JP2002168958A - 放射線検出器及び医用画像診断装置 - Google Patents

放射線検出器及び医用画像診断装置

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JP2002168958A
JP2002168958A JP2000362930A JP2000362930A JP2002168958A JP 2002168958 A JP2002168958 A JP 2002168958A JP 2000362930 A JP2000362930 A JP 2000362930A JP 2000362930 A JP2000362930 A JP 2000362930A JP 2002168958 A JP2002168958 A JP 2002168958A
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radiation detector
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Kazuo Mori
一生 森
Nobuatsu Motomura
信篤 本村
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Toshiba Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来使用されていたアモルファスSeや多結
晶半導体の欠点を克服するとともに、現状広く利用され
ている薄膜トランジスタ(以下、「TFT」という。)
を用いた信号読出し回路との整合をとり得る光電変換部
材を含む放射線検出器を提供する。 【解決手段】 本発明の放射線検出器における光電変換
部材11は、放射線の入射により電荷を生成する機能を
有するとともに、その一方の面に二次元マトリックス状
に配設・形成された複数の電荷収集電極12を有し他方
の面にバイアス電極11aを有する。また、該部材11
は単結晶半導体から構成されている。そして、この光電
変換部材11の複数は、TFT、画素電極及びコンデン
サを一組とした画素が二次元マトリックス状に配列され
るとともに、信号読み出し回路を有するTFT回路部1
00上に二次元的に配列されている。この配列は、前記
電荷収集電極12と前記画素電極100とが1対1対応
するようになされる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、X線又はガンマ線
等の放射線を利用して被検体内部の様子を画像化するこ
との可能な医用画像診断装置に関し、特に前記被検体を
前記放射線が透過した後これを検出する放射線検出器に
関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、被検体内の臓器等の存在・不存在
に応じて、放射線の吸収の度合いが変化するという性質
を利用することにより、この放射線を被検体の外部で検
知して、当該被検体内部の画像化を実現可能なX線撮影
装置、X線CT装置、また核医学診断装置等その他の各
種装置(医用画像診断装置)が提供されている。
【0003】このうち上記例示における前二者において
は、X線源を被検体外部に設置して、ここから発生する
X線を被検体に爆射する形態で利用し、最後者において
は被検体内に放射性同位元素(以下、「RI」と略すこ
とがある。)により標識した薬剤を投与し、当該被検体
内部に存在するRIから放射されるガンマ線を利用す
る。
【0004】また、被検体を通過した放射線を検知する
ための放射線検知器としては、従来、イメージインテン
シファイア(いわゆる「I.I.」)や、シンチレーシ
ョンカメラと呼称されるもの等が利用されている。ちな
みに、これらはいずれも、その構成要素たる光電変換部
材につき、蛍光体を利用する放射線検出器であることに
変わりはなく、前者ではX線、後者では主にガンマ線の
検出を行うものとして使用される。
【0005】また近年、上記した蛍光体を用いる放射線
検出器ではなく、上記光電変換部材として、入射した放
射線を直接に電気信号に変換することが可能な半導体等
を利用した放射線検出器も提案されている。これは一般
に、画素電極及び画素容量を一対として含む画素の複数
が二次元マトリックス状に配列されて構成されることか
ら、「平面検出器」ないしは「FPD(Flat Pa
nel Detector)」と呼称されることでも知
られる。
【0006】そして、このFPDによる放射線の検出
は、上記光電変換部材に対し印加されたバイアス電圧に
より、放射線の入射により生じた電子と正孔(以下、ま
とめて呼称する際には「電荷」という。)が所定の方向
に移動し、前記画素電極に達する(=電気信号になる)
ことで実現される。ちなみに、上記バイアス電圧の好適
値は、上記電荷の光電変換部材内における易動度の影響
を受け、該易動度が小さければ小さい程、高電圧が必要
となる。これは、低電圧にすると、電荷が不純物等にト
ラップされ信号値の低下を招来するのみならず、再構成
後の画像上に、ゴースト等その他の複雑な画質悪化現象
をもたらすからである。
【0007】また、上記したような直接変換型のFPD
を構成する光電変換部材用の好ましい材料としては、従
来、非晶質セレン(アモルファスSe)、又はPb
2、HgI2、TlBr、CdTe等の多結晶半導体が
その候補に挙げられ、これらに関する実用化ないし研究
が行われている。ちなみに、これらはいずれも、大面積
の一体型として製造されることが一般的であり、該一体
型の光電変換部材が上記画素電極の全部の上を覆うよう
配置されて、放射線検出器を構成するものとなってい
る。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たような直接変換型FPDにおいては次のような問題点
があった。すなわちまず、光電変換部材として、アモル
ファスSeを用いることの問題点としては、その原子番
号が低いため、X線阻止能が低いことが挙げられる。例
えば上記X線源の管電圧を120kVとし、この条件の
下でX線撮影を実施すると、その半分程度のX線は、光
電変換部材内で相互作用することなく透過してしまう。
