JP2002138896A - 有摺接面部材 - Google Patents

有摺接面部材

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JP2002138896A JP2000337444A JP2000337444A JP2002138896A JP 2002138896 A JP2002138896 A JP 2002138896A JP 2000337444 A JP2000337444 A JP 2000337444A JP 2000337444 A JP2000337444 A JP 2000337444A JP 2002138896 A JP2002138896 A JP 2002138896A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】摺接面の潤滑剤保持能を向上するとともに摩擦
抵抗を低くする。 【解決手段】内燃機関用シリンダブロック10に設けら
れたシリンダボア12a〜12fの内周壁部14a〜1
4fは、基準長さ0.8mm、評価長さ4mmにおける
十点平均粗さ(Rz)、基準長さ0.8mm、評価長さ
4mm、切断レベル20%における負荷長さ率(t
p)、基準長さ0.8mm、評価長さ4mmにおける有
効負荷粗さ(Rk)を複数箇所測定した際の平均値が、
それぞれ、1μm≦Rz≦5μm、55%≦tp≦98
%、Rk≦1μmとなるようにホーニング加工されてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、所定の部材が摺接
する摺接面を有する有摺接面部材に関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関用シリンダブロックに設けられ
たシリンダボア内では、ピストンおよび該ピストンに嵌
合されたピストンリングが往復動作される。すなわち、
シリンダボアの内周壁部には、ピストンおよびピストン
リングの側周壁部が摺接する。
【0003】この摺接は、両者の間に潤滑油が介在され
た状態で行われる。シリンダボアの内周壁部にピストン
およびピストンリングの側周壁部が摺接することに伴っ
て発生した摩擦熱は、この潤滑油により除去される。す
なわち、潤滑油で前記内周壁部および前記側周壁部が冷
却されることにより、両者に焼き付きが生じることが回
避される。
【0004】このことから諒解されるように、潤滑油を
介して所定の部材が摺接する摺接面を有する部材(以
下、有摺接面部材という)においては、該摺接面が潤滑
油保持能に優れていることが好ましい。この場合、摺接
面に保持された潤滑油によって該摺接面が効率よく冷却
され、したがって、焼き付きを確実に回避することがで
きるからである。
【0005】そこで、潤滑油が良好に保持されるよう
に、摺接面が特定の形状に加工された部材が種々提案さ
れている。その例としては、スカート部に条痕が形成さ
れた内燃機関用ピストン、内周壁部にプラトーホーニン
グが形成されたシリンダボアを有する内燃機関用シリン
ダブロック、超微細オイルポッドが形成されたローラベ
アリング、グルーブが形成されたエンジンメインベアリ
ング等が挙げられる。これらは既に実用化されており、
実際、摺接面の耐焼き付き性や疲労強度等が向上した部
材として広く認識されるに至っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】潤滑油を良好に保持さ
せるようにするためには、上記したように、摺接面に条
痕やプラトーホーニング等を設けることにより該摺接面
を粗くすればよい。これにより摺接面に多数の凹凸部が
形成され、その結果、潤滑油が凹部に貯留されるように
なる。すなわち、この場合、平滑な摺接面に比して多量
の潤滑油が滞留されるようになるからである。
【0007】しかしながら、摺接面が粗いほど摩擦抵抗
が高くなる。したがって、例えば、シリンダボアであれ
ば、ピストンおよびピストンリングを往復動作させる際
に要する駆動力が大きくなる。このような事態が生じる
と、内燃機関を付勢するための燃料消費量が増加してし
まうという不具合が惹起される。また、ピストンおよび
ピストンリングが摺接する際に発生する摩擦熱量が大き
くなるので、焼き付きを招くことが懸念される。
【0008】このように、潤滑油保持能の大小と摩擦抵
抗の高低は、互いに相反するように上昇・低下してしま
う。このため、潤滑油保持能に優れかつ摩擦抵抗が小さ
い摺接面を形成することは困難を極めている。
【0009】本発明は上記した問題を解決するためにな
されたもので、潤滑剤保持能に優れるとともに所定の部
材が摺接する際の摩擦抵抗が充分に低い摺接面を有する
有摺接面部材を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、所定の部材が潤滑剤を介して摺接する
摺接面を有する有摺接面部材であって、十点平均粗さ、
負荷長さ率および有効負荷粗さを複数箇所測定した際の
平均値が、それぞれ、1μm以上5μm以下、55%以
上98%以下、1μm以下であることを特徴とする。
【0011】十点平均粗さ、負荷長さ率および有効負荷
粗さが上記の範囲内である摺接面には、潤滑剤保持部と
して機能する凹部が多数存在する。このため、この摺接
面は潤滑剤保持能に優れる。したがって、該摺接面が潤
滑剤により確実に冷却されるので、焼き付きが生じるこ
