JP2002173076A - 人力駆動機構 - Google Patents

人力駆動機構

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Abstract

(57)【要約】 【課題】人力で駆動される乗物もしくは乗物を模した機
器に好適な、人力を効果的に動力に変換することができ
る人力駆動機構を提供する。 【解決手段】上下に設けられたスプロケットからなる回
転体とスプロケットからなる支持体の対およびこれらの
回転体と支持体に掛け渡されたチェーンとで構成される
人力駆動機構ユニットを左右に配設し、左右の回転体
1,100を駆動軸15に固定し、さらに、負荷が作用
するチェーンリング6を該駆動軸上回転体1と回転体1
00の間に取付ける。上記夫々のユニットにおいて、フ
リークランク(右ユニット:10、左ユニット:100
0)およびアーム(右ユニット:11、左ユニット11
00)とからなる抑制手段によってペダルの軸が夫々の
チェーンの移動面に対して常に垂直に保持されるように
構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に自転車、車椅
子、ボート、人力飛行機およびトレーニング機器等人力
で駆動される乗物もしくは乗物を模した機器等の人力駆
動機構に関する。
【0002】
【従来の技術】自転車およびレジャー用足漕ぎボートの
人力駆動機構は原理的に同一であり、いずれも回転軸に
直角に固定された左右二本のクランクから構成され、こ
の二つのクランクは180°位相がずらされており、こ
のクランクの他方の端部にクランクの回転面に直角に軸
が植え込まれ、この軸に回転自在にペダルが設けられて
いる。 このペダルを踏むことによってトルクを発生さ
せ、これにより車輪、プロペラ等の推進輪を回転させて
当該乗物を動かしている。 近年、欧米では自転車以外
に3輪自転車および4輪自転車も出現し、それらを用い
た競技も行われているようであるが、人力駆動機構の原
理は全く変わっていない。自転車はリクリエーションや
通勤・通学および競技の手段として高度の普及率をもっ
て用いられており産業上大きな分野である。 以下には
簡単のため自転車を中心に説明を進める。自転車は用途
に応じて多様な種類の構造・デザインのものが出現して
いる。 本発明の目的である人力駆動機構との関連で言
えば、速度能力および登坂能力を向上させるため変速機
構が採用され、後輪に設けられたチェーンの従動軸(以
下単に従動軸という)だけに数段のスプロケット(以下
従動軸スプロケットという)があるものからさらにチェ
ーンの駆動軸(以下単に駆動軸という)にもスプロケッ
ト(以下チェーンリングという)が数段設けられたもの
もある。チェーンの従動軸に遊星歯車機構が設けられた
ものも普及している。 なお、本願において、人力駆動
機構とは、人力を人力乗物の変速機構もしくは車輪、プ
ロペラ等の推進手段に伝達する駆動機構のことをいう。
【0003】変速機構は形式に関わらず、基本的にはエ
ネルギー効率を向上させるものではなく、推進手段(自
転車では後輪、ボートではプロペラ等)に伝達される動
力を増大させたり、運転者の時間当たり消費エネルギを
低減させるものではない。
【0004】自転車で急な坂を登坂する場合、平坦地と
同じ増速比では大きな力が必要となり、運転者の脚力の
限界が運転続行の可否を決定付ける。 変速機構は運転
者にとって、いわば、筋肉を動かす速度と筋力のトレー
ドオフ装置もしくは最適化装置であって、登坂時、筋力
が不足気味になると増速比をシフトダウンして、筋肉を
早く動かすことによりその分小さい力で同じ動力を発生
させることができる。しかし、増速比をある程度以上小
さくしても意味がない。すなわち、増速比を小さくして
ゆくと走行を維持してゆくために逆比例的にペダルを早
く回転させる必要が生じ、筋肉を早く動かすことによる
運動能力限界、軸受やチェーンの摩擦による動力損失増
大、振動による走行不安定化等により走行を維持するこ
とができなくなる。
【0005】変速機構を設けても入力動力を大きくでき
るわけではないので、登坂能力の改善に自ずから限界が
あるのは当然である。 入力動力を大きくすることが望
まれることである。 ここで、入力動力とは運転者から
人力駆動機構を通して当該乗物に伝達された動力(単位
時間当たり仕事量)のことをいう。変速機構によれば、
変速機構出力軸回転数とトルクは逆比例関係に保たれた
まま(動力一定)、状況に応じ、運転者の運動能力に合
わせて、運転者が楽と感ずる方向に増速比を変えること
により速度と力のバランスポイントを移動させることが
できるが、基本的に入力動力、したがって出力を増大さ
せるものではない。
【0006】クランク長さを変えることも運転者にとっ
て筋肉を動かす速度と筋力のトレードオフ手段であっ
て、最適化の結果出力がわずかに増大することはある
が、入力動力が増大するわけではない。
【0007】また、クランクを伸縮自在とし、遊星歯車
機構もしくはカム機構を用いて自転車の回転とクランク
の伸縮を同期させ、クランクが前方水平位置にくるとき
最も伸びるよう構成して、最大入力トルクの増大を計る
形態の発明も特許出願されている(米国特許番号412
5239、4706516,4807491等)。
【0008】この形態の人力駆動機構では、ペダルが水
平位置を過ぎてクランクの縮小過程に入るとペダルに作
用する力の半径方向分力が急激に増大してクランクの縮
小に抵抗し、自転車の回転を阻害するように働く。
【0009】この形態の人力駆動機構において、もしペ
ダルを踏む力がクランクの回転円に対して常に接線方向
に作用すれば、この力が回転を阻害することはない。
しかし、現実には、踝、膝および大腿骨の関節の動きに
制限があり、その結果、ペダルを踏む力は全ての回転角
度において殆ど鉛直方向下向きに働く。 したがって、
クランクがほぼ前方水平位置にあるとき回転の方向と力
の方向が殆ど一致するためペダルを回転させる“回転
力”が最大となる。しかし、この位置を過ぎると、回転
力(厳密には重力、慣性力、筋肉による力の合力のクラ
ンク回転方向成分)が減少し、回転方向に直角な分力
(重力、慣性力および筋力の合力のクランク回転半径方
向成分)が増大し、これらが、クランク縮小に抗してク
ランクを伸ばそうとするため、機構的にブレーキと等価
な作用をもたらす。 この結果1サイクルで考えると殆
ど動力の増大にはならない。
【0010】クランクを伸縮自在とする上記形態の人力
駆動機構に類似した発明に米国特許番号4872695
がある。 この発明では、後輪用フォークに首振り自由
に軸受が設けられ、該軸受に滑動自在にロッドが嵌合さ
れ、該ロッドの中間部先端寄りにクランク先端部が回転
自在に連結され、該ロッドの先端部にペダルが設けられ
ている。 運転者がペダルを踏み込むと、該ロッドは前
記軸受を支点とするてこを構成し、クランクに伝達され
る力はペダルを踏み込む力よりも増幅されるというもの
である。
【0011】この発明では、クランクの全ての回転角度
で力が増幅されるため、クランクがペダル最高位置(い
わゆる上死点)からペダル最低位置(いわゆる下死点)
に至る期間(以下往行程という)では確かに回転力が増
大するが、クランクが下死点を過ぎて上死点に至る期間
(以下復行程という)では負の回転力が増幅される。後
者の期間は、前者に比して“てこ比”が大きいため負の
回転力の増幅率が正の回転力の増幅率より大きくなり、
1サイクル通して考えるとこの発明の構成でも動力の増
加は期待できない。
【0012】図13はHIGH-TECH CYCLING(出版HUMANKI
NETICS, P.O. Box 5076, Champaign, IL, USA ) Figur
e 7.3を引用して本願説明用に書き直したもので、米国
の競輪選手が350W(上記文献には明確な記述がない
がクランクになされている単位時間当たり仕事量―ワッ
トを示しているものと思われる)、90rpmでペダル
を踏んでいるときのクランク回転力の変化を横軸にクラ
ンク角度θ(上死点からの時計回りの角度)をとって示
したものである。本図によれば、θが90°をわずかに
過ぎる点で回転力は最大となり、θ=120°あたりか
ら急速に減少する。下肢の重量および筋力が十分ペダル
