JP2002153280A - Dnaとdna結合因子との結合を促進するタンパク質およびそのタンパク質をコードする遺伝子 - Google Patents

Dnaとdna結合因子との結合を促進するタンパク質およびそのタンパク質をコードする遺伝子

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JP2002153280A
JP2002153280A JP2000356568A JP2000356568A JP2002153280A JP 2002153280 A JP2002153280 A JP 2002153280A JP 2000356568 A JP2000356568 A JP 2000356568A JP 2000356568 A JP2000356568 A JP 2000356568A JP 2002153280 A JP2002153280 A JP 2002153280A
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dna
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acid sequence
seq
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JP2000356568A
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Shigeharu Takitani
谷 重 治 滝
Hiroaki Yajima
島 宏 昭 矢
Keiji Kondo
藤 恵 二 近
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Kirin Brewery Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 種々の特異的なDNA−タンパク質相互作用
を非特異的に促進できるタンパク質およびその遺伝子の
提供。 【解決手段】 本発明によるタンパク質は下記アミノ酸
配列の少なくとも一つを含んでなるタンパク質である:
(a)カイコガ(Bombyx mori)由来の特定
配列の170〜183番のアミノ酸配列または1個以上
の改変を有し、かつDNAとDNA結合因子との結合を
促進する活性を有するその改変アミノ酸配列および
(b)(a)の配列の199〜207番のアミノ酸配列
又は1個以上の改変を有し、かつDNAとDNA結合因
子との結合を促進する活性を有するその改変アミノ酸配
列。本発明による遺伝子は本発明によるタンパク質をコ
ードするポリヌクレオチドからなるものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の背景】発明の分野 本発明は、DNAとDNA結合因子との特異的結合を非
特異的に促進する新規タンパク質およびその遺伝子に関
する。本発明はまた、このタンパク質および遺伝子を用
いた生化学および分子生物学用研究試薬並びに有用タン
パク質の生産技術にも関する。
【0002】背景技術 DNA結合性タンパク質は、遺伝情報が記録されている
DNAの維持、合成、修復等に関与している。また、遺
伝情報を基に生命活動を維持するための転写にも多種の
DNA結合性タンパク質が関与している。具体的には、
高等真核生物のDNA結合性タンパク質には、ゲノムの
クロマチン構造を維持するヌクレオソーム構成タンパク
質群、ゲノムDNA上の遺伝子の発現調節領域に結合す
る転写因子群やその補助因子群、DNAの複製や組換
え、構造変換および転写等に関わる各種酵素などが知ら
れている。具体的には、ヒストンタンパク質、ヌクレア
ーゼ、DNAポリメラーゼ、RNAポリメラーゼ等が挙
げられる。
【0003】ゲノムDNA上に存在する遺伝子発現制御
領域は、遺伝子の種類に関わらず共通して存在する領域
と、遺伝子特異的な領域の2種類に分類できる。共通領
域には基本転写因子と呼ばれるグループのタンパク質が
結合し、特異的領域には、基本転写因子に作用し特定の
遺伝子の発現調節に関わるその他の転写因子等が結合す
ることが知られている。具体的には、TBP、TFII
B、TFIIF等の基本転写因子や、NFκB、Oct−
2、AP−1、SP−1、SREBP、PPARなどの
遺伝子特異的な転写因子がある。これらの大部分はDN
A配列特異的に結合する因子である。また、これら転写
因子とDNAとの結合を安定化したり、酵素を活性化さ
せる因子も標的特異的であることが多い。例えば、TA
FやTFIIA、E、H等がそれに相当する。
【0004】また、タンパク質とDNAとの特異的結合
に関連して、Y−Box結合性タンパク質ファミリーが
知られている。Y−Box結合性タンパク質ファミリー
に属するタンパク質は、N末端側にCSD(cold shock
domain)と呼ばれる細菌のコールドショックタンパク
質(Csp)と高い相同性(>40% homology, >60% ide
ntity)を示す核酸結合ドメインを持つ因子群であり(Wo
lffe, P. A. et al (1992) New Biol. 4, 290-298、Wol
ffe, A. P. (1994) BioEssays 16, 245-251)、その名
前は、最初に発見されたタンパク質であるYB-1が、ヒト
主要組織適合性抗原クラスII遺伝子の転写制御エレメン
トの一つ、Y−Box配列(CTGATTGGYYA
A)に結合する因子として分離されたことに由来する
(Didier, D.K. et al (1988) PNAS 85, 7322-7326)。
【0005】CSD中にはRNA結合タンパク質にしば
しば見られるRNA結合ドメインRNP−1(K/N,
G,Y/F,GFI,E/T/N,V/P/K)および
RNP−2(VFVHF)配列があり、RNAと特異的
に結合する事が知られている(Graumann, P. L. and Ma
rahiel M. A. (1998) Trends Biol. Sci. 23, 286-29
0、Bouvet, P. at al (1995) J. Biol. Chem. 270, 282
97-28303、Landsman, D.(1992) Nucl. Acids Res. 20,
2861-2864)。また、CSDばかりでなくC末端側にも
核酸と結合する領域があり、この領域により緩やかな特
異的結合がなされる(Ladomery, M. and Sommerville,
J. (1994) Nucl. Acids Res. 22, 5582-5589)。さら
に、Y−Box結合性タンパク質は、Y−Box配列や
RNAばかりでなく、一本鎖DNAの特にピリミジンに
富む領域等に結合することが示されているが、これらの
結合も、厳密ではないが配列特異性を持っている(Koll
uri, R. et al (1992) Nucl. Acids Res. 20, 111-11
6、Hasegawa, S. L. et al (1991) Nucl. Acids Res. 1
9, 4915-4920)。
【0006】現在、Y−Box結合性タンパク質の機能
については不明な点が多いが、転写(活性化と抑制)お
よび翻訳(抑制、mRNAの保存)の制御に広く関与し
ている可能性がある(Wolffe, A. P. (1994) BioEssays
16, 245-251)。具体的には、hsp70遺伝子、HT
LV−1およびRous Sarcoma Virus
のプロモータからの転写を活性化する(Tafuri, S. R.
and Wolffe, A. P. (1992) New Biol. 4, 349-359、Kas
hanchi, F. et al (1994) J. Virol. 68, 561-565、Swa
mynathan, S. K. et al (1997) J. Virol. 71, 2873-28
80)。また、Y−Box結合性タンパク質遺伝子の発現
は組織や発生過程などで変化し、細胞増殖との相関が確
認されている。具体的にはニワトリやラットの肝臓にお
いて、胚発生期や再生肝では高くなるのに対し、成人や
再生の終了した肝臓では発現が低下する事も知られてい
る(Grant, C. E. and Deeley, R. G. (1993) Mol. Cel
l.Biol. 13, 4186-4196、Ito, K. et al (1994) Nucl.
Acids Res. 22, 2036-2041、Landomery, M. and Sommer
ville, J. (1995) BioEssays 17, 9-11)。
【0007】しかし、以上に述べた様々なDNA(ある
いはRNA)−タンパク質相互作用に関係するタンパク
質(相互作用を促進する因子も含まれる)は、いずれも
標的(塩基配列)に対する特異性を持つものである。従
ってこれらのタンパク質の用途は限定されたものとな
る。
【0008】例えば、現在の生化学実験では、生体由来
の機能性タンパク質が利用されている。なかでも遺伝子
工学の分野では、エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレア
ーゼ、メチラーゼ、DNAポリメラーゼ、DNAリガー
ゼ、RNAポリメラーゼ等様々な酵素類が汎用されてい
る。また、生化学的研究の一分野として、DNA−タン
パク質間相互作用の解析が広く行われている。具体的に
はゲルシフトアッセイ法やサウスウエスタン法などがあ
る。これらの反応や解析においては、通常DNA−タン
パク質間の相互作用が十分起こるような条件に最適化さ
れている。この最適化は反応溶液中での塩濃度やpH、
金属イオン類の添加量、反応温度などで行われている。
また、タンパク質が反応系に添加される場合は、タンパ
ク質は機能性タンパク質の安定化(失活防止)剤として
用いられるに過ぎない事が多い。
【0009】このようにDNA−タンパク質相互作用を
特異的に促進できる因子はこれまで知られてきたが、種
々の特異的なDNA−タンパク質相互作用を非特異的に
促進できる因子はこれまで報告されていない。
【0010】
【発明の概要】本発明は、種々の特異的なDNA−タン
パク質相互作用を非特異的に促進できる因子およびその
遺伝子を提供することをその目的とする。
【0011】本発明者らは、後部絹糸腺において時期特
異的に発現することが知られているカイコフィブロイン
遺伝子の転写制御領域に特異的に結合し、この遺伝子発
現の制御に関与するDNA結合性の転写因子としてFM
BP−1タンパク質を同定しているが(滝谷等;Takiya
et al 1997 Biochem. J.)、このFMBP−1の精製
過程の画分に、FMBP−1とDNAの結合を促進する
因子が存在することを新たに見いだした。このタンパク
質は、アミノ酸配列上の特徴からY−Box結合性タン
パク質ファミリーに属すると考えられることから「BY
Bタンパク質」と命名した。
【0012】本発明者らはまた、このタンパク質がDN
A結合性タンパク質のDNAに対する結合を非特異的に
促進し、安定化し、更に転写を促進するとともに制限酵
素反応も促進することを見いだした。
【0013】本発明者らは更に、このタンパク質をコー
ドする遺伝子が他の遺伝子の発現量を増大させることを
確認し、このタンパク質の活性がY−Boxタンパク質
に高度に保存されているCSD領域ではなくBYBタン
パク質に特有な構造が多いC末端側に存在することを見
いだした。
【0014】本発明者らは更にまた、活性領域がC末端
側のG1領域からB/A3領域(アミノ酸134‐20
7)にかけて存在し、その活性はその一部の領域を欠失
しても保持されること、特にBasic/Aromat
ic domain2および3(図1中、B/A2およ
びB/A3)が活性には必須であること、B/A2およ
びB/A3のうち最低1つのドメインと、Glycin
e rich−domain 1および2(図1中、G
1およびG2)の少なくとも1つ以上のドメインとを有
することが十分な促進活性に重要であることを見いだし
た。
【0015】本発明によるタンパク質は、下記アミノ酸
配列を少なくとも一つ含んでなるものである: (a)配列番号2の170〜183番のアミノ酸配列ま
たは1個以上の改変を有し、かつDNAとDNA結合因
子との結合を促進する活性を有するその改変アミノ酸配