とを回避することもできる。
【0012】しかも、この場合、前記所定の部材が摺接
する際の摩擦抵抗が充分に小さい。したがって、該部材
が容易に摺動動作することができる。このため、該部材
を摺接させるために多大な駆動力を要することがない。
また、発生する摩擦熱量が小さくなるので、焼き付きが
生じることが一層回避される。
【0013】有摺接面部材の好適な例としては、内燃機
関用シリンダブロックを挙げることができる。この場
合、シリンダボアの内周壁部が摺接面となる。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る有摺接面部材
につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を参照して
詳細に説明する。
【0015】本実施の形態に係る有摺接面部材としての
内燃機関用シリンダブロックの概略全体斜視図を図1に
示す。この内燃機関用シリンダブロック10には6箇所
のシリンダボア12a〜12fが設けられており、該シ
リンダボア12a〜12fの内部では図示しないピスト
ンおよび該ピストンに嵌合されたピストンリングが往復
動作される。すなわち、シリンダボア12a〜12fの
内周壁部14a〜14fは、ピストンおよびピストンリ
ングの側周壁部が摺接する摺接面である。
【0016】このうち、内周壁部14aの表面を拡大し
て図2に示す。この図2に示されるように、内周壁部1
4aの表面は微視的には平坦ではなく、複数の凹部16
と凸部18とが互いに連なってなるうねり20を多数有
する。潤滑剤である潤滑油は、凹部16に貯留される。
すなわち、凹部16はオイルピットとして機能する。
【0017】そして、うねり20は、基準長さ0.8m
m、評価長さ4mmにおける十点平均粗さ(以下、Rz
とも表記する)、基準長さ0.8mm、評価長さ4m
m、切断レベル20%における負荷長さ率(以下、tp
とも表記する)、基準長さ0.8mm、評価長さ4mm
における有効負荷粗さ(以下、Rkとも表記する)を複
数箇所測定した際の平均値が後述する範囲内となるよう
に形成されている。
【0018】ここで、Rz、tpおよびRkの定義を示
すとともに、その範囲について説明する。
【0019】まず、十点平均粗さとは、図3に示すよう
に、うねり20を表す粗さ曲線CVから平均線の方向に
基準長さだけ抜き取り、この抜き取り部分における最も
高い凸部18aから5番目に高い凸部18bまでの標高
(平均線から山頂までの距離Yp1〜Yp5)の絶対値
の平均値と、最も低い凹部16aから5番目に低い凹部
16bまでの深さ(平均線から谷底までの距離Yv1〜
Yv5)の絶対値の平均値の和である。すなわち、Rz
は、以下の(1)式により求められる。
【0020】
【数1】
【0021】なお、上記したように、本実施の形態にお
いては基準長さを0.8mmとし、かつ評価長さを4m
mとしている。また、平均線とは、基準長さ0.8mm
における各凹部16の深さおよび各凸部18の標高に基
づいて最小自乗法により求められた直線である。
【0022】うねり20は、Rzが1μm以上5μm以
下となるように形成されている。Rzが1μm未満であ
ると、凹部16が浅くなるので潤滑油を充分に貯留する
ことができなくなる。すなわち、内周壁部14aが潤滑
油保持能に乏しくなる。また、5μmを超えると、内周
壁部14aの摩擦抵抗が高くなる。
【0023】次に、負荷長さ率とは、図4に示すよう
に、粗さ曲線CVから基準長さだけ抜き取り、この抜き
取り部分における最も高い凸部18aを通る直線(山頂
線)に対して平行な切断レベルで切断したときに得られ
る切断長さ(図4におけるb1、b2、…bi、…b
n)の総和の基準長さに対する比を百分率で表したもの
である。本実施の形態では基準長さが0.8mmである
ので、tpは以下の(2)式により求められる。
【0024】 tp={(b1+b2+…+bi+…+bn)/0.8}×100 …(2)
【0025】ここで、本実施の形態では、切断レベルを
20%としている。すなわち、図4における切断線は、
山頂線と、最も深い凹部16aを通って平均線に平行な
谷底線との間の距離を100%とするとき、その20%
に相当する位置から山頂線および谷底線に対して平行に
引かれた直線である。
【0026】うねり20は、tpが55%〜98%の範
囲内となるように形成されている。tpが55%未満で
あると、内周壁部14aの摩擦抵抗が大きくなる。ま
た、98%を超えると、凹部16の数が少なくなる。す
なわち、オイルピットの数が少なくなるので、内周壁部
14aが潤滑油保持能に乏しくなる。
【0027】また、有効負荷粗さとは、図5に示される
直線Lとtp=0%および100%(縦軸)との各交点
であるA点とB点との間の距離である。ここで、直線L
は、横軸をtpとする負荷曲線V上でtp値の差が40
%となるC点およびD点を通る直線の中で最も傾きが小
さい直線である。なお、負荷曲線Vは、各凹部16の深
さおよび各凸部18の標高の分布に基づいて求められ
る。
【0028】うねり20は、Rkが1μm以下となるよ
うに形成されている。Rkが1μmよりも大きいと、内
周壁部14aの摩擦抵抗が高くなるからである。
【0029】一例として、Rz=1.18μm、tp=
95.1%、Rk=0.15μmである粗さ曲線CV
1、Rz=2.22μm、tp=84.6%、Rk=
0.48μmである粗さ曲線CV2、およびRz=2.
