JP2002158167A - 露光方法及び露光装置 - Google Patents

露光方法及び露光装置

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JP2002158167A
JP2002158167A JP2001104084A JP2001104084A JP2002158167A JP 2002158167 A JP2002158167 A JP 2002158167A JP 2001104084 A JP2001104084 A JP 2001104084A JP 2001104084 A JP2001104084 A JP 2001104084A JP 2002158167 A JP2002158167 A JP 2002158167A
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Shinichiro Noudo
晋一郎 納土
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 荷電粒子線による露光において、露光表面上
に帯電防止膜を設けることなく露光表面の帯電による露
光位置精度の劣化を防止できる露光方法を提供する。 【解決手段】 露光光として荷電粒子線を用いる露光方
法であって、次の露光位置に対して露光を行う直前にお
ける露光表面の表面電位分布に基づいて電磁気学的運動
方程式を解くことにより、この露光表面の帯電に起因す
る荷電粒子線の軌跡ずれを求め、この軌跡ずれに基づい
て荷電粒子線の偏向角度を補正して次の露光位置に対す
る露光を行う。また、露光表面の表面電位分布は、帯電
プロファイル関数と露光表面に対する露光履歴データと
から求める。帯電プロファイル関数を作成するには、荷
電粒子線を前記露光表面に対して局所的に照射する予備
露光を行い、この予備露光後における露光表面全域の標
準電位分布を求め、この標準電位分布を関数化すること
によって求める。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は露光方法及び露光装
置に関し、特には電子線のような荷電粒子線を露光光に
用いた露光方法及び露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】半導体装置の製造工程においては、エッ
チングや不純物注入などを行う際にマスクとして用いら
れるレジストパターンを、リソグラフィー処理によって
基板上に形成している。この際、特に微細化が進んだパ
ターンを形成する場合のリソグラフィーにおいては、電
子線を用いたパターン露光が行われている。また、光露
光におけるレチクルマスクを形成する場合にも、電子線
を用いたパターン露光が行われている。
【0003】図7には、露光光として電子線を用いる露
光装置の要部構成図を示す。この図に示す露光装置で
は、電子銃(図示省略)から照射された電子線eが、対
物レンズ1によって露光表面に結像され、偏向器3によ
って所定の偏向角度に偏向されてウエハW表面のレジス
トRに照射される。
【0004】このような露光装置を用いた露光において
は、露光光として用いられる電子線eが荷電粒子線であ
るため、絶縁材料であるレジストRが帯電し、この影響
によって露光位置精度が劣化することが知られている。
例えば、ウエハWの広範囲にわたってレジストRが負に
帯電している場合には、図中実線矢印で示すように、偏
向器3によって所期の偏向角度に偏向された電子線e
は、クーロン反発力により外側にはじかれ、図中破線矢
印で示すように偏向角度が拡大する方向に軌跡が変動す
る。一方、図8に示すように、レジストRの局所的な帯
電(例えば正に帯電)等によって露光表面の電位分布に
偏りが生じている場合、電子線eがクーロン相互作用に
より帯電した領域に向かって引っ張られ、図中破線矢印
で示すように軌跡が変動する。以上のように、レジスト
の帯電に起因して、所期の露光位置に対して、実際の露
光位置にずれが生じるのである。
【0005】このようなレジストの帯電による露光位置
のずれを防止する方法としては、レジスト上に帯電防止
用の導電膜を設ける手法が一般的に行われている。そし