列および (b)配列番号2の199〜207番のアミノ酸配列ま
たは1個以上の改変を有し、かつDNAとDNA結合因
子との結合を促進する活性を有するその改変アミノ酸配
列。
【0016】本発明による遺伝子は、本発明によるタン
パク質をコードするポリヌクレオチドからなるものであ
る。
【0017】本発明によるタンパク質は、種々のDNA
−タンパク質間の特異的相互作用を非特異的に促進でき
る。従って、本発明によるタンパク質は、エンドヌクレ
アーゼ、エキソヌクレアーゼ、メチラーゼ、DNAポリ
メラーゼ、DNAリガーゼ、RNAポリメラーゼ等の酵
素類を用いた酵素反応、核酸とタンパク質の特異的な反
応を検出するゲルシフトアッセイ法やサウスウエスタン
法などの解析法、DNAチップ技術を用いた核酸−タン
パク質間相互作用の網羅的解析法を高効率化、高感度化
することができる。
【0018】また、遺伝子の発現はDNAと転写(およ
び/または翻訳)の段階で種々のDNA(あるいはRN
A)−タンパク質相互作用が関わっている。従って、本
発明による遺伝子を所望の異種遺伝子とともに発現させ
れば、異種遺伝子の発現量を増大させることもできる。
【0019】
【発明の具体的説明】タンパク質 本明細書において「改変」とは、置換、欠失、挿入、お
よび付加を意味する。
【0020】改変が複数個存在する場合、改変の種類は
同一であっても、異なっていてもよい。
【0021】「改変」は好ましくは「保存的置換」であ
ることができる。
【0022】「保存的置換」とはあるタンパク質中のあ
るアミノ酸を化学的に類似する別のアミノ酸で置換する
ことを意味し、例えば、非極性アミノ酸あるいは極性ア
ミノ酸の間での置換を意味する。より具体的には下記群
における置換が挙げられる: 非極性アミノ酸:Ala、Val、Leu、Ile、Met、Trp、Ph
e、およびPro、 極性アミノ酸(無電荷):Gly、Ser、Thr、Cys、Tyr、A
sn、およびGln、 極性アミノ酸(正電荷):Lys、His、およびArg、 極性アミノ酸(負電荷):AspおよびGlu。
【0023】本明細書において「DNAとDNA結合因
子との結合を促進する活性を有する」か否かは、例え
ば、DNAとDNA結合因子とを準備し、これらに被験
タンパク質を作用させ、DNAとDNA結合因子との相
互作用を、例えば、ゲルシフトアッセイ(実施例2参
照)、インビトロ転写反応(実施例9参照)、または制
限酵素反応(実施例10参照)によって確認することに
より評価することができる。ゲルシフトアッセイを用い
る場合、被験タンパク質の結合促進活性の相対活性が
2.5より大きい場合、好ましくは3.0より大きい場
合に「DNAとDNA結合因子との結合を促進する活性
を有する」と評価することができる。
【0024】配列番号2の170〜183番の領域およ
び199〜207番の領域はそれ自体で結合促進活性を
有するが、この領域とともに134〜169番の領域お
よび/または184〜198番の領域を保持することに
より、より高い相対結合促進活性を実現することができ
る。従って本発明によるタンパク質は、配列(a)およ
び/または配列(b)に加えて、配列番号2の134〜
169番のアミノ酸配列または1個以上の改変(好まし
くは保存的置換)を有するその改変アミノ酸配列および
/または184〜198番のアミノ酸配列または1個以
上の改変(好ましくは保存的置換)を有するその改変ア
ミノ酸配列を更に含むことができる。
【0025】配列番号2の134〜169番のアミノ酸
配列またはその改変アミノ酸配列は、配列(a)および
/または配列(b)のN末端側に付加することができ
る。
【0026】配列番号2の184〜198番のアミノ酸
配列またはその改変アミノ酸配列は、配列(a)のC末
端側、かつ配列(b)のN末端側の位置に付加すること
ができる。
【0027】本発明によるタンパク質は、配列番号2の
1〜133番のアミノ酸配列または1個以上の改変(好
ましくは保存的置換)を有するその改変アミノ酸配列お
よび/または配列番号2の208〜259番のアミノ酸
配列または1個以上の改変(好ましくは保存的置換)を
有するその改変アミノ酸配列を更に含んでいてもよい。
【0028】配列番号2の1〜133番のアミノ酸配列
またはその改変アミノ酸配列は、N末端に位置するよう
に付加することができる。
【0029】配列番号2の208〜259番のアミノ酸
配列またはその改変アミノ酸配列は、C末端に位置する
ように付加することができる。
【0030】本発明によるタンパク質の具体例として
は、配列番号2の120〜259番、134〜207
番、170〜183番、134〜183番、170〜1
98番、134〜198番、199〜207番、184
〜207番、199〜223番、もしくは184〜22
3番のアミノ酸配列、または1個以上の改変(好ましく
は保存的置換)がなされたその改変アミノ酸配列が挙げ
られる。
【0031】本発明によるタンパク質は、下記からなる
群から選択されるアミノ酸配列を含んでなるものである
ことができる: (c)配列番号2のアミノ酸配列および (d)置換、欠失、付加、および挿入から選択される1
以上の改変を有し、かつDNAとDNA結合因子との結
合を促進する活性を有する配列番号2のアミノ酸配列の
改変アミノ酸配列。
【0032】配列(d)は、好ましくは下記アミノ酸配
列からなることができる:1〜169番および184〜
259番の領域において1個以上の改変(好ましくは保
存的置換)を有する配列番号2の改変アミノ酸配列、1
〜198番および208〜259番の領域において1個
以上の改変(好ましくは保存的置換)を有する配列番号
2の改変アミノ酸配列、1〜169番、184〜198
番、および208〜259番の領域において1個以上の
改変(好ましくは保存的置換)を有する配列番号2の改
変アミノ酸配列、1〜119番の領域において1個以上
の改変(好ましくは保存的置換)を有する配列番号2の
改変アミノ酸配列、1〜133番および208〜259
番の領域において1個以上の改変(好ましくは保存的置
換)を有する配列番号2の改変アミノ酸配列。
【0033】配列(d)は、好ましくは下記アミノ酸配
列からなることができる:1〜119番の領域において
改変を有し、かつ120〜259番の領域において保存
的置換を有する配列番号2の改変アミノ酸配列、1〜1
33番および208〜259番の領域において改変を有
し、かつ134〜207番の領域において保存的置換を
有する配列番号2の改変アミノ酸配列、1〜169番お
よび184〜259番の領域において改変を有し、かつ
170〜183番の領域において保存的置換を有する配
列番号2の改変アミノ酸配列、または1〜198番およ
び208〜259番の領域において改変を有し、かつ1
99〜207番の領域において保存的置換を有する配列
番号2の改変アミノ酸配列。
【0034】本発明によるタンパク質はそのN末端に核
移行シグナルペプチドを更に含んでいてもよい。
【0035】核移行シグナルペプチドはSV40ラージ
T抗原由来であることができ、例えば、配列番号18の
アミノ酸配列からなることができる。
【0036】本発明によるタンパク質は他のタンパク質
と融合させ、融合タンパク質とすることができる。
【0037】他のタンパク質としては、グルタチオンS
トランスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、およびク
ロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼが挙げ
られる。
【0038】本発明によるタンパク質は、実施例にて開
示したようにカイコ後部絹糸腺から単離精製してもよい
し、後述するように、本発明による遺伝子を発現するよ
うに遺伝子工学的方法により改変された形質転換体を培
養することによって、調製することもできる。またポリ
ヌクレオチドがRNAである場合には、例えば周知のin
vitro翻訳系を用いてタンパク質を生産させることがで
きる。
【0039】形質転換細胞の培養により産生された本発
明によるタンパク質の精製は、それが細胞内に産生され
る場合は、例えば、培養終了後、形質転換細胞の細胞を
遠心分離等で集め、細胞を通常のバッファー、例えば、
20mMHEPES pH7,1mM EDTA,1mMDTT,0.5mM PMSFからなるバ
ッファー等に懸濁した後、ポリトロン、超音波、ダウン
スホモジナイザー等を用いて細胞を破砕し、破砕液を数
万×gで数十分から1時間程度超遠心分離し、上清画分
を回収することにより、本発明によるタンパク質を含む
画分を得ることができる。
【0040】また、本発明タンパク質を培地中に分泌生
産させる場合には、培養終了後遠心分離により上清画分
として本発明によるタンパク質を含む画分を得ることが
できる。これら上清画分を、塩析法、溶媒沈殿法、透析
法、限外ろ過法、ゲル電気泳動法、あるいはイオン交換
クロマトグラフィー、ゲルろ過クロマトグラフィー、逆
相クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィ
ー等の精製手段を適宜組み合わせることにより、精製さ
れた本発明タンパク質を回収することができる。
【0041】本発明によるタンパク質を特定のプロテア
ーゼによる切断部位を介して他のタンパク質と融合した
形で発現させた場合には、例えば実施例7に開示したよ
うに精製工程の適切な段階で切断部位に特異的なプロテ
アーゼ処理を行うことにより、他のタンパク質を削除
し、非融合型のタンパク質を得ることができる。
【0042】遺伝子 本発明による遺伝子は、本発明によるタンパク質をコー
ドするポリヌクレオチドであることができる。
【0043】本発明によるタンパク質のアミノ酸配列が
与えられれば、それをコードするヌクレオチド配列は容
易に定まり、配列番号2に記載されるアミノ酸配列をコ
ードする種々のヌクレオチド配列を選択することができ
る。従って、本発明によるタンパク質をコードするヌク
レオチド配列とは、配列番号1に記載のDNA配列の一
部または全部に加え、同一のアミノ酸をコードするDN
A配列であって縮重関係にあるコドンをDNA配列とし
て有する配列をも意味するものとし、更にこれらに対応
するRNA配列も含まれる。
【0044】本発明による遺伝子は、シグナルペプチド
(例えば、核移行シグナルペプチド)をコードするヌク
レオチド配列を有していてもよい。本発明による遺伝子
はまた、本発明によるタンパク質を融合タンパク質とし
て発現させるための他のタンパク質をコードするヌクレ
オチド配列を有していてもよい。
【0045】本明細書において「ポリヌクレオチド」と
はDNAおよびRNAを含む意味で用いられる。ポリヌ
クレオチドの由来は特に限定されるものではなく、染色
体由来であっても、化学合成したものであってもよい。
DNAは、染色体DNAであっても、化学合成DNAや
cDNA等であってもよい。
【0046】本発明による遺伝子は例えば下記のように
して得ることができる。
【0047】本発明による遺伝子のうち、配列番号1の
ヌクレオチド配列を有するBYBタンパク質をコードす
るDNAは、例えば、“錦秋x鐘和”等のカイコから、
J.Sambrook,E.F.Frisch,T.Maniatis著;モレキュラー
クローニング第2版(Molecular Cloning 2nd editio
n)、コールドスプリング ハーバー ラボラトリー(Col
dSpring Harbor Laboratory)発行、1989年等に記
載の遺伝子工学的方法に準じて得ることができる。具体
的には、まず、カイコの後部絹糸腺から全RNAを調製
し、得られた全RNAを鋳型として使用し、RNAにオ
リゴdTプライマーをアニールさせた後に逆転写酵素を
作用させることにより一本鎖cDNAを合成する。次い
で、一本鎖cDNAに大腸菌RNaseHおよび大腸菌
のDNAポリメラーゼIを作用させて二本鎖のcDNA
を合成する。cDNAの両末端をT4DNAポリメラー
ゼにより平滑化し、得られたcDNAをフェノール−ク
ロロホルム抽出、エタノール沈殿等の通常の方法により
精製し、回収する。このようにして得られたcDNAを
ベクターにリガーゼを用いて挿入することによりcDN
Aライブラリーを作製する。次に、このようなcDNA
ライブラリーから、例えば、J.Sambrook,E.F.Frisch,T.
