JP2002150778A - 量子ビット素子および量子ビットのデコヒーレンス時間延長方法 - Google Patents

量子ビット素子および量子ビットのデコヒーレンス時間延長方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 量子計算機の記憶素子として用いられる量子
ビットのデコヒーレンス時間を従来より長くする。 【解決手段】 電極101a,102b,103cを、
共通接続点104に集めて接続し、単一クーパー対箱1
01,102で形成される閉ループ回路と単一クーパー
対箱102,103で形成される閉ループ回路とを貫く
磁束f1,f2を備える。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、量子計算機の記憶
素子となる量子ビット素子および量子ビットのデコヒー
レンス時間延長方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、量子力学の原理に基づいた現象を
利用した量子計算機が提案されている。量子計算機で
は、現在の電子計算機の記憶素子におけるビットの概念
に相当して、量子ビットが用いられる。量子ビットを実
現するための量子ビット素子は、とり得る状態が真に2
つであり、この2つの状態が区別可能な量子系である量
子2準位系で構成される。ある純粋な量子系を用意した
とき、この量子系の波動関数は完全な干渉性(コヒーレ
ンス)を持ち、量子力学的な「重ね合わせ」が可能な状
態になる。量子計算機は、この重ね合わせを利用してい
るので、量子計算機の構成要素である量子ビットも、上
記コヒーレンスを保っている必要がある。
【0003】ところが、単一の量子2準位系では、上記
コヒーレンスが外界からの相互作用により失われてい
く。このコヒーレンスの消失(崩れ)によりコヒーレン
スが失われるまでの時間は、デコヒーレンス時間と呼ば
れているが、デコヒーレンス時間をより長くする方法と
して、量子誤り訂正符号(QECC)を用いる技術があ
る。これは、単純な量子2準位系によって構成された量
子ビットを多数個用意し、1量子ビット分の量子情報を
多数個の量子ビットに記憶させるものであり、外界から
の擾乱によって生じる誤り(コヒーレンスの崩れ)を量
子ゲート操作によって検出し、検出した誤りを訂正する
ようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、量子誤
り訂正符号を用いる、多数個の量子ビットを用いる技術
では、個々の量子ビットのデコヒーレンス時間が長くな
ったわけではない。したがって、個々の量子ビットのデ
コヒーレンス時間よりも短い時間間隔で行う必要がある
量子ゲート操作は、量子ゲート操作の内容および時間的
精度(タイミング)などの条件が非常に厳しいものとな
る。量子計算機の記憶容量を増やすために量子ビット数
を増加させると、上記量子ゲート操作に必要なハードウ
エアやソフトウエアがきわめて複雑なものとなる。
【0005】本発明は、以上のような問題点を解消する
ためになされたものであり、量子計算機の記憶素子とし
て用いられる量子ビットのデコヒーレンス時間を従来よ
り長くすることを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の量子ビット素子
は、複数の量子2準位系と、この複数の量子2準位系の
隣り合う2つの量子2準位系各々に第1の相互作用を与
える第1の手段と、隣り合う2つの量子2準位系各々に
第2の相互作用を与える第2の手段とを備え、第1の相
互作用は、隣り合う2つの量子2準位系の一方のコヒー
レンスが失われる過程で作用する第1の物理量と、隣り
合う2つの量子2準位系の他方のコヒーレンスが失われ
る過程で作用する第2の物理量の符号を一致させるよう
に働くものとし、第2の相互作用は、第1の物理量に直
交する第3の物理量と第2の物理量に直交する第4の物
理量の符号を異なるものにするように働くものとした。
この発明によれば、第1の手段により、複数の量子2準
位系からなる量子ビットのコヒーレンスの崩れが抑制さ
れ、第2の手段により、コヒーレンスの崩れに伴う外界
との相互作用が抑圧される。
【0007】上記発明において、並列に接続されたn個
(nは3以上の整数)の単一クーパー対箱と、n個の単
一クーパー対箱の一方の電極近くに設けられたゲート電
極と、n個の単一クーパー対箱の隣り合う閉ループ回路
