JP2002156294A - ガス温度・流速分布計測方法と装置 - Google Patents
ガス温度・流速分布計測方法と装置Info
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Abstract
(57)【要約】
【課題】 大型構造物、高温・高ダスト環境でも精度の
高い温度分布計測が可能な音波式ガス温度分布計測方法
と装置を提供すること。 【解決手段】 3次元空間または2次元平面を複数個の
セルに分割して、該セルを計算処理単位とする計測対象
である前記各セル内において、音波伝播経路を少なくと
も1本以上、望ましくは平均3本以上通過させるべく計
測対象の周辺に音波送受信器を配置する。各セルの温
度、流速の仮定値に基づく各音波伝播経路の伝播時間の
予測値と前述の音波伝播経路における実測値の伝播時間
の偏差は、当該仮定値が真値であれば偏差0のガウス分
布が期待できるため、当該偏差に基づく評価関数を最小
となす収束計算をもって求めるガス温度・流速分布が得
られる。
高い温度分布計測が可能な音波式ガス温度分布計測方法
と装置を提供すること。 【解決手段】 3次元空間または2次元平面を複数個の
セルに分割して、該セルを計算処理単位とする計測対象
である前記各セル内において、音波伝播経路を少なくと
も1本以上、望ましくは平均3本以上通過させるべく計
測対象の周辺に音波送受信器を配置する。各セルの温
度、流速の仮定値に基づく各音波伝播経路の伝播時間の
予測値と前述の音波伝播経路における実測値の伝播時間
の偏差は、当該仮定値が真値であれば偏差0のガウス分
布が期待できるため、当該偏差に基づく評価関数を最小
となす収束計算をもって求めるガス温度・流速分布が得
られる。
Description
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はガス温度分布、流量の計
測に係わり、ことに、大型構造物、火炉等の高温環境、
煙道等の高ダスト環境への適用好適なガス温度分布、流
量の計測方法と装置に関する。
測に係わり、ことに、大型構造物、火炉等の高温環境、
煙道等の高ダスト環境への適用好適なガス温度分布、流
量の計測方法と装置に関する。
【0002】
【従来の技術】まず、単純な音波式ガス温度計測につい
て述べる。これは、対象のガスを横切る伝播経路の両端
に音波送受信器2対を対向させ、音波伝播時間τ[s]
から音速Vs[m/s]を経路長L[m]に基づき、次
式(101)に求める。
て述べる。これは、対象のガスを横切る伝播経路の両端
に音波送受信器2対を対向させ、音波伝播時間τ[s]
から音速Vs[m/s]を経路長L[m]に基づき、次
式(101)に求める。
【0003】
【数1】
【0004】これより、音速Vs[m/s]が絶対温度
の平方根に比例する性質を用いて、ガス温度Tg[℃]
は次式(102)に得られる。
の平方根に比例する性質を用いて、ガス温度Tg[℃]
は次式(102)に得られる。
【0005】
【数2】
【0006】ここに、Vs0 [m/s]は、同一圧力
の対象ガスの0℃における音速であり、これらは予め定
数を与えれば良い。従って、ガス温度Tg[℃]、ガス
流量Gg[m3/s]の計測精度は(101)式中の伝
播時間τ[s]検出時の分解能が支配しており、これを
向上させるために、しばしば波長の短い超音波領域が使
用されてきた。
の対象ガスの0℃における音速であり、これらは予め定
数を与えれば良い。従って、ガス温度Tg[℃]、ガス
流量Gg[m3/s]の計測精度は(101)式中の伝
播時間τ[s]検出時の分解能が支配しており、これを
向上させるために、しばしば波長の短い超音波領域が使
用されてきた。
【0007】次に、音波を用いて温度分布を計測する手
法、いわゆるCT(Computed Tomography)について、
従来技術を説明する。計測対象の周囲に複数の音波送受
信器を設けておけば、理想的には、任意の送信器と受信
器の組合せ数だけ音波伝播経路が存在する。これらの音
波伝播経路の中には、諸事情により利用困難な経路があ
ったりするが、総じて音波送受信器の数を増加すれば、
その階乗のオーダで音波伝播経路の数は増加する。
法、いわゆるCT(Computed Tomography)について、
従来技術を説明する。計測対象の周囲に複数の音波送受
信器を設けておけば、理想的には、任意の送信器と受信
器の組合せ数だけ音波伝播経路が存在する。これらの音
波伝播経路の中には、諸事情により利用困難な経路があ
ったりするが、総じて音波送受信器の数を増加すれば、
その階乗のオーダで音波伝播経路の数は増加する。
【0008】いま、有効な音波伝播経路mが存在すると
き、計測対象を同数のセルに空間分割し、各セルl、・
・・・、mのガス温度T1、・・・・、Tmを要素とす
る状態ベクトルsを考えると、次式(103)が得られ
る。
き、計測対象を同数のセルに空間分割し、各セルl、・
・・・、mのガス温度T1、・・・・、Tmを要素とす
る状態ベクトルsを考えると、次式(103)が得られ
る。
【0009】
【数3】
【0010】さらに、音波伝播経路(セル)l、・・・
・、mにおける前記(101)、(102)式を用いた
ガス温度計測値
・、mにおける前記(101)、(102)式を用いた
ガス温度計測値
【数4】 を要素とするの観測ベクトルrを次式(104)で求め
る。
る。
【0011】
【数5】
【0012】このとき、第l(エル)番目の音波伝播経
路は計測対象中の第i、j、k番目等の合計nl 個の
セルを通過し、各セルの平均温度が当該経路の音波式ガ
ス温度計測値を与えると考えてよい。すなわち、次の関
係式(105)が成立する。
路は計測対象中の第i、j、k番目等の合計nl 個の
セルを通過し、各セルの平均温度が当該経路の音波式ガ
ス温度計測値を与えると考えてよい。すなわち、次の関
係式(105)が成立する。
【0013】
【数6】
【0014】ここに、次式(106)の観測行列Cを定
義した。
義した。
【0015】
【数7】
【0016】なお、各セルを少なくとも1本の音波伝播
