JP2002184367A - 密閉電池 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【課題】 組立工程において部品嵌合不良の発生がな
く、耐漏液性に優れ、放電特性にも優れた密閉電池を提
供することを目的とする。 【解決手段】 周縁にＵ字状に連なる折り返し部のない
封口板の最周縁の側壁が開口部方向に対して内側に傾け
て、且つ正極ケースの底部に電池内部に突出する環状凸
部を形成することによって、封口板のガスケットに挿入
時の部品嵌合不良の発生がなくなり、ガスケット側周部
の圧縮度の低下がなくなり耐漏液性が向上し、正極と負
極の緊迫度が高い状態で保たれるので放電特性の向上も
図れる。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は正極ケース、封口
板、およびガスケットにより発電要素を液密的に密閉し
てなる密閉電池、特に耐漏液性の改善や、あるいは放電
末期の内部抵抗の上昇を抑制した密閉電池に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、有機電解液系のコイン形リチウム
電池、ボタン形アルカリ電池は、メモリバック用途に代
表されるよう長期間に亘って使用される傾向にある。限
られた電池寸法で、容量アップを図るために最大限の内
容積を確保する取り組みがなされてきた。例えば特開平
７−５７７０６号公報記載には周縁にＵ字状に連なる折
り返し部が設けられていない封口板を用い、内容積の拡
大を目的とした構成が示されている。以下、コイン形二
酸化マンガンリチウム電池を例に、従来の電池の構造を
図２に示す。図２において１は負極端子を兼ねるＵ字状
に連なる折り返し部を持たない封口板で、最周縁の側壁
の内径が開口部方向に大きくなるように板厚を現象させ
ている。２は正極端子を兼ねる正極ケース、３はポリエ
チレン、ポリプロピレンなどポリオレフィン系樹脂から
なるガスケット、４はポリプロピレン不織布からなるセ
パレータ、５は二酸化マンガンに、黒鉛等の導電剤、お
よび結着剤を混合した後加圧成型された正極、６はリチ
ウム金属を活物質とする負極である。

【０００３】電池組立は負極６、セパレータ４、正極５
および非水電解液を電池内部に充填し、正極ケース２の
開口部を正極ケース２と封口板１の両者間絶縁物として
介在するガスケット３を介して内側にカシメて封口する
ことにより行われる。

【０００４】

【発明が解決しようとする課題】しかしながら、周縁に
Ｕ字状に連なる折り返し部を持たない封口板は、周縁部
にガスケットを組み込む際に封口板の開口部先端にガス
ケットを所定位置に誘導する誘い込みがないためガスケ
ットの上端が引っかかることが多く、組立工程において
部品の嵌合不良が発生し易い問題を有していた。封口板
の側壁を開口部方向に対して内方に傾けてガスケットを
所定位置へ誘導する誘い込みを形成することを試みた。
この構成では、封口板の側壁内径が開口部に向けて大き
くなるように板厚を減少させ、ガスケットの反発を利用
することで、封口板の開口部が内方へ逃げるのを抑制し
ようとしている。然し乍、ガスケットの支えが不充分な
ためにカシメ封口を行う際に封口板の開口部が電池の内
部に逃げ、封口板肩部におけるガスケットの圧縮度が低
下し耐漏液性の低下が見られた。また、従来の電池は放
電末期において内圧の上昇に伴い正極と負極の緊迫度合
いが低下して内部抵抗が上昇するという問題も有してい
た。

【０００５】本発明は、上記従来の問題点を解決するも
ので、耐漏液性に優れ且つ製造工程において組立不良を
低減でき、また放電末期における内部抵抗の上昇も抑制
できる密閉電池を提供することを目的とする。

【０００６】

【課題を解決するための手段】この課題を解決するため
に本発明は、周縁にＵ字状に連なる折り返し部を設けて
いない側壁を有する封口板を用いた密閉電池であって、
前記封口板はその側壁を開口部方向に対して内方に傾け
てなり、且つ正極ケースの底部に電池内部に突出する環
状凸部を形成したことを特徴とする。さらに、前記正極
ケースの環状凸部は、封口板の開口部の外形よりも内側
に位置させ、且つガスケットに当接させたものである。
また、環状凸部はペレット状の正極の周縁部の下にも位
置させたものである。

【０００７】本発明者らは、先に封口板の側壁を開口部
方向に対して内方に傾けてガスケットを所定位置へ誘導
する誘い込みを形成することを試みた。この構成では、
封口板の側壁内径が開口部に向けて大きくなるように板
厚を減少させ、ガスケットの反発を利用することで、封
口板の開口部が内方へ逃げるのを抑制しようとしてい
る。然し乍、ガスケットの支えが不充分なためにカシメ
封口を行う際に封口板の開口部が電池の内部に逃げ、封
口板肩部におけるガスケットの圧縮度が低下し耐漏液性
の低下が見られた。このような知見に基づきさらなる検
討を行った結果、上記本発明の構成に至ったものであ
る。そしてこの構成によれば、封口板の最周縁の側壁が
開口部方向に対して内側に傾けてあるため、ガスケット
に挿入時の誘い込みの役割を果たし、部品嵌合不良の発
生がなくなる。また、正極ケースの環状凸部はケース開
口部のカシメの際にガスケットの逃げの支えとなり、封
口板開口部の内部への逃げを充分抑制できることにな
る。そしてこれらの相乗効果によってガスケット側周部
の圧縮度の低下がなくなり耐漏液性が向上する。さらに
また、環状凸部が正極の周縁部の下に位置することによ
って、周縁部における正極と負極の緊迫度が高い状態で
保たれ、放電末期においても内部抵抗の上昇が抑制され
ることとなる。