Maniatis著;モレキュラー クローニング第2版(Molec
ular Cloning 2nd edition)、コールドスプリング ハ
ーバー ラボラトリー(Cold Spring Harbor Laborator
y)発行、1989年等に記載の遺伝子工学的方法に準
じて、配列番号1のヌクレオチド配列の部分塩基配列を
有するDNA断片をプローブとして用いるハイブリダイ
ゼーション法により、本発明による遺伝子を取得するこ
とができる。
【0048】また、配列番号1のヌクレオチド配列の部
分配列を有するオリゴヌクレオチドをプライマーとして
用いるPCR法により、本発明による遺伝子を取得する
こともできる。
【0049】更に、調製された全RNAを鋳型に使用し
て逆転写反応を行なった後、得られたDNAを鋳型にし
てPCRを行なうことにより(RT−PCR法)、本発
明による遺伝子を取得することもできる。
【0050】PCR法およびRT−PCR法において本
発明による遺伝子を増幅する際に用いるプライマーとし
ては、例えば、約20bp〜約40bpの長さでかつG
またはC塩基の割合が約40%〜約70%の塩基配列
を、配列番号1のヌクレオチド配列の5’末端領域およ
び3’末端領域からそれぞれ選択し、この配列を有する
オリゴヌクレオチドを合成するとよい。具体的には、例
えば、フォワードプライマーとしては5'-ATG GCT GAT A
CC GAA AAG GCG C -3'(配列番号18)や5'-TACACC AT
G GCT GAT ACC GAA AAG GCG C -3'(配列番号19)が
あげられ、リバースプライマーとしては5'-AGG CCT GGC
TCT CAT TGG TAG T-3'(配列番号20)があげられ
る。
【0051】PCR法により増幅された本発明による遺
伝子は、例えば、J.Sambrook,E.F.Frisch,T.Maniatis
著;モレキュラー クローニング第2版(Molecular Clo
ning 2nd edition)、コールドスプリング ハーバー ラ
ボラトリー(Cold Spring Harbor Laboratory)発行、
1989年等に記載の遺伝子工学的方法に準じてベクタ
ーにクローニングすることができる。例えば、TAクロ
ーニングキット(Invitrogen社)やpBluescriptII(Str
atagene社)などの市販のプラスミドベクターを用いて
クローニングすることができる。
【0052】本発明による遺伝子は、そのヌクレオチド
配列に基づき、核酸の化学合成法、例えばホスファイト
・トリエステル法(Hunkapiller,M.et al., Nature, 31
0,105, 1984)、により調製することもできる。
【0053】また、配列番号2の改変アミノ酸配列をコ
ードするヌクレオチド配列を有するDNAは、前記方法
で取得した配列番号1のヌクレオチド配列あるいは配列
番号2のアミノ酸配列をコードする任意の縮重関係のヌ
クレオチド配列を有するDNAに基づき、適宜任意の制
限酵素と必要に応じてリンカーを用いることによって、
あるいは部位特異的突然変異誘発法やPCR法(Nucleic A
cid Res., Vol.10, pp.6487 (1982)、Methods in Enzym
ology, 100, pp448 (1983)、Molecular Cloning 2ndEd
t., Cold Spring Harbor Laboratory Press (1989)、P
CR A PracticalApproach IRL Press pp200 (1991))に
よって、容易に作成することができる。
【0054】得られたDNAの配列は、Maxam Gilbert
法 (例えば、Maxam,A.M &W.Gilbert,Proc.Natl.Acad.Sc
i.USA, 74, 560, 1977 等に記載される)やSanger法(例
えばSanger,F. & A.R.Coulson, J.Mol.Biol., 94, 441,
1975、Sanger,F, & Nicklenand A.R.Coulson., Proc.N
atl.Acad.Sci.USA, 74, 5463, 1977等に記載される)に
準じて解析することにより確認できる。
【0055】ベクターおよび形質転換体 本発明による組換えベクターは、宿主内で複製可能なベ
クターであって、宿主からの単離、精製が可能であり、
検出可能なマーカー遺伝子をもつベクターに、本発明に
よる遺伝子を通常の遺伝子工学的手法を用いて組込むこ
とにより構築することができる。
【0056】本発明によるベクターの構築に用いること
ができるベクターとしては、大腸菌を宿主とする場合、
例えば、プラスミドpUC119(宝酒造(株)製)
や、ファージミドpBluescriptII(ストラ
タジーン社製)であることができ、酵母を宿主とする場
合は、プラスミドpYES2(インビトロジェン社製)
であることができ、哺乳類動物細胞を宿主細胞とする場
合は、pRC/RSV、pRC/CMV(インビトロジ
ェン社製)等のプラスミド、EBウイルスプラスミドp
REP4、pCEP4(インビトロジェン社製)等のウ
イルス由来の自律複製起点を含むベクターであることが
でき、昆虫類動物細胞(以下、昆虫細胞と記す。)を宿
主とする場合は、バキュロウイルス等の昆虫ウイルスで
あることができる。バキュロウイルス等のウイルスにD
NAを組込むには、使用しようとするウイルスのゲノム
と相同なヌクレオチド配列を含有するトランスファーベ
クターを用いることができる。このようなトランスファ
ーベクターとしては、クローンテック社から市販されて
いるpBacPAK8、pAcUW31などのプラスミ
ドがあげられる。本発明による遺伝子をトランスファー
ベクターに挿入し、トランスファーベクターとウイルス
ゲノムとを同時に宿主に導入すると、トランスファーベ
クターとウイルスゲノムとの間で相同組換えが起こり、
本発明による遺伝子がゲノム上に組み込まれたバキュロ
ウイルスを得ることができる。
【0057】本発明による遺伝子と、宿主で作動可能な
制御配列(例えば、プロモーター配列およびターミネー
ター配列)とを作動可能に連結させ、これをベクターに
組み込むことにより、本発明による遺伝子を宿主で発現
させることができるベクターを構築することができる。
【0058】ここで、「作動可能に連結する」とは、本
発明による遺伝子が導入される宿主において、制御配列
のコントロール下で遺伝子が発現するように、制御配列
と本発明による遺伝子とを結合させることを意味する。
通常は、プロモーターを遺伝子の上流に、ターミネータ
ーを遺伝子の下流に連結することができる。
【0059】使用できるプロモーターは、形質転換する
宿主内でプロモーター活性を示すものであれば特に制限
はなく、例えば、宿主が動物細胞や分裂酵母である場合
は、例えば、アデノウイルス(Ad)の初期もしくは後
期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス(RSV)プロモ
ーター、サイトメガロウイルス(CMV)プロモータ
ー、シミアンウイルス(SV40)の初期もしくは後期
プロモーター、マウス乳頭腫ウイルス(MMTV)プロ
モーター、単純ヘルペスウイルス(HSV)のチミジン
キナーゼ(tk)遺伝子プロモーターであることがで
き、宿主が昆虫細胞である場合はバキュロウイルスのポ
リヘドリンプロモーターやショウジョウバエのメタロチ
オネインプロモーターであることができ、宿主が出芽酵
母である場合はADH1、GAL1プロモーターである
ことができる。
【0060】宿主において機能するプロモーターをあら
かじめ保有するベクターを使用する場合は、ベクター保
有のプロモーターと本発明による遺伝子とを作動可能に
連結することができる。
【0061】例えば、プラスミドpRC/RSV、pR
C/CMV等は、動物細胞で作動可能なプロモーターの
下流にクローニング部位が設けられており、クローニン
グ部位に本発明による遺伝子を挿入し、動物細胞へ導入
すれば、本発明に遺伝子を発現させることができる。こ
れらのプラスミドにはあらかじめSV40の自律複製起
点(ori)が組み込まれているため、ori(−)の
SV40ゲノムで形質転換された培養細胞、例えばCO
S細胞等にこのプラスミドを導入すると、細胞内でプラ
スミドのコピー数が非常に増大し、結果としてプラスミ
ドに組み込まれた本発明による遺伝子を大量に発現させ
ることもできる。
【0062】また、酵母用プラスミドpYES2はGA
L1プロモーターを有しており、このプラスミドまたは
その誘導体のGAL1プロモーターの下流に本発明によ
る遺伝子を挿入すれば、本発明による遺伝子を例えばI
NVSc1(インビトロジェン社製)等の出芽酵母内で
大量に発現させることが可能なベクターを構築できる。
【0063】本発明によるベクターは、形質転換体を選
択するためのマーカー遺伝子が更に連結されていてもよ
い。
【0064】本発明による遺伝子を真核細胞で発現させ
る場合には、発現したタンパク質の核へ移行を促進する
ために、遺伝子の上流に核移行シグナル配列を付加する
ことができる。核移行シグナルとしては、真核細胞で発
現させる場合にはSV40のラージT抗原のシグナル配
列が、また出芽酵母で発現させる場合にはGAL4タン
パク質のシグナル配列を利用することができる。
【0065】このように構築された本発明によるベクタ
ーを宿主に導入することにより、本発明による形質転換
体を得ることができる。
【0066】本発明によるベクターを宿主へ導入する方
法は、形質転換される宿主に応じて通常用いられる方法
に従うことができる。
【0067】例えば、大腸菌を宿主細胞とする場合は、
「モレキュラー・クローニング」(J.Sambrookら、コー
ルド・スプリング・ハーバー、1989年)等に記載さ
れる塩化カルシウム法やエレクトロポレーション法等を
用いることができる。酵母菌を宿主とする場合は、例え
ばリチウム法に基づくYeast transformation kit(イン
ビトロジェン社製)などを用いてベクターを導入するこ
とができる。哺乳類動物細胞や昆虫細胞等の動物細胞を
宿主とする場合は、例えば、リン酸カルシウム法、DEAE
デキストラン法、エレクトロポレーション法、またはリ
ポフェクション法を用いることができる。ウイルスをベ
クターに用いる場合は、上述のような一般的な遺伝子導
入法によりウイルスゲノムを宿主に導入できるほか、ウ
イルスゲノムを含有するウイルス粒子を宿主へ感染させ
ることによってもウイルスゲノムを宿主に導入すること
ができる。
【0068】本発明による形質転換体の選抜は、導入さ
れた本発明によるベクターが有するマーカー遺伝子の性
質に応じた方法を用いればよい。
【0069】例えば、マーカー遺伝子が細胞致死活性を
示す薬剤に対する耐性遺伝子である場合には、この薬剤
を添加した培地を用いて本発明によるベクターを導入し
た細胞を培養すればよい。薬剤耐性遺伝子と選抜薬剤と
の組み合わせとしては、例えば、ネオマイシン耐性遺伝
子とネオマイシン、ハイグロマイシン耐性遺伝子とハイ
グロマイシン、ブラストサイジンS耐性遺伝子とブラス
トサイジンSが挙げられる。また、マーカー遺伝子が、
宿主の栄養要求性を相補する遺伝子である場合には、こ
の栄養素を含まない最少培地を用いて本発明によるベク
ターを導入した細胞を培養すればよい。本発明による遺
伝子が宿主の染色体に導入されてなる形質転換体を取得
するには、例えば、本発明によるベクターを制限酵素等
で消化することにより直鎖状にした後、これを前述の方
法で宿主へ導入して該細胞を通常数週間培養し、導入さ
れた検出マーカーを指標にして目的とする形質転換細胞
を選抜すればよい。例えば、上記のような選択薬剤に対
する耐性遺伝子をマーカー遺伝子として持つ本発明によ
るベクターを前述の方法で宿主に導入し、選択薬剤を添
加した培地で数週間以上を継代培養し、コロニー状に生
き残った選択薬剤耐性クローンをピペットで吸い上げ純
化することにより、本発明による遺伝子が宿主の染色体
に導入されてなる形質転換体を取得することができる。
このような形質転換体は、凍結保存が可能であり、必要
に応じて起眠させて使用することできるので、一過性の
遺伝子導入株と比較して形質転換体作製の手間を省くこ
とができ、形質転換細胞の性能を一定に保つこともでき
る点で有利である。
【0070】本発明によるタンパク質は、形質転換体を
培養し、本発明によるタンパク質を採取することにより
製造することができる。
【0071】形質転換体が微生物である場合、この形質
転換体は微生物の通常の培養に使用される炭素源、窒素
源、有機塩類、および無機塩類等を適宜含む各種の培地
を用いて培養できる。培養は、微生物の通常の培養方法
に準じて行うことができ、例えば、固体培養、液体培養
(攪拌培養(試験管振とう式培養、往復式振とう培養、
ジャーファーメンター(Jar Fermenter)培養等)、静
置培養(タンク培養等)を含む)により培養できる。培
養温度は、微生物が生育する範囲で適宜変更でき、例え
ば、約15℃〜約40℃の培養温度、pH約6〜pH約
8の培地で培養するとよい。培養時間は、培養条件に従
って決定できるが、通常は約1日〜約5日間であること
ができる。形質転換体が動物細胞である場合、この形質
転換体は動物細胞の通常の培養に使用される培地を用い
て培養できる。
【0072】形質転換体が哺乳類動物細胞の場合、例え
ば10v/v%となるようFBSを添加したDMEM培
地等の培地を用いて、37℃、5v/v%CO存在下
にて、培地を数日ごとに交換しながら培養することがで
きる。細胞がコンフルエントになるまで増殖したら、
0.25w/v%程度のトリプシンPBS溶液を用いて
個々の細胞に分散させ、数倍に希釈して新しい培養容器
に播種し培養を続け、目的とする量まで細胞が増殖した
ら細胞を集める。このように継代培養を行うことにより
培養スケールを任意のサイズまで拡大できる。形質転換
体が昆虫細胞の場合も同様に、10v/v%FBSおよび2w/v%Ye
astlateを含むGrace's medium等の昆虫細胞用培地を用
いて25℃〜35℃で継代培養することにより得ること
ができる。ただし、Sf21細胞などの培養容器からはがれ
やすい細胞の場合は、トリプシン液ではなくピペッテイ
ングにより細胞を分散させ継代を行なうのが好ましい。
また、Baculovirus等のウイルスベクターを含む形質転
換細胞の場合は、細胞質効果により細胞が死滅する前、
例えば培養開始から72時間目までに培養を終了するこ
とが好ましい。
【0073】培養の後、公知の単離、精製手段を用い
て、本発明によるタンパク質を精製・単離することがで
きる。
【0074】本発明による形質転換体は、本発明による
タンパク質のみならず、所望の異種タンパク質を発現す
るように改変されていてもよい。異種タンパク質をコー
ドするDNAの導入は、本発明による遺伝子の導入と同
様にして実施できる。異種タンパク質は、生理活性タン
パク質、レポータータンパク質、受容体タンパク質であ
ることができる。
【0075】遺伝子の発現に際しては、DNAの転写や
翻訳の段階で種々のDNA(あるいはRNA)−タンパ
ク質相互作用が関わっている。従って、本発明による遺
伝子を所望の異種遺伝子とともに発現させれば、異種遺
伝子の発現量を増大させることができる。異種遺伝子と
ともに本発明による遺伝子が導入された形質転換体は、
本発明による遺伝子が導入されていない形質転換体と比
べて異種遺伝子の発現量が増大し、異種タンパク質を大
量生産できる点で有利である。
【0076】レポータータンパク質をコードする遺伝子
(レポーター遺伝子)としては、ルシフェラーゼ遺伝
子、分泌型アルカリフォスファターゼ遺伝子、βガラク
トシダーゼ遺伝子、クロラムフェニコールアセチルトラ
ンスフェラーゼ遺伝子、成長ホルモン遺伝子などが利用
できる。
【0077】レポーター遺伝子とともに本発明によるベ
クターが導入された形質転換体は、本発明による発現ベ
クターを導入しない場合に比べて、レポーター遺伝子の
mRNA量が増加し、レポータータンパク質の形質転換細胞
細胞内における蓄積が増加する。本発明によるタンパク
質が発現することにより遺伝子発現量の基底レベルが増
加するため、測定系の感度や有効範囲の向上の点で有利
である。従って本発明による遺伝子は細胞内における遺
伝子発現量測定実験に利用することができる。
【0078】例えば、レポーター遺伝子がルシフェラー
ゼ遺伝子である場合には、形質転換細胞を破砕して細胞
粗抽出物を調製し、細胞粗抽出物にルシフェラーゼの基
質であるルシフェリンを加え、発現量を測定することが
できる。発光量はルシフェラーゼ量に比例するため、こ
の発光量をルミノメーター等の測定装置で測定すること
により、ルシフェラーゼ遺伝子の発現量がわかる。ルシ
フェラーゼ遺伝子の発現量から、ルシフェラーゼ遺伝子
と同時に導入した本発明による発現ベクターにコードさ
れている本発明によるタンパク質の発現活性化能が明ら
かになる。
【0079】タンパク質の用途 本発明によるタンパク質はDNAとDNA結合因子との
結合を促進する活性を有する。
【0080】従って本発明によれば、本発明によるタン
パク質を含んでなる、DNAとDNA結合因子と間の相
互作用を促進するための組成物が提供される。
【0081】本発明によればまた、DNAおよびDNA
結合因子が存在する反応系に本発明によるタンパク質を
添加することを含んでなる、DNAとDNA結合因子と
間の相互作用を促進する方法が提供される。
【0082】DNA結合因子は、DNAに結合して作用
する酵素であることができ、例えば、エンドヌクレアー
ゼ、エキソヌクレアーゼ、メチラーゼ、DNAポリメラ
ーゼ、DNAリガーゼ、およびRNAポリメラーゼから
選択される酵素であることができ、本発明によるタンパ
ク質はエンドヌクレアーゼ反応、エキソヌクレアーゼ反
応、メチラーゼ反応、DNAポリメラーゼ反応、DNA
リガーゼ反応、およびRNAポリメラーゼ反応を促進す
ることができる。
【0083】反応がエンドヌクレアーゼ反応の場合、例
えば、EcoRI、BamHI、EcoRV、Hinf
I(宝酒造(株)製)等の制限酵素と、λファージのゲ
ノム等のDNAとを37℃で反応させるときに本発明に
よるタンパク質を共存させることにより、制限酵素の活
性を促進することができる。この効果は4℃で反応させ
る場合にさらに顕著になる。
【0084】反応がエキソヌクレアーゼ反応の場合、例
えば、pUC119(宝酒造(株)製)を上述のEco
RIで消化したDNA断片をExonuclease I
II(宝酒造(株)製)で消化する際に、本発明によるタ
ンパク質を共存させることにより、一本鎖部分の分解を
効率良く行うことができる。
【0085】反応がDNAポリメラーゼ反応の場合、例
えば、上述のpUC119のEcoRI消化物をDNA
polymeraseI(宝酒造(株)製)と反応さ
せる際に本発明によるタンパク質を共存させることによ
り、DNA断片末端の一本鎖構造の二本鎖構造への変換
を効率良く行うことができる。
【0086】反応がDNAリガーゼ反応の場合、上述の
pUC119のEcoRI消化物とEcoRIで消化し
た任意のDNA断片をT4 DNA ligase(宝
酒造(株)製)で連結する際に、本発明によるタンパク
質を共存させることにより連結反応を促進することがで
きる。
【0087】反応がRNAポリメラーゼ反応の場合、イ
ンビトロ転写反応において本発明によるタンパク質を共
存させることにより、反応を促進させることができる。
例えば、転写の鋳型としてアデノウイルスの主要後期遺
伝子のプロモーター配列を含むAd2MLP with
G−less cassette in pUC18
cccDNA(Sawadogo & Roeder (1985) PNAS 82,
4394-4398)、基本転写因子として、TFIIB (recom
binant in E. coli)、TBP (recombinant)、TFIIF
(recombinant in Baculovirus)、RNA polymerase II (p
urified fromcalf thymus)を用い、10 mM HEPES pH7.