て、導電膜をアース電位に保つことにより、レジスト中
に電子が蓄積されても、静電遮蔽効果により電界が外部
に漏洩することを防止でき、偏向器3を通過した電子線
eの軌跡ずれを防止できるのである。このような帯電防
止用の導電膜材料は、複数の化学材料メーカーより市販
されており、入手可能になっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、上述したよ
うなレジスト上に導電膜を設ける方法では、リソグラフ
ィー工程が複雑になること、導電膜とレジストとの界面
ミキシングの発生等により、レジストの解像力が劣化す
る等の問題がある。
【0007】そこで本発明は、電子線のような荷電粒子
線を用いた露光において、レジスト上に導電膜を設ける
ことなく、レジストの帯電による露光位置精度の劣化を
防止し、リソグラフィー工程数を増加させることなく位
置精度の高い露光を行うことが可能な露光方法及び露光
装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】このような課題を解決す
るための本発明の露光方法は、露光光として荷電粒子線
を用いる露光方法であって、次の露光位置に対して露光
を行う直前における露光表面の表面電位分布に基づい
て、当該露光表面の帯電に起因する荷電粒子線の軌跡ず
れを求め、この軌跡ずれに基づいて荷電粒子線の偏向角
度を補正して次の露光位置に対する露光を行うことを特
徴としている。
【0009】また、本発明の露光装置は、上述した露光
方法を行うための露光装置であり、次の露光位置に対し
て露光を行う直前における露光表面の表面電位分布に基
づいて得られた当該露光表面の帯電に起因する荷電粒子
線の軌跡ずれを補正するように、偏向器による荷電粒子
線の偏向角度を補正する偏向補正部を備えたことを特徴
としている。
【0010】このような露光方法及び露光装置では、荷
電粒子線の偏向角度の補正が露光表面における表面電位
分布に基づいて行われるため、露光表面の帯電に起因す
る露光表面上方における荷電粒子線の軌跡の変動を3次
元的に解析した補正が行われる。つまり、露光表面の電
位が広い範囲で一律に変動している場合だけではなく、
露光表面の電位が局所的に変動している場合であって
も、この局所的な電位の変動を正確に反映して荷電粒子
線の軌跡ずれを予測することができ、露光表面の帯電に
よる荷電粒子線の照射位置のずれ量が正確に把握され
る。
【0011】また、本発明の露光装置は、露光光となる
荷電粒子線の偏向器を備えた露光装置であって、前記荷
電粒子線による露光が行われる露光チャンバ内に、前記
露光表面に対して測定端子を相対的に走査可能な状態で
表面電位計が設けられたものでもある。
【0012】このような露光装置では、露光表面に対し
て測定端子が相対的に走査可能な状態で表面電位計が備
えられているため、露光表面における表面電位分布が測
定される。しかも、この測定端子が露光チャンバ内に設
けられているため、露光雰囲気と同一条件で、すなわち
露光を行う直前と同様の状態で露光表面の表面電位分布
が測定される。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。ここでは、半導体装置の製造にお
けるリソグラフィー工程で、荷電粒子線として電子線を
露光光に用いた露光を例にとった実施形態を説明する。
尚、本発明はこれに限定されることはなく、電子線以外
の荷電粒子線を露光光に用いた露光に広く適用可能であ
り、また、半導体装置を製造する際に用いるレチクルマ
スクを作製する場合のリソグラフィーにおける露光やそ
の他の絶縁性基板表面に対する露光にも適用できる。
【0014】先ず、実際の製造工程中における実パター
ンの露光(以下、実露光と記す)を行うに先立ち、この
実露光を行うに際して必要となる電位プロファイル関数
の作成手順を図1のフローチャートに基づいて説明す
る。
【0015】先ずステップS11においては、ウエハ表
面に塗布されたレジストに対して予備露光を行う。この
際、図2に示すように、実露光を行うウエハと略同一に
構成されたウエハWにおける露光表面Wf(すなわちレ
ジストRの表面)の中央部分の局所的な領域Aに、電子
線を照射する。ここでは、例えば、直径20cmの単結
