JP2002161741A - 排気系部品 - Google Patents

排気系部品

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JP2002161741A
JP2002161741A JP2000363536A JP2000363536A JP2002161741A JP 2002161741 A JP2002161741 A JP 2002161741A JP 2000363536 A JP2000363536 A JP 2000363536A JP 2000363536 A JP2000363536 A JP 2000363536A JP 2002161741 A JP2002161741 A JP 2002161741A
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joint
cylindrical
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JP2000363536A
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English (en)
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Kenji Ito
賢児 伊藤
Tomohisa Ogata
智寿 小方
Kenji Fujitsuka
健二 藤塚
Kenichiro Sekiguchi
謙一郎 関口
Akinaga Oohira
章永 大平
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Proterial Ltd
Original Assignee
Hitachi Metals Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 摩擦圧接による排気系部品において、摩擦圧
接の際の切粉の飛散や、接合部の内側に発生するバリを
抑え、例えば触媒ケース内に収納した触媒担体や、過給
機内部に装填されるタービンブレードなどを損傷させ
ず、また、高温の排気ガスが通過する際に排気ガスが直
接接合部にあたらずに接合部の酸化を緩和し、また、摩
擦圧接時のアプセット圧力に耐えて変形が少なく、ま
た、排気系部品として使用中にき裂発生を抑制でき、排
気系部品が複雑形状であっても、安定した接合状態を確
保する。 【解決手段】 2つ以上の部材を摩擦圧接で接合される
排気系部品であって、部材の接合される端部に、軸方向
で外側に突出する少なくとも1つ以上の円筒状突出部を
形成し、両方の部材の円筒状突出部同士、または一方の
部材の端部と他方の部材の円筒状突出部、のうち外周側
で相対する端面同士を摩擦圧接で接合することにより、
接合された外周側の円筒状突出部と、内周側の円筒状突
出部と、端部の端面と、で形成される空間で、接合部の
内周側を包囲する形状とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等の内燃機
関において、2つ以上の部材を摩擦圧接にて接合される
排気系部品に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジンの排気系部品は、近
年、環境問題及び燃費改善等の問題により、重要性が増
してきている。たとえば、環境問題に関連して、排気ガ
ス中の有害成分を浄化するひとつの装置として触媒コン
バータがあり、排気ガス温度により触媒担体に担持した
触媒を活性化温度以上に加熱することにより触媒作用を
起こしている。触媒コンバータには、触媒の配置の違い
により、排気マニホルドから離れたフロントパイプの後
ろに置く床下触媒と、排気マニホルド直後に置くマニホ
ルド触媒、またはこれらを組合せた触媒がある。従来
は、床下触媒が一般的であったが、エンジン始動直後の
触媒の昇温特性が良く、またエンジン運転中の排気ガス
浄化性能に優れるマニホルド触媒が増加している。
【0003】従来のマニホルド触媒は、排気マニホルド
と触媒ケースにフランジを形成して別体に構成し、フラ
ンジ同士をボルトなどにより連結する構造であった。し
かし、フランジの肉厚で熱容量が大きくなり、エンジン
始動直後における触媒の急速昇温を阻害して排気ガス浄
化性能の低下要因になることがあった。また、フランジ
締結構造は狭いエンジンルーム内への搭載性にも問題が
あり、よりコンパクトな形状が要求されてきている。
【0004】また、燃費改善等の要求に関連して、燃費
の良い小さなエンジンにおいて大きな出力を得るため
に、過給機の搭載要求が強くなってきている。過給機
は、排気ガスによる排気圧力を利用してタービンブレー
ドを回転させ、このタービンブレードと軸を同一にする
コンプレッサにより外気を圧縮して、吸気側に供給して
より大きな出力を得るための排気系部品である。この過
給機もまた、エンジンルーム内への搭載性の問題によ
り、ほかの排気系部品との一体化の要求が大きくなって
きている。
【0005】これらの問題を解決するために、特開昭5
7−210117号公報には、排気マニホルドと触媒ケ
ースとを鋳造一体として、締結フランジ部やボルト等を
なくし、さらに排気マニホルドから触媒ケースに至る排
気ガス通路長を短くして、エンジン始動直後での触媒を
急速昇温する記載がある。
【0006】しかし、排気マニホルドと触媒ケースとが
鋳造一体のものは、排気マニホルドの排気枝管の数が特
開昭57−210117号公報に開示するように例え
ば、2本と少ない場合には可能であるが、エンジンが高
出力になり排気マニホルドの排気枝管数が3本、4本と
多くなり、寸法が長くかつ複雑形状になるに従い、排気
マニホルドと触媒ケースを一体で鋳造することは困難に
なる。
【0007】また、過給機においては、その構造がツイ
ンスクロールと呼ばれる、排気ガスの流入部が2箇所に
なる複雑形状のものが主流になりつつあり、ほかの排気
系部品との鋳造による一体化は困難になってきている。
【0008】排気マニホルドと触媒ケース、または排気
マニホルドと過給機のハウジングを接合する手段とし
て、溶融溶接を用いることもできるが、溶接の熱影響に
より広い範囲に熱ひずみが発生しやすい。さらに、一方
の部材をフェライト系球状黒鉛鋳鉄として溶接するとチ
ル(セメンタイト)やマルテンサイトが発生する。特に
Moを含有する高Si球状黒鉛鋳鉄はMoの効果により
溶接性が悪くなり、接合部にチルが発生しやすくなると
同時に、接合部近傍にマルテンサイトも発生しやすくな
る。チルの発生は高温での耐酸化性を悪化させ、特にメ
タル温度730℃以上の状況下においてはチルが優先的
に酸化され、接合部の強度を著しく低下させる。また、
チル及びマルテンサイトの発生は、接合部の機械的特性
を低下させ、部材の耐熱性に悪影響を及ぼすことがあ
る。発生した熱ひずみやチル及びマルテンサイトを除去
するためには熱処理工程が必要となり、生産性の低下や
コスト高を招く。
【0009】また、溶接では接合面を少しずつ溶融接合
していくため、異なる基地組織の相を有する鋳物部材を
用いて溶接を行うと、溶接完了部において両部材の線膨
張率の違いによる両部材の熱ひずみの差により接合部に
き裂が生じやすく、健全な接合層を形成することが困難
である。特にフェライト系球状黒鉛鋳鉄とオーステナイ
ト系球状黒鉛鋳鉄では、線膨張率が大きく異なることが
知られている。
【0010】一方、排気マニホルドと触媒ケースを接合
する手段として、排気マニホルドと触媒ケースを別体に
て製作した後、摩擦圧接にて一体化することが考えられ
てきている。例えば、特開平10−29077号公報に
は、排気ガス浄化用の触媒を担持した触媒担体を触媒ケ
ースに挿入固定した後、触媒ケースと、排気マニホル
ド、または異形断面のレジューサを介して摩擦圧接で接
合する自動車用排気系部品の接合方法の記載がある。ま
た、特開平10−29077号公報には、排気マニホル
ドとして、鋳鉄または球状黒鉛鋳鉄を用いる記載、触媒
ケースまたはレジューサの接合部が、板厚1.0〜2.