に作用している120°<θ<180°の期間に回転力
が減少している事実は、この期間下肢の重量および筋力
がクランクを回転させる方向ではなく、クランクを伸ば
す方向に支配的に作用していることを示している。 す
なわち、結果的に、伸びないクランクを伸ばそうとする
ことに運転者のエネルギーが消費されている。 クラン
クを伸ばそうとしていくら大きな力を作用させても力学
的にはなした仕事は0であるが、運転者の身体の中では
血液が激しく循環し、化学反応が激しく進行して、エネ
ルギー消費はなされている。一方217°<θ<345
°の期間では負となっているが、これは180°<θ<
360°の期間で、クランクを正回転させようとする筋
力とクランクを逆回転させようとする下肢の重さがθ=
200°あたりから拮抗し、ついには後者が勝る結果で
ある。
【0013】特開昭58−133986,特開昭58−
221783および特開平8−113180に開示され
る人力駆動機構では、ロープ・滑車機構、往復動チェー
ン・スプロケット機構もしくはラック・ピニオン機構が
左右2系列用いられ、一方が往行程の時、他方は復行程
にあるよう機構的に連結されている(なお、ここで使用
している機構名称は本願発明者が説明の便宜上名付けた
もので、必ずしも原明細書とは一致していない)。 例
えば、左系列の往行程において、ペダルが踏み込まれる
と力がロープ、チェーンもしくはラックを介して滑車、
スプロケットもしくはピニオンに伝えられ接続されてい
る車輪が回転する。 復行程においては右系列の動力に
よりペダルが上昇し、この間、左系列の滑車、スプロケ
ットもしくはピニオンは軸部に設けたラチェットもしく
は一方向クラッチ等のフリーホイール機構により出力軸
に対して空転する。
【0014】いずれの発明においても、往行程において
人力は滑車、スプロケットもしくはピニオンに対して接
線方向に作用し、加えられた力は全て回転力となるが、
往行程終了時、正方向に動いていた下肢が突然停止させ
られることにより、下肢、チェーン、ラック、スプロケ
ット、ピニオン等の運動質量の運動エネルギーは強制的
に0にされるので1サイクル全体で考えると、入力動力
の有効な増加分は期待できない。
【0015】往復動チェーン・スプロケット機構を採用
し、踏み込み時エネルギーの一部をスプリングに吸収さ
せておいて、スプリングに蓄えたエネルギーでペダルを
踏み込み前の位置まで戻すという発明が特開昭58−1
99279に記載されている。この発明については、ス
プリングの戻る速度に踏み込みタイミングを合わせない
と出力が出ない(ペダルが十分戻らない内に踏み込む
と、ペダルの加速距離がとれないーこの発明の方法でも
ペダルの踏み込み初速度は常に0m/sと考えられるか
ら)、したがって速度もあまりでないという問題があ
る。
【0016】また、筋肉を低速で収縮させれば高速で収
縮させる場合に比して大きな力を発生することのできる
点に着目し、チェーンリングを真円でなく、楕円等にし
て、クランクとの位相差を工夫することによりクランク
の回転数変動を小さくして運転者がより大きい筋力をペ
ダルに作用できるようにする研究もなされてきた。 し
かし、この方法では、位相差を固定すると、限られた目
的にしか能力を発揮しえないという問題があるようであ
る。例えば、或位相差は定常耐久走行には適しても、登
坂や短時間全力走行に適さない等である。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、前述
の従来技術の問題点を解決し、自転車、3輪自転車、4
輪自転車、車椅子、ボート、人力飛行機およびトレーニ
ング機器等人力で駆動される乗物もしくは乗物を模した
機器に好適な、人力を効果的に動力に変換することがで
きる人力駆動機構を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明の第1の発明は、
回転体と、支持体と、該回転体および前記支持体に巻回
された無端駆動部材と、該無端駆動部材に取付けられた
人力駆動受け部とを有し、前記回転体は前記支持体より
も上方に配置されており、該回転体から動力が出力され
ることを特徴とする人力駆動機構である。
【0019】本発明の第2の発明は、第一回転体と、第
一支持体と、該第一回転体および第一支持体に巻回され
た第一の無端駆動部材と、第二回転体と、第二支持体
と、該第二回転体および第二支持体に巻回された第二無
端部材と、前記第一の無端駆動部材に取付けられた第一
の人力駆動受け部と、前記第二無端駆動部材に取付けら
れた第二の人力駆動受け部とを有し、前記第一回転体と
第二回転体が共軸であり、軸部材により互いに固定さ
れ、前記第一の支持体と第二の支持体が互いに独立して
回転可能にフレームに取付けられていることを特徴とす
る人力駆動機構である。
【0020】本発明の第3の発明は、上記の人力駆動機
構において、第一回転体と第二回転体の共軸上に推進輪
が設けられていることを特徴とする人力駆動機構であ
る。
【0021】本発明の第4の発明は、回転体と、支持体
と、該回転体および前記支持体に巻回された無端駆動部
材と、該無端駆動部材に取付けられた人力駆動受け部
と、前記無端駆動部材が移動する面に含まれる直線まわ
りの、前記駆動受け部の回転を抑制する抑制手段を有
し、前記無端駆動部材は複数のリンクからなり、該複数
のリンクのうち一つが駆動力受けリンクを構成し、該駆
動力受けリンクは前記無端駆動部材の移動面と垂直方向
に突出した軸を有し、該軸は前記駆動力受けリンクと一
体とされ、該駆動力受けリンクは前記軸を介して前記抑
制手段に回転可能に取付けられていることを特徴とする
人力駆動機構である。
【0022】本発明の第5の発明は、上記の人力駆動機
構において、駆動力受けリンクはU字溝を有し、該U字
溝内で無端駆動部材の隣接するリンクと回転自在に接続
されていることを特徴とする人力駆動機構である。
【0023】本発明の第6の発明は、上記の人力駆動機
構において、駆動力受けリンクが抑制手段に円筒ころ軸
受、針状ころ軸受もしくはリニアブッシュ等の直動軸受
によって回転可能に取付けられていることを特徴とする
人力駆動機構である。
【0024】本発明の第7の発明は、上記の人力駆動機
構において、回転体と支持体との間の距離を調整する手
段が設けられていることを特徴とする人力駆動機構であ
る。
【0025】本発明の第8の発明は、上記の人力駆動機
構において、回転体と支持体に巻回された無端駆動部材
の大曲率半径部の地平面に対する傾斜角が可変となって
いることを特徴とする人力駆動機構である。
【0026】本発明で、回転体とは巻き掛けられた無端
駆動部材によって回転させられることにより負荷を駆動
するスプロケットもしくは滑車のこと云い、支持体とは
無端駆動部材が巻き掛けられて周回する円弧状案内レー
ルもしくは基本的に空転する回転体のことを云う。
【0027】本発明で、無端駆動部材とは、ベルト、タ
イミングベルト、チェーン、ビードチェーン、ピンドチ
ェーン、ロープなどの圧縮や曲げに対して抵抗がなく、
引張力だけに耐えて回転力を伝達する可撓性部材を云
い、人力駆動受け部とは、ペダル、ハンドル等直接人力
が作用する部材を云う。 また、フレームとは当該乗物
の重量を支え、構造を形成する部材もしくはこれに直
接、間接に固定されたパイプ、型材、板等の構造部材を
云う。
【0028】大曲率半径部は曲率が無限大である直線軌
道であってもよいし、案内レール、遊動スプロケット等
により緩やかな曲線軌道としてもよい。
【0029】本発明の人力駆動機構によれば、運転者が
人力駆動受け部を介して無端駆動部材の大曲率半径部に
沿って力を加えやすい角度、位置に回転体と支持体の対
を配置でき、大曲率半径部において人力がほぼ100%
トルクに変換され、回転力の最大値が一定期間持続し、
かつ大曲率半径部の端部では、運動質量の有する運動エ
ネルギは小曲率半径部の回転運動のエネルギに変換され
て有効に保存される。その結果、大幅な入力動力の増大
が期待される。
【0030】入力動力の増大により速度能力、登坂能力
が大幅に向上するので、通常の道路を走行する限り必ず
しも変速機構は用いなくてもよい。
【0031】本発明の好ましい人力駆動機構では、ペダ
ルもしくはハンドルを有するチェーンと該チェーンが巻