【０００８】

【発明の実施の形態】以下に本発明の一実施形態の密閉
電池について図面を用いて説明する。

【０００９】図１において、１は本発明の最周縁の側壁
１ａが開口部方向に対して内側に傾けてある封口板、２
は底部に電池内部に突出する環状凸部２ａを設けてある
正極ケース、３はガスケット、４はポリプロピレン不織
布からなるセパレータ、５は二酸化マンガンに、黒鉛等
の導電剤、および結着剤を混合した後加圧成型されたペ
レット状の正極、６はリチウム金属やリチウム合金を活
物質とする負極であり、板状のリチウム金属リチウム合
金を打ち抜いて形成される。正極ケースの環状凸部２ａ
の外側内面２ｂはガスケット３の底部３ａの電池内方向
への逃げの支えとなっており、また、内側内面２ｃは正
極５の周縁部の下に位置しており、正極５と負極６の緊
迫度を周縁部において高めている。

【００１０】電池の組立は負極６、セパレータ４、正極
５および非水電解液を電池内部に充填し、正極ケース２
の開口部を正極ケース２と封口板１の両者間絶縁物とし
て介在するガスケット３を介して内側にかしめて封口す
ることにより行われる。このとき封口板肩部と正極ケー
スの開口部との間に介在するガスケットの側周部の圧縮
率が約４０％未満の場合、圧縮度が低く耐漏液性が低下
する。

【００１１】

【実施例】以下、具体的な実施例として、上記の実施形
態に則して本発明品の電池を作製した。また比較例とし
て、封口板の最周縁の側壁は開口部方向に対して内側に
傾けてあるが環状凸部の設けていない構成とし、他の構
成は本発明品と同様にした比較例１を作製した。さらに
従来のＵ字状の折り返し部を有する封口板環状凸部を備
えていないケースを用いた比較例２を作製した。このよ
うにして得られた電池は、いずれもコイン形二酸化マン
ガンリチウム電池ＣＲ２０１６（直径２０．０ｍｍ、厚
み１．６ｍｍ、電気容量９０ｍＡｈ）と同等であり、各
々の構成において１００個作製した。まず作製過程にお
いて封口板をガスケットに挿入する時の部品嵌合不良の
発生状況と、仕上がった電池の８５℃１時間／−１０℃
１時間の熱衝撃サイクル漏液試験を実施して５０サイク
ル経過時の漏液発生率と、３００Ωの定抵抗放電を実施
して１．５Ｖ放電終止時点の電池の内部抵抗を測定した
結果を表１に示す。尚、漏液試験と放電試験は各々の構
成において各５０個使用した。

【００１２】

【表１】

【００１３】この表１から明らかなように、封口板の最
周縁の側壁を開口部方向に対して内側に傾けてある構成
Ａ及び構成Ｂについては、封口板をガスケットに挿入す
る時の嵌合不良の発生はなかった。また、環状凸部の設
けていない構成Ｂにおいて、ガスケット底部の逃げの支
えがないために封口板の最周縁の側壁が内側に変形し
て、封口板肩部におけるガスケットの側周部の圧縮が不
充分となり、漏液発生率が多い結果となった。放電試験
においては、本発明の構成Ａの環状凸部が正極と負極の
緊迫度を高めているため放電末期の内部抵抗値が低いレ
ベルにある。

【００１４】

【発明の効果】以上の実施例の説明より明らかなよう
に、本発明の封口板及び正極ケースを使用した密閉電池
によれば、組立工程における封口板のガスケット挿入時
に部品嵌合不良の発生がなくなり、また、ガスケット側
周部の圧縮度の低下がなく耐漏液性に優れ、放電末期に
おいても内部抵抗を低いレベルで維持できる放電特性に
も優れた電池を提供することができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の密閉電池の断面図

【図２】従来の密閉電池の断面図

【符号の説明】

１ 封口板 ２ 正極ケース ３ ガスケット ４ セパレータ ５ 正極 ６ 負極

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宇山 孝男 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 岡久 貢 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Ｆターム(参考） 5H011 AA04 AA09 AA17 BB03 CC06 DD05 DD15 5H024 AA03 AA12 CC03 CC06 CC11 DD01

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 周縁に側壁を有する有底筒状の封口板と
   上部開口した有底筒状の正極ケース、との間にガスケッ
   トを介在させ、前記正極ケースを内側にカシメて発電要
   素を密閉してなる密閉電池であって、前記封口板の側壁
   がその開口方向に対して内方に傾けられ、且つ前記正極
   ケースの底部に電池内方へ突出する環状凸部が形成され
   たことを特徴とする密閉電池。
2. 【請求項２】 前記正極ケースの環状凸部が封口板の開
   口部の外形よりも内側に位置してガスケットに当接して
   いることを特徴とする請求項１記載の密閉電池。
3. 【請求項３】 前記正極ケースの環状凸部が正極の周縁
   部の下に位置していることを特徴とする請求項１記載の
   密閉電池。