JP2002168846A - シリコーンの分析方法 - Google Patents

シリコーンの分析方法

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JP2002168846A
JP2002168846A JP2000366386A JP2000366386A JP2002168846A JP 2002168846 A JP2002168846 A JP 2002168846A JP 2000366386 A JP2000366386 A JP 2000366386A JP 2000366386 A JP2000366386 A JP 2000366386A JP 2002168846 A JP2002168846 A JP 2002168846A
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silicone
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Yoshihiro Aso
善博 麻生
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Matsushita Electric Works Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 水に難溶なシリコーンの定性・定量分析を正
確かつ容易に行うことができる、シリコーンの分析方法
を提供する。 【解決手段】 試料をナトリウム変性する。このナトリ
ウム変性後の試料中のケイ素原子の存在を確認すると共
にその定量を行う。これにより、試料中の水に難溶なシ
リコーンの分析を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水に難溶なシリコ
ーンの定性・定量分析を行うシリコーンの分析方法に関
するものである。
【0002】
【従来の技術】水に可溶な無機シリコーンの定性・定量
分析は、従来からモリブデンブルー法等を利用して行わ
れており、その測定精度も高いものである。
【0003】それに対して一般的に水に難溶な有機シリ
コーンや、あるいは無機シリコーンであっても水に難溶
なものは、モリブデンブルー法等を適用することができ
ず、ガス分析やICP(誘導結合プラズマ分光分析)、
FT−IR(フーリエ変換赤外線吸光分析)等を利用し
なければならないものであった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記のような
ガス分析やICP、FT−IR等の方法では正確な定量
分析が困難であり、また高価な測定機器を必要とするた
め導入が難しいものであった。
【0005】一方、例えばリレーやスイッチなどの制御
部品にとって有機シリコーンは接触不良を発生させる有
害な物質で、この有機シリコーンの定性・定量分析は不
可欠であり、水に難溶なシリコーンの定性・定量を正確
かつ容易に行うことができる分析方法の確立が求められ
ていた。
【0006】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので
あり、水に難溶なシリコーンの定性・定量分析を正確か
つ容易に行うことができる、シリコーンの分析方法を提
供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
シリコーンの分析方法は、試料をナトリウム変性し、こ
のナトリウム変性後の試料中のケイ素原子の存在を確認
すると共にその定量を行うことにより試料中の水に難溶
なシリコーンの分析を行うことを特徴とするものであ
る。
【0008】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、水に難溶なシリコーンを溶解し得る溶剤中に試料を
分散させた後、濾過し、濾液から溶剤を揮散させて乾燥
固化する処理を行い、この処理後の試料に対してナトリ
ウム変性を行うことを特徴とするものである。
【0009】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、ナトリウム変性を水酸化ナトリウムを用いて行
うことを特徴とするものである。
【0010】また請求項4の発明は、請求項3におい
て、試料に水酸化ナトリウム水溶液を加え、水を蒸発さ
