JP2002142686A - 動植物性廃棄物の資源化方法 - Google Patents
動植物性廃棄物の資源化方法Info
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Abstract
る動植物廃棄物の資源化方法、特に資源の有効利用と廃
棄物量の削減の観点から、新たな廃棄物の発生を防止す
ることができる簡便かつ低コストの動植物廃棄物の資源
化方法を提供することにある。 【解決手段】 焼酎蒸留粕等の動植物性廃棄物と稲わら
等の繊維性植物素材とを混合・粉砕し、得られる粒度分
布範囲が0.1〜3500μmの混合・粉砕物を圧搾濾
過して圧搾残渣と濾過液とに分離し、圧搾残渣に穀類を
配合して飼料とする。圧搾濾過して得られる濾過液は、
微生物を培養して飼料とするか、又は減圧蒸留して蒸留
液から有用な有機物を得て、蒸留残渣を飼料として利用
する。
Description
(再)資源化方法に関し、より詳しくは焼酎蒸留粕等の
動植物性廃棄物と稲わら等の繊維性植物素材とを混合・
粉砕処理し、次いで圧搾濾過処理することを特徴とする
動植物性廃棄物の(再)資源化方法に関する。
棄物は、推計248万トン/年と言われており、製造業
内部での減量(脱水、乾燥)やリサイクルの努力によっ
て、食品製造業における廃棄物のリサイクル率は他の分
野に比較しして全体的には80%と高い値を示してい
る。しかしながら、地域的な食品製造排水(産業廃棄
物)である焼酎蒸留粕を例に取ってみると、九州内で年
間44万4千トン(1997年酒造年度)が排出され、
そのうちの17万5千トンを海洋投棄し、残りの26万
9千トンを陸上処理している。陸上処理分の内、6万7
千トンが生物処理や焼却処理で処分され、20万2千ト
ンが肥料、飼料として利用され、リサイクル率は45%
である。食品製造業の製造に際して排出される廃棄物の
残渣全排出量の17.9%を焼酎蒸留粕が占めているこ
とになり、地域的な排出量としては膨大な量である。
D値が数万mg/lの高濃度で、5〜10%の固形分を
含んでおり、かつ粘度が高く、フィルタ−プレス等の濾
過機による固液分離が難しく、廃液処理が非常に困難で
ある。焼酎蒸留粕は栄養バランスが良くそのまま液体飼
料として家畜に投与されているが、供給が不安定で腐敗
し易いなどの問題を有している。また、焼酎蒸留廃液の
コンポスト化が行われているが、家畜排泄物の堆肥が産
業廃棄物として問題化(堆肥の野積)しており、コンポ
スト化による解決も難しい状況にある。このような現状
の下で、2001年から焼酎蒸留粕の海洋投棄が全面禁
止となることにより、海洋投棄により処理された分の陸
上処理への転換が緊急を要する重要な問題として大きく
クロ−ズアップされている。焼酎蒸留粕のような食品製
造廃棄物は、今後海洋投棄処分が禁止されるに伴い生物
処理や焼却処理のような陸上での処理・処分が増加する
と考えられるが、これらの食品製造廃棄物は天然に由来
する有機物であるので、環境容量の範囲内で飼料・コン
ポスト化を行い可能な限り地域内でリサイクル・資源化
を行う必要がある。
源化方法として、生物学的あるいは物理学的ないくつか
の方法が提案されている。例えば、特開平6−3153
69号公報には、焼酎の蒸留廃液に麹菌を加えて培養
し、培養物を固液分離する方法が開示されており、固液
分離物を飼料、食品等として利用することが示されてい
る。特開平7−148497号公報には、酒類蒸留廃液
に植物性繊維又はその含有物とともにトリコスポロン属
酵母を添加して廃液中の固形物を凝集せしめ、高固形
物、高粘度の蒸留廃水の効率的処理を行う方法が開示さ
れている。特開平7−87952号公報には、焼酎粕に
中温菌及び高温菌を混合接種し、先ず25℃以上40℃
未満の温度に保持し、次いで40℃以上60℃以下の温
