JP2002185067A - レーザ発振器及びレーザ増幅器 - Google Patents

レーザ発振器及びレーザ増幅器

Info

Publication number
JP2002185067A
JP2002185067A JP2001368842A JP2001368842A JP2002185067A JP 2002185067 A JP2002185067 A JP 2002185067A JP 2001368842 A JP2001368842 A JP 2001368842A JP 2001368842 A JP2001368842 A JP 2001368842A JP 2002185067 A JP2002185067 A JP 2002185067A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
laser
wavelength
light source
rare earth
level
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001368842A
Other languages
English (en)
Inventor
Tadashi Kasamatsu
直史 笠松
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
NEC Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by NEC Corp filed Critical NEC Corp
Priority to JP2001368842A priority Critical patent/JP2002185067A/ja
Publication of JP2002185067A publication Critical patent/JP2002185067A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明は、基底準位より高い2つのエネルギ
ー準位間の誘導放出遷移を利用するレーザ発振器または
レーザ増幅器において、レーザ増幅器の利得ピーク波長
またはレーザ発振器の発振波長を長波長側にシフトさせ
ることにより、より広い波長帯域での増幅動作が可能な
レーザ増幅器およびレーザ発振器を提供することを目的
とする。 【解決手段】 希土類元素を添加した媒体を利得媒質と
し、この希土類元素のイオンのエネルギー準位の中で基
底準位よりエネルギーの高い2つのエネルギー準位をレ
ーザ上準位とレーザ下準位として、その2準位間の誘導
放出遷移を用い、この2準位間に反転分布を形成する第
1の励起光源と、この第1の励起光波長とは異なる波長
により基底準位から前記レーザ下準位にイオンを励起す
る第2の励起光源とを備えることを特徴とするレーザ増
幅器またはレーザ共振器。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はレーザ発振器および
レーザ増幅器に関し、詳しくは、希土類元素を媒体中に
添加した固体レーザ、特にファイバレーザに関する。
【0002】
【従来の技術】エルビウム(元素記号Er)やホルミウ
ム(Ho)、ツリウム(Tm)、プラセオジム(Pr)
といった希土類元素を含む利得媒質を用いたガラスレー
ザ発振器(例えばファイバレーザ)、固体レーザ発振器
やレーザ増幅器(例えばファイバ増幅器)は、光通信や
レーザ加工、レーザ医療等の様々な産業分野において有
望なキーデバイスである。
【0003】通常、エルビウムイオンは波長1.48ミ
クロンまたは波長0.98ミクロンの光源により励起さ
れ、413/2をレーザ上準位とし、基底準位415/2をレ
ーザ下準位とする誘導放出遷移を示す。この誘導放出遷
移により、エルビウム添加ファイバは1.55ミクロン
を中心波長とし、1.53から1.57ミクロンまで広
がる利得スペクトルを発現する。しかし、エルビウムの
413/2415/2遷移は本来、1.50ミクロンから
1.60ミクロンにわたる広い蛍光スペクトルを有して
いるため、励起波長、強度やファイバ長、エルビウム添
加濃度等のファイバパラメータの設定を最適化すること
で1.60ミクロン帯においても、十分な利得を得るこ
とができる。
【0004】このように利得スペクトルのピークを、蛍
光スペクトル帯域内の長波長側(この場合1.60ミク