6、 25 mM KCl、 6 mM MgCl2、 3% Glycerol、620 mM A
TP & UTP,、25 mM CTP、 5 mCi α-32P-CTP、 200 mM O
-methyl-GTPを含む反応系に本発明タンパク質を加えて
反応させ転写産物量を増加させることができる(実施例
9参照)。
【0088】本発明によるタンパク質はまた、DNAと
DNA結合性因子との結合を非特異的に促進することが
できる。従って、本発明によるタンパク質は、ゲルシフ
トアッセイ法やサウスウエスタン法などDNA−タンパク
質間相互作用を利用した解析法の高感度化に用いること
ができる。
【0089】反応がゲルシフトアッセイ(Takiya et al
(1997) Biochem. J. 321, 645-653およびMatsuno et a
l (1990) Nucl. Acids Res. 18, 1853-1858)の場合、
反応液10μl中の標準組成(12 mM HEPES pH7.9, 7.5 mM
MgCl2, 1.2 mM DTT, 0.1-0.2 mM EDTA, 17-20% Glycer
ol, 1 ug poly(dI-dC), 0.4-0.5 ng oligo DNA probe,
60mM KCl)に12μg程度の本発明によるタン
パク質を添加し、試験対象DNA結合性タンパク質とそ
の結合配列を持つオリゴプローブを使用して反応を行
い、非変性条件下で電気泳動により特異的結合の検出を
行うことができる。
【0090】
【実施例】以下、本発明に係る実施例を詳述するが、本
発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0091】実施例1:カイコ絹糸腺抽出液の調製 カイコは実用品種“錦秋x鐘和”(カネボウシルクエレ
ガンス社または上田蚕種協業組合より蚕種を購入)を用
い、主に人工飼料で一部は桑で飼育した。5齢起蚕後、
1〜2日経過した幼虫を解剖し、後部絹糸腺のみを切り
離して1xSSC(0.15M NaCl, 0.015M クエン酸Na pH7.0)
と抽出用バッファー(40 mM Tris pH7.9, 5 mM MgCl2,
12% Sucrose, 25% Glycerol, 2 mM DTT)で洗い、ただ
ちに-80℃で冷凍保存した。
【0092】抽出液の調製法は、滝谷等(Takiya et al
(1990) EMBO J. 9, 489-496)に記載された方法を以下
のように大量調製用に改変して用いた。主な変更点は、
硫安沈澱を超遠心から高速冷却遠心にしたこと、沈澱を
溶かす溶液量や抽出バッファーの量を出発材料に対する
相対値より多くしたこと、ペレットを得る場合に、ピペ
ットで上清を捨てていたものをデカンテーションにした
ことなどである。
【0093】実際には後部絹糸腺(約300頭)を凍っ
たままビーカーに移し、ハサミで切りながら、全部で60
mlの抽出バッファーを少しずつ加えた。氷が融けるま
では室温で、その後も組織が充分に細かくなるまで氷上
で切断した。切断した組織をガラス製Dounce型ホモゲナ
イザー(コンテス社製 15ml サイズ A (loose fit
ting) type pestle を使用)で2回ホモゲナイズした
後、約1,800×gで5分間遠心を行い沈殿を得た。この沈
殿をビーカーに移し、100mlの抽出バッファーを加え、
充分に懸濁してから、さらに15回ホモゲナイズした。
ホモゲナイズ後、溶液を1Lビーカーに移し、140ml(合
計240 ml)の抽出バッファーを添加した後、スターラー
で撹拌しながら24mlの飽和硫安溶液を一滴ずつ加えた。
硫安溶液添加後30分間撹拌した後、Beckman社製 60Ti
ローターまたは日立社製50.2Ti ローターを使用して約
180,000×gで4時間遠心を行った。得られた上清をメス
シリンダーにデカンテーションで集めてから容量を測
り、1mlあたり0.33gの割合で粉末にした硫安を撹拌しな
がら少しずつ加え、添加後さらに30分間撹拌した。攪
拌後トミー社製TA13ローターまたはSorval社製 ss34ロ
ーターまたはBeckman社製JA20ローターを使用して約10,
000×gで1時間遠心を行い沈殿を得た。この沈殿に10ml
の透析バッファー(20 mM HEPES pH7.9, 100 mM KCl, 1
2.5 mM MgCl2, 17% Glycerol, 0.1 mM EDTA, 2 mM DT
T)を加え溶解した後、タンパク溶解液を透析バッファ
ーにて16時間程度透析した。透析後日立社製RP65Tま
たはBeckman社製 Type50を使用して、100,000×gで1時
間遠心を行い得られた上清をカイコ絹糸腺抽出液とし
た。
【0094】実施例2:特異的DNA結合活性の検出(ゲ
ルシフト法:EMSA) カイコフィブロイン遺伝子転写制御領域に特異的に結合
するタンパク質が含まれる画分を同定するために、ゲル
シフトアッセイを行った。ゲルシフトアッセイは滝谷等
(Takiya et al (1997) Biochem. J. 321, 645-653)お
よび松尾等(Matsuno et al (1990) Nucl. Acids Res.
18, 1853-1858)に示された方法で行った。また、各画
分中のタンパク質量はBradford法(BioRad社製 Protein
Assay)により行った。具体的には、結合反応は、10μ
lの反応液中で行った。反応液10μl 中には標準組成
として、12 mM HEPES pH7.9, 7.5 mM MgCl2, 1.2 mM DT
T,0.1-0.2 mM EDTA, 17-20% Glycerol, 1 μg poly(dI
-dC)poly(dI-dC), 0.4-0.5 ng oligo DNA probe, 60 mM
KCl, 2-6 μlタンパク質分画(タンパク質量として12
μg以下)を含む。なお、カラムからの溶出分画および
SDS PAGE からの回収画分の活性測定では 60-140 mM K
Cl または 100-240 mM NaCl, 2 mM heptyl-thioglucosi
de または 0.02% NP40 などを含むが、これらが本質的
に測定に影響を与えない。上記反応液を氷上で30分間
置いた後、非変性条件下で電気泳動による特異的結合の
検出を行った。ゲルは7% ポリアクリルアミドとし、1 x
TBEバッファー(50 mM Tris-Borate pH8.3, 1 mM EDT
A)中で、200-250 V の電圧一定で泳動した。泳動後、
ゲルを乾燥してオートラジオグラフィーを行った。
【0095】実施例3:ゲルからのタンパク質の回収と
精製 タンパク質の回収と精製はイノマタ等(Inomata et al.
(1992) Analytical Biochem. 206, 109-114)およびオ
リッツ等(Ortiz et al (1992) FEBS Lett.)に示され
た方法により行った。具体的には、電気泳動後ゲルを数
秒間 水で洗った後、0.2 M イミダゾール、0.1% SDS 中
で5分間振とうした。次にイミダゾール液を除去した
後、0.3 M ZnSO4 液中で振とうし、バックが白く染まり
タンパク質バンドが現れるのを確認(1ー3分程度)し
た後、ただちにZnSO4 溶液を捨てゲルを水で洗浄した。
続いて、タンパク質のバンドを含むゲルを切り出して1.
