JP2002173460A - ケトン類の製造法 - Google Patents

ケトン類の製造法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 本発明の目的は、アルコールとメチルケトン
とを反応させてケトン類を製造する方法において、高温
を必要としない工業的に有利なケトン類の製造法を提供
することにある。 【解決方法】 (式中、R1およびR2は、同一または異なってアルキル
を表す) 本発明は、式(I)で表されるアルコールと式(II)
で表されるメチルケトンとを担体に担持されたニッケル
触媒の存在下で反応させることを特徴とする式(II
I)で表されるケトン類の製造法を提供する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、アルコールとメチ
ルケトンとを反応させてケトン類を製造する方法に関す
る。
【0002】
【従来の技術】ケトン類は、溶剤、可塑剤等や工業用製
品の原料等として有用である。ケトン類を製造する方法
としては、例えば、触媒の存在下に第一級アルコールと
アセトン等のメチルケトンとから製造する方法が知られ
ている。例えば、米国特許第4739122号にはアル
ミナを担体とした銅触媒の存在下、アセトンおよびイソ
プロパノールとブタノールとを、216〜254℃の温
度で反応させることにより2−ヘプタノンを5.9〜1
8.3%の収率で製造する方法が開示されている。
【0003】また、J.Org.Chem.,,18
9(1942)は、アルミナを担体とした銅−亜鉛触媒
の存在下、アセトンとブタノールを、309℃で反応さ
せることにより2−ヘプタノンを製造する方法を記載し
ている。しかしながら、前記のいずれの方法でも反応時
に210℃以上の高温が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、アル
コールとメチルケトンとを反応させてケトン類を製造す
る方法において、高温を必要としない工業的に有利なケ
トン類の製造法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、式(I)
【0006】
【化8】
【0007】(式中、R1はアルキルを表す)で表され
るアルコールと式(II)
【0008】
【化9】
【0009】(式中、R2はアルキルを表す)で表され
るメチルケトンとを担体に担持されたニッケル触媒の存
在下で反応させることを特徴とする式(III)
【0010】
【化10】
【0011】(式中、R1およびR2はそれぞれ前記と同
義である)で表されるケトン類の製造法を提供する(こ
の製造法を本発明の製造法1と表現することもある)。
以下、本明細書中においては、式(I)で表されるアル
コールを単にアルコールと、式(II)で表されるメチ
ルケトンを単にメチルケトンと、式(III)で表され
るケトン類を単にケトン類と、担体に担持されたニッケ
ル触媒を本発明における触媒と表現することもある。
【0012】
【発明の実施の形態】式(I)〜(III)の基の定義
において、アルキルとしては、直鎖または分枝状の炭素
数1〜20の、例えば、メチル、エチル、プロピル、イ
ソプロピル、ブチル、sec−ブチル、tert−ブチ
ル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシ
ル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ドデシル、
ペンタデシル、エイコシル等があげられるが、中でも炭
素数1〜8のものが好ましい。また、メチルケトンとし
てはアセトンが好ましい。
【0013】原料であるアルコールの好ましい具体例と
しては、例えば、エタノール、プロパノール、2−メチ
ルプロパノール、ブタノール、ペンタノール、2−メチ
ルブタノール、3−メチルブタノール、ヘキサノール、
ヘプタノール、オクタノール、2−エチルヘキサノール
等があげられる。本発明の製造法1におけるメチルケト
ンとアルコールのモル比は、特に限定されないが、1:
0.05〜10であるのが好ましく、1:0.2〜2で
あるのがより好ましい。
【0014】本発明における触媒において、その担体と
しては、例えば、シリカ、シリカ−アルミナ、アルミ
ナ、ケイソウ土、ゼオライト、ベントナイト、活性白
土、酸性白土、ケイ酸マグネシウム、カオリン、酸化マ
グネシウム、シリカ−酸化マグネシウム、タルク等があ
げられるが、中でも、シリカ、シリカ−アルミナ、ケイ
ソウ土、シリカ−酸化マグネシウムが好ましく、さらに
は、シリカ−酸化マグネシウムがより好ましく使用され
る。さらにシリカ−酸化マグネシウムの中でも、シリカ
と酸化マグネシウムの重量比が、8:2〜6:4のもの
がより好ましく使用される。
【0015】本発明における触媒において、ニッケルの
含量が30〜70重量%であるものが好ましく使用され
る。本発明における触媒は、通常は、市販品として入手
することが可能であり、例えば、日揮化学製のN−10
1F、N−102F、N−103F、セラニーズ社製の
celActive Ni55/5、 celActiv
e Ni60/15、エンゲルハルド社製のNi−32
88、 Ni − 5256等があげられる。また、本発
明における触媒は、公知の方法〔元素別触媒便覧(触媒
工学講座10)、474〜482頁、地人書館、昭和42年2月
25日発行 等〕等により調製することも可能である。
【0016】本発明における触媒は、前記にあげた市販
品をそのまま使用してもよいが、予め、水素で還元した
