る場
合には、一般的に3mm位に強化繊維束を切断したチョ
ップドストランドと樹脂とを押出機により混練押出する
方法が知られている。
【0004】しかしながら、この方法で作った繊維強化
物は短繊維ペレットと呼ばれるもので、このペレットを
用いて射出成形した場合、成形品中の強化繊維の長さが
実質的に1mm以下になり、強化繊維による物性向上効
果を十分発現することができない。
【0005】また、連続した強化繊維束の周囲を熱可塑
性樹脂で被覆し、長繊維ペレットと呼ばれるものとして
は、特開昭59−62114号公報にワイヤコーティン
グ法により炭素繊維束に溶融樹脂を被覆した材料が記載
されている。また、そのような材料をある長さに切断
し、射出成形などに用いる成形材料とすることは、例え
ば実開昭60−62912号明細書に記載されている。
しかしこのような長繊維ペレットは、強化繊維束の周囲
を樹脂で被覆するだけであるため比較的簡単な設備で製
造できる反面、強化繊維束に樹脂が含浸されていないた
め、強化繊維束の一部が抜けたり、被覆された樹脂部の
割れなどにより強化繊維束の一部が露出し、抜けた繊維
や露出した繊維による種々のトラブルを生じる欠点があ
った。
【0006】また、このような強化繊維束を樹脂で被覆
した成形材料は、射出成形機内で繊維の分散と含浸を同
時に行う必要から、高分子量で高粘度の熱可塑性樹脂を
使用すると含浸不良を生じる場合が多いため低分子量の
樹脂を使用することが多いが、このような樹脂は非常に
脆いという欠点があった。また、成形品の表面側のゲー
ト位置回りに、強化繊維束の分散不良による強化繊維の
かたまり、いわゆる強化繊維束の浮きと呼ばれる状況が
生じ易く、浮きが発生すると表面の外観不良に繋がると
いう欠点があった。
【0007】また、強化繊維束を吸引開繊した後、熱可
塑性樹脂を含浸させる方法として特許第3027540
号公報に提案されている。しかしながら、強化繊維束と
して炭素繊維を使用した場合、炭素繊維にはサイジング
剤が付与されているため、加熱してサイジング剤を軟化
してもその走行速度を10〜15m/分以下にしないと
吸引開繊しても数式で定義された開繊指数の範囲に収ま
らず、処理速度アップによる生産性向上がなかなか難し
い。また、炭素繊維の単糸径はガラス繊維に比べ細いた
め、走行速度を上げると吸引する気体の流速を速くする
必要があり、吸引部で単繊維同士が擦過して毛羽の発生
に繋がるという欠点がある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点に鑑みてなされたもので、強化繊維束の抜けや被覆
された樹脂部の割れなどにより強化繊維束の一部が露出
することがなく、また、成形品の表面に強化繊維束の浮
きが生じず、射出成形機の金型汚れが殆どなく清掃頻度
が少なくて良く、成形材料の樹脂含浸性が高く、以て剛
性のある高品位な成形品を生産できる長繊維ペレットの
製造方法および製造装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
め、本発明は以下の構成を採用する。すなわち、 (1)連続的に供給されてくる繊維束を幅方向に開繊し
た後、マトリックス樹脂を開繊繊維束間に含浸させる含
浸工程を有する長繊維ペレットの製造方法において、開
繊繊維束を、曲面を有するダイと該ダイの曲面部と対向
する位置に設けられた加熱部材との間の前記ダイの曲面
に当接して通過させ、薄膜状の上記マトリックス樹脂を
上記ダイから吐出して開繊繊維束に塗布してダイ側にな
すりつけ、該マトリックス樹脂を開繊繊維束の内部まで
しみ込ませて含浸することを特徴とする長繊維ペレット
の製造方法。
【0010】(2)マトリックス樹脂を薄膜状で吐出す
るダイのスリット幅は該ダイの曲面を呈する幅と実質的
に同一で、かつダイ曲面の長手方向に複数の微小溝を有
するとともに、該複数の微小溝を有する曲面部分はダイ
の端面と同一平面内になく窪み部に加工されていること
を特徴とする前記(1)に記載の長繊維ペレットの製造
方法。
【0011】(3)前記ダイの曲面部と対向する位置に
設けられた加熱部材のダイ側の表面が、該ダイの曲面と
ほぼ同一の曲面にされていることを特徴とする前記
(1)または(2)に記載の長繊維ペレットの製造方
法。
【0012】(4)前記なすりつけ時間の範囲が、0.