5ml チューブに入れ、2% クエン酸(1 ml)溶液中で1
0分間振とうして脱色した。さらに溶液を交換して、再
度5分間脱色した後、ゲルを細かく砕いて、 100μl
の抽出バッファー(50 mM Tris pH7.9, 150 mM NaCl,
0.1 mM EDTA, 5 mMDTT, 0.1% SDS, 100 μg/ml BSA)を
加えて室温で一晩振とうした。ミリポア社製ウルトラフ
リー C3GV フィルターでゲルを除いた後、少量の抽出バ
ッファーでゲル、フィルターを洗った。これらの操作に
より、ゲル中のタンパク質は150-200 μl 程度に回収
できた。
【0096】回収された溶液に-20℃に冷却した5倍量
のアセトンを加え混合し、マイクロ遠心機で遠心して
(15000 rpm, 4℃)ペレットを回収した。ペレットは真
空状態で短時間乾燥し 200 μl の変性溶液(6 M グア
ニジン塩酸、50 mM Tris pH7.9,150 mM NaCl, 0.1 mM E
DTA, 1 mM DTT, 20% Glycerol, 0.1% NP40, 100 μg/ml
BSA)に溶解した。溶液は室温で30分間放置後、300ml
の再生用バッファー(50 mM Tris pH7.9, 100 mM NaCl
, 12.5 mM MgCl2, 0.1 mM EDTA, 1 mM DTT, 20%Glycer
ol, 0.1% NP40)に8時間透析した。この操作は2回繰り
返した。回収したタンパク質の濃度は、濃度既知のタン
パク質と同じゲルで泳動し、その染色程度で算定した。
【0097】実施例4:P36タンパク質の分画 BYBタンパク質の分画は滝谷および鈴木の報告(Takiya
& Suzuki (1989) Eur.J. Biochem. 179, 1-9)に示した
方法を改変して行った。実際には、標準的方法で準備し
たPhosphocellulose(10 ml bed vol.;ワットマン社製)
を、K300バッファー(20mM HEPES pH7.9, 300mM KCl, 1
mM EDTA pH8.0, 15% Glycerol, 2mM DTT)で平衡化した
カラムを作製した(外径16mmのカラム管で高さ7ー8c
m)。500頭分のカイコから、実施例1に記載した方法に
より得られたカイコ絹糸腺抽出液をEDTA濃度12.5mMに変
更したK300バッファーに透析し、透析後の抽出液を1時
間あたり30mlの速さでカラムに添加した。抽出液添加
後、カラムを50mlのK300バッファーで洗浄し、さらに30
mlのK500バッファー(KCl濃度を500mMに変更したK300バ
ッファー)を添加して溶出液を2mlずつ分取した。
【0098】上記分画物を用い、実施例2に記載された
方法によりゲルシフトアッセイを行った。反応に用いた
oligo DNA probeの配列は Fb(+290):5’-aattGATGAATCTATGTAAATACTGGGCAGAC(配
列番号3) であり、前記分画物中に存在するDNA結合タンパク質FMB
P-1が結合する領域である、カイコフィブロインH鎖遺伝
子のプロモーター領域+280から+307の塩基配列
に相当する。
【0099】ゲルシフトアッセイの結果、標的オリゴDN
Aと強い結合活性を有するタンパク質の存在が認められ
た溶出画分計5画分の溶出液をまとめて、DNA cellulos
e column chromatographyによりさらに精製を行った。K
500バッファーで平衡化したnative calf thymus DNA ce
llulose(アマシャムファルマシア社製300ml)に上記5
画分混合溶液を添加した。カラムは300mlのN550バッフ
ァー(K500バッファーのKClを550mM NaClに変更し、10m
M heptyl-thioglucosideおよび1mg/ml ロイペプチンを
添加)および300mlのN600バッファー(K500バッファー
のKClを600mM NaClに変更)で洗浄した。洗浄後3mlのN9
00バッファー(K500バッファーのKClを900mM NaClに変
更)を添加し、DNA結合性タンパク質を含む溶出液を得
た。この溶出液中に標的オリゴDNAに対する特異的なDNA
結合活性を有するタンパク質が含まれる事をゲルシフト
アッセイにより確認した後、この画分をStrataClean re
sin(STRATAGENE社製)を用いて濃縮し、濃縮物を用い
て定法に従いSDS PAGE(Laemmli法)を行った。電気泳
動終了後、銀染色法(第一化学社製、2D 用シルバース
テインキット)によりゲルの染色を行い分離パターンの
確認を行った。
【0100】その結果、主要なタンパク質バンドが数本
認められたため、実施例3に記載の方法により、それら
のバンドをゲルから回収して、実施例2に記載の方法に
より、ゲルシフトアッセイによる解析を行なった。その
結果、これらのバンドの中には、標的オリゴDNAを認識
して結合する転写因子FMBP1タンパク質の活性が分子量3
2kDa付近に検出された。
【0101】FMBP-1 の性質は滝谷の報告( Takiya et
al 1997 Biochem. J.)にある。この他、分子量36kDaの
タンパク質が FMBP1と標的DNAとの結合活性を促進する
ユニークな活性を有することが判明した。
【0102】実施例5:P36タンパク質のアミノ酸配列
の決定 実施例1と3に記載の方法により、約1000頭分のカ
イコ後部絹糸腺抽出液からDNA cellulose カラム結合分
画を得た。この画分を濃縮した後、直接調製用ゲルで分
離、CBB 染色によって、実施例4記載の、数μg相当の
分子量 36 kDaのタンパク質を検出した。p36 タンパク
質バンドを切り出した後、1.5 ml チューブに移し、0.5
M Tris pH9:アセトニトリル=1:1を加え、脱色さ
れるまで30分間振とうした。上清を捨て、真空中で半
乾燥状態にした後、0.5 μgのリシルエンドペプチダー
ゼを含む溶液(100 mM Tris pH9.0、0.02% Tween20)50
μlを加え、ゲルを再膨潤した。37℃で20時間保温
した後、上清を新しいチューブに移した。ゲルを細かく
砕いた後、200 μl の 100 mM Tris pH9.0, 0.02% Twe
en20 を加え、ミリポア社製ウルトラフリー C3GVフィル
ターを通して抽出液を得た。さらに 100 μl の Tris,
Tween 溶液を加え、ゲルとフィルターを洗ってから、
約350μlのペプチダーゼ処理液をまとめた。アミノ酸
配列の決定は以下のように行った。ペプチダーゼ処理液
をスピードバック濃縮機により1/3程度に濃縮した
後、HPLC によりペプチドマップを作成し、ピークフラ
クションを分取した。各ピークをパーキンエルマーアプ
ライドバイオシステム社のプロテインシーケンサ492
にかけ、エドマン分解法(Edman,P.E. 1956 Acta Chem.
Scand.,10, 761-768)によってアミノ酸配列を決定し
た。
【0103】その結果5本のペプチドに関して以下の様
にアミノ酸配列が得られた。 i. APQPQPQQQLEQQPQAQQAK(配列番号4) ii. WFNVK(配列番号5) iii. SGYGFINRNDTK(配列番号6) iv. GFEAAGVTGPGGEPVK(配列番号7) v. PVGTTIETTTNES(配列番号8) 得られた部分アミノ酸配列についてBLAST (Altschul SF
et al (1990) J. Mol. Biol. 215; 403-410)によるホ
モロジー検索を行ったところ、これらのアミノ酸配列
が、ヒトのDbpA、DbpB、YB-1などY Boxタンパク質と総
称されるDNA結合性タンパク質(Wolffe et al (1992) N
ew Biol. 4, 290-298、Wolffe (1994) BioEssays 16, 2
45-251)と高い相同性を示すことから、当該タンパク質
がY Box(以下「YB」と略す) タンパク質ファミリーに
属することが明らかになり、本p36タンパク質をBYBタン
パク質と命名した。
【0104】実施例6:BYBタンパク質のcDNAのクロー
ニング 5齢12時間のカイコ幼虫18頭分の後部絹糸腺より、
アマシャムファルマシア社製 Quick Prep mRNA 精製キ
ットにて、添付プロトコールに従い、約 100 μg のmRN
A を調製した。アマシャムファルマシア社製 Time Save
r cDNA 合成キットを使用し、添付プロトコールに従
い、オリゴdTプライマーを用いて、上記mRNAから2本鎖
cDNAを合成した。得られたcDNAは、Stratagene 社製λZ
apII EcoRI/CIAP arm とライゲーションした後、Strata
gene 社製 Gigapak III Gold パッケージ液を用いてパ
ッケージング反応を行った。反応液を用いてE. coli XL
1-blueMRF’ にトランスフェクションすることによっ
て、2.26 x 105の独立したクローンから成るサイズのcD
NAライブラリーを得た。生じたプラークは、ほぼ全てが
白いプラークを形成し、それらが組換え体であることが
示唆された。これらのうち、ランダムに拾った12プラ
ークのうち11プラークのファージにインサートが確認
され、インサートcDNAの長さは平均 1.6 kbであった。
ライブラリーは1回のみ増幅し、5 x 1010pfu/mlのファ
ージ液を調製、以下のスクリーニングに使用した。
【0105】前述したようにBYBタンパク質の部分アミ
ノ酸配列のホモロジー解析からBYBはYBホモログである
ことから、公知のYBホモローグアミノ酸配列と対比する
ことにより、各ペプチドの相対的な位置関係を確定し、
BYB より決定されたアミノ酸配列および YB ファミリー
における高度保存配列を参考に、以下のプライマーを合
成した。
【0106】5’側プライマー;{VK}WFNVK に対しp36-
1:GTNAAGTGGTTYAAYGTVAA(配列番号9) 3’側プライマー;FEAAGV に対し p36-2:ACNCCNGCNG
CYTCRAA(配列番号10) 上記cDNAを鋳型として、p36-1, p36-2 各 0.5 ugをプ
ライマーとしたPCRを、94℃ 1分、42℃ 2分、72℃ 2
分、30サイクルの条件で行った。ポリアクリルアミド
ゲル電気泳動により特異的に増幅された約 200 bpのDNA
バンドを切り出した。0.5 M NH4OAc, 1 mM EDTA, 0.5%
SDS を加え、37℃ 一晩振とうし抽出した後、エタノー
ル沈澱により DNA を回収、少量の TE に溶解した。Pfu
DNAポリメラーゼ(Stratagene社製)を用いて DNA 断
片の末端を平滑化した後、pBluescript KS(-)(Stratag
ene社製)の EcoRV サイトへTakara社製ライゲーション
キット(Ver.2)を用いてライゲーションし、E.coli JM
109 に形質転換した。Blue/White 選択により数個のWhi
teコロニーを選び、インサートの存在を確認した後、定
法により、DNAシーケンシングを行った。
【0107】決定された PCR クローンの内部配列よ
り、 5’GATGGCAGTCTGAT GCACAAACACATCTTC3’(配列番号
11) を p36-3 として合成した。p36-3 の5’末端を32P標
識しプローブとした。定法により plating した cDNA
ライブラリーをニトロセルロースフィルターに転写し、
0.5 N NaOH, 1.5 M NaCl で変性、1.5 M NaCl, 0.5 M T
ris pH7.4 で中和、2 x SSC で洗った後、80℃ でDNAを
固定した。フィルターは、6 x SSC, 0.5%SDS, 1 mM EDT
A で 45℃、2時間洗った後、6 x SSC, 5 x Denhardt’
s soln, 0.5% SDS, 100 ug/ml ssDNA で45℃、2時間振
とう処理した。ハイブリダイゼーションは、同じ組成の
溶液に 10 6 cpm/ml のプローブを加え、45℃ 一晩行っ
た。フィルターは、2 x SSC, 0.1% SDS で室温20分
間、さらに、1 x SSC, 0.1%SDS 49℃ で20分間数回振
とうして洗った。フィルターは乾燥してオートラジオグ
ラフィーを行った。多数のポジティブプラークのうち、
9プラークについて同様の操作を繰り返し、それぞれ単
一クローン化した。
【0108】単離したλZapII cDNA クローンからヘル
パーファージを用いてインサート領域をpBluescript SK
(-) (Stratagene社製) クローンとして取り出し、イ
ンサートのチェックを行った。7クローンは同じ mRNA
に由来し切断点のみが異なるBYB の独立クローンであっ
た。そのうち、最長のインサートを持つと考えられたN
o.12 について詳細に解析し、両鎖それぞれ2回以上シ
ーケンスを確認した。
【0109】その結果、配列番号1に示したように全長
1396塩基からなるcDNA配列が得られた。この配列に
は、80番目から始まり859番目で終わるオープンリーデ
ィングフレームが見出された。また、3’端にはポリA
付加シグナルが存在した。このORFは、259アミノ酸
(推定分子量 27.7 kDa)より成るタンパク質をコード
していた(配列番号2)。
【0110】実施例7:BYBタンパク質の大腸菌での発
(7−1)発現プラスミドの構築 BYBタンパク質をGST(グルタチオンSトランスフェラー
ゼ)との融合タンパク質として大腸菌にて発現させるた
めのプラスミドpGEX-BYB(全長アミノ酸に対応)、pGEX
-delN(アミノ酸120‐259に対応)、pGEX-delC(アミノ酸1
‐141に対応)、は、以下のように構築した。 BYB遺伝子
の ORF 中の開始コドンATG 部位を含んだCCATGG(配列
番号1の78-83)を NcoIで切断した後、Klenow Polymer
aseで 平滑化した。さらに、cDNA合成時に用いたアダ
プター配列内の NotI部位で切断し、得られたNcoI-NotI
断片をプラスミドpGEX-4T1(アマシャムファルマシア
社)の SmaI, NotI 間に挿入し、プラスミドpGEX-BYBを
構築した。BYBタンパク質のコールドショックドメイン
の3‘側末端のPstI部位CTGCAG(配列番号1の432−
437)で切断、Klenow Polymeraseの nuclease 活性
により平滑化した。さらに、アダプター配列内のNotI
で切断し、PstI-NotI 断片を pGEX-4T2(アマシャムフ
ァルマシア社) の SmaI, NotI 間に挿入して、プラス
ミドpGEX-delNを構築した。pGEX-BYB を SacI(配列番
号1の501−506)と、アダプター配列内のNotI で切断
し、 Klenow Polymeraseを用いて平滑化、さらに閉環化
して、pGEX-delCを構築した。構築したプラスミド中のB
YB遺伝子挿入断片についてDNAシーケンシングにより、D
NA配列が正しいことを確認した。
【0111】(7−2)BYB タンパク質の大腸菌での発
現と精製 pGEX-BYB クローン(E. coli DH5α)を30mlのルリア培
地中、30℃で一晩培養した後、LB 培地で5x 希釈し30
℃でさらに1時間培養した。0.1 mM IPTG を加えて3時
間培養、集菌して PBS で洗浄後、 5 ml PBS, 1% Trito
n X-100 を加え、超音波で細胞を破壊した。8000 rpm,
30 分間遠心分離で残さを除き、上清にグルタチオンセ
ファロース4B(アマシャムファルマシア社) 200μl
懸濁液を加え、4℃ 一晩混合した。遠心(3000 rpm, 10
分間)でセファロースを集め、50 ml のPBS で洗浄、
さらに50 mlの50 mM Tris pH8.0 で洗浄した。回収した
グルタチオンセファロースを溶出液(50 mM Tris pH8.