せた後に、加熱することによりナトリウム変性を行うこ
とを特徴とするものである。
【0011】また請求項5の発明は、請求項1におい
て、試料に固体粉末状の炭酸ナトリウムを加えたものを
加熱することによりナトリウム変性を行い、試料中の水
に難溶な無機シリコーンの分析を行うことを特徴とする
ものである。
【0012】また請求項6の発明は、請求項1乃至5の
いずれかにおいて、ナトリウム変性後の試料の水溶液に
呈色試薬を加えることにより呈色させ、この呈色を観測
することによりケイ素原子の存在を確認すると共にその
定量を行うことを特徴とするものである。
【0013】また請求項7の発明は、請求項6におい
て、ナトリウム変性後の試料の水溶液を呈色させるにあ
たって、モリブデンブルー法を適用することを特徴とす
るものである。
【0014】また請求項8の発明は、請求項6又は7に
おいて、ナトリウム変性後の試料の水溶液を呈色試薬で
呈色させた後、水溶液を分光光度計を用いて観測するこ
とにより試料中のケイ素原子の存在を確認すると共にそ
の定量を行うことを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。
【0016】本発明にて分析対象となるのは、水に難溶
な有機シリコーン及び無機シリコーンである。有機シリ
コーンは一般的に水に難溶であり、このような水に難溶
な有機シリコーンとしては、具体例としてはシリコンオ
イル、シリコン樹脂、シリコンゴム等を挙げることがで
きる。また無機シリコーンは水に可溶なものが多いが、
水に難溶な無機シリコーンとしてシリカ、ガラス、石英
等が挙げられるものであり、本発明ではこのような水に
難溶なシリコーンの分析を行うことができるものであ
る。
【0017】まず水に難溶な有機シリコーンを分析する
場合について説明する。
【0018】まず、水に難溶な有機シリコーンが含まれ
る可能性がある試料を採取して、この試料を溶剤に分散
させ、試料中の水に難溶なシリコーンを溶剤中に溶解さ
せる。溶剤としては、水に難溶なシリコーンを溶解させ
ることができるものであれば、適宜のものを用いること
ができ、例えばフロン、代替フロン、トルエン、アセト
ン、メチルエチルケトン等を用いることができ、代替フ
ロンとしては例えば旭硝子株式会社製の商品名「アサヒ
クリン AK225」(CF3CF2CHCl2(HCF
C−225ca)とCClF2CF2CHClF(HCF
C−225cb)の混合物、分子量202.94)を用
いることができる。この溶剤は分析作業の過程で揮発さ
せるため、安全面を考慮すると「アサヒクリン AK2
25」を用いることが好ましい。
【0019】試料の採取は適宜の方法にて行うことがで
きる。例えば試料の採取対象がリレー等のような小型の
製品や部品であり、この採取対象の表面から試料を採取
する場合は、採取対象を容器にいれ、この容器に上記の
溶剤を採取対象が浸るまで入れる。この容器を振盪して
採取対象の表面に付着した試料を溶剤中に充分に分散さ
せる。次いで容器内から採取対象を取り除き、容器をホ
ットプレート等にて加熱して溶剤を所定の容積(例えば
5ml)となるまで揮散させる。ここで、分析対象が有
機シリコーンである場合は比較的沸点が低いため、加熱
の際の加熱温度(ホットプレートの表面温度)は有機シ
リコーンの蒸発を防ぐために、80℃以下とすることが
好ましい。
【0020】また試料の採取対象がパレット等の比較的
大きな製品や工程設備等の大きな設備などの場合には、
容器内に所定の容積(例えば5ml)の溶剤を入れ、こ
の溶剤に綿棒を浸漬して綿棒に溶剤を浸潤させた後、綿
棒にて採取対象の表面を拭う。次にこの綿棒を容器内に
再び浸漬すると共にこの綿棒にて容器内の溶剤を攪拌す
る。次いでこの綿棒で再び対象の表面を拭った後、この
綿棒にて容器内の溶剤を攪拌する。この操作を繰り返し
行うことにより、採取対象の表面に付着した試料を溶剤
中に分散させる。
【0021】ここで、試料の採取は上記のようなリレー
やパレット等の製品や工程設備等から行うだけでなく、
必要に応じて、乾燥剤、緩衝剤、紙類等の包装材料、グ
リース、オイル、防錆剤等の設備備品、ウエス、モッ
プ、クリーナー等の掃除用備品、あるいはその他、ハン
ドクリーム、整髪料、洗剤等のような、固体、液体を含
めたあらゆる採取対象から試料を適宜の方法にて採取す
るものである。
【0022】このようにして得られた、所定容積を有す
