JP2002146364A - 重油基材の製造方法 - Google Patents

重油基材の製造方法

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JP2002146364A
JP2002146364A JP2000338099A JP2000338099A JP2002146364A JP 2002146364 A JP2002146364 A JP 2002146364A JP 2000338099 A JP2000338099 A JP 2000338099A JP 2000338099 A JP2000338099 A JP 2000338099A JP 2002146364 A JP2002146364 A JP 2002146364A
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oil
hydrotreating
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Wataru Sawara
渉 佐原
Kozo Kamiya
孝三 神谷
Hajime Okazaki
肇 岡崎
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Japan Petroleum Energy Center JPEC
Eneos Corp
Original Assignee
Petroleum Energy Center PEC
Nippon Mitsubishi Oil Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 硫黄含有量およびドライスラッジ含有量の低
い重油基材を製造する方法を提供する。 【解決手段】 重質油を水素化触媒を用いて二段階水素
化処理することでドライスラッジ含有量が0.05質量
%以下で硫黄化合物が原料油より低められた重油基材を
製造する方法であって、第1段階の水素化触媒として水
素化脱硫触媒を用い、第2段階の水素化触媒として、特
定の細孔径、細孔容積、表面積を有する多孔性無機酸化
物担体に周期律表第VIB族および第VIII族の触媒活性を
有する金属を所定量担持した触媒層(1)と、特定の細
孔径、細孔容積、表面積を有する多孔性無機酸化物担体
に周期律表第VIB族および第VIII族の触媒活性を有する
金属を所定量担持した触媒層(2)を積層した水素化処
理触媒を用いることを特徴とする重油基材の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、特定の水素化処理触媒
を用いてドライスラッジ含有量の低い重油基材を製造す
る方法に関し、詳しくは常圧蒸留装置または減圧蒸留装
置より得られる硫黄含有量の比較的高い石油蒸留残査物
である重質油を特定の水素化処理触媒を用いて二段階水
素化処理することにより、ドライスラッジ含有量が少な
く、硫黄化合物が原料油より低められた重油基材を製造
する方法、およびドライスラッジ含有量が高い重質油を
特定の水素化処理触媒を用いて水素化処理することで、
ドライスラッジ含有量が少ない重油基材を製造する方法
に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、我国における重油は硫黄含有量の
少ない原油を常圧蒸留装置で処理しナフサ、灯油、軽油
といった軽質炭化水素を除去することにより得られる硫
黄含有量の低い常圧蒸留残査物や、この低硫黄常圧蒸留
残査物を更に減圧蒸留装置で処理して減圧軽油を除去す
ることにより得られる低硫黄減圧蒸留残査物を主な基材
とし、これにさらに粘度等の調整に灯油、軽油などを混
合することで製造されてきた。
【0003】一方、低硫黄原油の供給不足や硫黄含有量
の多い原油から得られる常圧または減圧蒸留残査物の有
効利用、更に粘度調整用の灯油、軽油等の中間留分の増
産といった観点から、硫黄含有量の多い原油から得られ
る常圧または減圧蒸留残査物を高温高水素分圧下で水素
化触媒と接触させて脱硫、脱窒素、分解反応を進めるこ
とで、低硫黄かつ低粘度の重油基材を製造する水素化処
理プロセスが開発され、商業運転されている。この水素
化処理プロセスの代表的な運転条件は、反応温度350
〜450℃、反応塔入口の水素分圧9.8〜19.6MP
a、液空間速度0.1〜5.0h-1、反応塔入口の水素/
油比250〜1700Nm3/m3である。
【0004】これらの水素化処理プロセスは上述したと
おり、低硫黄原油の供給不足や硫黄含有量の多い原油か
ら得られる常圧または減圧蒸留残査物の有効利用、更に
粘度調整用の灯油、軽油等の中間留分の増産といった観
点から、非常に有意義なものであるが、反応温度を高く
する等の苛酷度の高い運転条件で蒸留残査物を水素化処
理すると、生成物中にドライスラッジが析出してしま
う。なお、ドライスラッジとは、一般に1.0μm以上
の径を持つアスファルテン分子を主体とした粒子であ
る。ドライスラッジを多く含有する基材を重油の基材と
して使用すると、他の基材と混合時あるいは貯蔵期間中
にそれらがさらに巨大スラッジに成長し、燃料油フィル
ターや遠心式油清浄機の閉塞、燃料油加熱器のファウリ
ング、および燃焼機関の、重油噴射ノズルの閉塞等のト
ラブルが発生する懸念がある。したがってこれまでは、
水素化処理プロセスの運転において、ドライスラッジが
析出しない反応温度を上限とするような運転条件の制約
を受けざるを得なかった。
【0005】また、蒸留残査物の水素化処理で用いられ
る水素化触媒は通常運転時間と共に脱硫、脱窒素、分解
反応の活性が低下するため、運転中の触媒活性の低下を
補償するための反応温度の昇温を考慮して運転初期の反
応温度を決めるが、運転期間中の原油タイプに代表され
る原料油種の変更や生成油硫黄含有量の目標値の変更等
により触媒活性の低下が予想以上に進み、運転の途中で
運転末期の設計反応温度に到達してしまうことがある。
したがって、たとえ運転初期の反応温度をドライスラッ
ジが析出しない温度以下に設定しても、運転途中に運転
末期の設計反応温度に到達するとドライスラッジが発生
するため、それ以降は脱硫、脱窒素、分解反応の転化率
を下げる、厳しい反応条件が要求される減圧蒸留残査物
の処理比率を下げる、または反応条件の緩やかな常圧蒸
留残査物のみを処理する、あるいはその処理量を下げる
といった制限を受けていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、硫黄含有量
およびドライスラッジ含有量の低い重油基材を製造する
方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明者らは硫黄含有量
の比較的多い石油蒸留残査物である重質油を苛酷水素化
処理して低硫黄、低ドライスラッジ含有の重油基材を得
る際に起こる上記問題点を解決すべく研究を重ねた結
果、該重質油を特定の水素化処理触媒を用いて水素化処
理することにより、低硫黄、低ドライスラッジ含有量の
低い重油基材が得られることを見い出し、本発明を完成
するに至った。
【0008】すなわち本発明の第1発明は、重質油を水
素化触媒を用いて二段階水素化処理することでドライス
ラッジ含有量が0.05質量%以下で硫黄化合物が原料
油より低められた重油基材を製造する方法であって、第
1段階の水素化触媒として水素化脱硫触媒を用い、第2
段階の水素化触媒として細孔径120〜300Å、細孔
容積が0.4〜0.7cc/gであり、表面積が150
〜250m2/gの物性を有する多孔性無機酸化物担体
に周期律表第VIB族および第VIII族の触媒活性を有する
金属をそれぞれ2〜10質量%および5〜15質量%担
持し、第VIB族と第VIII族金属のモル比が0.2〜0.