2〜0.8secであることを特徴とする前記(1)〜
(3)のいずれかに記載の長繊維ペレットの製造方法。
【0013】(5)マトリックス樹脂が、重量平均分子
量が10,000〜100,000の熱可塑性樹脂から
なることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに
記載の長繊維ペレットの製造方法。
【0014】(6)熱可塑性樹脂がポリアミド、または
ポリフェニレンサルファイドであることを特徴とする前
記(5)に記載の長繊維ペレットの製造方法。
【0015】(7)連続的に供給されてくる繊維束をク
リールから20〜35m/分で引き出すことを特徴とす
る前記(1)〜(6)のいずれかに記載の長繊維ペレッ
トの製造方法。
【0016】(8)繊維束が炭素繊維であることを特徴
とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の長繊維ペ
レットの製造方法。
【0017】(9)周方向に複数の微小溝を有する加熱
したバーを前記ダイの前後に設けたことを特徴とする前
記(1)〜(8)のいずれかに記載の長繊維ペレットの
製造方法。
【0018】(10)前記含浸工程のあとに集束賦型部
を設け、該集束賦型部における含浸されたマトリックス
樹脂の温度低下が含浸部よりも10℃以下であるように
したことを特徴とする前記(1)〜(9)のいずれかに
記載の長繊維ペレットの製造方法。
【0019】(11)ボビンを装着したクリールと、繊
維束を幅方向に開繊する開繊装置と、マトリックス樹脂
を開繊繊維束間に含浸するための含浸部と、樹脂含浸開
繊繊維束を集束して賦型する集束賦型部と、ガット糸を
冷却する冷却部と、ガット糸を切断するペレタイズ装置
からなることを特徴とする長繊維ペレットの製造装置。
【0020】(12)含浸部はダイと該ダイの裏側に設
けられた加熱部材からなるとともに、該ダイはマトリッ
クス樹脂を薄膜状で吐出する機構と、樹脂付き開繊繊維
束の開繊幅を維持する機構と、開繊繊維束に塗布された
マトリックス樹脂を開繊繊維束の内部までしみ込ませて
含浸する機構を備え、ダイの裏側の加熱部材はマトリッ
クス樹脂の温度を保持してマトリックス樹脂が開繊繊維
束の中を流動し易くする機能を備えたことを特徴とする
前記(11)に記載の長繊維ペレットの製造装置。
【0021】(13)繊維束が炭素繊維であることを特
徴とする前記(11)または(12)に記載の長繊維ペ
レットの製造装置。
【0022】(14)ダイの前後に開繊繊維束の開繊幅
を保持するための保持機能を備えたことを特徴とする前
記(11)〜(13)のいずれかに記載の長繊維ペレッ
トの製造装置。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形
態を図面を参照して説明する。図1、図2、図3、図
4、図5および図6は、本発明の一実施態様に係る製造
方法および製造装置を示している。
【0024】図1は、本発明に用いるダイおよびダイの
裏側の加熱部材の概略縦断面図、図2は、図1でダイ裏
側の加熱部材を取り除いた状態で、ダイの裏側のZ方向
から見た概略平面図、図3は、図1におけるA−A部断
面図、図4は、図1のダイの裏側の加熱部材の概略斜視
図、図5は、本発明の長繊維ペレット製造装置の一例を
示す概略斜視図、図6は、本発明の中の開繊装置の一例
を示す概略斜視図である。
【0025】まず、本発明の製造装置の中でも重要な含
浸工程での主要部品であるダイ回りの構成要素を説明す
る。図1においてダイ10は、調節側ブロック11と固
定側ブロック12とスリット部材13およびダイの裏側
の加熱部材14の主要部材で構成され、スリット部材1
3は調節側ブロック11に取付た取付板15を介して固
定されている。固定側ブロック12のスリット先端部に
は溶融したマトリックス樹脂2が溜まるようR面取り1
6加工が施してある。また、溶融したマトリックス樹脂
2の流入孔17と該流入孔17に繋がり溶融したマトリ
ックス樹脂2を薄膜状で吐出するためのキャビティー1
8が調節側ブロック11と固定側ブロック12に各々半
割状で加工されている。なお、流入孔17は、キャビテ
ィー18の長手方向の中央部に設けられている。
【0026】次に図1でダイの裏側の加熱部材を取り除
いた状態で、ダイの裏側のZ方向から見た概略平面図で
ある図2において、溶融したマトリックス樹脂が塗布含
浸された開繊繊維束72の開繊維持と、溶融したマトリ
ックス樹脂2が、走行する開繊繊維束71によってダイ
10の後部側へ運ばれ、溶融したマトリックス樹脂が途
切れないよう、曲面を有する固定側ブロック12には開
繊繊維束71の開繊幅と同一幅で長手方向に複数の微小
溝19が加工されている。
【0027】また、固定側ブロック12の曲面に加工さ
れた複数の微小溝19は、図1のA−A部断面図である
図3に示す如く、曲面を有するダイ10の端面10a,
10bと同一平面内になく、窪み部20に加工されてい
る。すなわち、ダイ10は、ダイの裏側のZ方向から見
た図2において、固定側ブロック12には、ダイの長手
方向中心位置から上下対称で調節側ブロック11に取付
られたスリット部材13の幅だけ、ダイの長手方向に波
形形状を呈した複数の微小溝19が加工されている。こ
の微小溝19が加工された幅の部分は、各部品を組立た
ダイを取り付けるため穴グリ加工された部分(微小溝1
9を挟んで左右に帯状になったところ)よりも数mm窪
んでいる。
【0028】また、図1のダイの裏側の加熱部材の概略