る試料の溶剤分散液を濾過し、試料に含まれる水溶性の
無機シリコーンや、汚れ、砂埃等の影響物質を除去す
る。濾過には、透過粒径0.2μm以下のフィルターを
用いることが好ましく、例えばNo.5のろ紙を用いる
ことができる。
【0023】次に、濾過後の濾液を白金皿等のような耐
熱性が高く反応性の低い容器にいれ、この容器をホット
プレート等にて加熱することにより、溶剤を揮散させ
る。ここで、分析対象が有機シリコーンである場合は比
較的沸点が低いため、加熱の際の加熱温度(ホットプレ
ートの表面温度)は有機シリコーンの蒸発を防ぐため
に、80℃以下とすることが好ましい。
【0024】上記のような処理後の試料に対して、ナト
リウム化合物を用いてナトリウム変性を行う。ナトリウ
ム変性は、試料とナトリウム化合物との混合物を加熱す
ることによって試料中の水に難溶なシリコーンのケイ素
原子とナトリウム化合物とを反応させ、ケイ酸ナトリウ
ムを生成させることにより行う。
【0025】ここで、分析対象が有機シリコーンの場合
は比較的沸点が低いため、ナトリウム化合物としては融
点が低いものを用いることが好ましく、特に水酸化ナト
リウムが好適に用いられる。水酸化ナトリウムを用いて
混合物を調製するときには、水酸化ナトリウムは潮解性
があってそのままの状態では取り扱い性が悪いため、ま
ず10〜20%の濃度の水酸化ナトリウム水溶液を調製
する。次に、所定量(例えば1ml)の水酸化ナトリウ
ム水溶液を、白金皿等の容器内の処理後の試料に加え、
この容器を加熱することにより水を蒸発させて、水酸化
ナトリウムと試料との混合物を調製する。加熱は容器を
ホットプレート等に載せることにより行うことができ
る。加熱温度(ホットプレートの表面温度)は110〜
130℃が好ましく、特に120℃が好ましい。加熱温
度がこの範囲を超えると測定精度が低下するおそれがあ
り、またこの範囲に満たないと水の蒸発に時間がかかっ
て作業効率が低下する。
【0026】次に、水酸化ナトリウムと試料との混合物
を、白金皿等の容器にいれた状態でバーナー等を用いて
加熱し、水酸化ナトリウムを溶融させると共に試料中の
有機シリコーンと水酸化ナトリウムとを反応させて、ナ
トリウム変性を行う。このナトリウム変性により、有機
シリコーン中のケイ素原子と水酸化ナトリウムとが反応
して、ケイ酸ナトリウムが生成する。加熱温度は260
〜400℃の範囲とすることが好ましく、加熱温度がこ
の範囲に満たないと水酸化ナトリウムが充分に溶融され
ず、ナトリウム変性を行うことが困難となり、また加熱
温度がこの範囲を超えると水酸化ナトリウムが飛散して
危険であり、また正確な測定が困難となる。
【0027】上記のようにして試料のナトリウム変性を
行うと、試料中に水に難溶なシリコーンが含まれている
場合には、ナトリウム変性後の試料中に水に難溶なシリ
コーンに由来するケイ素原子とナトリウム化合物との反
応により生成するケイ酸ナトリウムが存在することとな
る。そこで、ナトリウム変性後の試料に対してケイ酸イ
オンの定性・定量分析を行うことによって、試料中の水
に難溶なシリコーンに由来するケイ素原子の存在を確認
すると共にその定量を行うことができる。ここで、ケイ
酸ナトリウムは水に可溶であるため、水溶性の分析試薬
を用いて容易にケイ酸イオンの定性・定量分析を行うこ
とができる。
【0028】ナトリウム変性後の試料に対してケイ酸イ
オンの定性・定量分析を行うにあたっては、モリブデン
イエロー法やモリブデンブルー法のような、呈色試薬を
用いる分析法を適用することができる。
【0029】モリブデンイエロー法及びモリブデンブル
ー法を適用する場合には、まずナトリウム変性後の試料
に所定量(例えば1ml)の水を加えて溶解させる。こ
の試料水溶液のpHをpH試験紙等を用いて確認し、p
H5〜8の範囲になければ希硫酸又は水酸化ナトリウム
水溶液を用いて中和し、pH5〜8に調整する。
【0030】この試料水溶液に呈色試薬を滴下する。呈
色試薬としては、モリブデン酸アンモニウムが含まれる
試薬を用いるものであり、モリブデンブルー法の場合に
は更に還元剤が含まれる試薬を用いる。測定精度及び再
現性の高い試薬の組成を具体的に例示すると、モリブデ
ン酸アンモニウムが含まれる試薬として、酸化剤として
8質量%のモリブデン酸アンモニウムと10質量%の硫
酸とを含む溶液を用いることができる。また還元剤が含