88μm、tp=55.1%、Rk=0.94μmであ
る粗さ曲線CV3を図6〜図8にそれぞれ示す。これら
図6〜図8から、摺接面は、RzおよびRkが小さくか
つtpが大きいほど平滑になり、一方、RzおよびRk
が大きくかつtpが小さいほど粗くなることが諒解され
る。
【0030】これら粗さ曲線CV1〜CV3は、うねり
20、換言すれば、内周壁部14aの表面の状態を表
す。すなわち、図6に示される状態に近づくほど摩擦抵
抗は低減するが、オイルピット(凹部16)の数が減少
するので潤滑油保持能が低減してしまう。また、図8に
示される状態に近づくほど潤滑油保持能が向上するが、
摩擦抵抗が上昇してしまう。そこで、Rz、tpおよび
Rkを上記範囲内に規定することにより、潤滑油保持能
に優れ、かつ摩擦抵抗が充分に低い内周壁部14aを得
ることができる。なお、本実施の形態においては、全て
のうねり20におけるRz、tpおよびRkが上記範囲
内である必要は特になく、複数個のうねり20について
Rz、tpおよびRkを測定し、その平均値が上記範囲
内であればよい。
【0031】勿論、残余のシリンダボア12b〜12f
(図1参照)の内周壁部14b〜14fにおいても、内
周壁部14aと同様にRz、tpおよびRkが上記範囲
内に規定されている。このようなシリンダボア12a〜
12fを有する内燃機関用シリンダブロック10におい
ては、該シリンダボア12a〜12f内でピストンおよ
びピストンリングを容易に往復動作させることができ
る。該シリンダボア12a〜12fの内周壁部14a〜
14fの摩擦抵抗が低いからである。したがって、燃料
消費量を低減することができる。しかも、摩擦熱量が小
さくなるので、焼き付きが発生することを回避すること
もできる。
【0032】また、内周壁部14a〜14fが潤滑油保
持能に優れているので、焼き付きが発生することが一層
回避される。
【0033】Rz、tpおよびRkが上記範囲内に規定
されたうねり20を有する内周壁部14a〜14fは、
例えば、図9に示すホーニング加工装置30を用いるこ
とにより形成することができる。
【0034】このホーニング加工装置30の構成につ
き、図9を参照して概略説明する。
【0035】ホーニング加工装置30は、シリンダボア
12a〜12f内に挿入されるホーニングヘッド32
と、該ホーニングヘッド32に拡張力を与えるための第
1油圧シリンダ34と、この拡張力を制御する制御回路
36と、第1油圧シリンダ34を収容した回転軸部38
と、該回転軸部38を昇降動作させるための第2油圧シ
リンダ40とを備える。
【0036】ホーニングヘッド32には、4個の砥石4
2a〜42dが互いに90°ずつ離間して固定されてい
る。また、ホーニングヘッド32と回転軸部38とは互
いに連結されており、したがって、回転軸部38が回転
動作されることに追従してホーニングヘッド32も回転
動作する。なお、後述するように、砥石42a〜42d
は、粗加工と仕上げ加工において互いに異なるものが選
定される。
【0037】ホーニングヘッド32は、拡径または縮径
させることが可能な円柱体である。すなわち、第1油圧
シリンダ34に油圧が加えられた場合、この油圧は図示
しない油路を介してホーニングヘッド32に伝達され、
その結果、ホーニングヘッド32が拡径されて砥石42
a〜42dがシリンダボア12a〜12fの内周壁部1
4a〜14fに当接する。
【0038】第1油圧シリンダ34に作用する油圧の増
減は、該第1油圧シリンダ34と油源44とを連結する
油路46に介装された減圧バルブ48によって遂行され
る。後述するように、この油圧は制御回路36によって
制御される。
【0039】回転軸部38には、第2油圧シリンダ40
のピストンロッド50が連結されている。このピストン
ロッド50には変速歯車52が嵌合されており、該変速
歯車52には、図示しないモータが有する回転軸に嵌合
された図示しない歯車が噛合されている。
【0040】第2油圧シリンダ40のシリンダチューブ
54は、支持盤56により支持されている。この支持盤
56にはガイドバー58が位置決め固定されており、該