ロン近辺)にシフトさせることが最近実現されている。
特にエルビウム添加ファイバを極めて長尺化(例えば1
50mから250m程度)することで、利得スペクトル
を長波長側(中心波長1.58ミクロン、増幅帯域1.
56から1.60ミクロン)にシフトした例が報告され
ている(例えば、アイ・イー・イー・イー、フォトニク
ステクノロジーレターズ 第9巻596頁、1997年
(IEEE Photonics Technolog
y Letters, vol. 9 p. 596,
1997) 参照)。
【0005】エルビウムにおけるこのような利得スペク
トルのシフト(以降ゲインシフトと呼ぶ)は、これまで
のファイバ増幅器の限られた波長帯域の増幅動作から、
より広い波長帯域での増幅動作を可能にする有益な技術
である。特に広帯域なファイバ増幅器を必要とする次世
代の大容量波長多重通信において、ゲインシフト技術は
非常に重要である。
【0006】しかしながら、エルビウムの413/24
15/2遷移以外の誘導放出遷移においてはゲインシフトの
例は無い。上記ゲインシフト技術は、レーザ下準位が基
底準位の場合の誘導放出遷移にのみ有効な手法であるた
めである。産業上重要な遷移において、レーザ下準位が
基底準位ではない遷移について、これまでゲインシフト
技術は開発されていない。ここで重要な遷移とは、例え
ば以下に挙げるようなものである。ツリウムの343
4遷移(1.47ミクロン帯)、プラセオジムの14
35(1.3ミクロン帯)は、光ファイバの伝播損失
の低い波長帯域に相当し、光通信において有用である。
またエルビウムの411/2413/2遷移(2.7ミクロ
ン帯)ホルミウムの5657遷移(2.9ミクロン
帯)の遷移等は、人体における水分(詳しくは水酸化物
基;OH基)の吸収がきわめて高く、レーザメス等の生
体医療応用に有効である。このような遷移における利得
スペクトルないし発振スペクトルはレーザ上準位(始準
位)からレーザ下準位(終端準位)へ向かう蛍光スペク
トル(誘導放出断面積のスペクトル)とほぼ同一であ
り、これは材料固有のものである。
【0007】図9にフッ化物ガラス中のツリウム(元素
記号Tm)のエネルギー準位構造と従来の励起方法を示
す。ツリウムをコアに添加したフッ化物ファイバでは、
図10に示す通り1.47ミクロンを中心波長とし1.
45ミクロンから1.50ミクロンの波長範囲において
3434遷移に起因する蛍光スペクトルが見出されて
いる。励起光源を波長1.05ミクロン帯(1.04か
ら1.07ミクロン)とすることで、基底準位から34
準位まで、図9に示す2段階の励起プロセス(励起状態
吸収)を介して高効率に励起でき、1.47ミクロン帯
レーザ増幅およびレーザ発振動作が可能である(特許番
号 第2688303号)。
【0008】しかし、ファイバ増幅器利得の波長依存性
は、蛍光スペクトルとほぼ同一であり、波長1.47ミ
クロンにピークを有する単峰プロファイルである。
【0009】従って、前述の重要な遷移において、より
広い波長帯域での増幅動作が可能なレーザ増幅器および
レーザ発振器が求められていた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、このような
問題点に鑑みてなされたものであり、基底準位より高い
2つのエネルギー準位間の誘導放出遷移を利用するレー
ザ発振器またはレーザ増幅器において、レーザ増幅器の
利得ピーク波長またはレーザ発振器の発振波長を長波長
側にシフトさせることにより、より広い波長帯域での増
幅動作が可能なレーザ増幅器およびレーザ発振器を提供
することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明は、希土類元素を
添加した媒体を利得媒質とし、この希土類元素のイオン
のエネルギー準位の中で基底準位よりエネルギーの高い
2つのエネルギー準位をレーザ上準位とレーザ下準位と
して、その2準位間の誘導放出遷移を用いるレーザ増幅
器であって、この2準位間に反転分布を形成する第1の
励起光源と、この第1の励起光波長とは異なる波長によ
り基底準位から前記レーザ下準位にイオンを励起してレ
ーザ下準位を増大させる第2の励起光源とを備えること
を特徴とするレーザ増幅器に関する。
【0012】また本発明は、希土類元素を添加した媒体
を利得媒質とし、この希土類元素のイオンのエネルギー
準位の中で基底準位よりエネルギーの高い2つのエネル
ギー準位をレーザ上準位とレーザ下準位として、その2