後に使用してもよい。この場合の還元条件は、使用する
触媒によって異なるが、水素のガス空間速度GHSV
[本発明における触媒(cm3)に対するガスの流速
(cm3/時間)]は10〜500(/時間)であるの
が好ましい。
【0017】本発明の製造法1における反応は、バッチ
方式で行うことも可能であるが、本発明における触媒を
固定床触媒として、連続的に反応を行うことも可能であ
る。バッチ方式の場合の、本発明における触媒の使用量
は、原料(メチルケトン+アルコール)に対して5〜3
0%であるのが好ましい。また、本発明における触媒を
固定床触媒として、連続的に反応を行う場合には、本発
明における触媒の使用量は特に限定されないが、原料
(メチルケトン+アルコール)の液空間速度LHSV
[本発明における触媒(cm3)に対する原料液の流速
(cm3/時間)]が0.1〜10(/時間)であるの
が好ましく、0.5〜4.0(/時間)であるのがより
好ましい。
【0018】反応温度は、特には限定されないが、10
0〜200℃であるのが好ましい。反応圧力は、0.1
〜5MPaであるのが好ましい。また、反応は、通常、
無溶媒で行うか、不活性な溶媒の存在下、行ってもよ
く、その不活性な溶媒の具体例としては、ジイソプロピ
ルエーテル等のエーテル類、ヘプタン、オクタン等の脂
肪族炭化水素、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素
等があげられる。
【0019】また、反応は、前記以外の方法として回分
式、半回分式等のいずれの方式でも行うことができる。
また、原料としてメチルケトンの一部をメチルケトンと
対応する式(IV)
【0020】
【化11】
【0021】(式中、R2は前記と同義である)で表さ
れる2級アルコールに置きかえてもよく、この場合のメ
チルケトンと式(IV)で表される2級アルコールのモ
ル比は、1:0.01〜0.8であるのが好ましく、
1:0.1〜0.4であるのがより好ましい。従って、
本発明は、式(I)で表されるアルコールと、式(I
I)で表されるメチルケトンと式(IV)で表される2
級アルコールの混合液とを担体に担持されたニッケル触
媒の存在下で反応させることを特徴とする式(III)
で表されるケトン類の製造法も提供する(この製造法を
本発明の製造法2と表現することもある)。この場合、
式(II)で表されるメチルケトンがアセトンであり、
式(IV)で表される2級アルコールがイソプロピルア
ルコールであるのが好ましい。本発明の製造法2におけ
る反応条件等は、前記で説明した本発明の製造法1の反
応条件等と同様に設定することができる。
【0022】本発明の製造法1および2は、副生成物の
生成が少ないという長所を有する。前記のようにして得
られたケトン類を含む反応液は、触媒を濾過等により分
離した後、蒸留等による精製に付すことができる。本発
明の製造法1または2により得られるケトン類は、溶
剤、可塑剤等や工業用製品の原料等として有用である。
【0023】
【実施例】参考例1:触媒の前処理 5〜7メッシュに破砕したN−101F触媒〔日揮化学
製:Ni(55.5%)、SiO 2(12.0%)、MgO(5.2%)〕10
0mlを内径2.3cmの金属製反応器に充填し、室温
下で窒素をGHSV=12で流し0.4MPaに加圧
し、さらにブタノールをLHSV=1.0で通液する。
次に50℃/時間で120℃まで昇温し、水素をGHS
V=12で流して、触媒還元を70時間行った後、窒素
を止め、水素のみで2.0MPaまで昇圧し、180℃
まで昇温して、さらに70時間触媒還元を行った。この
還元された触媒を実施例1〜6で使用した。
【0024】実施例1 参考例1で得られた触媒を反応器に入れ、窒素をGHS
V=60で流し2.0MPaに加圧し、さらにアセトン
とブタノールの混合液(モル比1:0.5)をLHSV
=1.8で通液し、反応温度を180℃に昇温して反応
を行った。反応生成物をガスクロマトグラフィーで分析
した結果、ブタノールの転化率は49%で、2−ヘプタ
ノンの選択率は73%であった。また、アセトンからの
転化率は23%で、2−ヘプタノンの選択率は70%で
あった。ガスクロマトグラフィーの分析条件は以下の通
りである(以下の実施例においても同様の条件でガスク
ロマトグラフィー分析を行った)。 (ガスクロマトグラフィー分析条件) カラム:DB-5(ジェー・アンド・ダブリュ・サイエンテ
ィフィック社製)とHP-INNOWax(ヒューレット パッカ
ード社製)を直列につないだ。 カラム温度:50℃で10分間保持後、6℃/分で110℃まで
昇温後、同温度で10分間保持、さらに、10℃/分で220℃
まで昇温後、同温度で9分間保持。 注入口:250℃ 検出器:FID(水素炎イオン検出器)
【0025】実施例2 アセトンとブタノールのモル比を1:1、液空間速度L
HSVを1.0、反応温度を160℃とする以外は実施
例1と同様に反応を行った。反応生成物を分析した結
果、ブタノールの転化率は23%で、2−ヘプタノンの
選択率は75%であった。また、アセトンからの転化率
は25%で、2−ヘプタノンの選択率は70%であっ
た。
【0026】実施例3 ブタノールの代わりにエタノールを用い、LHSV=
1.0、反応温度160℃とする以外は実施例1と同様
に反応を行った。反応生成物を分析した結果、エタノー
ルの転化率は29%で、2−ペンタノンの選択率は76
%であった。また、アセトンからの転化率は18%で、
2−ペンタノンの選択率は79%であった。
【0027】実施例4 ブタノールの代わりに2−エチルヘキサノールを用い、
アセトンと2−エチルヘキサノールのモル比を1:0.