度に保持して培養処理することによって、比較的短い期
間で有利に培養処理する方法が開示されており、培養処
理物を有機質肥料として利用することが示されている。
特開平9−47231号公報には、焼酎粕とワラ、フス
マ、ヌカ等の水分調整材との混合物をイエバエの幼虫で
処理し、生体物質と消化残渣を得る方法が開示されてお
り、生体物質、消化残渣を飼料あるいは有機肥料として
利用することが示されている。また、特開平11−18
8370号公報には、焼酎蒸留廃水に同量の他の要処理
廃水を混合し、静置法により清澄な上澄液を得る焼酎蒸
留廃水の処理法について開示されており、上澄液はPH
無調整、無希釈のまま好気的条件下に曝気処理できるこ
とが示されている。
圧蒸発缶を用いて減圧度を−650mmHgにして缶内
温度50℃以下で沸騰蒸発さすことにより、焼酎蒸留廃
液を焦がさず蒸発させ、含水率10%以下の固形分にす
るようにした立型減圧低温蒸発乾燥装置について、特開
平9−313164号公報には、醸造廃棄物を発酵処理
するための培養槽と酸化処理するための改質装置と処理
液の液温調整装置と種菌の接種装置とが設けられた発酵
装置を具備した蒸留残液のような醸造廃棄物を発酵処理
して有価物化する再資源化装置について開示されてい
る。
そのまま、あるいは乾燥を行い、更にはフスマ、わら等
の水分調整材と混合乾燥して飼料として利用し、又はス
クリュ−デカンタ−で濾過し、その濾過液を減圧蒸留し
た濃縮液を穀類、草類と混合して飼料として利用するこ
とが、また前記のような種々の生物学的処理を施したも
のを飼料あるいは肥料として利用することが行なわれて
いる。しかしながら、焼酎蒸留粕は90%以上が水分で
あり、放置しておくとすぐに腐敗を起こすことから、保
存・輸送範囲が限定され、しかも粘度が高いためにその
脱水処理は容易でなく、そしてフスマ、わら等の水分調
整材を用いるとしても多量のわらやフスマを必要とする
ので、かかる焼酎蒸留粕を有効利用し、資源化すること
は実用上困難とされていた。本発明の課題は、焼酎蒸留
粕等の動植物廃棄物を有効利用しうる動植物廃棄物の資
源化方法、特に資源の有効利用と廃棄物量の削減の観点
から、新たな廃棄物の発生を防止することができる簡便
かつ低コストの動植物廃棄物の資源化方法を提供するこ
とにある。
解決するために鋭意検討し、焼酎蒸留粕に稲わらを混合
して粉砕することにより、粉砕物の粒度分布の範囲が
0.1〜3500μm程度に広がり、この広範囲の粒度
分布の焼酎蒸留粕と稲わらとの混合・粉砕物を圧搾濾過
すると、かかる混合・粉砕物が濾過層を形成し、高粘度
の焼酎蒸留粕においても効率のよい固液分離が達成しう
ることを見い出し、また、混合・粉砕物を圧搾濾過する
ことにより得られる圧搾残渣が家畜等の優れた飼料とし
て利用可能であり、また、濾過液も飼料や有用有機物源
として有効に利用しうることを見い出し、本発明を完成
するに至った。
性植物素材とを混合・粉砕し、得られる混合・粉砕物を
圧搾濾過して圧搾残渣と濾過液とに分離し、圧搾残渣を
飼料として利用することを特徴とする動植物性廃棄物の
資源化方法(請求項1)や、動植物性廃棄物と繊維性植
物素材とを、100重量部:1〜6重量部の割合で混合
することを特徴とする請求項1記載の動植物性廃棄物の
資源化方法(請求項2)や、動植物性廃棄物と繊維性植
物素材とを混合した後に粉砕することを特徴とする請求
項1又は2記載の動植物性廃棄物の資源化方法(請求項
3)や、混合・粉砕物の粒度分布範囲が0.1〜350
0μmとなるように混合・粉砕することを特徴とする請
求項1〜3のいずれか記載の動植物性廃棄物の資源化方
法(請求項4)や、濾過液中の浮遊物質量(SS)及び
全有機性炭素(TOC)の濃度が低く、かつ圧搾残渣の
含水率が低くなるように粉砕することを特徴とする請求