経路が通過し、かつ、伝播経路を重複させぬよう注意す
れば、観測行列Cは正則行列となる。なお、上式の行列
Cは前述した音波伝播経路の平均温度として通過セルの
重みを同一とした場合に相当する。なお、当該重みに相
当する上式の行列Cの要素は、各行について総和が1に
なる前提で、各通過セルそれぞれにおいて当該伝播経路
が切り取る長さで比例配分して求めれば、さらに精度向
上が期待できる。
経路が通過し、かつ、伝播経路を重複させぬよう注意す
れば、観測行列Cは正則行列となる。なお、上式の行列
Cは前述した音波伝播経路の平均温度として通過セルの
重みを同一とした場合に相当する。なお、当該重みに相
当する上式の行列Cの要素は、各行について総和が1に
なる前提で、各通過セルそれぞれにおいて当該伝播経路
が切り取る長さで比例配分して求めれば、さらに精度向
上が期待できる。
【0017】結局、各音波伝播経路についてガス温度を
計測し、観測ベクトルrを得れば、求める温度分布に相
当する状態ベクトルsは、逆行列を用いて次式(10
7)で与えられる。よって、従来技術によるガス温度分
布計測が成立する。
計測し、観測ベクトルrを得れば、求める温度分布に相
当する状態ベクトルsは、逆行列を用いて次式(10
7)で与えられる。よって、従来技術によるガス温度分
布計測が成立する。
【0018】
【数8】
【0019】
【発明が解決しようとする課題】前記従来の音波式ガス
温度分布計測手法は、下記の問題点があり、大型構造
物、高温・高ダスト環境では満足な性能を発揮できなか
った。 (1)特に、大型構造物では内部に大きな流れが存在す
る場合があり、これは前節の伝播経路における音波伝播
時間に誤差を与える。また、火炎のように「ゆらぎ」の
ある高温領域が存在したり、高濃度のダストが浮遊して
いると、しばしば、屈折、散乱の影響で音波伝播時間検
出に誤差が発生する。しかも、当該誤差は蓋然的、突発
的に混入する傾向がある。従来技術では、これらは、そ
のまま温度分布計測の誤差となる。 (2)計測対象の周囲に複数の音波送受信器を設けれ
ば、多数音波伝播経路を構成できるが、現実的には、当
該送受信機には指向性があるので、該中心軸と伝播経路
のなす角が大きくなると、良好な音波送受信が妨げられ
て誤差が大きくなりやすい。また、しばしば、空気供給
部の近傍等、計測対象の構造上、雑音の影響を受けやす
い音波伝播経路も存在する。これらに対して、従来技術
では、信用度が著しく低い経路を温度分布の算出に際し
て除外できるのみで、誤差が大きいが計測対象の温度分
布を把握するには有効な経路は、他の誤差の小さい経路
と同等に扱うしかなく、結果として温度分布計測の精度
向上を妨げていた。そこで本発明の課題は大型構造物、
高温・高ダスト環境でも精度の高い温度分布計測が可能
な音波式ガス温度分布計測方法と装置を提供することで
ある。
温度分布計測手法は、下記の問題点があり、大型構造
物、高温・高ダスト環境では満足な性能を発揮できなか
った。 (1)特に、大型構造物では内部に大きな流れが存在す
る場合があり、これは前節の伝播経路における音波伝播
時間に誤差を与える。また、火炎のように「ゆらぎ」の
ある高温領域が存在したり、高濃度のダストが浮遊して
いると、しばしば、屈折、散乱の影響で音波伝播時間検
出に誤差が発生する。しかも、当該誤差は蓋然的、突発
的に混入する傾向がある。従来技術では、これらは、そ
のまま温度分布計測の誤差となる。 (2)計測対象の周囲に複数の音波送受信器を設けれ
ば、多数音波伝播経路を構成できるが、現実的には、当
該送受信機には指向性があるので、該中心軸と伝播経路
のなす角が大きくなると、良好な音波送受信が妨げられ
て誤差が大きくなりやすい。また、しばしば、空気供給
部の近傍等、計測対象の構造上、雑音の影響を受けやす
い音波伝播経路も存在する。これらに対して、従来技術
では、信用度が著しく低い経路を温度分布の算出に際し
て除外できるのみで、誤差が大きいが計測対象の温度分
布を把握するには有効な経路は、他の誤差の小さい経路
と同等に扱うしかなく、結果として温度分布計測の精度
向上を妨げていた。そこで本発明の課題は大型構造物、
高温・高ダスト環境でも精度の高い温度分布計測が可能
な音波式ガス温度分布計測方法と装置を提供することで
ある。
【0020】
【課題を解決するための手段】前節に述べた課題は、具
体的に次の手段により解決される。 (1)まず、3次元空間または2次元平面を複数個のセ
ルに分割して、該セルを計算処理単位とする計測対象で
ある前記各セル内において、音波伝播経路を少なくとも
1本以上、望ましくは平均3本以上通過させるべく計測
対象の周辺に音波送受信器を配置する。そして、各セル
の温度、流速に基づく各音波伝播経路の伝播時間の予測
値と前述の音波伝播経路における実測値の伝播時間の偏
差に基づく評価関数を最小となすべく収束計算で当該各
セルの温度、流速を探索し、当該収束値をもって求める
ガス温度・流速分布の計測値とする。 (2)前記(1)に述べた各経路の伝播時間の予測値と
実測値との偏差から評価関数を与える際に、各経路の計
測の信頼度を乗じる。例えば、当該信頼度として、定常
状態における各経路音波伝播時間計測値変動の分散の逆
数を用いても良い。
体的に次の手段により解決される。 (1)まず、3次元空間または2次元平面を複数個のセ
ルに分割して、該セルを計算処理単位とする計測対象で
ある前記各セル内において、音波伝播経路を少なくとも
1本以上、望ましくは平均3本以上通過させるべく計測
対象の周辺に音波送受信器を配置する。そして、各セル
の温度、流速に基づく各音波伝播経路の伝播時間の予測
値と前述の音波伝播経路における実測値の伝播時間の偏
差に基づく評価関数を最小となすべく収束計算で当該各
セルの温度、流速を探索し、当該収束値をもって求める
ガス温度・流速分布の計測値とする。 (2)前記(1)に述べた各経路の伝播時間の予測値と
実測値との偏差から評価関数を与える際に、各経路の計
測の信頼度を乗じる。例えば、当該信頼度として、定常
状態における各経路音波伝播時間計測値変動の分散の逆