各々を貫くn−1個の磁束とにより、n個の単一クーパ
ー対箱でn−1個の量子2準位系を構成し、これらを並
列に接続することで第1の手段を構成し、n−1個の磁
束を備えることで第2の手段を構成するようにしてもよ
い。
【0008】本発明の量子ビットのデコヒーレンス時間
延長方法は、複数の量子2準位系を用意し、この複数の
量子2準位系で1つの量子ビットとし、複数の量子2準
位系の隣り合う2つの量子2準位系各々に、隣り合う2
つの量子2準位系の一方のコヒーレンスが失われる過程
で作用する第1の物理量と、隣り合う2つの量子2準位
系の他方のコヒーレンスが失われる過程で作用する第2
の物理量の符号を一致させるように働く第1の相互作用
を与え、かつ隣り合う2つの量子2準位系各々に、第1
の物理量に直交する第3の物理量と第2の物理量に直交
する第4の物理量の符号を異なるものにするように働く
第2の相互作用を与えようとしたものである。この発明
によれば、第1の相互作用を与えることで、複数の量子
2準位系からなる量子ビットのコヒーレンスの崩れが抑
制され、第2の相互作用を与えることで、コヒーレンス
の崩れに伴う外界との相互作用が抑圧される。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図を参照して説明する。前述したデコヒーレンス時間
は、量子2準位系と外界との相互作用エネルギーHdi
sにほぼ反比例して短くなる。また、量子ビットにおけ
るコヒーレンスが失われていく過程は、つぎに示すよう
な特徴を持っている。
【0010】ある量子2準位系をS1とし、これがQ1
という物理量を介して外界と相互作用していることで、
コヒーレンスが失われていくものとする。上記相互作用
によって量子2準位系S1のコヒーレンスが失われる過
程では、S1が一時的に外界にエネルギーを渡し、この
直後にまたエネルギーを回収するということが行われて
いる。このエネルギーの受け渡しには、外界とつながっ
ている物理量Q1の一時的な変化が伴う。このように、
量子2準位系のコヒーレンスを崩す外界との相互作用と
結びつく特定の物理量Q1が、量子2準位系には存在す
る。
【0011】ここで、第1の方法として、量子2準位系
S1の状態が、物理量Q1の固有状態SQ1,SQ1’
などにあるようにすれば、量子2準位系S1は物理量Q
1を介する外界との相互作用の影響を受けなくなる。言
い換えると、量子2準位系S1の状態が、物理量Q1の
固有状態SQ1,SQ1’などにあるようにすれば、量
子2準位系S1が物理量Q1を介して外界と相互作用し
ても、量子2準位系S1のコヒーレンスは失われない。
【0012】上述したように、外界との相互作用が起こ
ると、物理量Q1の変動が伴うから、物理量Q1が変動
しないような力が量子2準位系S1に加わっていれば、
相互作用が起こりにくくなる。したがって、量子2準位
系S1の量子状態が、SQ1あるいはSQ1’と離れた
状態にある時間を短くすれば、量子2準位系S1のデコ
ヒーレンス時間を長くすることができる。しかし、単一
の量子2準位系を1つの量子ビットとして用いるとき
に、上述したような量子状態を形成すると、量子ビット
としての能力が著しく損なわれる。
【0013】これに対し、複数の量子2準位系を用意し
てこれらの間に上述したような適切な相互作用(第1の
方法)を与え、第2の方法として全体を1量子ビットと
すると、全体系を外界からの擾乱の影響を受けにくい状
態の近くに制限し、かつ量子ビットとしての機能が損な
われない状態とすることが可能となる。この第1の方法
と第2の方法との組み合わせは、たとえばつぎのように
して行えばよい。なお、以下では、説明を簡単にするた
め、2つの量子2準位系を用いて1量子ビットを構成す
る場合を例にするが、これに限るものではない。
【0014】まず、2つの2準位系をS1およびS2と
する。また、これらS1,S2各々が、Q1xおよびQ
2xという物理量(第1および第2の物理量)を介して
外界との相互作用を起こすことにより、S1,S2のコ
ヒーレンスが失われていくものとする。この場合、前述
したように、コヒーレンスを失う相互作用には、Q1x
およびQ2xの一時的な変化が伴う。
【0015】ここで、まず、第1の方法として、S1,
S2の間に、Q1xとQ2xの符号を一致させるような
エネルギーの相互作用Uxx(第1の相互作)を与えた
状態とする。相互作用Uxxを与えるとは、相互作用エ
ネルギー=−Uxx Q1xQ2xを与えることであ
