JP2002172392A - 海水からミネラル含有液を製造する方法および装置 - Google Patents

海水からミネラル含有液を製造する方法および装置

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JP2002172392A
JP2002172392A JP2001273389A JP2001273389A JP2002172392A JP 2002172392 A JP2002172392 A JP 2002172392A JP 2001273389 A JP2001273389 A JP 2001273389A JP 2001273389 A JP2001273389 A JP 2001273389A JP 2002172392 A JP2002172392 A JP 2002172392A
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mineral
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reverse osmosis
membrane
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JP2001273389A
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Masahiro Kihara
正浩 木原
Hideaki Matsuyoshi
秀章 松好
Kenjiro Oikawa
健治郎 及川
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】海洋深層水などの海水の取水から目標濃度、硬
度のミネラル含有液の調製までを一連のプロセスで効率
良くかつ低コストで行うことができるようにした、海水
からミネラル含有液を製造する方法および装置を提供す
る。 【解決手段】海水を取水する工程と、取水した海水をろ
過する工程と、ろ過した海水を逆浸透膜により淡水と濃
縮海水とに分離する逆浸透膜分離工程と、分離した濃縮
海水をナノろ過膜により全含有成分に対して塩化ナトリ
ウムの割合が多い天然塩含有液とミネラル成分の割合が
多い高ミネラル含有液とに分離するナノろ過工程とを有
する、海水からミネラル含有液を製造する方法とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、海水、特に深度2
00m以深の深さから取水された海水(以下、海洋深層
水と称す)から、カルシウム、マグネシウム等のミネラ
ル成分を含有するミネラル含有液を製造する方法および
装置に関し、特にミネラル成分の濃度を精度よく調整可
能なミネラル含有液の製造方法および装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、海水、特に水深200m以深から
取水される海洋深層水が、清澄かつ各種ミネラル成分を
バランスよく含み、健康飲料や医薬品、化粧品、食品、
美容、畜産、農業等の分野での利用が検討され始めてい
る。
【0003】いずれの分野に使用する場合にも、まず取
水した海洋深層水などの海水から異物等の不純物を取り
除き、さらに、その海水から天然塩を蒸発濃縮などによ
り除去して残りのミネラル成分を含有した水に精製する
のが特徴である。
【0004】しかし、従来の方法では、天然塩を除去し
た海洋深層水などの海水を、不純物の量を極めて小さく
抑え、かつ、含有ミネラル成分を用途に応じた濃度、硬
度に精度よく調製する方法が、必ずしも確立されている
わけではない。そのため、目標とするミネラル成分濃度
や、目標とする硬度の水を調製できないか、たとえ調製
できたとしても、海水の精製段階で精度の良い濃度や硬
度の調整ができなかったため、2次的、3次的に濃度や
硬度の調整を行う必要が生じ、生産性が極めて悪いとい
う問題があった。また、蒸発濃縮のようなエネルギー消
費量の大きいプロセスを用いるため高コストになるとい
う問題があった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の課題は、上記