0mm、外径60〜200mm、外径のばらつきが真円
の±0.5%以内とする記載、また、排気マニホルド、
レジューサ、触媒担体を内装した触媒ケース、パイプ、
及びフランジを少なくとも1箇所以上摩擦圧接で接合す
る記載がある。
【0011】上記特開平10−29077号公報によれ
ば、触媒ケースと排気マニホルドを精度良く低コストで
接合する方法とこの接合方法で一体化した自動車用排気
系部品が得られるとしている。
【0012】本出願人も、特開平10−266838号
公報として、排気マニホルドと触媒ケースを鋳鉄及び/
または鋳鋼とし、この排気マニホルドと触媒ケースを摩
擦圧接する発明を開示している。また、特開平9−24
2539には、排気マニホルドと過給機のハウジングを
精度よく低コストで接合する過給機付き排気マニホルド
の発明を開示している。
【0013】特開平10−266838号公報によれ
ば、(1)排気マニホルドの排気枝管の数が多く、排気
マニホルドや触媒ケースが複雑形状で寸法が大きくと
も、排気マニホルドと触媒ケースを一体化してエンジン
の占有域を少なくでき、(2)排気マニホルドと触媒ケ
ースを各々別体で鋳造するので、複雑な方案を必要とせ
ず鋳造性が向上し、(3)接合部には気孔や介在物がな
く、また熱影響部が少なくてセメンタイトは発生せず、
摩擦圧接条件を制御することで安定した品質のものが得
られ、(4)排気マニホルドから触媒ケースに至る排気
ガス通路長を短くできるので、エンジンを始動してすぐ
に触媒が昇温して、排気ガス浄化が行われ、(5)接続
用フランジ部やボルト等をなくすことで材料費が低減で
きる。
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記特
開平10−29077号公報は、触媒ケースまたはレジ
ューサの接合部が、板厚1.0〜2.0mm、外径60
〜200mmと薄くて比較的大径で剛性がない。また、
薄肉のため摩擦圧力を付与した段階で発熱量を蓄熱でき
ず、また、摩擦圧接装置で一方の部材の接合部近くを取
付具に当接して取り付けると摩擦発熱を吸収してしま
い、接合部への熱量供給が不足して接合強度が不足する
おそれがある。また、アプセット工程においては、摩擦
圧接する部材がアプセット圧力で変形、またバリが発生
して、部材が触媒ケースの場合には、これに収納してい
る触媒担体を損傷させ、担持している高価な触媒を脱落
させるおそれがある。また、高温の排気ガスが通過する
際に、排気ガスが接合部に直接あたると、この接合部の
酸化が進行し耐久性を低下させ、また通過断面積を小さ
くしてしまい、排気効率の低下や異常音を発生させるお
それがある。
【0014】一方、本出願人による特開平10−266
838号公報及び特開平9−242539号公報により
単に突き合わせて摩擦圧接した場合には、摩擦圧接の際
に飛散した切粉や、接合部の内周側に発生したバリによ
り、触媒ケースでは収納した触媒担体を損傷して触媒を
脱落させたり、過給機のハウジングでは過給機内部に装
填されるタービンブレードなどを損傷するおそれがあ
る。
【0015】本発明の課題は、上記従来の課題に鑑みて
なされたものであり、2つ以上の部材を摩擦圧接で接合
される排気系部材であって、摩擦圧接の際の切粉の飛散
や、接合部の内側に発生するバリを抑え、また、排気ガ
スが直接、接合部にあたらずに接合部の酸化を緩和し、
また、摩擦圧接時の変形が少なく、また、排気系部品と
して使用中にき裂発生を抑制でき、安定した接合状態を
確保する排気系部品を提供することにある。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記課題を
解決するため、2つ以上の部材を摩擦圧接で接合する排
気系部品において、接合される部材の端部に、軸方向で
外側に突出する円筒状突出部を形成して接合すれば、接
合部の内周側を、円筒状突出部と端部の端面などで形成
される空間で包囲でき、摩擦圧接の際に飛散する切粉
や、接合部の内周側に発生するバリで排気系部品内部の
部品を損傷せず、排気ガスが直接、接合部にあたらずに
接合部の酸化を緩和できると考えた。また、接合部の最
小肉厚が2.0mm以下と薄肉では、摩擦圧接時のアプ
セット圧力に耐えることができず変形が大きくなると考
え、接合部の最小肉厚を2.0mmを超える寸法にし
て、高Si球状黒鉛鋳鉄、Moを含有する高Si球状黒
鉛鋳鉄、オーステナイト系球状黒鉛鋳鉄、フェライト系
耐熱鋳鋼、またはオーステナイト系耐熱鋳鋼から選択す
れば、排気系部材の変形を少なくし、排気系部品として
使用中にき裂発生を抑制でき、安定した接合状態を確保
した排気系部品が得られるとの知見を得て本発明に想到
した。
【0017】すなわち本発明の排気系部品は、2つ以上
の部材を摩擦圧接で接合される排気系部品であって、何
れの部材にも、接合される端部に、軸方向で外側に突出
する少なくとも1つ以上の円筒状突出部を形成し、両方
の部材の円筒状突出部同士、または一方の部材の端部と
他方の部材の円筒状突出部、のうち外周側で相対する端
面同士を摩擦圧接で接合することにより、前記接合され
た外周側の円筒状突出部と、内周側の円筒状突出部と、
端部の端面と、で形成される空間で、接合部の内周側を
包囲することを特徴とする。
【0018】また、本発明の排気系部品は、何れか1つ
の前記円筒状突出部に、外周側または内周側に向けて伸
長する突起部を形成し、両方の部材の円筒状突出部同
士、または一方の部材の円筒状突出部と他方の部材の端
部、のうち外周側で相対する端面同士を摩擦圧接で接合
することにより、前記接合された外周側の円筒状突出部
と、内周側の円筒状突出部と、突起部と、端部の端面
と、で形成される空間で、接合部の内周側を包囲するこ
とを特徴とする。
【0019】また、本発明の排気系部品は、2つ以上の
部材を摩擦圧接で接合される排気系部品であって、何れ
か一方の部材にのみ、接合される端部に、軸方向で外側
に突出する少なくとも1つ以上の円筒状突出部を形成
し、かつ、一方の部材の前記円筒状突出部及び/または
他方の部材の端部近傍に、外周側及び/または内周側に
向けて伸長する突起部を形成し、両方の部材の端部同
士、または一方の部材の円筒状突出部と他方の部材の端
部、のうち外周側で相対する端面同士を摩擦圧接で接合
することにより、前記接合された外周側の円筒状突出部
を形成しない部材の端部または前記接合された外周側の
一方の部材の円筒状突出部と他方の部材の端部と、内周
側の円筒状突出部と、突起部と、端部の端面と、で形成
される空間で、接合部の内周側を包囲することを特徴と
する。
【0020】接合部の内周側を包囲することで、摩擦圧
接の際に飛散する切粉や、接合部の内周側に発生するバ
リによる、触媒ケース内の触媒担体の損傷や、過給機内
部に装填されるタービンブレードなどの損傷を防止でき
る。
【0021】また、接合部の内周側を包囲することで、
高温の排気ガスが通過する際に排気ガスが直接接合部に
あたらず、接合部の酸化を緩和して、耐久性を向上でき
る。
【0022】また、両方の部材の円筒状突出部同士と、
または一方の部材の円筒状突出部と他方の部材の端部
と、の相対する端面を接合すれば、摩擦圧接時に摩擦発
熱を吸収しにくく接合に必要な熱量を確保することがで
きるので好ましい。
【0023】特に、請求項3に係る発明によれば、何れ
か一方の部材にのみ円筒状突出部を形成すればよく、他
方の部材の円筒状突出部を鋳造や機械加工で形成する必
要がないので、低コストに排気系部品を製造できる。
【0024】また、本発明の排気系部品は、一方の部材
と他方の部材が異なる材質であって、前記円筒状突出部
のうち、最も内周側に配置される円筒状突出部を有する
部材が、他方の部材より耐酸化性に優れる部材からなる
ことを特徴とする。
【0025】最も内周側に配置される円筒状突出部を有
する部材を、他方の部材より耐酸化性に優れる部材とす
れば、接合部の内周側を包囲する効果に加えて、さらに
高温の排気ガスによる接合部の酸化を緩和して、耐久性
を向上できる。
【0026】また、本発明の排気系部品は、摩擦圧接で
接合する接合部の形状が円形であり、その接合部の肉厚
が2.0mmを超え20mm以下であることを特徴とす
る。
【0027】摩擦圧接で接合することにより、溶融溶接
のように、両部材の線膨張率の違いによる両部材の熱ひ
ずみの差により接合部にき裂が生ずることがない。特
に、接合部の形状を円形とすることで、一気に健全な接
合状態を作り出すことができるので、熱ひずみが接合部
の全周にわたって均一にバランスしやすくなり、さらに
接合部のき裂の発生を抑制して健全な接合層を形成する
ことができる。
【0028】接合部の肉厚が2.0mm以下の場合に
は、摩擦圧接の接合時のアプセット圧力に耐えることが
できず変形のおそれがある。また、排気系部品として使
用中の変形も懸念される。一方、接合部の肉厚が20m
mを超えると、摩擦圧接時の接合部が冷却するときに内
外面に温度差が生じ、接合界面に発生する熱ひずみのバ
ランスが壊れき裂発生のおそれがある他、接合部の熱容
量が大きくなり、エンジン始動直後における触媒の急速
昇温を阻害して排気ガス浄化性能の低下要因になった
り、エンジンルーム内への搭載性が悪化する。従って接
合部の肉厚は、2.0mmを超え20mm以下が好まし
く、2.5〜5.0mmがより好ましい。
【0029】また、本発明の排気系部品は、前記接合部
の内周側を包囲する空間の径方向の隙間が1.0mm以
上であることを特徴とする。
【0030】接合部の内周側を包囲する空間の径方向の
隙間が1.0mm未満では、摩擦圧接の際に飛散する切
粉や、接合部の内周側に発生するバリを収容するのが困
難となる。隙間を、1.0mm以上とすれば、切粉やバ
リを収容するに十分な空間を確保できるが、大き過ぎる
と接合部が外周側に拡大するため、エンジンルーム内へ
の搭載性が悪化する。接合部の内周側を包囲する空間の
径方向の隙間は、2.0〜3.0mmが好ましい。
【0031】また、本発明の排気系部品は、前記円筒状
突出部及び/または前記突起部の付根に少なくとも0.