斜視図である図4に示すように、ダイ10側の曲面を加
熱する加熱部材14の曲面21は、ダイ10の曲面とほ
ぼ同一曲面で平滑面に仕上られ、ダイ10に加工された
微小溝19と隙間をもって対向する形で配設されてい
る。
【0029】次に、本発明の長繊維ペレット製造装置の
一例を示す概略斜視図に基づき製造装置の構成要素を説
明する。図5において、70は、強化繊維束で矢印方向
に走行し、本発明の製造装置により長繊維ペレット75
が製造される。1は、本発明に係る一連の製造装置で、
含浸部5、集束賦型部30、冷却部40およびペレタイ
ズ装置50から構成されている。
【0030】含浸部5は、溶融したマトリックス樹脂2
を造るためのスクリュー押出機6と、上記マトリックス
樹脂2を定量吐出するギアポンプ7と、上記マトリック
ス樹脂2を薄膜状で塗布含浸するためのダイ10と含浸
促進バー23で構成されている。
【0031】また、上記マトリックス樹脂が塗布含浸さ
れた開繊繊維束72を集束して実質的に円形状に賦型す
る集束賦型部30は、集束部材31と賦型ブロック32
および賦型ノズル33で構成されている。
【0032】含浸部5周りの構成をさらに詳しく述べる
と、スクリユー押出機6の先端側にはギアポンプ7やダ
イ10を取り付けるためのダイブロック8が設けられ、
ギアポンプ7から溶融したマトリックス樹脂2の吐出量
がある範囲内で任意に変更できるようその駆動系9に連
結されている。また、スクリユー押出機6、ダイブロッ
ク8、ギアポンプの駆動系9、ダイ10、加熱部材1
4、含浸促進バー23、集束部材31、賦型ブロック3
2、賦型ノズル33は、図示しない給電設備に接続さ
れ、モータ駆動や各構成部品が所望温度に加熱されるよ
うになっている。
【0033】また、ダイ10の後部位置の含浸促進バー
23は複数本配設され、その形状は筒状を呈しその外周
面に長手方向と直角で多数の微細なU溝が加工したもの
や単なる筒状になったものなどである。
【0034】図5に示すように、含浸部5を経て集束賦
型部30を出たガット糸73は、次の冷却部40へと進
行して行く。冷却部40は、箱体41の内部に図示を省
略した冷却水を通水した非常にシンプルなもので、箱体
41の上面にガット糸73が接触しつつ次のペレタイズ
装置50に向かって走行している。
【0035】ペレタイズ装置50に走行してきたガット
糸73は、該ペレタイズ装置50で切断されペレット化
される。ペレタイズ装置50は、金属製の円筒外周面に
ローレット加工したボトムローラ51と金属製の円筒外
周面にゴムを付けたトップローラ52と固定刃53およ
び回転刃54で構成され、固定刃53以外は図示しない
軸受に支持されている。また、ペレタイズ装置50は、
図示しない給電設備に接続され、駆動系、伝達系を介し
てボトムローラ51、回転刃54が回転するようになっ
ている。
【0036】連続して給糸される強化繊維束70を幅方
向に繊維と繊維の間隔が広がるように開繊するための開
繊装置60が前記含浸部5の前部に配設されている。図
6に示すように、開繊装置60は、複数のフリーローラ
61と可変速モータ62とフリーローラ63を縦振動す
るための駆動機構64で構成されている。駆動機構64
は、偏芯ボス65、伝達軸66およびスライド部材67
からなり、可変速モータ62の回転運動は、駆動機構6
4により往復運動に変換される。複数のフリーローラ6
1は、縦振動するフリーローラ63の区間を除き千鳥配
列で図示しない支持体に固定されている。強化繊維束7
0は、複数のフリーローラ61を経由した後、縦振動す
るフリーローラ63のところは上面を走行し開繊繊維束
71となり、加熱バー22を経由して含浸部5へと走行
して行く。加熱バー22は図示しない給電設備に接続さ
れ、所望温度に加熱されるようになっている。
【0037】次に、上記図面を用いて本発明の製造方法
について詳細に説明する。
【0038】走行速度Vでクリールから連続的に給糸さ
れる強化繊維束70は、図示を省略した前処理部に搬送
され、強化繊維束の状態により前処理が必要な場合に
は、適当な前処理が施される。特にサイジング剤により
強化繊維束70に柔軟性がない場合や、強化繊維束70
が丸く束ねられている場合には、強化繊維束70をヒー
タや熱風ノズルで加熱してサイジング剤を軟化したり、
しごきバー等の簡単な開繊手段で予備開繊しておくこと
が有効である。
【0039】次に前処理部を通過した強化繊維束70
は、ペレタイズ装置50で引き取られているため図示し
ない糸道規制ローラを経て開繊装置60に導入される。
図6に示す開繊装置60に導入された強化繊維束70
は、千鳥配列された複数のフリーローラ61を通過し
て、可変速モータ62の出力軸に取付た偏芯ボス65と
伝達軸66を介して繋がったスライド部材67に取付た
フリーローラ63の上面に至る。フリーローラ63は、
一定の周波数で往復運動しているため、縦振動するフリ
−ローラ63が隣り合うフリーローラ61の上面より下
がると、強化繊維束70は張力が解除されて弛みを生じ
る。この時、強化繊維束70全体は走行方向に圧縮を受
けている状態となるが、収縮しきらない単糸自身は行き
場を失い幅方向に膨らむ。その状態で縦振動するフリー
ローラ63が、隣り合うフリーローラ61の上面より上
がってくると、強化繊維束70と隣り合うフリーローラ
61間の摩擦で開繊状態となり開繊繊維束71を得るこ
とができる。縦振動するフリーローラ63の後部側に位
置する千鳥配列された複数のフリーローラ61や加熱バ
ー22で開繊繊維束71の開繊を維持しながら次の含浸