8である触媒層(1)と、細孔径50〜110Å、細孔
容積が0.3〜0.6cc/gであり、表面積が170
〜250m2/gの物性を有する多孔性無機酸化物担体
に周期律表第VIB族および第VIII族の触媒活性を有する
金属をそれぞれ2〜6質量%および5〜15質量%担持
し、第VIB族と第VIII族金属のモル比が0.2〜0.6
である触媒層(2)を積層した水素化処理触媒を用いる
ことを特徴とする重油基材の製造方法に関する。
【0009】また本発明の第2発明は、ドライスラッジ
含有量が0.05質量%を超える重質油を水素化触媒を
用いて水素化処理することでドライスラッジ含有量が
0.05質量%以下の重油基材を製造する方法であっ
て、該水素化触媒として細孔径120〜300Å、細孔
容積が0.4〜0.7cc/gであり、表面積が150
〜250m2/gの物性を有する多孔性無機酸化物担体
に周期律表第VIB族および第VIII族の触媒活性を有する
金属をそれぞれ2〜10質量%および5〜15質量%担
持し、第VIB族と第VIII族金属のモル比が0.2〜0.
8である触媒層(1)と、細孔径50〜110Å、細孔
容積が0.3〜0.6cc/gであり、表面積が170
〜250m2/gの物性を有する多孔性無機酸化物担体
に周期律表第VIB族および第VIII族の触媒活性を有する
金属をそれぞれ2〜6質量%および5〜15質量%担持
し、第VIB族と第VIII族金属のモル比が0.2〜0.6
である触媒層(2)を積層した水素化処理触媒を用いる
ことを特徴とする重油基材の製造方法に関する。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の内容について詳細
に説明する。本発明の重油基材の製造方法における原料
油としては、具体的には例えば、石油蒸留残査物が挙げ
られる。これら石油蒸留残査物としては、具体的には例
えば、常圧蒸留装置より得られる、通常、蒸留温度30
0℃以上の留分を70質量%以上、好ましくは90質量
%以上、より好ましくは95質量%以上含む残査物;減
圧蒸留装置より得られる、通常、蒸留温度400℃以上
の留分を70質量%以上、好ましくは90質量%以上、
より好ましくは95質量%以上含む残査物;これら常圧
蒸留残査物と減圧蒸留残査物を任意の割合で混合した残
査油;これら常圧蒸留残査物、減圧蒸留残査物またはそ
れらの混合物を水素化処理して得られる硫黄分や窒素分
等が減少した生成油;またはこれらの混合物などが挙げ
られる。なお、本発明でいう蒸留温度とは、JIS K
2254に規定する「石油製品−蒸留試験方法」の
「6.減圧法蒸留試験方法」に準拠して測定される温度
を意味する。以降、本発明における石油留分の蒸留温度
とは、すべて上記方法により測定される値を意味する。
【0011】また本発明の原料油としては、これら石油
蒸留残査物100重量部に対して、接触分解装置(FC
C)から得られる分解重質軽油(ヘビーサイクル油)や
スラリー油を40重量部以下、好ましくは20重量部以
下配合したような混合油なども好ましく用いることがで
きる。さらに本発明の原料油としては、後述する第2段
階の水素化処理工程における出口油の一部をリサイクル
して、上記の石油蒸留残査物や混合油100重量部に対
してこのリサイクル油を50重量部以下、好ましくは3
0重量部以下配合した混合油なども、また好ましく用い
ることができる。
【0012】本発明の第1発明における原料油のドライ
スラッジ含有量の下限値は0質量%であり、一方、その
上限値は5.0質量%、好ましくは1.0質量%であ
る。ドライスラッジ含有量の上限値が5.0質量%を超
える場合は、水素化処理工程における原料油供給系統で
のストレーナーやバルブの閉塞、熱交換器や加熱炉のフ
ァウリングによる伝熱効率の低下等の問題を生じる恐れ
があるため好ましくない。なお本発明におけるドライス
ラッジ含有量とは、ASTM D 4870−92に規
定する”Standard Test Method for Determination of
Total Sediment in Residual Fuels”に準拠して測定さ
れる全沈降物量を意味する。以降、本発明におけるドラ
イスラッジ含有量とは、すべてこの方法により測定され
る値を意味する。
【0013】またこの石油蒸留残査物の硫黄含有量の下
限値は1.0質量%、好ましくは2.0質量%であり、
一方、その上限値は10質量%、好ましくは6.0質量
%である。硫黄含有量が1.0質量%未満の場合は、本
発明のような二段階の工程での水素化処理を要さずとも
重油基材を製造することが可能であるためエネルギーコ
スト的に不利である。また硫黄含有量が10質量%を超
える場合は、得られる重油基材の硫黄含有量が高くな
り、ボイラー燃料として用いた場合に燃焼排ガス中の硫
黄酸化物量の増大をもたらしてしまう。また得られる重
油基材の硫黄含有量をより低下させるためには、反応塔
や周辺機器等の建設費が急激に上昇したり、多量のカッ