き掛けられている回転体および支持体とから構成され、
前記ペダルもしくはハンドルが前記抑制手段によって該
チェーンの移動面に対してほぼ直角にその姿勢を保持さ
れている。 より好ましくは、支持体として回転体が用
いられる。
【0032】この場合ペダルもしくはハンドルに力が加
えられてもチェーンが曲げられたり、ねじられたりする
ことがないので、チェーンが変形・損傷することがな
く、力の作用点の位置も定まるので力も入れやすく、運
転者の筋肉、関節も疲労が少ない。
【0033】本発明の好ましい人力駆動機構では、負荷
を負担するスプロケットからなる回転体が負荷を負担せ
ずに空転するスプロケットである支持体よりも上方に配
置され、該回転体から動力が出力される。このようにす
ると、特に自転車、3輪自転車、4輪自転車、車椅子およ
び人力飛行機等のように上方からペダルもしくはハンド
ルに力を加える場合、チェーンの張り側は力を加えてい
るペダルもしくはハンドルからチェーンの周回進路上後
方に位置する回転体に至る短い範囲に限られ、チェーン
軌道上の他の部分は全て緩み側となる。チェーン・スプ
ロケット機構における機械的損失の大部分は、チェーン
とスプロケットとの噛み合い始めと噛み合いが外れる部
分で発生し、機械的損失の大きさはそれらの部分のチェ
ーンの張力に比例する。したがって、回転体が支持体よ
りも上方に配置されている場合には、機械的損失が主と
して発生する個所は、ペダルもしくはハンドルの直ぐ後
方に位置するチェーンと回転体との噛み合いが外れる部
分1箇所となる。その反面、負荷を負担する前記回転体
が下方に位置する場合には、チェーンの張り側は主たる
力を加えているペダルもしくはハンドルからその後方に
位置する支持体を周ってさらに後方の回転体との噛み合
いが外れる部分までの広い範囲におよび、主たる機械損
失を生ずる個所は支持体部分で2箇所(噛み合い外れ部
と噛み込み部)、回転体で1箇所(噛み合い外れ部)、
合計3箇所となる。したがって、回転体が支持体よりも
上方に配置されている場合には、その逆の配置の場合に
比して、機械的損失は約3分の1となる。
【0034】この場合、好ましくは前記抑制手段がフレ
ームに一端を回転自在に取り付けられたフリークランク
と該フリークランクの他端が回転自在に連結されている
アームとで構成され、該アームは前記駆動受け部に回転
自在に取付けられている。該アームが該駆動受け部に回
転自在に取付けられているため、該駆動受け部の該アー
ムに対する相対的回転を許容し、作動時該駆動受け部の
該アームに対する相対的回転角度が変化しても、アーム
の動きが阻害されることはない。 この方式の抑制手段
の利点は、これらフリークランクやアームの支持、連結
部の軸受に摩擦損失が極めて小さく、軽量、小型でダス
トシールがしやすい玉軸受、円筒ころ軸受もしくは針状
ころ軸受等を使用できることである。
【0035】より好ましくは、アームとチェーンとの連
結部において、アーム端部には円筒ころ軸受もしくは針
状ころ軸受の少なくとも外輪が取付けられ、チェーン側
には駆動力受けリンクが設けられて、該駆動力受けリン
クはころを介して前記外輪に挿入され、該アームと該駆
動力受けリンクは回転自在に連結されているとともに軸
方向の相対変位を許容されている。該アームと該駆動力
受けリンクは回転自在に連結されているため、アームの
回転がチェーンの移動を阻害したり、チェーンに無理な
力を加えることはない。チェーンは多数のチェーンリン
クを連続的に回転可能に接続したものであるが、駆動力
受けリンクはこのチェーンリンクの一個に駆動力受け機
能を持たせたものであることが好ましい。
【0036】アームとチェーンとの連結部において、ア
ーム端部に取付けられた軸受外輪とこれに挿入された駆
動力受けリンクとの間で軸方向相対変位が許容されるこ
とは、アーム、クランクおよびフレームの軽量化を行う
上で好ましい。すなわち、アーム、クランクおよびフレ
ームの軽量化を進めると剛性が低下傾向となり、チェー
ンに無理を掛けないという抑制手段としての目的機能は
維持されても、剛性低下の結果チェーンが移動する面に
含まれる直線まわりのペダルの回転が相対的に大きくな
るため、ペダルがスプロケットに近づくとチェーンの内
側リンクプレートがスプロケット側面に強く当たる傾向
となる。この場合に、この軸受が円筒ころ軸受、針状こ
ろ軸受もしくはリニアブッシュ等の直動軸受等のよう
に、軸を回転自在とし、軸とハウジングの軸方向の相対
変位を許容する形式とすることによって、ペダルだけが
軸方向に変位するだけで、駆動力受けリンクはチェーン
の移動面に対して殆ど直角に保たれるため、チェーンが
スプロケット側面に強く当たることはない。勿論、アー
ム、クランクおよびクランクを保持するフレームに十分
な剛性が期待できる場合は、アームとチェーンの連結部
に深溝玉軸受等を使用して、駆動力受けリンクとアーム
の軸方向相対変位をなくしてもよい。
【0037】抑制手段としては、上記のようにフリーク
ランクとアームの組合せ以外に摩擦損失が小さいリニア
ブッシュ型直動軸受やボールスプライン型直動軸受とフ
リークランクの組合せを使用してもよい。ただし、この
方式が成り立つのは、対をなす回転体と支持体の半径が
等しい場合に限られる。すなわち、リニアブッシュ型直
動軸受とフリークランクとの組合せではチェーンで形成
される長円軌道の内部に移動面と平行に、長手方向に一
定区間配設された2本のロッドと該ロッド各々に支承さ
れて往復動するリニアブッシュ型直動軸受を少なくとも
各1個有するスライダーと該スライダーに一端を移動面
に垂直な軸まわりに回転自在に保持され、他端でペダル
もしくはハンドルの軸を回転自在に保持するフリークラ
ンクとから構成される方式である。ボールスプライン型
直動軸受とフリークランクの組合せでは、フレーム上の
固定点で首振りするボールスプライン型直動軸受と該直
動軸受に支承されて回転することなく滑動し先端部でペ
ダルもしくはハンドルの軸を回転自在に保持するスプラ
イン溝を有するロッドとから構成される方式である。
【0038】本発明の一形態では、前記フリークランク
の回転中心がチェーンで形成される長円軌道の内部に位
置するようにされている。この場合、さらに好ましくは
フリークランクの回転中心を対を成す回転体と支持体の
中心を結ぶ線分の中心に配置する。このようにすると、
フリークランク回転半径とアーム回転半径の和が最小と
なるのでフリークランクとアームの曲げおよびねじり変
形が小さく、これらの部材の軽量化を図ることができ
る。
【0039】他の形態では、フリークランクの回転中心
の配置態様としては、フリークランクの回転中心がチェ
ーンで形成される長円軌道の外部に位置するようにされ
ている。この場合、対を成す回転体のピッチ円半径と支
持体の曲率半径(支持体が回転体の場合にはピッチ円半
径)が同一である場合には、フリークランクの回転軸を
該対を成す回転体と支持体の中心を結ぶ線分の垂直2等
分線上に配置する。このようにすると、フリークランク
の回転半径とアームの回転半径の和が小さく抑えられ、
フリークランクとアームの曲げ、ねじり変形が小さくな
り、これらの部材の軽量化を図ることができる。また、
フリークランクを該フリークランクの搖動可能範囲が前
記無端駆動部材の移動範囲内と重複しないような長さに
すれば、フリークランクをアームより自転車等の中心線
よりに配置でき、該人力駆動機構のよりコンパクトな配
置が可能となる。自転車においては、フリークランクの
回転中心をペダル後方に配置すると、悪路走行中に障害
物に当たることがなく、悪路走行を目的とするBMX車な
どに好ましく使用できる。また、自転車において、フリ
ークランクの回転軸をペダル前方に配置すると、ペダル
前方の大きな空間が利用できるため、アームおよびクラ
ンクの配置に自由度が生ずる。さらに、自転車の重心が
前方に移動するので、後輪を前方に配置することが可能
となり、前輪中心と後輪中心間の距離であるホイールベ
ースを小さくできるので、自転車の回転性能、加速性能
が向上する。ホイールベースを小さくすると、回転性
能、加速性能が顕著に向上することは知られているが、
重心が相対的に後方となるため登坂時等に前輪が浮きや
すくなるという問題があるため、従来はホイールベース
を現状以下にすることは困難であった。