部5へと開繊繊維束71は向かう。
【0040】含浸部5に進行してきた開繊繊維束71
は、図1から図5に示すように、ダイ10の裏側に配備
された加熱部材14で加熱されつつ曲面を有するダイ1
0側になすりつけながら走行する。ダイ10のスリット
隙間δから薄膜状で吐出する溶融したマトリックス樹脂
2を、固定側ブロック12のR面取り部とスリット部材
13との間で溜め、溶融したマトリックス樹脂2を上記
開繊繊維束71間に一方向からなすりつけることにより
割り込ませて含浸し、さらに千鳥配列された複数本の含
浸促進バー19の外周面に溶融したマトリックス樹脂が
塗布含浸された開繊繊維束72をこすりつけることによ
り、含浸度アップと走行変換を行った後、集束賦型部3
0に入って行く。
【0041】集束賦型部30では、溶融したマトリツク
ス樹脂が塗布含浸された開繊繊維束72は扁平状を呈し
ているため、入口から出口方向に向かって次第に狭く加
工した溝を有する加熱された集束部材31で紐状に集束
し、加熱された賦型ノズル33を通過させることにより
実質的に円形状に賦型されガット糸73となる。賦型ノ
ズル33を出た直後のガット糸73はまだ半固化状態で
あるため、固化状態にして賦型形状を保持すべく次の冷
却部40へと進め、箱体41の上面を内部から冷却水で
冷やしガット糸73が箱体41の上面を通過中に温度を
下げている。
【0042】冷却部40で固化状態となった強化繊維束
70と固化したマトリックス樹脂3からなるガット糸7
3は、冷却部40の後部に位置するペレタイズ装置50
へと進んで行く。
【0043】ペレタイズ装置50に入ったガット糸73
は、先ず機内の入口に配設され、ガット糸73を引き取
る金属製の円筒外周面にローレット加工し駆動系に接続
されたボトムローラ51と、金属製の円筒外周面にゴム
を付けたトップローラ52でニップされる。その後上記
ボトムローラ51の横に配設された固定刃53と、駆動
系に接続され該固定刃53と極僅かな隙間を有する回転
刃54にガット糸73が入り、所定長さに切断され長繊
維ペレット75となって機外に放出される。
【0044】開繊装置60において、図示を省略した前
処理部で強化繊維束70を加熱してサイジング剤を軟化
しても強化繊維の単繊維の絡まりが強い場合は、本装置
内において強化繊維束70に気体を噴射させる手段を付
加することによりさらに開繊が促進されるので好まし
い。また、強化繊維束70や開繊繊維束71が接触走行
するフリーローラ61や縦振動するフリーローラ63の
表面は、摩擦係数の点から硬質クロームメッキした後梨
地加工を施すのが好ましい。また、開繊装置60の最後
尾のフリーローラ61は、開繊繊維束71の開繊幅が狭
くならないうちに後部の含浸部5に入って行くことが望
ましいため、含浸部5とできる限り距離が接近している
ことが好ましい。
【0045】また、図1において、ダイ10は、調節側
ブロック11と固定側ブロック12とスリット部材13
およびダイの裏側の加熱部材14の主要部材で構成され
ており、固定側ブロック12のスリット先端部は溶融し
たマトリックス樹脂2が溜まるようR面取り16加工が
施してあるが、このR面取り加工幅は、スリット隙間δ
から薄膜状で吐出する溶融したマトリックス樹脂2が開
繊繊維束71の走行方向と交差する方向にはみ出さない
よう、溶融したマトリックス樹脂2の吐出幅と同一であ
ることが好ましい。また、スリット隙間δは溶融したマ
トリックス樹脂2が熱可塑性樹脂である場合、走行速度
Vによって大きく左右されるが、概ね0.5mmから
1.5mmの範囲が好ましい。また、固定側ブロック1
2の端面は、溶融樹脂が塗布含浸された開繊繊維束72
が走行中常に当接状態となり、溶融したマトリックス樹
脂2を開繊繊維束71間に固定側ブロック12側から割
り込ませて含浸させるためにも円弧状が好ましい。ま
た、開繊繊維束71に塗布された直後の溶融したマトリ
ックス樹脂2が途切れず均一に付着させるために、ダイ
10の曲面の長手方向に複数の微小溝19を設けること
や、スリット部材13の先端面が極僅かだけ固定側ブロ
ック12のR面取りした端面より飛び出しているのが好
ましい。
【0046】図1において、ダイ10は、調節側ブロッ
ク11と固定側ブロック12とスリット部材13および
ダイの裏側の加熱部材14の主要部材で構成されたもの
を示したが、本態様に必ずしも限定されるものではな
く、溶融したマトリックス樹脂2が薄膜状で吐出され、
かつ、図1に示した溶融したマトリックス樹脂2の溜め
や溶融したマトリックス樹脂が塗布含浸された開繊繊維
束72を当接できる等の機能が具備されてあれば良い。
【0047】また、図5において、ダイ10の前後に加
熱したバーを配設した態様を示したが、ダイ10の前の
加熱したバーについては、必ずしも限定されるものでは
なく、強化繊維束70の種類、形状、繊維束の本数等に
より、不要な場合もある。
【0048】また、図5において、ダイ10の後部に位
置する含浸促進バー23は、その形状が筒状を呈しその
外周面に長手方向と直角で多数の微細なU溝が加工した
ものや単なる筒状になったものを示したが、本態様に必
ずしも限定されるものではなく、筒状の外周に細いワイ
ヤーを緻密に巻き付けたワイヤーバーや筒状の外周面を
波形状に転造加工したワイヤレスバー等であっても良
い。また、含浸促進バー23は、強化繊維束70の種
類、形状、繊維束の本数等により、複数本全てが単なる
筒状になったもので良い場合もあり得る。また、含浸促
進バー23には、溶融したマトリックス樹脂が塗布含浸