ター材を必要とするため、それぞれ好ましくない。な
お、本発明における硫黄含有量とは、JIS K 25
41−1992に規定する「原油及び石油製品−硫黄分
試験方法」の「6.放射線式励起法」に準拠して測定さ
れる硫黄含有量を意味する。以降、本発明における硫黄
含有量とは、すべて上記方法により測定される値を意味
する。
【0014】本発明の第2発明における原料油はドライ
スラッジ含有量が0.05質量%を超える重質油であ
り、硫黄分は第1発明より少ない重質油である。
【0015】本発明の第1発明においては、これら原料
油に対してまず第1段階の水素化脱硫処理を実行する。
この第1段階の水素化脱硫処理温度の下限値は340
℃、好ましくは370℃であり、一方、その上限値は4
50℃、好ましくは430℃である。第1段階での水素
化脱硫処理温度が340℃未満の場合は触媒活性が十分
に発揮されないため脱硫、脱窒素および分解反応が実用
の領域まで進まず、一方、その水素化処理温度が450
℃を超える場合はコーキング反応が激しくなり、触媒上
にコークが堆積して触媒活性が急速に低下し、触媒寿命
が短くなるため、それぞれ好ましくない。また第1段階
の水素化処理工程における温度以外の他の条件は任意で
ある。しかし、第1段階の入口の水素分圧は、通常、下
限値が8.0MPa、好ましくは9.8MPaであり、
一方、上限値が25.0MPa、好ましくは19.6MP
aの範囲で行うことができる。入口の水素分圧が8.0
MPa未満の場合は触媒上のコーク生成が激しくなり触
媒寿命が極端に短くなる懸念があり、一方、その水素分
圧が25.0MPaを越える場合は反応塔や周辺機器等
の建設費が急激に上昇し、経済的に実用性が失われる懸
念がある。
【0016】また、第1段階での原料油の液空間速度
(LHSV)は、通常、下限値が0.05h-1、好まし
くは0.1h-1であり、一方、上限値が5.0h-1、好
ましくは2.0h-1の範囲で行うことができる。液空間
速度(LHSV)が0.05h-1未満の場合は、反応塔
の建設費が莫大になり経済的に実用性が失われる懸念が
あり、一方、液空間速度(LHSV)が5.0h-1を越
える場合は触媒活性が十分に発揮されず、脱硫、脱窒素
および分解反応が実用の領域まで進まない懸念がある。
【0017】また、第1段階の入口の水素/油比は、通
常、下限値が250Nm3/m3、好ましくは600Nm
3/m3であり、一方、上限値が1700Nm3/m3、好
ましくは1500Nm3/m3の範囲で行うことができ
る。水素/油比が250Nm3/m3未満の場合は触媒上
のコーク生成が激しくなり触媒寿命が極端に短くなる懸
念があり、一方、水素/油比が1700Nm3/m3を超
える場合は、反応塔や周辺機器等の建設費が急激に上昇
し、経済的に実用性が失われる懸念がある。
【0018】また第1段階での水素化脱硫処理工程の操
作は、油とガスを並行で下降流または上昇流で行うこと
ができ、また、油とガスを向流で行うこともできる。ま
た、第1段階の水素化脱硫処理工程として触媒を充填し
て使用される反応塔は、単独の反応塔または連続した複
数の反応塔のどちらで構成されていてもよい。更に反応
塔内は、単独の触媒床、または複数の触媒床のどちらで
構成されていてもよい。
【0019】またさらに、第1段階の水素化脱硫処理工
程における各反応塔の間や各触媒床の間に、後続の反応
塔や触媒床の入口の反応温度を調節する目的で、気体、
液体または液体と気体の混合物を注入することも可能で
ある。ここでいう気体は、通常、水素;例えばメタン、
エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の炭
素数1〜6のパラフィン系炭化水素およびこれらの混合
物など、注入する温度、圧力で気体として存在できる炭
化水素;または水素とこれら炭化水素との混合物;が好
ましく用いられるが、例えば硫化水素、アンモニア、窒
素など、注入する温度、圧力で気体として存在できる他
の物質を含んでいてもよい。また、ここでいう液体は、
通常、例えば、灯油、直留軽油、減圧軽油などの石油蒸
留物;石油蒸留残査物;石油蒸留物や石油蒸留残査物な
どの水素化処理油;石油蒸留物や石油蒸留残査物などの
熱分解油;石油蒸留物や石油蒸留残査物などの接触分解
油;またはこれらの混合物;など、注入する温度、圧力
で液体として存在できる炭化水素が好ましく用いられる
が、後述する第2段階の水素化処理工程における出口油
の一部をリサイクルして使用するのが更に好ましい。
【0020】第1段階において各反応塔の間や各触媒床
の間に気体や液体を注入する場合、それらの注入量は任
意であるが、通常、気体を注入する場合は注入量が気体
/油比で1700Nm3/m3以下の範囲で行うことがで
き、液体を注入する場合は注入量が液体/油比で1m3
/m3以下の範囲で行うことができる。
【0021】なお、第1段階の水素化脱硫処理工程にお
いて複数の反応塔または触媒床を使用する場合、本発明
における第1段階の水素化脱硫処理温度は、各反応塔の