準位間の誘導放出遷移を用いるレーザ発振器であって、
この2準位間に反転分布を形成する第1の励起光源と、
この第1の励起光波長とは異なる波長により基底準位か
ら前記レーザ下準位にイオンを励起してレーザ下準位を
増大させる第2の励起光源とを備えることを特徴とする
レーザ発振器に関する。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明では、第1励起光により所
望のエネルギー準位間に反転分布を形成し、その誘導放
出遷移におけるレーザ増幅動作を達成する。さらに第2
の励起光により、レーザ下準位数密度を増大させること
により、実効的な利得ピーク波長を長波側にシフトさせ
ることができる。この第2励起光の働きについて、以下
に説明する。
【0014】レーザ増幅器の単位長さ当たりの利得はg
(λ)は、次式のように書ける。 g(λ)=σem(λ)NU―σabs(λ)NL ・・・(1) ここで、λ:波長、σem(λ):上準位から下準位への
誘導放出断面積(材料固有)、σabs(λ):下準位か
ら上準位への吸収断面積(材料固有)、NU,NL:それ
ぞれ上準位数密度,下準位数密度(長さ辺りの平均値)
である。
【0015】下準位数密度NLが上準位数密度NUに比べ
て極めて少ない場合、利得プロファイルg(λ)は誘導
放出断面積σem(λ)の波長依存性と同一で、ピーク波
長は材料固有である。しかし第2励起光の入射により、
下準位に無視できない程度の数密度を有する場合、式
(1)に示すように、σabs(λ)NLだけ差し引くの
で、利得スペクトルg(λ)は誘導放出断面積σ
em(λ)と一致しない。ここで一般的に、ある2準位間
の遷移においては、σem(λ)とσabs(λ)の交差点
を除けば、誘導放出σem(λ)のピーク波長は、吸収σ
abs(λ)のピーク波長よりも長波長側に位置する。従
って、下準位数密度が無視できない場合、短波長側にお
いて吸収による利得減少が著しく、長波側においては吸
収による利得減少は(短波側に比して)相対的に少ない
状況となる。その結果、元のスペクトルに比べ、ピーク
が長波側にシフトした形の利得g(λ)が得られ、本発
明の目的が達成される。
【0016】本発明で、使用できる希土類元素は、基底
準位よりエネルギーの高い2つのエネルギー準位をレー
ザ上準位とレーザ下準位として、その2準位間の誘導放
出遷移を用いることができるものであれば制限はない
が、ツリウム、ホルミウム、エルビウムまたはプラセオ
ジムが好ましい。
【0017】希土類元素を添加する媒体は、通常の固体
レーザまたはファイバレーザの媒体として用いられるも
のであればよいが、一般的にはガラス質である。また媒
体をファイバ形状にすると、長さにより利得を稼ぐこと
ができるので、媒体の形状としてはファイバ形状が好ま
しい。従って媒体の材質もファイバ形状に加工できるも
のが好ましく、例えば、石英、リン酸ガラス、ホウ酸ガ
ラス、ゲルマニウムガラス、テルライトガラス、フルオ
ロジルコニウム酸塩ガラス、フルオロリン酸ガラス等を
挙げることができる。この中でもフルオロジルコニウム
酸塩ガラスが、最もフォノンエネルギーが低いため、狭
いエネルギー差の遷移(即ち長波長)でも、非放射遷移
することなく、放射遷移により光としてエネルギーを取
り出すことができるので好ましい。
【0018】また、第1励起光源としては、反転分布を
形成するだけの波長と強度を持つものであれば良く、レ
ーザの上準位と下準位の2つの準位間のエネルギー差を
考慮して適宜選ぶことができ、また第2励起光源として
も、レーザ下準位を励起するための波長や強度を持つも
のであればよく、基底準位とレーザ下準位間のエネルギ
ー差を考慮して選ぶことができる。
【0019】例えば、希土類元素のイオンがツリウムイ
オン(Tm3+)であるときは、第1励起光源として波長
1.04ないし1.07ミクロンの範囲の光源が好まし
く、第2励起光源としては、波長1.53ないし1.9
0ミクロンの範囲の光源が好ましい。
【0020】また、希土類元素のイオンがエルビウムイ
オン(Er3+)の場合は、第1励起光源として、波長
0.81または0.98ミクロンの光源が好ましく、第
2励起光源としては、波長1.45ないし1.57ミク
ロンの範囲の光源が好ましい。
【0021】さらに、希土類元素のイオンがホルミウム
イオン(Ho3+)の場合は、第1励起光源として、波長
0.89または1.15ミクロンの光源が好ましく、第