【0040】片腕で操縦ハンドル(本発明の構成で使用
される“人力駆動受け部”としてのハンドルと区別する
ため、方向舵取り操作のためのハンドルを以下操縦ハン
ドルと云う)が操作され、もう一方の腕によってハンド
ルによって駆動力の伝達が行われる3輪自転車、4輪自
転車、車椅子等においては、好ましくは人力駆動機構を
運転者の脇の下方外側(運転者の横側)で若干前方に配
設し、対を成す回転体と支持体の中心を結ぶ直線が鉛直
線に対して前方を低く傾斜させられている。このように
すると運転者の腕の動きに無理がないため体重を腕にの
せやすく、その割に疲労が少ない。
【0041】さらに別の形態では、前記チェーンを常時
緊張させる緊張手段が設けられている。アームとフリー
クランクからなる抑制手段はチェーンが移動面外に飛び
出したり、変形したりすることを防止するが、チェーン
が移動面内を長円軌道からはみ出すことについては何ら
拘束しない。本発明の構成においては、チェーンリンク
に直接力が加えられてチェーンが牽引されるため、チェ
ーンが弛んでいれば、牽引時、長円軌道の直線部ではチ
ェーンが蛇行し、スプロケット部ではチェーンのローラ
がスプロケットの歯から離れたり衝突したりする可能性
がある。 このようなことが起これば、動力損失が大き
くなり、チェーンのローラや、ピンの損耗が短期に発生
する可能性がある。チェーンの緊張手段は、好ましくは
対を成す回転体と支持体が取り付けられているパイプ等
からなる円柱が上下に分割されて互いに滑動自在にはめ
合わされ、二つの円柱の中にそれぞれ設けた底板の間に
スプリングが圧縮挿入されている。単に植え込みボルト
もしくはボルト、あるいはその組み合わせ等を用いて前
記上下の円柱を離隔する方向に押してチェーンを緊張さ
せてもよい。この方法によれば、運転者の慣れや好みに
よりスプロケットの大きさを変更できるという利点もあ
る。勿論、別途設けた遊動スプロケット、遊動ローラ等
によってスプリング等の力でチェーンを緊張する手段も
可能である。
【0042】一般にチェーン伝達機構での損傷はチェー
ンがスプロケット上を移動している時、チェーンのロー
ラやリンクプレートがスプロケットに衝突を繰り返すこ
とにより発生することが多い。したがって、チェーンと
ペダルもしくはハンドルとの接続部近傍、好ましくはペ
ダルもしくはハンドルの軸と中心線を同一にする軸を有
する案内ローラを設け、少なくとも下方に位置している
回転体もしくは支持体の少なくとも一部を覆うように該
案内ローラが転動する転動レールを設けて、チェーンの
ローラがスプロケットの歯面を離れないようにしてもよ
い。
【0043】本発明の好ましい人力駆動機構では、左右
にペダルもしくはハンドルを有するチェーンを配置し、
右側のチェーンは第一回転体および第一支持体に巻きか
けられ、左側のチェーンは第二回転体および第二支持体
に巻きかけられ、第一と第二回転体は同一軸に固定さ
れ、該軸には第一と第二回転体の間に第三回転体である
チェーンリングが固定され、左右のペダルもしくはハン
ドルに加えられた動力が左右のチェーンから第一もしく
は第二回転体を介してチェーンリングに伝達され、さら
にチェーンリングに連結されたチェーン、歯車等を介し
て動力が推進輪(自転車の場合には後輪、ボートの場合
には水車、プロペラ等)に伝達される。ここで、支持体
をチェーンの内側リンクプレートの内幅より若干狭い巾
の案内レールにして該レール上でチェーンのローラを転
動させれば構造が簡単で配置に自由度がある。 支持体
を回転体すなわちスプロケットにすれば、摩擦損失がよ
り少なくなる。この場合、第一支持体と第二支持体は互
いに独立して回転可能にフレームに取り付けられてい
る。このため、左右のチェーンの長さに製作によるバラ
ツキや使用後の伸び差があっても、左右のチェーンが相
互に干渉しあうことはない。
【0044】より好ましくは、左右のペダルもしくはハ
ンドルは略1/2周期位相をずらされている。このよう
な構成においては両脚もしくは両腕を交互に連続的に使
えるため、回転軸の回転変動が少なく、力も平均的に安
定して加えることができ、運転者にとって疲労が少な
い。
【0045】ここで、説明を容易にするためチェーンと
当該チェーンが巻きかけられている対を成す回転体と支
持体をまとめて人力駆動ユニットと呼ぶと、運転席と略
平行に配設された上記人力駆動機構ユニットの配置につ
いては、運転席を二つの人力駆動機構ユニットの中間、
中間後方、中間前方(ボート等の場合等で運転者が後ろ
向きに座ってペダルを踏むかハンドルを引くような配
置)、中間上方(自転車では一般的な配置)、中間下方
いずれに位置してもよいが、人力駆動機構ユニットの傾
斜角を含めて運転者が両足もしくは両手を使ってペダル
もしくはハンドル等の人力駆動受け部に力を加えやすい
配置が選ばれる。
【0046】本発明の一形態の自転車においては、略平
行に配設された人力駆動ユニットが運転席の下方で、踏
み込み側チェーンの直線軌道部分が鉛直線に対して後側
を低く傾斜させられている。 この構成では、運転者
は手で操縦ハンドルを押さえ、足でペダルを斜め後方に
蹴る態勢となるため、腰から臀部へかけての筋肉を使っ
てのペダル踏みが可能となり、楽に大きな力を発生でき
る。
【0047】本発明の別形態の自転車においては、略平
行に配設された人力駆動ユニットが運転席の下方で、若
干前方に配置され、踏み込み側チェーンの直線軌道部分
が鉛直線に対して前側を低く傾斜させられている。この
構成では、運転者は手で操縦ハンドルを引き、足でペダ
ルを斜め前方に蹴る態勢となるため、腰から臀部へかけ
ての筋肉を使ってのペダル踏みが可能となり、楽に大き
な力を発生できる。
【0048】本発明のさらに別形態の自転車において
は、略平行に配設された人力駆動ユニットが運転席の下
方で、ほぼ両側方に配置され、踏み込み側チェーンの直
線軌道部分が鉛直に配置されている。この構成では、運
転者は全体重をペダルに掛けやすく、長い坂を登る場合
には好適な配置となる。
【0049】本発明の好ましい人力駆動機構では、左右
にペダルもしくはハンドルを有するチェーンを配置し、
右側のチェーンは第一回転体および第一支持体に巻きか
けられ、左側のチェーンは第二回転体および第二支持体
に巻きかけられ、第一回転体と第二回転体は推進輪(自
転車の場合には前輪もしくは後輪、ボートの場合には水
車やプロペラ等)と同一軸中心を有している。例えば、
自転車の場合、第一回転体と第二回転体は前輪もしくは
後輪と共軸もしくは遊星歯車変速機を介して軸中心を共
有するようにされる。
【0050】本発明の好ましい人力駆動機構では、対を
成す回転体と支持体に巻回された無端駆動部材の大曲率
半径部の地平面に対する傾斜角が可変となっている。こ
の構成では、自転車においては、登坂時には当該人力駆
動機構の大曲率半径部を鉛直線に近く立てた鉛直配置と
して体重を掛けやすくし、長距離平坦道走行時には傾斜
配置として運転者はサドルに座って前方もしくは後方に
ペダルを蹴ることができ、体重、腰、下肢の筋肉を有効
に利用できる。
【0051】本発明の好ましい人力駆動機構では、前記
無端駆動部材は複数のリンクをピンで接続したチェーン
であり、該複数のリンクのうち一つが駆動力受けリンク
を構成し、該駆動力受けリンクは、前記チェーンの移動
面と垂直方向に突出した軸を有し、前記駆動力受けリン
クは該軸を介して前記抑制手段に回転可能に取付けられ
ている。この場合、該駆動力受けリンクはU字溝を有
し、該U字溝内で前記チェーンの隣接するリンクと回転
可能に接続されている。 タイミングベルトを適用する
場合には、隣接する二つの歯と谷に挟まれた単位をリン
クと呼べば、駆動力受けリンクのU字溝に、隣接すべき
リンクの歯を両側から挿入し、U字溝を貫通するピンに
より夫々を回転可能に接続すればよい。ビードベルトや
ピンドベルトの場合にも相隣接するビードやピンからな
る単位をリンクと呼べば、これらの場合にも同様に本発
明が適用可能である。
【0052】以上の説明は本発明を自転車に適用する場
合を中心に行ったが、3輪自転車、4輪自転車、車椅
子、ボート、人力飛行機およびトレーニング機器等人力
で駆動されるその他の乗物もしくは乗物を模した機器等
等にも適用可能である。 本発明によれば、入力動力が
増大するので、速度、トルクともに増大させることが可