35とする以外は実施例1と同様に反応を行った。反応
生成物を分析した結果、2−エチルヘキサノールの転化
率は51%で、5−エチル−2−ノナノンの選択率は6
1%であった。また、アセトンからの転化率は25%
で、5−エチル−2−ノナノンの選択率は42%であっ
た。
【0028】実施例5 ブタノールの代わりに2−メチルプロパノールを用いる
以外は実施例1と同様に反応を行った。反応生成物を分
析した結果、2−メチルプロパノールの転化率は43%
で、5−メチル−2−ヘキサノンの選択率は69%であ
った。また、アセトンからの転化率は27%であり、5
−メチル−2−ヘキサノンの選択率は59%であった。
【0029】実施例6 アセトンの代わりにアセトンとイソプロパノールの混合
液(モル比=1:0.2)を用いる以外は実施例1と同
様に反応を行った。反応生成物を分析した結果、ブタノ
ールの転化率は49%で、2−ヘプタノンの選択率は7
3%であった。また、アセトンからの転化率は23%
で、2−ヘプタノンの選択率は75%であった。
【0030】
【発明の効果】本発明によれば、アルコールとメチルケ
トンとを反応させてケトン類を製造する方法において、
高温を必要としない工業的に有利なケトン類の製造法が
提供される。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 式(I) 【化1】 (式中、R1はアルキルを表す)で表されるアルコール
    と式(II) 【化2】 (式中、R2はアルキルを表す)で表されるメチルケト
    ンとを担体に担持されたニッケル触媒の存在下で反応さ
    せることを特徴とする式(III) 【化3】 (式中、R1およびR2はそれぞれ前記と同義である)で
    表されるケトン類の製造法。
  2. 【請求項2】 式(II)で表されるメチルケトンがア
    セトンである請求項1記載の製造法。
  3. 【請求項3】 担体が、シリカ、シリカ−アルミナ、ア
    ルミナ、ケイソウ土、ゼオライト、ベントナイト、活性
    白土、酸性白土、ケイ酸マグネシウム、カオリン、酸化
    マグネシウム、シリカ−酸化マグネシウムまたはタルク
    である請求項1または2に記載の製造法。
  4. 【請求項4】 式(I)で表されるアルコールと式(I
    I)で表されるメチルケトンとの反応温度が100〜2
    00℃である請求項1〜3のいずれかに記載の製造法。
  5. 【請求項5】 式(I) 【化4】 (式中、R1はアルキルを表す)で表されるアルコール
    と、式(II) 【化5】 (式中、R2は前記と同義である)で表されるメチルケ
    トンと式(IV) 【化6】 (式中、R2は前記と同義である)で表される2級アル
    コールの混合液とを担体に担持されたニッケル触媒の存
    在下で反応させることを特徴とする式(III) 【化7】 (式中、R1およびR2はそれぞれ前記と同義である)で
    表されるケトン類の製造法。
  6. 【請求項6】 式(II)で表されるメチルケトンがア
    セトンであり、式(IV)で表される2級アルコールが
    イソプロピルアルコールである請求項5記載の製造法。
  7. 【請求項7】 担体が、シリカ、シリカ−アルミナ、ア
    ルミナ、ケイソウ土、ゼオライト、ベントナイト、活性
    白土、酸性白土、ケイ酸マグネシウム、カオリン、酸化
    マグネシウム、シリカ−酸化マグネシウムまたはタルク
    である請求項5または6に記載の製造法。
  8. 【請求項8】 式(I)で表されるアルコールと、式
    (II)で表されるメチルケトンと式(IV)で表され
    る2級アルコールの混合液との反応温度が100〜20
    0℃である請求項5〜7のいずれかに記載の製造法。
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