間や各触媒床の間への気体、液体または液体と気体の混
合物の注入の有無にかかわらず、またさらに反応塔の数
に関係なく、第1段階のすべての触媒床を対象にして、
各触媒床の入口温度と出口温度を平均した温度に各触媒
床の触媒充填重量比率を乗じて加えた触媒重量平均温度
(WABT)で定義される。
【0022】また、第1段階の水素化脱硫処理工程にお
ける水素化脱硫処理触媒としては、従来公知の任意の水
素化脱硫処理触媒が使用可能である。具体的には例え
ば、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニア、マグネ
シア、アルミナ−シリカ、アルミナ−ボリア、アルミナ
−チタニア、アルミナ−ジルコニア、アルミナ−マグネ
シア、アルミナ−シリカ−ジルコニア、アルミナ−シリ
カ−チタニア、各種ゼオライト、セピオライト、モンモ
リロナイト等の各種粘土鉱物などの多孔性無機酸化物を
担体とし、これに水素化活性金属を担持した物を好まし
く用いることができる。該担持金属としては、通常、周
期律表第VIA、VA、VB、およびVIII族の金属から選ば
れる少なくとも1種の水素化活性金属種が好ましく用い
られ、特にコバルト、モリブデン、ニッケルをそれぞれ
単独で、または、コバルト、モリブデン、ニッケルを2
種あるいは3種組み合わせて多孔性無機酸化物に担持し
た触媒がより好ましく用いられる。なお、本発明の第1
段階の水素化脱硫処理工程で用いる水素化脱硫処理触媒
は、通常市販されている水素化処理触媒でも十分目的が
達成可能であり、本発明は触媒の種類によって何ら制限
されるものではない。
【0023】上述した第1段階の水素化脱硫処理工程で
得られる水素化脱硫処理油のドライスラッジ含有量は、
通常、原料油のドライスラッジ含有量より増加するか、
少なくとも0.05重量%を越える値、より一般的に
は、通常、0.2質量%以上の値となる。またこの第1
段階の水素化脱硫処理工程により、通常、実質的に原料
油の脱硫反応、脱窒素反応および分解反応の大部分が達
成される。第1段階の水素化脱硫処理工程で得られる水
素化処理油の硫黄含有量は何ら規定されるものではない
が、通常、その下限値は0.01質量%、好ましくは
0.1質量%であり、一方、その上限値は2.0質量
%、好ましくは1.0質量%が一般的である。また第1
段階の水素化脱硫処理工程で得られる水素化脱硫処理油
の窒素含有量も何ら規定されるものではないが、通常、
その下限値は0.01質量%、好ましくは0.1質量%
であり、一方、その上限値は1.0質量%、好ましくは
0.5質量%が一般的である。なお、本発明における窒
素含有量とは、JIS K 2609−1990に規定
する「原油及び石油製品−窒素分試験方法」の「7.化
学発光法」に準拠して測定される窒素含有量を意味す
る。以降、本発明における窒素含有量とは、すべて上記
方法により測定される値を意味する。
【0024】本発明では上述の第1段階の水素化脱硫処
理を行った水素化脱硫処理油に対して、次いで第2段階
の水素化処理を実行する。この第2段階の水素化処理温
度の下限値は200℃、好ましくは250℃であり、一
方、その上限値は440℃、好ましくは400℃であ
る。第2段階での水素化処理温度が200℃未満の場合
は触媒活性が十分に発揮されないためスラッジ分の水素
化反応が実用の領域まで進まず、一方、その水素化処理
温度が440℃を超える場合はスラッジ分の水素化が進
まずに、逆にスラッジ分が生成してしまうため、それぞ
れ好ましくない。 さらに本発明では第2段階の水素化
工程において、その水素化処理温度を第1段階の水素化
脱硫処理温度より低い値に設定して水素化処理を実施す
ることが重要である。第2段階の水素化処理工程におけ
る水素化処理温度は、第1段階での水素化脱硫処理温度
より低い温度であれば、上記の温度範囲内で任意の温度
に設定することが可能であるが、両段階での水素化処理
温度の差が好ましくは10℃以上、より好ましくは20
℃以上あることが望ましい。本発明において、第2段階
の水素化処理温度が第1段階の水素化脱硫処理温度と同
一または第1段階の水素化処理温度より高い場合は、ス
ラッジ分の水素化が進まずに、逆にスラッジ分が生成し
てしまうため好ましくない。
【0025】また第2段階の水素化処理工程における温
度以外の他の条件は任意である。しかし、第2段階の入
口の水素分圧は、通常、下限値が1.0MPaであり、
一方、上限値が25.0MPa、好ましくは19.6MP
aの範囲で行うことができる。入口の水素分圧が1.0
MPa未満の場合は触媒活性が十分に発揮されず、スラ
ッジ分の水素化反応が実用の領域まで進まない懸念があ
り、一方、その水素分圧が25.0MPaを越える場合
は反応塔や周辺機器等の建設費が急激に上昇し、経済的
に実用性が失われる懸念がある。また、第2段階での原
料油(第1段階の水素化脱硫処理を経た水素化脱硫処理
油)の液空間速度(LHSV)は、通常、下限値が0.