晶シリコンからなるウエハ表面に、ポリビニルフェノー
ル樹脂を主体とする化学増幅レジストNEB22(住友
化学株式会社製)を0.4μmの膜厚で塗布し、このレ
ジストRに対して直径5μmに整形された電子線を3c
m×3cmの広さの領域に走査させながら照射する。こ
の予備露光における電気量は、単位面積あたり50μC
/cm2 とする。また、露光装置としては描画装置H
L800D(株式会社日立製作所製)を用いた。
【0016】次に、ステップS12では、予備露光を行
ったウエハWにおける露光表面Wfの表面電位分布(す
なわちレジストR表面の電位分布)を標準電位分布とし
て得る。この標準電位分布は、例えば表面電位計を用い
て露光表面Wf全域におけるレジストの表面電位を測定
することによって得られる。尚、標準電位分布を得る方
法はこれに限定されることはなく、例えば露光表面Wf
の全域においてレジスト下のアライメントマークの検出
を行いその検出位置のずれ量の分布から標準電位分布を
得ても良く、さらには重ね合わせ評価によって標準電位
分布を得ても良い。
【0017】図3には、このようにして得られた標準電
位分布を示す。尚、この標準電位分布を得るための
表面電位の測定は、ウエハ中心を横切るようにして5m
m間隔で、表面電位計(TREK社製非接触型表面電位
計MODEL344)の測定端子を移動させて行った。
この図に示すように、電子線を局所的に照射した後の露
光表面の表面電位は、電子線の照射領域Aにおいては正
の電位になり、照射領域Aの周辺領域Bにおいては負の
電位になる。これは、照射領域Aにおいては、電子線の
照射によってレジスト中の電子が放出されて正孔が残
り、一方周辺領域Bにおいては、電子線の照射によって
ウエハやレジストから放出された二次電子や反射電子が
露光装置の構成部材で反射してレジストに再突入し、低
速な電子がそのままレジスト中にトラップされることに
起因している。
【0018】以上の後、ステップS13では、ステップ
S12で得られた標準電位分布を関数化し、この標準電
位分布を表す関数、すなわち電位プロファイル関数を作
成する。ここでは、例えば図3に示した標準電位分布
を、電子線の照射領域Aとその周辺領域Bとの2つの領
域に分離し、それぞれの領域の標準電位分布に基づく2
つの電位プロファイル関数をフィッティングによって算
出する。つまり、標準電位分布を2つの電位プロファイ
ル関数に置き換えるのである。
【0019】尚、標準電位分布は、レジストRの種類や
膜厚等の露光表面を構成する因子毎に固有の分布にな
る。このため、標準電位分布に影響を及ぼす因子毎に予
備露光を行い、それぞれの標準電位分布を求めて各電位
プロファイル関数を算出し、これらの因子情報と共に電
位プロファイル関数をデータベース化しておくことが望
ましい。
【0020】以上のようにして、電位プロファイル関数
を得た後、次の図4に示す手順に従って実露光を行う。
ここでは、図5に示すように、ウエハW全面(すなわち
露光表面Wf全域)に対して、図中矢印で示すように露
光位置を移動させながら、順次パターンを露光していく
実露光において、ショットa(1,1)からショットa(i,
i)に対して順次露光を行う場合を例にとって説明を行
う。尚、ここで示す露光位置の移動経路はあくまでも一
例であり、図示したような連続した移動経路に限定され
ることはない。
【0021】先ず、ステップS21においては、未露光
状態における実露光直前の露光表面全域における表面電
位分布を、初期の表面電位分布として求める。ここで
は、表面にレジストを塗布したウエハWを、実露光と同
じ環境である真空状態に保ち、この真空状態においてウ
エハW全面における表面電位を測定してその電位分布を
初期の表面電位分布として求める。
【0022】この初期の表面電位分布は、例えば表面電
位計を用いて露光表面Wf全域におけるレジストの表面
電位を測定することによって得られる。図3には、この
ようにして得られた初期の表面電位分布を示す。この
初期の表面電位分布は、直径20cmの単結晶シリコ
ンからなるウエハ表面に、ポリビニルフェノール樹脂を
主体とする化学増幅レジストNEB22(住友化学株式
会社製)を0.4μmの膜厚で塗布し、ウエハ中心を横