2励起光源としては、波長1.8ないし2.1ミクロン
の範囲の光源が好ましい。
【0022】本発明の構成は、レーザ増幅器としても、
また適当な共振構造を設けることでレーザ共振器として
も用いることができる。
【0023】また、本発明のように第1の励起光源と第
2の励起光源を用いることにより利得ピークをシフトし
たファイバ増幅器と、従来のようにレーザ下準位と上準
位の2準位間を励起する第1の励起光源のみを備え利得
ピークをシフトしないファイバ増幅器とを、例えば直列
に接続して併用することで、広い増幅波長帯域を必要と
する大容量化に対応できる波長多重通信に使用すること
が可能である。
【0024】
【実施例】以下、実施例を用いて本発明を具体的に説明
する。
【0025】[実施例1]第1の実施例について説明す
る。ツリウム(Tm)を添加したフッ化物ファイバを増
幅ファイバとし3434遷移(1.47ミクロン帯)
に着目する。図1はツリウムのエネルギー準位におい
て、第1励起光及び第2励起光の遷移を明示したもので
ある。図2は本発明のファイバ増幅器の一例を示すもの
である。
【0026】用いた増幅ファイバ1は、フルオロジルコ
ン酸塩ガラスを母材とし、ツリウム濃度2000pp
m、コア径2.0μm、ファイバ長20mである。波長
1.05ミクロン帯のイッテルビウム・ファイバレーザ
(最大出力500mW)からのレーザ光が、反転分布を
形成するための第1励起光源2として、波長多重カプラ
3を介して導入されるようにした。また、増幅ファイバ
1の信号入力ポートと出力ポートにアイソレータ4及び
アイソレータ5を配置することで、戻り光による望まし
くないレーザ発振を抑制した。信号光8は、波長可変半
導体レーザを信号光源とし、波長1.45ミクロンから
1.55ミクロン、出力−20dBmとした。ただし後
で述べるASEスペクトルの測定の際には、飽和信号と
してパワーを0dBmとした。
【0027】このツリウムを添加した増幅ファイバ1に
波長1.55ミクロン帯エルビウムファイバ増幅器(最
大100mW)の増幅出力を第2励起光源6として、波
長多重カプラ7を介して入射する。図2では前方側から
入射しているが、本発明は入射の方向によらない。第2
励起光の波長は、Tmの基底準位から34への吸収遷移
に含まれるように設定すれば良い。この吸収遷移は、お
よそ波長1.65ミクロンにピークを有し、1.9ミク
ロンまで伸びているが、ここでは、その吸収遷移の裾野
に相当する1.56ミクロンを選定した。初期実験では
1.53ミクロンから1.57ミクロンまで波長を可変
としたが、特性に大きな差異は無かった。
【0028】図3に、この構成におけるASE(Amp
lified Spontaneous Emissi
on:増幅された自然放出光)のスペクトルを示す。ス
ペクトル10は、ファイバ増幅器の動作点固定(反転分
布固定)のための1.46ミクロン帯飽和信号(0dB
m入射)である。スペクトル12は第2励起光(波長
1.56ミクロン)である。スペクトル13、スペクト
ル14は第1励起光のみを、それぞれ140mW、20
0mW入射した場合であり、1.47ミクロン帯にピー
クを有する単峰プロファイルである。図10のツリウム
の蛍光スペクトルとほぼ同一である。140mW→20
0mWへと第1励起光の励起パワーを増大させてもプロ
ファイルは変わらず、ASE出力が大きくなるだけであ
る。
【0029】そこで、第1励起光出力140mWに加
え、さらに第2励起光を100mWを入射し、第1励起
光と第2励起光のトータル励起パワーを240mWとし
たとき、プロファイルは短波長側が抑圧され、図3のス
ペクトル11に示すような、長波側に10から15nm
程度シフトしたピークを有するプロファイルに移行し
た。
【0030】この構成における利得スペクトルを図4に
示す。第1励起光のみ入射した場合(第1励起光パワー
200mW)、1.47ミクロンにピークを持つ利得ス
ペクトルを呈しているが、第2励起光(60mW)を第
1励起光(140mW)と同時に入射した場合、利得ス
ペクトルは長波側にシフトし、1.49ミクロンにピー
クを有していることが分かる。実効的な利得は第1励起
光のみ場合に比べ低下するが、ファイバを長尺化するこ
とで補償できる。
【0031】[実施例2]図5に第2の実施例であるツ
リウム添加ファイバレーザの構成図を示す。第1励起光
源2、第2励起光源6は、第1の実施例と同じものを用
いた。ツリウムを添加した増幅ファイバ1の片端に、第