0, 20 mM グルタチオン)100 μl に懸濁し、4℃ で5
分間振とう後、遠心し上清を回収した。融合タンパク質
をトロンビンで処理し、GST と BYB を分離する場合
は、融合タンパク質をセファロースに吸着させたまま、
100 μl の 50 mM Tris pH7.5, 150 mM NaCl,2.5 mM C
aCl, 0.5 μg トロンビン、を加えた。室温で1時間
反応させた後、遠心して上清を回収し、BYBタンパク質
を得た。組換えタンパク質を SDS PAGEにより精製する
場合は、実施例3記載の方法で行った。
【0112】(7−3)抗BYBタンパク質抗体の作成お
よびこれを用いた解析 (7−2)にて調整したGSTとBYBのアミノ酸120-259部
分との融合タンパク質(以下、「GST-delN」いう)を抗
原としてウサギを免疫し、抗 BYB 血清を調製した。こ
の抗体を用いてウエスタン解析を行ったところ、前記実
施例3記載の方法でカイコ絹糸腺からSDS PAGE 精製し
た 分子量約36kDaのタンパク質に対して反応したことか
ら、クローニングしたBYB遺伝子が同一のタンパク質を
コードすることが確認できた。また、絹糸腺の粗抽出液
やDNA cellulose カラム結合フラクションについて、同
様に解析を行ったところ、いずれのサンプルについても
36kDa のバンドのほかに28 kDa 附近に薄いバンドが検
出されこと、大腸菌で合成される組換え体タンパク質が
約 28 kDa であることから、本タンパク質が修飾または
SDS PAGE での移動度に影響する構造変換を受けている
ことが示唆された(データは示していない)。
【0113】実施例8:BYBタンパク質の転写因子とDNA
との結合促進効果 (8−1)FMBP-1と特異的DNAとの結合促進効果 実施例3記載の方法により、ゲル から回収した BYBタ
ンパク質(2 ng/μl)と実施例1と3記載の方法によ
り調製した分子量32kDaタンパク質を含む FMBP-1フラク
ションについて、FMBP-1 の結合配列を持つ実施例4記
載のFb(+290 )オリゴプローブへの結合を、実施例2記
載のゲルシフト法によりそれぞれ単独および混合して比
較した(図3)。FMBP-1は精製が完了していないためタ
ンパク質量は不明で、添加量をゲルからの抽出原液を基
準に容量比(実際には μl)で示しており、これを相
対ユニットとした。BYBタンパク質は Fb(+290)プローブ
に特異的結合活性を示さなかったが、BYB タンパク質は
FMBP-1の結合を促進または安定化する機能を持つ事が示
された。
【0114】さらに、大腸菌で発現したBYBタンパク質
のFMBP-1の特異的DNA結合への促進効果を検討した。組
換えBYBタンパク質は、実施例7記載の方法で調製し
た。反応条件は、実施例2記載の条件に従ったが、BYB,
FMBP-1 ともに 50 mM Tris pH7.9, 12.5 mM MgCl2, 10
0 mM NaCl, 1 mM EDTA, 20% Glycerol, 1 mM DTT, 0.1%
NP40 に溶解してあり、最終塩濃度はこの 0.6 x とな
る。コントロールの FMBP-1単独での活性もこれに合わ
せた。種々のBYBタンパク質の添加によるFMBP-1フラク
ション0.1ユニットの +290 プローブに対する結合促進
効果を調べた(図4)。その結果、GST-BYB (GSTとBYB
全長からなる融合タンパク質)は精製 BYB と同様に FM
BP-1 結合に対する促進効果を示し、その程度は添加量
に依存してることが示された。一方、コントロールの G
ST タンパク質は全く促進効果を示さなかった(結果は
示していない)。また、GST-delC( GSTとBYBのアミノ
酸1-141部分との融合タンパク質)、GST-delN(前出)
はいずれも結合促進効果を示したが、コールドショック
ドメインを有するGST-delCでは、FMBP-1とオリゴDNA複
合体量が少なく、結合促進活性がやや弱まることが示さ
れた。GST-delCで認められる高分子側のバンドはGST-de
lCと一本鎖オリゴDNAの非特異的結合によるアーティフ
ァクトと考えられる。一方、コールドショックドメイン
を完全に欠くGST-delNのみで、BYBタンパク質全体と全
く同じ促進効果が認められた(図4)。以上のことか
ら、BYBタンパク質による転写因子のDNA結合促進活性
は、主にタンパク質のC末端側(アミノ酸120‐259)に
担われていることが明らかにされた。
【0115】(8−2)BYBタンパク質の種々の転写因
子と特異的DNAとの結合促進効果 同様のゲルシフトアッセイにより、BYBタンパク質は他
の転写因子群に対しても、特異的 DNA 結合を促進する
ことを確認した(図5および図6)。すなわち、FMBP-1
とFb(+290)の他にも、OTF2A(ベーリンガー社:カタロ
グ番号1635352)とFb(+290)との特異的結合、並
びにSP1(プロメガ社:カタログE3391、Kadonaga, J.T.
et al (1987) Cell 51, 1079-)とFb(+290)の特異的結
合を促進することが確認された。さらに転写因子AP2
(プロメガ社:カタログE3071、Williams, T. et al (1
988) Genes and Dev. 2, 1557-)とSP1の認識配列を含
むオリゴDNA“AP2/SP1”:5’-aattAACTGGCCGCGGGCGGGT
AGTTCGATCA (配列番号12)との特異的結合、並びに
転写因子SP1とTBP(プロメガ社:カタログE3081、Peter
son, M.G. et al (1990) Science 248, 1625-)の認識
配列を含むオリゴDNA“Ad2MLP”:5’-aattGGGGGGCTATA
AAAGGGGGTGGGGGCGCG (配列番号13)のオリゴプロー
ブを用いて転写因子の結合促進活性を検討した結果、SP
1とAP2/SP1、SP1とAd2MLP、AP2とAP2/SP1、TBPとAd2MLP
の結合を促進することが確認された(図5および図
6)。
【0116】一方、FMBP-1とAP2/SP1、OTF2AとAP2/SP
1、AP2と+290のような非特異的結合の組み合わせでは、
BYBタンパク質による結合の促進効果は認められなかっ
た。
【0117】以上より、BYBタンパク質は、DNAとDNA結
合タンパク質の特異的結合を促進する活性を有すること
が明らかとなった。
【0118】実施例9:組換えBYBタンパク質による試
験管内転写反応の促進 組換えBYBタンパク質による試験管内転写反応への効果
を調べるために、以下の条件で試験管内転写反応を行っ
た。転写の鋳型としては、アデノウイルスの主要後期遺
伝子のプロモーター配列を含むAd2MLP with G-less cas
sette in pUC18cccDNA(Sawadogo & Roeder (1985) PNA
S 82, 4394-4398)、基本転写因子として、TFIIB (reco
mbinant in E. coli)、TBP (recombinant in E. col
i)、TFIIF(recombinant in Baculovirus)、RNA polymer
ase II (purified from calf thymus)を用いたが、これ
らの調製はマキノの方法(Makino, Y. et al (1999) Mo
l.Cell. Biol. 7951-7960)に従って行った。反応系
は、10 mM HEPES pH7.6、 25mM KCl、 6 mM MgCl2、 3%
Glycerol、620 mM ATP & UTP,、25 mM CTP、 5 mCiα-
32P-CTP、 200 mM O-methyl-GTPを含む。鋳型DNA、基本
転写因子、および表1に示した量の組換えBYBタンパク質
(加えたBYBタンパク質の欠失部分を考慮して、テスト
した3点についてBYBの間で互いに等モルになるように
グラム数を変えて添加してある)を加えて、20分間氷
上放置後、基質を添加し20μlとした後、27℃45分間
反応した。反応終了後、転写物をフェノール抽出、エタ
ノール沈澱後、定法の尿素PAGEにより解析を行った(図
7)。転写物のバンドをスキャンして定量した結果を表
1に示した。BYBタンパク質全長およびコールドショック
ドメインを含まないGST-delNタンパク質で、コントロー
ルの3〜6倍の転写促進活性が確認された。GST-delCタ
ンパク質では、転写促進活性はほとんど認められなかっ
た。このことからBYBタンパク質には、試験管内転写促
進活性があり、その活性はタンパク質のC末端側(アミ
ノ酸120‐259)に担われていることが明らかにされた。
【0119】
【表1】 実施例10:BYBタンパク質の制限酵素反応の促進効果 DNA配列を認識する制限酵素の反応液中でのBYBの効果を
検討した。反応系としては、 0.3 μgλDNA, 50 mM Tr
is pH8.0, 10 mM MgCl2, 100 mM NaCl が標準条件で、
これに 2 ngのBYBタンパク質 (ゲルからの回収の際に
100-200 ngのBSAを添加してある)を添加した。制限
酵素 0.1 U または 0.3 Uを加え 4℃ または 37℃ で保
温した。基質であるλDNA0.3 μg あたり 0.1 U の Eco
RI を加え BYB 2 ng (+100-200 ng BSA) を添加して0
分から180分までの反応をコントロールBSA と比較し
た。37℃で反応、反応終了後、3 μlの loading dye so
ln.(sucrose 30%, EDTA 30 mM, BPB 0.1%, XC 0.1%)
を加え、ただちに -20℃ 冷凍庫で凍らせた。全ての反
応が終了後 1% アガロースゲル電気泳動で反応を比較
した(図8)。また、同様にして調製した反応液を4℃ で
反応させた。この場合はEcoRI量を0.3 U添加した。その
結果、37℃ ではBYBタンパク質添加により、酵素反応が
早く進むことが示されたが(図8上段)、4℃で反応さ
せたところ、さらに酵素反応促進作用が顕著に認められ
た(図8下段)。即ち4℃では、BYB非添加群ではほとん
どDNA消化反応が進まなかったのに対し、BYB存在下では
反応が進行した。なお、この実験においてBYBの添加に
よって切断パターンが変化することはなかった。
【0120】さらに、BYB タンパク質の制限酵素反応を
促進する活性に関する機能領域を推定するために、種々
のBYBタンパク質を用いて、これらが制限酵素EcoRIのλ
DNA消化反応に対して促進効果を示すかどうかを調べ
た。実験に用いたのは、ゲルから回収したBYBタンパク
質(実施例3)2ng、GST-BYB 4ng、GST-delC 3ng、GST-de
lN 3ng、GST 2ngで、それぞれモル濃度が等しくなる量
用いている。反応は、実施例10記載の4℃での条件で実
験を行った(図9)。その結果、ゲルから回収したBYBやG
ST-BYB、GST-delNでは、GST-BYBと同様の促進効果が認
められた。一方、GST-delCはこれらが活性を示した条件
では促進効果は認められなかったが、100ngまで量を増
加させると促進効果を示すことがわかった。この結果は
GST-delCが弱いながらも特異的結合を促進する効果を持
っていることと対応する。また、GSTではこの促進効果
は全く認められなかった。これらの結果より、BYBタン
パク質による制限酵素反応の促進活性は、主にBYBタン
パク質のC末端側(アミノ酸120‐259)に担われている
ことが明らかにされた。
【0121】また、他の制限酵素に対する促進効果をに
ついても調べた。この実験では、GST-delNを100ng用い
て、各制限酵素の反応の至適条件で4℃反応を行った。
その結果、Asp700、BamHI、EcoRV、HinfIに対して促進
効果が確認できた。また、PstIでは、コントロールでも
ほとんど反応が進行していたものの、GST-delN添加によ
って切れ残りのバンドが消失しており、促進効果がある
ものと考えられた。以上の結果により、BYBタンパク質
は制限酵素の配列特異性には影響を及ぼさずに、その活
性を促進することが確認された。
【0122】実施例11:BYBタンパク質の最小機能領
域の推定 BYB タンパク質の有するDNA結合タンパク質とDNAとの結
合を促進する活性に関して、その最小機能領域を推定す
るために以下の実験を行った。すなわちBYBタンパク質
の部分ペプチド断片を調製して、FMBP-1 とその結合配
列 +290 オリゴプローブへの結合を、実施例2記載のゲ
ルシフトアッセイ法で調べた。実験に用いたペプチドの
領域と結合促進活性の相対活性(コントロールのBSAの
みの時を1とした)は、表2に示した。これらのペプチ
ド配列は、図1および2に示したようなBYBタンパク質
に特徴的な領域を含み、それぞれGSTとの融合タンパク
質として発現した。このため、実施例7記載のプラスミ
ドpGEX-4T1、pGEX-delN、pGEX-delC以外に、表2に記載
のアミノ酸領域を発現するプラスミドを構築した。これ
らのアミノ酸領域に対応するDNAは、完全合成するか、P
CRにより対応するDNA配列を増幅して、それぞれpGEX−
4T3(アマシャムファルマシア社)のEcoRIとXhoI間に
連結してプラスミドを構築した。PCRに用いたプライマ
ーは、増幅断片の5’側にEcoRI認識配列と3’側にXhoI
認識配列ができるようにデザインした。この実験の結果
から、転写因子とDNA結合の促進活性を有する主要な領
域は、BYBタンパク質のC末端側のG1領域からB/A3領域
(アミノ酸134‐207)にかけて存在することが示され
た。さらにこの活性は、その一部の領域を欠失しても保
持されるが、特にBasic / Aromatic domain2と3(図
1中B/A2とB/A3)が活性には必須であり、これらのうち
最低1個のドメインとGlycine rich-domain1と2(図1
中G1、G2)のうち少なくとも1つ以上のドメインを有す
ることが十分な促進活性に重要であることが示唆され
た。
【0123】また、これらの部分ペプチドを用いて実施
例10記載の制限酵素反応の促進活性比較を行ったとこ
ろ、G1-G2、G2-Q2、B/A3に反応促進効果が認められ、G2
やQ2単独では促進効果が認められなかった(結果は示し
ていない)。以上の結果より、BYBタンパク質の制限酵素
反応促進効果と転写因子−DNA結合促進活性は、BYBタン
パク質の同一領域に担われていることが示唆された。
【0124】
【表2】 実施例12:動物細胞におけるBYBタンパク質の発現と
機能 (12−1)発現ベクターの構築 BYB cDNAを鋳型に、以下の配列のプライマーを用いてPC
R(LA Taq ;TAKARA社)を行い、両端に制限酵素XhoI認
識配列を持ちかつSV40LargeT抗原の核移行シグナルに対
応する領域を5’末端に有する3種類のDNA断片を作製し
た。
【0125】使用したプライマーは、 PBYF;5’AGTCCTCGAGACCATCGCCGTTCGCCAATTACACCATGGC (配列番号14) CBYF;5’AGCTCTCGAGATGTATGCTGCAGACAAGCGCCGTGGCTACCAC(配列番号15) NBYR;5’CGATCTCGAGCTATCCGCCACCTTGACGAGGGAAATATTGGCG(配列番号16) PBYR;5’GACTCTCGAGCATAACGGCCTCTGGATGTCTAGGCCTGGC(配列番号17) であり、PBYFとCBYFは、SV40のLargeT抗原N末端側の4ア
ミノ酸MDKV(+1〜+4)および核移行シグナルペプチドPKKK
RKVEDP(+126〜+135)に対応するDNA配列(Kalderon, D. e
t al., Cell 39, 499-509, 1984)を含んでいる。