数を用いても良い。
【0021】
【作用】前節に述べた手段は、具体的に次の作用を有す
る。 (1)音波伝播時間の計測においては、いかなる方法を
とるのせよ誤差の混入は避けられない。しかし、計測方
法が適切であれば、当該誤差は互いに独立し、かつ、計
測対象への外乱からも独立な誤差要因の複合と見なし得
ることが知られている。
る。 (1)音波伝播時間の計測においては、いかなる方法を
とるのせよ誤差の混入は避けられない。しかし、計測方
法が適切であれば、当該誤差は互いに独立し、かつ、計
測対象への外乱からも独立な誤差要因の複合と見なし得
ることが知られている。
【0022】従って、大数の法則と中心極限定理によ
り、計測誤差の分布は平均0のガウス分布に漸近する。
逆に言えば、計測誤差の分布が平均0のガウス分布から
離れていれば、俗に「バイアスが乗った」状態であり、
求めた計測値がずれていることになる。すなわち、当該
バイアス分を差引けば正しい計測値が得られる。
り、計測誤差の分布は平均0のガウス分布に漸近する。
逆に言えば、計測誤差の分布が平均0のガウス分布から
離れていれば、俗に「バイアスが乗った」状態であり、
求めた計測値がずれていることになる。すなわち、当該
バイアス分を差引けば正しい計測値が得られる。
【0023】このバイアスに対処しつつ、正しい計測値
を得る方法は、仮に誤差0の理想状態ならば同一の計測
値が得られる複数の試行に着目すれば良い。まず、現時
点で最善と考えられる計測値に適当な定数値を加算して
基準値とする。
を得る方法は、仮に誤差0の理想状態ならば同一の計測
値が得られる複数の試行に着目すれば良い。まず、現時
点で最善と考えられる計測値に適当な定数値を加算して
基準値とする。
【0024】次に、各試行について当該基準値からの偏
差の二乗和を求め、現状(定数値0)よりも当該総和が
低下する場合があるかどうかを調べる。すなわち、当該
総和が低下した場合の定数値が、現時点で最善と考えた
計測値から差引くべきバイアス値である。この操作は、
ガウス分布では平均値周りの2次モーメントが最小とな
る事実に基づいており、当該バイアス値が許容範囲に低
減するまで計測値の補正を継続する収束計算である。
差の二乗和を求め、現状(定数値0)よりも当該総和が
低下する場合があるかどうかを調べる。すなわち、当該
総和が低下した場合の定数値が、現時点で最善と考えた
計測値から差引くべきバイアス値である。この操作は、
ガウス分布では平均値周りの2次モーメントが最小とな
る事実に基づいており、当該バイアス値が許容範囲に低
減するまで計測値の補正を継続する収束計算である。
【0025】具体的には、まず、前述の各セル内におい
て、音波伝播経路を少なくとも1本以上、望ましくは平
均3本以上通過させて当該複数の試行を実現する。そし
て、各セルの温度、流速の仮定値に基づく各音波伝播経
路の伝播時間の予測値と前述の音波伝播経路における実
測値の伝播時間の偏差は、当該仮定値が真値であれば偏
差0のガウス分布が期待できるため、当該偏差に基づく
評価関数を最小となす収束計算をもって求めるガス温度
・流速分布が得られる。もちろん、当該ガス温度分布を
求める際に流速分布は正しく考慮されている。
て、音波伝播経路を少なくとも1本以上、望ましくは平
均3本以上通過させて当該複数の試行を実現する。そし
て、各セルの温度、流速の仮定値に基づく各音波伝播経
路の伝播時間の予測値と前述の音波伝播経路における実
測値の伝播時間の偏差は、当該仮定値が真値であれば偏
差0のガウス分布が期待できるため、当該偏差に基づく
評価関数を最小となす収束計算をもって求めるガス温度
・流速分布が得られる。もちろん、当該ガス温度分布を
求める際に流速分布は正しく考慮されている。
【0026】(2)前記(1)に述べた複数の試行にお
いて、計測誤差は平均0のガウス分布に従うが、当該分
布の分散は同一とは限らず、当該分散の大きい経路は信
頼度が低いことになる。すなわち、前記(1)における
収束計算は最小2乗法の一種であるから、前述の偏差に
予め信頼度を定めて乗じるか、または、定常状態におけ
る各経路音波伝播時間計測値変動の分散の逆数に比例す
る係数を乗じることにより、経路ごとの信頼度の相違を
評価関数において適切に考慮できる。
いて、計測誤差は平均0のガウス分布に従うが、当該分
布の分散は同一とは限らず、当該分散の大きい経路は信
頼度が低いことになる。すなわち、前記(1)における
収束計算は最小2乗法の一種であるから、前述の偏差に
予め信頼度を定めて乗じるか、または、定常状態におけ
る各経路音波伝播時間計測値変動の分散の逆数に比例す
る係数を乗じることにより、経路ごとの信頼度の相違を
評価関数において適切に考慮できる。
【0027】
【実施の形態】本発明の実施の形態を説明する。 1)現象の定式化 議論を簡単にするために、計測対象の一例として図3の
長手方向にガス流れのある直方体のダクト内を扱う。こ
れを、直交する3軸に沿って分割し、第(i,j,k )番目
のセルについて音速Vsijk(ガス温度Tgijkの
関数)、流速Vfijk(ガス流量Ggijkの関数)
を考える。
長手方向にガス流れのある直方体のダクト内を扱う。こ
れを、直交する3軸に沿って分割し、第(i,j,k )番目
のセルについて音速Vsijk(ガス温度Tgijkの
関数)、流速Vfijk(ガス流量Ggijkの関数)
を考える。
【0028】図3のダクト壁面に設けた送信器l(エ
ル)から、受信器mに向け音波を発するとき、図4のと
おり、伝播経路がセル(i、j、k)に切取られる長さ
ル)から、受信器mに向け音波を発するとき、図4のと
おり、伝播経路がセル(i、j、k)に切取られる長さ
【数9】 を、ガス流れとのなす角度を角度αlmとする。
【0029】このとき、音波がセル(i,j,k )通
過に要する時間は次式(1)で与えられる。
過に要する時間は次式(1)で与えられる。
【0030】
【数10】
【0031】同様に送信器mから受信器lに音波を発す
る場合、セル通過時間は次式(2)となる。
る場合、セル通過時間は次式(2)となる。
