JP2002147537A - 歯付ベルト - Google Patents

歯付ベルト

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JP2002147537A
JP2002147537A JP2000347100A JP2000347100A JP2002147537A JP 2002147537 A JP2002147537 A JP 2002147537A JP 2000347100 A JP2000347100 A JP 2000347100A JP 2000347100 A JP2000347100 A JP 2000347100A JP 2002147537 A JP2002147537 A JP 2002147537A
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belt
fibers
toothed belt
fluororesin powder
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JP2000347100A
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Nobutaka Osako
信隆 大迫
Akihiro Ueno
明宏 上野
Taisuke Nakai
泰典 中井
Masakuni Yoshida
正邦 吉田
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Mitsuboshi Belting Ltd
Original Assignee
Mitsuboshi Belting Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 歯付ベルトの幅方向の剛性を増大させること
により、走行時のベルトの捻れ、振動による変形を減少
させ、プーリのフランジ面とベルト側面の摩擦によるベ
ルトの摩耗及び損傷を防止し、さらに歯布の繊維材料
に、フッ素樹脂粉末又はフッ素樹脂粉末以外の減摩材を
摩擦係数低減作用が発揮されやすい形態にして大量に含
有させ、前記繊維材料の摩擦抵抗を長期に渡って低減さ
せる歯付ベルトを提供する。 【解決手段】 背部2或いは歯部3を構成するゴム層に
ゴム100質量部に対して短繊維13を5〜30質量部
配合し、さらにその短繊維の配向方向がベルト幅方向で
あって、歯布4の表裏面及び繊維間に少なくともフッ素
樹脂粉末を含む粉末状減摩材が集束するように、樹脂系
接着成分と、ゴム成分と、前記フッ素樹脂粉末を含む粉
末状減摩材とが前記繊維材料の表裏面及び繊維間に含浸
付着されている。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、伝動面に繊維材料
が被覆された歯付ベルトに関し、特に前記繊維材料の摩
擦抵抗を長期にわたって低減させ、さらにベルト側面の
摩耗及び損傷を防ぐものに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エンジンのカム軸、インジェク
ションポンプ、オイルポンプ、ウォータポンプ等を駆動
する歯付ベルトは、エンジンの高出力化に伴うベルト負
荷の増大及び、エンジンルームのコンパクト化に伴う雰
囲気温度の上昇等歯付ベルトの使用環境は近年特に厳し
くなってきている為、更なる耐久性の向上が要求されて
いる。また、一般産業用機械に使用される歯付ベルトに
ついても、射出成形機等の高負荷駆動用等取替え周期の
延長を要求されるようになっている。
【0003】このような歯付ベルトの故障形態は、心線
の疲労によるベルトの切断と過負荷や歯布摩耗による歯
欠けに大別される。心線の疲労による切断に対しては、
アラミド心線や高強度ガラスの細径心線の使用、耐熱性
に優れる水素化ニトリルゴム(H−NBR)組成物の使
用、エンジン側の改良としてベルト張力を始動時及び走
行時共に一定に保つオートテンショナーの使用などによ
り改良され、切断故障の発生は減少している。
【0004】特に、ベルトに高負荷が掛かるエンジン又
は産業用駆動装置を駆動する歯付ベルトについては、高
負荷の為プーリ軸が撓み、スラスト力の為ベルトの片寄
り走行が発生するが、更に、ベルト幅方向の張力差の為
捻れが発生する。ベルトの振動に捻れが発生することに
より、プーリフランジ等との摩擦が増大し、ベルト側面
の異常摩耗及び側面の損傷からの切断、歯欠けが発生し
易い。このベルト側面摩耗及び損傷に対し、プーリ歯と
かみ合う歯付ベルト表面の歯布材料に摩擦係数低減作用
のあるフッ素樹脂や層状のグラファイト等を添加した処
理を施し、スラスト力を減少させる等が実施されている
が、未だに十分な改良策が見出されていない。
【0005】また、歯布を被覆した歯付ベルトの耐歯欠
け性を更に向上させるために、歯布表面の低摩擦係数化
を図ることが有力視されている。EP0662571B
1には、歯布の織物層の外側にフッ素樹脂を含むポリマ
ーマトリックス層を吹き付け又は塗布によりコーティン
グする歯付ベルトが提案されている。このフッ素樹脂
は、特殊なポリマーマトリックス内に境界層無しに結合
されている。そして、このポリマーマトリックスを歯布
に結合させる。しかしながら、フッ素樹脂がポリマーマ
トリックスに強固に結合されているため、フッ素樹脂が
マトリックスに囲われたままになって、フッ素樹脂によ
る摩擦係数低減作用が十分発揮できなくなるという問題