まれる試薬としては、アスコルビン酸と硫酸ナトリウム
とを1:5の質量比で混合した固体粉末を用いることが
できる。更に、試薬をケイ酸イオンと選択的に反応させ
るために、緩衝剤(マスキング剤)を含む試薬を用いる
ことが好ましい。緩衝剤を含む試薬としては、10質量
%の酒石酸を含む溶液を用いることができる。
【0031】モリブデンイエロー法及びモリブデンブル
ー法を行うにあたっては、まず試料水溶液にモリブデン
酸アンモニウムが含まれる試薬を所定量(例えば2滴又
は4滴)滴下して加える。この状態で所定時間(例えば
3分間)静置した後、緩衝剤を含む試薬を10〜30m
g程度加える。このとき試料水溶液中にケイ酸ナトリウ
ムが存在する場合には、次の反応式で示すようにな反応
が進行してしてケイモリブデン酸が生成し、試料水溶液
が黄色に呈色する。
【0032】Na2SiO3+(NH46Mo724・4
2O→(NH44SiO4・12MoO3 モリブデンイエロー法は、この黄色の呈色を利用して試
料中のケイ酸イオンの存在を確認すると共に、この呈色
を観測することにより定量を行うものである。
【0033】但し、黄色の呈色は判別しにくいので、モ
リブデンブルー法では更に還元剤を含む試薬を所定量
(例えば5滴)滴下する。この状態で所定時間(例えば
3分間)静置すると、試料水溶液中にケイモリブデン酸
が生成されていたら、このケイモリブデン酸が還元さ
れ、試料水溶液が青色に呈色する。この試料水溶液の青
色の呈色を観測することによりケイ酸イオンの存在の確
認と定量を行い、試料中の水に難溶なシリコーンに由来
するケイ素原子の存在を確認すると共に定量を行うこと
ができる。
【0034】試料水溶液の呈色の観測は目視にて行い、
この試料水溶液の呈色と、ケイ酸イオン濃度が既知の試
料水溶液の呈色とを比較することにより、ケイ酸イオン
を定量することができる。また、より好ましくは分光光
度計を用いて試料水溶液の特定の波長(モリブデンブル
ー法では820nm)の吸光度を測定し、この吸光度に
基づいてケイ酸イオンの定量を行うものであり、この場
合は、ケイ酸イオンが0.3ppm程度存在すればケイ
酸イオンの存在を確認することができるものであり、ま
た0.1ppmオーダーの定量が可能となって、より正
確な測定が可能となる。
【0035】一方、分析対象が無機シリコーンである場
合には、無機シリコーンを含む可能性のある試料を採取
した後、この試料に対してナトリウム変性を行う。
【0036】試料のナトリウム変性は有機シリコーンの
場合と同様に水酸化ナトリウムを用いることもできる
が、無機シリコーンは融点が高いのに対して、水酸化ナ
トリウムを用いる場合には加熱温度に限界があるため、
反応に要する時間が長くかかり過ぎるものであり、この
ような融点が高い無機シリコーンのナトリウム変性に
は、炭酸ナトリウムのような高融点のナトリウム化合物
を用いることが好ましい。
【0037】炭酸ナトリウムを用いて、無機シリコーン
を含む試料のナトリウム変性を行うにあたっては、採取
した試料を直接白金皿等の容器に入れ、固体粉末状の炭
酸ナトリウムを所定量加えて、この容器をバーナー等で
高温で加熱し、炭酸ナトリウムを溶融させると共に試料
中の無機シリコーンと炭酸ナトリウムとを反応させて、
ナトリウム変性を行う。ここで、加熱温度は800℃以
上が好ましく、この範囲に満たないとナトリウム変性が
完全に行われにくくなるおそれがある。また加熱温度の
上限は特に限定されず、無機シリコーンや炭酸ナトリウ
ム、あるいはナトリウム変性により生成するケイ酸ナト
リウムが飛散しない温度条件で行えばよいものである
が、加熱の際に使用する容器の劣化を考慮すると、90
0℃以下の温度で行うことが好ましい。
【0038】このように炭酸ナトリウムにてナトリウム
変性を行うと、炭酸ナトリウムには潮解性がないことか
ら取り扱い性が良く、水酸化ナトリウムを用いる場合の
ように水溶液の状態で試料に加える必要がなく、固体状
態のままで試料に加えることができて、炭酸ナトリウム
の水溶液を調製したり、炭酸ナトリウムの水溶液を試料
に加えた後に水を蒸発させるような必要がなくなり、分
析を行うにあたっての作業性を向上することができる。
またナトリウム変性を高温で行うことができて、短時間
でナトリウム変性を行うことができ、作業効率が高いも
のである。
【0039】このようにして試料のナトリウム変性を行
うと、試料中に水に難溶な無機シリコーンが含まれてい