項1〜4のいずれか記載の動植物性廃棄物の資源化方法
(請求項5)や、繊維性植物素材が、乾燥された繊維性
植物素材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれ
か記載の動植物性廃棄物の資源化方法(請求項6)や、
繊維性植物素材が、草本由来の繊維性植物素材であるこ
とをことを特徴とする請求項1〜6のいずれか記載の動
植物性廃棄物の資源化方法(請求項7)や、草本由来の
繊維性植物素材が、稲わら又は麦わらであることをこと
を特徴とする請求項7記載の動植物性廃棄物の資源化方
法(請求項8)や、動植物性廃棄物が、醸造廃棄物であ
ることを特徴とする請求項請求項1〜8のいずれか記載
の記載の動植物性廃棄物の資源化方法(請求項9)や、
醸造廃棄物が、酒類蒸留粕であることを特徴とする請求
項9記載の動植物性廃棄物の資源化方法(請求項10)
や、酒類蒸留粕が、焼酎蒸留粕であることを特徴とする
請求項10記載の動植物性廃棄物の資源化方法(請求項
11)に関する。
搾残渣に飼料配合材を配合して、圧搾残渣を飼料として
利用することを特徴とする請求項1〜11のいずれか記
載の動植物性廃棄物の資源化方法(請求項12)や、飼
料配合材が穀類であることを特徴とする請求項12記載
の動植物性廃棄物の資源化方法(請求項13)や、圧搾
濾過して得られる濾過液を用いた微生物の培養物を、飼
料として利用することを特徴とする請求項1〜13のい
ずれか記載の動植物性廃棄物の資源化方法(請求項1
4)や、微生物が、酵母及び/又は白色腐朽菌であるこ
とを特徴とする請求項14記載の動植物性廃棄物の資源
化方法(請求項15)や、圧搾濾過して得られる濾過液
を減圧蒸留して、蒸留液から有用有機物を得ることを特
徴とする請求項1〜13のいずれか記載の動植物性廃棄
物の資源化方法(請求項16)や、圧搾濾過して得られ
る濾過液を減圧蒸留して、蒸留残渣を飼料として利用す
ることを特徴とする請求項1〜13のいずれか記載の動
植物性廃棄物の資源化方法(請求項17)や、圧搾濾過
に使用する金網の目開きが、5〜500μmの範囲であ
り、動植物性廃棄物の粘性及び有効径に応じ、金網の目
開きを変えることを特徴とする請求項1〜17のいずれ
か記載の動植物性廃棄物の資源化方法(請求項18)に
関する。
方法としては、動植物性廃棄物と繊維性植物素材とを混
合・粉砕し、得られる混合・粉砕物を圧搾濾過して圧搾
残渣と濾過液とに分離し、圧搾残渣を飼料として利用す
る方法であれば特に制限されるものではなく、ここで資
源化方法とは、動植物性廃棄物資源を有効に利用するこ
とができ、かつ、新たな廃棄物の発生を防止することが
可能な処理方法をいう。
動物や植物に由来する廃棄物であれば特に制限されるも
のではなく、醸造廃棄物、水産加工廃棄物、畜産加工廃
棄物などの各種食品工業廃棄物や厨芥等を例示すること
ができ、より具体的には、焼酎蒸留粕、ウイスキー蒸留
粕等の酒類蒸留粕、酒粕、アルコール製造粕、有機酸発
酵粕、生ゴミ等を挙げることができるが、これらの中で
も、水分含量が高く腐敗しやすい廃棄物や、粘度が高く
固液分離が困難な廃棄物、例えば焼酎蒸留粕等の酒類蒸
留粕が本発明の効果を十分享受しうる点で特に好まし
い。また、焼酎蒸留粕としては、米焼酎、麦焼酎、藷焼
酎等の製造廃棄物である蒸留粕であれば特に制限される
ものではない。
植物に由来する繊維性の素材であれば特に制限されるも
のではないが、木部があまり発達していない草質からな
る草本(草類)に由来する繊維性素材が好ましくい。ま
た、これら繊維性植物素材としては、保水性、剛性を有
する乾燥された繊維性植物素材が好ましい。繊維性植物
素材として具体的に、木材パルプ、果実パルプ、木屑、
籾殻、バガス、ふすま、ぬか、脱穀粕、澱粉製造粕、稲