点があった。また、ポリマーマトリックスの材質的制限
から、含有できるフッ素樹脂量が少なく、ポリマーマト
リックス層の厚みも薄くなり、フッ素樹脂による耐歯欠
け性の向上が十分ではないという問題点があった。
【0006】また、特開平7−151190号には、歯
布の表面及び内部に繊維化したフッ素樹脂を含むゴム混
合物を含浸させ、歯布の裏面を接着層を介してベルト本
体のゴム層に結合する歯付ベルトが提案されている。ゴ
ム混合物中のフッ素樹脂を混練工程等により繊維化する
のは、ゴム混合物中のフッ素樹脂が異物化してゴム混合
物の強度を低下させないためである。しかし、ゴム混合
物中で繊維化したフッ素樹脂は、摩擦面に露出する機会
が少なく、フッ素樹脂による摩擦係数低減作用が十分で
はなくなるという問題点があった。また、フッ素樹脂を
繊維化して異物化させずに強度を維持するために、歯布
に含浸させるゴム100重量部に対して1〜30重量部
程度のフッ素樹脂しか含有させることができず、耐歯欠
け性の向上が十分ではないという問題点があった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記問題に
鑑みてなされたものであって、歯付ベルトの幅方向の剛
性を増大させることにより、走行時のベルトの捻れ、振
動による変形を減少させ、プーリのフランジ面とベルト
側面の摩擦によるベルトの摩耗及び損傷を防止し、さら
に歯布の繊維材料に、フッ素樹脂粉末又はフッ素樹脂粉
末以外の減摩材を摩擦係数低減作用が発揮されやすい形
態にして大量に含有させ、前記繊維材料の摩擦抵抗を長
期にわたって低減させる歯付ベルトを提供することを目
的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、歯付ベルトの
少なくとも背ゴム、歯ゴムのゴム層の何れかに短繊維を
練り込み、カレンダーロール又は押し出し機にて短繊維
を配向させ、配向させた方向をベルト幅方向に成型加硫
して歯付ベルトとすることにより、ベルトの幅方向の剛
性を増大させる。又、背ゴム、歯ゴムの層の少なくとも
何れかに、繊維材料からなる簾、ロープ、織物を挿入
し、同様にベルト幅方向の剛性を増大させたベルトを得
る。ベルト幅方向の剛性を増大させることにより捻れ、
変形を減少させ、ベルト側面と走行中接触するプーリフ
ランジとの摩擦時の応力を緩和し、側面の摩耗、損傷を
防ぐという知見、さらに歯付ベルトの歯部に被覆される
繊維材料に、樹脂系接着成分と、ゴム成分と、フッ素樹
脂粉末を含む粉末減摩材との混合物を含浸付着させて、
フッ素樹脂粉末を前記繊維材料の表裏面及び繊維間に集
束させ、多量のフッ素樹脂粉末を含有させることができ
るとともに、フッ素樹脂粉末が摩擦面に対して露出する
機会が増大し、フッ素樹脂粉末による摩擦係数低減作用
を確実に発揮できる、という知見を得て完成されたもの
である。
【0009】すなわち、本件発明は、長手方向に沿って
所定間隔で配置した複数の歯部と、心線を埋設した背部
を有し、上記歯部の表面に歯布を被覆した歯付ベルトに
おいて、背部或いは歯部を構成するゴム層にゴム100
質量部に対して短繊維を5〜30質量部配合し、さらに
その短繊維の配向方向がベルト幅方向であって、前記歯
布の表裏面及び繊維間に少なくともフッ素樹脂粉末を含
む粉末状減摩材が集束するように、樹脂系接着成分と、
ゴム成分と、前記フッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材と
が前記繊維材料の表裏面及び繊維間に含浸付着されてい
る歯付ベルトにある。
【0010】請求項1に記載の発明によると、背部或い
は歯部を構成するゴム層にゴム100質量部に対して短
繊維を5〜30質量部配合し、さらにその短繊維の配向
方向がベルト幅方向であって、前記歯布の表裏面及び繊
維間に少なくともフッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材が
集束するように、樹脂系接着成分と、ゴム成分と、前記
フッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材とが前記繊維材料の
表裏面及び繊維間に含浸付着されていることから、歯部
或いは背部を形成するゴム層に短繊維がベルト幅方向に
短繊維を配向させたことから、ベルト幅方向の剛性が上
がり、ベルトの捻れ、変形を減少させ、ベルト側面と走
行中接触するプーリフランジとの摩擦時の応力を緩和
し、側面の摩耗損傷を防ぐことができる。さらに、前記
歯布の繊維材料の内部迄大量のフッ素樹脂粉末を含んだ
ゴム成分及び樹脂系接着成分を位置させることができ、
ベルト走行中の摩擦係数を走行中継続して低減させるこ
とができる。
【0011】請求項2に記載の発明は、長手方向に沿っ
て所定間隔で配置した複数の歯部と、心線を埋設した背
部を有し、上記歯部の表面に歯布を被覆した歯付ベルト
において、背部或いは歯部の少なくとも一方のゴム層に
有機繊維又は無機繊維からなる簾、ロープ、或いは織物
のうちから選ばれたひとつが含まれ、さらに前記歯布の
表裏面及び繊維間に少なくともフッ素樹脂粉末を含む粉
末状減摩材が集束するように、樹脂系接着成分と、ゴム
成分と、前記フッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材とが前
記繊維材料の表裏面及び繊維間に含浸付着されている歯
付ベルトにある。
【0012】請求項2に記載の発明によると、背部或い
は歯部の少なくとも一方のゴム層に有機繊維又は無機繊