能となり、人力乗物の推進が快適となる。本発明をトレ
ーニング機器に適用すれば、自転車、ボートを模した体
力増強装置の提供が可能となる。 また、人力駆動機構
の大曲率半径部を鉛直配置とし、対を成す回転体と支持
体の中心間距離を小さくしてペダルのストロークを短く
すれば足、腰の動きが人の歩行とよく似た動きとなり、
歩行練習器として歩行困難者のリハビリに好適に用いる
ことができる。
【0053】人力駆動受け部は、足で操作するペダルで
あっても、手で操作するハンドルであってもよい。 3
輪自転車、4輪自転車、ボート等のように運転者が座席
に深く座って運転できるような乗物では対を成す回転体
と支持体に巻回された無端駆動部材の大曲率半径部を前
方に低くなるよう構成して、運転席を人力駆動機構の後
方で対を成す回転体と支持体の高い方とほぼ同じ高さに
配置し、運転席に運転者の後部を支持する背もたれ、腰
受け等を設ければ、脚に力が入りやすく、この構成もま
た本発明の好ましい適用態様である。また、本発明によ
る人力駆動機構は、人力駆動機構ユニットを左右に配設
する場合、左右の人力駆動受け部の位相を以上例示した
ように1/2周期ずらして左右の足もしくは手で人力駆
動受け部に力を加えることだけに限定されるものではな
い。例えば、3輪自転車、4輪自転車、ボート等におい
ては、本発明による人力駆動機構を座席に座った運転者
の両側にほぼ水平に、高さをおよそ運転者の腰から肩と
同じく配設し、左右位相を併せてハンドルに力を作用さ
せる構成も本発明の好ましい適用態様である。
【0054】本発明の人力駆動機構は、自転車、3輪自
転車、4輪自転車、車椅子、ボート、人力飛行機および
トレーニング機器等人力で駆動される乗物もしくは乗物
を模した機器等に好ましく適用でき、人力を効果的にト
ルクに変換できるので大きな出力向上が可能となり、非
力な運転者でも長距離運転が可能となり、自転車や車椅
子等に適用した場合には、登坂能力、危険の回避等の面
で効果が顕著である。
【0055】
【実施例】以下、本発明の人力駆動機構を実施例によっ
て具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によっ
て限定されるものではない。
【0056】図1は、本発明の人力駆動機構を自転車に
適用した場合の第1実施例を示す配置図で左右の人力駆
動機構ユニットが平行に、それぞれ対を成す回転体と回
転体からなる支持体の中心を結ぶ直線が鉛直方向を向く
ように配置されている。図1において、紙面手前側、す
なわち自転車に乗車した状態で右側に位置する人力駆動
機構ユニットを右ユニット、左側を左ユニットと呼ぶこ
とにし、右ユニットの部品には一桁もしくは二桁の符号
が当てられ、左側ユニットの部品には対応する右ユニッ
トの部品の符号に二桁の0がつけられるものとする。軸
受、ナット、軸受等特に区別を要さない機械要素につい
ては左右とも同じ符号とする。図2〜図9は本実施例に
おける人力駆動機構の実施態様の詳細を説明するもの
で、図2は自転車全体を示す側面図、図3は図2のY−
Y矢視図、図4は図2のX−X矢視図、図5は図3のA
−A断面図、図6は図3のB−B断面図、図7は図3の
C−C断面図、図8は図4のD−D矢視図、図9は図3
のE−E断面図、図10は図3の別態様図である。各部
品の説明において、右ユニットについては全ての符号に
ついて説明するが、左ユニットについては輻輳を避ける
ため、必要な場合を除いて説明を省略する。
【0057】図1〜図9において、1および2は鉛直に
配設された円柱32に回転自在に取り付けられたそれぞ
れ第一回転体(スプロケット)および第一支持体(スプ
ロケット)、100および200はそれぞれ第二回転体
(スプロケット)および第二支持体(スプロケット)、
3および300はそれぞれ第一回転体1と第一支持体
2、第二回転体100と第二支持体200に巻き掛けら
れた長円軌道を形成する無端駆動部材であるチェーン、
4および400はそれぞれ駆動力受けリンク12、12
00、ペダル軸17、1700を介してチェーンを牽引
するペダルである。ペダル4、400は互いに位相を1
/2周期ずらされている。10,1000および11、
1100はペダル軸17、1700をチェーンの移動面
に対して常に垂直に保つそれぞれフリークランクおよび
アーム、6はナット26およびスペーサ24,25によ
って第一回転体1、第二回転体とともに駆動軸15に固
定された第三回転体であるチェーンリング、7は伝達チ
ェーン8を介してチェーンリング6によって回転させら
れる後輪の従動軸スプロケットである。図7において、
駆動軸15は軸受27を介して、円柱32に貫通固定さ
れたボス34によって回転自在に保持されている。円柱
32は自転車のフレームであるダウンチューブ30とシ
ートチューブ31の連結部中間で両者と溶接付けされて
いる。図1において、伝達チェーン8,従動軸スプロケ
ット7,ダウンチューブ30とシートチューブ31等は
従来技術によるものである。
【0058】図5において、フリークランク10、10
00は夫々クランク軸13、1300の2面幅部分13
a、1300aに圧入固定され、軸受28を介して円柱
32に貫通固定されたボス33によって回転自在に保持
されている。図5に示されるように、クランク軸13、
1300は別体であり、クランクの動きによって互いに
独立して空転する。このため、フリークランク10、1
000は互いに干渉しあうことはない。図6において、
アーム11はフリークランク10に焼きばめ等で固定さ
れた連結軸14に複列アンギュラー玉軸受28を介して
回転自在に取り付けられている。左ユニットについても
同様である。フリークランクとアームの対は抑制手段を
構成し、ペダルに力が加えられる時、ペダル軸をチェー
ンの移動面に対して常に垂直に保つ。 これにより、ペ
ダルに運転者の足から確実に力が伝えられ、かつチェー
ン3、300のリンクに曲げモーメントやねじりが作用
しないため、チェーンそのものはその移動面に含まれる
直線まわりのモーメントに対して高強度を必要としな
い。したがって、軽量、薄肉のリンクを有するチェー
ン、例えば通常の自転車に用いられている多段変速用の
ものを用いることができる。
【0059】図4、図8において、ペダル4は図示され
ていない軸受(自転車のペダルに通常使用されている軸
受でよい)によって回転自在にペダル軸17に取付けら
れ、該ペダル軸はアーム11の端部ボス11aの側面に
ねじ込まれることによって固定され、該ボス11aには
針状ころ軸受29が設けられ、駆動力受けリンク12の
軸部12aが挿入されている。駆動力受けリンク12の
U字溝12bにはチェーン3の一方の端部リンク3aと
他方の端部リンク3bが外リンクプレート20を取り外
してはめ合わされ、両端部リンク3aと3bは夫々ブッ
シュ23の内側を貫通するノックピン18によって駆動
力受けリンク12のU字溝に回転自在に取付けられてい
る。 ノックピン18はピン19と同一径で、ピン19
と同様に、ブッシュ23に隙間を設けてはめ合わされ、
ブッシュ23の外周にはローラ22が隙間をもってはめ
合わされている。
【0060】したがって、チェーン3は前記U字溝12
bと2本のピン18により無端駆動部材を構成してい
る。針状ころ軸受29と駆動力受けリンクの軸部12a
は軸方向の相対変位を許容されるので、ペダル4に大き
な踏込み力が作用しクランクやアームに多少の撓み、捩
じりを生じても、ペダルが多少外側に変位するだけで、
アームボス部11aの角度変化が小さいためチェーンに
は問題となるような曲げや捩じりは生じない。また、ピ
ン18は両端をU字溝で支持されているため、チェーン
3に働く牽引力(引張り力)によってピン18に大きな
応力が発生することはない。 軸受29には針状ころ軸
受の代わりに円筒ころ軸受やリニアブッシュ等の直動軸
受を使用することもできる。一般に針状ころ軸受や円筒
ころ軸受では曲げモーメントが作用すると、ころの端部
に大きな接触面圧が生じ、この部分から損耗しやすいこ
とを考慮して、ころ端部に丸みをつけてもよい。それに
より、応力勾配が緩和され耐久性がさらに向上する。
また、前記軸部12aに肌焼き材を用い、薄い表層は高
硬度で、その内部は柔らかい二層構造とすることも応力
緩和上好ましい。前記チェーン3については駆動力受け