のような実情に鑑み、海洋深層水などの海水の取水から
目標濃度、硬度のミネラル含有液の調製までを一連のプ
ロセスで効率良くかつ低コストで行うことができるよう
にした、海水からミネラル含有液を製造する方法および
装置を提供することにある。
【0006】また本発明の課題は、上記プロセス中で、
用途に応じて含有ミネラル成分の濃度、硬度を精度良く
調整できるようにした方法および装置を提供することに
ある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明に係る海水からミネラル含有液を製する方法
は、海水を取水する工程と、取水した海水をろ過する工
程と、ろ過した海水を逆浸透膜により淡水と濃縮海水と
に分離する逆浸透膜分離工程と、分離した濃縮海水をナ
ノろ過膜により全含有成分に対して塩化ナトリウムの割
合が多い天然塩含有液とミネラル成分の割合が多い高ミ
ネラル含有液とに分離するナノろ過工程とを有すること
を特徴とする方法からなる。
【0008】上記の方法において、取水する海水は通常
の表層海水でもかまわないが、深度200m以深の深さ
から取水された海洋深層水を用いるのがより好ましい。
深層海水は、表層海水に比べて懸濁物質が少なく、かつ
低温であるため、装置の運転トラブルの原因となる微生
物汚染が起こりにくいため、通常の表層海水では必須で
ある塩素や酸などの殺菌剤による装置の殺菌処理が不要
となる。このため、運転コストを低く抑えることが可能
となると共に、高ミネラル含有液へと調整する際に、こ
れらの殺菌剤が混入することがなく、安全で高品質なミ
ネラル含有液を製造することができる。
【0009】この方法においては、上記高ミネラル含有
液を上記淡水と混合する工程を有することが好ましい。
混合割合を変えることにより、含有ミネラル成分の濃
度、それによる硬度を自由にコントロールでき、目標と
する濃度、硬度に極めて精度よく調整することが可能と
なる。しかも、この高精度の調整を、上記一連のプロセ
ス中で行うことができ、用途に応じた濃度、硬度の水
が、最終製品としてこのプロセス中で製造されることに
なる。
【0010】上記ろ過工程としては、取水した海洋深層
水などの海水を砂ろ過、精密膜ろ過、限外膜ろ過の中か
ら選ばれる少なくとも1つの方法によりろ過することが
好ましい。取水した海水の清澄度が高く、不純物や懸濁
物質が少ない場合は、上記のろ過方法をそれぞれ単独で
使用することができる。また、海水の清澄度が高くない
場合は、はじめに砂ろ過を用いて海水をろ過した後、精
密膜ろ過あるいは限外ろ過膜を用いてろ過することが好
ましい。
【0011】上記のろ過工程を経ずに後段の逆浸透膜分
離工程で取水した海水を分離すると、海水中に含まれる
不純物や懸濁物質により逆浸透膜が閉塞し、運転操作が
困難になるとともに、濃縮海水側に不純物や懸濁物質が
残存し、所望の高ミネラル含有液を得ることが困難とな
る。
【0012】上記の方法でろ過した海水を濃縮海水と淡
水に分離する工程としては、蒸留法や電気透析法なども
あるが、本発明においては、少ないエネルギーで効率よ
く分離することができる逆浸透膜を用いて行う。蒸留法
などでは、加熱により海水の濃縮過程でミネラル成分で
あるカルシウムがスケールとして析出してしまい、所望
の高ミネラル含有液が得られなくなる問題があるが、逆
浸透膜による分離では常温で処理できるため、スケール
の析出が起こりにくく、目的のミネラル成分を含む高ミ
ネラル含有液を容易に得ることができる。さらに、逆浸
透膜による分離では、水の相変化を伴わないため蒸留法
に比べて大幅にエネルギー消費を抑えることができ、製
造コストを低減することが可能になる。
【0013】また、上記逆浸透膜分離工程において、供
給海水流量に対する淡水流量の割合は20〜75%の範
囲にあることが好ましい。20%未満では、濃縮海水の
濃度が低く、後段の天然塩含有液と高ミネラル含有液と
の分離工程において、高ミネラル含有液の濃縮効率が悪
くなり経済的ではない。また、75%を超えると、濃縮
海水中でカルシウムの析出が起こり、所望の高ミネラル
含有液を調整することが困難となる。供給海水流量に対
する淡水流量の割合の、より好ましい範囲は30〜65