る場合には、ナトリウム変性後の試料中に水に難溶な無
機シリコーンに由来するケイ素原子とナトリウム化合物
との反応により生成するケイ酸ナトリウムが存在するこ
ととなる。そこで、上記の有機シリコーンの分析の場合
と同様にしてナトリウム変性後の試料に対してケイ酸イ
オンの定性・定量分析を行うことによって、試料中の水
に難溶なシリコーンに由来するケイ素原子の存在を確認
すると共にその定量を行うことができる。
【0040】以下に具体的な分析例を示す。
【0041】水に難溶な有機シリコーン(信越シリコー
ン株式会社製;KF56)5mgを溶剤(旭硝子株式会
社製;アサヒクリン AK225)10gに溶解させ、
この溶液をリレー内部に10μl注入した後、風乾して
溶剤を揮発させて、リレーに水に難溶な有機シリコーン
を付着させる。
【0042】このリレーに対して、上記のような試料採
取、溶剤分散、濾過、乾燥固化の処理を行い、更に水酸
化ナトリウムを用いて上記の手法によりナトリウム変性
する。このナトリウム変性後の試料に1mlの水を加
え、モリブデンブルー法を適用すると、青色の呈色を生
じ、有機シリコーンに由来するケイ素原子の存在を確認
することができる。この呈色した水溶液に対して分光光
度計を用いて820nmの波長の吸光度を測定すると、
ケイ酸イオンの含有量の測定結果は4.6ppmとな
る。
【0043】また、水に難溶な無機シリコーン(シリ
カ)1mgを白金皿にとり、これに炭酸ナトリウム1g
を加えて900℃で加熱し、ナトリウム変性させる。こ
のナトリウム変性後の試料を0.1g採取して、100
gの水に溶解させる。これにモリブデンブルー法を適用
すると、青色の呈色を生じ、無機シリコーンに由来する
ケイ素原子の存在を確認することができる。この呈色し
た水溶液に対して分光光度計を用いて820nmの波長
の吸光度を測定すると、ケイ酸イオンの含有量の測定結
果は0.8ppmとなる。
【0044】これに対して、上記のようにして採取した
水に難溶な有機シリコーンや水に難溶な無機シリコーン
を、ナトリウム変性させずに水中に分散させたものに対
して、モリブデンブルー法を適用した場合には、青色の
呈色が確認されず、また分光光度計を用いて測定しても
ケイ酸イオンの存在が確認されず、水に難溶なシリコー
ンの存在を確認することができないものである。
【0045】
【発明の効果】上記のように本発明に係るシリコーンの
分析方法は、試料をナトリウム変性し、このナトリウム
変性後の試料中のケイ素原子の存在を確認すると共にそ
の定量を行うことにより試料中の水に難溶なシリコーン
の分析を行うため、試料中の水に難溶なシリコーンをナ
トリウム変性によって水に可溶なケイ酸ナトリウムとし
て、試料中のケイ素原子の存在を確認すると共にその定
量を安価に、迅速かつ容易に行うことができるものであ
る。
【0046】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、水に難溶なシリコーンを溶解し得る溶剤中に試料を
分散させた後、濾過し、濾液から溶剤を揮散させて乾燥
固化する処理を行い、この処理後の試料に対してナトリ
ウム変性を行うため、試料に含まれる水溶性の無機シリ
コーンや、汚れ、砂埃等の影響物質を除去して、更に正
確な分析が可能となるものである。
【0047】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、ナトリウム変性を水酸化ナトリウムを用いて行
うため、ナトリウム変性を行う場合の加熱温度を抑制す
ることができ、特に沸点が比較的低い有機シリコーンの
分析を行う場合に有機シリコーンの揮発を防いで、更に
正確な分析を行うことができるものである。
【0048】また請求項4の発明は、請求項3におい
て、試料に水酸化ナトリウム水溶液を加え、水を蒸発さ
せた後に、加熱することによりナトリウム変性を行うた
め、潮解性を有する水酸化ナトリウムを水溶液とするこ
とにより取扱性を向上して試料と容易に混合することが
できるようになり、ナトリウム変性を容易に行うことが
できるものである。
【0049】また請求項5の発明は、請求項1におい
て、試料に固体粉末状の炭酸ナトリウムを加えたものを
加熱することによりナトリウム変性を行い、試料中の水
に難溶な無機シリコーンの分析を行うため、ナトリウム
変性を行う場合の加熱温度を高温にすることができ、沸