リンク12とその取り付け方法を除いて、従来技術が使
用可能である。
【0061】図9において、第一支持体2、第二支持体
200はナット26およびスペーサ25によって夫々遊
動軸16、1600に固定され、軸受27を介して、円
柱32に貫通固定されたボス35によって回転自在に保
持されている。図9に示されるように遊動軸16、16
00は別体であり、チェーン3,300の動きに伴い空
転する。図10に示されるように円柱32を軸方向(上
下方向)に2分割し、下部円柱32bの上部小径部を上
部円柱32a内周部に滑動自在にはめ合せ、スプリング
42は下部円柱32bに設けられたスプリング受け41
と上部円柱32aに設けられたスプリング押さえ40と
によって圧縮保持し、チェーン3をセットすることによ
り強く圧縮してもよい。 逆にチェーンはスプリングに
よって強く緊張させられている。
【0062】図1において、フリークランク10の回転
軸中心Ocは第一回転体の中心O1と遊動軸の中心O2
の中間に位置し、フリークランク10の回転半径Lcと
アーム11の回転半径Laの和がペダル中心の最上位置
もしくは最下位置とフリークランクの回転中心Ocとの
距離Hよりも若干大きくされている。このようにする
と、幾何学的に最下位置や最上位置が思案点や死点にな
ることはない。
【0063】図1では、右ユニットが往行程にあり、ペ
ダル4は運転者の足から下向きの力を加えられてチェー
ン3を矢印の向きに牽引している。 往行程の大曲率半
径部(本実施例の場合は直線部分)においては、ペダル
4に作用された力は100%トルクに変換される。した
がって、この部分では図13の最大回転力が維持され
る。左のペダル400には運転者の足もしくは下肢の重
さが作用しているが、左のペダルが往行程終了時有して
いた左のペダルに付随する運動質量の運動エネルギーと
右足の踏み込みによる動力の一部を消費することにより
上昇することは、従来の自転車の場合と同様である。
の場合、後輪の負荷を負担する第一および第二回転体
が、単に空転だけして負荷を負担しない第一および第二
支持体よりも上方に配置されているため、図1の状態で
言えばペダル4とチェーンの進行方向直ぐ後方に位置す
る第一回転体1との間の短い部分のみが大きな張力が働
く張り側となり、右のチェーン軌道中他の部分は全て緩
み側となる。前述したようにチェーン・スプロケット機
構における機械的損失の大部分は、チェーンとスプロケ
ットとの噛み合い始めと噛み合いが外れる部分で発生
し、機械的損失の大きさはそれらの部分のチェーンの張
力に比例するため、本実施例の場合には後述する本発明
の他の実施例に比してチェーン・スプロケット機構の機
械的損失は極めて小さく抑えられる。また、前述した
“往復動直線運動型人力駆動機構”とは違って、往行程
の踏み込み開始時期においてペダルの移動速度は低下し
ていないので、加速距離は必要でなく、全ての往行程で
人力は回転力として伝達される。この結果、本実施例の
構成によれば、対を成す回転体と支持体の中心間距離、
夫々のピッチ円半径によって変化するが、力学的には従
来の自転車に比して1.2倍〜1.8倍の入力動力が得
られる。
【0064】本実施例では対を成す回転体と回転体から
構成される支持体のピッチ円半径が同一とされている
が、夫々のピッチ円半径が相違していても本発明を好ま
しく適用できる。本実施例では、無端駆動部材としてチ
ェーンを用いて説明を進めたが、回転力を伝えうるもの
であればベルト、タイミングベルト、特殊チェーン、ロ
ープ等どのようなものであっても本発明の構成に適用可
能である。
【0065】本実施例では、変速機を設けていないが、
従動軸スプロケットを多段、例えば9段とすることも、
チェーンリングを1段でなく3段とすることも、本発明
の趣旨を減ずることなく可能である。
【0066】本願発明者の多段変速機と組合わせた本実
施例の試作試験結果によると、速度性能、登坂性能の上
限を決定する主要因子は対を成す回転体と支持体(何れ
もスプロケット)の角速度であることが判明している。
また、立ち漕ぎの円滑さには、下側に配置されているス
プロケットの角速度の大きさが関係する。 すなわち、
ペダルがスプロケットを周回するとき、踝が大きい角速
度に追随できないため方向転換に遅れが生じやすい、特
に上に位置するスプロケットをペダルが周回する場合遠
心力で足がペダルを離れやすい。後者についてはペダル
にバンド等で足を固定したり、意識して足をペダルに押
し付けたりすることによって大きな角速度まで追随可能
である。 また、慣れることによって解消する。
【0067】自転車の場合、目的、運転者層に応じてス
プロケットのピッチ円半径が選定される。上に配置され
るスプロケットのピッチ円半径は、好ましくは52mm
(通常の自転車用チェーンを用いる場合には歯数26)
以上116mm(同歯数57)以下、より好ましくは6
4mm以上(同歯数32以上)106mm(同歯数5
2)以下、下に配置されるスプロケットのピッチ円半径
は、好ましくは64mm以上(同歯数32)以上116
mm(同歯数57)以下)、より好ましくは76mm以
上(同歯数38以上)106mm(同歯数52)以下が
選定される。
【0068】図11は本発明を自転車に適用した場合の
第2実施例を示す側面図で、フリークランクの回転中心
がチェーンで構成される長円軌道外で、ペダルの後方の
シートステー60に位置している。その他の第1実施例
との相違は、チェーンリング6の配置が下になっている
こと、左右の人力駆動機構ユニットが鉛直線から26゜
傾斜して自転車に配設されていること等である。このよ
うに、フリークランクの回転中心を後輪側に配置すれ
ば、悪路走行中にクランクやアームが障害物に当たるこ
とがなく、悪路走行を目的とするBMX車などに好ましく
使用できる。 この実施例のように、チェーンリング6
が下方に配置されると、伝達チェーン8が短くなるとい
う利点がある。また、ペダルの最高、最低位置を従来の
自転車と同一に保ったまま人力駆動機構を鉛直線から2
6゜傾斜させているためペダルのストロークが大きくと
れ、鉛直配置の場合に比して入力動力増が大きくなる。
なお、ここで26゜の傾斜は一例を示したに過ぎず、使
用目的、対象者層によってこの角度は変化する。人力駆
動機構を本実施例のように傾斜配置にすれば、運転者は
手で操縦ハンドルを押さえ足でペダルを斜め後方に蹴る
態勢になるため腰から臀部へかけての筋肉を使ってのペ
ダル踏みが可能となり、容易に大きな力を発生できる。
本実施例では、人力駆動機構の傾斜角度を選べば、運転
者にとってランニングの姿勢に近い姿勢が可能となり、
ペダルが下降するにつれ膝が伸びるため、膝関節への負
担は大幅に軽減される。
【0069】図12は本発明の人力駆動機構の第3実施
例を説明する概念図である。回転体1のピッチ円半径と
等しい半径Rを有する半円弧状の支持体である案内レー
ル2と回転体1の間に無端駆動部材3が巻き掛けられて
いる。回転体1と案内レール2との間の無端駆動部材の
直線部長さは0.5πRとされている。 該無端駆動部材
3には、ペダル4が設けられ、運転者はほぼ鉛直下向き
にペダル4を矢印の方向に踏み込むことにより該無端駆
動部材3を長円軌道に沿って移動させることにより回転
体1を回転させ、駆動軸15を回転させる。自転車の場
合には、実施例1と同じく駆動軸15にチェーンリング
を固定し、さらに別の同一ユニットをペダルの位相を1
/2周期ずらして配設する。車椅子の場合には、駆動軸
15が推進輪と共軸とされる。 ボート等では、駆動軸
は船腹を貫いて船外に突出し、先端部に水車、プロペラ
等の推進輪が設けられる。無端駆動部材としては、チェ
ーン、ロープ、タイミングギア等が用いられるが、チェ
ーンを用いればチェーンのローラを案内レール2上で転
動させることができるので、摩擦損失が小さい。
【0070】第3実施例を自転車に応用した場合に、従
来型の自転車のクランク半径がR, ペダルの平均移動速
度が従来型自転車と本実施例とで同一、無端駆動部材の
直線域おいては往行程では図13のクランク角度90
°、復行程では270°での回転力が維持され円周域で
は対応するクランク角度での図13の回転力と等しい場
合、本実施例では従来型の自転車に比して約1.18倍
の入力動力増となる。