%である。
【0014】また上記天然塩含有液と高ミネラル含有液
との分離では、蒸発濃縮により塩化ナトリウムや硫酸カ
ルシウムを晶析させて、固液分離する方法が知られてい
るが、この方法ではエネルギー消費量が多く、かつ、重
要なミネラル成分であるカルシウムの多くが除去されて
しまうため、本発明においては、ナノ濾過膜を用いて濃
縮海水を全含有成分に対して塩化ナトリウムの割合が多
い天然塩含有液と、ミネラル成分の割合が多い高ミネラ
ル含有液とに分離する。
【0015】ナノろ過膜としては、ミネラル成分の一つ
である硫酸マグネシウムなどの2価塩の排除率が、天然
塩の主成分である塩化ナトリウムなど1価塩の排除率よ
りも高い膜を用い、硫酸マグネシウムの排除率が塩化ナ
トリウムの排除率の1.3倍以上であるものが好まし
い。上記排除率の比が1.3倍未満のナノろ過膜では、
天然塩含有液と高ミネラル含有液との分離効率が悪くな
り、後述するナノろ過膜の段数が多く必要になったり、
所望の成分の高ミネラル含有液を得ることが困難にな
る。上記排除率の比は高ければ高いほど好ましいが、よ
り好ましい範囲は1.5倍以上、さらに好ましくは3倍
以上である。
【0016】また、上記の濃縮海水をナノろ過膜で天然
塩含有液と高ミネラル含有液に分離する工程において
は、ナノろ過膜を多段に配置し、前段のナノろ過膜の濃
縮海水を昇圧して次段のナノろ過膜に供給して、さらに
天然塩含有液と高ミネラル含有液に分離する方法を用い
るのが好ましい。もちろん、1段のナノろ過膜による分
離でも、濃縮海水を天然塩含有液と高ミネラル含有液に
分離することが可能であるが、上記のようにナノろ過膜
を多段に配置して、濃縮海水を昇圧しながら次々にナノ
ろ過膜で分離することにより、より効率的に高ミネラル
含有液と天然塩含有液とに分離することが可能である。
【0017】またこの方法によると、各段でそれぞれ運
転圧力や濃縮水と透過水の流量比率を変えて運転するこ
とにより、得られる高ミネラル含有液、あるいは天然塩
含有液の含有成分比率を一連のプロセスの中で容易に変
えることができる利点があるとともに、得られる高ミネ
ラル含有液、あるいは天然塩含有液を各段で取り出すこ
とにより、異なる成分の高ミネラル含有液、あるいは天
然塩含有液を一度に製造することができ、非常に効率的
である。ナノろ過膜を配置する段数については特に限定
するものではないが、2〜6段の範囲にあるのが好まし
い。より好ましくは2〜4段である。
【0018】上記の様な方法により、高ミネラル含有液
に含有される塩化カルシウム成分の割合を全含有成分の
2〜70%の範囲とすることができる。上記成分の好ま
し範囲は5〜50%、さらに好ましくは10〜50%の
範囲である。
【0019】本発明に係る海洋深層水などの海水からミ
ネラル含有液を製造する装置は、海洋深層水などの海水
の取水手段と、取水した海水のろ過手段と、ろ過した海
水を逆浸透膜により淡水と濃縮海水とに分離する逆浸透
膜手段と、分離した濃縮海水を、ナノろ過膜により全含
有成分に対して塩化ナトリウムの割合が多い天然塩含有
液とミネラル成分の割合が多い高ミネラル含有液とに分
離するナノろ過手段を有することを特徴とするものから
なる。
【0020】このような方法および装置によって製造さ
れたミネラル含有液は、各種用途への使用が可能であ
る。たとえば、上記ミネラル含有液を含有する飲料水、
医薬品、化粧品、食品への使用、さらにはタラソテラピ
ーやプール、風呂等での使用による美容、健康分野への
展開、さらには畜産、農業分野、ペットフード等々あら
ゆる分野への利用が可能である。
【0021】本発明に係るミネラル含有液の製造方法お
よび装置において、取水した海洋深層水などの海水は、
ろ過、望ましくは高精度のろ過により不純物が除去さ
れ、苑ろ過水が逆浸透膜を用いた逆浸透膜分離工程によ
り淡水と濃縮海水とに分離される。この淡水は、後述の
高ミネラル含有液との混合による所望濃度、硬度のミネ
ラル含有液調製に供することができる。逆浸透分離した
濃縮海水は、後段のナノろ過膜によって、全含有成分に
対して塩化ナトリウムの割合が多い天然塩含有液と、ミ
ネラル成分の割合が多い高ミネラル含有液とに分離され
る。この高ミネラル含有液は、そのままの濃度で、たと