【0032】
【数11】
【0033】本実施の形態では計測対象を離散時間系と
して扱い、状態推定問題として定式化する。まず、m分
割された各セルにおける時点l(エル)の音速Vs
ijk、流速Vfijkを成分として、次式(3)の状
態ベクトルを定義する。
して扱い、状態推定問題として定式化する。まず、m分
割された各セルにおける時点l(エル)の音速Vs
ijk、流速Vfijkを成分として、次式(3)の状
態ベクトルを定義する。
【0034】
【数12】
【0035】ここに、煩雑さを避けるため、以下同様
に、ベクトルや行列の各成分については時点tを明示し
ない。なお、温度Tgijk、質量流量Ggijkは、
ガス物性値が既知であれば、直ちに、音速Vsijk、
流速Vfijkから換算できる。
に、ベクトルや行列の各成分については時点tを明示し
ない。なお、温度Tgijk、質量流量Ggijkは、
ガス物性値が既知であれば、直ちに、音速Vsijk、
流速Vfijkから換算できる。
【0036】また、複数の音波送受信器を組合わせて得
たp個の経路上において、往復2p個の伝播時間よりな
る観測ベクトルを定義する。
たp個の経路上において、往復2p個の伝播時間よりな
る観測ベクトルを定義する。
【0037】
【数13】
【0038】ここに、送信器l(エル)から受信器m、
及び、受信器mから送信器l(エル)への伝播時間観測
値を、それぞれτml及びτlmで表わす。この場合、
ガス流れについて、前者が下流方向、後者が上流方向の
音波の伝播である。
及び、受信器mから送信器l(エル)への伝播時間観測
値を、それぞれτml及びτlmで表わす。この場合、
ガス流れについて、前者が下流方向、後者が上流方向の
音波の伝播である。
【0039】次に、系の状態方程式は、計測対象の熱容
量、熱伝導の影響を考慮して以下を仮定する。
量、熱伝導の影響を考慮して以下を仮定する。
【0040】
【数14】
【0041】ここに、F(t)は遷移行列、u(t)は
音速・流速のゆらぎであり、流入するガスの温度、流速
分布の原因となる。なお、u(t)は逐次の値を知り得
ないため、x(t)と共に確率ベクトルとして扱う。
音速・流速のゆらぎであり、流入するガスの温度、流速
分布の原因となる。なお、u(t)は逐次の値を知り得
ないため、x(t)と共に確率ベクトルとして扱う。
【0042】さらに、系の観測方程式は次式(6)であ
り、
り、
【数15】 逐次の値を知り得ない雑音w(t)と共に、y(t)は
確率ベクトルとなる。
確率ベクトルとなる。
【0043】ここに、次の非線形関数h(x(t))を
用い、(1)、(2)式に基いて伝播経路上の各セルの
通過時間を加算して、往復2p個の伝播時間について、
状態ベクトルの寄与分を次式(7)から求める。
用い、(1)、(2)式に基いて伝播経路上の各セルの
通過時間を加算して、往復2p個の伝播時間について、
状態ベクトルの寄与分を次式(7)から求める。
【0044】
【数16】
【0045】なお、入力ベクトルu(t)と観測雑音w
(t)について、次式(8)、(9)の統計量を仮定す
る。
(t)について、次式(8)、(9)の統計量を仮定す
る。
【0046】
【数17】
【0047】ここに、δ(t−s)はクロネッカの記
号、Uは音速・流速のゆらぎの分散、Wは観測雑音の分
散である。すなわち、u(t)、w(t)は一般に逐次
の値を知り得ない確率ベクトルであるが、その平均、分
散等の統計量は安定に再現すると見なしている。実際、
この考え方は確率システム論の多くの研究を通じ、正当
と認められている。
号、Uは音速・流速のゆらぎの分散、Wは観測雑音の分
散である。すなわち、u(t)、w(t)は一般に逐次
の値を知り得ない確率ベクトルであるが、その平均、分
散等の統計量は安定に再現すると見なしている。実際、
この考え方は確率システム論の多くの研究を通じ、正当
と認められている。
【0048】なお、UとWは、計測対象を十分に定常と
見なせる状態に安定させれば、u(t)、w(t)を実
測可能となるから、その時間平均として求めても良い。
さらに簡単には、UとWは各要素の比のみが本発明の計
算処理に寄与し、それらの絶対値は問題にならぬことか
ら、両者を重み行列とみなして音速・流速の相対的安定
度、各音波伝播経路の伝播時間観測値の信頼度を経験的
に想定し、それらの逆数として与えても良い。例えば、
音波送受信に係わるスピーカ、マイクロフォンの中心線
に近く、かつ、短い音波伝播経路の信頼度が高いことは
明らかである。
見なせる状態に安定させれば、u(t)、w(t)を実
測可能となるから、その時間平均として求めても良い。
さらに簡単には、UとWは各要素の比のみが本発明の計
算処理に寄与し、それらの絶対値は問題にならぬことか
ら、両者を重み行列とみなして音速・流速の相対的安定
度、各音波伝播経路の伝播時間観測値の信頼度を経験的
に想定し、それらの逆数として与えても良い。例えば、
音波送受信に係わるスピーカ、マイクロフォンの中心線
に近く、かつ、短い音波伝播経路の信頼度が高いことは
明らかである。
【0049】2)図1の計算処理機能 ここでは、前記1)の定式化を受け、観測方程式(6)
の非線形に対処するために、最小2乗規範に基づいて、
収束計算を用いた繰返型拡張カルマンフィルタを適用す
る。この2)における議論は具体的には図1の計算処理
機能として実現される。
の非線形に対処するために、最小2乗規範に基づいて、
収束計算を用いた繰返型拡張カルマンフィルタを適用す
る。この2)における議論は具体的には図1の計算処理
機能として実現される。
【0050】まず、時間更新過程について、状態方程式
が線形のため、時点(t−l)までの観測値に基づき、
時点tにおける状態x、推定分散・共分散行列Pを次式
(10)、(11)のとおり予測する。
が線形のため、時点(t−l)までの観測値に基づき、
時点tにおける状態x、推定分散・共分散行列Pを次式
(10)、(11)のとおり予測する。
【0051】
【数18】
【0052】続いて、y(t)を得た時点における観測
更新過程については、状態推定値