わら、麦わら、乾燥オカラ、醤油粕等を挙げることがで
きるが、これらの中でも、吸水性や濾過に適した粉砕特
性を備え、容易に入手でき、飼料価値等の点でも優れた
稲わら、麦わらが特に好ましい。
物素材との混合・粉砕は、繊維性植物素材を粉砕した後
に動植物性廃棄物と混合してもよいが、動植物性廃棄物
と繊維性植物素材とを混合した後に粉砕する方が、動植
物性廃棄物と繊維性植物素材とを簡便に均一混合しうる
点で好ましい。また、動植物性廃棄物と繊維性植物素材
との配合割合は、動植物性廃棄物や繊維性植物素材の種
類に応じて適宜決定することができるが、動植物性廃棄
物100重量部に対して繊維性植物素材0.5〜20重
量部、好ましくは1〜6重量部の割合で混合することが
好ましい。
・粉砕後の混合・粉砕物の粒度分布範囲が0.1〜35
00μm程度の広範囲となるように粉砕することが好ま
しく、この広範囲の粒度分布の混合・粉砕物を圧搾濾過
すると、かかる混合・粉砕物が濾過層を形成し、焼酎蒸
留粕等の高粘度の動植物性廃棄物においても効率のよい
固液分離を達成することができる。また、混合・粉砕処
理後の圧搾濾過処理により生じる濾過液中の浮遊物質量
(SS)及び全有機性炭素(TOC)の濃度が低くなる
ように、かつ圧搾残渣の含水率が低くなるように、粉砕
機の種類、粉砕時間等の粉砕条件を選定することが好ま
しい。かかる混合・粉砕に用いる装置としては、従来公
知の混合・粉砕機であれば特に制限されるものではな
く、例えば、オスターブレンダー、ディスポーザー等を
例示することができる。
植物性廃棄物と繊維性植物素材とを混合・粉砕し、得ら
れる混合・粉砕物を圧搾残渣と濾過液とに分離しうる処
理であれば特に制限されるものではないが、動植物性廃
棄物の固形物の除去率を高めるために圧搾濾過に使用す
る金網の目開きを、上記固形物の粘性及び有効径に基づ
き変えることが好ましい。金網の目開きの大きさとして
は、例えば、0.1〜3500μmの範囲を挙げること
ができるが、5〜500μmの範囲のものを用いること
が圧搾濾過の際、繊維性植物素材の繊維膜に上記固形物
が取り込まれ易くなる点で好ましい。また、かかる圧搾
濾過処理に用いられる圧搾濾過機としては従来公知のプ
レス装置等を挙げることができる。圧搾濾過条件として
は、動植物性廃棄物と繊維性植物素材との混合・粉砕物
の物性にもよるが、載荷荷重0.5〜20kPaでの2
〜120分間プレスを例示することができるが、濾過液
中の浮遊物質量(SS)及び全有機性炭素(TOC)の
濃度が低くなるように、かつ圧搾残渣の含水率が低くな
るように圧搾濾過条件を設定することが好ましい。
に飼料配合材を配合することにより、圧搾残渣を飼料と
して利用することができる。上記飼料配合材としては、
目的とする飼料成分となるように、穀類(全粒)、穀
粉、雑穀類、ふすま、油粕、ミネラル等の従来公知の飼
料配合材を適宜選択して用いることができる。
を、酵母、白色腐朽菌、麹菌等の微生物の培地として利
用し、これら微生物の培養物を必要に応じて脱水処理し
て、飼料として利用することができる。また、圧搾濾過
処理により得られる濾過液を減圧蒸留して、蒸留液から
有用な有機物を得ることもできる。かかる有用有機物と
しては、各種アルコール類、各種エステル類、各種有機
酸類等を挙げることができる。さらに、有用有機物を採
取した後の蒸留残渣に、必要に応じて前記飼料配合材を
配合して、飼料として利用することもできる。
いると、(地域)循環資源化システムを構築することが
できる。動植物性廃棄物として食品製造蒸留廃棄物を用
いた場合、焼酎蒸留粕と稲わらを混合・粉砕して、圧搾
濾過し、圧搾残渣は雑穀類と配合して家畜用の飼料とし
て再資源化する。濾過液は酵母や白色腐朽菌等を培養し
て家畜用の飼料として利用するか、又は減圧蒸留して有