えば医薬品などの分野に使用しても良いし、あるいは、
用途に応じて上述の淡水あるいは他の液体と混合して目
標とする濃度や硬度、成分に調整し、飲料水や食品、あ
るいは化粧品等の各種用途毎の水として調製することも
できる。この目標濃度や硬度、成分への調整も、一連の
プロセス中で行うことができるため、高生産性をもって
最終製品としてのミネラル含有液を製造することができ
る。
【0022】
【発明の実施の形態】以下に、本発明の望ましい実施の
形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、
本発明の一実施態様に係る方法および装置の概略構成図
であり、図2は、そのミネラル含有液製造プロセスのフ
ロー図である。
【0023】図1は、海洋深層水からミネラル含有液を
製造する方法および装置の概略構成を示している。本発
明において、海洋深層水とは、通常太陽光の届かない水
深約200m以深の深層水のことを言い、特にミネラル
成分のバランスが良いと言われている、さらに深い層か
ら湧昇流によって運ばれてくる深層水であることが好ま
しい。このような海洋深層水の取水装置1の取水口1A
が、200m以深の海中、たとえば300m程度の水深
に設けられる。取水口1Aから取水された海洋深層水
が、ポンプ(図示略)、取水配管2を介して汲み上げら
れる。汲み上げられた海洋深層水は、ミネラル含有液製
造装置3に送られ、主としてミネラル含有液、天然塩含
有液、淡水とに分離、精製される。
【0024】図2は、取水装置1まで含めた、本発明に
係るミネラル含有液製造装置3の機器系統およびミネラ
ル含有液製造プロセスを示している。図2において、ま
ず、取水工程17で取水装置1によって海洋深層水が取
水され、取水された海洋深層水はろ過工程18に送られ
る。本実施態様では、海洋深層水はろ過工程18におい
て、まず砂ろ過装置4によってろ過され、ついでより高
精度でろ過できる限外ろ過膜装置5によってろ過され
る。この方法により、海洋深層水中の異物や不純物、懸
濁物質さらには微生物が高精度にろ過され、非常に清浄
な海洋深層水が得られる。この清浄な海洋深層水は、そ
れ自体としても、活魚水槽や海水プール、海水風呂等の
用途に使用することもできる。
【0025】次に、上記の清浄な海洋深層水は、逆浸透
膜分離工程19(いわゆる海水淡水化工程)に送られ、
逆浸透膜分離装置7により、淡水8と濃縮海水9とに分
離される。分離された淡水8は、それ自体、飲料水やプ
ール水、風呂水、シャワー水、植物用水として使用可能
である。また、濃縮海水9は、それ自体も高濃度海水プ
ール用水や高濃度風呂水等として使用可能である。
【0026】逆浸透膜分離された濃縮海水9は、圧力調
整バルブ10を経て、次にナノろ過膜装置11に送ら
れ、天然塩含有液13と高ミネラル含有液14とに分離
される。分離された高ミネラル含有液14は、カルシウ
ムやマグネシウム、亜鉛やその他のミネラル成分を高濃
度でバランス良く含有したものであり、それ自体として
も、製品12、たとえば医薬品等用の製品水として製造
され、図2に示した一連のプロセスの最終製品となり得
る。また、これらの天然塩含有液13と高ミネラル含有
液14は、多段に配置したナノろ過膜装置11のいずれ
の段で取り出しても良い。これにより、各段でそれぞれ
ミネラル成分の濃度やバランスが異なるミネラル液が同
時に製造される。
【0027】図2に示したプロセスでは、さらに、上記
高ミネラル含有液14は、必要に応じて、濃度調整工程
21の混合装置16に送られる。混合装置16では、上
記高ミネラル含有液14と、前述の海水と分離された淡
水8とが混合される。混合割合は、用途に応じて決めれ
ばよく、より詳しくは、用途に応じて要求されるミネラ
ル成分の濃度、あるいはそれによる水の硬度となるよう
に決めればよい。したがって、実質的に任意の混合割合
とすることができ、それによって目標とする濃度や硬度
に調整された製品水が調製される。
【0028】上記のような本発明に係るミネラル含有液
製造プロセスにおいては、海洋深層水などの海水の取水
から、高ミネラル含有液の製造、さらには目標とするミ
ネラル成分濃度や目標とする硬度に調整されたミネラル