つまり、入射したX線に対応する電気信号を得ることが
できない(DQE(Detector Quantum Efficiency)が
小さい)。
【0009】といって、上記のような弊害を除こうと、
該光電変換部材の厚さを増大させると、今度は非常に高
圧のバイアス電源を用意する必要が生じてくる(ちなみ
に、現状における最大厚は約1mmとされている。)。
例えば、光電変換部材の厚さを倍にすると、原理上バイ
アス電圧は従前の4倍にする必要がある。このような高
いバイアス電圧を利用することとすると、実地に使用す
る際に放電等の問題を生起しやすく、放射線検出器自体
を扱い難いものとしてしまう問題がある。
【0010】また、アモルファスSeを用いることの別
の問題点として、W値が大きい、すなわち感度が十分高
くないことが挙げられる。したがって、低線量下におい
ては、入射X線のフォトン揺らぎに相当する信号電荷揺
らぎは小さく、信号読み出し回路で発生する雑音電荷と
同等ないしは下回ることになってしまい、結果、検出さ
れる信号は回路雑音が支配することとなってしまう。し
たがって、フォトン揺らぎによる本質的な信号雑音比を
達成できない。このような事態を回避して所定画質を得
るためには、線量を多くする、すなわち被検体に対する
被曝量を増やさざるを得ない。
【0011】一方、光電変換部材として、上記各種材料
による多結晶半導体を用いることの問題点としては、該
多結晶半導体中には不純物や結晶欠陥が多数あること、
また、この不純物や結晶欠陥のゆえに、及び粒界界面に
沿っての漏れ電流があるゆえに、バイアス電圧印加に伴
う暗電流が大きくなることが挙げられる。暗電流が大き
ければ、信号電荷よりも遥かに大きな電荷が前記画素容
量に蓄積し(該蓄積分は、いわゆる「オフセット」とな
る。)、FPDのダイナミックレンジを食いつぶした
り、前記オフセットの変動によって信号読み出し等を不
安定なものとする。
【0012】結局、上記のような事情から、印加可能な
バイアス電圧には限界があることになるが、しかしなが
ら、低いバイアス電圧を印加するのみでは、不純物や結
晶欠陥による問題が別の形で顕在化する。すなわち、不
純物や結晶欠陥のゆえに、光電変換部材中で電荷が移動
し難くなり、また特に、ライフタイムが小さくなること
が問題となる。つまり、低いバイアス電圧を印加するの
みによっては、前記電極への電荷の移動が困難(例え
ば、電荷がバルク内にトラップされる)、あるいは発生
した電荷の持続が困難となり、結果、実効的なW値を増
大させること、すなわち感度を低下させることとなる。
また、既に述べたように、このような状況では、画像上
にゴースト等その他の不安定現象を顕在化させることに
もなる。
【0013】以上のような不具合を綜合的に鑑み、これ
を解決するには、光電変換部材を単結晶材料で構成する
ことが考えられるが、実際に、文献「核医学における半
導体検出器の技術動向」、中村信之、Medical Imaging
Technology, Vol18, No.1, January2000, pp3-8等にお
いても、このような考え方が紹介されている。しかしな
がら、当該文献では画素が数mm程度と大きく、X線イ
メージングには不適であり、また、現状広く利用されて
いる薄膜トランジスタを用いた信号読み出し回路との整
合性については何ら検討されていない。
【0014】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、従来使用されていた
アモルファスSeや多結晶半導体を材料とする光電変換
部材の欠点を克服するとともに、現状広く利用されてい
る薄膜トランジスタを用いた信号読出し回路との整合を
とり得る光電変換部材を含む放射線検出器及び該検出器
を搭載した医用画像診断装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は上記課題を解決
するために以下の手段をとった。すなわち、請求項1記
載の放射線検出器は、放射線の入射により電荷を生成す
る機能を有するとともに、その一方の面に電荷収集電極
を有し他方の面にバイアス電極を有する、単結晶半導体
から構成された光電変換部材と、薄膜トランジスタ、画
素電極及びコンデンサを一組として含む画素が配列され
るとともに、信号読み出し回路を有する薄膜トランジス
タ回路部とを備え、前記光電変換部材の複数が、前記薄
膜トランジスタ回路部上に配列されてなることを特徴と
するものである。
【0016】また、請求項2記載の放射線検出器は、上
記請求項1記載の同検出器において、電荷収集電極が二
次元マトリックス状に配設・形成され、前記画素もま
た、二次元マトリックス状に配列されており、前記光電
変換部材の複数が、前記薄膜トランジスタ回路部上に配
列されるにおいては、前記電荷収集電極及び前記画素中
の画素電極とが1対1で対応するように、また、光電変
換部材の配列そのものも二次元的に行われることを特徴
とするものである。
【0017】また、請求項3記載の放射線検出器は、請
求項1又は2記載の同検出器において、前記薄膜トラン
ジスタ回路部上に配列された複数の光電変換部材の各々
の間には、絶縁層が介されていることを特徴とするもの
である。
【0018】一方、請求項4記載の医用画像診断装置
は、請求項1乃至3のいずれかに記載の放射線検出器を
搭載することを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】以下では、本発明の実施の形態に
ついて図を参照しつつ説明する。図1は、本実施形態に
係る放射線検出器の構成例を示す概要図である。図1に
おいて、放射線検出器1は、二次元マトリックス状に複
数配列された画素電極や、スイッチング素子としての薄
膜トランジスタ(いずれも後に再述)等から構成された
薄膜トランジスタ回路部100、該薄膜トランジスタ回
路部100上に、その互いの辺々が略平行となるように
タイル様に配列され、略矩形板状に形成された光電変換
部材11、該光電変換部材11にバイアス電圧を印加す
るための電源21、導線22及びバイアス電圧印加用導
体(以下、単に「バイアス用導体」という。)23等か
ら構成されている。以下、これら各構成につき詳述す
る。