切るようにして5mm間隔で、表面電位計(TREK社
製非接触型表面電位計MODEL344)の測定端子を
移動させて測定した結果である。また比較として、レジ
ストが塗布されていない状態でのウエハ表面における表
面電位分布を同様の測定方法で測定した結果を示す。
この図に示すように、ウエハW表面にレジストを塗布す
ることによって、表面電位(すなわち露光表面Wfの表
面電位)が0.3V程度上昇していることが分かる。
【0023】尚、露光表面Wfにおける表面電位は、レ
ジストの成分、膜厚、帯電防止膜の有無、さらにはレジ
ストの塗布プロセス等の露光表面Wfの構成する因子毎
に固有の分布になる。このため、初期の表面電位分布
は、露光表面Wfの構成毎に、実露光を行う場合と同様
の環境で測定することとし、露光表面Wfの構成毎のデ
ータとしてデータベース化しておくことが望ましい。ま
た、このような初期の表面電位分布のデータベース8が
存在する場合、露光表面Wfの構成が一致する初期の表
面電位分布をこのデータベース8から抽出する。
【0024】そして、次のステップS22では、ステッ
プS21で得られた表面電位分布に基づいて、露光表面
及びその上方における電場ベクトルを算出する。この電
場ベクトルは、表面電位分布を微分することによって算
出される。また、電場ベクトルを算出するにあたって
は、高さ方向への電場の広がりを見るために、電位0の
面(すなわち標準電位面)を規定しておくこととする。
【0025】次に、ステップS23においては、露光表
面における表面電位分布に起因して、1箇所目の露光位
置であるショットa(1,1)の露光位置に対して照射され
る電子線の軌跡がずれる、露光位置(電子線の照射位
置)のずれ量を算出する。ここでは、実露光に関する露
光情報の中から、次に露光を行うショットa(1,1)の露
光位置に関するデータを抽出する。ここで、実露光に関
する露光情報がデータベース化されている場合には、デ
ータベース5に収納されている複数の実露光に関する情
報の中から、このデータを抽出する。この露光位置のデ
ータは、すなわち設計段階におけるショットa(1,1)の
露光での電子線の偏向角度を示す値になる。そして、ス
テップS22で求めた電場ベクトルに基づき、所期の露
光位置に対して照射される電子線の照射位置のずれ量を
算出する。
【0026】尚、ステップS21で得た初期の表面電位
分布から、電子線の照射位置のずれ量(電子線の軌跡ず
れ量)を得る手順は、上述したような電場ベクトルから
求める手順に限定されることはなく、例えば、ステップ
S21で得た初期の表面電位分布に基づいてラグランジ
ュ方程式を解く等の電磁気学的運動方程式を解くことに
より解析的に求めることができる。
【0027】その後、ステップS24においては、ステ
ップS23で算出したずれ量に基づいて、電子線が所期
の照射位置に照射されるように、ショットa(1,1)の露
光における電子線の偏向角度を補正する。
【0028】そして、ステップS25においては、ステ
ップS24で補正された偏向角度に基づいて電子線を偏
向し、ショットa(1,1)の露光を行う。
【0029】その後、ステップS26においては、全て
のショットに対しての露光が終了したか否かを判断し、
終了した(Yes)と判断された場合に、一連の露光処
理を終了させる。一方、終了していない(No)と判断
された場合には、次のステップS27に進み、ショット
a(2,1)以降の、ショットa(2,1),…,a(i,i-1)露光
位置に対しての露光を行う。
【0030】先ず、ステップS27においては、この実
露光に関する露光情報の中から、既に露光が行われてい
るショット、例えばショットa(1,1),a(2,1),…,a
(i,i-1)に関する露光情報を露光履歴データとして抽出
する。抽出する露光履歴データは、各ショットa(1,
1),a(2,1),…,a(i,i-1)の露光の際の露光位置、露
光パターン形状、露光量等、露光表面Wfの表面電位分
布に影響を及ぼすデータであることとする。ここで、実
露光に関する露光情報がデータベース化されている場合
には、データベース5に収納されている複数の実露光に
関する情報の中から、この実露光における露光履歴デー
タを抽出する。