3mm以上の隅Rを有することを特徴とする。
【0032】円筒状突出部及び/または前記突起部の付
根の隅Rが0.3mmより小さいと、排気系部品として
使用中に、部材に生ずる熱応力で、前記付根にき裂発生
のおそれがある。円筒状突出部及び/または前記突起部
の付根の隅Rは、0.3mm以上が好ましく、0.5m
m以上がより好ましい。
【0033】また、本発明の排気系部品は、接合されな
い前記相対する端面の軸方向の隙間の幅が、2つの部材
の接合部から接合されない端面までの軸方向の距離のう
ち、どちらか少ない部材の前記距離の50%以下である
ことを特徴とする。
【0034】また、本発明の排気系部品は、接合部の近
傍で、一方の部材と他方の部材とが交叉して挟まれる径
方向の隙間が、前記接合部の内周側を包囲する空間の径
方向の隙間の1/2以下であることを特徴とする。
【0035】接合されない前記相対する端面の軸方向の
隙間の幅を、2つの部材の接合部から接合されない端面
までの軸方向の距離のうち、どちらか少ない部材の前記
距離の50%以下とし、また、突起部の軸方向に平行な
側面と他方の部材の円筒状突出部または端部とによって
挟まれる径方向の隙間を、前記接合部の内周側を包囲す
る空間の径方向の隙間の1/2以下とすることで、摩擦
圧接の際に飛散する切粉や、接合部の内周側に発生する
バリが排気系部品内部に侵入することを抑え、内部の部
品の損傷を防止できる。
【0036】そして、本発明の排気系部品は、その材質
が、球状黒鉛鋳鉄、高Si球状黒鉛鋳鉄、Moを含有す
る高Si球状黒鉛鋳鉄、オーステナイト系球状黒鉛鋳
鉄、フェライト系耐熱鋳鋼、またはオーステナイト系耐
熱鋳鋼から選択されることを特徴とする。
【0037】部材を、鋳造法により、球状黒鉛鋳鉄、高
Si球状黒鉛鋳鉄、Moを含有する高Si球状黒鉛鋳
鉄、オーステナイト系球状黒鉛鋳鉄、フェライト系耐熱
鋳鋼、またはオーステナイト系耐熱鋳鋼から選択するこ
とで、加熱冷却が繰り返される排気系部品での耐熱性が
確保でき、複雑な形状の排気系部品が製造できる。
【0038】特に、Moを含有する高Si球状黒鉛鋳鉄
は、通常の溶融溶接ではセメンタイトが析出しやすいの
で、接合が困難になることがあるが、摩擦圧接によれば
迅速で容易に接合することが可能である。
【0039】そして、本発明の排気系部品において、何
れか一方の部材が、排気マニホルド、過給機のハウジン
グ、触媒ケース、ディフューザ、又は締結フランジであ
ることを特徴とする。
【0040】排気マニホルド、過給機のハウジング、触
媒ケース、ディフューザ、又は締結フランジの何れか同
士を摩擦圧接で接合することで、低コストな排気系部品
を得られる。
【0041】前記特開平10−29077号公報では触
媒ケースと排気マニホルドの接合で両者を挟む異形断面
の部材をレジューサと称しているが、本発明では上記に
加え、触媒ケースと排気パイプの接続で両者を挟む部材
を含め、異径断面の部材を接続する際に中間に介在する
部材を、以下ディフューザと称す。
【0042】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)図1は、排気マ
ニホルド2と、触媒坦体7と緩衝材8を内装した触媒ケ
ース3とを接合部9aで摩擦圧接した排気系部品1の要
部断面図である。排気マニホルド2は、化学成分として
質量比で、C:0.15〜1.20%、C−Nb/8:
0.05〜0.45%、Si:2%以下、Mn:2%以
下、Cr:16.0〜25.0%、W及び/またはM
o:1.0〜5.0%、Nb:0.40〜6.0%、N
i:0.1〜2.0%、N:0.01〜0.15%、そ
の他不可避的不純物及び残部Feを含む、フェライト系
耐熱鋳鋼からなり、シリンダヘッド取付面2a、多数の
取付孔2b、4つの排気枝管2c、この排気枝管2cの
集合管2dなどからなる。
【0043】一方、触媒ケース3は、化学成分として質
量比で、C:2.8〜3.4%、Si:3.75〜5.
00%、Mn:0.6%以下、S:0.02%以下、
P:0.08%以下、Mg:0.03%以上、その他不
可避的不純物及び残部Feを含む高Si球状黒鉛鋳鉄か
らなり、触媒坦体7及び緩衝材8を装着する内径3b、
図示しない排気パイプと接続するフランジ3cなどから
なる。
【0044】排気マニホルド2は、さらに耐熱性が要求
される場合、フェライト系耐熱鋳鋼に代えて、化学成分
として質量比で、C:0.2〜1%、Si:2%以下、
Mn:2%以下、Ni:8〜20%、Cr:15〜30
%、Nb:0.5〜6%、W:1〜6%、N:0.01
〜0.3%、その他不可避的不純物及び残部Feを含
む、オーステナイト系耐熱鋳鋼で作製することもでき
る。
【0045】触媒ケース3は、耐熱性が要求される場
合、高Si球状黒鉛鋳鉄に代えて、化学成分として質量
比で、C:2.8〜3.4%、Si:3.75〜5.0
0%、Mn:0.6%以下、S:0.02%以下、P:
0.08%以下、Mg:0.03%以上、Mo:0.4
〜0.7%、その他不可避的不純物及び残部Feを含
む、Moを含有する高Si球状黒鉛鋳鉄とすることもで
きる。
【0046】図4は、図1の排気系部品1での接合部9
a近傍の軸心方向片側要部断面図であり、(a)は摩擦
圧接前、(b)は摩擦圧接後を示す。図1及び図4で、
排気マニホルド2及び触媒ケース3は、何れの部材も接
合される端部に、軸心方向断面視で、軸方向で外側に突
出する円筒状突出部を形成している。
【0047】図4(a)で、排気マニホルド2の端部1
0には、排気系部品として使用中に排気ガスがあたる内
周側に円筒状突出部12bを、さらにこの円筒状出部1
2bの外側(外周側)に1.0mm以上の隙間をあけて
形成した円筒状突出部12aを形成している。排気マニ
ホルド2の端部10は、鋳造後、外周側の円筒状突出部
12aの内径16aを116mm、肉厚A1を2.2m
mの円形に、摩擦圧接後に接合部9aの内周側を包囲す
る空間の径方向の隙間となるCを1.0mmに、内周側
の円筒状突出部12bの肉厚Bを2mmに、また、外周
側の円筒状突出部12aの付根の隅R、14aと、内周
側の円筒状突出部12bの付根の隅R、14bが、何れ
も0.5mmとなるように機械加工を施している。ま
た、外周側の円筒状突出部12aの端面13aと、内周
側の円筒状突出部12bの端面13bにも機械加工を施
し、内壁16bの内径は、鋳肌のまま110mmとして
いる。
【0048】一方、図4(a)で、触媒ケース3の端部
20には、前述の排気マニホルド2の端部10に形成し
た外周側の円筒状突出部12aに相対する位置に、円筒
状突出部22aを形成している。触媒ケース3の端部2
0は、鋳造後、円筒状突出部22aの内径26aを11
6mmに、肉厚A2を2.2mmに、円筒状突出部22
aの付根の隅R、24aを0.5mmとなるように機械
加工を施す。また、円筒状突出部22aの端面23a
と、端部20の端面21aにも機械加工を施し、内壁2
6bの内径は、排気マニホルド2の端部10の内壁16
bの内径と同一とし、鋳肌のまま110mmとしてい
る。
【0049】排気マニホルド2と触媒ケース3は、図4
(b)に示すように排気マニホルド2と触媒ケース3の
円筒状突出部12a、22aの端面13a、23a同
士、または触媒ケース3の端部20の端面21aと排気
マニホルド2の円筒状突出部12bの端面13b、の2
つの相対する端面の組合せのうち、外周側で相対する端
面13aと端面23aを、後述する摩擦圧接により接合
部9aとして接合する。
【0050】ここで、摩擦圧接後に、排気マニホルド2
の円筒状突出部の端面13bと触媒ケース3の端面21
a(接合されない相対する端面)に挟まれて形成される
軸方向の隙間Dについて説明する。摩擦圧接の際に飛散
する切粉や、接合部の内周側に発生するバリが排気系部
品内部に侵入することを抑え、内部の部品の損傷を防止