【0020】薄膜トランジスタ回路部100は、図2に
示すように、薄膜トランジスタ(以下、「TFT」と略
す。)101、画素電極102、ゲート走査線103及
び信号線104、ゲート走査線駆動部105等が、ガラ
ス基板100B上に配設された構成となっている。
【0021】このうち、画素電極102には、後述する
光電変換部材11に生じた電荷を蓄積するためのコンデ
ンサ(画素容量)(図2において不図示、図4中符号1
09参照)が付設されている(なお、上記TFT10
1、画素電極102及びコンデンサ109の一組を、以
下、単に「画素」ということがある。)。TFT101
は、ゲート走査線駆動部105が発する制御信号によ
り、図示各行ごとのゲート走査線103を通じて、同各
行ごとにON・OFF制御されるようになっている。こ
れにより、同一行に存在するTFT101の各々に接続
された前記コンデンサに蓄えられている電荷(=信号)
が読み出される。そして、この読み出された信号は、信
号線104、増幅器106、マルチプレクサ107及び
A/Dコンバータ108を介して、図示しない外部に供
給される。ちなみに、ここにいう「外部」としては、デ
ータ収集部、メモリ、画像作成部及び画像表示部等の公
知の構成が該当し、当該構成では、読み出された信号に
基づき被検体内部の画像の作成、表示及び記憶等が行わ
れるようになっている。
【0022】なお、図2においては、画素電極102及
びTFT101が、3×3の9個のみ設けられる形態が
図示されているが、実用に供する際には、より多くの画
素電極102及びTFT101が設けられる形態となる
ことは言うまでもない。
【0023】光電変換部材11は、図1及び図3(a)
及び(b)に示すように、その外形が、前記TFT回路
部100全面の面積に比較して小さい面積(具体的に例
えば、本実施形態では図3(b)中、A=1.92c
m、B=1.92cm等)となる面、及び、所定の厚さ
(具体的に例えば、図3(a)中、T=約2mm)を有
する板形状、より具体的には略矩形板状に形成されてい
る。また、この光電変換部材11は、図1及び図3
(a)中、矢印Xの方向に放射線の入射を受けると、そ
の内部で、電子及び正孔の対を生成する。なお、図3
は、図1中複数描かれている光電変換部材11のうちの
一のみを取り出して図示したものである。
【0024】このような光電変換部材11を構成する材
料としては、入射する放射線を高効率で電気信号に変換
し得る性質を有するものが好ましいことから、一般的に
は、W値が小さく、体積抵抗率が大きく、電荷易動度が
高く、電荷寿命(ライフタイム)が長く、そして原子番
号が大きい、等の各条件を満たすものであるとよい。こ
こに、「W値」とは、当該材料に関し、電子・正孔対を
1個生成するのに必要なエネルギの値のことをいう。し
たがって、W値は低ければ低いほど好ましい(低エネル
ギで電気信号の生成が可能となるから)。具体的に好ま
しくは、例えばW≦10〔eV〕であるとよい。
【0025】上記各条件を満たす材料としては、具体的
には例えば、化合物半導体テルル化カドミウムCdTe
を採用すると好ましい(本実施形態では、このCdTe
を利用することを前提とした説明となっている)。ま
た、このCdTeの他、CdZnTeを用いるようにし
てもよい。さらにその他、PbI2、HgI2、TlBr
等を採用してもよい。なお、下記に記す表1において
は、上記CdTe及びCdZnTeに関する体積低効率
ρ〔Ωcm〕、電荷易動度μ〔cm2/V/sec〕、電
荷寿命τ〔μsec〕の各物性値を、参考までに掲げて
おく。上記各条件の具体的設定は、この表1に示される
数値を概ね好ましい基準として考えることにより、適宜
行うことができる。
【0026】
【表1】
【0027】また、本実施形態における光電変換部材1
1を構成する材料は単結晶構造である。つまり、材料と
してCdTeを選択するのであれば、光電変換部材11
は「CdTe単結晶」により構成されることとなる。な
お、より好ましくは、ただ「単結晶」であると言うだけ
でなく、材料の純度が高く、結晶欠陥の少ない高品質の
ものを採用すると尚よい。
【0028】また、上記光電変換部材11には、図1及
び図3に示すように、その上面(放射線入射面側)に対
し、該光電変換部材11に前記電源21に由来するバイ
アス電圧を印加するための、例えば金により構成された
バイアス電極11aが形成されており、その下面に対
し、前記TFT回路部100を構成する画素電極102
の各々に対応するよう二次元マトリックス状に配設・形
成され、適切な電極材料により構成された電荷収集電極
12が形成されている。
【0029】本実施形態においては、上記バイアス電極
11a及び電荷収集電極12、並びに光電変換部材11
に関し、「M−π−n型(metal high-resistivity p-t
ypecrystal, highly n-type epilayer)構造」を採用し
ている。すなわち、図3(a)の断面図に示すように、
上部(放射線入射面側)より下部へ向けて、バイアス電
極11a、π型CdTe層11b、ヨウ素がドープ(d
ope)されたn型CdTe層11c及び電荷収集電極
12の順に略積層されたような構造を有する。
【0030】この「M−π−n型構造」に関しては、例
えば、文献「Development of High-Resolution CdTe Ra
diation Detectors in a New M-Pi-n Design, M.Niraur
a etal, IEEE TRANSACTION ON NUCLEAR SCIENCE, VOL.4
46, NO.4, AUGUST 1999, pp1237-1241」等を参照され
たい。ただし、本発明においては、この他の構造を採用
するようにしてよいことは勿論である。
【0031】ところで、電荷収集電極12は、既に述べ
たように、TFT回路部100を構成する画素電極10
2に1体1対応するように配設・形成されるが、その配
列数は、例えば矩形板状の光電変換部材11の各々(=
一枚ごと)につき、128×128等とし(図3(b)
においては、その一部が図示されている)、その配列ピ
ッチ(図3中、符号P参照)は、例えば150μm等と
するとよい。