【0126】定法に従ったPCRにより、PBYF+PBYR、 PB
YF+NBYR 、CBYF+PBYRの各組み合わせにて、SV40Large
T抗原の核移行シグナルに対応する領域の3’末端にそれ
ぞれBYBタンパク質全長、BYBタンパク質N末端側(アミ
ノ酸1〜136)、BYBタンパク質C末端側(Met+アミノ酸1
17〜259)がコードされたDNA断片が得られた。PCR産物
をXhoIで消化後、High Pure PCR Product Purification
Kit (Roche Diagnostics社製)を用いて精製し、定法に
従ってpBluescript SK(-)のXhoI部位に挿入、大腸菌DH5
αに導入してインサートが入ったプラスミドを得た。得
られた各プラスミドはQIAGEN-tip 100(キアゲン社製)
を用いて精製した。精製DNAを用いてThermo Sequenase
ダイ・ターミネーターキット(アマシャムファルマシア
社製)にてM13フォワードおよびリバースプライマーを用
いて反応。ABI PRISM 377 Analyzer (Perkin Elmer/ Ap
plied Biosystems社製)により塩基配列の確認を行っ
た。
【0127】塩基配列確認を行った後に各プラスミドを
XhoIで消化し、アガロースゲル電気泳動によりBYB遺伝
子断片を分離した。ゲルからAgarose Gel DNA Extracti
on Kit (Roche Diagnostics社製)を用いてDNAを精製
し、定法に従ってpCI-neo (Promega社製)のXhoI部位に
挿入した。これをSTBL2 competent cell (Gibco BRL社
製)に導入して動物細胞発現用プラスミドpCI-Full(全
長発現用)、pCI-delC(N末端側発現用)、pCI-delN(C
末端側発現用)をそれぞれ得た。得られた各プラスミド
はQIAGEN-tip 500(キアゲン社製)を用いて精製し、動
物細胞株のトランスフェクションに用いた。
【0128】(12−2)培養細胞株への導入と発現確
認 アフリカミドリザル腎由来COS-7細胞は、10%のウシ胎
仔血清を含むDMEM (Gibco BRL社製)で培養した。12‐1
で作製したプラスミドの導入はリン酸カルシウム法(Fr
ederick M. Ausubelら編、Current Protocols発行、Cur
rent Protocolsin Molecular Biology ; chapter 9)を
用いて行った。1×10のCOS-7細胞に1μgの各プラス
ミドを用いてトランスフェクションを行い、48時間後に
細胞をPBS(-)で洗浄後回収し、80μlの1×SDS gel-load
ing buffer (50mM Tris-Cl (pH 6.8), 100mM DTT, 2% S
DS, 0.1% BPB, 10% glycerol)に懸濁した。氷上で10秒
間超音波処理後、12,000×g, 1 min, 4℃の遠心を行
い、上清10μlを用いてSDS-PAGEを行った。実施例6記
載の抗体を用いたウエスタン解析により、各タンパク質
の動物細胞における発現を確認した。
【0129】(12−3)BYBタンパク質の遺伝子発現
への効果 BYBタンパク質の遺伝子発現に対する効果を観察するた
めに、レポーター遺伝子とBYB遺伝子の共導入を行っ
た。レポーター遺伝子にはLuciferaseを用いた。pGL2-B
asic (Promega社製)を制限酵素XhoIおよびDraIで消化
し、1.9kbのDNA断片を回収した。このDNAのDraI切断末
端にpXhoIリンカー(TAKARA)を定法に従って連結し、
得られた断片を宮崎等(Miyazaki J., et al. Gene 79;
269-277 (1989))の報告に記載されたpCAGGSのXhoI部
位に挿入しpCAG-Lucを作製した。以下の組み合わせでpC
AG-Lucと各プラスミドをCOS-7細胞にリン酸カルシウム
法で共導入した。
【0130】 1μgのpCAG-Lucと、0.5、1、2μgの各BYB発現プラスミ
ド、または対照として用いたpUC19、pCI-neoをそれぞれ
1×10のCOS-7細胞にリン酸カルシウム法で共導入し、
48時間後に回収、Dual Luciferase Assay System (Prom
ega社製)を用いてLuciferase発現量を測定した。
【0131】その結果を図10に示す。pCAG-LucとpCI-
neoを共導入すると、pUC19の場合の1/10にLuciferase発
現が低下することが示された。これはpCI-neoの影響に
より、pCAG-Lucの発現が阻害されたことを示している。
BYB発現プラスミドを共導入した場合には、この発現抑
制が解除される傾向を示した。この傾向はBYBタンパク
質のC端側により顕著であった。pCI-neoにより抑制され
た遺伝子発現がBYBタンパク質により回復するというこ
の現象は、BYBタンパク質が転写因子とDNAとの特異
的結合を促進することにより転写レベルで遺伝子発現を
増強させたことによると考えられる。
【0132】
【配列表】 SEQUENCE LISTING <110> Kirin Beer Kabushiki Kaisha <120> Protein promoting the binding of DNA and DNA-binding factor and gene encoding the same <130> 128470 <140> <141> <160> 18 <170> PatentIn Ver. 2.1 <210> 1 <211> 1104 <212> DNA <213> Bombyx mori <220> <221> CDS <222> (75)..(851) <400> 1 aagcggtgaa catcgaggag aggtcgtgga gtattttacc atctttgcca ccatcgccgt 60 tcgccaatta cacc atg gct gat acc gaa aag gcg ccg cag ccg cag ccc 110 Met Ala Asp Thr Glu Lys Ala Pro Gln Pro Gln Pro 1 5 10 caa caa caa cta gaa caa caa cct caa gct caa caa gct aaa aca gtt 158 Gln Gln Gln Leu Glu Gln Gln Pro Gln Ala Gln Gln Ala Lys Thr Val 15 20 25 aaa caa aag cag gtc atc gct gag aaa gta tcg ggc act gtg aaa tgg 206 Lys Gln Lys Gln Val Ile Ala Glu Lys Val Ser Gly Thr Val Lys Trp 30 35 40 ttc aac gtc aag agt gga tat ggt ttc atc aac agg aat gac acc aag 254 Phe Asn Val Lys Ser Gly Tyr Gly Phe Ile Asn Arg Asn Asp Thr Lys 45 50 55 60 gaa gat gtg ttt gtg cat cag act gcc atc gcc cgt aac aac cca cgt 302 Glu Asp Val Phe Val His Gln Thr Ala Ile Ala Arg Asn Asn Pro Arg 65 70 75 aag gct gtg cgc tcg gtc ggc gac gga gag gcg gtg gag ttt gcc gtg 350 Lys Ala Val Arg Ser Val Gly Asp Gly Glu Ala Val Glu Phe Ala Val 80 85 90 gtt gcc ggg gag aaa ggc ttt gaa gca gct ggt gtt act ggt ccc ggt 398 Val Ala Gly Glu Lys Gly Phe Glu Ala Ala Gly Val Thr Gly Pro Gly 95 100 105 ggt gag cca gta aaa ggc tca cct tat gct gca gac aag cgc cgt ggc 446 Gly Glu Pro Val Lys Gly Ser Pro Tyr Ala Ala Asp Lys Arg Arg Gly 110 115 120 tac cac cgc caa tat ttc cct cgt caa ggt ggc gga cga ggc ggt gaa 494 Tyr His Arg Gln Tyr Phe Pro Arg Gln Gly Gly Gly Arg Gly Gly Glu 125 130 135 140 gga gct cca cgc aga gga gga tta gga cgt cgt gga ccc ccg ccc aac 542 Gly Ala Pro Arg Arg Gly Gly Leu Gly Arg Arg Gly Pro Pro Pro Asn 145 150 155 caa ggg ggt gca caa gga gat gag ggt caa gaa gga ggc att gta cca 590 Gln Gly Gly Ala Gln Gly Asp Glu Gly Gln Glu Gly Gly Ile Val Pro 160 165 170 tct cag cgc agt ttt ttc cgt cgc aat ttt cgc ggt gga cgc cgt ggg 638 Ser Gln Arg Ser Phe Phe Arg Arg Asn Phe Arg Gly Gly Arg Arg Gly 175 180 185 gga ggt cct ggc cca atg aat aga gga ggg ttc cgc cga gtg cgt ccg 686 Gly Gly Pro Gly Pro Met Asn Arg Gly Gly Phe Arg Arg Val Arg Pro 190 195 200 cgc aat ttc cag gcg ggg cag gga gga caa aat cag gct cag cgc caa 734 Arg Asn Phe Gln Ala Gly Gln Gly Gly Gln Asn Gln Ala Gln Arg Gln 205 210 215 220 aat ggc cag gat gga gat gcc tca gct aca aca tca aac caa cag cag 782 Asn Gly Gln Asp Gly Asp Ala Ser Ala Thr Thr Ser Asn Gln Gln Gln 225 230 235 ggg gcc aag cct aaa agt aac aaa cct gtt ggt act act att gag aca 830 Gly Ala Lys Pro Lys Ser Asn Lys Pro Val Gly Thr Thr Ile Glu Thr 240 245 250 act acc aat gag agc cag gcc tagacatcca gaggccgtta tgtgtggcac 881 Thr Thr Asn Glu Ser Gln Ala 255 atcatttatg tagtgcatgt tgattctagt tgtgtcacac tccacctcaa cttgtcttgt 941 ctgtacaact gatgagtgtt agtttttgat gttgtatcgc attgagatct ttgcgaattc 1001 tttatttgta ttggaacgta aggagcgggg tctctaatct ggaactgcat aggtatcatt 1061 ggatcaaaga tgtgatattt ttatcataat atattgatga att 1104 <210> 2 <211> 259 <212> PRT <213> Bombyx mori <400> 2 Met Ala Asp Thr Glu Lys Ala Pro Gln Pro Gln Pro Gln Gln Gln Leu 1 5 10 15 Glu Gln Gln Pro Gln Ala Gln Gln Ala Lys Thr Val Lys Gln Lys Gln 20 25 30 Val Ile Ala Glu Lys Val Ser Gly Thr Val Lys Trp Phe Asn Val Lys 35 40 45 Ser Gly Tyr Gly Phe Ile Asn Arg Asn Asp Thr Lys Glu Asp Val Phe 50 55 60 Val His Gln Thr Ala Ile Ala Arg Asn Asn Pro Arg Lys Ala Val Arg 65 70 75 80 Ser Val Gly Asp Gly Glu Ala Val Glu Phe Ala Val Val Ala Gly Glu 85 90 95 Lys Gly Phe Glu Ala Ala Gly Val Thr Gly Pro Gly Gly Glu Pro Val 100 105 110 Lys Gly Ser Pro Tyr Ala Ala Asp Lys Arg Arg Gly Tyr His Arg Gln 115 120 125 Tyr Phe Pro Arg Gln Gly Gly Gly Arg Gly Gly Glu Gly Ala Pro Arg 130 135 140 Arg Gly Gly Leu Gly Arg Arg Gly Pro Pro Pro Asn Gln Gly Gly Ala 145 150 155 160 Gln Gly Asp Glu Gly Gln Glu Gly Gly Ile Val Pro Ser Gln Arg Ser 165 170 175 Phe Phe Arg Arg Asn Phe Arg Gly Gly Arg Arg Gly Gly Gly Pro Gly 180 185 190 Pro Met Asn Arg Gly Gly Phe Arg Arg Val Arg Pro Arg Asn Phe Gln 195 200 205 Ala Gly Gln Gly Gly Gln Asn Gln Ala Gln Arg Gln Asn Gly Gln Asp 210 215 220 Gly Asp Ala Ser Ala Thr Thr Ser Asn Gln Gln Gln Gly Ala Lys Pro 225 230 235 240 Lys Ser Asn Lys Pro Val Gly Thr Thr Ile Glu Thr Thr Thr Asn Glu 245 250 255 Ser Gln Ala <210> 3 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Binding sequence Fb(+290) <400> 3 aattgatgaa tctatgtaaa tactgggcag ac 32 <210> 4 <211> 20 <212> PRT <213> Bombyx mori <400> 4 Ala Pro Gln Pro Gln Pro Gln Gln Gln Leu Glu Gln Gln Pro Gln Ala 1 5 10 15 Gln Gln Ala Lys 20 <210> 5 <211> 5 <212> PRT <213> Bombyx mori <400> 5 Trp Phe Asn Val Lys 1 5 <210> 6 <211> 12 <212> PRT <213> Bombyx mori <400> 6 Ser Gly Tyr Gly Phe Ile Asn Arg Asn Asp Thr