ガイドバー58のバー部60は連結盤62に設けられた
貫通孔(図示せず)に嵌合されている。また、連結盤6
2は、図示しないベアリングを介して回転軸部38の側
周壁部に嵌合されている。
【0041】そして、第2油圧シリンダ40のシリンダ
チューブ54において、ピストンロッド50の油圧受部
64で区分される第1室66および第2室68には、切
換バルブ70が介装された油路72a、72bを介して
油源74がそれぞれ接続されている。この油源74によ
り、ピストンロッド50の昇降動作が遂行される。な
お、油源74と制御回路36とは、ケーブル76を介し
て互いに電気的に接続されている。
【0042】このようなホーニング加工装置30を使用
し、粗加工と仕上げ加工とで砥石を変更してシリンダボ
ア12a〜12fの内周壁部14a〜14fを研磨加工
することにより、該内周壁部14a〜14fにRz、t
pおよびRkが上記した範囲内であるうねり20を形成
することができる。
【0043】具体的には、以下のようである。
【0044】まず、粗加工および仕上げ加工を行って内
周壁部14a〜14fを研磨加工する。この際、ホーニ
ングヘッド32を拡径する油圧、すなわち、第1油圧シ
リンダ34に与える油圧を種々変化させて仕上げ加工を
行い、形成されたうねり20につきRz、tpおよびR
kを測定し、仕上げ加工時の油圧等と、Rz、tpおよ
びRkとの相関関係を調査しておく。
【0045】実際の研磨加工を行うに際しては、まず、
ホーニングヘッド32に粒度が170〜325メッシュ
のメタルボンドダイヤモンド砥石を装着した後、制御回
路36に「起動」の命令を与える。これにより切換バル
ブ70内の油源74から第2油圧シリンダ40への流路
が開き、第2油圧シリンダ40のシリンダチューブ54
の第2室68内に作動油が導入される。これに伴い該第
2室68内の油圧が上昇し、その結果、ピストンロッド
50が下降動作してホーニングヘッド32が例えばシリ
ンダボア12a内に挿入される。この際、回転軸部38
は、連結盤62を介してガイドバー58のバー部60に
より案内される。
【0046】勿論、制御回路36は、ホーニングヘッド
32が所定の位置に到達した際にピストンロッド50の
下降動作を停止させる。すなわち、制御回路36は、ケ
ーブル76を介して切換バルブ70に制御信号を送るこ
とにより該切換バルブ70を閉止する。
【0047】次いで、制御回路36の制御作用下に減圧
バルブ48が開かれ、その結果、ホーニングヘッド32
が拡径されてメタルボンドダイヤモンド砥石がシリンダ
ボア12aの内周壁部14aに当接する。
【0048】この状態で、制御回路36の制御作用下に
図示しないモータが付勢される。これに伴い該モータが
有する回転軸が回転動作を開始することに追従して変速
歯車52が回転動作し、最終的に回転軸部38が回転動
作するに至る。なお、回転軸部38と連結盤62との間
には図示しないベアリングが介在されているので、連結
盤62およびガイドバー58が回転動作することはな
い。
【0049】回転軸部38が回転動作することにより、
メタルボンドダイヤモンド砥石が内周壁部14aに摺接
する。これにより該内周壁部14aが粗く研磨されるに
至る(粗加工)。
【0050】所定時間が経過した後、制御回路36は、
第1油圧シリンダ34に作用する油圧が低下するように
減圧バルブ48を制御する。これに伴いホーニングヘッ
ド32が縮径してメタルボンドダイヤモンド砥石が内周
壁部14aから離間する。
【0051】そして、切換バルブ70内の第2室68か
ら油源74への流路および油源74から第1室66への
流路が開き、その結果、作動油が第1室66内に導入さ
れるとともに第2室68から導出される。これに伴い該
第1室66内の油圧が第2室68内に比して高くなり、
したがって、ピストンロッド50が上昇動作してホーニ
ングヘッド32がシリンダボア12aから離脱する。こ
の際にも、回転軸部38は、連結盤62を介してガイド
バー58のバー部60より案内される。
【0052】この時点でホーニング加工装置30の運転
を一旦停止して、砥石を仕上げ加工用のものに変更す