【0032】このような光電変換部材11と上記TFT
回路部100とは、例えば図4の断面図に示すように接
合されている。この図からわかる通り、TFT回路部1
00の画素電極102には、光電変換部材11の電荷収
集電極12が接合されており、かつ、両者は1対1対応
となっている。また、画素電極102には、コンデンサ
(画素容量)109が接続されており、該コンデンサ1
09には、上記TFT101が接続されている。このよ
うな構成から、バイアス用導体23を通過して光電変換
部材11に入射した放射線Xは、その内部で電子・正孔
対を生成し、この電荷が電荷収集電極12及び画素電極
102を介してコンデンサ109に蓄積される。そし
て、TFT101が導通状態となったときに、この蓄積
された電荷が、既に述べたように、信号線104等を通
じて外部に伝達される。
【0033】一方、上記バイアス電極11aに接続され
る上記バイアス用導体23は、図1に示すように、TF
T回路部100の上にマトリックス状に配列された光電
変換部材11のある一行(又はある一列)につき、共通
となっている。つまり、フィルム状とされたバイアス用
導体23は、当該一行(又は一列)に並んだ光電変換部
材11の上に延在するように配置され、このような配置
が、各行(又は各列)に関し同様になされる(図1にお
いては、その一部が図示されている)。また、このバイ
アス用導体23を構成する具体的な材料としては、薄い
フレキシブルPC板等その他、入射するX線を阻止する
ことが殆どないようなものを選択するとよい。
【0034】そして、光電変換部材11の各行(又は各
列)ごとに配列された上記フィルム状のバイアス用導体
23の基端は、各列(又は各行)に延在する導線22に
接続され、該導線22は、電源21に接続されるように
なっている。
【0035】ちなみに、本実施形態において、この電源
21の電圧(つまり、印加可能なバイアス電圧)は、数
百ボルト程度であればよい。ただし、この値は、光電変
換部材11の厚さ等により適宜変更しうる。また、図1
及び図4では、バイアス用導体23ないしバイアス電極
11aが正電圧となるような図示がなされているが、本
実施形態におけるM−π―n型構造上の電極において
は、正孔に関する易動度や寿命(ライフタイム)に比べ
て、電子に関するそれらの値のほうが良好であり、放射
線は光電変換部材11内部のバイアス用導体23側に近
い方で捕らえられる傾向があることを考えると、バイア
ス用導体23ないしバイアス電極11aを負電圧とする
方が、特性上好ましいと考えられる。
【0036】なお、図1においては、光電変換部材11
を3個のみ示しているが、実際には、TFT回路部10
0全面を覆い尽くすように該変換部材11が配置される
こととなるとともに、これら光電変換部材11の全部に
関し、フィルム状のバイアス用導体23が、上記したよ
うに各行(又は各列)ごとに設けられることとなるのは
言うまでもない。
【0037】以下では、上記構成例となる放射線検出器
1の製造方法、ないしは当該製造につき注意すべき点に
ついて説明する。
【0038】まず、M−π−n型光電変換部材11の製
造方法について説明する。これについては、例えば上記
した文献に記載されている通りに製造する等とすればよ
い。ここでは簡単に、当該文献における製造方法を説明
すると、まず、p型(π型)の単結晶CdTeを基板と
し、該基板上に、ヨウ素がドープされたn型CdTe層
11cをエピタキシャル成長させる。これは、有機金属
の供給を伴う水素プラズマのラディカルを利用したCV
D(Chemical Vapor Deposition)法による。
【0039】次に、形成後のn型CdTe層11cにイ
ンジウムをPVD(Physical VaporDeposition)法によ
り蒸着させた後、π形CdTe層11bの残る面(n型
CdTe層が形成されない面)に対し金を蒸着させる。
このうち、インジウムの蒸着は、図3(b)に示したよ
うな、電荷収集電極12が二次元配設形態となるように
行う。このため、例えば当該蒸着を適当なマスキングを
施した後に実施するようにしたり、また、当該蒸着を一
旦全面に対して実施した後マスキングをし、該マスキン
グ部分以外のエッチングを実施する、等の工程を経るよ
うにする。
【0040】このような形成方法により、π型CdTe
層11bの厚さが約1mm、n型CdTe層11cの厚
さが約400nm、バイアス電極11a及び電荷収集電
極12の厚さが200乃至400nmで、合計約2mm
の厚さを有する光電変換部材11を形成することができ
る。なお、CVD法等を実施する際の環境条件、例えば
温度や真空度、また種々の前処理等その他の詳細な条件
等については、上記文献を参照されたい。
【0041】次に、上記のように形成された光電変換部
材11の複数を、図1に示すように、TFT回路部10
0の上に配列する。この配列は、隣接する光電変換部材
11の互いの辺々が接触しないように(接触すると動作
安定上好ましくない)、かつ、大きな間隙を生じないよ
うに、行う必要がある。一般的に認識すべき制約として
は、「電荷収集電極12のサイズよりも十分小さな位置
誤差で配置する必要」があるといえ、より具体的に数値
で言えば、光電変換部材11の大きさを上記した通りの
もの(A=B=1.92cm等)とした場合、例えば2
0μm以下の精度で配置することが好ましい。
【0042】なお、この程度の精度による配置であれ
ば、適当なアーム部等を備えた自動配列装置(仮称、不
図示)を利用して、これを実施することができよう。た
だし、一般的に、このような配置を自動的に実施すると
なると、水平方向に関する精度、すなわち図5の紙面に
平行な方向に関する精度については、これを確保するこ
とが容易であると考えられるが、同じく図5に示す光電
変換部材11Aや11Bに見られるような、「傾き」
(図中、符号θ参照)に関する精度を、所定の程度に維
持するには困難が伴うと考えられるから、この点注意を
要するものと思われる。
【0043】なお、上記したような「傾き」配置精度に
関する点から、光電変換部材11一枚の大きさを、例え
ば10×10cm程度の大きなサイズとするのは一般に
好ましくないものと思われる。というのも、このような
大きさなサイズとなると、傾き角度θが小さい場合であ