【0071】物理的な意味での仕事は力と作用点の移動
距離の積を云い、移動距離が0であればいかに力が大で
あっても物理的にはなした仕事は0である。一方、人体
では、力を発生させるには筋肉を収縮させる必要があ
り、力の発生にはエネルギーの消費を伴う。 発生する
力の時間積分がその力を維持するために消費されるエネ
ルギーに大略比例すると考えることにする。そうすると
人力はその人がそのとき消費している動力(仕事率)に
大略比例することになる。運転者の片足が往行程におい
ては方向にかかわらず一定力Fをペダルに作用させ、復
行程では休んでいる(F=0)とするならば、時間平均
消費動力は両人力駆動機構で等しいことになる。 すな
わち、エネルギー効率も約1.18倍になるものと考え
られる。本実施例では、無端駆動部材の直線部長さは
0.5πRとしたが、これを長くすると入力動力はさら
に増大する。
【0072】図14は本発明の人力駆動機構を自転車に
適用した場合の第4実施例を示す側面図で、前記フリー
クランクの回転中心(クランク軸13)がチェーンで構
成される長円軌道外でペダル前方に位置し、左右の人力
駆動機構ユニットは鉛直線から15゜前方に傾斜して配
置されている。本実施例では、多段変速スプロケット7
がディレイラー9とともに後輪に設けられ、人力駆動機
構ユニットを支持するブラケットは、実施例1の円柱3
2のように自転車のフレームに溶接付けではなく、別体
となっており、下方で二股となっているダウンチュー
ブ、シートチューブおよびチェーンステーの集合部であ
る左右のボトムブラケットに挟まれて回転自在に保持さ
れている。該ブラケットは、走行状態に合わせて運転者
が姿勢調整をできるようになっている。 また、第一、
第二回転体とチェーンリングを有する駆動軸15は第一
実施例と違って下方に位置している。第一実施例と同じ
く、遊動軸は図9と同様に、クランク軸は図5と同様に
左右別体である。 第4実施例について以下に詳細に説明
する。
【0073】図14〜図23は本実施例における人力駆
動機構の実施態様の詳細を説明するもので、図15は左
右の人力駆動機構が取り外された状態での側面図を示
し、チェーンリング6と多段変速スプロケット7の関係
を示す図、図16はさらにチェーンリング6と伝達チェ
ーン8が取り外された状態での側面図、図17は図16
において前記ブラケットおよびダウンチューブ、シート
チューブの一部が自転車中心線を含む鉛直面で切断され
た部分断面図、図18は図17のH部詳細、図19は図
16のG-G断面図、図20は図17のI部詳細、図21は
図18のL部拡大図、図22は図18のJ矢視図、図23
は図16のM矢視図である。
【0074】図14〜図19において、ダウンチューブ
30およびシートチューブ31は、下方で二股になって
おり、夫々30a(右側部材)、30b(左側部材)お
よび31a(右側部材)、31b(左側部材)に枝分か
れし、三つの右側部材30a、31aおよびチェーンス
テー45の右部材45aはともに右側ボトムブラケット
37に集合させられてお互いに溶接接合されている。同
様に、ダウンチューブ、シートチューブ、チェーンステ
ーの左側部材30b、31b、45bは左側ボトムブラ
ケット38に集合させられてお互いに溶接接合されてい
る。 図23に示すように、ダウンチューブは一本の円
形チューブから二本の略楕円チューブに枝分かれしてい
る。シートチューブについても同様である。図19にお
いて、右側ボトムブラケット37および左側ボトムブラ
ケット38は、接続軸39とナット81により、ブラケ
ット固定ボス70g内に設けられたディスタンスリング
83、2個の深溝玉軸受の内輪とともに堅く締付けて固
定され、フレームの剛性を十分保ちつつブラケット本体
70の回転を許容している。82は左右のボトムブラケ
ットが相互に回転することがないように位置決めするス
プリングピンである。
【0075】図18において、70はブラケット本体、
71はブラケット本体70の縦チューブ70cに挿入さ
れたブラケット伸縮部、70a、70b、70c、70
dはブラケット本体を構成する夫々トップチューブ、ダ
ウンチューブ、縦チューブ、縦短チューブで、クランク
軸ボス70e(実施例1の33に相当)、駆動軸ボス7
0f(同34に相当)、ブラケット固定ボス70gとと
もに溶接付けされている。このようにブラケット本体7
0は円形チューブからなる三角形のラーメン構造とされ
ているため、曲げ、捩じり剛性が大きく、ペダルに大き
な力が加わり、アームおよびフリークランクを介してボ
ス70gを支点とする捩じりがボス70eに作用して
も、変形は極めて微小で、アームおよびフリークランク
の抑制手段としての機能を確実なものとする。71a、
71bはブラケット伸縮部を構成する夫々スライドチュ
ーブ、遊動軸ボス(実施例1の35に相当)でお互いに
溶接付けされている。スライドチューブの下端にはガイ
ドピン75が打ち込まれたリング71aaが設けられ、
該ガイドピンがブラケット70の縦チューブ70cに設
けられた溝70ca(図22参照)に案内されて動くよ
う構成され、クランク軸ボス、駆動軸ボス、遊動軸ボ
ス、ブラケット固定ボス70gの中心線の平行度が保持
される。
【0076】ブラケット本体の縦チューブ70cの内周
とブラケット伸縮部のスライドチューブ71aの外周は
対を成すスプロケットの中心間距離、すなわち駆動軸ボ
ス70fの中心と遊動軸ボス71bの中心との距離を調
節できるようにわずかに隙間が設けてあるが、縦チュー
ブ70c上端に設けた1対の締付金具79を六角穴付き
ボルト78(ボルトの頭は締付金具の中に入っていて見
えていない)で締付けることによって堅く固定されてい
る(図22参照)。図22において、70cbはこの締
付けを容易にするための縦チューブ70cに設けられた
スリットである。ここで、締付けによるスライドチュー
ブの倒れが遊動軸ボス中心線と他のボスの中心線との平
行度に影響しないように、締付けの方向は図18、図2
2に図示されるように各ボスの中心線に平行であること
が好ましい。
【0077】図18、図21において、71cは遊動軸
ボス71bに挿入されて溶接付けされた内面にネジを有
する緊張ボルト座、72は該緊張ボルト座71cにねじ
込まれ、内部にネジ72aを有する緊張調整ボルト、7
3は上部のネジ73aを緊張ボルトの内部にねじ込ま
れ、下端はブラケット固定ボスにネジで固定された緊張
ボルトである。74は緩み防止のロックナットである。
上記緊張調整ボルトと緊張ボルトとの組合わせは一般に
作動ネジ機構として知られている。 緊張調整ボルトの
内外ネジピッチおよびネジの巻き方向の設定により微調
整可能とすることも、短時間で緊張可能とすることもで
きる。
【0078】図18、図20において、90はブラケッ
ト姿勢調整機構、90aは調整ハンドル、90bは調整
ハンドルに固定されトップチューブ36に設けられたボ
ス36aにネジ結合されたハンドル棒、90dは球面ジ
ョイント90cにより上端を該ハンドル棒90b、下端
をブラケット本体のクランク軸ボス70eに設けた突起
70eaに夫々回転自在に連結された調整ロッドであ
る。調整ハンドル90aを回転させることにより、ハン
ドル棒が上下して、ブラケットの姿勢が調整される。
【0079】本実施例では、ブラケット70は軸受を介
して、左右のボトムブラケットに回転自在に保持されて
いるが、勿論ボルトとナットによって直接締付けて固定
することも好ましい。
【0080】図24は本発明の人力駆動機構を自転車に
適用した場合の第5実施例を示す側面図で、左右に設け
られた同一構成の人力駆動機構ユニットの回転体が後輪
と同一軸中心を有している。図25は図24のK矢視図
(チェーンは図示していない)である。図24におい
て、これらの人力駆動機構ユニットは、右ユニットで説
明すると、下側に設けられた回転体1と上側に設けられ
た案内レール2、チェーン3とから構成されている。右
側ユニットの回転体1は図示されていない左側ユニット
の回転体100とともに夫々駆動軸15の両端部に取付
けられ、夫々の回転体の自転車中心線よりの内側にはシ
ートステー60とチェーンステー45の集合部に設けら
れた軸受(図示されていない)があり、さらにこれらの
軸受の自転車中心線よりの内側には駆動軸15に直接も
しくは遊星歯車機構等の変速機やラチェット機構を介し