【0031】次に、ステップS28においては、ステッ
プS27で抽出した露光履歴データに基づいて、図1を
用いて説明した電位プロファイル関数を重ね合わせて電
位プロファイル関数を合成する。ここでは、既に露光が
行われている全ショットa(1,1),a(2,1),…,a(i,i
-1)の露光分の電位プロファイル関数を重ね合わせて電
位プロファイル関数を合成する。この際、電位プロファ
イル関数がデータベース化されている場合には、このデ
ータベース7から、この実露光と略同一構成のウエハに
関する電位プロファイル関数を抽出し、この抽出した電
位プロファイル関数を合成することとする。
【0032】その後、ステップS29においては、ステ
ップS28で合成された電位プロファイル関数に基づい
て、ショットa(i,i)に対して露光を行う直前の露光表
面における表面電位分布を得る。この表面電位分布は、
ショットa(i,i)の露光前の各ショットa(1,1),a(2,
1),…,a(i,i-1)に対して行われた露光でレジスト内
に蓄積された電荷によって形成される露光表面Wfの表
面電位分布となる。
【0033】以上の後、ステップS22に進み、ステッ
プS29で得た表面電位分布に基づいて、露光表面及び
その上方における電場ベクトルを算出する。電場ベクト
ルの算出は、ショットa(1,1)の露光を行う際のステッ
プS22で説明したと同様である。
【0034】そして次のステップS23においては、次
に露光を行うショットa(i,i)の露光位置に対して照射
される電子線の軌跡が、ショットa(i,i)の露光前の各
ショットa(1,1),a(2,1),…,a(i,i-1)に対して行
われた露光でレジスト内に蓄積された電荷に影響を受け
てずれる、露光位置(電子線の照射位置)のずれ量を算
出する。ここでは、先ず、実露光に関する露光情報のデ
ータベース5から、次に露光を行うショットa(i,i)に
関する露光情報のうち、ショットa(i,i)の露光位置に
関するデータを抽出する。この露光位置のデータは、す
なわち設計段階におけるショットa(i,i)の露光での電
子線の偏向角度を示す値になる。そして、ステップS2
2で求めた電場ベクトルに基づき、所期の露光位置に対
して照射される電子線の照射位置のずれ量を算出する。
【0035】その後、ステップS24においては、ステ
ップS23で算出したずれ量に基づいて、電子線が所期
の照射位置に照射されるように、ショットa(i,i)の露
光における電子線の偏向角度を補正する。
【0036】そして、ステップS25においては、ステ
ップS24で補正された偏向角度に基づいて電子線を偏
向し、ショットa(i,i)の露光を行う。
【0037】以上説明したステップS27〜ステップS
29、さらにはステップS22〜ステップS26を繰り
返すことによって、ショットa(2,1)以降の各ショット
a(i,i)、さらにはショットa(i,i+1)以降の各ショッ
トに対する露光を行う。ここで、ショットa(i,i+1)に
対する露光に際しては、ステップS29ではショットa
(i,i)の露光による蓄積電荷の影響も考慮して表面電位
分布が求められ、ステップS24においては、ショット
a(i,i)に対する露光によるレジスト内の蓄積電化の影
響をも排除した所期の位置に対してショットa(i,i+1)
に対する露光が行われるように電子線の偏向角度が補正
されることになる。
【0038】以上のようにして、露光表面の全面に対す
る露光が終了するまでステップS27〜ステップS2
9、さらにはステップS22〜ステップS26までを繰
り返し行う。
【0039】図6には、このような露光を行うための露
光装置の構成図を示す。この露光装置は、図7を用いて
説明した従来の露光装置に、第1のデータベース5,第
2のデータベース7、第3のデータベース8及び偏向補
正部9を備えた構成になっている。
【0040】第1のデータベース5は、上述の露光方法
において説明した実露光に関する露光情報を格納したデ
ータベース5であることとする。また、第2のデータベ
ース7は、上述した露光方法において説明した電位プロ
ファイル関数を格納したデータベース7であることとす
る。さらに、第3のデータベース8は、上述した露光方
法において説明した初期の表面分布を格納したデータベ