維からなる簾、ロープ、或いは織物のうちから選ばれた
ひとつが含まれ、さらに前記歯布の表裏面及び繊維間に
少なくともフッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材とが前記
繊維材料の表裏面及び繊維間に含浸付着されていること
から、ベルト幅方向の剛性が増大しベルト変形、捻れが
減少し、ベルト側面と走行中接触するプーリフランジと
の摩擦時の応力を緩和し、側面の摩耗、損傷を防ぐ。
【0013】請求項3に記載の発明は、長手方向に沿っ
て所定間隔で配置した複数の歯部と、心線を埋設した背
部を有し、上記歯部の表面に歯布を被覆した歯付ベルト
において、背部或いは歯部を構成するゴム層にゴム10
0質量部に対して短繊維を5〜30質量部配合し、さら
にその短繊維の配向方向がベルト幅方向であり、かつ背
部或いは歯部の一方のゴム層に有機繊維又は無機繊維か
らなる簾、ロープ或いは織物のうちから選ばれたひとつ
が含まれ、さらに前記歯布の表裏面及び繊維間に少なく
ともフッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材が集束するよう
に、樹脂系接着成分と、ゴム成分と、前記フッ素樹脂粉
末を含む粉末状減摩材とが前記繊維材料の表裏面及び繊
維間に含浸付着されている歯付ベルトである。
【0014】請求項3に記載の発明によると、背部或い
は歯部を構成するゴム層にゴム100質量部に対して短
繊維を5〜30質量部配合し、さらにその短繊維の配向
方向がベルト幅方向であり、かつ背部或いは歯部の一方
のゴム層に有機繊維又は無機繊維からなる簾、ロープ或
いは織物のうちから選ばれたひとつが含まれ、さらに前
記歯布の表裏面及び繊維間に少なくともフッ素樹脂粉末
を含む粉末状減摩材が集束するように、樹脂系接着成分
と、ゴム成分と、前記フッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩
材とが前記繊維材料の表裏面及び繊維間に含浸付着され
ている歯付ベルトとすることにより、背部或いは歯部に
短繊維及び簾、ロープ或いは織物のうちから選ばれたひ
とつが入ることとなり、より一層ベルト幅方向の剛性が
高まりさらにベルト変形、捻れが減少する。
【0015】請求項4に記載の発明は、前記フッ素樹脂
粉末が前記接着成分及び前記ゴム成分と結合していない
請求項1から3のいずれかに記載の歯付ベルトにある。
【0016】請求項4に記載の発明によると、前記フッ
素樹脂粉末が前記接着成分及び前記ゴム成分と結合して
いないことから、フッ素樹脂粉末の歯付ベルトからの離
脱が容易となり、より一層歯布の摩擦係数が低下する。
【0017】請求項5に記載の発明は、前記混合物を含
浸付着した前記繊維材料に、さらにイソシアネート化合
物を含んだゴム配合物を第1ゴム層として形成させた請
求項1から3のいずれかに記載の歯付ベルトである。
【0018】請求項5に記載の発明によると、前記混合
物を含浸付着した前記繊維材料に、さらにイソシアネー
ト化合物を含んだゴム配合物を第1ゴム層として形成さ
せた請求項1から4のいずれかに記載の歯付ベルトとす
ることによって、ベルト本体と歯布との接着力を高め、
ベルト走行中に歯布がベルト本体から剥離を起こすこと
を防ぐ。
【0019】請求項6に記載の発明は、前記第1ゴム層
を含浸形成した前記繊維材料に、さらにフッ素樹脂粉末
又はフッ素樹脂粉末以外の減摩材を配合した第2ゴムを
形成させた請求項5に記載の歯付ベルトにある。
【0020】請求項6に記載の発明によると、前記第1
ゴム層を含浸形成した前記繊維材料に、さらにフッ素樹
脂粉末又はフッ素樹脂粉末以外の減摩材を配合した第2
ゴムを形成させた請求項5に記載の歯付ベルトであるこ
とから、第2ゴム層は摩擦係数低減効果を有する表層と
して機能する。
【0021】請求項7に記載の発明は、前記減摩材がグ
ラファイトである請求項6に記載の歯付ベルトにある。
【0022】請求項7に記載の発明によると、前記減摩
材としてグラファイトを使用することにより、グラファ
イトはゴム成分との馴染みも良く、耐久性を有した減摩
材として有効である。
【0023】請求項8に記載の発明は、前記第1ゴム層
及び前記第2ゴム層のゴム成分が、前記ベルト歯部の前
記ゴム配合物と同種である請求項6又は7に記載の歯付
ベルトにある。
【0024】請求項8に記載の発明によると、前記第1
ゴム層及び前記第2ゴム層のゴム成分が、前記ベルト歯
部の前記ゴム配合物と同種である請求項6又は7に記載
の歯付ベルトであることから、第1ゴム層と第2ゴム層
間の接着性が良く、剥離等を起こさない。
【0025】請求項9に記載の発明は、前記歯付ベルト
の背面硬度が80度(JISA型硬度計)以上である請
求項1から8のいずれかに記載の歯付ベルトにある。
【0026】請求項9に記載の発明によると、前記歯付
ベルトの背面硬度が80度以上であることから、歯付ベ
ルトのベルト幅方向の剛性が維持でき、ベルト幅方向で
変形したり捻れが発生することが少なくなる。
【0027】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に
基づいて説明する。図1は、歯付ベルトの歯面に被覆さ
れた繊維材料(歯布)の拡大断面図であり、図2は、歯
付ベルトの構造を示す斜視図であり、図3は本発明の実
施の形態の一例であり、図4は歯付ベルトの歯面に被覆
された繊維材料(歯布)の断面の拡大写真を示す図であ
る。
【0028】図2において、歯付ベルトAは、長手方向