て、後輪が取付けられている。変速機やラチェット機構
の構成により、駆動軸15は軸中心を同一にして、左右
別体としてもよい。図25において、案内レール2およ
び200の厚さはチェーン3および300(図示されて
いない)の内側リンクプレート内幅よりわずかに小さ
く、これらの案内プレートは円柱ステー66、左右のリ
ブ65を介して右側シートステー60a、左側シートス
テー60bに固定されている。ここで、案内レールを可
動として、チェーン3および300を緊張できるように
してもよい。
【0081】本実施例では、人力駆動機構の回転体の駆
動軸15が後輪と軸中心を共有しているため、伝達チェ
ーンおよびチェーンリングが使用されていない。また、
本実施例では人力駆動機構が自転車本体のフレームによ
って直接支持され、特にフリークランクの回転中心が剛
性の大きいボトムブラケットに設けられているので、高
剛性の割に軽量である。したがって、本実施例は特にポ
ータブルな折りたたみ自転車等に好ましく適用できる。
後輪のサイズは運転者の足が無理なくペダルを回転させ
ることができる大きさとされ、好ましくは14インチ以
上26インチ以下、より好ましくは17インチ以上22
インチ以下とされる。
【0082】以上の説明では、回転体と支持体は一人力
駆動機構ユニット当たりそれぞれ1個、対で使用されて
いるが、チェーンをペダル等で直接牽引して最大回転力
の持続期間を増大させるという本発明の趣旨が生かされ
る限り、複数個付けても本発明の範囲である。
【0083】
【発明の効果】本発明による人力駆動機構によれば入力
動力が増大し、 例えば、自転車に適用した場合、速
度、登坂性能ともに向上させることができる。さらに、
本発明を3輪自転車、4輪自転車、車椅子、ボートおよ
び人力飛行機に適用した場合も同様に入力動力が増大
し、速度、トルクともに増大させることが可能となる。
本発明をトレーニング機器に適用すれば、自転車、ボー
トを模した体力増強装置の提供が可能となる。また、人
力駆動機構の大曲率半径部を鉛直配置とし、対を成す回
転体と支持体の中心間距離を小さくしてペダルのストロ
ークを短くすれば足、腰の動きが人の歩行とよく似た動
きとなり、歩行練習器として歩行困難者のリハビリに好
適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の人力駆動機構を自転車に適用した場合
の第1実施例を示す人力駆動機構の配置図。
【図2】自転車全体を示す側面図。
【図3】図2のY−Y矢視図。
【図4】図2のX−X矢視図。
【図5】図3のA−A断面図。
【図6】図3のB−B断面図。
【図7】図3のC−C断面図。
【図8】図4のD−D矢視図。
【図9】図3のE−E断面図。
【図10】図3の別態様図。
【図11】本発明の人力駆動機構を自転車に適用した場
合の第2実施例を示す側面図。
【図12】本発明の人力駆動機構の第3実施例を示す概
念図。
【図13】従来の自転車におけるクランク回転力とクラ
ンク角度の関係を示すグラフ。
【図14】本発明の人力駆動機構を自転車に適用した場
合の第4実施例を示す側面図。
【図15】図14において、左右の人力駆動機構が取り
外された状態での側面図。
【図16】図15において、チェーンリング6と伝達チ
ェーン8が取り外された状態での側面図。
【図17】図16において、ブラケットおよびダウンチ
ューブ、シートチューブの一部が自転車中心線を含む鉛
直面で切断された部分断面図。
【図18】図17のH部詳細図。
【図19】図16のG-G断面図。
【図20】図17のI部詳細図。
【図21】図18のL部拡大図。
【図22】図18のJ矢視図。
【図23】図16のM矢視図。
【図24】本発明の人力駆動機構を自転車に適用した場
合の第5実施例を示す側面図。
【図25】図24のK矢視図。
【符号の説明】
1:第一回転体 100:第二回転体 2:第一支持体(案内レール、回転体) 200:第二支持体(案内レール、回転体) 3、300:チェーン 4、400:ペダル 6:チェーンリング 7:従動軸スプロケット 8:伝達チェーン 10、1000:フリークランク 11、1100:アーム 12、1200:駆動力受けリンク 12b:U字溝 13、1300:クランク軸 13a、1300a:クランク軸の2面幅部分 14:連結軸 15:駆動軸 16、1600:遊動軸 17、1700:ペダル軸 18:ノックピン 19:ピン 20:外リンクプレート 21:内リンクプレート 22:ローラ 23:ブッシュ 27、28,29:軸受 30:ダウンチューブ 30a、30b:ダウンチューブ下部の二股部分 31:シートチューブ 31a、31b:シートチューブ下部の二股部分 32:円柱 33、34,35:ボス 37:右側ボトムブラケット 38:左側ボトムブラケット 39:接続軸 42:スプリング 45:チェーンステー 60:シートステー 70:ブラケット本体 70a、70b、70c、70d:ブラケット本体を構
成するチューブ 70e、70f、70g:ブラケット本体に設けられた
ボス 71:ブラケット伸縮部 71a:スライドチューブ 71b:ボス 71c:緊張ボルト座 72:緊張調整ボルト 73:緊張ボルト 80:軸受 90:ブラケット姿勢調整機構 90a:姿勢調整ハンドル

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】回転体と、支持体と、該回転体および前記
    支持体に巻回された無端駆動部材と、該無端駆動部材に
    取付けられた人力駆動受け部とを有し、前記回転体は前
    記支持体よりも上方に配置されており、該回転体から動
    力が出力されることを特徴とする人力駆動機構。
  2. 【請求項2】第一回転体と、第一支持体と、該第一回転
    体および第一支持体に巻回された第一の無端駆動部材
    と、第二回転体と、第二支持体と、該第二回転体および
    第二支持体に巻回された第二無端部材と、前記第一の無
    端駆動部材に取付けられた第一の人力駆動受け部と、前
    記第二無端駆動部材に取付けられた第二の人力駆動受け
    部とを有し、前記第一回転体と第二回転体が共軸であ
    り、軸部材により互いに固定され、前記第一の支持体と
    第二の支持体が互いに独立して回転可能にフレームに取
    付けられていることを特徴とする人力駆動機構。
  3. 【請求項3】第一回転体と第二回転体の共軸上に推進輪
    が設けられていることを特徴とする請求項2に記載の人
    力駆動機構。
  4. 【請求項4】回転体と、支持体と、該回転体および前記
    支持体に巻回された無端駆動部材と、該無端駆動部材に
    取付けられた人力駆動受け部と、前記無端駆動部材が移
    動する面に含まれる直線まわりの、前記駆動受け部の回
    転を抑制する抑制手段を有し、前記無端駆動部材は複数
    のリンクからなり、該複数のリンクのうち一つが駆動力
    受けリンクを構成し、該駆動力受けリンクは前記無端駆
    動部材の移動面と垂直方向に突出した軸を有し、該軸は
    前記駆動力受けリンクと一体とされ、該駆動力受けリン
    クは前記軸を介して前記抑制手段に回転可能に取付けら
    れていることを特徴とする人力駆動機構。
  5. 【請求項5】駆動力受けリンクはU字溝を有し、該U字
    溝内で無端駆動部材の隣接するリンクと回転自在に接続
    されていることを特徴とする請求項4に記載の人力駆動
    機構。
  6. 【請求項6】駆動力受けリンクが抑制手段に円筒ころ軸
    受、針状ころ軸受もしくはリニアブッシュ等の直動軸受
    によって回転可能に取付けられていることを特徴とする
    請求項4に記載の人力駆動機構。
  7. 【請求項7】回転体と支持体との間の距離を調整する手
    段が設けられていることを特徴とする請求項1〜6に記
    載の人力駆動機構。
  8. 【請求項8】回転体と支持体に巻回された無端駆動部材
    の大曲率半径部の地平面に対する傾斜角が可変となって
    いることを特徴とする請求項1〜7に記載の人力駆動機
    構。
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