更新過程については、状態推定値
【数19】 に着目した収束計算を行う。すなわち、(12)式で仮
定値を与え、(13)式の収束条件により、求める時点
tにおける状態推定値とする。具体的には(10)〜
(12)式は第1の演算手段をなし、(13)式は第3
の演算手段に相当する。
定値を与え、(13)式の収束条件により、求める時点
tにおける状態推定値とする。具体的には(10)〜
(12)式は第1の演算手段をなし、(13)式は第3
の演算手段に相当する。
【0053】
【数20】 ここに、肩文字jは繰返回数を示す。
【0054】このとき、第2の演算手段は以下に述べる
(14)〜(18)式に相当する。すなわち、繰返し計
算により、非線形の観測方程式h(x(t))を次式
(14)
(14)〜(18)式に相当する。すなわち、繰返し計
算により、非線形の観測方程式h(x(t))を次式
(14)
【数21】 のとおり、
【数22】 近傍で線形化して観測更新を実施できる。すなわち、
【数22】 が逐次に改良されて、真値x(t)の平均値に近づけ
ば、(14)式の高次項の悪影響が消失して高精度な計
算処理が期待できる。
ば、(14)式の高次項の悪影響が消失して高精度な計
算処理が期待できる。
【0055】このとき、次式(15)
【数23】 の摂動行列を定義した。これは仮定値
【数22】 近傍における音波伝播時間の変化に係わる偏微分係数の
行列である。
行列である。
【0056】繰返し計算における推定値の改良は、(1
4)式において高次項を無視した拡張カルマンフィルタ
として実施する。次式(16)
4)式において高次項を無視した拡張カルマンフィルタ
として実施する。次式(16)
【数24】 の第2行目の最後尾2項に係わる減算は、観測値y
(t)と仮定値に基づく予測値
(t)と仮定値に基づく予測値
【数25】 の偏差を求めている。
【0057】ここに、次式(17)、(18)の推定分
散・共分散行列P、カルマンゲインKもそれぞれ当該繰
返し計算を通じて変化しており、式(19)に示すよう
に(13)式の収束時点の値を採用する。
散・共分散行列P、カルマンゲインKもそれぞれ当該繰
返し計算を通じて変化しており、式(19)に示すよう
に(13)式の収束時点の値を採用する。
【0058】
【数26】
【0059】3)送出信号波形と音波伝播時間の検出 送出信号波形と音波伝播時間の検出に係わり、M系列P
RK波と白色化+マッチドフィルタを特徴とする本発明
者らの発明(特開平9−178576号)は、既に、空
間分布を考慮しない音波式ガス温度計・流量計にて優れ
た性能を発揮している。従って、空間分布を計測する本
発明においても、観測ベクトルy(t)の各成分となる
音波伝播時間の高精度な検出のために、これを採用して
おり、ここにその要点を述べる。
RK波と白色化+マッチドフィルタを特徴とする本発明
者らの発明(特開平9−178576号)は、既に、空
間分布を考慮しない音波式ガス温度計・流量計にて優れ
た性能を発揮している。従って、空間分布を計測する本
発明においても、観測ベクトルy(t)の各成分となる
音波伝播時間の高精度な検出のために、これを採用して
おり、ここにその要点を述べる。
【0060】まず、M系列信号は2値の擬似白色雑音と
して知られ、マッチドフィルタを設計可能な既知信号列
の範囲では近似的に最適な信号波形である。本発明では
2値信号の変調法としてもっとも雑音に強いPRK(Ph
ase Reversal Keying)を用いてM系列信号の炉内送出
を実現する。
して知られ、マッチドフィルタを設計可能な既知信号列
の範囲では近似的に最適な信号波形である。本発明では
2値信号の変調法としてもっとも雑音に強いPRK(Ph
ase Reversal Keying)を用いてM系列信号の炉内送出
を実現する。
【0061】まず、r次のM系列{wk}は次式(2
0)により生成できる。
0)により生成できる。
【0062】
【数27】 ここに、記号
【数28】 は排他的論理和(exclusive-or)を示す。
【0063】このとき、M系列{wk}のPRKは一例
を図5に示すとおり、次式(21)に与えられる。
を図5に示すとおり、次式(21)に与えられる。
【0064】
【数29】 ここに、s(t)およびfは、それぞれ、スピーカ駆動
信号、搬送波周波数である。
信号、搬送波周波数である。
【0065】図6に一例を示すとおり、M系列PRKは
(0,2f)の非常に広いスペクトラムとなり、白色雑
音を近似可能となる。これは特開平9−178576号
公報に記載したとおり、理想的な送出信号波形のスペク
トラム(自己相関関数のフーリエ変換)は白色雑音と同
様となることから、音波伝播時間の検出にあたり、極め
て好都合である。
(0,2f)の非常に広いスペクトラムとなり、白色雑
音を近似可能となる。これは特開平9−178576号
公報に記載したとおり、理想的な送出信号波形のスペク
トラム(自己相関関数のフーリエ変換)は白色雑音と同
様となることから、音波伝播時間の検出にあたり、極め
て好都合である。
【0066】次に、音波伝播時間検出に係わる信号処理
機能の一例を図7に示す。この構成は白色化+マッチド
フィルタをなし、M系列PRK波の到来時点を高精度に
検出するに有効である。本実施の形態の方式は既に大径
ダクトや高ダスト環境の音波式ガス温度流量計測におい
て、多くの実績を有する。
機能の一例を図7に示す。この構成は白色化+マッチド
フィルタをなし、M系列PRK波の到来時点を高精度に
検出するに有効である。本実施の形態の方式は既に大径
ダクトや高ダスト環境の音波式ガス温度流量計測におい
て、多くの実績を有する。
【0067】なお、マッチドフィルタに白色化機能を付
加した図7に示す工程からなる音響式ガス温度計測方法
の技術的長所については、本発明者らの発明(特開平8
−145812号)に詳述したが、その要点は以下の通
りである。
加した図7に示す工程からなる音響式ガス温度計測方法
の技術的長所については、本発明者らの発明(特開平8
−145812号)に詳述したが、その要点は以下の通
りである。