に沿って所定間隔で配置した複数の歯部3と、歯部3と
連続する背部2と、背部2に埋設された心線1と、歯部
2の表面に被覆された歯布4とを有する構造である。背
部2と歯部3は、ゴム配合物9で形成されたベルト本体
を構成する。また、歯布4は、ベルトの長手方向に延在
する緯糸7と、ベルトの幅方向に延在する経糸8とを織
成して成る繊維材料を基材として構成される。
【0029】図1に示されるように、歯付ベルトに於け
る歯布4は、緯糸7と経糸8とを織成してなる繊維材料
の表面と裏面と繊維間にフッ素樹脂粉末が集束するよう
に、ゴム成分21と、樹脂系接着成分22と、フッ素樹
脂粉末23とからなる混合物24が含浸形成され、好ま
しくは第1層として第1ゴム層5が更に形成され、より
好ましくは第2層として第2ゴム層6が更に形成されて
なる。
【0030】ゴム成分21は乳化重合で得られたゴムラ
テックスを加熱し乾燥して得られたゴム固形物であり、
樹脂系接着成分22はレゾルシンとホルマリンの初期縮
合物である。前記ゴム成分21と樹脂系接着成分22
は、レゾルシン−ホルマリン−ゴムラテックス(RF
L)処理液を乾燥、加熱した後に残る固形分である。
【0031】樹脂系接着成分22は緯糸7及び経糸8の
繊維に接着している。また、ゴム成分21と樹脂系接着
成分22とで構成されるマトリックス中にはフッ素樹脂
粉末23が分散して混合されている。そして、フッ素樹
脂粉末23とゴム成分21及び樹脂系接着成分22とは
結合されておらず、フッ素樹脂粉末23の周囲の全部又
は一部に隙間が形成されている。
【0032】図3は、本発明の歯付ベルトのひとつの実
施の形態を示す図である。この図3は、背面部2には
綿、ビニロン、ポリエステル、ポリアミド、無機繊維で
あるガラス繊維等からなり2〜6mmの範囲にカットさ
れた短繊維13がゴム成分100質量部に対し5〜30
質量部だけ混入されている。上記短繊維の長さが2mm
より短い場合は、ゴムをカレンダーロール又は押し出し
機等で圧延シートとする際に短繊維が配向し難い。一方
短繊維の長さが6mmを越えると、配向性は良いが均一
に分散し難く作業性が悪く、また、走行時クラック等も
発生し易い。短繊維の配合量が5質量部を下回るとベル
ト幅方向の剛性が十分でない為効果が少なく、一方短繊
維の配合量が30質量部を越えるとゴム練りやゴムシー
トに圧延する作業の作業性が著しく低下する。上記短繊
維13は、背部2では略ベルト幅方向S1に配列されて
いる。また、上記短繊維13を歯部3のゴム中に混入さ
せる場合も略ベルト幅方向S1に配列させる。
【0033】また、上記短繊維の代わりに簾、ロープ、
織物のうちの何れかを用いることもでき、材料として
は、何れの素材を用いても良いが、摩擦熱により溶融し
難い高融点又は融点を持たないアラミド、ビニロン、
綿、ナイロン6,6、ポリエステル等適宜用いることが
できる。又その繊度、組織等特に限定しないが、歯付ベ
ルトのサイズ、使用条件により決定されるベルト負荷の
大きさ等により適宜使用できる。
【0034】図4は、本発明の歯付ベルトの歯布の一部
の拡大写真を示す図である。この図3により、フッ素樹
脂粉末が各繊維の回りに集束している状態を詳細に説明
する。図3より、フッ素樹脂粉末23を含むゴム成分2
1と樹脂系接着成分22とからなる混合物24が各繊維
の表面に付着しているのが判る。この結果、フッ素樹脂
粉末23が繊維材料の表裏面及び繊維間に集束すること
ができ、歯布4の摩擦係数を低減させることができる。
なお、符号5は第1ゴム層を示す。
【0035】歯布4の緯糸7、経糸8等を形成する繊維
材料の材質としては、それぞれナイロン、アラミド、ポ
リエステル、ポリベンゾオキサゾール、綿等の何れか又
はこれらの組み合わせが採用できる。繊維の形態は、フ
ィラメント糸及び紡績糸の何れでも良く、単独組成の撚
糸又は混撚糸、混紡糸の何れであっても良い。混合物2
4のフッ素樹脂粉末23、ゴム成分21や樹脂系接着成
分22が各繊維の間にまで含浸できる程度の太さのもの
が集まった繊維が好ましい。歯付ベルトの場合、使用環
境と要求寿命により、ナイロン、アラミド等が使用され
る。
【0036】また、織成構成は綾織り、繻子織り、平織
り等何れでもフッ素樹脂粉末23を大量に含ませること
ができる。フッ素樹脂粉末23が分散した混合物24が
繊維材料の表裏面及び内部に効果的に含浸付着するため
には、混合物24が繊維材料の表裏面及び内部で互いに
連通状態になる程度に、糸の太さや密度を選択する。
【0037】ゴム成分21と樹脂系接着成分22とフッ
素樹脂23とからなる混合物24は、レゾルシン−ホル
マリン−ゴムラテックス(以下、RFLと略記する)処
理液に、フッ素樹脂粉末を分散混合したものを、繊維材
料を浸漬し、乾燥後加熱することにより形成することが
好ましい。
【0038】前記RFL処理液は、レゾルシンとホルマ
リンの初期縮合物とゴムラテックスとを混合したもので
あり、この場合レゾルシンとホルマリンのモル比は3/
1〜1/3にすることが接着力を高めるうえで好適であ
る。また、レゾルシンとホルマリンの初期縮合物は、こ
れをゴムラテックスのゴム分100重量部に対してその
樹脂分が5〜50重量部になるようにゴムラテックスと
混合したうえ、フッ素樹脂粉末を含む全固形濃度を10
〜40%濃度に調節する。
【0039】ゴム成分21を形成するゴムラテックスと
しては、スチレン−ブタジエン−ビニルピリジン三元共
重合体(VP)、スチレンブタジエン共重合体(SB
R)、クロロプレン(CR)、アクリロニトリルブタジ