含有液の製造が、たとえば蒸発濃縮や晶析、遠心分離と
いった2次的な調整工程を要することなく、一連のプロ
セスによって達成される。したがって、最終製品水製造
までの生産工程が、極めて効率良く行われる。
【0029】また、逆浸透膜分離装置7に至るまでに高
精度のろ過工程18を経ているため、製造される高ミネ
ラル含有液14には不純物が極めて少なく、かつ、望ま
しいミネラル成分をバランス良く含有する高ミネラル含
有液14が確実に得られる。
【0030】さらに、高ミネラル含有液14と淡水8と
を所定割合で混合することにより、高濃度のミネラル成
分を任意の濃度にまで希釈することができる。したがっ
て、用途に応じて、最適なミネラル成分濃度、あるいは
最適な硬度を有するミネラル含有液を容易に製造するこ
とができる。しかも、混合割合は容易かつ高精度に調整
できるため、用途に応じた濃度や硬度を有する製品が精
度良く調整されることになる。
【0031】上記のように製造される高ミネラル含有
液、あるいは濃度調整されたミネラル含有液は、海洋深
層水などの海水が含有している各種ミネラル成分をバラ
ンス良く多量に含有することになる。含有されるミネラ
ル成分は、数十種類にも及ぶが、そのうち代表的なもの
はマグネシウム、カルシウム、カリウム、亜鉛などであ
る。
【0032】このように多種のミネラル成分を不純物が
極めて少なく、バランス良く含有する本発明に係るミネ
ラル含有液は、各種用途への使用が可能である。
【0033】たとえば医薬品用途に対しては、前述の高
ミネラル含有液をそのまま単独で、あるいは他の溶液と
混合して使用可能である。また、高濃度に調整されたミ
ネラル含有液も使用可能である。すなわち、医薬品用途
では効用を重視する観点から、少量ずつではあるが比較
的高濃度のミネラル含有液が使用される。
【0034】また、化粧品や美容の分野、さらには入浴
剤やタラソテラピー、風呂用水としても使用可能であ
る。ミネラル含有液の濃度は、その使用目的に応じて適
宜選択、あるいは設定すればよい。
【0035】さらに、食品、特に健康食品や発酵食品等
に対しても、本発明に係るミネラル含有液が適用でき
る。本発明のミネラル含有液は、特に不純物か少なくか
つ、バランスの良いミネラル成分を所望の濃度に精度良
く調整できるため、これら食品等の分野においても好適
に使用できる。
【0036】さらにまた、畜産分野や、養液栽培、土壌
改良等の農業分野への展開も可能である。
【0037】
【実施例】(実施例)取水装置1と、砂ろ過装置4と、
逆浸透膜分離装置7と、その逆浸透膜分離装置7にて得
られる濃縮海水流路に設けたナノろ過膜装置11とを備
えた、図3に示すミネラル含有液製造装置を製作した。
【0038】砂ろ過装置4としては平均粒径0.7mm
の砂を備えたものを用い、砂ろ過装置4と逆浸透膜分離
装置7との間には高圧ポンプ6を設けた。また、逆浸透
膜分離装置7は、海水濃度3.5%、温度25℃の条件
で脱塩率99.7%、造水量17m3/日の性能を有する
海水淡水化用逆浸透膜エレメントを6本装填した逆浸透
膜モジュール1本で構成した。一方、ナノろ過膜装置1
1は、前段に、海水濃度3.5%、温度25℃の条件
で、硫酸マグネシウム排除率が98%、塩化ナトリウム
排除率が52%、造水量15m3/日の性能を有するナ
ノろ過膜エレメントを2本装填したナノろ過膜モジュー
ル1本と、そして、その前段のナノろ過膜モジュールの
濃縮水流路に設けた、昇圧ポンプと前段と同じ性能を有
するナノろ過膜モジュール1本と、各段の濃縮水と透過
水とをそれぞれ集水する配管とで構成した。また、逆浸
透膜分離装置7とナノろ過膜装置11との間には圧力調
整バルブ10を設けた。
【0039】この装置を用いて、愛媛県松前港の表層海
水(海水濃度3.5%)を取水し、これに凝集剤として
塩化第二鉄を5ppm添加した後、砂ろ過装置4に供給
し、その後、該ろ過水を高圧ポンプで6.5MPaまで
加圧し、逆浸透膜分離装置7で70m3/日の淡水と1
05m3/日の濃縮水に分離した。次いで、この濃縮水
の圧力を圧力調整バルブで2MPaまで降圧させた後、
前段のナノろ過膜モジュールに供給して天然塩含有液
(透過水)と高ミネラル含有液(濃縮水)とに分離し、