る。Uxxは係数であり、例えば、Q1x,Q2xが各
々電荷であれば、Uxxの次元は、「エネルギー/[電
荷の2乗]」となる。
【0016】相互作用Uxxを与えた状態では、Q1x
やQ2xの符号が変化すると、相互作用Uxxのエネル
ギーが増大するので、S1とS2からなる合成系の低エ
ネルギー状態(基底状態と第一励起状態)は、Q1xと
Q2xとの積が正になるような状態に限定される。これ
ら低エネルギー状態は、Q1xとQ2xの固有状態に近
いものになるので、前述したように「相互作用が起こっ
てもコヒーレンスが失われない」状態に近いものとな
り、相互作用が起こったときにコヒーレンスが失われる
度合いが少なくなる。
【0017】ただし、Uxxを与えただけでは、Uxx
を与えていない状態と比較して、「相互作用の起こる頻
度」が基本的に変わらない。したがって、Uxxを与え
ただけでは、他の種々の事情を考慮して概算を行うと、
S1,S2からなる1量子ビットにおけるコヒーレンス
の消失は、あまり抑制されない。
【0018】つぎに、第2の方法として、S1,S2か
らなる系の間に、Q1yとQ2yの積に比例するエネル
ギー−Uyyの相互作用(第2の相互作用)を与えた状
態とする。相互作用Uyyを与えるとは、相互作用エネ
ルギー=−Uyy Q1y Q2yを与えることである。
なお、Q1yはQ1xに直交する第3の物理量であり、
Q2yはQ2xに直交する第4の物理量であり、これら
は、Q1x,Q2xの固有状態では、量子力学的な不確
定性がもっとも強い物理量である。
【0019】S1,S2からなる系に上記−Uyyの相
互作用が与えられた状態では、Q1x,Q2xを介した
外界との相互作用があると、量子不確定性によってQ1
y,Q2yのいずれかが変化する。この変化により相互
作用エネルギーが増大するので、S1,S2からなる系
においては、相互作用には大きなエネルギーのやりとり
が必要となる。大きなエネルギーのやりとりを伴う過程
が抑圧されるので、結果的に「相互作用の起きる頻度」
が抑制され、コヒーレンスを失う過程が抑制され、デコ
ヒーレンス時間が長くなる。
【0020】他の種々の事情を考慮して概算を行うと、
この第2の方法を単独で用いた場合、S1,S2からな
る合成系のデコヒーレンス時間は、Uyy/Hdis
(量子2準位系と外界との相互作用エネルギー)の因子
だけ長くなる。たとえば、第1の方法も第2の方法もど
ちらも用いない場合のS1,S2からなる合成系のデコ
ヒーレンス時間が1ナノ秒となるHdisに対し、この
相互作用エネルギーの10倍のUyyを与えることで、
デコヒーレンス時間は10ナノ秒程度になり得る。ただ
し、第2の方法を単独で用いた場合、相互作用Uyyに
よって、S1,S2からなる合成系は、2つの低エネル
ギー状態に局在するので、量子ビットにとって必要な2
つの状態間の量子力学的な遷移を得ることができず、量
子ビットとして働かない。
【0021】ここで、上記第1の方法と第2の方法とを
同時に用いることで、以下に説明するように、量子ビッ
トとしての機能を損なうことなく、デコヒーレンス時間
を長くすることができるようになる。1つの量子系が量
子ビットとして機能するためには、この量子系のとり得
る状態の範囲(ヒルベルト空間)が、半径1の2次元球
面と対応していることが必要である。たとえば、量子ビ
ットの状態をブロッホ球面という座標系で表すなら、コ
ヒーレンスが失われるにしたがってい、量子ビットの状
態は半径1の球面から球の中に落ち込んでいく。
【0022】これに対し、2つの量子2準位系からなる
合成系では、とり得る状態の範囲が2つの球面よりも遙
かに広いものとなる。この中で、2つの量子2準位系か
らなる合成系の間に、UxxやUyyのような強い相互
作用があると、物理量Q1とQ2の関係が、上述したよ
うに固定されるので、合成系のとり得る状態の範囲は、
物理量1個ないし3個分狭くなるが、もっとも狭い場合
が量子ビット一個を表現する自由度と同じである。相互
作用Uyy単独の付与では、局在してしまった2つの低
エネルギー状態は、Uyyと同程度の大きさのUxxの
付与により、量子力学的に重ね合わされる。
【0023】以上説明したように、複数の量子2準位系
に対して第1の方法と第2の方法とを同時に用いること
で、相互作用Uxxによる「外界との相互作用が起こっ
ても影響が小さい」という効果と、相互作用Uyyによ
る「外界による相互作用の頻度を抑制する」という効果