された開繊繊維束72が接触走行するが、溶融したマト
リックス樹脂2が開繊繊維束71にコーティングされた
状態となっている。このため含浸促進バー23の表面仕
上は滑らかな機械加工仕上で構わない。
【0049】また、図5の集束賦型部30で、開繊繊維
束71に塗布含浸された溶融したマトリックス樹脂2の
粘度アップを抑えるため、該集束賦型部30での温度低
下範囲は、含浸部5の実温に対し10℃以下が好まし
く、5〜10℃がさらに好ましく、5℃以下がより好ま
しい。
【0050】また、図5の集束部材31は、図を省略し
箱体のトンネル状を配設し、次いで加熱された賦型ブロ
ック32に配設された賦型ノズル33を示したが、本態
様に必ずしも限定されるものではなく、扁平状の溶融し
たマトリックス樹脂が塗布含浸された開繊繊維束72を
実質的に円形状を呈する紐状に集束できる機能が具備さ
れてあれば良い。
【0051】また、図5において、冷却部40を走行す
るガット糸73の冷却は、箱体41の上面を内部から冷
却水で冷やす態様を示したが、本態様に必ずしも限定さ
れるものではない。
【0052】また、図6において、開繊装置60は複数
のフリーローラ61を千鳥配列としたものを示したが、
本態様に必ずしも限定されるものではなく、強化繊維束
70の種類、形状、繊維束の本数、サイジング剤の付着
状態等により、場合によっては直列に配列しても構わな
い。また、可変速モータ62の出力軸に取付た偏芯ボス
65と伝達軸66を介して繋がったスライド部材67に
取付たフリーローラ63が往復運動する態様を示した
が、本態様に必ずしも限定されるものではない長繊維ペ
レットの切断長さの範囲は、1〜50mmが好ましい。
この範囲を外れてその長さが長い場合には、射出成形時
に長繊維ペレットの噛み込みが悪化するので好ましくな
い。また、この範囲を外れてその長さが短い場合は、長
繊維ペレットそのものが短くなるため、強化繊維束も同
様に短くなり、長繊維ペレットの特性が生かせられない
ので好ましくない。
【0053】なお、本発明が適用できる繊維束として
は、炭素繊維、ガラス繊維、バラ系アラミド繊維(例え
ば、東レ・デュポン社製“ケブラー”繊維)等が挙げら
れるが、力学的特性の向上効果に優れた炭素繊維が好ま
しい。
【0054】本成形材料に用いるマトリックス樹脂であ
る熱可塑性樹脂は、特に限定されない。ポリアミド(ナ
イロン6、ナイロン66等)、ポリオレフィン(ポリエ
チレン、ポリプロピレン等)、ポリフェニレンサルファ
イド、ポリカーボネート等を用いることができる。ま
た、ナイロン6とナイロン66との共重合ナイロンのよ
うに共重合したものであっても良い。また、目的に応じ
て、難燃剤、難燃助剤、流動性改質剤、酸化防止剤等の
任意の添加剤を使用しても良い。
【0055】溶融したマトリックス樹脂を含浸部で含浸
させ、その樹脂含浸度を上げることを考慮すると、熱可
塑性樹脂は粘度が低い方が好ましく、重量平均分子量で
10,000〜100,000の範囲が好ましい。
【0056】
【実施例】[実施例1]図5は、本実施例で使用した製
造装置の概略斜視図で、図1から図4および図6に製造
装置を構成した装置をより詳しく示した。
【0057】図1〜図6に示す装置において、含浸部5
を構成する主要部材は、スクリュー押出機6、ギアポン
プ7、ダイ10、含浸促進バー23である。また、集束
賦型部30を構成する主要部材は、集束部材31と賦型
ブロック32および賦型ノズル33である。
【0058】スクリュー径φ40、L/D=28のスク
リュー押出機を用い、ギアポンプは入口1カ所で出口が
2カ所となった1.2cc/rev×2のものをダイブ
ロック8の上面に取り付け、ギアポンプ駆動系9は最高
回転数100rpmまで可能なものを配備した。また、
ダイブロック8の下面には、塗布含浸幅が30mmでス
リット間隔δが1.2mmのダイ10を取り付けた。ダ
イ10は、調節側ブロック11、固定側ブロック12、
スリット部材13およびダイの裏側の加熱部材14から
成る主要部材で構成され、固定側ブロック12のスリッ
ト先端の樹脂溜め部を形成するためのR面取り16の大
きさはR8とし、溶融したマトリックス樹脂が塗布含浸
された開繊繊維束72がなすりつけられる部分は半径5
00mmの円弧とし、流入孔17の中心からダイ後部端
面までの長さLは200mmとした。また、上記開繊繊
維束72がなすりつけられる曲面と40mm空隙が空く
よう加熱部材14を配備した。また、スリット部材13
の先端面が固定側ブロック12のR面取りした端面より
0.5mmだけ飛び出すようにした。
【0059】ダイ10の固定側ブロック12の円弧に当
接走行して前記ダイを通過した扁平状の溶融したマトリ
ックス樹脂が塗布含浸された開繊繊維束72は、千鳥配
列状に3本配設した筒状の外径がφ20mmで外周面を
滑らかに機械仕上し、棒状ヒータを内蔵した含浸促進バ
ー23でさらに接触面が強制的に繰り返し変えられて含
浸度が上げられる。
【0060】含浸促進バー23の後部に、棒状ヒータを
内蔵し長さ50mmで、入口部35mm出口部5mmで
断面形状がコの字形を呈し上部が開放された溝を有する
集束部材31を配設した。集束部材31の溝は、滑らか
に機械加工されている。
【0061】集束部材31のさらに後部にノズル口径が
φ1.8mm、ノズル長さが14mmでノズルの端面が
R面取り加工された賦型ノズル33を棒状ヒータを内蔵
した賦型ブロック32の集束部材側の側面に取付けた。
【0062】マトリックス樹脂が熱可塑性樹脂であるポ