用な有機成分を回収した後、濃縮残渣を家畜の飼料とし
て利用する。本発明により得られる飼料により生育した
家畜の糞尿は堆肥となり、焼酎の原料となる甘藷や稲の
栽培に用いられる。このように、本発明の資源化方法を
循環資源化システムとして構築することにより、廃棄物
の排出を防ぎながら再資源化を図ることができ、地域内
で廃棄物を資源として循環させ有効に活用することが可
能となる。
をオスタ−ブレンダ−(粉砕機)で粉砕混合した後、圧
搾濾過装置で濾過した場合の実施例を以下に示すが、本
発明の一つの例示であって、本発明はこれに限定される
ものではない。
(径;10.5cm、穴径;5mm)、金網(目開き;
500μm)、アクリル円筒(径;10.5cm、深
さ;20cm)、及び載荷可能なピストンから構成され
ている。飼料作製は、甘藷焼酎蒸留粕100gと長さ1
cmに切断した稲わら(110℃で3時間乾燥)をオス
ターブレンダー(粉砕機、16,800rpm)で粉砕
混合後、約10分間放置し、混合・粉砕物を圧搾濾過装
置の中に流し込み、載荷荷重1kPaで約30分間プレ
スし、圧搾残渣と濾過液に分離した。圧搾残渣に穀類
(麦粉)を加え半練状にし、押出機により棒状に成形
し、乾燥機で乾燥(60℃で12時間)を行った。圧搾
濾過液の液量を装置底部のメスシリンダーで測定し、更
に濾過液中のSS、TOC濃度と粒度分布の測定及び作
製飼料の成分分析を行った。なお、焼酎蒸留粕の含水
率、強熱減量は下水道試験法、粒度分布はレ−ザ−回析
式粒度分布測定装置(SALP-2000J型)で行った。
調べてみた。結果を図2に示す。焼酎蒸留粕(SS;3
2430mg/L、TOC;22440mg/L、含水
率;93.7%)のみを1kPaで圧搾濾過すると、濾
過液量は58ml、SSは10640mg/L、TOC
は21530mg/L、含水率は89.7%であった。
図に示されるように、焼酎蒸留粕に稲わらを1〜6%
(重量比)添加することにより、濾過液量は稲わら1%
添加で35ml、3%添加で32ml、6%添加で1
0.5mlとなり、稲わら添加率の増加に伴って減少し
た。濾過液中のSS濃度は、稲わら添加率2%で105
7mg/L、3%で1247mg/Lとなり、その後稲
わら添加量の増加に伴って増加している。圧搾残渣の含
水率は稲わら添加により89.7%から86.0%まで
減少した。焼酎蒸留粕を圧搾濾過すると、SS成分が6
7%除去されるが、稲わらを重量比で2%加えると、S
S除去率は96.7%となった。
間の検討) 次に、焼酎蒸留粕100g、載荷荷重1kPa、稲わら
添加率3%の実験条件下における、オスタ−ブレンダ−
による粉砕時間(1,3,5,7分)とSS、TOC濃
度、濾過液量との関係を調べてみた。結果を図3に示
す。濾過液量は粉砕時間1分で34.5mlであるが、
粉砕時間5分で27mlまで減少した。しかし、粉砕時
間7分からは36.5mlと増加傾向を示した。また、
濾過残留物の含水率は粉砕時間(1,3,5,7分)あ
たり87.2%、86.9%、85.9%、86%であ
った。飼料作製に最適な粉砕時間は濾過液中のSS、T
OC濃度が低く、残留物の含水率が低い方がよい。した
がって、飼料作製条件としては、稲わら添加率3%、粉
砕時間3分が最適であることがわかった。
みた。結果を図4に示す。濾過液量は濾過時間10分間
で全濾過液量(32ml)の内82%(28ml)が濾
過され、残り18%(6ml)の濾過に20分かかり、
濾過液速度は0.3ml/分であった。濾過液中のSS
濃度は初期の1分間に3,200mg/L、1〜5分間
で640、5〜10分間で244mg/Lとなり、極端
に減少する。このことは、濾過初期では稲わら添加によ
る濾過膜が形成されず混合飼料が金網を通過するために
SS濃度が高くなり、濾過膜が形成されるとSS成分が