ース8であることとする。
【0041】そして、偏向補正部9は、偏向器3による
電子線eの偏向角度を補正するものであり、例えば電子
線eを偏向させるために偏向器3に印加する電圧を制御
する制御部の一部として設けられている。この偏向補正
部9では、上述した露光方法において、図4を用いて説
明を行ったステップS21〜ステップS24,ステップ
S26〜ステップS29までの一連の処理が行われる。
そして、この偏向補正部9で補正された偏向角度に基づ
いて、偏向器3に印加する電圧を制御しながらステップ
S25の露光が行われる。
【0042】また、この露光装置には、表面電位計11
が設けられている。この表面電位計11は、ここでの図
示を省略した露光装置の露光チャンバ内に測定端子11
aを固定させた状態で設けられている。この表面電位計
11は、レジストRの表面に対して損傷を与えることな
く表面電位の測定を行うようにするために、測定端子1
1aを電位測定面に対して非接触で測定可能なものであ
ることが好ましい。このような表面電位計11として、
例えば上述したTREK社製非接触型表面電位計MOD
EL344を用いることができる。
【0043】また、この表面電位計11の測定端子11
aは、電子線eによる露光を妨げることのない位置に配
置されていることとする。そして、測定端子11aが接
続された電位計11bを、例えばウエハWが載置される
ステージ13を構成する静電チャックの下部電極と同一
のグランドに接続させる。
【0044】ここで、通常の露光装置には、電子線eの
照射範囲にウエハW表面の全域を移動可能なステージが
設けられているが、この露光装置のステージ13は、さ
らに測定端子11aがウエハW表面の全域に対して走査
されるように構成されている。また、このような範囲で
のステージ13の移動を可能とするため、ステージ13
が配置される露光チャンバ内が通常よりも大きく形成さ
れていることとする。
【0045】このように測定端子11aを配置してなる
表面電位計11は、演算部15に接続され、測定端子1
1aを露光表面に対して走査させながら測定した露光表
面の表面電位がこの演算部15において表面電位分布と
してデータ化される。
【0046】そして、この表面電位分布が初期の表面電
位分布である場合、すなわちレジストRを塗布しただけ
の未露光状態での表縁電位分布である場合には、このデ
ータは露光表面の構成に関するデータと1対1に対応さ
せて第3のデータベース8に記憶される。
【0047】また、この表面電位分布が初期の表面電位
分布でない場合、すなわち例えば図1を用いて説明した
予備露光後に測定した標準電位分布である場合には、さ
らに演算部15において、この表面電位分布(標準電位
分布)に基づいて電位プロファイル関数が作成され、露
光表面の構成に関するデータと1対1に対応させて第2
のデータベースに記憶される。
【0048】このような表面電位計を露光装置に備えた
ことで、露光表面における表面電位分布が露光雰囲気と
同一条件で測定され、この結果がデータベース化され
る。
【0049】以上説明した露光方法及びこの露光方法を
行うための露光装置では、電子線の偏向角度の補正が、
露光表面Wfの表面電位分布から求められた電場ベクト
ルに基づいて行われる。このため、レジストR内の蓄積
電荷による露光表面Wfの帯電に起因した、露光表面W
f上方における電子線の軌跡の変動を、3次元的に解析
することが可能になる。したがって、より正確に、露光
表面Wfの帯電に起因する電子線の軌跡の変動、すなわ
ち電子線の照射位置のずれ量を予測することが可能にな
る。
【0050】また、電子線に対する露光表面Wfの帯電
の影響を、3方向の成分に分けて予測することが可能に
なる。このため、露光表面の電位が広い範囲で一律に変
動している場合だけではなく、露光表面の電位が局所的
に変動している場合であっても、この局所的な電位の変
動を正確に反映して荷電粒子線の軌跡ずれを予測するこ
とができ、露光表面の帯電による荷電粒子線の照射位置
のずれ量を正確に把握することができる。さらに、例え
ば露光表面Wfに対して垂直に照射される電子線(いわ
ゆる垂直ビーム)に対する、露光平面WfのX−Y方向
の電場成分の影響を予測し、この電場成分による垂直ビ