するためには、摩擦圧接後に隙間Dはないほうがよい。
一方、摩擦圧接の際、2つの部材が接合部以外の部位が
接触すると、良好な接合ができないおそれがある。従っ
て接合部の寸法精度や摩擦圧接時の圧接条件のバラツキ
を考慮して、部材同士の接触を防止するため隙間の形成
が必要となる。形成する隙間は可能な限り少ないほうが
よく、摩擦圧接の際、接合部以外での部材同士の接触が
なく、かつ摩擦圧接後に皆無なることがよりよいことは
云うまでもない。
【0051】次に、接合部と隙間との位置関係について
図5に沿って説明する。図5(a)において、2つの部
材のうち、一方の部材2の接合部9から接合されない端
面13までの軸方向の距離をL11とし、他方の部材3
の接合部9から接合されない端面23までの軸方向の距
離をL21とし、接合されない端面13、23の軸方向
の隙間をD10とすれば、距離L11はL21より隙間
D10の距離だけ短い。摩擦圧接の際、部材同士の接触
を防止するために隙間を形成すれば、接合部から接合さ
れない端面までの距離は、2つの部材で長短の差を生ず
る。接合部と隙間との位置関係は、接合部から接合され
ない端面までの距離のうち、どちらか短い距離について
検討しなければならない。
【0052】今、図5(a)では接合部と隙間D10ま
での距離は、前述の距離L11、L21のうち、短いほ
うのL11だけ離れており、隙間D10は、摩擦圧接の
際に飛散する切粉や、接合部の内周側に発生するバリの
排気系部品内部への侵入を抑えるに充分に狭く形成した
とする。一方、(b)の隙間D20は(a)の隙間D1
0と同一の幅であるが、接合部9から接合されない端面
23までの軸方向の距離L31を、(a)の距離L11
に較べて短く(L31<L11)形成したとする。
(b)の場合、隙間をD20=D10にしても、接合部
と隙間との距離が近すぎるため、即ち距離L31が短す
ぎるため、切粉やバリが排気系部品内部へ侵入するのを
抑えことができない。
【0053】従って、接合されない相対する端面の軸方
向の隙間の幅は、2つの部材の接合部から隙間までの距
離、より詳しくは接合部から接合されない端面までの軸
方向の距離のうち、どちらか短いほうの距離から相対的
に決定する必要がある。即ち、接合部から隙間までの距
離が長ければ隙間は広くてもよいが、前記距離が短けれ
ば隙間は狭くしなければならない。具体的には、切粉や
バリが排気系部品内部へ侵入するのを抑えるためには、
隙間の幅は、接合部から隙間までの距離の50%以下が
好ましく、10%以下がより好ましい。
【0054】図4(b)で、接合部から隙間までの距離
L1、L2は夫々5mm、7.3mmに、隙間Dは前記
距離L1、L2の短いほうの距離L1(5mm)の50
%以下である2.3mmとなるように形成している。
【0055】次に、排気マニホルド2と触媒ケース3と
の摩擦圧接について説明する。図11は、摩擦圧接装置
51を模式的に示す要部断面図である。まず、触媒坦体
7及び緩衝材8を装着した触媒ケース3を摩擦圧接装置
51の取付具53に取り付ける。一方、排気マニホルド
2はスライド54の取付具55に取り付ける。そして、
電動機56を回転してこの回転力を主軸52に伝達し、
主軸52を回転させつつ、油圧シリンダ58のロッドに
連結したスライド54を主軸52側(図で左側)に移動
させる。そして、排気マニホルド2の円筒状突出部12
aの端面13aと、触媒ケース3の円筒状突出部22a
の端面23aとを接触させ、摩擦速度2.0〜4.0m
/s、摩擦圧力50〜75MPa、摩擦時間15〜60
sとして摩擦発熱させる。摩擦発熱後、電動機56を停
止し、かつブレーキ57により主軸52を急停止させ、
回転方向の位相位置決めを行い、アプセット工程でアプ
セット圧力を付与することで、図4(b)に示すよう
に、接合部9aの形状を有して固相接合する。
【0056】これにより、排気マニホルド2と触媒ケー
ス3の接合部9aの内周側を、接合された外周側の円筒
状突出部12a、22aと、内周側の円筒状突出部12
bと、端部10、20の端面11a、21aとで形成さ
れる空間Sで包囲して接合できる。
【0057】ここで、図6(a)〜(g)に排気系部品
の接合方法の数例を示す。図6に示す接合方法は、後述
する接合例(a)〜(g)で説明する部分の接合方法が
前述の図4の形態と異なるのみで、その他は図4に示し
た実施の形態と同様で、何れも請求項1に係る発明を示
す。即ち、何れの部材にも、接合される端部に、軸方向
で外側に突出する少なくとも1つ以上の円筒状突出部を
形成し、両方の部材の円筒状突出部同士、または一方の
部材の端部と他方の部材の円筒状突出部、のうち外周側
で相対する端面同士を摩擦圧接で接合することにより、
前記接合された外周側の円筒状突出部と、内周側の円筒
状突出部と、端部の端面と、で形成される空間で、接合
部の内周側を包囲している。
【0058】(a)は、一方の部材の端部10の内周側
の円筒状突出部12bを他方の部材の端部20の内壁2
6bより内周側に交叉して配置させた接合方法である。
接合部9の近傍で、一方の部材と他方の部材とが交叉し
て挟まれる径方向の隙間Eを、接合部9の内周側を包囲
する空間の径方向の隙間Cの1/2以下にしている。径
方向で、隙間Eを前記空間の隙間Cの1/2以下とする
ことで、摩擦圧接の際に飛散する切粉や、接合部の内周
側に発生するバリが排気系部品内部に侵入することを抑
え、内部の部品の損傷を防止できる。円筒状突出部12
bと他方の部材の端部20の内壁26bとの軸方向での
交叉距離を長くすれば、切粉やバリの侵入をさらに抑制
できる。また、円筒状突出部12bの端面13bは、こ
れに相対する他方の部材の端面などがないので機械加工
は不要である。(a)では、一方の部材の端部10を排
気ガスの流れの下流側に配置してしまうと図中の矢印J
で示すように高温の排気ガスが通過する際に、排気ガス
が接合部に直接あたり好ましくないので、一方の部材の
端部10を排気ガスの流れの上流側に配置したほうがよ
い。
【0059】(b)は、他方の部材の端部20の円筒状
突出部22aを2段に形成して、2つの部材を、軸方向
の隙間D及び径方向の隙間Eの2つの隙間で挟んで、接
合部の内周側を包囲する空間を構成した接合例である。
この場合、図4、図6(a)のように、2つの部材を1
箇所の隙間で挟む構成に比較して、さらに切粉やバリの
侵入を抑制できる。
【0060】(c)は、他方の部材の端部20に2つの
円筒状突出部22a、22bを形成し、円筒状突出部1
2bを円筒状突出部22bの内周側に交叉して配置させ
た接合方法である。接合部を包囲する空間は、円筒状突
出部12b、22bに2重に包囲されるので、円筒状突
出部が1つの場合に較べて、高温の排気ガスによる接合
部の酸化をより緩和して、耐久性をさらに向上できる。
加えて、2つの部材を軸方向の隙間D1、D2及び径方
向の隙間E、3つの隙間で挟むこととなるので前記図6
(b)よりもさらに切粉やバリの侵入を抑制できる。
【0061】(d)は、一方の部材の端部の端面と他方
の部材の円筒状突出部の端面を接合する例を示す。この
場合、一方の部材の端部10と他方の部材の円筒状突出
部22a、または一方の部材の端部20と他方の部材の
円筒状突出部12b、の2つの端面の組合せのうち、外
周側で相対する端面11aと端面23を接合している。
また、接合部9の内周側を包囲する空間の径方向の隙間
Cを1.0mm以上として摩擦圧接の際に飛散する切粉
や、接合部の内周側に発生するバリを収容するに十分な
空間を確保している。(d)は、前述の図4の形態に対
して、一方の部材の端部10の外周側の円筒状突出部1
2aを形成しないことで、図4の形態に較べ機械加工の
工程を減らせるので、低コストに排気系部品を製造でき
る。
【0062】(e)は(a)の、(f)は(b)の、