っても、図5に示す変動幅Wが大きくなるからである。
また、サイズを大きくすると、良好な単結晶構造を有す
る光電変換部材11が得られなくなるおそれがあり、そ
の製造歩留まりを悪化させることも考えられる(結晶欠
陥等を有する光電変換部材11は、基本的に廃棄され
る。)。
【0044】しかしながら一方で、TFT回路部100
に対する複数の光電変換部材11の配列効率、つまり放
射線検出器1全体の製造効率という観点からは、配列数
の減少ないし配列工程の短時間化ということから、光電
変換部材11は、より大きい方が好ましい。
【0045】結局、本発明においては、上記事情を総合
的に勘案して、光電変換部材11の大きさ、あるいはそ
れに応じた電荷収集電極12の配列数等を決定するよう
にすればよい。上記した例、すなわち、図3におけるA
及びBが、A=B=1.92cmであること、また電荷
収集電極12の配列数が128×128等であること等
の限定は、上記事情の比較考量の結果、選択された好適
な「一例」であることを意味する。なお、上記配列の精
度を所定程度以上とするためには、インゴットより切り
出した光電変換部材11自体の寸法精度も必要である
が、これも、例えば20μm程度の精度で工作すること
が好ましい。
【0046】なお、配列された各光電変換部材11間の
間隙を所定量で維持するためには、上記したような配列
精度や加工精度に配慮するのみでなく、次に記すような
手段を採用することも有効である。第一には、隣接する
光電変換部材11の間に、薄い絶縁スペーサ(絶縁層)
を介装する。第二には、光電変換部材11の少なくとも
一側面、望ましくは二側面以上に、図5に示すような薄
い絶縁スペーサ13を予め張りつけておく。ここにいう
「望ましくは二側面」というのは、図5の光電変換部材
11Cにおけるような張付け方を意味する。このように
しておけば、配列される光電変換部材11のすべてにお
いて、互いに隣接するもの同士の間には絶縁スペーサ1
3が存在することとなるからである。第三には、光電変
換部材11の少なくとも一側面、望ましくは二側面以上
に、passivation層を形成する。
【0047】これらの手段を採用することにより、互い
に正確なピッチでもって複数の光電変換部材11をTF
T回路部100上に配列することを容易にする。
【0048】さて次に、光電変換部材11側の電荷収集
電極12とTFT回路部100側の画素電極102と
は、図4に示したように電気的に接続する必要がある
が、このためには、いわゆる「バンプ接続」の手法を採
用すればよい。つまり、図示しないインジウムバンプ
(インジウムの微小突起)を画素電極102側に載せた
後、その上に、上記自動配列装置によって光電変換部材
11の電荷収集電極12側をフェースダウンさせ、適当
な温度で加熱すれば、前記インジウムバンプが溶融し、
両電極102及び12を電気的に接合することができ
る。
【0049】この際、上記加熱は、比較的低温で実施す
ることができるので、光電変換部材11のの特性を劣化
させるようなことがない。なお、本発明においては、こ
のようなバンプ接続の他、導電性接着剤を用いて、両電
極102及び12の電気的接合を図るような製造方法を
採用してもよい。この導電性接着剤を用いる手法は、本
実施形態におけるM−π―n型における電極と異なる構
造を有するものに関し有効と考えられる。
【0050】このようにして、TFT回路部100上に
光電変換部材11群を配置した後には、各光電変換部材
11の上面に対し、上記したようなフィルム状のバイア
ス用導体23を電気接続する。この電気接続は、例えば
光電変換部材11のバイアス電極11aの上面とバイア
ス用導体23の下面との間に、導電性接着剤をごく薄く
塗布すること等により行うことが好ましい。
【0051】以上のような構成となる放射線検出器1に
よれば、従来技術(例えばアモルファスSeや多結晶半
導体を用いる等の技術)に比べて、次のような効果が奏
される。すなわち、第一に、既に述べたように、アモル
ファスSeでは例えばX線源の管電圧が大きく入射した
X線の半分程度が何らの相互作用もせず透過してしまう
ような場合でも、本実施形態においては、相当程度以上
(具体的に、上述した厚さ約2mmとなる本実施形態の
光電変換部材11においては、90%以上が推測され
る。)のX線を捕らえることができる(DQEが大き
い)。したがって、常に、より低雑音の画像を得ること
ができる。また、このことを言い換えれば、入射する線
量を半減しても、従来と同程度の画質を得ることができ
ることを意味している。
【0052】第二に、本実施形態のように、光電変換部
材11をCdTeで構成する場合、1個のX線フォトン
に対し発生する電荷量は、アモルファスSeの10倍近
い。したがって、低線量条件においても回路雑音を無視
することが可能であるから、常に、良好な画質の画像を
得ることができる。また、巨大な被爆線量になりがちな
透視撮影等においても線量を低減することができ、被検
体に対する被爆量の低減を実現することができる。
【0053】第三に、光電変換部材11に印加するバイ
アス電圧は、上述したように、数百ボルト程度でよく、
高電圧を要しないから、使用の際に発生する放電等を心
配する必要がなく、放射線検出器1自体の取り扱いが容
易である。
【0054】第四に、本実施形態における光電変換部材
11は単結晶構造であるから、電荷のトラップ現象等の
発生は、アモルファスSeや多結晶半導体に比べて僅か
となり、感度ドリフトやゴースト等その他の画質劣化の
問題が生じにくい。また仮に、トラップ現象による問題
が発生したとしても、CdTeにおいては、バイアス電
圧をいったん落とす等の手段によりすぐに回復させるこ
とが可能である。ちなみにこの点、アモルファスSeで
は、バイアス電圧を落としたり反転したりすると、不具
合を起こすことが知られている。したがって、アモルフ
ァスSeでは、いわゆるフラッシング処理するくらいし
か対処法がないが、それを実現する構成を実装するの
は、装置を複雑化し、またコスト高を招来することとな
る。
【0055】第五に、本実施形態においては光電変換部
材11を矩形板状に形成し、この複数をTFT回路部1
00の上に、いわば「タイル様」に配列する構成をとっ