点が比較的高い無機シリコーンのナトリウム変性を効率
よく行うことができ、しかも炭酸ナトリウムを水溶液に
調製せずに固体状態のまま取り扱うこととなって、ナト
リウム変性の作業を簡便化することができるものであ
る。
【0050】また請求項6の発明は、請求項1乃至5の
いずれかにおいて、ナトリウム変性後の試料の水溶液に
呈色試薬を加えることにより呈色させ、この呈色を観測
することによりケイ素原子の存在を確認すると共にその
定量を行うため、試料中の水に難溶なシリコーンに由来
するケイ素原子の存在の確認と定量を簡便な方法で正確
に行うことができ、これに基づいて試料中の水に難溶な
シリコーンの存在の確認と定量を行うことができるもの
である。
【0051】また請求項7の発明は、請求項6におい
て、ナトリウム変性後の試料の水溶液を呈色させるにあ
たって、モリブデンブルー法を適用するため、試料中の
水に難溶なシリコーンに由来するケイ素原子の存在の確
認と定量を、青色の呈色によって明確かつ容易に行うこ
とができるものである。
【0052】また請求項8の発明は、請求項6又は7に
おいて、ナトリウム変性後の試料の水溶液を呈色試薬で
呈色させた後、水溶液を分光光度計を用いて観測するこ
とにより試料中のケイ素原子の存在を確認すると共にそ
の定量を行うため、試料中の水に難溶なシリコーンに由
来するケイ素原子の存在の確認と定量を更に正確に行う
ことができるものである。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料をナトリウム変性し、このナトリウ
    ム変性後の試料中のケイ素原子の存在を確認すると共に
    その定量を行うことにより試料中の水に難溶なシリコー
    ンの分析を行うことを特徴とするシリコーンの分析方
    法。
  2. 【請求項2】 水に難溶なシリコーンを溶解し得る溶剤
    中に試料を分散させた後、濾過し、濾液から溶剤を揮散
    させて乾燥固化する処理を行い、この処理後の試料に対
    してナトリウム変性を行うことを特徴とする請求項1に
    記載のシリコーンの分析方法。
  3. 【請求項3】 ナトリウム変性を水酸化ナトリウムを用
    いて行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のシリ
    コーンの分析方法。
  4. 【請求項4】 試料に水酸化ナトリウム水溶液を加え、
    水を蒸発させた後に、加熱することによりナトリウム変
    性を行うことを特徴とする請求項3に記載のシリコーン
    の分析方法。
  5. 【請求項5】 試料に固体粉末状の炭酸ナトリウムを加
    えたものを加熱することによりナトリウム変性を行い、
    試料中の水に難溶な無機シリコーンの分析を行うことを
    特徴とする請求項1に記載のシリコーンの分析方法。
  6. 【請求項6】 ナトリウム変性後の試料の水溶液に呈色
    試薬を加えることにより呈色させ、この呈色を観測する
    ことによりケイ素原子の存在を確認すると共にその定量
    を行うことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記
    載のシリコーンの分析方法。
  7. 【請求項7】 ナトリウム変性後の試料の水溶液を呈色
    させるにあたって、モリブデンブルー法を適用すること
    を特徴とする請求項6に記載のシリコーンの分析方法。
  8. 【請求項8】 ナトリウム変性後の試料の水溶液を呈色
    試薬で呈色させた後、水溶液を分光光度計を用いて観測
    することにより試料中のケイ素原子の存在を確認すると
    共にその定量を行うことを特徴とする請求項6又は7に
    記載のシリコーンの分析方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2007256043A (ja) * 2006-03-23 2007-10-04 Ngk Insulators Ltd ケイ素化合物含有試料中の不純物分析用試料液の調製方法
CN109827918A (zh) * 2019-04-03 2019-05-31 广西壮族自治区冶金产品质量检验站 掺锡氧化铟粉中硅含量的测定方法

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