(g)は(c)の接合方法に対して、(d)と同様、一
方の部材の端部の端面と他方の部材の円筒状突出部の端
面を接合する例を示す。(e)、(f)、(g)は、何
れも接合部9の内周側を包囲する空間の径方向の隙間C
を1.0mm以上として摩擦圧接の際に飛散する切粉
や、接合部の内周側に発生するバリを収容するに十分な
空間を確保している。また、前述の(a)、(b)、
(c)の形態に対して、一方の部材の端部10の外周側
の円筒状突出部12aを形成しないことで、機械加工の
工程を減らせるので、低コストに排気系部品を製造でき
る。
【0063】本実施の形態1によれば、何れの部材に
も、接合される端部に、軸方向で外側に突出する少なく
とも1つ以上の円筒状突出部を形成することで、2つの
部材を、軸方向及び径方向の1つ以上の隙間で挟んで、
接合部の内周側を包囲する空間を構成することで、摩擦
圧接の際に飛散する切粉や、接合部の内周側に発生する
バリは、これらを収容するに十分に確保された1.0m
m以上の径方向の隙間を有する空間に収容されるととも
に、内周側の円筒突出部に阻まれて排気系部品の内部に
侵入することがなく、触媒ケース内に装着した触媒担体
の損傷を防止できる。また、高温の排気ガスが通過する
際に排気ガスが直接接合部にあたらず、接合部の酸化を
緩和して、耐久性を向上できる。また、最も内周側に配
置される円筒状突出部を有する部材(排気マニホルド
2)の材質をフェライト系耐熱鋳鋼とし、他方の部材
(触媒ケース3)の材質である高Si球状黒鉛鋳鉄より
耐酸化性に優れる部材としたので、接合部の内周側を包
囲する効果に加えて、さらに高温の排気ガスによる接合
部の酸化を緩和して、耐久性を向上できる。また、接合
部の肉厚を2.0mmを超える寸法としたので摩擦圧接
時の変形が少ない。また、接合部の形状を円形としたの
で、熱ひずみが接合部の全周にわたって均一にバランス
しやすくなり接合部のき裂の発生を抑制できる。また、
円筒状突出部の付根の隅R、を0.3mm以上としたの
で、排気系部品として使用中に、部材に生ずる熱応力
で、前記付根にき裂発生のおそれがない。以上により安
定した接合状態を確保した排気系部品が得られる。
【0064】(実施の形態2)図2は、排気マニホルド
2と、過給機のハウジング4とを接合部9bで摩擦圧接
した排気系部品1の要部断面図である。排気マニホルド
2は、化学成分として質量比で、C:2.8〜3.4
%、Si:3.75〜5.00%、Mn:0.6%以
下、S:0.02%以下、P:0.08%以下、Mg:
0.03%以上、Mo:0.4〜0.7%、その他不可
避的不純物及び残部Feを含む、Moを含有する高Si
球状黒鉛鋳鉄からなり、シリンダヘッド取付面2a、多
数の取付孔2b、4つの排気枝管2c、この排気枝管2
cの集合管2dなどからなる。
【0065】一方、過給機のハウジング4は、化学成分
として質量比で、C:3.0%以下、Si:1.0〜
5.5%、Mn:1.25%以下、P:0.08%以
下、Mg:0.03%以上、Ni:18.0〜36.0
%、Cr:1.60〜2.75%、その他不可避的不純
物及び残部Feを含む、オーステナイト系球状黒鉛鋳鉄
からなり、図示しないタービンブレードを装填するター
ビン車室4aからなる。
【0066】排気マニホルド2と過給機のハウジング4
は、耐熱性が要求される場合、フェライト系耐熱鋳鋼、
オーステナイト系耐熱鋳鋼を選択することもできる。一
方、耐熱性が充分であれば、高Si球状黒鉛鋳鉄とする
こともできる。また、過給機のハウジング4はオーステ
ナイト系球状黒鉛鋳鉄に代えて、Moを含有する高Si
球状黒鉛鋳鉄とすることもできる。
【0067】図7は、図2の排気系部品1での接合部9
b近傍の軸心方向片側要部断面図であり、(a)は摩擦
圧接前、(b)は摩擦圧接後を示す。図2及び図7で、
過給機のハウジング4及び排気マニホルド2は、何れの
部材も接合される端部に、軸心方向断面視で、軸方向で
外側に突出する円筒状突出部を形成している。
【0068】図7(a)で、過給機のハウジング4の端
部10には、排気系部品として使用中に排気ガスがあた
る内周側に円筒状突出部12bを、さらにこの円筒状突
出部12bの先端に外周側に向けて伸長する突起部15
を形成している。過給機のハウジング4の端部10は、
鋳造後、円筒状突出部12bの肉厚Bを2mmに、突起
部15の径方向の高さF1を1.5mmに、軸方向の幅
F2を3mmに、また、円筒状突出部12bの付根の隅
R、14bと、突起部15の付根の隅R、14cが、何
れも0.3mmとなるように機械加工を施している。ま
た、円筒状突出部12bの端面13bと、端部10の端
面11aにも機械加工を施し、内壁16bは鋳肌のまま
内径を30mmとしている。
【0069】一方、図7(a)で、排気マニホルド2の
端部20には、前述の過給機のハウジング4の端部10
の端面11aの外周側に相対する位置に、円筒状突出部
22aを形成している。排気マニホルド2の端部20
は、鋳造後、円筒状突出部22aの内径26aを40m
m、肉厚A2を2.1mmの円形に、円筒状突出部22
aの付根の隅R、24aを0.3mmとなるように機械
加工を施す。また、円筒状突出部22aの端面23a
と、端部20の端面21aにも機械加工を施し、内壁2
6bの内径は、過給機のハウジング4の端部10の内壁
16bの内径と同一とし、鋳肌のまま30mmとしてい
る。
【0070】排気マニホルド2と過給機のハウジング4
は、図7(b)に示すように、過給機のハウジング4の
端部10の端面11aと排気マニホルド2の円筒状突出
部22aの端面23a、または過給機のハウジング4の
円筒状突出部12bの端面13bと排気マニホルド2の
端部20の端面21a、の2つの相対する端面の組合せ
のうち、外周側で相対する端面11aと端面23aを、
後述する摩擦圧接により接合部9bとして接合する。
【0071】摩擦圧接後に構成される空間や隙間の寸法
は、接合部9bの内周側を包囲する空間Sの径方向の隙
間となるCを1.0mm以上の3.0mmとなるよう
に、また、接合部9bの近傍で、過給機のハウジング4
の円筒状突出部12bの先端の突起15と排気マニホル
ド2の円筒状突出部22aとが交叉して挟まれる径方向
の隙間Eを、接合部9bの内周側を包囲する空間Sの径
方向の隙間Cの1/2以下である1.5mmとなるよう
に、また、接合部9bから隙間Dまでの距離L1、L2
が、夫々10mm、13mmとなるように形成してい
る。接合されない相対する端面である過給機のハウジン
グ4の円筒状突出部の端面13bと、排気マニホルド2
の端面21aとで形成される軸方向の隙間Dの幅は、前
述の実施の形態1と同様に、接合部と隙間との位置関係
から、接合部9bから接合されない端面までの軸方向の
距離L1,L2のうち、短いほうの距離L1(10m
m)の50%以下である3mmとなるように形成してい
る。
【0072】摩擦圧接は、図11の摩擦圧接装置51を
用いて、前述の実施の形態1にならって行う。まず、過
給機のハウジング4を摩擦圧接装置51の取付具53に
取り付け、排気マニホルド2をスライド54の取付具5
5に取り付ける。電動機56を回転してこの回転力を主
軸52に伝達し、主軸52を回転させつつスライド54
を主軸52側(図で左側)に移動して、過給機のハウジ
ング4の端部10の端面11aと排気マニホルド2の円
筒状突出部22aの端面23aとを接触させて摩擦速度
2.0〜4.0m/s、摩擦圧力50〜75MPa、摩
擦時間15〜60sとして摩擦発熱させる。摩擦発熱
後、電動機56を停止し、かつブレーキ57により主軸
52を急停止させ、回転方向の位相位置決めを行い、ア
プセット工程でアプセット圧力を付与することで、図7
(b)に示すように、接合部9bの形状を有して固相接
合する。
【0073】これにより、過給機のハウジング4と排気
マニホルド2の接合部9bの内周側を、接合された外周