エン共重合体(NBR)、水素添加NBR(H−NB
R)、クロロスルホン化ポリエチレン(CSM)、天然
ゴム等の一種又は二種以上のブレンド物が使用される。
【0040】自動車用歯付きベルトであって、使用環境
が100℃以上の高温で、150,000km以上の長
寿命を要求される場合、ベルト本体にH−NBRが使用
されるが、歯布に含浸付着されるRFL処理液には、H
−NBRとCSMのラテックスと、VPラテックスとの
通常のブレンド物を使用すると、長寿命を達成できる。
【0041】前述したゴム成分21や樹脂系接着成分2
2とも結合しないフッ素樹脂粉末23は、ポリテトラフ
ルオロエチレン、ポリトリフルオロエチレン、テトラフ
ルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体、
テトラフルオロエチレン−パ−フルオロアルコキシエチ
レン共重合体、テトラフルオロエチレン−エチレン共重
合体の一種以上である。フッ素樹脂粉末23中のフッ素
原子数の割合が多い程、摩擦係数低減効果は大きい。そ
のため、同量の繊維材料への付着量を前提とした場合、
上記フッ素樹脂粉末23の中ではポリテトラフルオロエ
チレンが最も摩擦係数低減の効果が大きく歯欠け寿命が
長い。しかし、他のフッ素樹脂粉末も分子内のフッ素原
子数の割合にほぼ比例してその効果がある。
【0042】このようなフッ素樹脂粉末23は、前記R
FL処理液中のゴム成分100重量部に対して30〜2
00重量部(より好ましくは50〜200重量部)添加
し、均一に分散させた処理液とすることが好ましい。ま
た、処理液に繊維材料を浸漬し乾燥させ、浸漬前の繊維
材料の重量に対して、フッ素樹脂粉末を含む固形の混合
物24が5〜40%の付着量となるように調整すること
が好ましい。30重量部未満又は5%未満のフッ素樹脂
粉末であると、繊維材料に絡むフッ素樹脂粉末の総量が
少なく、摩擦係数低減効果が認められにくくなる。30
0重量部を越える又は40%を越えるフッ素樹脂粉末で
あると、繊維材料に絡むフッ素樹脂粉末の総量が多す
ぎ、繊維材料のベルト本体等への接着性が低下し、ベル
ト性能の低下を来す。
【0043】また、前記RFL処理液中には、フッ素樹
脂粉末以外の粉末状減摩材も同時に使用してもよい。前
記粉末状減摩材としては、層状構造のグラファイト、二
硫化モリブデン、ガラスビーズ、セラミック粉末、球状
フェノール樹脂粉末及びアラミド、ポリアミド、ポリエ
ステル、ポリベンゾオキサゾール、繊維のカット糸又は
粉末の一種以上が例示できる。特にグラファイトはゴム
成分との馴染みもよく、ベルトの耐久性をより向上させ
る。そして、前記粉末状減摩材は、前記RFL処理液中
のゴム成分100重量部に対して30〜200重量部で
あり、フッ素樹脂粉末の添加量を多くすることが好まし
い。しかし、フッ素樹脂粉末と粉末状減摩材の混合比率
には、特に制限はない。
【0044】前記混合物の繊維材料への付着量を測定す
る方法は、浸漬処理前の繊維材料の質量を秤量し質量
(W1)を計り、次にフッ素樹脂粉末を分散させたRF
L処理液に繊維材料を浸漬し、その後繊維材料をオーブ
ンに入れ質量が一定になる迄乾燥を続け、最終質量(W
2)を計り、式((W2−W1)/W1)×100
(%)で算出する方法である。
【0045】繊維材料の内部まで大量のフッ素樹脂粉末
23を絡ませるためには、粉砕又は造粒により粉粒状と
なったフッ素樹脂粉末を用い、その平均粒子径が100
μm以下(より好ましくは10μm以下)になったもの
を用いることが好ましい。100μmを越えると、RF
L処理液中にフッ素樹脂粉末が沈降し均一に分散しにく
くなり、更に混合物内におけるフッ素樹脂粉末の表面積
が減少して摩擦係数低減効果が少なくなるからである。
このような観点から、フッ素樹脂粉末は出来るだけ小さ
い粒径のもの例えば10μm以下のものが好ましい。
【0046】フッ素樹脂粉末を分散させたRFL液にて
処理された繊維材料の表面に対して、必要に応じてゴム
糊を付着させることができる。図1の例では、イソシア
ネート化合物を含んだゴム配合物の第1ゴム糊を第1ゴ
ム層5として付着させ、更にフッ素樹脂粉末又はフッ素
樹脂粉末以外の減摩材を配合したゴム配合物の第2ゴム
糊を第2ゴム層6として付着させている。なお、前記第
1ゴム層5は省略可能であり、第2ゴム層6をフッ素樹
脂粉末を含むRFL処理液で処理された繊維材料の表面
に形成することもできる。或いは第2ゴム糊としてイソ
シアネート化合物さらにはフッ素樹脂粉末又はフッ素樹
脂粉末以外の減摩材を配合したゴム配合物の第2ゴム層
6をフッ素樹脂粉末を含むRFL処理液で処理された繊
維材料の表面に形成することもできる。
【0047】第1ゴム層5は、接着力を高める中間層と
して機能し、イソシアネート化合物が接着成分として作
用する。そのため、ベルト本体と同種のゴム成分を有す
る第1ゴム糊を採用できる。この第1ゴム糊は、ベルト
本体と同種のゴム配合物をメチルエチルケトン(ME
K)、トルエン等の溶剤に溶解させ、イソシアネート化
合物を添加して処理液とし、この処理液を塗布した後乾
燥固化することにより形成される。前記処理液で使用す
るイソシアネート化合物としては、例えば4,4’−ジ
フェニルメタンジイソシアネート、トリレン2,4−ジ
イソシアネート、ポリメチレンポリフェニルジイソシア
ネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ポリアリー
ルポリイソシアネート(例えば商品名としてPAPIが