1h-1、好ましくは0.2h-1であり、一方、上限値が
10h-1、好ましくは4.0h-1の範囲で行うことがで
きる。液空間速度(LHSV)が0.1h-1未満の場合
は、反応塔の建設費が莫大になり経済的に実用性が失わ
れる懸念があり、一方、液空間速度(LHSV)が10
-1を越える場合は触媒活性が十分に発揮されず、スラ
ッジ分の水素化反応が実用の領域まで進まない懸念があ
る。また、第2段階の入口の水素/油比は、通常、下限
値が250Nm3/m3、好ましくは600Nm3/m3
あり、一方、上限値が1700Nm3/m3、好ましくは
1500Nm3/m3の範囲で行うことができる。水素/
油比が250Nm3/m3未満の場合は、触媒上のコーク
生成が激しくなり触媒寿命が極端に短くなる懸念があ
り、一方、水素/油比が1700Nm3/m3を超える場
合は、反応塔や周辺機器等の建設費が急激に上昇し、経
済的に実用性が失われる懸念がある。
【0026】また第2段階での水素化処理工程の操作
は、油とガスを並行で下降流または上昇流で行うことが
でき、また、油とガスを向流で行うこともできる。ま
た、第2段階の水素化処理工程として触媒を充填して使
用される反応塔は、単独の反応塔または連続した複数の
反応塔のどちらで構成されていてもよい。更に反応塔内
は、単独の触媒床または複数の触媒床のどちらで構成さ
れていてもよい。またさらに、第2段階の水素化処理工
程における各反応塔の間や各触媒床の間に、後続の反応
塔や触媒床の入口の反応温度を調節する目的で、気体、
液体または液体と気体の混合物を注入することも可能で
ある。ここでいう気体は、通常、水素;例えばメタン、
エタン、プロパン、ブタン、ペンタン、ヘキサン等の炭
素数1〜6のパラフィン系炭化水素およびこれらの混合
物など、注入する温度、圧力で気体として存在できる炭
化水素;または水素とこれら炭化水素との混合物;が好
ましく用いられるが、例えば硫化水素、アンモニア、窒
素など、注入する温度、圧力で気体として存在できる他
の物質を含んでいてもよい。また、ここでいう液体は、
通常、例えば、灯油、直留軽油、減圧軽油などの石油蒸
留物;石油蒸留残査物;石油蒸留物や石油蒸留残査物な
どの水素化処理油;石油蒸留物や石油蒸留残査物などの
熱分解油;石油蒸留物や石油蒸留残査物などの接触分解
油;またはこれらの混合物;など、注入する温度、圧力
で液体として存在できる炭化水素が好ましく用いられる
が、第2段階の水素化処理工程における出口油の一部を
リサイクルして使用するのが更に好ましい。
【0027】第2段階において各反応塔の間や各触媒床
の間に気体や液体を注入する場合、それらの注入量は任
意であるが、通常、気体を注入する場合は注入量が気体
/油比で1700Nm/m以下の範囲で行うことが
でき、液体を注入する場合は注入量が液体/油比で1m
/m以下の範囲で行うことができる。なお、第2段
階の水素化処理工程において複数の反応塔または触媒床
を使用する場合、本発明における第2段階の水素化処理
温度は、各反応塔の間や各触媒床の間への気体、液体ま
たは液体と気体の混合物の注入の有無にかかわらず、ま
たさらに反応塔の数に関係なく、第2段階のすべての触
媒床を対象にして、各触媒床の入口温度と出口温度を平
均した温度に各触媒床の触媒充填重量比率を乗じて加え
た触媒重量平均温度(WABT)で定義される。
【0028】また、第2段階の水素化処理工程における
水素化処理触媒は、第1層の水素化処理触媒としては、
細孔径120〜300Å、細孔容積が0.4〜0.7c
c/gであり、表面積が150〜250m2/gの物性
を有し、無機酸化物単体に周期律表第VIB族および第VI
II族の触媒活性を有する金属をそれぞれ2〜10質量%
および5〜15質量%担持し、第VIB族と第VIII族金属
のモル比が0.2〜0.8であることを特徴とするもの
を用いる。第2層の水素化処理触媒としては、細孔径5
0〜110Å、細孔容積が0.3〜0.6cc/gであ
り、表面積が170〜250m2/gの物性を有し、無
機酸化物単体に周期律表第VIB族および第VIII族の触媒
活性を有する金属をそれぞれ2〜6質量%および5〜1
5質量%担持し、第VIB族と第VIII族金属のモル比が
0.2〜0.6であることを特徴とするものを用いる。
なお、第1層の水素化処理触媒の充填容量と第2層水素
化処理触媒の充填容量の比は0.4〜2.4、好ましく
は0.6〜1.5、より好ましくは0.8〜1.2であ
る。なお、本発明においては、第1段階と第2段階の水
素化処理を、一つの反応塔の中で行ってもよく、あるい
は分離した2基以上の反応塔を用いて行ってもよい。ま
た反応塔の中は複数個の触媒床に分かれていても良い。
【0029】また本発明において、第2段階の水素化処
理温度を第1段階の水素化脱硫処理温度より下げる方法
は特に限定されるものでなく、任意の方法を採用するこ
とができる。具体的には従来公知の方法、例えば、低温
の気体、液体、あるいは気体と液体の両方を注入する方
法、または熱交換器による低温流体との熱交換の方法な
どを用いることができる。なおここでいう気体は、通
常、水素;例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、
ペンタン、ヘキサン等の炭素数1〜6のパラフィン系炭
化水素およびこれらの混合物など、注入する温度、圧力
で気体として存在できる炭化水素;または水素とこれら
炭化水素との混合物;が好ましく用いられるが、例えば
硫化水素、アンモニア、窒素など、注入する温度、圧力
で気体として存在できる他の物質を含んでいてもよい。
また、ここでいう液体は、通常、例えば、灯油、直留軽
油、減圧軽油などの石油蒸留物;石油蒸留残査物;石油
蒸留物や石油蒸留残査物などの水素化処理油;石油蒸留
物や石油蒸留残査物などの熱分解油;石油蒸留物や石油
蒸留残査物などの接触分解油;またはこれらの混合物;
など、注入する温度、圧力で液体として存在できる炭化
水素が好ましく用いられるが、第2段階の水素化処理工
程における出口油の一部をリサイクルして使用するのが
更に好ましい。
【0030】また、本発明における第1段階の水素化脱
硫処理と第2段階の水素化処理は連続的操作に限定され
るわけではなく、第1段階の操作と第2段階の操作を個
別に実施してもよい。なお両段階の操作を個別に実施す
る場合、第1段階と第2段階の間の条件は特に限定され
るものではない。本発明においては、以上の二段階の水
素化処理により、最終的にドライスラッジ含有量が0.