側の円筒状突出部22aと、内周側の円筒状突出部12
bと、突起部15と、端部10の端面11aと、で形成
される空間Sで包囲して接合できる。
【0074】ここで、図8(a)〜(d)に排気系部品
の接合方法の数例を示す。図8に示す接合方法は、後述
する接合例(a)〜(d)で説明する部分の接合方法が
前述の図7の形態と異なるのみで、その他は図7に示し
た実施の形態と同様で、何れも請求項2に係る発明を示
す。即ち、何れの部材にも、接合される端部に、軸方向
で外側に突出する少なくとも1つ以上の円筒状突出部を
形成し、何れか1つの前記円筒状突出部に、外周側また
は内周側に向けて伸長する突起部を形成し、両方の部材
の円筒状突出部同士、または一方の部材の端部と他方の
部材の円筒状突出部、のうち外周側で相対する端面同士
を摩擦圧接で接合することにより、前記接合された外周
側の円筒状突出部と、内周側の円筒状突出部と、突起部
と、端部の端面と、で形成される空間で、接合部の内周
側を包囲している。
【0075】(a)は、一方の部材の端部10の円筒状
突出部12bの途中に外周側に向けて伸長する突起部1
5を形成し、他方の部材の端部20の円筒状突出部22
aを2段に形成した接合方法である。2つの部材を軸方
向の隙間D1、D2及び径方向の隙間E、3つの隙間で
挟んで接合部を包囲する空間を構成することで前述の図
7の形態よりもさらに切粉やバリの侵入を抑制できる。
【0076】(b)は、一方の部材の端部10の円筒状
突出部12bの途中に外周側に向けて伸長する突起部1
5を形成した他は、図7の形態と同様にした接合例であ
る。この接合方法では、一方の部材の円筒状突出部12
bの途中に設けた突起部15と、他方の部材の端部20
の端面21aで挟まれる空間Gは、高温の排気ガスが通
過する際に、接合部を包囲する空間Sの断熱層として作
用し、接合部の酸化を緩和して、耐久性を向上できる。
【0077】(c)は、前記図8(b)の形態に対し
て、一方の部材の端部10の円筒状突出部12aに突起
部を形成する代わりに、他方の部材の端部20の円筒状
突出部22aの途中に内周側に向けて伸長する突起部1
5を形成した他は、前記図8(b)の形態と同様にした
接合例である。この接合方法でも、空間Gは、高温の排
気ガスが通過する際に、接合部を包囲する空間Sの断熱
層として作用する。
【0078】(d)は、前記図8(c)の形態に対し
て、一方の部材の端部10の内周側に円筒状突出部12
bを、さらにこの円筒状出部12bの外側(外周側)に
1.0mm以上の隙間をあけて形成した円筒状突出部1
2aを形成した他は、前記図8(c)の形態と同様にし
た接合例である。この接合方法でも、空間Gは、高温の
排気ガスが通過する際に、接合部を包囲する空間Sの断
熱層として作用する。
【0079】本実施の形態2によれば、何れか1つの円
筒状突出部に、外周側または内周側に向けて伸長する突
起部を形成することで、2つの部材を、軸方向及び径方
向の2つ以上の隙間で挟んで、接合部の内周側を包囲す
る空間を構成することが前記実施の形態1と異なるのみ
で、その他の構成と作用は前記実施の形態1と同様であ
る。即ち、接合部の内周側を包囲することで、摩擦圧接
の際に飛散する切粉や、接合部の内周側に発生するバリ
は排気系部品の内部に侵入することがなく、過給機内部
に装填されるタービンブレードなどの損傷を防止でき
る。また、高温の排気ガスが通過する際に排気ガスが直
接接合部にあたらず、接合部の酸化を緩和して、耐久性
を向上できる。また、最も内周側に配置される円筒状突
出部を有する部材(過給機のハウジング4)の材質をオ
ーステナイト系球状黒鉛鋳鉄とし、他方の部材(排気マ
ニホルド2)の材質であるMoを含有する高Si球状黒
鉛鋳鉄より耐酸化性に優れる部材としたので、接合部の
内周側を包囲する効果に加えて、さらに高温の排気ガス
による接合部の酸化を緩和して、耐久性を向上できる。
また、接合部の肉厚を2.0mmを超える寸法としたの
で摩擦圧接時の変形が少ない。また、接合部の形状を円
形とし、円筒状突出部と突起部の付根の隅Rを0.3m
m以上としたので、き裂の発生を抑制できる。以上によ
り安定した接合状態を確保した排気系部品が得られる。
【0080】(実施の形態3)図3は、排気マニホルド
2、ディフューザ5、触媒坦体7と緩衝材8を内装した
触媒ケース3、及びディフューザ6を、接合部9c〜9
eで摩擦圧接した排気系部品1の要部断面図である。排
気マニホルド2は、化学成分として質量比で、C:0.
2〜1%、Si:2%以下、Mn:2%以下、Ni:8
〜20%、Cr:15〜30%、Nb:0.5〜6%、
W:1〜6%、N:0.01〜0.3%、その他不可避
的不純物及び残部Feを含む、オーステナイト系耐熱鋳
鋼からなり、シリンダヘッド取付面2a、多数の取付孔
2b、4つの排気枝管2c、この排気枝管2cの集合管
2dなどからなる。
【0081】触媒ケース3は、化学成分として質量比
で、C:2.8〜3.4%、Si:3.75〜5.00
%、Mn:0.6%以下、S:0.02%以下、P:
0.08%以下、Mg:0.03%以上、Mo:0.4
〜0.7%、その他不可避的不純物及び残部Feを含
む、Moを含有する高Si球状黒鉛鋳鉄からなり、触媒
坦体7及び緩衝材8を装着する内径3bからなる。
【0082】また、排気マニホルド2と触媒ケース3の
異径間を接続するディフューザ5、及び触媒ケース3か
ら図示しない排気パイプに接続するディフューザ6も、
触媒ケース3と同じMoを含有する高Si球状黒鉛鋳鉄
とする。
【0083】排気マニホルド2は、耐熱性が充分であれ
ば、オーステナイト系耐熱鋳鋼に代えて、フェライト系
耐熱鋳鋼、オーステナイト系球状黒鉛鋳鉄を選択するこ
ともできる。
【0084】また、触媒ケース3、ディフューザ5及び
6は、耐熱性が充分であれば、Moを含有する高Si球
状黒鉛鋳鉄に代えて、高Si球状黒鉛鋳鉄とすることも
できる。特に温度の低下した排気ガスが通過するディフ
ューザ6は、耐熱性が充分であれば、Si含有量の少な
い球状黒鉛鋳鉄とすることもできる。
【0085】図9は、図3の排気系部品1での接合部9
c〜9e近傍の軸心方向片側要部断面図であり、(a)
は摩擦圧接前、(b)は摩擦圧接後を示す。ただし、図
9では、接合部9dを代表として示すが、接合部9c及
び接合部9eも同様である。図3及び図9で、排気マニ
ホルド2、触媒ケース3、ディフューザ5及び6は、何
れか一方の部材にのみ、接合される端部に、軸方向で外
側に突出する少なくとも1つ以上の円筒状突出部を形成
している。
【0086】図9(a)で、ディフューザ5の端部10
は、前記実施の形態2と同様に円筒状突出部12bと突
起部15を形成している。ディフューザ5の端部10
は、鋳造後、円筒状突出部12bの肉厚Bを3mmに、
突起部15の径方向の高さF1を2mmに、軸方向の幅
F2を5mmに、また、円筒状突出部12bの付根の隅
R、14bと、突起部15の付根の隅R、14cが、何
れも1.0mmとなるように機械加工を施している。ま
た、端部10の端面11aにも機械加工を施し、円筒状
突出部12bの端面13bと内壁16bは鋳肌のまま
で、内壁16bの内径を138mmとしている。
【0087】一方、図9(a)で、触媒ケース3の端部
20は、前記ディフューザ5の端面11aの外周側に相
対する位置に、端面21aを形成している。触媒ケース
3の端部20は肉厚A2を5.0mmの円形に形成し、
鋳造後、端面21aに機械加工を施し、内壁26aの内
径は鋳肌のまま150mmとしている。
【0088】ディフューザ5と触媒ケース3は、図9
(b)に示すようにディフューザ5の端面11aと触媒
ケース3の端面21aを、後述する摩擦圧接により接合
部9dとして接合する。摩擦圧接後に構成される空間や
隙間の寸法は、まず、接合部9dの内周側を包囲する空