とを併せ持った量子ビットが得られる。たとえば、3つ
の量子2準位系S1,S2,S3の場合、S1とS2の
間ならびにS2とS3の間に、各々相互作用Uxx,U
yyを加えることで、1つの量子ビットが得られる。
【0024】ただし、量子2準位系の間の相互作用は有
限であるから、2つの量子2準位系からなる合成系がと
り得る状態の範囲が量子ビット一個分より広く、この合
成系のコヒーレンスは時間と共に失われていくというの
が現実的な状況である。以下に、2つの量子2準位系か
らなる合成系による量子ビットで、実効的にデコヒーレ
ンス時間が長くできる利用方法について説明する。外界
からの擾乱によって合成系のコヒーレンスは徐々に失わ
れていくが、2つのに準位系の間に相互作用があるた
め、量子ビットの「0」および「1」をどのような2つ
の量子状態に対応させて、重ね合わせで量子情報を表現
するかによって、この量子情報のデコヒーレンス時間が
異なってくる。
【0025】前述した第1の方法と第2の方法を実施し
て合成系のコヒーレンスを保つためには、外界との結合
がないときに「0」,「1」に対応させる状態の時間変
化が、「Q1yとQ2yの積の符号の量子力学的平均値
を時間変化させない」ような条件を選ぶ必要がある。ま
た、同時に、「0」,「1」に対応する状態が、Q1y
とQ2yの積を固定するようなものでなくてはならな
い。
【0026】これらの条件を近似的に満足する状態は、
以下のようなものとなる。Q1xについてS1の2つの
直交する状態をα1,β1とし、Q2xについてS2の
2つの直交する状態をα2,β2としたとき、以下の数
1と数2に示す2つの状態をとれば、デコヒーレンス時
間を長くした量子ビットが得られる。
【0027】
【数1】
【0028】
【数2】
【0029】上記数1,数2で示される2つの状態は、
2つの2準位系のエンタングルメントと呼ばれる量子状
態である。S1,S2からなる合成系をこの特殊な量子
状態とすることで、外界からの擾乱をさけながらも量子
ビットとしての機能を発揮させることができる。数1と
数2で示されるいくつかのモデルに対するシミュレーシ
ョンでは、量子ビットの機能を持ちかつデコヒーレンス
時間が10倍程度に長くなった2つの2準位系からなる
合成系が得られることが確認された。
【0030】
【実施例】以下、本発明の実施例について説明する。図
1は、本発明の実施例における量子ビット素子の構成を
概略的に示す回路図である。この量子ビット素子は、3
つの単一クーパー対箱101,102,103から構成
し、単一クーパー対箱101の電極101aと単一クー
パー対箱102の電極102aと単一クーパー対箱10
3の電極103aとを共通接続点104に集めて接続し
たものである。
【0031】また、各電極101a,102a,103
aに接近してゲート電極105が配置されているように
し、ゲート電極105に所定の静電圧VG(ゲート電
圧)を印加するための電源106が設けられているよう
にした。したがって、この量子ビットの自由度は、2つ
の単一クーパー対箱101,103の電荷q1とq2と
の2つとなっており、2つの量子2準位系があることに
対応している。
【0032】図1の量子ビット素子において、コヒーレ
ンスを消失させる外界の擾乱は、この量子ビット素子を
動作させるために起こる電荷の運動によって発生する電
荷双極子と、周辺回路によって発生する電磁場との結合
に起因する。したがって、q1,q2の双極子の大きさ
を、各々第1,第2の物理量としてq1=Q1x,−q
2=Q2xとすれば、前述の説明に対応しているのがわ
かる。
【0033】図1の量子ビット素子では、電極101
a,102b,103cを、共通接続点104に集めて
接続しているので、q1とq2の和=Q1x−Q2xが
一定な状態となっている。したがって、図1の量子ビッ
ト素子には、Q1xとQ2xの符号を一致させるエネル
ギーの相互作用Uxxが与えられた状態となっている。
すなわち、電極101a,102b,103cを、共通
接続点104に集めて接続することが、相互作用Uxx
を与える手段となっている。
【0034】また、図1の量子ビット素子は、単一クー
パー対箱101,102で形成される閉ループ回路と単
一クーパー対箱102,103で形成される閉ループ回
路とを貫く磁束f1,f2を備えるようにしたものであ
る。磁束f1,f2は、前述したQ1y(第3の物理
量),Q2y(第4の物理量)に対応している。たとえ