ており(図1、図5等参照)、また、光電変換部材11
に基因する電荷信号のコンデンサ109への蓄積やTF
T101のON・OFFによる当該コンデンサ109か
らの電荷読み出し等は、上述したように、現在実用化さ
れているFPDと全く同様な構成ないし作用で行うこと
ができる。つまり、本実施形態においては、二次元高分
解能の放射線検出器にとって非常に効率的で安価である
TFT101等を用いた電荷読み出し等の構成ないし作
用を、そのまま利用することが可能である点、極めて優
れている。
【0056】なお、上記実施形態では、光電変換部材1
1は「矩形板状」とされていたが、本発明は、この形状
に特に限定されるものでないことは勿論である。また、
その具体的大きさ、あるいは厚さ等についても、既に述
べたように、製造歩留まりや配列効率等の諸事情によっ
て適宜変更し得ることから、本発明がこの点につき、特
に限定されることはない。さらに、上記では光電変換部
材11及びTFT回路部100は、平面的に構成されて
いたが、本発明においては、これに代え、例えば光電変
換部材11及びTFT回路部100が緩やかに湾曲した
形状を有するものとしてもよい。本発明にいう「二次
元」ないし「二次元的」とは、このような場合を含むも
のとする。
【0057】以下では、本実施形態における放射線検出
器1の特徴を生かし、これを各種具体的場面に適用した
実施例について説明する。
【0058】(実施例1)まず、本実施形態における放
射線検出器1は、入射した放射線の全体をまとめて検出
する、いわゆる「電流モード」で運用し得ることは当然
として(いわゆる「X線イメージング(X線撮影)」は
該モードによる運用となる)、これとともに、又はこれ
に代えて、所定の条件を課せば、入射フォトンの一つ一
つを計数する「フォトンカウンティングモード」で使用
することが可能である。
【0059】ここで上記所定の条件とは、まず入射する
放射線量を低くする、つまり低線量下において放射線検
出器1を利用することである。例えば後述の読み出し時
間tが15msであるような場合に、一つの画素に入射
する平均放射線個数が1よりずっと小さい、等とする。
【0060】また、TFT回路部100における、TF
T101、あるいは信号読み出し回路(上記図2で言え
ば、ゲート走査線駆動部105、ゲート走査線103及
び信号線104、増幅器106、マルチプレクサ10
7、並びにA/Dコンバータ108が該当する)は、な
るべく高速動作させることが好ましい。これを実現する
には、例えば、通常アモルファスシリコンで形成される
TFT101を、多結晶シリコンで形成する等の処置を
施すとよい。このような対処により、例えば、TFT回
路部100を構成する全画素についての読み出し時間t
を、例えば15ms等とする(つまり、t=15msご
とに全画素の読み出しが行なわれる。)。
【0061】なお、フォトンカウンティングモードでは
入射するフォトンの相対量は小さい(全画素の一部のみ
放射線の入射を経験する)から、最も好ましい電荷読み
出し形態は、入射を経験した画素に関してのみ行うよう
なものであるとよい。そのようにすれば、上記高速動作
に資することとなるからである。しかしながら、図2に
示すような現状のTFT回路部100(各行ごとのスイ
ッチングによる読み出し)では、これを実現することは
困難である。ただし、各画素ごとに読み出しが可能であ
るような技術が可能となれば、それを採用することが望
ましいことは言うまでもない。本発明は、このような形
態を積極的に除外する意図を有さない。
【0062】上記のような条件の下、フォトンカウンテ
ィングモードで運用する放射線検出器1の作用は、以下
のようになる。すなわち、上記条件の下では、通常、読
み出し時間tの間に、一部の画素にのみフォトンが1個
だけ入射する。この1個のフォトン(例えば50ke
V)によれば、本実施形態における光電変換部材11を
構成するCdTe単結晶において、約10000eの電
荷を得ることができる。つまり、当該1個のフォトンに
基づく信号電荷を、本実施形態においては、十分に読み
取ることが可能である。
【0063】読み出した結果は、TFT回路部100以
降の「外部」、つまり上記したデータ収集部等その他適
当な演算装置等によりチェックして、これを画素毎に、
所定の信号量閾値(例えば4000e相当)と比較し、
閾値を超えている場合は、当該画素に対応するメモリア
ドレスを1カウントアップする。後は、このようなフォ
トンカウンティングを、所定時間Tの間繰り返し、蓄積
された計数値をもって画像化すればよい。
【0064】なお、以上の作用ないし処理をまとめる
と、図6に示すようなフローチャートとなる。ここで、
ステップS1乃至S3の処理と、ステップT1乃至T4
の処理とは、各々独立に実施することが可能であるか
ら、図6に示す、ステップT4からステップS1への進
行は、これを厳密に解する必要はない。つまり、ステッ
プS1乃至S3は、ステップT1乃至T4の処理とは無
関係に繰り返し実施され、該ステップT1乃至T4が実
施されるのは、ステップS2において信号読み出し時間
tにかかる条件が満たされたときだけである、というよ
うに図6を解することができる。
【0065】このように本実施形態における放射線検出
器1によれば、一般に、多色X線でトータルエネルギを
検出する「電流モード」による運用に比べ、「フォトン
カウンティングモード」では、理論上二割ないし三割程
度、信号雑音比が増加するにも関わらず、そのようなフ
ォトンカウンティングモードによる運用を行うことがで
きる。
【0066】また、従来のアモルファスSeを光電変換
部材として用いる場合には、信号量が小さく、また電荷
易動度も非常に低いから、上記した低線量条件を課した
状態でも、フォトンカウンティングを実現するのは不可
能に近い。この点からも、本実施形態における放射線検
出器1の優位性を確認することができる。
【0067】(実施例2)次に、上記実施例1を更に発
展させた実施例について説明する。上記実施例1では、
読み出し時間tの間に、全画素の一部につきフォトン
「1個」が入射する状態のみを念頭においていたが、場
合により、ごく一部の画素には、読み出し時間tの間に
二つ以上のフォトンが入射する場合もある。この場合、