ームの照射位置のずれ量を求めることができる。
【0051】以上の結果、露光位置精度を高精度に補正
した露光を行うことが可能になる。しかも、レジスト上
に帯電防止用の導電膜を設ける必要がないため、この導
電膜を設けることによる課題、すなわちリソグラフィー
工程数の増加や、導電膜とレジストとの界面ミキシング
の発生等によるレジストの解像力の劣化等が生じること
もない。
【0052】また、露光装置の露光チャンバ内において
露光表面に対して測定端子が相対的に走査可能な状態で
表面電位計を設けたことで、露光雰囲気と同一条件で、
すなわち露光を行う直前と同様の状態で露光表面の表面
電位分布を測定することが可能になる。
【0053】さらに、露光情報を記憶した第1のデータ
ベース5、電位プロファイル関数を記憶した第2のデー
タベース7、さらには初期の表面電位分布を記憶した第
3のデータベース8を設けたことで、これらのデータベ
ースを参照して電子線の偏向角度を補正しながら露光を
行うことが可能になる。したがって、次の露光位置に対
して露光を行う直前の表面電位分布を、露光を行う毎い
測定する手順を省略し、スループットの向上を図ること
が可能になる。
【0054】尚、以上説明した実施形態においては、各
ショットに対して露光を行う毎に、荷電粒子線(電子
線)の軌跡ずれを解析的に解く手順を行う方法を説明し
た。しかし、次のようにすることで、このような手順を
省略することができる。すなわち、先ず、実露光を行う
に先立ち、露光履歴データ(パターン形状、露光量、荷
電粒子の偏向量等)と、荷電粒子線の軌跡ずれとを1対
1に対応させたデータベースを作成しておく。この1対
1の対応関係を関数化しておいても良い。そして、実露
光を行う工程においては、そのショットの直前までの露
光履歴データと1対1に対応する軌跡ずれを、データベ
ースの中から取り出す。その後、取り出された軌跡ずれ
に基づいて、電子線が所期の照射位置に照射されるよう
に次のショットの露光における電子線の偏向角度を補正
し、次いで、補正された偏向角度に基づいて電子線を偏
向して次のショットに対する露光を行う。
【0055】このような方法によれば、各ショットに対
して露光を行う毎に、荷電粒子線(電子線)の軌跡ずれ
を解析的に解く手間を省くことが可能になり、露光工程
のスループットの向上を図ることができる。
【0056】
【発明の効果】以上説明したように本発明の露光方法及
び露光装置によれば、荷電粒子線の偏向角度の補正を露
光表面の表面電位分布に基づいて行うようにしたこと
で、露光表面の帯電による荷電粒子線の照射位置のずれ
を高精度に把握した偏向角度の補正を行い、露光位置精
度の良好な荷電粒子露光を行うことが可能になる。しか
も、露光表面上に帯電防止用の導電膜を設ける必要もな
いため、リソグラフィー工程数を増加させることもな
く、レジストの解像力を維持することもできる。
【0057】また、表面電位計を設けた露光装置によれ
ば、露光を行う直前と同様の状態で露光表面の表面電位
分布を測定することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電位プロファイル関数の作成手順の一例を示す
フローチャートである。
【図2】実施形態の露光方法における予備露光を説明す
る図である。
【図3】予備露光による標準電位分布、初期の表面電位
分布及びレジスト塗布前の表面電位分布を示す図であ
る。
【図4】実施形態の露光方法を示すフローチャートであ
る。
【図5】実施形態の露光方法を説明するための図であ
る。
【図6】実施形態の露光装置及びこの露光における露光
を説明する図である。
【図7】従来の露光装置及び露光を説明する図である。
【図8】従来の露光装置及び露光による電子線の軌跡ず
れを説明する図である。
【符号の説明】
3…偏向器、5…第1のデータベース、7…第2のデー
タベース、8…第3のデータベース、9…偏向補正部、
11…表面電位計、11a…測定端子、e…電子線(荷
電粒子線)、Wf…露光表面

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 露光光として荷電粒子線を用いる露光方
    法であって、 次の露光位置に対して露光を行う直前における露光表面