1励起光波長及び第2励起光波長に対し無反射、発振波
長帯(1.47ミクロン)に対し全反射するリアミラー
15を設置し、もう片端には発振波長帯に対し、部分反
射する出力ミラー16を設けた。そして第1励起光及び
第2励起光は、一旦自由空間に放射された後、レンズ1
7、レンズ18とダイクロイックミラー19、リアミラ
ー15を介してツリウム添加の増幅ファイバ1に入射す
るように、それぞれのレンズおよびミラーを配置した。
ファイバレーザ発振光20は、部分反射する出力ミラー
16側から取り出した。
【0032】この構成におけるレーザ発振スペクトルを
図6に示す。特に回折格子やプリズムなどの波長選択素
子をレーザ共振器内に挿入していないにも拘わらず、レ
ーザ発振は、長波側(1.49ミクロン)にて発現して
いる。一方、第2励起光を導入しない通常のツリウム添
加ファイバレーザにおいては、蛍光スペクトルのピーク
に相当する波長1.47ミクロンにおいてレーザ発振を
起こしている。
【0033】[実施例3]第3の実施例として、Erの
411/2413/2遷移(2.7ミクロン帯)に着目す
る。図7にエルビウムのエネルギー準位を示す。第1励
起光源の波長を0.81ミクロンまたは0.98ミクロ
ンとすることで、411/2413/2間に反転分布を形成
することが可能で、誘導放出遷移により2.7ミクロン
帯の利得を発現し得る。基底準位からレーザ下準位4
13/2を励起する第2励起光源の波長を1.45ミクロン
から1.55ミクロンの間に設定することで、利得スペ
クトルを長波側にシフトできる。
【0034】ここでは第2励起光源として、波長1.5
5ミクロンで発振するエルビウムファイバレーザを用い
た。図5において、増幅ファイバ1をエルビウム添加フ
ルオロジルコン酸塩ガラスとし、エルビウム濃度100
0ppm、ファイバ長100cmとすることで、エルビ
ウムファイバレーザを構成した。このとき、第1励起光
のみを入射した時の発振スペクトルは2.7ミクロン近
辺で発振したが、第1及び第2励起光を同時に入射した
時には、長波側にシフトされた2.8ミクロンにおいて
レーザ発振した。
【0035】[実施例4]第4の実施例では希土類元素
としてホルミウムを用いた。図8にホルミウムのエネル
ギー準位図を示す。第1励起光源を0.89ミクロン帯
半導体レーザまたは1.15ミクロン帯ファイバラマン
レーザとして、5657準位間に反転分布を形成し、
2.85ミクロンにピークを持つ利得スペクトルを実現
できる。図5において、増幅用ファイバ1をホルミウム
添加フッ化物ファイバとし、ホルミウム濃度5000p
pm、ファイバ長2mとしてホルミウムファイバレーザ
を構成した。第2励起光源として、市販されている波長
1.8ミクロン乃至2.1ミクロン帯の半導体レーザを
用いた。第1励起光と第2励起光を同時に入射すること
で、約10nm程度の発振波長の長波シフトを観測し
た。
【0036】[実施例5]第5の実施例は、第1の実施
例をさらに発展させた形態に関するものである。ツリウ
ムファイバ(濃度2000ppm、20m長)を利得媒
質としたファイバアンプを、実施例1と同様に図2のよ
うに構成し、前方励起した場合の利得スペクトルを詳細
に検討した。
【0037】入力信号パワーを−30dBm、入力信号
波長を1450から1540nmとし、第1励起光(1
050nm)のパワーを110mWとした。第1励起光
源2として、第1の実施例と同様、波長1050nmの
イッテルビウム添加ファイバレーザを使用した。第2励
起光源6として、1.55ミクロン帯エルビウム添加フ
ァイバ増幅器からの増幅出力を使用し、第2励起光(1
560nm)のパワーを0mWから35.3mWまで段
階的に変えたときの利得スペクトルを調べた。その結果
を図11に示す。図11中、曲線〜はそれぞれ、第
2励起光パワーが、0mW(第2励起光の照射無し)、
8mW、12mW、20mW、35.3mWに対応す
る。
【0038】この図のように、第2励起光パワーが第1
励起光の10%程度までの場合(およびのスペクト
ル)、第2励起光を入射しない場合(のスペクトル)
に比べて、1460−1480nm帯域において利得が
7dB以上増大する。すなわち利得効率は0.2dB/
mWから0.26dB/mWへと向上した。さらに第2
励起光パワーが第1励起光パワーの20%程度(20m
W程度)であれば、利得帯域の平坦化と長波シフトが観
測される(のスペクトル参照)。第1励起光の30%