上記した10000eよりずっと大きい電荷が発生する
ことになるが、上記実施例1では、フォトンが1個であ
る場合も2個以上である場合も、同じく1カウントアッ
プすることになる。この点、上記した条件、つまり線量
が極めて低い場合には殆ど支障はないが、しかしなが
ら、そこまで低線量とはいえない場合は、2個以上のフ
ォトンが入射する画素を無視し得ない。
【0068】そこで、このような場合においては、上記
信号量閾値を二つ、ないしそれ以上有するようにすれば
よい。つまり、第1の閾値を上記と同様、4000eと
し、新たに第二の閾値を8000e相当等としておく。
そして、第1閾値を超えたら1カウントアップ、第2閾
値を超えたら2カウントアップとするのである。これに
より、ほぼ理想に近いフォトンカウンティングを実行す
ることができる。
【0069】なお、以上の処理ないし作用をまとめる
と、図7に示すようなフローチャートとなる。ただし、
図7においては、図6におけるフローチャートのステッ
プT1乃至T4に該当する部分のみ抜書されたものが示
されている。本実施例2として特徴的なのは、ステップ
T3とステップT4との間に、ステップTP1及びTP
2が追加された点にある。
【0070】(実施例3)さらに、上記実施例2をより
発展させると、いわゆる「エネルギ弁別」を実施するこ
とが可能である。すなわち、これを実現するには、上記
信号量閾値を複数用意し、その各々の信号量閾値につき
「意味」を持たせるようにすればよい。例えば第1の閾
値と第2の閾値(>第1閾値)との間にあるエネルギ値
が観測されたフォトンのみカウンティングを実施する
(逆にいえば、第1閾値を超えない又は第2閾値を超え
るものは棄却される)、等とすればよい。これにより、
任意のエネルギ値近傍のフォトンだけを使った画像化を
実現することができる。
【0071】なお、以上の作用ないし処理をまとめる
と、図8に示すようなフローチャートとなる。この図8
は、上記図7と同様に、図6におけるフローチャートの
ステップT1乃至T4に該当する部分のみ抜書されたも
のが示されている。本実施例3として特徴的なのは、ス
テップT2に代えて、ステップT2´が置換された点に
ある。
【0072】ただし、本実施例3におけるようなエネル
ギ弁別を行う場合においては、上記実施例1及び実施例
2に比べて、線量を更に低く、また信号読み出し回路に
おける回路雑音をより低減する必要があるものと思われ
る。というのも、画素1個につきフォトン1個が入射す
るという状態を現出させることが、殆ど必須条件となる
と考えられるからである。
【0073】(実施例4)上記実施例1から3までに示
したように、フォトンカウンティングモードによる運用
が可能であるということから、本実施形態の放射線検出
器1は、いわゆる核医学診断装置に適用することが可能
である。ここに、核医学診断装置とは、従来の技術の項
でも若干説明したように、被検体内にRIを含む薬剤を
投与し、該RIから放射されるガンマ線を被検体外部で
検知することにより、この検知結果に基づいて画像を作
成する装置である。この場合においては、分解能は然程
高いことを要しないから画素の寸法を大きく、また、光
電変換部材11の厚さは2mmよりもやや大きく(例え
ば4〜5mm)することが好ましい。
【0074】ところで、核医学診断装置は、極端な低線
量率で運用されるのが通常である(具体的には、フォト
ン数を基準として30kcount/s程度であ
る。)。したがって、上記読み出し時間tの間に複数の
フォトンが入射する可能性は非常に低く、放射線検出器
1からの信号量は、時間t内に入射した1個のフォトン
のエネルギを反映するものとみなすことができる。よっ
て、上記実施例3で示したようなエネルギ弁別の手法を
用い、検出されたエネルギが、所定のエネルギ閾値範囲
内に入る場合には、これを関心核種からの直接線として
採用し、それに入らない場合には被写体散乱に由来する
ものとして棄却する、等とすれば、本実施形態における
放射線検出器1も、いわゆる通常のガンマカメラとして
使用できることになる。また、そのようにすると、従前
よりも安価に装置構成することが可能である。
【0075】さらに、本実施形態のようにTFT回路部
100を用いる場合には、エネルギ分解能が多少低下す
る可能性はあるが、図1に示す構成から明らかなよう
に、本放射線検出器1は薄型軽量に構成することが可能
であるから、その特長を生かした特異なガンマカメラと
して、手術室における使用等の有用性を見出すこともで
きる。つまり、放射線検出器1自体を自由に取り回しつ
つ使用する等の使用形態も可能となる。
【0076】なお、上記では、「エネルギ分解能が多少
低下する可能性」について言及したが、これについて
は、本実施形態における放射線検出器1においても、通
常のガンマカメラ程度、ないしはそれ以上のエネルギ分
解能を確保することは必ずしも不可能ではない。それに
はまず、信号読み出し回路の雑音を、該回路において高
品質の素子を用いる等の処置を施すことで減らすことで
ある。また、極めて低線量率で運用するのであるから、
読み出し時間tをやや長くし、さらには、画素サイズな
いし読み出し単位を大きくすることで、信号読み出し回
路の動作周波数を低減させる、すなわち雑音帯域幅を低
減することで、信号読み出し回路の雑音等価電荷を低減
させることもできよう。
【0077】(実施例5)上記実施例4において、本実
施形態における放射線検出器1が核医学診断装置に適用
可能であることが示されたことからもわかるとおり、本
放射線検出器1は、X線及びガンマ線の別に関わらず、
種々の放射線を検出するための検出機として利用するこ
とが可能であり、また実施例1で述べたように「電流モ
ード」及び「フォトンカウンティングモード」の別に関
わらず適用可能である。
【0078】したがって例えば、本放射線検出器1を、
透視撮影を含むX線撮影が可能な装置(例えば、いわゆ
る「アンギオ装置」)に供される検出器として搭載した
り、CT撮影が可能な装置(いわゆる「X線CTスキャ
ナ」)に供される検出器として搭載すること等が可能で
ある。後者のX線CTスキャナでは特に、本放射線検出
器1が二次元的な検出が可能であることから、これを、