    の表面電位分布に基づいて、当該露光表面の帯電に起因
    する前記荷電粒子線の軌跡ずれを求め、 前記軌跡ずれに基づいて前記荷電粒子線の偏向角度を補
    正して前記次の露光位置に対する露光を行うことを特徴
    とする露光方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の露光方法において、 前記荷電粒子線の軌跡ずれは、前記表面電位分布に基づ
    いて電磁気学的運動方程式を解くことにより解析的に求
    めることを特徴とする露光方法。
  3. 【請求項3】 請求項1記載の露光方法において、 前記荷電粒子線を前記露光表面に対して局所的に照射す
    る予備露光を行い、当該予備露光後における前記露光表
    面全域の電位分布を標準電位分布として求め、この標準
    電位分布を表す帯電プロファイル関数を作成する工程
    と、 前記帯電プロファイル関数と前記露光表面に対する露光
    履歴データとに基づいて、前記表面電位分布を求める工
    程とを行うことを特徴とする露光方法。
  4. 【請求項4】 露光光となる荷電粒子線の偏向器を備え
    た露光装置であって、 次の露光位置に対して露光を行う直前における露光表面
    の表面電位分布に基づいて得られた当該露光表面の帯電
    に起因する荷電粒子線の軌跡ずれを補正するように、前
    記偏向器による荷電粒子線の偏向角度を補正する偏向補
    正部を備えたことを特徴とする露光装置。
  5. 【請求項5】 請求項4記載の露光装置において、 露光情報を格納した第1のデータベースと、 荷電粒子線の局所的な照射によって露光表面全域に生じ
    る標準電位分布を表す帯電プロファイル関数を格納した
    第2のデータベースとを備え、 前記偏向補正部は、前記第1のデータベースに格納され
    た前記露光表面に対する露光履歴データと前記第2のデ
    ータベースに格納された前記帯電プロファイル関数とに
    基づいて前記表面電位分布を求め、当該表面電位分布に
    基づいて前記荷電粒子線の軌跡ずれを求めることを特徴
    とする露光装置。
  6. 【請求項6】 請求項5記載の露光装置において、 前記第2のデータベースには、前記帯電プロファイル関
    数が露光表面の構成に対応させて格納されていることを
    特徴とする露光装置。
  7. 【請求項7】 請求項5記載の露光装置において、 前記第1のデータベースと前記第2のデータベースと共
    に、未露光状態での前記露光表面における表面電位分布
    を格納した第3のデータベースを備え、 前記偏向補正部は、前記露光表面に対する次の露光位置
    が1箇所目である場合に、前記第3のデータベースに格
    納された表面電位分布に基づいて前記荷電粒子線の軌跡
    ずれを求めることを特徴とする露光装置。
  8. 【請求項8】 請求項7記載の露光装置において、 前記第3のデータベースには、前記表面電位分布が露光
    表面の構成に対応させて格納されていることを特徴とす
    る露光装置。
  9. 【請求項9】 露光光となる荷電粒子線の偏向器を備え
    た露光装置であって、 前記荷電粒子線による露光が行われる露光チャンバ内
    に、前記露光表面に対して測定端子を相対的に走査可能
    な状態で表面電位計が設けられていることを特徴とする
    露光装置。
  10. 【請求項10】 請求項9記載の露光装置において、 前記表面電位計は、前記露光表面に対して前記測定端子
    を接触させることなく当該露光表面の電位を測定可能な
    ものであることを特徴とする露光装置。
  11. 【請求項11】 請求項9記載の露光装置において、 前記表面電位計で測定された露光表面の表面電位分布に
    基づいて得られた、当該露光表面の帯電に起因する荷電
    粒子線の軌跡ずれを補正するように、前記偏向器による
    荷電粒子線の偏向角度を補正する偏向補正部を備えたこ
    とを特徴とする露光装置。
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