さらに昇圧ポンプで濃縮水を3MPaまで昇圧して、後
段のナノろ過膜モジュールで天然塩含有液と高ミネラル
含有液に分離し、前段と後段のナノろ過膜の濃縮水を集
めて高ミネラル含有液、透過水を集めて天然塩含有液を
製造した。
【0040】得られた高ミネラル含有液に含まれるナト
リウム、カルシウム、マグネシウムなどの陽イオン成分
をプラズマ発光分析装置で定量分析し、その各成分の割
合を塩化物換算で求めた結果、全含有成分に対する塩化
ナトリウム成分の割合が12%、塩化カルシウム成分の
割合が31%、塩化マグネシウム成分の割合が55%の
高ミネラル含有液を得ることができた。 (比較例)ナノろ過膜装置11を用いる代わりに、クリ
スタルオスロ型の連続晶析装置22と遠心分離装置24
とを用い、また、圧力調整バルブ10を設けなかった他
は、実施例と同様に、図4に示すミネラル含有液製造装
置を製作し、愛媛県松前港の表層海水を処理した。
【0041】この装置においては、実施例と同様に海水
をろ過、逆浸透膜分離した後、連続晶析装置22に供給
して供給水を約100℃に加熱し塩化ナトリウムの飽和
溶解度まで蒸発濃縮させた後、塩化ナトリウムを晶析さ
せて、次いで遠心分離装置24に供給して、塩化ナトリ
ウムの結晶と高ミネラル含有液とに分離した。
【0042】得られた高ミネラル含有液を実施例と同様
の方法で分析し、塩化物換算値を求めた結果、得られた
高ミネラル含有液は、全含有成分に対する塩化ナトリウ
ム成分の割合が46%、塩化マグネシウム成分の割合が
52%であったが、塩化カルシウム成分は蒸発濃縮時に
硫酸カルシウムとして析出し結晶として分離されたた
め、僅か0.2%しか含まれていなかった。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の海水から
ミネラル含有液を製造する方法および装置によれば、不
純物が極めて少なく、ミネラル成分をバランス良く高濃
度に含有する所望のミネラル含有液を、一連のプロセス
により効率良く製造することができる。
【0044】また、用途に応じて、ミネラル成分の濃
度、ミネラル含有液の硬度を、容易にかつ高精度に調整
することかでき、用途に応した最適なミネラル含有液を
供給することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施態様に係るミネラル含有液製造
装置の概略構成図である。
【図2】図1の装置のミネラル含有液製造プロセスの詳
細を示すフロー図(取水工程含む)である。
【図3】実施例で用いたミネラル含有液製造装置のプロ
セスフロー図(取水工程含む)である。
【図4】比較例で用いたミネラル含有液製造装置のプロ
セスフロー図(取水工程含む)である。
【符号の説明】
1 取水装置 2 取水配管 3 ミネラル含有液製造装置 4 砂ろ過装置 5 限外ろ過膜装置 6 高圧ポンプ 7 逆浸透膜分離装置 8 淡水 9 濃縮海水 10 圧力調整バルブ 11 ナノろ過膜装置 12 昇圧ポンプ 13 天然塩含有液 14 高ミネラル含有液 15 製品(水) 16 混合装置 17 取水工程 18 ろ過工程 19 逆浸透膜分離工程 20 高ミネラル含有液分離工程 21 濃度調整工程 22 連続晶析装置 23 水蒸気 24 遠心分離装置 25 天然塩結晶
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) A61K 33/00 A61K 35/02 4D006 35/02 A61P 3/02 A61P 3/02 B01D 61/02 500 B01D 61/02 500 61/14 500 61/14 500 61/58 61/58 C02F 1/00 L C02F 1/00 A23L 2/00 V Fターム(参考) 4B017 LK02 LP01 LT05 4B018 LB08 MD05 MF01 4C083 AA01 AB50 CC01 FF01 4C086 AA01 AA04 HA30 MA01 MA06 ZC21 4C087 AA01 AA04 BA01 MA52 ZC21 4D006 GA03 GA04 GA06 GA07 KA02 KA12 KA15 KA53 KA54 KA55 KA56 KA57 KA66 KB15 KE07Q MA21 MB02 MB06 PA01 PA02 PB03 PB70 PC11 PC41 PC80