間Sの径方向の隙間となるCを1.0mm以上の2.5
mmとなるように、また、接合部9dの近傍で、ディフ
ューザ5の円筒状突出部12bの先端の突起15と触媒
ケース3の端部20とが交叉して挟まれる径方向の隙間
Eを、接合部9dの内周側を包囲する空間Sの径方向の
隙間Cの1/2以下である1mmとなるように形成して
いる。
【0089】触媒ケース3とディフューザ6との接合部
9e及びディフューザ5と排気マニホルド2との接合部
9cは、図9(a)に示した構成と同様に形成する。接
合部9eで、触媒ケース3の端部は図9(a)の端部1
0と同様とし、その内壁16bの内径を鋳肌のまま15
0mmとしている。ディフューザ6の端部は図9(a)
の端部20と同様とし、その内壁26bの内径を鋳肌の
まま162mmとしている。
【0090】接合部9cで、ディフューザ5の端部は図
9(a)の端部20と同様とし、その内壁26bの内径
を鋳肌のまま92mmとしている。排気マニホルド2の
端部は図9(a)の端部10と同様とし、その内壁16
bの内径を鋳肌のまま80mmとしている。
【0091】摩擦圧接は、図11の摩擦圧接装置51を
用いて、前述の実施の形態1にならって行う。まず、触
媒ケース3とディフューザ6を接合部9eで接合する。
次に、ディフューザ6と摩擦圧接で一体となった触媒ケ
ース3に、触媒坦体7及び緩衝材8を装着した後、触媒
ケース3とディフューザ5を接合部9dで接合する。次
に、摩擦圧接で一体となったディフューザ6、触媒ケー
ス3及びディフューザ5と排気マニホルド2を接合部9
cで接合する。これにより、排気マニホルド2、ディフ
ューザ5、触媒ケース3、及びディフューザ6の各々の
接合部9c〜9eは、図9(b)に代表して示すよう
に、一方の部材(ディフューザ5)の端面11aと他方
の部材(触媒ケース3)の端面21aとが、接合部9d
の形状を有して固相接合する。
【0092】これにより、一方の部材(ディフューザ
5)と他方の部材(触媒ケース3)の接合部9c〜9d
の内周側を、接合された外周側の円筒状突出部を形成し
ない部材の端部20と、内周側の円筒状突出部12b
と、突起部15と、端部10の端面11aとで形成され
る空間Sで包囲して接合できる。
【0093】ここで、図10(a)〜(c)に排気系部
品の接合方法の数例を示す。図10に示す接合方法は、
後述する接合例(a)〜(c)で説明する部分の接合方
法が前述の図9の形態と異なるのみで、その他は図9に
示した実施の形態と同様で、何れも請求項3に係る発明
を示す。即ち、何れか一方の部材にのみ、接合される端
部に、軸方向で外側に突出する少なくとも1つ以上の円
筒状突出部を形成し、かつ、一方の部材の前記円筒状突
出部及び/または他方の部材の端部近傍に、外周側及び
/または内周側に向けて伸長する突起部を形成し、両方
の部材の端部同士、または一方の部材の円筒状突出部と
他方の部材の端部、のうち外周側で相対する端面同士を
摩擦圧接で接合することにより、前記接合された外周側
の円筒状突出部を形成しない部材の端部または前記接合
された外周側の一方の部材の円筒状突出部と他方の部材
の端部と、内周側の円筒状突出部と、突起部と、端部の
端面と、で形成される空間で、接合部の内周側を包囲し
ている。
【0094】(a)は、一方の部材の突起部15に相対
するように、他方の部材の端部20近傍に内周側に向け
て伸長する突起部25を形成して、2つの部材を軸方向
の隙間D及び径方向の隙間E、2つの隙間で挟んで接合
部を包囲する空間を構成した接合方法である。この場
合、図9のように、2つの部材を1箇所の隙間で挟む構
成に比較して、さらに切粉やバリの侵入を抑制できる。
【0095】(b)は、前記図9の形態に対して、一方
の部材の円筒状突出部12bに突起部15を形成する代
わりに、他方の部材の端部20近傍に内周側に向けて伸
長する突起部25を形成した他は、前記図9の形態と同
様にした接合例である。
【0096】(c)は、前記図10(b)の形態に対し
て、一方の部材の端部10の内周側に円筒状突出部12
bを、さらにこの円筒状出部12bの外側(外周側)に
1.0mm以上の隙間をあけて形成した円筒状突出部1
2aを形成した他は、前記図10(b)の形態と同様に
した接合例である。(c)では接合された外周側の一方
の部材の円筒状突出部12aと、他方の部材の端部20
と、内周側の円筒状突出部12bと、突起部25と、端
部の端面11aと、で形成される空間で、接合部の内周
側を包囲している。
【0097】本実施の形態3は、何れか一方の部材にの
み円筒状突出部を形成することが前記実施の形態1と異
なるのみで、その他の構成と作用は前記実施の形態1と
同様であり、安定した接合状態を確保した排気系部品が
得られる。実施の形態3は、何れか一方の部材にのみ円
筒状突出部を形成すればよく、他方の部材の円筒状突出
部を鋳造や機械加工で形成する必要がないので、前記実
施の形態1、2に比較して低コストに排気系部品を製造
できる。
【0098】
【実施例1】実施の形態1の排気系部品1を、2リット
ル直列4気筒高性能ガソリンエンジンに取付けて、加熱
と冷却を繰り返し耐久性試験を行った。試験条件は、エ
ンジン回転数6000rpmでの全負荷運転相当の加熱
10分と、運転停止しての冷却10分を1サイクルとし
て250時間行った。なお、全負荷時の排気ガス温度は
約950℃であった。耐久性試験の結果、接合部にき裂
の発生はなく、接合部9aから排気ガスの漏れも生じな
かった。
【0099】
【実施例2】実施の形態2の排気系部品1を、2リット
ル直列4気筒高性能ガソリンエンジンに取付けて、加熱
と冷却を繰り返し耐久性試験を行った。試験条件は、エ
ンジン回転数6000rpmでの全負荷運転相当の加熱
10分と、運転停止しての冷却10分を1サイクルとし
て250時間行った。なお、全負荷時の排気ガス温度は
900℃であった。耐久性試験の結果、接合部9bにき
裂の発生はなく、接合部9bからの排気ガスの漏れも生
じなかった。また、実施の形態2の排気系部品1を、2
リットル直列4気筒高性能ディーゼルエンジンに取付け
て、加熱と冷却を繰り返し耐久性試験を行った。試験条
件は、エンジン回転数4000rpmでの全負荷運転相
当の加熱10分と、運転停止しての冷却7分を1サイク
ルとして500時間行った。なお、全負荷時のメタル温
度は約800℃であった。耐久性試験の結果、接合部9
bにき裂の発生はなく、接合部9bから排気ガスの漏れ
も生じなかった。
【0100】
【実施例3】実施の形態3の排気系部品1を、2リット
ル直列4気筒高性能ガソリンエンジンに取付けて、加熱
と冷却を繰り返し耐久性試験を行った。試験条件は、エ
ンジン回転数6200rpmでの全負荷運転相当の加熱
10分と、運転停止しての冷却10分を1サイクルとし
て200時間行った。なお、全負荷時の排気ガス温度は
980℃であった。耐久性試験の結果、接合部9c〜9
eにき裂の発生はなく、接合部9c〜9eからの排気ガ
スの漏れも生じなかった。
【0101】
【発明の効果】以上の説明の通り、本発明の2つ以上の
部材を摩擦圧接で接合される排気系部品は、摩擦圧接の
際の切粉の飛散や、接合部の内側に発生するバリを抑
え、例えば触媒ケース内に収納した触媒担体や、過給機
内部に装填されるタービンブレードなどを損傷させず、
また、高温の排気ガスが通過する際に排気ガスが直接接
合部にあたらずに接合部の酸化を緩和し、また、摩擦圧
接時のアプセット圧力に耐えて変形が少なく、また、排
気系部品として使用中にき裂発生を抑制でき、安定した
接合状態を確保できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の、排気マニホルドと、触媒坦体
と緩衝材を内装した触媒ケースを摩擦圧接した排気系部
品の要部断面図である。
【図2】実施の形態2の、排気マニホルドと、過給機の