ある)等がある。このイソシアネート化合物もトルエ
ン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に混合して使用さ
れる。また、上記イソシアネート化合物にフェノール
類、第3級アルコール類、第2級アルコール類等のブロ
ック化剤を反応させてポリイソシアネートのイソシアネ
ート基をブロック化したブロック化ポリイソシアネート
も使用可能である。
【0048】第2ゴム層6は、摩擦係数低減効果を有す
る表層として機能し、フッ素樹脂粉末又はフッ素樹脂粉
末以外の減摩材が配合されている。この第2ゴム層6
は、第1ゴム層5と同様に、ベルト本体と同種のゴム配
合物をメチルエチルケトン(MEK)、トルエン等の溶
剤に溶解させ、フッ素樹脂粉末又はフッ素樹脂粉末以外
の減摩材を添加して処理液とし、この処理液を塗布した
後乾燥固化することにより形成される。フッ素樹脂粉末
以外の減摩材としては、層状構造のグラファイト、二硫
化モリブデン、ガラスビーズ、セラミック粉末、球状フ
ェノール樹脂粉末及びアラミド、ポリアミド、ポリエス
テル、ポリベンゾオキサゾール、繊維のカット糸又は粉
末の一種以上が例示できる。特にグラファイトはゴム成
分との馴染みもよく、耐久性を有した減摩材として有効
である。
【0049】なお、ベルト本体を形成するゴム配合物の
材質には特に制限はなく、使用条件に応じて適切なもの
が適宜選択される。自動車エンジン用及び各種エンジン
用歯付ベルトの場合、耐熱性と耐油性を備えたH−NB
R、CR、CSM等が使用される。一般産業用機械に用
いる歯付ベルトには、H−NBR、CR、CSM以外
に、NBR、エチレンプロピレンジエンモノマー(EP
DM)、エチレンプロピレン共重合体(EPR)、SB
R、イソプレンゴム(IR)、天然ゴム(NR)、フッ
素ゴム、シリコンゴム等何れの場合も使用可能である。
但し、背面硬度は80度(JISA型硬度計)以上とす
るのが好ましくより好ましくは80度から85度の範囲
が良い。背面硬度が80度より小さくなると、一定応力
が掛かったときにゴムが変形し易くなる為、発熱量が大
きくなり易く、又摩擦時の抵抗も大きくなり易く、ベル
ト走行時の側面の摩耗及び損傷も大きくなる。このよう
な歯付ベルトの場合、図1で説明した歯布の使用が有効
である。
【0050】また、ベルト本体の内部に埋設される心線
1に制限はなく、一般にはガラス心線及びアラミド心線
が使用される。また、ポリベンゾオキサゾール、ポリパ
ラフェニレンナフタレート、ポリエステル、アクリル、
カーボン、スチールを組成とする撚コードの何れでも使
用できる。ガラス心線の組成はEガラス、Sガラス(高
強度ガラス)何れでも良く、フィラメントの太さ及びフ
ィラメントの収束本数及びストランド本数に制限されな
い。また、接着処理剤及び屈曲時のガラスフィラメント
の保護材として使用されるサイジング剤、RFL、オー
バーコート剤等にも制限されない。一方、アラミド心線
においても、材質の分子構造の違いや心線構成及びフィ
ラメントの大きさや接着処理剤の違いによっても制限さ
れない。他の組成からなる心線の撚コードについても同
様に特別の制限はない。
【0051】上述した構成を有するベルトは、ベルトの
歯面又は及び背面に被覆される繊維材料に、ゴム成分、
樹脂系接着成分及びこれらと結合しないフッ素樹脂粉末
を繊維材料の表裏面及び内部の繊維に極近い位置に位置
させることにより、大量のフッ素樹脂粉末を繊維材料に
分散させることができる。また、繊維材料中の樹脂系接
着成分は、ベルト本体等の接着性を向上させるととも
に、ゴム成分及び樹脂系接着成分と結合しないフッ素樹
脂粉末の保持を確実にするという作用を有する。そのた
め、繊維材料に含浸付着させるゴム成分は、ベルト本体
と同種である必要がなく、それぞれ使用条件に応じて適
切なものに選択できる。
【0052】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に詳細に説明
するが、本発明はかかる実施例に限定されるものではな
く、目的を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0053】表1に示す組成と構成の被覆用繊維材料と
して準備した。また表2に示すゴム配合物を混練した。
また、表3に示すRFL処理液を調合した。また、表4
に示すゴム糊の溶液を調合した。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】実施例 表1の繊維材料を、フッ素樹脂粉末を含むRFL処理液
に浸漬し、120℃にて乾燥後180℃にて2分間熱処
理した。次に、表2のゴム配合物を、MEK、トルエン
に溶かした後にイソシアネート化合物としてポリアリー
ルポリイソシアネート(商品名PAPI)を添加した処
理液に、RFL処理後の繊維材料を浸漬し、第1ゴム層
を形成した。更に、表4の処理液配合表に従って、表2
のゴム配合物にゴム配合物100に対してノクラックN
BC(老化防止剤)を20重量部加え、MEK、トルエ
ンに前記ゴム配合物とノクラックNBCとが前記混合液
に対して約15%となるような処理液とした上に、フッ
素樹脂粉末又はグラファイト、二硫化モリブデン等を添
加混合した処理液とした。この処理液に第1ゴム層を形
成した繊維材料を浸漬し乾燥して第2ゴム層を形成して
ベルト本体被覆用の歯布とした。
【0059】次に、表2の配合からなるゴム配合物をカ
レンダーロール又は押し出し機にて短繊維を配向させ、