リアミド系であるため、含浸部5を構成するダイ10、
加熱部材14、含浸促進バー23、集束賦型部30を構
成する集束部材31、賦型ノズル33および含浸部5手
前の加熱バー22等は、その加熱温度が280℃〜30
0℃になるよう設定した。
【0063】次に、冷却部40を構成する上面が冷却水
で冷やされた箱体41は、ガット糸73の走行方向長さ
が1500mm、幅方向長さが300mmで高さ150
mmとし、前記ガット糸73が箱体41の上面を接しな
がら走行するようにし、賦型ノズル33から箱体41入
口までの距離を2mとした。
【0064】冷却部40の後方5mの位置にペレタイズ
装置50を設置した。ペレタイズ装置50の機内に配備
された金属製の円筒外周面にローレット加工した直径φ
70mmのボトムローラ51と、金属製の円筒外周面に
ゴムを付けた直径φ100mmのトップローラ52でガ
ット糸73をニップし、駆動系に接続されたボトムロー
ラ51でガット糸73を引き取る。次にガット糸73
は、刃先に超硬が付いた固定刃53と、駆動系に接続さ
れ該固定刃53と極僅かな隙間を有する直径φ160m
mの回転刃54に入り、所定長さに切断され長繊維ペレ
ット75となってペレタイズ装置50の機外に放出され
る。
【0065】含浸部5の前部に配設した開繊装置60
は、直径φ30mmで外周面を硬質クロームメッキした
後梨地処理加工した複数のフリーローラ61と、出力軸
回転数範囲が0〜500rpmに可変速できる可変速モ
ータ62とフリーローラ63を縦振動するための駆動機
構64で構成した。なお、縦振動するフリーローラ63
は、上記フリーローラ61と同仕様のものを用いた。可
変速モータ62の出力軸に取付た偏芯ボス65の伝達軸
66取付位置は、可変速モータ62の出力軸と25mm
隔てた。複数のフリーローラ61は、縦振動するフリー
ローラ63の区間を除きピッチ80mmの千鳥配列で図
示しない支持体に固定した。縦振動するフリーローラ6
3の区間は、160mm隔ててフリーローラ61を図示
しない支持体に固定した。そして、縦振動するフリーロ
ーラ63の上死点は、160mm隔てたフリーローラ6
1の上面より20mm高い位置とした。また、縦振動す
るフリーローラ63の往復運動で生じる強化繊維束70
の張力解除/付与による開繊を促進するため、該フリー
ローラ63の後部に配設したフリーローラ61の外周側
面に、図示を省略したスリットノズルから出る圧縮空気
を吹き付けた。強化繊維束70は、複数のフリーローラ
61を経由した後、縦振動するフリーローラ63のとこ
ろは上面を走行し開繊繊維束71となる。開繊繊維束7
1は、開繊装置60の最後尾のフリーローラ61から加
熱バー22を経由し、開繊を維持しながら含浸部5へと
走行して行く。最後尾のフリーローラ61の芯とダイ1
0のスリット隙間δまでの距離は60mmとした。
【0066】次に上記実施例装置の実施条件と効果を説
明する。
【0067】使用した強化繊維束70は、炭素繊維(東
レ株式会社製“トレカ”T700SC−12K−50
C)で無撚糸である。この強化繊維束70はサイジング
剤により扁平になっており、初期幅は6mmであった。
この糸を2糸条通し、走行速度30m/分で図示を省略
した前処理部で200℃前後まで加熱してサイジング剤
を軟化した後、製造装置に連続給糸した。
【0068】強化繊維束70が長繊維ペレット75中に
占める重量割合、すなわち強化繊維束含有率を30重量
%にすべくギアポンプ駆動系9の回転数は43rpmに
設定した。
【0069】開繊装置60では、可変速モータ62を5
00rpmで回転させてフリーローラ63を8.3Hz
で縦振動し、0.25MPaの圧縮空気をスリットノズ
ルから強化繊維束70に吹き付けたところ、本装置の出
口では繊維が薄く均一に開繊し開繊幅が約24mm〜2
8mmの開繊繊維束71となった。また、目立った毛羽
の発生はなかった。
【0070】次に、開繊繊維束71をダイ10の裏側を
加熱する加熱部材が配備されたダイ10に導き、スクリ
ュー押出機6から280℃で溶融させたナイロン6樹脂
を該ダイ10のスリット隙間δから薄膜状で吐出し、曲
面を有するダイ10のなすりつけ面で開繊繊維束71に
塗布後、一方向から前記樹脂を割り込ませて含浸し、後
部の含浸促進バー23でさらに接触面を強制的に繰り返
し変え含浸度を上げた。
【0071】次に、この扁平状のナイロン6樹脂が塗布
含浸された開繊繊維束を、集束部材31と孔径φ1.8
mmの賦型ノズル33を通過させた後冷却部40で室温
近くまで冷却し、ペレタイズ装置50に導いて長さ7m
mに切断し長繊維ペレット75を得た。得られた長繊維
ペレット75は、樹脂部の割れなどにより強化繊維束の
一部が露出することがなく、表面が滑らかなものであっ
た。
【0072】長繊維ペレット75の外周面をテープで巻
いた後エポキシ樹脂に包埋し、研摩後顕微鏡写真を撮影
して分析評価した結果、樹脂含浸度が90%以上の高品
位なものが得られた。また、得られた長繊維ペレット7
5の強化繊維束含有率を調べるべく、切断しなかったガ
ット糸73を長さ1mに切断しその重量から計算した結
果、30.5重量%であった。
【0073】この得られた長繊維ペレット75とナイロ
ン6樹脂チップを全体に対して炭素繊維が30重量%と
なるように混合し、型締力350Tonの射出成形機に
より、外形が約300mm×約210mm、高さ約30
mm、厚み1mm弱の筺体試験品をゲートが数点ある金
型を用いて成形した。成形材料である長繊維ペレット7
5をホッパーに投入後、成形に問題は生じず、ゲートの