膜中に取り込まれるようになり、SS濃度が急激に減少
したものと考えられる。
(作製飼料)の粗蛋白質、粗脂肪、粗繊維、粗灰分、カ
ルシウム、リン等の各成分を比較した。結果を表1に示
す。なお、A飼料は穀類(77%)、フスマ(11
%)、大豆油粕(8%)、その他(4%)から成る配合
飼料、B飼料は焼酎粕の固液分離液を濃縮し、その液に
繊維質、穀類を配合したものである。今回の作製飼料は
甘藷焼酎蒸留粕(100g)に稲わらと小麦粉をそれぞ
れ3g添加したものである。表1からもわかるように、
粗蛋白質は他の飼料と同等以上であるが、その他の成分
は50%前後である。しかし、稲わら、穀類の添加量を
変化させることで、他の成分は調整できる。また、この
他にビタミン、ホルモン等を添加することにより栄養バ
ランスのとれた家畜飼料製造が可能である。このよう
に、産業廃棄物である焼酎蒸留粕と稲わらに穀類を3%
添加することで簡単に飼料化ができることが明らかとな
った。
に、甘藷焼酎粕ではセルロース濃度が8000mg/L
と高く、粘性が水(0.001Pa・S、20℃)の8
0倍である。一方、麦焼酎粕は甘藷焼酎蒸留粕に比較し
てセルロース濃度、粘性がそれぞれ1/2、1/8と低
く、さらっとした性状である。また、粒度加積曲線(図
5及び図6)から、麦焼酎蒸留粕、甘藷焼酎蒸留粕の固
形物の有効径は2.5μm、80μmとなり、麦焼酎蒸
留粕の粒径が小さいことが分かる。このことから、甘藷
焼酎蒸留粕の場合には、粘性が高く、有効径が大きいた
め、甘藷焼酎粕と稲わらを粉砕混合後、圧搾濾過すると
稲わらの繊維膜に固形物が取り込まれやすくなる。一
方、麦焼酎蒸留粕の場合には、粘性が低く、有効径が小
さいため、麦焼酎粕と稲わらを粉砕混合し、圧搾濾過し
ても稲わらの繊維膜に固形物が取り込まれ難くなる。そ
こで、濾過金網の目開きを500、280、200、1
00μmに変化させ、実施例B−1記載の甘藷焼酎蒸留
粕の実験と同一条件で、麦焼酎蒸留粕の実験をそれぞれ
個別に3回行い、SS、TOC濃度、含水率、廃液量と
の関係を調べ、SSの平均値を調べてみた。なお、麦焼
酎粕は100gで、稲わら添加率は3%で、粉砕時間は
3分間にて行った。結果を表2に示す。このことから、
金網の目開き500μmではSS濃度は平均8026m
g/Lとなり、甘藷焼酎蒸留粕の1057mg/Lに比
較すると蒸留粕の固形物除去率は78.5%、96.7
%となることが明らかとなった。表2のように、金網の
目開きを小さくすることで、固形物除去率は88.6、
91.6、92.8%と高くなる。麦焼酎蒸留粕の有効
径が2.5μmであることから、金網の目開きを5μm
程度で濾過すればさらに除去率は高くなると考えられ
る。このように、粘性が低く、有効径が小さい原料の場
合、金網の目開きを小さくすることで、固形物除去率を
高めることができる。
でその脱水処理が困難であった焼酎蒸留粕等の動植物性
廃棄物を、混合・粉砕後の圧搾濾過というような簡便な
手段で処理することが可能となるために、実用的な処理
手段としての利用価値が大きい。特に、焼酎蒸留粕等
は、その高水分含量のために放置するとすぐに腐敗が起
こり、その保存、輸送範囲が限定され、その処理に制約
が生じていたが、本発明により焼酎蒸留粕等の固形分と
水分を簡便かつ効率よくに分離することが可能となるた
めに、蒸留廃棄物の排出現場に対応してその処理が可能
となり、従来その処理に窮していた動植物性廃棄物の再
資源化の問題を解決することができる。本発明で用いら
れる稲わら等の繊維性植物素材は、圧搾濾過に際して水
分吸収材と共に繊維濾過膜としての役割を果たし、濾過
液中のSS,TOC濃度の低下を図ることが可能とな
る。更に、本件発明の蒸留廃棄物等の資源化工程を循環
資源化システムとして構築すると、不要物の排出を極力