程度(35.3mW、のスペクトル)であれば利得の
ピーク値は10dB程度に下がるが、増幅帯域は148
0−1510nmであり、より顕著な利得シフトが観測
された。
【0039】これらの結果から、本発明は利得シフトの
みならず、利得効率(dB/mW)改善や利得の平坦化
にも有効であることがわかる。
【0040】[実施例6]第6の実施例では、第5の実
施例で得られた結果に基づき、ファイバを長尺化して、
さらに利得シフトと高利得をめざした。具体的には図1
2に示すようにツリウムファイバ20m(20mずつモ
ジュール化されている)を3つ直列に接続し、それぞれ
に第1励起光と第2励起光を300mW、30mWずつ
前方から入射した。ここでは光カプラなどの光学部品は
図示していない。
【0041】この構成により、図13に示すような利得
スペクトル(のスペクトル;実施例6)が得られた。
この図より、1480−1510nmに選択的に30d
Bの高利得を実現できたことがわかる。利得シフトしな
い状態(のスペクトル;比較例)でのスペクトルと比
較すると、利得シフトと利得効率の改善の効果が明らか
である。
【0042】以上、実施例に基づいて本発明を説明した
が、本発明は、所望の誘導放出遷移を実現し得る希土類
イオンと、反転分布を形成する第1励起光源(波長と強
度)と、下準位を励起するための第2励起光源(波長や
強度)を適切に選択することで、以上に述べた希土類イ
オン中の他の準位間遷移を用いるレーザ増幅またはレー
ザ発振に適用が可能であり、また、他の希土類イオンに
対しても有効である。
【0043】また第2励起光源も、基底準位からレーザ
下準位へ励起するのに適切な波長を有するものであれば
構わない。例えば、半導体レーザ、エルビウムファイバ
レーザ、各種の固体レーザ(チタンサファイア、Nd:
YAGレーザ等)等の他、半導体レーザとファイバ増幅
器を組み合わせた光源(例えば、1.55ミクロン帯D
FBレーザとエルビウム・ファイバアンプ)等を用いる
ことができる。
【0044】
【発明の効果】本発明によれば、利得ピーク波長を長波
長シフトしたレーザ増幅器、発振波長を長波シフトした
レーザ発振器を実現することができる。このため、利得
ピークをシフトしないファイバ増幅器とシフトしたファ
イバ増幅器を併用することで、広い増幅波長帯域を必要
とする大容量化に対応できる波長多重通信に使用するこ
とが可能である。
【0045】また、本発明によれば、さらに光アンプの
利得効率の改善と利得の平坦化も図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ツリウムのエネルギー準位における本発明の励
起方法の説明図である。
【図2】本発明におけるファイバ増幅器の構成図であ
る。
【図3】本発明および従来例のツリウムファイバ増幅器
の増幅された自然放出光(ASE)スペクトルを示すグ
ラフである。
【図4】本発明および従来例のツリウムファイバ増幅器
の増幅利得を示すグラフである。
【図5】本発明におけるファイバレーザ発振器の構成を
示す図である。
【図6】本発明および従来例におけるツリウムファイバ
レーザの発振スペクトルを示すグラフである。
【図7】エルビウムのエネルギー準位における本発明の
励起方法の説明図である。
【図8】ホルミウムのエネルギー準位における本発明の
励起方法の説明図である。
【図9】ツリウムファイバ増幅器の従来の励起方法を示
すエネルギー準位図である。
【図10】ツリウムの従来励起法による蛍光スペクトル
である。
【図11】第5の実施例のファイバアンプの利得スペク
トルを示すグラフである。
【図12】第6の実施例のファイバアンプのの構成を示
す図である。
【図13】第6の実施例のファイバアンプの利得スペク
トルを示すグラフである。
【符号の説明】
1 増幅ファイバ 2 第1励起光源 3 波長多重カプラ 4 アイソレータ 5 アイソレータ 6 第2励起光源 7 波長多重カプラ 8 信号光 9 増幅信号 10 飽和信号(波長1.47ミクロン) 11 ツリウムにおける本発明による長波シフトされた
ASEスペクトル 12 第2励起光(波長1.56ミクロン) 13 ツリウムにおける従来の励起法によるASEスペ
クトル(励起パワー140mW) 14 ツリウムにおける従来の励起法によるASEスペ
クトル(励起パワー200mW) 15 リアミラー 16 出力ミラー 17 レンズ 18 レンズ 19 ダイクロイックミラー 20 ファイバレーザ発振光