反対側、すなわち成形品の表面に強化繊維の浮きのない
奇麗な筺体試験品が得られた。また、含浸助剤を用いて
いないために、成形時にガスの発生が極めて少ない。こ
のため、射出成形機の金型汚れが少なく、連続成形して
も通常の金型と同程度の清掃頻度で十分であることが分
かった。
【0074】[実施例2]実施条件として、強化繊維束
70の走行速度を35m/分にすべくギアポンプ駆動系
9の回転数を50rpmに設定した以外は、全て実施例
1と同一条件とした。
【0075】得られた長繊維ペレット75は、表面が滑
らかなもので、その長繊維ペレット75を実施例1と同
様に分析評価した結果、樹脂含浸度が80%以上の高品
位なものであった。また、得られた長繊維ペレット75
の強化繊維束含有率を実施例1と同様に調べた結果、3
0.2重量%であった。得られた長繊維ペレット75に
は多少小さなボイドが認められたが、品質には何ら問題
のないレベルであった。
【0076】この得られた長繊維ペレット75とナイロ
ン6樹脂チップを全体に対して炭素繊維が30重量%と
なるように混合し、実施例1と同じ金型を装着した同じ
射出成形機を用いて成形した。その結果、実施例1で得
た筺体試験品と遜色のないものが得られた。
【0077】[比較例1]実施条件として、ダイの裏側
に配備の加熱部材14を取り除いた以外は、全て実施例
1と同一条件とした。
【0078】長繊維ペレット75試作中に、ペレタイズ
装置50で切断され、機外に放出された長繊維ペレット
75の中に強化繊維束70の単繊維の一部が混入した。
【0079】この長繊維ペレット75を実施例1と同様
に分析評価した結果、未含浸部が認められ、樹脂含浸度
は60%と低い値であった。
【0080】この得られた長繊維ペレット75とナイロ
ン6樹脂チップを全体に対して炭素繊維が30重量%と
なるように混合し、実施例1と同じ金型を装着した同じ
射出成形機を用いて成形した結果、ゲートの反対側即ち
成形品の表面側のゲート位置回りに、強化繊維束の分散
不良による強化繊維のかたまり、いわゆる強化繊維束の
浮きと呼ばれる状況が発生し、品位が優れない筺体試験
品であった。
【0081】[比較例2]実施条件として、図7に示す
ダイをダイブロックに装着した以外は、全て実施例1と
同一条件とした。図7に示す通りスリット間隔δは1.
2mm、固定側ブロック12のスリット先端の樹脂溜め
部を形成するためのR面取り16の大きさはR5、溶融
したマトリックス樹脂が塗布含浸された開繊繊維束72
をなすりつける部分は半径250mmの円弧で長手方向
に複数の微小溝なし、流入孔17の中心からダイ後部端
面までの長さLは60mm、スリット部材13の先端面
が固定側ブロック12のR面取りした端面より0.5m
m飛び出している。なお、ダイの裏側を加熱する部材は
ない。
【0082】強化繊維束70の走行速度が30m/分で
あるため、溶融したマトリックス樹脂が塗布含浸された
開繊繊維束72をなすりつける時間は0.12secと
極めて短い。このため、長繊維ペレット75試作中に、
ペレタイズ装置50で切断され、機外に放出された長繊
維ペレット75の中に強化繊維束70の単繊維が結構混
入した。
【0083】この長繊維ペレット75を実施例1と同様
に分析評価した結果、あちらこちらに未含浸部が認めら
れ、樹脂含浸度は40%以下であった。
【0084】この得られた長繊維ペレット75は、比較
例1よりもさらに樹脂含浸度が低いため、成形評価は行
わなかった。
【0085】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
クリールから連続的に給糸される複数の単繊維からなる
強化繊維束を幅方向に開繊した後、曲面を有するダイと
ダイの裏側にダイの曲面を加熱する加熱部材を設け、溶
融したマトリックス樹脂を薄膜状で開繊繊維束に塗布し
てダイ側になすりつけて走行させるようにしたので、マ
トリックス樹脂が流動し易い状態で一方向から単繊維間
に割り込むため、粘度の高い熱可塑性樹脂使いで、高速
下で樹脂含浸性の高い高品位な長繊維ペレットを生産す
ることができる。高速運転ができるため大量生産がで
き、長繊維ペレットの低コスト化が図れる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のダイおよびダイの裏側の加熱部材の一
例を示す概略縦断面図である。
【図2】図1でダイ裏側の加熱部材を取り除いた状態
で、ダイの裏側のZ方向から見た概略平面図である。
【図3】図1でA−A部における断面図である。
【図4】図1のダイの裏側の加熱部材の概略斜視図であ
る。
【図5】本発明の長繊維ペレット製造装置の一例を示す
概略斜視図である。
【図6】本発明の中の開繊装置の一例を示す概略斜視図
である。
【図7】比較例ダイの概略縦断面図である。
【符号の説明】
1:製造装置 2:溶融したマトリックス樹脂 3:固化したマトリックス樹脂 5:含浸部 6:スクリュー押出機 7:ギアポンプ 8:ダイブロック 9:ギアポンプの駆動系 10:ダイ 10a,10b:ダイの端面 11:調節側ブロック 12:固定側ブロック 13:スリット部材 14:加熱部材 15:取付板 16:R面取り 17:流入孔 18:キャビティー 19:微小溝 20:窪み部 21:加熱部材の曲面 22:加熱バー 23:含浸促進バー 30:集束賦型部 31:集束部材 32:賦型ブロック 33:賦型ノズル 40:冷却部 41:箱体 50:ペレタイズ装置 51:ボトムローラ 52:トップローラ 53:固定刃 54:回転刃 60:開繊装置 61:フリーローラ 62:可変速モータ 63:フリーローラ 64:駆動機構 65:偏芯ボス 66:伝達軸 67:スライド部材 70:強化繊維束 71:開繊繊維束 72:溶融したマトリックス樹脂が塗布含浸された開繊