05質量%以下、好ましくは0.04質量%以下であ
り、かつ硫黄含有量が原料油より低められた重油基材が
得られる。
【0031】得られる重油基材の硫黄含有量は、原料油
の硫黄含有量より低められてさえいれば任意の値でよい
が、通常、原料油に対する脱硫反応の達成率が好ましく
は80%以上、より好ましくは90%以上であるのが望
ましい。なお、本発明における脱硫反応の達成率は、
[(原料重質油中の硫黄分(質量%) −得られる重油
基材中の硫黄分(質量%) )/原料重質油中の硫黄分
(質量%) ]×100(%)で示される値を意味す
る。以降、本発明における脱硫反応の達成率とは、すべ
てこれにより計算される値を意味する。
【0032】また得られる重油基材の窒素含有量も何ら
規定されるものではないが、通常、原料油に対する脱窒
素反応の達成率が10%以上、好ましくは30%以上で
あるのが一般的である。なお、本発明における脱窒素反
応の達成率は、[(原料重質油中の窒素分(質量%)−
得られる重油基材中の窒素分(質量%) )/原料重質
油中の窒素分(質量%) ]×100(%)で示される
値を意味する。以降、本発明における脱窒素反応の達成
率とは、すべてこれにより計算される値を意味する。
【0033】また本発明における二段階の水素化処理に
よる全体での分解反応達成率は任意であるが、通常20
%以上、好ましくは40%以上であるのが一般的であ
る。なお、本発明における分解反応の達成率は、[(原
料重質油中の蒸留温度565℃以上の留分(質量%)
−得られる重油基材中の蒸留温度565℃以上の留分
(質量%) )/原料重質油中の蒸留温度565℃以上
の留分(質量%) ]×100(%)で示される値を意
味する。以降、本発明における分解反応の達成率とは、
すべてこれにより計算される値を意味する。
【0034】また本発明の第1発明においては、通常、
第1段階の水素化脱硫処理での脱硫反応達成率が、第2
段階の水素化処理工程も含めた全体の水素化処理での脱
硫反応達成率の80%以上、好ましくは90%以上、よ
り好ましくは95%以上を占めることが望ましい。また
本発明の第1発明においては、通常、第1段階の水素化
脱硫処理での脱窒素反応達成率が、第2段階の水素化処
理工程も含めた全体の水素化処理での脱窒素反応達成率
の50%以上、好ましくは80%以上、より好ましくは
90%以上を占めることが望ましい。さらに本発明の第
1発明においては、通常、第1段階の水素化脱硫処理工
程での分解反応達成率が、第2段階の水素化処理工程も
含めた全体の水素化処理での分解反応達成率の75%以
上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上
を占めることが望ましい。
【0035】本発明の第2発明は、ドライスラッジ含有
量が0.05質量%を超える重質油を水素化触媒を用い
て水素化処理することでドライスラッジ含有量が0.0
5質量%以下の重油基材を製造する方法であって、該水
素化触媒として細孔径120〜300Å、細孔容積が
0.4〜0.7cc/gであり、表面積が150〜25
0m2/gの物性を有する多孔性無機酸化物担体に周期
律表第VIB族および第VIII族の触媒活性を有する金属を
それぞれ2〜10質量%、5〜15質量%担持し、第VI
B族と第VIII族金属のモル比が0.2〜0.8である触
媒層(1)と、細孔径50〜110Å、細孔容積が0.