ば、図1の量子ビット素子を、電磁石(磁場発生手段)
などにより形成される一定の磁場中に配置すれば、磁束
f1,f2が上記2つの閉ループ回路を貫く構成とでき
るが、この場合、磁束f1,f2は、2つの閉ループ回
路の各々の面積に比例する。
【0035】したがって、超伝導ループの「フラクソイ
ド量子化」の条件を考慮した上で、2つの閉ループ回路
各々の面積を調整することで、Q1yとQ2yとの間に
特定の拘束条件を課すことができる相互作用Uyyを、
図1の量子ビット素子に加えることができる。すなわ
ち、磁束f1,f2が、相互作用Uyyを与える手段と
なっている。たとえば、2つの閉ループ回路各々の面積
を同面積とした上で、図1の量子ビット素子を一定の磁
場中に配置すれば、Q1y≒Q2yという拘束条件を課
すことができる。
【0036】以上の2つのことにより得られる、図1の
量子ビット素子における長いデコヒーレンス時間を持つ
2つの状態とは、q1−q2空間の2つの結合したポテ
ンシャル井戸の結合状態と反結合状態との2つであり、
これは、前述したエンタングルメント状態となってい
る。
【0037】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
複数の量子2準位系からなる量子ビットのコヒーレンス
の崩れが抑制され、コヒーレンスの崩れに伴う外界との
相互作用が抑圧されるので、量子計算機の記憶素子とし
て用いられる量子ビットのデコヒーレンス時間を従来よ
り長くできるという優れた効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態における量子ビット素子
の構成を示す回路図である。
【符号の説明】 101,102,103…単一クーパー対箱、101
a,102a,103a…電極、104…共通接続点、
105…ゲート電極、106…電源。

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数の量子2準位系と、 この複数の量子2準位系の隣り合う2つの量子2準位系
    各々に第1の相互作用を与える第1の手段と、 前記隣り合う2つの量子2準位系各々に第2の相互作用
    を与える第2の手段とを備え、 前記第1の相互作用は、前記隣り合う2つの量子2準位
    系の一方のコヒーレンスが失われる過程で作用する第1
    の物理量と、前記隣り合う2つの量子2準位系の他方の
    コヒーレンスが失われる過程で作用する第2の物理量の
    符号を一致させるように働くものであり、 前記第2の相互作用は、前記第1の物理量に直交する第
    3の物理量と前記第2の物理量に直交する第4の物理量
    の符号を異なるものにするように働くものであることを
    特徴とする量子ビット素子。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の量子ビット素子におい
    て、 並列に接続されたn個(nは3以上の整数)の単一クー
    パー対箱と、 前記n個の単一クーパー対箱の一方の電極近くに設けら
    れたゲート電極と、 前記n個の単一クーパー対箱の隣り合う閉ループ回路各
    々を貫くn−1個の磁束を形成する磁場発生手段とを備
    え、 前記n個の単一クーパー対箱でn−1個の量子2準位系
    を構成し、 これらを並列に接続することで前記第1の手段を構成
    し、 前記n−1個の磁束を形成することで前記第2の手段を
    構成したことを特徴とする量子ビット素子。
  3. 【請求項3】 複数の量子2準位系を用意し、 この複数の量子2準位系で1つの量子ビットとし、 前記複数の量子2準位系の隣り合う2つの量子2準位系
    各々に、前記隣り合う2つの量子2準位系の一方のコヒ
    ーレンスが失われる過程で作用する第1の物理量と、前
    記隣り合う2つの量子2準位系の他方のコヒーレンスが
    失われる過程で作用する第2の物理量の符号を一致させ
    るように働く第1の相互作用を与え、 かつ前記隣り合う2つの量子2準位系各々に、前記第1
    の物理量に直交する第3の物理量と前記第2の物理量に
    直交する第4の物理量の符号を異なるものにするように
    働く第2の相互作用を与えることを特徴とする量子ビッ
    トのデコヒーレンス時間延長方法。
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