ゴムシートを得た。
【0060】次に、ベルト作製用金型に上記の歯布を巻
き付け、さらに表6の構成を有する簾を巻き付け、その
上に表5のSZ撚一対のRFL及びイソシアネートにて
接着処理された心線(ガラス繊維、1.2mm直径)を
一定ピッチ(1.4mm)でスパイラルに一定張力で巻
き付け、その上に表2の配合からなる、短繊維を配向さ
せた厚さ2.5mmのゴムシートを短繊維を配向させた
方向がベルト幅方向となるように貼り付けた。更に、加
硫缶に投入して通常の圧入方式により歯形を形成させた
後160℃にて30分加圧加硫して、ベルト背面を一定
厚さに研磨し一定幅にカットして走行用歯付きベルトを
得た。
【0061】
【表5】
【0062】作製したベルトのサイズは、ベルト幅15
mm、ベルト歯形Y(8.0mmピッチ)、歯数105
であり、通常105Y15と表示される。走行試験装置
として、図4に示す駆動プーリ歯数19、従動プーリ歯
数38にて駆動プーリ回転数7200rpm、従動プー
リ負荷7.5kWとし、初張力を350N、雰囲気温度
を130℃に設定した高負荷、高張力、高温条件での耐
久走行試験を実施した。その耐久試験における寿命時間
と故障形態をベルトの構成と共に表6に示す。
【0063】実施例は従来例と比べると、高負荷走行寿
命時間が大幅に延びていることが判る。特に実施例3〜
5の寿命時間が最も長く、背ゴムに短繊維を10質量部
以上配合すると、背ゴムの摩擦係数が下がり、寿命時間
が大幅に延びることがわかる。さらに実施例3及び実施
例5と実施例6とを比較すると、ベルト中に簾を入れて
いない実施例6は端面損傷にて若干寿命が短くなってい
るのがわかる。又、背ゴム配合に短繊維が入っておら
ず、さらに簾も挿入していない比較例は端面損傷にて従
来例よりは寿命が延びているが、それでも寿命時間とし
ては短いことがわかる。
【0064】
【発明の効果】上記構成の本件発明によると、背部或い
は歯部を構成するゴム層にゴム100質量部に対して短
繊維を5〜30質量部配合し、さらにその短繊維の配向
方向がベルト幅方向であって、前記歯布の表裏面及び繊
維間に少なくともフッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材が
集束するように、樹脂系接着成分と、ゴム成分と、前記
フッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材とが前記繊維材料の
表裏面及び繊維間に含浸付着されていることから、歯部
或いは背部を形成するゴム層に短繊維をベルト幅方向に
配向させたことから、ベルト幅方向の剛性が上がり、ベ
ルトの捻れ、変形を減少させ、ベルト側面と走行中接触
するプーリフランジとの摩擦時の応力を緩和し、側面の
摩耗損傷を防ぐことができる。さらに、前記歯布の繊維
材料の内部迄大量のフッ素樹脂粉末を含んだゴム成分及
び樹脂系接着成分を位置させることができ、ベルト走行
中の摩擦係数を走行中継続して低減させることができる
効果がある。
【0065】請求項2に記載の発明によると、背部或い
は歯部の少なくとも一方のゴム層に有機繊維又は無機繊
維からなる簾、ロープ、或いは織物のうちから選ばれた
ひとつが含まれ、さらに前記歯布の表裏面及び繊維間に
少なくともフッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材とが前記
繊維材料の表裏面及び繊維間に含浸付着されていること
から、ベルト幅方向の剛性が増大しベルト変形、捻れが
減少し、ベルト側面と走行中接触するプーリフランジと
の摩擦時の応力を緩和し、側面の摩耗、損傷を防ぐとい
う効果がある。
【0066】請求項3に記載の発明によると、背部或い
は歯部を構成するゴム層にゴム100質量部に対して短
繊維を5〜30質量部配合し、さらにその短繊維の配向
方向がベルト幅方向であり、かつ背部或いは歯部の一方
のゴム層に有機繊維又は無機繊維からなる簾、ロープ或
いは織物のうちから選ばれたひとつが含まれ、さらに前
記歯布の表裏面及び繊維間に少なくともフッ素樹脂粉末
を含む粉末状減摩材が集束するように、樹脂系接着成分
と、ゴム成分と、前記フッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩
材とが前記繊維材料の表裏面及び繊維間に含浸付着され
ている歯付ベルトとすることによって、背部或いは歯部
に短繊維及び簾、ロープ或いは織物のうちから選ばれた
ひとつが入ることとなり、より一層ベルト幅方向の剛性
が高まりさらにベルト変形、捻れが減少するという効果
がある。
【0067】請求項4に記載の発明によると、前記フッ
素樹脂粉末が前記接着成分及び前記ゴム成分と結合して
いないことから、フッ素樹脂粉末の歯付ベルトからの離
脱が容易となり、より一層歯布の摩擦係数が低下すると
いう効果がある。
【0068】請求項5に記載の発明によると、前記混合
物を含浸付着した前記繊維材料に、さらにイソシアネー
ト化合物を含んだゴム配合物を第1ゴム層として形成さ
せた請求項1から4のいずれかに記載の歯付ベルトとす
ることによって、ベルト本体と歯布との接着力を高め、
ベルト走行中に歯布がベルト本体から剥離を起こすこと
を防ぐ効果がある。
【0069】請求項6に記載の発明によると、前記第1
ゴム層を含浸形成した前記繊維材料に、さらにフッ素樹
脂粉末又はフッ素樹脂粉末以外の減摩材を配合した第2
ゴムを形成させた請求項5に記載の歯付ベルトであるこ
とから、第2ゴム層は摩擦係数低減効果を有する表層と