Lys 1 5 10 <210> 7 <211> 16 <212> PRT <213> Bombyx mori <400> 7 Gly Phe Glu Ala Ala Gly Val Thr Gly Pro Gly Gly Glu Pro Val Lys 1 5 10 15 <210> 8 <211> 13 <212> PRT <213> Bombyx mori <400> 8 Pro Val Gly Thr Thr Ile Glu Thr Thr Thr Asn Glu Ser 1 5 10 <210> 9 <211> 20 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer for BYB gene <400> 9 gtnaagtggt tyaaygtvaa 20 <210> 10 <211> 17 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer for BYB gene <400> 10 acnccngcng cytcraa 17 <210> 11 <211> 30 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Probe for BYB gene <400> 11 gatggcagtc tgatgcacaa acacatcttc 30 <210> 12 <211> 32 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Binding sequence AP2/SP1 <400> 12 aattaactgg ccgcgggcgg gtagttcgat ca 32 <210> 13 <211> 33 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: Binding sequence Ad2MLP <400> 13 aattgggggg ctataaaagg gggtgggggc gcg 33 <210> 14 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer for BYB gene <400> 14 agtcctcgag accatcgccg ttcgccaatt acaccatggc 40 <210> 15 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer for BYB gene <400> 15 agctctcgag atgtatgctg cagacaagcg ccgtggctac cac 43 <210> 16 <211> 43 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer for BYB gene <400> 16 cgatctcgag ctatccgcca ccttgacgag ggaaatattg gcg 43 <210> 17 <211> 40 <212> DNA <213> Artificial Sequence <220> <223> Description of Artificial Sequence: PCR primer for BYB gene <400> 17 gactctcgag cataacggcc tctggatgtc taggcctggc 40 <210> 18 <211> 14 <212> PRT <213> Simian virus 40 <400> 18 Met Asp Lys Val Pro Lys Lys Lys Arg Lys Val Glu Asp Pro 1 5 10
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるタンパク質のアミノ酸配列および
それをコードするDNA配列を示した図である。YBタ
ンパク質に特徴的に見出されるコールドショックドメイ
ン(CSD)を黒枠で囲んだ。また、本発明によるタン
パク質に特徴的に認められるGlycine rich-domein(G1,
G2)、Glutamine rich-domain (Q1,Q2)、Basic/Aromati
c-domain (B/A1,B/A2)の位置を示した。さらに、精製し
たp36タンパク質から得られた部分アミノ酸配列を図
中矢印で示した。
【図2】図1に記載される配列の続きである。
【図3】FMBP−1(32kDa)のFb(+29
0)オリゴプローブへの結合に対するBYBタンパク質
の効果を示した図である(実施例8−1)。ゲルシフト
法により、FMBP−1フラクション(FMBP−1
Fr.)単独の場合、およびFMBP−1フラクション
と本発明によるタンパク質とを混合した場合とを比較し
た。
【図4】FMBP−1(32kDa)のFb(+29
0)オリゴプローブへの結合に対する本発明によるタン
パク質およびその断片(GST−BYB、del.C、
del.N)の効果を示した図である(実施例8−
1)。ゲルシフト法により、FMBP−1フラクション
(FMBP−1 Fr.)単独の場合、およびFMBP
−1フラクションと本発明によるタンパク質あるいはそ
の断片とを混合した場合とを比較した。
【図5】種々の転写因子(FMBP−1、OTF2A、
SP1、AP2)とDNA(Fb(+290)、AP2
/SP1、Ad2MLP)との特異的結合に対する本発
明によるタンパク質の効果を示した図である(実施例8
−2)。
【図6】転写因子TBPとDNAとの特異的結合に対す
る本発明によるタンパク質の効果を示した図である(実
施例8−2)。
【図7】インビトロ転写反応に対する本発明によるタン
パク質およびその断片の促進効果を示した図である(実
施例9)。数字は被験タンパク質の添加量を示す。
【図8】制限酵素EcoRIのλDNA消化反応に対する本発明
によるタンパク質の促進効果を示した図である(実施例
10)。
【図9】制限酵素EcoRIのλDNA消化反応に対する本発明
によるタンパク質およびその断片の促進効果を示した図
である(実施例10)。
【図10】培養細胞における遺伝子発現に対する本発明
によるタンパク質およびその断片の効果を示した図であ
る(実施例12−3)。レポーター遺伝子にはルシフェ
ラーゼを用いた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C12N 1/21 C12P 21/02 C 5/10 C12N 9/10 C12P 21/02 9/38 // C12N 9/10 (C12N 1/21 9/38 C12R 1:19) (C12N 1/21 1:91) C12R 1:19) (C12P 21/02 C (C12N 5/10 C12R 1:91) C12R 1:91) (C12P 21/02 C (C12P 21/02 C12R 1:19) C12R 1:91) C12N 15/00 ZNAA (C12P 21/02 5/00 A C12R 1:19) C12R 1:91) Fターム(参考) 4B024 AA20 BA80 CA04 DA02 DA06 EA04 FA02 FA18 GA11 HA01 4B050 CC07 HH01 HH02 KK18 LL03 4B064 AG01 CA02 CA10 CA19 CC24 DA13 DA16 4B065 AA26X AA90X AA90Y AB01 AC14 BA02 CA24 CA46 4H045 AA10 BA10 BA41 CA51 DA70 EA50 FA74

Claims (27)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記アミノ酸配列の少なくとも一つを含ん
    でなる、DNAとDNA結合因子との結合を促進する活
    性を有するタンパク質: (a)配列番号2の170〜183番のアミノ酸配列ま
    たは1個以上の改変を有し、かつDNAとDNA結合因
    子との結合を促進する活性を有するその改変アミノ酸配
    列 (b)配列番号2の199〜207番のアミノ酸配列ま
    たは1個以上の改変を有し、かつDNAとDNA結合因
    子との結合を促進する活性を有するその改変アミノ酸配
    列。
  2. 【請求項2】配列番号2の134〜169番のアミノ酸
    配列または1個以上の改変を有するその改変アミノ酸配
    列および/または配列番号2の184〜198番のアミ
    ノ酸配列または1個以上の改変を有するその改変アミノ
    酸配列を更に含んでなる、請求項1に記載のタンパク
    質。
  3. 【請求項3】配列番号2の134〜169番のアミノ酸
    配列またはその改変アミノ酸配列が、配列(a)および
    /または配列(b)のN末端側に付加されてなる、請求
    項2に記載のタンパク質。
  4. 【請求項4】配列番号2の184〜198番のアミノ酸
    配列またはその改変アミノ酸配列が、配列(a)のC末
    端側、かつ配列(b)のN末端側の位置に付加されてな
    る、請求項2または3に記載のタンパク質。
  5. 【請求項5】配列番号2の1〜133番のアミノ酸配列
    または1個以上の改変を有するその改変アミノ酸配列お
    よび/または配列番号2の208〜259番のアミノ酸
    配列または1個以上の改変を有するその改変アミノ酸配
    列を更に含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記
    載のタンパク質。
  6. 【請求項6】配列番号2の1〜133番のアミノ酸配列
    またはその改変アミノ酸配列が、タンパク質のN末端に
    位置するように付加されてなる、請求項5に記載のタン
    パク質。
  7. 【請求項7】配列番号2の208〜259番のアミノ酸
    配列またはその改変アミノ酸配列が、タンパク質のC末
    端に位置するように付加されてなる、請求項5または6
    に記載のタンパク質。
  8. 【請求項8】タンパク質が、配列番号2の120〜25
    9番、134〜207番、170〜183番、134〜
    183番、170〜198番、134〜198番、19
    9〜207番、184〜207番、199〜223番、
    もしくは184〜223番のアミノ酸配列、または1個
    以上の改変がなされたその改変アミノ酸配列からなる、
    請求項1〜7のいずれか一項に記載のタンパク質。
  9. 【請求項9】下記からなる群から選択されるアミノ酸配
    列を含んでなる、タンパク質: (c)配列番号2のアミノ酸配列および (d)置換、欠失、付加、および挿入から選択される1
    以上の改変を有し、かつDNAとDNA結合因子との結
    合を促進する活性を有する配列番号2のアミノ酸配列の
    改変アミノ酸配列。
  10. 【請求項10】配列(d)が、1〜169番および18
    4〜259番の領域において改変を有する配列番号2の
    改変アミノ酸配列からなる、請求項9に記載のタンパク
    質。
  11. 【請求項11】配列(d)が、1〜198番および20
    8〜259番の領域において改変を有する配列番号2の
    改変アミノ酸配列からなる、請求項9に記載のタンパク
    質。
  12. 【請求項12】配列(d)が、1〜169番、184〜
    198番、および208〜259番の領域において改変
    を有する配列番号2の改変アミノ酸配列からなる、請求
    項9に記載のタンパク質。
  13. 【請求項13】タンパク質のN末端に核移行シグナルペ
    プチドを更に含んでなる、請求項1〜12のいずれか一
    項に記載のタンパク質。
  14. 【請求項14】核移行シグナルペプチドがSV40ラー
    ジT抗原由来である、請求項13に記載のタンパク質。
  15. 【請求項15】核移行シグナルペプチドが配列番号18
    のアミノ酸配列からなる、請求項13または14に記載
    のタンパク質。
  16. 【請求項16】請求項1〜15のいずれか一項に記載の
    タンパク質と他のタンパク質とからなる、融合タンパク
    質。
  17. 【請求項17】他のタンパク質が、グルタチオンSトラ
    ンスフェラーゼ、β−ガラクトシダーゼ、またはクロラ
    ムフェニコールアセチルトランスフェラーゼである、請
    求項16に記載のタンパク質。
  18. 【請求項18】請求項1〜17のいずれか一項に記載の
    タンパク質をコードするポリヌクレオチド。
  19. 【請求項19】請求項18に記載のポリヌクレオチドを
    含んでなる、組換えベクター。
  20. 【請求項20】請求項18に記載のポリヌクレオチドま
    たは請求項19に記載の組換えベクターを含んでなる宿
    主。
  21. 【請求項21】請求項20に記載の宿主を培養し、培養
    物からDNAとDNA結合因子との結合を促進する活性
    を有するタンパク質を採取することを含んでなる、DN
    AとDNA結合因子との結合を促進する活性を有するタ
    ンパク質の製造法。
  22. 【請求項22】異種タンパク質をコードする遺伝子また
    はその遺伝子を含む組換えベクターを更に含んでなる、
    請求項20に記載の宿主。
  23. 【請求項23】請求項22に記載の宿主を培養し、培養
    物から異種タンパク質を採取することを含んでなる、異
    種タンパク質の製造法。
  24. 【請求項24】請求項1〜17のいずれか一項に記載の
    タンパク質を含んでなる、DNAとDNA結合因子と間
    の相互作用を促進するための組成物。
  25. 【請求項25】DNAとDNA結合性因子との相互作用
    が下記のいずれかにおいて生じていることを特徴とす
    る、請求項24に記載の組成物。 ・エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、メチラー
    ゼ、DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、およびRN
    Aポリメラーゼから選択される酵素を利用した酵素反応 ・ゲルシフトアッセイ法 ・サウスウエスタン法
  26. 【請求項26】DNAおよびDNA結合因子が存在する
    反応系に請求項1〜17のいずれか一項に記載のタンパ
    ク質を添加することを含んでなる、DNAとDNA結合
    因子と間の相互作用を促進する方法。
  27. 【請求項27】DNAとDNA結合性因子との相互作用
    が下記のいずれかにおいて生じていることを特徴とす
    る、請求項26に記載の方法。 ・エンドヌクレアーゼ、エキソヌクレアーゼ、メチラー
    ゼ、DNAポリメラーゼ、DNAリガーゼ、およびRN
    Aポリメラーゼから選択される酵素を利用した酵素反応 ・ゲルシフトアッセイ法 ・サウスウエスタン法
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011512821A (ja) * 2008-02-29 2011-04-28 ユニヴァーシティ オブ メディシン アンド デンティストリ オブ ニュージャーシィ コールドショックタンパク質組成物、並びにその使用のための方法及びキット
US9422599B2 (en) 2008-02-29 2016-08-23 Rutgers, The State University Of New Jersey Cold shock protein compositions and methods and kits for the use thereof

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