3〜0.6cc/gであり、表面積が170〜250m
2/gの物性を有する多孔性無機酸化物担体に周期律表
第VIB族および第VIII族の触媒活性を有する金属をそれ
ぞれ2〜6質量%、5〜15質量%担持し、第VIB族と
第VIII族金属のモル比が0.2〜0.6である触媒層
(2)を積層した水素化処理触媒を用いることを特徴と
する重油基材の製造方法である。
【0036】水素化処理温度の下限値は200℃、好ま
しくは250℃であり、一方、その上限値は440℃、
好ましくは400℃である。水素化処理温度が200℃
未満の場合は触媒活性が十分に発揮されないためスラッ
ジ分の水素化反応が実用の領域まで進まず、一方、その
水素化処理温度が440℃を超える場合はスラッジ分の
水素化が進まずに、逆にスラッジ分が生成してしまうた
め、それぞれ好ましくない。入口の水素分圧は、通常、
下限値が1.0MPaであり、一方、上限値が25.0
MPa、好ましくは19.6MPaの範囲で行うことが
できる。入口の水素分圧が1.0MPa未満の場合は触
媒活性が十分に発揮されず、スラッジ分の水素化反応が
実用の領域まで進まない懸念があり、一方、その水素分
圧が25.0MPaを越える場合は反応塔や周辺機器等
の建設費が急激に上昇し、経済的に実用性が失われる懸
念がある。また、原料油の液空間速度(LHSV)は、
通常、下限値が0.1h-1、好ましくは0.2h-1であ
り、一方、上限値が10h-1、好ましくは4.0h-1
範囲で行うことができる。液空間速度(LHSV)が
0.1h-1未満の場合は、反応塔の建設費が莫大になり
経済的に実用性が失われる懸念があり、一方、液空間速
度(LHSV)が10h-1を越える場合は触媒活性が十
分に発揮されず、スラッジ分の水素化反応が実用の領域
まで進まない懸念がある。
【0037】また、入口の水素/油比は、通常、下限値
が250Nm3/m3、好ましくは600Nm3/m3であ
り、一方、上限値が1700Nm3/m3、好ましくは1
500Nm3/m3の範囲で行うことができる。水素/油
比が250Nm3/m3未満の場合は、触媒上のコーク生
成が激しくなり触媒寿命が極端に短くなる懸念があり、
一方、水素/油比が1700Nm3/m3を超える場合
は、反応塔や周辺機器等の建設費が急激に上昇し、経済
的に実用性が失われる懸念がある。
【0038】また水素化処理工程の操作は、油とガスを
並行で下降流または上昇流で行うことができ、また、油
とガスを向流で行うこともできる。また、水素化処理工
程として触媒を充填して使用される反応塔は、単独の反
応塔または連続した複数の反応塔のどちらで構成されて
いてもよい。更に反応塔内は、単独の触媒床または複数
の触媒床のどちらで構成されていてもよい。またさら
に、水素化処理工程における各反応塔の間や各触媒床の
間に、後続の反応塔や触媒床の入口の反応温度を調節す
る目的で、気体、液体または液体と気体の混合物を注入
することも可能である。ここでいう気体は、通常、水
素;例えばメタン、エタン、プロパン、ブタン、ペンタ
ン、ヘキサン等の炭素数1〜6のパラフィン系炭化水素
およびこれらの混合物など、注入する温度、圧力で気体
として存在できる炭化水素;または水素とこれら炭化水
素との混合物;が好ましく用いられるが、例えば硫化水
素、アンモニア、窒素など、注入する温度、圧力で気体
として存在できる他の物質を含んでいてもよい。また、
ここでいう液体は、通常、例えば、灯油、直留軽油、減
圧軽油などの石油蒸留物;石油蒸留残査物;石油蒸留物
や石油蒸留残査物などの水素化処理油;石油蒸留物や石
油蒸留残査物などの熱分解油;石油蒸留物や石油蒸留残
査物などの接触分解油;またはこれらの混合物;など、
注入する温度、圧力で液体として存在できる炭化水素が
好ましく用いられる。
【0039】各反応塔の間や各触媒床の間に気体や液体
を注入する場合、それらの注入量は任意であるが、通
常、気体を注入する場合は注入量が気体/油比で170
0Nm 3/m3以下の範囲で行うことができ、液体を注入
する場合は注入量が液体/油比で1m3/m3以下の範囲
で行うことができる。なお、水素化処理工程において複
数の反応塔または触媒床を使用する場合、水素化処理温
度は、各反応塔の間や各触媒床の間への気体、液体また
は液体と気体の混合物の注入の有無にかかわらず、また
さらに反応塔の数に関係なく、すべての触媒床を対象に
して、各触媒床の入口温度と出口温度を平均した温度に
各触媒床の触媒充填重量比率を乗じて加えた触媒重量平
均温度(WABT)で定義される。
【0040】また、水素化処理工程における水素化処理
触媒は、第1層の水素化処理触媒としては、細孔径12
0〜300Å、細孔容積が0.4〜0.7cc/gであ
り、表面積が150〜250m2/gの物性を有し、無
機酸化物単体に周期律表第VIB族および第VIII族の触媒
活性を有する金属をそれぞれ2〜10質量%および5〜
15質量%担持し、第VIB族と第VIII族金属のモル比が
0.2〜0.8であることを特徴とするものを用いる。
第2層の水素化処理触媒としては、細孔径50〜110
Å、細孔容積が0.3〜0.6cc/gであり、表面積
が170〜250m2/gの物性を有し、無機酸化物単
体に周期律表第VIB族および第VIII族の触媒活性を有す
る金属をそれぞれ2〜6質量%および5〜15質量%担
持し、第VIB族と第VIII族金属のモル比が0.2〜0.
6であることを特徴とするものを用いる。なお、第1層
の水素化処理触媒の充填容量と第2層水素化処理触媒の
充填容量の比は0.4〜2.4、好ましくは0.6〜
1.5、より好ましくは0.8〜1.2である。
【0041】本発明により得られる重油基材は、単独で
も製品重油として使用可能である。また、具体的には例
えば、石油蒸留残査物;灯油;直留軽油;減圧軽油;石
油蒸留残査物を熱分解して得られる軽油や残油およびこ
れらの水素化処理油;接触分解装置より得られる軽質軽
油(ライトサイクル油)、重質軽油(ヘビーサイクル
油)、スラリー油;等の他の重油基材を適宜配合して、
製品重油とすることもできる。
【0042】
【実施例】次に実施例および比較例により本発明をさら
に詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって何ら
限定されるものではない。
【0043】実施例1〜3 アルミナ担体に、NiOを3質量%およびMoO3を11
質量%含有する市販脱硫触媒を第1段階の水素化脱硫処
理用ステンレス製反応塔に充填し、アルミナ担体に、N
iOを8質量%およびMoO3を10質量%を含有し、
細孔径150Åの細孔の細孔容積が0.6cc/g、表
面積が160m2/gの物性を有する触媒層(1)と、
アルミナ担体に、NiOを8質量%およびMoO3を1
0質量%含有し、細孔径95Åの細孔の細孔容積が0.