【0068】図7の音響式ガス温度計測方法には、ガス
流路を挾んで対向に配置された既知波形の音波を送出す
る音波発生装置及び当該既知波形の音波を含む音波を受
信するマイクロフォンを設け、マイクロフォンの音波受
信信号41をサンプリング(ステップ42)して得た受
信信号列43にあって音波発生装置からの音波が受信さ
れる可能性がない期間における雑音のみを含む信号列か
らスペクトル同定機能(ステップ44)で求めた雑音ス
ペクトル情報45から、該雑音波形の白色化フィルタの
係数を算出し、該係数を用いて受信信号列43にあって
前記音波発生装置からの音波が受信される可能性がある
期間において混入した雑音を白色化するフィルタ(ステ
ップ46)を設ける。すなわち、音波発生装置からの音
波に混入する雑音のスペクトルはゆるやかに変動する
が、音波発生装置から音波を発する時点に鑑みて、明ら
かに雑音のみを受信している時点で得た雑音のスペクト
ルに基づき、その直後の音波発生装置の音波と雑音の混
合した信号中の雑音を白色化すれば、当該雑音の変動に
対処して効果的な雑音対策が可能となる。
流路を挾んで対向に配置された既知波形の音波を送出す
る音波発生装置及び当該既知波形の音波を含む音波を受
信するマイクロフォンを設け、マイクロフォンの音波受
信信号41をサンプリング(ステップ42)して得た受
信信号列43にあって音波発生装置からの音波が受信さ
れる可能性がない期間における雑音のみを含む信号列か
らスペクトル同定機能(ステップ44)で求めた雑音ス
ペクトル情報45から、該雑音波形の白色化フィルタの
係数を算出し、該係数を用いて受信信号列43にあって
前記音波発生装置からの音波が受信される可能性がある
期間において混入した雑音を白色化するフィルタ(ステ
ップ46)を設ける。すなわち、音波発生装置からの音
波に混入する雑音のスペクトルはゆるやかに変動する
が、音波発生装置から音波を発する時点に鑑みて、明ら
かに雑音のみを受信している時点で得た雑音のスペクト
ルに基づき、その直後の音波発生装置の音波と雑音の混
合した信号中の雑音を白色化すれば、当該雑音の変動に
対処して効果的な雑音対策が可能となる。
【0069】ただし、混入雑音の悪影響を低減するため
の白色化処理(ステップ46)は、処理後の波形47中
にあって、音波発生装置からの音波波形自体も変化させ
てしまう。しかしながら、該音波発生装置から発する送
信信号列57は記憶装置56に保存されているから、当
該波形が白色化処理46でいかに変化するかは予測でき
る。すなわち、フィルタ46と同一の係数の白色化機能
(ステップ49)を用いて、波形47中の求める音波波
形を算出し、これを白色化送信信号列50となす。
の白色化処理(ステップ46)は、処理後の波形47中
にあって、音波発生装置からの音波波形自体も変化させ
てしまう。しかしながら、該音波発生装置から発する送
信信号列57は記憶装置56に保存されているから、当
該波形が白色化処理46でいかに変化するかは予測でき
る。すなわち、フィルタ46と同一の係数の白色化機能
(ステップ49)を用いて、波形47中の求める音波波
形を算出し、これを白色化送信信号列50となす。
【0070】マッチドフィルタ(ステップ51)では、
信号列50を検出する係数が設定されており、効果的に
波形47中の音波発生装置に起因する信号を抽出するこ
とができる。これは、信号到達時点でピークとなる波形
であるので、信号検出可能性列52と呼ばれる。信号検
出可能性列52のピーク発生時点が求める音波が到来し
た時点として、最も可能性が高いという趣旨である。従
って、伝播時間弁別機能(ステップ53)は当該ピーク
発生時点から、伝播時間を求める。当該処理を図8に示
す各伝播経路それぞれについて行って、他経路分60と
合わせて、これらを(4)式に相当する伝播時間観測値
ベクトルとなせば、本発明に係わる温度・流速分布推定
機能(ステップ55)により、求める計測値を得ること
ができる。
信号列50を検出する係数が設定されており、効果的に
波形47中の音波発生装置に起因する信号を抽出するこ
とができる。これは、信号到達時点でピークとなる波形
であるので、信号検出可能性列52と呼ばれる。信号検
出可能性列52のピーク発生時点が求める音波が到来し
た時点として、最も可能性が高いという趣旨である。従
って、伝播時間弁別機能(ステップ53)は当該ピーク
発生時点から、伝播時間を求める。当該処理を図8に示
す各伝播経路それぞれについて行って、他経路分60と
合わせて、これらを(4)式に相当する伝播時間観測値
ベクトルとなせば、本発明に係わる温度・流速分布推定
機能(ステップ55)により、求める計測値を得ること
ができる。
【0071】なお、以上は次の考えからに基づいてい
る。混入雑音が白色雑音(パワースペクトルが平坦で、
最も無害な雑音)である場合には満足に動作するが、混
入雑音が有色(パワースペクトルに何らかの特徴があ
り、平坦でない)である場合には、音波抽出効果が不十
分になる。そこで前述のように、事前に受信信号中の雑
音を白色化してからマッチドフィルタに通すようにすれ
ば、混入雑音が有色である場合にも、音波発生装置から
の音波を明確に抽出できる。
る。混入雑音が白色雑音(パワースペクトルが平坦で、
最も無害な雑音)である場合には満足に動作するが、混
入雑音が有色(パワースペクトルに何らかの特徴があ
り、平坦でない)である場合には、音波抽出効果が不十
分になる。そこで前述のように、事前に受信信号中の雑
音を白色化してからマッチドフィルタに通すようにすれ
ば、混入雑音が有色である場合にも、音波発生装置から
の音波を明確に抽出できる。
【0072】なお、マッチドフィルタとしてはインパル
スレスポンスを既知信号波形のサンプル値の逆順にかつ
実数r倍分だけ任意に並べたFIRフィルタを用いる。
FIRフィルタは既知信号波形を最大エネルギで通過さ
せ、それ以外の波形は、前記既知信号の場合以上のエネ
ルギ減衰を必ず与える。これは、雑音に埋もれたマイク
ロフォンの受信波形から、既知信号波形のみを選択的に
取り出し、当該既知信号が到来したか否かを判別するの