繊維束 73:ガット糸 74:強化繊維の単繊維 75:長繊維ペレット δ:スリット隙間 V:走行速度 L:流入孔の中心からダイ後部端面までの長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4F072 AA04 AB10 AB22 AD44 AD46 AG05 AH13 AH25 AH33 AH49 AK04 AL11 4F201 AA29 AA34 AD16 AH33 BA02 BC01 BC02 BC12 BC15 BC37 BD04 BL13 BL34 BL44

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】連続的に供給されてくる繊維束を幅方向に
    開繊した後、マトリックス樹脂を開繊繊維束間に含浸さ
    せる含浸工程を有する長繊維ペレットの製造方法におい
    て、開繊繊維束を、曲面を有するダイと該ダイの曲面部
    と対向する位置に設けられた加熱部材との間の前記ダイ
    の曲面に当接して通過させ、薄膜状の上記マトリックス
    樹脂を上記ダイから吐出して開繊繊維束に塗布してダイ
    側になすりつけ、該マトリックス樹脂を開繊繊維束の内
    部までしみ込ませて含浸することを特徴とする長繊維ペ
    レットの製造方法。
  2. 【請求項2】マトリックス樹脂を薄膜状で吐出するダイ
    のスリット幅は該ダイの曲面を呈する幅と実質的に同一
    で、かつダイ曲面の長手方向に複数の微小溝を有すると
    ともに、該複数の微小溝を有する曲面部分はダイの端面
    と同一平面内になく窪み部に加工されていることを特徴
    とする請求項1に記載の長繊維ペレットの製造方法。
  3. 【請求項3】前記ダイの曲面部と対向する位置に設けら
    れた加熱部材のダイ側の表面が、該ダイの曲面とほぼ同
    一の曲面にされていることを特徴とする請求項1または
    2に記載の長繊維ペレットの製造方法。
  4. 【請求項4】前記なすりつけ時間の範囲が、0.2〜
    0.8secであることを特徴とする請求項1〜3のい
    ずれかに記載の長繊維ペレットの製造方法。
  5. 【請求項5】マトリックス樹脂が、重量平均分子量が1
    0,000〜100,000の熱可塑性樹脂からなるこ
    とを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の長繊維
    ペレットの製造方法。
  6. 【請求項6】熱可塑性樹脂がポリアミド、またはポリフ
    ェニレンサルファイドであることを特徴とする請求項5
    に記載の長繊維ペレットの製造方法。
  7. 【請求項7】連続的に供給されてくる繊維束をクリール
    から20〜35m/分で引き出すことを特徴とする請求
    項1〜6のいずれかに記載の長繊維ペレットの製造方
    法。
  8. 【請求項8】繊維束が炭素繊維であることを特徴とする
    請求項1〜7のいずれかに記載の長繊維ペレットの製造
    方法。
  9. 【請求項9】周方向に複数の微小溝を有する加熱したバ
    ーを前記ダイの前後に設けたことを特徴とする請求項1
    〜8のいずれかに記載の長繊維ペレットの製造方法。
  10. 【請求項10】前記含浸工程のあとに集束賦型部を設
    け、該集束賦型部における含浸されたマトリックス樹脂
    の温度低下が含浸部よりも10℃以下であるようにした
    ことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の長繊
    維ペレットの製造方法。
  11. 【請求項11】ボビンを装着したクリールと、繊維束を
    幅方向に開繊する開繊装置と、マトリックス樹脂を開繊
    繊維束間に含浸するための含浸部と、樹脂含浸開繊繊維
    束を集束して賦型する集束賦型部と、ガット糸を冷却す
    る冷却部と、ガット糸を切断するペレタイズ装置からな
    ることを特徴とする長繊維ペレットの製造装置。
  12. 【請求項12】含浸部はダイと該ダイの裏側に設けられ
    た加熱部材からなるとともに、該ダイはマトリックス樹
    脂を薄膜状で吐出する機構と、樹脂付き開繊繊維束の開
    繊幅を維持する機構と、開繊繊維束に塗布されたマトリ
    ックス樹脂を開繊繊維束の内部までしみ込ませて含浸す
    る機構を備え、ダイの裏側の加熱部材はマトリックス樹
    脂の温度を保持してマトリックス樹脂が開繊繊維束の中
    を流動し易くする機能を備えたことを特徴とする請求項
    11に記載の長繊維ペレットの製造装置。
  13. 【請求項13】繊維束が炭素繊維であることを特徴とす
    る請求項11または12に記載の長繊維ペレットの製造
    装置。
  14. 【請求項14】ダイの前後に開繊繊維束の開繊幅を保持
    するための保持機能を備えたことを特徴とする請求項1
    1〜13のいずれかに記載の長繊維ペレットの製造装
    置。
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