して機能する効果がある。
【0070】請求項7に記載の発明によると、前記減摩
材としてグラファイトを使用することにより、グラファ
イトはゴム成分との馴染みも良く、耐久性を有した減摩
材として有効である。
【0071】請求項8に記載の発明によると、前記第1
ゴム層及び前記第2ゴム層のゴム成分が、前記ベルト歯
部の前記ゴム配合物と同種である請求項6又は7に記載
の歯付ベルトであることから、第1ゴム層と第2ゴム層
間の接着性が良く、剥離等を起こさない効果が有る。
【0072】請求項9に記載の発明によると、前記歯付
ベルトの背面硬度が80度以上であることから、歯付ベ
ルトのベルト幅方向の剛性が維持でき、ベルト幅方向で
変形したり捻れが発生することが少なくなる効果が有
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の歯付ベルトの歯面に被覆された繊維材
料(歯布)の拡大断面図である。
【図2】本発明の歯付ベルトの全体構造を示す斜視図で
ある。
【図3】本発明の実施の形態のひとつであり、歯付ベル
トの全体構造を示す斜視図である。
【図4】本発明の歯付ベルトの歯布の一部の拡大写真を
示す図である。
【図5】歯付ベルトの耐久性能測定装置を示す概略図で
ある。
【符号の説明】
A 歯付ベルト 1 心線 2 背部 3 歯部 4 歯布 5 第1ゴム層 6 第2ゴム層 7 緯糸 8 経糸 9 ゴム配合物 11,12 境界面 15 心線 21 ゴム成分 22 樹脂系接着成分 23 フッ素樹脂 24 混合物
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 吉田 正邦 兵庫県神戸市長田区浜添通4丁目1番21号 三ツ星ベルト株式会社内

Claims (9)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 長手方向に沿って所定間隔で配置した複
    数の歯部と、心線を埋設した背部を有し、上記歯部の表
    面に歯布を被覆した歯付ベルトにおいて、背部或いは歯
    部を構成するゴム層にゴム100質量部に対して短繊維
    を5〜30質量部配合し、さらにその短繊維の配向方向
    がベルト幅方向であって、前記歯布の表裏面及び繊維間
    に少なくともフッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材が集束
    するように、樹脂系接着成分と、ゴム成分と、前記フッ
    素樹脂粉末を含む粉末状減摩材とが前記繊維材料の表裏
    面及び繊維間に含浸付着されている歯付ベルト。
  2. 【請求項2】 長手方向に沿って所定間隔で配置した複
    数の歯部と、心線を埋設した背部を有し、上記歯部の表
    面に歯布を被覆した歯付ベルトにおいて、背部或いは歯
    部の少なくとも一方のゴム層に有機繊維又は無機繊維か
    らなる簾、ロープ、或いは織物のうちから選ばれたひと
    つが含まれ、さらに前記歯布の表裏面及び繊維間に少な
    くともフッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材が集束するよ
    うに、樹脂系接着成分と、ゴム成分と、前記フッ素樹脂
    粉末を含む粉末状減摩材とが前記繊維材料の表裏面及び
    繊維間に含浸付着されている歯付ベルト。
  3. 【請求項3】 長手方向に沿って所定間隔で配置した複
    数の歯部と、心線を埋設した背部を有し、上記歯部の表
    面に歯布を被覆した歯付ベルトにおいて、背部或いは歯
    部を構成するゴム層にゴム100質量部に対して短繊維
    を5〜30質量部配合し、さらにその短繊維の配向方向
    がベルト幅方向であり、かつ背部或いは歯部の一方のゴ
    ム層に有機繊維又は無機繊維からなる簾、ロープ或いは
    織物のうちから選ばれたひとつが含まれ、さらに前記歯
    布の表裏面及び繊維間に少なくともフッ素樹脂粉末を含
    む粉末状減摩材が集束するように、樹脂系接着成分と、
    ゴム成分と、前記フッ素樹脂粉末を含む粉末状減摩材と
    が前記繊維材料の表裏面及び繊維間に含浸付着されてい
    る歯付ベルト。
  4. 【請求項4】 前記フッ素樹脂粉末が前記接着成分及び
    前記ゴム成分と結合していない請求項1から3のいずれ
    かに記載の歯付ベルト。
  5. 【請求項5】 前記混合物を含浸付着した前記繊維材料
    に、さらにイソシアネート化合物を含んだゴム配合物を
    第1ゴム層として形成させた請求項1から4のいずれか
    に記載の歯付ベルト。
  6. 【請求項6】 前記第1ゴム層を含浸形成した前記繊維
    材料に、さらにフッ素樹脂粉末又はフッ素樹脂粉末以外
    の減摩材を配合した第2ゴムを形成させた請求項5に記
    載の歯付ベルト。
  7. 【請求項7】 前記減摩材がグラファイトである請求項
    6に記載の歯付ベルト。
  8. 【請求項8】 前記第1ゴム層及び前記第2ゴム層のゴ
    ム成分は、前記ベルト歯部の前記ゴム配合物と同種であ
    る請求項6又は7に記載の歯付ベルト。
  9. 【請求項9】 前記歯付ベルトの背面硬度が80度(J
    ISA型硬度計)以上である請求項1から8のいずれか
    に記載の歯付ベルト。
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