に好都合な性質であり、この手法は、フィルタのインパ
ルスレスポンスと既知信号波形がマッチしているという
ことから、マッチドフィルタ法と呼ばれている。
スレスポンスを既知信号波形のサンプル値の逆順にかつ
実数r倍分だけ任意に並べたFIRフィルタを用いる。
FIRフィルタは既知信号波形を最大エネルギで通過さ
せ、それ以外の波形は、前記既知信号の場合以上のエネ
ルギ減衰を必ず与える。これは、雑音に埋もれたマイク
ロフォンの受信波形から、既知信号波形のみを選択的に
取り出し、当該既知信号が到来したか否かを判別するの
に好都合な性質であり、この手法は、フィルタのインパ
ルスレスポンスと既知信号波形がマッチしているという
ことから、マッチドフィルタ法と呼ばれている。
【0073】4)ガス温度・流速分布の計測 本発明の計測技術の実施の形態として図8に示す上流側
音波送受信器20、下流側音波送受信器21が24対設
けられたシステムを製作し、熱風発生器を用いたガス温
度・流速分布計測試験を実施した。その結果の一例は図
9に示すとおり、詳細なガス温度分布・流速の情報が得
られており、熱電対や熱線風速計を用いた計測値との比
較により精度の検証を終えている。これらは、本発明の
有用性を示す一例である。
音波送受信器20、下流側音波送受信器21が24対設
けられたシステムを製作し、熱風発生器を用いたガス温
度・流速分布計測試験を実施した。その結果の一例は図
9に示すとおり、詳細なガス温度分布・流速の情報が得
られており、熱電対や熱線風速計を用いた計測値との比
較により精度の検証を終えている。これらは、本発明の
有用性を示す一例である。
【0074】本発明の上記実施の形態の説明中(19)
式は推定分散・共分散行列Pが大きい場合、次式(2
0’)
式は推定分散・共分散行列Pが大きい場合、次式(2
0’)
【数30】 の近似に基づき、推定分散・共分散行列Pを全く考慮し
ない計算処理が可能となる。このときの具体的な計算処
理機能を図2に示す。
ない計算処理が可能となる。このときの具体的な計算処
理機能を図2に示す。
【0075】本実施の形態では図1の計算処理機能に比
して、大幅な精度低下をきたすことなく、所要計算量を
約半分に節減できるため、かつ、経済的な計測システム
を実現できる長所がある。
して、大幅な精度低下をきたすことなく、所要計算量を
約半分に節減できるため、かつ、経済的な計測システム
を実現できる長所がある。
【0076】
【発明の効果】多経路の音波伝播時間に着目した空間内
のガス温度、流速計測の原理は古くから知られている
が、本発明のその計算処理法の改良により、これを大型
構造物に適用できるようにした。これは、本発明に係わ
る、次の具体的な効果による。
のガス温度、流速計測の原理は古くから知られている
が、本発明のその計算処理法の改良により、これを大型
構造物に適用できるようにした。これは、本発明に係わ
る、次の具体的な効果による。
【0077】1)特に大型構造物における、流れ、火炎
の「ゆらぎ」に係わり、事実上温度分布計測を不可能に
した蓋然的、突発的に混入する誤差を解消できる。
の「ゆらぎ」に係わり、事実上温度分布計測を不可能に
した蓋然的、突発的に混入する誤差を解消できる。
【0078】2)計測対象における多数の音波伝播経路
の信頼度を同一視したことに起因する計測誤差低下の問
題を解消できる。
の信頼度を同一視したことに起因する計測誤差低下の問
題を解消できる。
【図1】 本発明の実施の形態に係わり、図7に示す信
号処理機能にあって中心部をなす温度・流速分布推定機
能の詳細である。
号処理機能にあって中心部をなす温度・流速分布推定機
能の詳細である。
【図2】 本発明の他の実施の形態に係わり、図7に示
す信号処理機能にあって中心部をなす温度・流速分布推
定機能の詳細である。
す信号処理機能にあって中心部をなす温度・流速分布推
定機能の詳細である。
【図3】 本発明の適用対象の一例を示すある。
【図4】 本発明の適用対象をセル分割した際、該セル
の一例である。
の一例である。
【図5】 本発明において音波送信器から発する波形の
一例である。
一例である。
【図6】 本発明において音波送信器から発する波形の
周波数成分の一例である。
周波数成分の一例である。
【図7】 本発明において音波受信器から得られた信号
の処理機能である。
の処理機能である。
【図8】 本発明の実施例に係わり、計測対象への音波
送受信器の設置状況である。
送受信器の設置状況である。
【図9】 本発明の実施例に係わり、図8の対象におけ
る計測値の一例である。
る計測値の一例である。
1 時刻0の初期値設定機能 2 第1の演算手段:時刻tの初期値設定機能 3 第2の演算手段:時刻tの推定値改良機能 4 第3の演算手段:収束判定機能 5 未収束時の繰返しループ 6 収束時のデータ更新機能 7 時間更新ループ 8 時刻tの観測値ベクトル入力機能 9 時刻tの推定値ベクトル出力機能 11 時刻0の初期値設定機能 12 第1の演算手段:時刻tの初期値設定機能 13 第2の演算手段:時刻tの推定値改良機能 14 第3の演算手段:収束判定機能 15 収束時のデータ更新機能 20 上流側音波送受信器 21 下流側音波送受信器 31 M系列方形波 32 M系列PRK波 33 周波数成分 41 音波受信信号 42 サンプリング機能 43 受信信号列 44 スペクトル同定機能 45 スペクトル情報 46 白色化機能 47 白色化受信信号列 49 白色化機能 50 白色化送信信号列 51 マッチドフィルタリング機能 52 信号検出可能性列 53 伝播時間弁別機能 54 伝播時間観測値ベクトル 55 温度・流速分布推定機能 56 信号波形記憶機能 57 送信信号列 60 他経路の伝播時間弁別
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 沖村 仁志 広島県呉市宝町3番36号 バブコック日立 株式会社呉研究所内 (72)発明者 北山 洋史 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉事業所内 (72)発明者 有光 保幸 広島県呉市宝町6番9号 バブコック日立 株式会社呉事業所内 Fターム(参考) 2F035 DA14 2F056 VS03 VS04 VS10 WF03 WF05 WF08 2G047 AA01 BC02 BC19 EA10 GG36 GG37