5cc/g、表面積が210m2/gの物性を有する触
媒層(2)とを、第2段階の水素化処理用ステンレス製
反応塔に充填した後、触媒を予備硫化した。次いで表1
の性状を有する減圧蒸留残査油を原料油とし、この反応
塔で表2に示す反応条件で連続的に水素化処理を行っ
た。反応塔出口より得られた水素化処理油の性状も表2
に併記した。
【0044】実施例4〜6 原料油を表3に示すように、ドライスラッジを0.1質
量%以上含む減圧蒸留残査油を用い、第1段階をバイパ
スしたこと以外は実施例1と同一の反応条件で水素化処
理を行い、その結果を表4に記した。
【0045】比較例1〜2 細孔径150Åと95Åの積層効果を明確化するため、
触媒を実施例1で第2段階に用いた触媒層(1)および
触媒層(2)を単独で用いた以外は実施例1と同様の条
件で水素化処理を行い、その結果も表2に併記した。
【0046】比較例3〜4 細孔径150Åと95Åの積層効果を明確化するため、
触媒を実施例4で用いた触媒層(1)および触媒層
(2)を単独で用いた以外は実施例4と同様の条件で水
素化処理を行い、その結果も表4に併記した。
【0047】
【表1】
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】表2および表4の結果から明らかなとお
り、本発明の方法によれば、比較的低温で細孔径150
Åの細孔の細孔容積が0.6cc/g、表面積160m
2/gを有する触媒と細孔径95Åの細孔の細孔容積が
0.6cc/g、表面積210m2/gを有する触媒を
積層した水素化触媒システムと接触させることにより、
ドライスラッジ含有量が0.05質量%以下の重油基材
を得ることが可能である。それに対して細孔径150
Å、表面積160m2/gの触媒を単独で使用した比較
例1、3では、ドライスラッジ含有量はそれぞれ0.1
6質量%、0.17質量%と実施例と比較して非常に高
く、重油基材として不適当なものである。さらに、細孔
径95Å、表面積210m2/gの触媒を単独で使用し
た比較例2、3では、ドライスラッジ含有量はそれぞれ
0.32質量%、0.35質量%と実施例と比較して非
常に高く、重油基材として不適当なものである。
【0052】
【発明の効果】本発明の方法により、硫黄含有量の比較
的多い石油蒸留残査物である重質油を特定の水素化処理
触媒を用いて水素化処理することにより、低硫黄、低ド
ライスラッジ含有量の低い重油基材が得られる。また、
ドライスラッジ含有量が0.05質量%より多い原料油
を特定の水素化処理触媒を用いて水素化処理することに
よりドライスラッジ含有量が0.05質量%以下の重油
基材を得ることができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神谷 孝三 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 (72)発明者 岡崎 肇 神奈川県横浜市中区千鳥町8番地 日石三 菱株式会社中央技術研究所内 Fターム(参考) 4G069 AA01 AA03 AA08 AA12 BA01A BA01B BB04A BB04B BC57A BC59A BC59B BC65A BC68A BC68B CC02 EC03X EC03Y EC06X EC07X EC07Y EC14Y EC15X EC15Y 4H029 CA00 DA00 DA09

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重質油を水素化触媒を用いて二段階水素
    化処理することでドライスラッジ含有量が0.05質量
    %以下で硫黄化合物が原料油より低められた重油基材を
    製造する方法であって、第1段階の水素化触媒として水
    素化脱硫触媒を用い、第2段階の水素化触媒として細孔
    径120〜300Å、細孔容積が0.4〜0.7cc/
    gであり、表面積が150〜250m2/gの物性を有
    する多孔性無機酸化物担体に周期律表第VIB族および第
    VIII族の触媒活性を有する金属をそれぞれ2〜10質量
    %および5〜15質量%担持し、第VIB族と第VIII族金
    属のモル比が0.2〜0.8である触媒層(1)と、細
    孔径50〜110Å、細孔容積が0.3〜0.6cc/
    gであり、表面積が170〜250m2/gの物性を有
    する多孔性無機酸化物担体に周期律表第VIB族および第
    VIII族の触媒活性を有する金属をそれぞれ2〜6質量%
    および5〜15質量%担持し、第VIB族と第VIII族金属
    のモル比が0.2〜0.6である触媒層(2)を積層し
    た水素化処理触媒を用いることを特徴とする重油基材の
    製造方法。
  2. 【請求項2】 ドライスラッジ含有量が0.05質量%
    を超える重質油を水素化触媒を用いて水素化処理するこ
    とでドライスラッジ含有量が0.05質量%以下の重油
    基材を製造する方法であって、該水素化触媒として細孔
    径120〜300Å、細孔容積が0.4〜0.7cc/
    gであり、表面積が150〜250m 2/gの物性を有
    する多孔性無機酸化物担体に周期律表第VIB族および第
    VIII族の触媒活性を有する金属をそれぞれ2〜10質量
    %および5〜15質量%担持し、第VIB族と第VIII族金
    属のモル比が0.2〜0.8である触媒層(1)と、細
    孔径50〜110Å、細孔容積が0.3〜0.6cc/
    gであり、表面積が170〜250m2/gの物性を有
    する多孔性無機酸化物担体に周期律表第VIB族および第
    VIII族の触媒活性を有する金属をそれぞれ2〜6質量%
    および5〜15質量%担持し、第VIB族と第VIII族金属
    のモル比が0.2〜0.6である触媒層(2)を積層し
    た水素化処理触媒を用いることを特徴とする重油基材の
    製造方法。
  3. 【請求項3】 触媒層(1)の水素化処理触媒の充填容
    量と触媒層(2)の水素化処理触媒の充填容量の比が
    0.4〜2.4であることを特徴とする請求項1又は2
    記載の重油基材の製造方法。
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