ハウジングとを摩擦圧接した排気系部品の要部断面図で
ある。
【図3】実施の形態3の、排気マニホルド、ディフュー
ザ、触媒坦体と緩衝材を内装した触媒ケース、およびデ
ィフューザを摩擦圧接した排気系部品の要部断面図であ
る。
【図4】実施の形態1の、図1の排気系部品での接合部
近傍の軸心方向片側要部断面図であり、(a)は摩擦圧
接前、(b)は摩擦圧接後を示す。
【図5】接合部と隙間との位置関係について説明した接
合部近傍の軸心方向片側要部断面図である。
【図6】実施の形態1の、接合例を示す摩擦圧接後の接
合部近傍の軸心方向片側要部断面図である。
【図7】実施の形態2の、図2の排気系部品での接合部
近傍の軸心方向片側要部断面図であり、(a)は摩擦圧
接前、(b)は摩擦圧接後を示す。
【図8】実施の形態2の、接合例を示す摩擦圧接後の接
合部近傍の軸心方向片側要部断面図である。
【図9】実施の形態3の、図3の排気系部品での接合部
近傍の軸心方向片側要部断面図であり、(a)は摩擦圧
接前、(b)は摩擦圧接後を示す。
【図10】実施の形態3の、接合例を示す摩擦圧接後の
接合部近傍の軸心方向片側要部断面図である。
【図11】摩擦圧接装置を模式的に示す側面図である。
【符号の説明】
1:排気系部品 2:排気マニホルド 3:触媒ケース 4:過給機のハウジング 5、6:ディフューザ 7:触媒担体 8:緩衝材 9、9a〜9e:接合部 11a、21a:端部の端面 12a、12b、22a、22b:円筒状突出部 13、13a、13b、23、23a:円筒状突出部の
端面 14a〜14c、24a:隅R 15、25:突起部 16a、16b、26a、26b:内壁 19a、19b:バリ 51:摩擦圧接装置 52:主軸 53、55:取付具 54:スライド 56:電動機 57:ブレーキ 58:油圧シリンダ A1、A2、B:肉厚 C、E:径方向の隙間 D:軸方向の隙間 F1:突起部の高さ F2:突起部の幅 G、S:空間 L1、L2:接合部から接合されない端面までの距離
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F01N 7/10 F01N 7/10 F02B 39/00 F02B 39/00 T D (72)発明者 関口 謙一郎 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株 式会社素材研究所内 (72)発明者 大平 章永 栃木県真岡市鬼怒ケ丘11番地 日立金属株 式会社素材研究所内 Fターム(参考) 3G004 AA01 DA02 GA02 3G005 FA13 FA27 FA41 GB24 GB26 HA18 KA07 3G091 AA28 AB01 BA39 GA06 GB01Z HA03 HB01 HB02 4E067 BG00 DA13 DA17 EA07 EB00

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】2つ以上の部材を摩擦圧接で接合される排
    気系部品であって、何れの部材にも、接合される端部
    に、軸方向で外側に突出する少なくとも1つ以上の円筒
    状突出部を形成し、両方の部材の円筒状突出部同士、ま
    たは一方の部材の端部と他方の部材の円筒状突出部、の
    うち外周側で相対する端面同士を摩擦圧接で接合するこ
    とにより、前記接合された外周側の円筒状突出部と、内
    周側の円筒状突出部と、端部の端面と、で形成される空
    間で、接合部の内周側を包囲することを特徴とする排気
    系部品。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の排気系部品において、何
    れか1つの前記円筒状突出部に、外周側または内周側に
    向けて伸長する突起部を形成し、両方の部材の円筒状突
    出部同士、または一方の部材の円筒状突出部と他方の部
    材の端部、のうち外周側で相対する端面同士を摩擦圧接
    で接合することにより、前記接合された外周側の円筒状
    突出部と、内周側の円筒状突出部と、突起部と、端部の
    端面と、で形成される空間で、接合部の内周側を包囲す
    ることを特徴とする排気系部品。
  3. 【請求項3】2つ以上の部材を摩擦圧接で接合される排
    気系部品であって、何れか一方の部材にのみ、接合され
    る端部に、軸方向で外側に突出する少なくとも1つ以上
    の円筒状突出部を形成し、かつ、一方の部材の前記円筒
    状突出部及び/または他方の部材の端部近傍に、外周側
    及び/または内周側に向けて伸長する突起部を形成し、
    両方の部材の端部同士、または一方の部材の円筒状突出
    部と他方の部材の端部、のうち外周側で相対する端面同
    士を摩擦圧接で接合することにより、前記接合された外
    周側の円筒状突出部を形成しない部材の端部または前記
    接合された外周側の一方の部材の円筒状突出部と他方の
    部材の端部と、内周側の円筒状突出部と、突起部と、端
    部の端面と、で形成される空間で、接合部の内周側を包
    囲することを特徴とする排気系部品。
  4. 【請求項4】請求項1乃至請求項3何れか1項に記載の
    排気系部品において、一方の部材と他方の部材が異なる
    材質であって、前記円筒状突出部のうち、最も内周側に
    配置される円筒状突出部を有する部材が、他方の部材よ
    り耐酸化性に優れる部材からなることを特徴とする排気
    系部品。
  5. 【請求項5】請求項1乃至請求項4何れか1項に記載の
    排気系部品において、摩擦圧接で接合する接合部の形状
    が円形であり、その接合部の肉厚が2.0mmを超え2
    0mm以下であることを特徴とする排気系部品。
  6. 【請求項6】請求項1乃至請求項5何れか1項に記載の
    排気系部品において、前記接合部の内周側を包囲する空
    間の径方向の隙間が1.0mm以上であることを特徴と
    する排気系部品。
  7. 【請求項7】請求項1乃至請求項6何れか1項に記載の
    排気系部品において、前記円筒状突出部及び/または前
    記突起部の付根に少なくとも0.3mm以上の隅Rを有
    することを特徴とする排気系部品。
  8. 【請求項8】請求項1乃至請求項7何れか1項に記載の
    排気系部品において、接合されない前記相対する端面の
    軸方向の隙間の幅が、2つの部材の接合部から接合され
    ない端面までの軸方向の距離のうち、どちらか少ない部
    材の前記距離の50%以下であることを特徴とする排気
    系部品。
  9. 【請求項9】請求項1乃至請求項8何れか1項に記載の
    排気系部品において、接合部の近傍で、一方の部材と他
    方の部材とが交叉して挟まれる径方向の隙間が、前記接
    合部の内周側を包囲する空間の径方向の隙間の1/2以
    下であることを特徴とする排気系部品。
  10. 【請求項10】請求項1乃至請求項9何れか1項に記載
    の排気系部品において、その材質が、球状黒鉛鋳鉄、高
    Si球状黒鉛鋳鉄、Moを含有する高Si球状黒鉛鋳
    鉄、オーステナイト系球状黒鉛鋳鉄、フェライト系耐熱
    鋳鋼、またはオーステナイト系耐熱鋳鋼から選択される
    ことを特徴とする排気系部品。
  11. 【請求項11】請求項1乃至請求項10何れか1項に記
    載の排気系部品において、何れか一方の部材が、排気マ
    ニホルド、過給機のハウジング、触媒ケース、ディフュ
    ーザ、又は締結フランジであることを特徴とする排気系
    部品。
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