Claims (6)
- 【請求項1】 3次元空間または2次元平面を複数個の
セルに分割して、該セルを計算処理単位とする計測対象
とし、前記3次元空間または2次元平面の周辺に音波送
信機能と音波受信機能とを有する機器を少なくとも一対
配置して前記両機能を結ぶ音波伝播経路を形成し、該音
波伝播経路内に音波を通してガス温度・流速分布を計測
するガス温度・流速分布計測方法において、 前記各セルの温度、流速に基づく各音波伝播経路の伝播
時間の予測値と前記音波伝播経路における伝播時間の実
測値との偏差に基づく評価関数が最小になるように収束
計算で当該各セルの温度、流速を探索し、得られた収束
値をもって求めるガス温度・流速分布の計測値とするこ
とを特徴とするガス温度・流速分布計測方法。 - 【請求項2】 前記音波送信機能と音波受信機能を結ぶ
音波伝播経路が各セル内を少なくとも1本以上通過する
ときの音波伝播経路の音波伝播時間の観測値を求める音
波伝播時間観測機能と、前記各セルの温度、流速または
その双方を求める計算処理機能とを有し、 前記計算処理機能において、少なくとも過去の時点にお
けるガス温度・流速の計測値、または所定の初期値に基
づいて各セルの温度、流速の値を仮定する演算を行い、 得られた前記仮定値を用いて少なくとも該仮定値近傍に
おける音波伝播時間変化の偏微分係数および該仮定値に
基づく各音波伝播経路の伝播時間の予測値と前記音波伝
播時間観測機能で得た観測値との偏差から前記仮定値を
更新する演算を行い、 前記演算により、更新された前記仮定値の変化幅が所定
値内にあれば収束完了と判定し、当該収束を完了した段
階の更新された仮定値をもって、各セルのガス温度・流
速の現時点における計測値とし、それ以外は再び前記仮
定値を更新する演算を行うように差し戻すことを特徴と
する請求項1記載のガス温度・流速分布計測方法。 - 【請求項3】 各セルの音波伝播経路の伝播時間の予測
値と実測値との偏差から評価関数を与える際に、各経路
の計測の信頼度を乗じることを特徴とする請求項1又は
2記載のガス温度・流速分布計測方法。 - 【請求項4】 複数個のセルに分割して、該セルを計算
処理単位とする計測対象である3次元空間または2次元
平面の周辺に音波送信機能と音波受計測対象信機能とを
有する機器を少なくとも一対配置して前記両機能を結ぶ
音波伝播経路を形成したガス温度・流速分布計測装置に
おいて、 前記各セルの温度、流速に基づく各音波伝播経路の伝播
時間の予測値計測手段と前記音波伝播経路における伝播
時間実測手段と、 前記予測値計測手段の予測値と前記伝播時間実測手段の
実測値との偏差に基づく評価関数を最小となすべく収束
計算で当該各セルの温度、流速を探索する演算手段と、 該演算手段で得られた収束値をもって求めるガス温度・
流速分布の計測値を演算するガス温度・流速分布演算手
段とを備えたことを特徴とするガス温度・流速分布計測
装置。 - 【請求項5】 前記ガス温度・流速分布演算手段は音波
送信機能と音波受信機能を結ぶ音波伝播経路が前記各セ
ル内を少なくとも1本以上通過するときの前記音波伝播
経路の音波伝播時間観測手段と、前記各セルの温度、流
速またはその双方を求める計算処理手段を有し、 前記計算処理手段は、少なくとも過去の時点におけるガ
ス温度・流速の計測値、または所定の初期値に基づいて
各セルの温度、流速の値を仮定する第1の演算手段と、 得られた前記仮定値を用いて少なくとも該仮定値近傍に
おける音波伝播時間変化の偏微分係数および該仮定値に
基づく各音波伝播経路の伝播時間の予測値と前記音波伝
播時間観測手段で得た観測値との偏差から仮定値を更新
する第2の演算手段と、 該第2の演算手段により更新された前記仮定値の変化幅
が所定値内にあれば収束完了と判定し、当該収束を完了
した段階の更新された仮定値をもって、前記各セルのガ
ス温度・流速の現時点における計測値とし、それ以外は
再び第2の演算手段に差し戻す第3の演算手段とを有す
ることを特徴とする請求項4記載のガス温度・流速分布
計測装置。 - 【請求項6】 前記第2の演算手段は、仮定値更新時に
各音波伝播経路の音波伝播時間の計測信頼度または定常
状態での各経路音波伝播時間計測値変動の分散を考慮す
る機能を備えていることを特徴とする請求項4又は5記
載のガス温度・流速分布計測装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000349628A JP2002156294A (ja) | 2000-11-16 | 2000-11-16 | ガス温度・流速分布計測方法と装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000349628A JP2002156294A (ja) | 2000-11-16 | 2000-11-16 | ガス温度・流速分布計測方法と装置 |
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---|---|
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Cited By (8)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
EP2887036A1 (en) * | 2013-12-18 | 2015-06-24 | Siemens Energy, Inc. | Active measurement of gas flow temperature, including in gas turbine combustors |
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