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 希土類元素を添加した媒体を利得媒質と
    し、この希土類元素のイオンのエネルギー準位の中で基
    底準位よりエネルギーの高い2つのエネルギー準位をレ
    ーザ上準位とレーザ下準位として、その2準位間の誘導
    放出遷移を用いるレーザ増幅器であって、この2準位間
    に反転分布を形成する第1の励起光源と、この第1の励
    起光波長とは異なる波長により基底準位から前記レーザ
    下準位にイオンを励起してレーザ下準位を増大させる第
    2の励起光源とを備えることを特徴とするレーザ増幅
    器。
  2. 【請求項2】 前記希土類元素が、ツリウム、ホルミウ
    ム、エルビウムおよびプラセオジムからなる群より選ば
    れる元素であることを特徴とする請求項1記載のレーザ
    増幅器。
  3. 【請求項3】 前記希土類元素のイオンがフルオロジル
    コニウム酸塩ガラス中に含まれることを特徴とする請求
    項1または2記載のレーザ増幅器。
  4. 【請求項4】 前記希土類元素のイオンがツリウムイオ
    ン(Tm3+)であり、波長1.04ないし1.07ミク
    ロンの第1励起光源と、波長1.53ないし1.90ミ
    クロンの第2励起光源とを備えることを特徴とする請求
    項1または3記載のレーザ増幅器。
  5. 【請求項5】 前記希土類元素のイオンがエルビウムイ
    オン(Er3+)であり、波長0.81または0.98ミ
    クロンの第1励起光源と、波長1.45ないし1.57
    ミクロンの第2励起光源とを備えることを特徴とする請
    求項1または3記載のレーザ増幅器。
  6. 【請求項6】 前記希土類元素のイオンがホルミウムイ
    オン(Ho3+)であり、波長0.89または1.15ミ
    クロンの第1励起光源と、波長1.8ないし2.1ミク
    ロンの第2励起光源を備えることを特徴とする請求項1
    または3記載のレーザ増幅器。
  7. 【請求項7】 前記媒体が光ファイバ形状であることを
    特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のレーザ増幅
    器。
  8. 【請求項8】 希土類元素を添加した媒体を利得媒質と
    し、この希土類元素のイオンのエネルギー準位の中で基
    底準位よりエネルギーの高い2つのエネルギー準位をレ
    ーザ上準位とレーザ下準位として、その2準位間の誘導
    放出遷移を用いるレーザ発振器であって、この2準位間
    に反転分布を形成する第1の励起光源と、この第1の励
    起光波長とは異なる波長により基底準位から前記レーザ
    下準位にイオンを励起してレーザ下準位を増大させる第
    2の励起光源とを備えることを特徴とするレーザ発振
    器。
  9. 【請求項9】 前記希土類元素が、ツリウム、ホルミウ
    ム、エルビウムおよびプラセオジムからなる群より選ば
    れる元素であることを特徴とする請求項8記載のレーザ
    発振器。
  10. 【請求項10】 前記希土類元素のイオンがフルオロジ
    ルコニウム酸塩ガラス中に含まれることを特徴とする請
    求項8または9記載のレーザ発振器。
  11. 【請求項11】 前記希土類元素のイオンがツリウムイ
    オン(Tm3+)であり、波長1.04ないし1.07ミ
    クロンの第1励起光源と、波長1.53ないし1.90
    ミクロンの第2励起光源とを備えることを特徴とする請
    求項8または10記載のレーザ発振器。
  12. 【請求項12】 前記希土類元素のイオンがエルビウム
    イオン(Er3+)であり、波長0.81または0.98
    ミクロンの第1励起光源と、波長1.45ないし1.5
    7ミクロンの第2励起光源とを備えることを特徴とする
    請求項8または10記載のレーザ発振器。
  13. 【請求項13】 前記希土類元素のイオンがホルミウム
    イオン(Ho3+)であり、波長0.89または1.15
    ミクロンの第1励起光源と、波長1.8ないし2.1ミ
    クロンの第2励起光源とを備えることを特徴とする請求
    項8または10記載のレーザ発振器。
  14. 【請求項14】 媒体が光ファイバ形状であることを特
    徴とする請求項8〜13のいずれかに記載のレーザ発振
    器。
  15. 【請求項15】 請求項1〜7のいずれかに記載のレー
    ザ増幅器と、第1の励起光源のみを備えたレーザ増幅器
    とを直列に配列したことを特徴とする利得増幅装置。
  16. 【請求項16】 請求項1〜7のいずれかに記載のレー
    ザ増幅器と、第1の励起光源のみを備えたレーザ増幅器
    とを直列に配列した装置を用いる広帯域の利得増幅方
    法。
JP2001368842A 1999-03-19 2001-12-03 レーザ発振器及びレーザ増幅器 Pending JP2002185067A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001368842A JP2002185067A (ja) 1999-03-19 2001-12-03 レーザ発振器及びレーザ増幅器