防止することができ、地域内での循環資源化システムを
完成されることができる。
す図である。
TOC濃度と濾過液量の関係を示す図である。
C濃度と濾過液量の関係を示す図である。
濾過液量の関係を示す図である。
度分布を示す図である。
したものの粒度分布を示す図である。
Claims (18)
- 【請求項1】 動植物性廃棄物と繊維性植物素材とを混
合・粉砕し、得られる混合・粉砕物を圧搾濾過して圧搾
残渣と濾過液とに分離し、圧搾残渣を飼料として利用す
ることを特徴とする動植物性廃棄物の資源化方法。 - 【請求項2】 動植物性廃棄物と繊維性植物素材とを、
100重量部:1〜6重量部の割合で混合することを特
徴とする請求項1記載の動植物性廃棄物の資源化方法。 - 【請求項3】 動植物性廃棄物と繊維性植物素材とを混
合した後に粉砕することを特徴とする請求項1又は2記
載の動植物性廃棄物の資源化方法。 - 【請求項4】 混合・粉砕物の粒度分布範囲が0.1〜
3500μmとなるように混合・粉砕することを特徴と
する請求項1〜3のいずれか記載の動植物性廃棄物の資
源化方法。 - 【請求項5】 濾過液中の浮遊物質量(SS)及び全有
機性炭素(TOC)の濃度が低く、かつ圧搾残渣の含水
率が低くなるように粉砕することを特徴とする請求項1
〜4のいずれか記載の動植物性廃棄物の資源化方法。 - 【請求項6】 繊維性植物素材が、乾燥された繊維性植
物素材であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか
記載の動植物性廃棄物の資源化方法。 - 【請求項7】 繊維性植物素材が、草本由来の繊維性植
物素材であることをことを特徴とする請求項1〜6のい
ずれか記載の動植物性廃棄物の資源化方法。 - 【請求項8】 草本由来の繊維性植物素材が、稲わら又
は麦わらであることをことを特徴とする請求項7記載の
動植物性廃棄物の資源化方法。 - 【請求項9】 動植物性廃棄物が、醸造廃棄物であるこ
とを特徴とする請求項請求項1〜8のいずれか記載の記
載の動植物性廃棄物の資源化方法。 - 【請求項10】 醸造廃棄物が、酒類蒸留粕であること
を特徴とする請求項9記載の動植物性廃棄物の資源化方
法。 - 【請求項11】 酒類蒸留粕が、焼酎蒸留粕であること
を特徴とする請求項10記載の動植物性廃棄物の資源化
方法。 - 【請求項12】 圧搾濾過して得られる圧搾残渣に飼料
配合材を配合して、圧搾残渣を飼料として利用すること
を特徴とする請求項1〜11のいずれか記載の動植物性
廃棄物の資源化方法。 - 【請求項13】 飼料配合材が穀類であることを特徴と
する請求項12記載の動植物性廃棄物の資源化方法。 - 【請求項14】 圧搾濾過して得られる濾過液を用いた
微生物の培養物を、飼料として利用することを特徴とす
る請求項1〜13のいずれか記載の動植物性廃棄物の資
源化方法。 - 【請求項15】 微生物が、酵母及び/又は白色腐朽菌
であることを特徴とする請求項14記載の動植物性廃棄
物の資源化方法。 - 【請求項16】 圧搾濾過して得られる濾過液を減圧蒸
留して、蒸留液から有用有機物を得ることを特徴とする
請求項1〜13のいずれか記載の動植物性廃棄物の資源
化方法。 - 【請求項17】 圧搾濾過して得られる濾過液を減圧蒸
留して、蒸留残渣を飼料として利用することを特徴とす
る請求項1〜13のいずれか記載の動植物性廃棄物の資
源化方法。 - 【請求項18】 圧搾濾過に使用する金網の目開きが、
5〜500μmの範囲であり、動植物性廃棄物の粘性及
び有効径に応じ、金網の目開きを変えることを特徴とす
る請求項1〜17のいずれか記載の動植物性廃棄物の資
源化方法。
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