X線が円錐状に放射される、いわゆる「コーンビームX
線CTスキャナ」に適用するとより有用である。
【0079】また、より広く、本放射線検出器1を、前
記X線撮影及び前記CT撮影が可能であるとともに、上
記実施例4で示したガンマカメラ相当の機能をも有す
る、等の多機能な装置に供される検出器として搭載する
ことも可能である。なお、ここにいう、「多機能な装
置」、あるいは上記した核医学診断装置、アンギオ装置
又はX線CTスキャナ等は、これらをまとめて、いわば
「医用画像診断装置」と呼称することができよう。
【0080】さらに、上記のような多機能な医用画像診
断装置に本放射線検出器1を適用する場合においては、
該医用画像診断装置内で適当なモード切換手段を用意し
ておき、装置使用者がこれを通じた指令を発することに
より、あるときはX線撮影(かつ、電流モード)、ある
ときは核医学診断撮影(かつ、フォトンカウンティング
モード)、等といった運用を行うことが可能である。ま
た、より細かく「透視モード」、あるいは「撮影モー
ド」の別に応じた切り換えも可能であるとしてよく、さ
らには、上記モード切換手段によって選択されたモード
が、図示しない画像表示部上に表示されるような構成と
し、装置使用者が容易に現在のモードを認識し得るよう
なものとなっていると尚よい。
【0081】なお、本明細書において使用されている
「放射線」という用語は、上記実施形態の説明からも明
らかな通り、現状、医用画像を作成し診断に供する装置
において利用されている「X線」及び「ガンマ線」の双
方を含む意味に解される。
【0082】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の放射線検
出器及び医用画像診断装置によれば、従来使用されてい
たアモルファスSeや多結晶半導体を材料とする光電変
換部材が有していた種々の欠点を克服することができ
る。また、本発明の放射線検出器は、現状広く利用され
ている薄膜トランジスタを用いた信号読み出し回路との
整合がとられているから、信号読み出しを効率的に実施
でき、かつ、装置を安価に構成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態に係る放射線検出器の構成
例を示す概要図である。
【図2】 図1に示す放射線検出器の薄膜トランジスタ
回路部の構成例を示す概要図である。
【図3】 図1に複数示されている光電変換部材の一を
取り出してその模式的な構成例を示す概要図であって、
(a)はその断面図、(b)は平面図である。
【図4】 光電変換部材とTFT回路部との接合部位を
示す断面図である。
【図5】 TFT回路部上に対する光電変換部材の配列
の様子を示す説明図である。
【図6】 本実施形態に係る放射線検出器をフォトンカ
ウンティグモードにより運用した場合の処理の流れを示
すフローチャートである。
【図7】 本実施形態に係る放射線検出器をフォトンカ
ウンティングモードにより運用した場合の処理の流れで
あって、図6とは異なるもののフローチャートである。
【図8】 本実施形態に係る放射線検出器をフォトンカ
ウンティングモードにより運用した場合の処理の流れで
あって、図6及び図7とは異なるもののフローチャート
である。
【符号の説明】
1 放射線検出器 11 光電変換部材 11a バイアス電極 11b π型CdTe層 11c n型CdTe層 12 電荷収集電極 13 絶縁スペーサ 21 電源 22 導線 23 バイアス電圧印加用導体 100 薄膜トランジスタ回路部 101 薄膜トランジスタ 102 画素電極 103 ゲート走査線 104 信号線 105 ゲート走査線駆動部 106 増幅器 107 マルチプレクサ 108 A/Dコンバータ 109 コンデンサ 100B ガラス基板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2G088 EE01 EE02 FF02 FF04 GG21 JJ05 JJ31 JJ33 JJ37 4M118 AA02 AA05 AB01 BA05 CA22 CB05 FB09 FB13 FB16 FB19 FB23 FB24 FB25 GA10 5F088 AA02 AB09 BA20 BB03 BB07 CB03 EA04 EA08 GA03 JA01 KA03 LA08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 放射線の入射により電荷を生成する機能
    を有するとともに、その一方の面に電荷収集電極を有し
    他方の面にバイアス電極を有する、単結晶半導体から構
    成された光電変換部材と、 薄膜トランジスタ、画素電極及びコンデンサを一組とし
    て含む画素が配列されるとともに、信号読み出し回路を
    有する薄膜トランジスタ回路部とを備え、 前記光電変換部材の複数が、前記薄膜トランジスタ回路
    部上に配列されてなることを特徴とする放射線検出器。
  2. 【請求項2】 放射線の入射により電荷を生成する機能
    を有するとともに、その一方の面に二次元マトリックス
    状に配設・形成された複数の電荷収集電極を有し他方の
    面にバイアス電極を有する、単結晶半導体から構成され
    た光電変換部材と、 薄膜トランジスタ、画素電極及びコンデンサを一組とし
    て含む画素が二次元マトリックス状に配列されるととも
    に、信号読み出し回路を有する薄膜トランジスタ回路部
    とを備え、 前記電荷収集電極と前記画素電極とが1対1で対応する
    ように、前記光電変換部材の複数が、前記薄膜トランジ
    スタ回路部上に二次元的に配列されてなることを特徴と
    する放射線検出器。
  3. 【請求項3】 前記薄膜トランジスタ回路部上に配列さ
    れた複数の光電変換部材の各々の間には、絶縁層が介さ
    れていることを特徴とする請求項1又は2記載の放射線
    検出器。
  4. 【請求項4】 請求項1乃至3のいずれかに記載の放射
    線検出器を搭載することを特徴とする医用画像診断装
    置。
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