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP11-75704 1999-03-19
JP7570499 1999-03-19
JP2001368842A JP2002185067A (ja) 1999-03-19 2001-12-03 レーザ発振器及びレーザ増幅器

Related Parent Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP15674599A Division JP3344475B2 (ja) 1999-03-19 1999-06-03 レーザ発振器及びレーザ増幅器

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2002185067A true JP2002185067A (ja) 2002-06-28

Family

ID=26416865

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001368842A Pending JP2002185067A (ja) 1999-03-19 2001-12-03 レーザ発振器及びレーザ増幅器

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2002185067A (ja)

Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2074684A2 (en) * 2006-06-08 2009-07-01 Ramesh K. Shori Multi-wavelength pump method for improving performance of erbium-based lasers
JP2014225584A (ja) * 2013-05-16 2014-12-04 株式会社フジクラ ファイバレーザ装置

Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
EP2074684A2 (en) * 2006-06-08 2009-07-01 Ramesh K. Shori Multi-wavelength pump method for improving performance of erbium-based lasers
EP2074684A4 (en) * 2006-06-08 2014-07-09 Ramesh K Shori METHOD FOR MULTI-WAVELENGTH PUMPING TO ENHANCE PERFORMANCE OF ERBIUM LASERS
JP2014225584A (ja) * 2013-05-16 2014-12-04 株式会社フジクラ ファイバレーザ装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Krupke Ytterbium solid-state lasers. The first decade
Jackson et al. Application and Development of High-Power and Highly Efficient Silica-Based Fiber Lasers Operating at 2$\mu $ m
JP3344475B2 (ja) レーザ発振器及びレーザ増幅器
JP2004533005A (ja) 拡張波長範囲を有する狭帯域高出力ファイバレーザ
US5727007A (en) Praseodymium doped waveguide lasers
Piehler et al. Laser-diode-pumped red and green upconversion fibre lasers
US5659558A (en) Short-wavelength laser element doped with rare earth ions, optical amplifier doped with rare earth ions, and wavelength converter doped with rare earth ions
US20050100073A1 (en) Cladding-pumped quasi 3-level fiber laser/amplifier
EP1618634A1 (en) Eye-safe solid-state laser system
US7313306B2 (en) Fiber laser, spontaneous emission light source and optical fiber amplifier
EP1483811B1 (en) Methods and arrangements in a pumped fiber amplifier
EP1257022A2 (en) Laser amplifier
EP1130702B1 (en) Method and device for laser amplification
IE73454B1 (en) Optical fibre amplifier and laser
JP2005109482A (ja) 出力パワーの独立的制御が可能な二重出力構造を有する広帯域光源
Even et al. High-power double-clad fiber lasers: a review
Roy et al. Optimal pumping schemes for gain-band management of thulium-doped fiber amplifiers
JP2002185067A (ja) レーザ発振器及びレーザ増幅器
JPH05275792A (ja) ファイバレーザおよびファイバ増幅器
EP1030416A2 (en) Laser amplifier and laser oscillator
JP2004031784A (ja) レーザ増幅器、および光ファイバレーザ
Mejía-Beltrán Rare-Earth Doped Optical Fibers
JPH0818129A (ja) 希土類イオン添加短波長レーザ光源装置及び希土類イオン添加光増幅器
JP2004006982A (ja) レーザ増幅器、レーザ増幅方法及びレーザ増幅装置
JP2001320115A (ja) レーザ増幅器、レーザ増幅方法及びレーザ増幅装置並びにレーザ発振器

Legal Events

Date Code Title Description
RD03 Notification of appointment of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7423

Effective date: 20041202

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20041202

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20060125

A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060313

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20060927

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20070207