Claims (14)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】海水を取水する工程と、取水した海水をろ
    過する工程と、ろ過した海水を逆浸透膜により淡水と濃
    縮海水とに分離する逆浸透膜分離工程と、分離した濃縮
    海水をナノろ過膜により全含有成分に対して塩化ナトリ
    ウムの割合が多い天然塩含有液とミネラル成分の割合が
    多い高ミネラル含有液とに分離するナノろ過工程とを有
    することを特徴とする、海水からミネラル含有液を製造
    する方法。
  2. 【請求項2】取水した海水をろ過する工程が、砂ろ過、
    精密膜ろ過、限外膜ろ過の中から選ばれる少なくとも1
    つを含むことを特徴とする、請求項1に記載の海水から
    ミネラル含有液を製造する方法。
  3. 【請求項3】前記逆浸透膜分離工程において、供給海水
    流量に対する淡水流量の割合が20〜75%の範囲にあ
    ることを特徴とする、請求項1または2に記載の海水か
    らミネラル含有液を製造する方法。
  4. 【請求項4】逆浸透膜により分離した濃縮海水をナノろ
    過膜で天然塩含有液と高ミネラル含有液に分離する工程
    において、ナノろ過膜の硫酸マグネシウムの排除率が塩
    化ナトリウムの排除率の1.3倍以上であることを特徴
    とする、請求項1〜3のいずれかに記載の海水からミネ
    ラル含有液を製造する方法。
  5. 【請求項5】逆浸透膜により分離した濃縮海水をナノろ
    過膜で天然塩含有液と高ミネラル含有液とに分離する工
    程において、ナノろ過膜を多段に配置し、前段のナノろ
    過膜の濃縮海水を昇圧して次段のナノろ過膜に供給する
    ことを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の海
    水からミネラル含有液を製造する方法。
  6. 【請求項6】高ミネラル含有液における塩化カルシウム
    成分の割合が、全含有成分の2〜70%の範囲内にある
    ことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の海
    水からミネラル含有液を製造する方法。
  7. 【請求項7】海水が深度200m以深の深さから取水さ
    れた海洋深層水であることを特徴とする、請求項1〜6
    のいずれかに記載の海水からミネラル含有液を製造する
    方法。
  8. 【請求項8】前記高ミネラル含有液を前記淡水と混合す
    る工程を有することを特徴とする、請求項1〜7のいず
    れかに記載の海水からミネラル含有液を製造する方法。
  9. 【請求項9】請求項1〜8のいずれかに記載の方法によ
    り製造されたミネラル含有液。
  10. 【請求項10】請求項1〜8のいずれかに記載の方法に
    より製造されたミネラル含有液を含有する飲料水。
  11. 【請求項11】請求項1〜8のいずれかに記載の方法に
    より製造されたミネラル含有液を含有する医薬品。
  12. 【請求項12】請求項1〜8のいずれかに記載の方法に
    より製造されたミネラル含有液を含有する化粧品。
  13. 【請求項13】請求項1〜8のいずれかに記載の方法に
    より製造されたミネラル含有液を含有する食品。
  14. 【請求項14】海水の取水手段と、取水した海水のろ過
    手段と、ろ過した海水を逆浸透膜により淡水と濃縮海水
    とに分離する逆浸透膜手段と、分離した濃縮海水をナノ
    ろ過膜により全含有成分に対して塩化ナトリウムの割合
    が多い天然塩含有液とミネラル成分の割合が多い高ミネ
    ラル含有液とに分離するナノろ過膜手段とを有すること
    を特徴とする、海水からミネラル含有液を製造する装
    置。
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