る。この場合、仕上げ加工用砥石としては、粒度が20
00〜8000メッシュの砥石、好ましくは3000メ
ッシュのビトリファイドボンド砥石が選定される。
【0053】この砥石における砥粒としては、特に限定
されるものではないが、仕上げ加工時に不水溶性クーラ
ントを使用する必要がなく、したがって、研磨加工に要
するコストを低廉化できることから、ダイヤモンドであ
ることが好ましい。この場合、不水溶性クーラントを処
理する必要がないので、その処理コストが不要となるか
らである。
【0054】次に、ホーニングヘッド32を拡径する油
圧等の加工条件パラメータを、Rzが基準長さ0.8m
m、評価長さ4mmにおいて1μm〜5μm、tpが基
準長さ0.8mm、評価長さ4mm、切断レベル20%
において55%〜98%、Rkが基準長さ0.8mm、
評価長さ4mmにおいて1μm以下であるうねり20が
内周壁部14aに形成される範囲内の値で制御回路36
に入力する。油圧は、例えば、1MPa(10kgf/
cm2)程度とすればよい。
【0055】その後、制御回路36に再び「起動」の命
令を与える。これにより上記と同様にしてピストンロッ
ド50が下降動作し、ホーニングヘッド32がシリンダ
ボア12a内に挿入される。
【0056】そして、制御回路36は、ホーニングヘッ
ド32に供給される油圧が入力された油圧となるように
減圧バルブ48の開度を調整する。すなわち、ホーニン
グヘッド32はこの油圧(拡張力)で拡径され、その結
果、ビトリファイドボンド砥石が内周壁部14aに当接
する。以下、ビトリファイドボンド砥石により上記と同
様にして内周壁部14aの仕上げ加工が遂行される。
【0057】ビトリファイドボンド砥石では、砥粒と砥
粒とが軟質なビトリファイドによって互いに結合されて
いる。したがって、砥粒は、仕上げ加工が遂行される最
中に比較的容易に脱落する。換言すれば、ビトリファイ
ドボンド砥石は仕上げ加工が進行するにつれて摩耗する
ので、一定量を超えて内周壁部14aを研磨加工するこ
とができなくなる。要するに、内周壁部14aの研磨量
は一定値で飽和する。このように、仕上げ加工用砥石と
してビトリファイドボンド砥石を採用することにより、
内周壁部14aが必要量を超えて研磨されることを確実
に回避することができる。
【0058】しかも、上記したように、ホーニングヘッ
ド32は、制御回路36に入力された油圧、すなわち、
Rz、tpおよびRkが上記した範囲内であるうねり2
0が形成される油圧(拡張力)で拡径されている。した
がって、ビトリファイドボンド砥石の研削力が被削材の
研削抵抗と等しくなり、内周壁部14aを研磨加工する
ことができなくなった際には、該内周壁部14aには、
Rz、tpおよびRkが制御回路36に入力された値で
あるうねり20が形成されている。
【0059】このように、仕上げ加工用砥石としてビト
リファイドボンド砥石を使用することにより、内周壁部
14aにRz、tpおよびRkが上記した範囲内である
うねり20を確実に形成することができる。
【0060】以下、同様にして残余のシリンダボア12
b〜12fの内周壁部14b〜14fをホーニング加工
することにより、Rz、tpおよびRkが上記した範囲
内であるうねり20が内周壁部14b〜14fにも形成
される。
【0061】なお、上記した実施の形態においては、有
摺接面部材として内燃機関用シリンダブロック10を例
示して説明したが、特にこれに限定されるものではな
い。例えば、該内燃機関用シリンダブロック10のシリ
ンダボア12a〜12f内を往復動作するピストンおよ
び該ピストンに嵌合されたピストンリングであってもよ
い。この場合、該ピストンおよびピストンリングの側周
壁部が摺接面となる。
【0062】ピストンおよびピストンリングの側周壁部
の研磨加工は、例えば、高圧水とともに噴射されたガラ
スビーズをピストンおよびピストンリングの側周壁部に
衝突させることにより行うことができる。この場合、R
z、tpおよびRkは、ガラスビーズの直径や高圧水の
噴射圧力を設定することにより制御すればよい。同様に
して、クランクシャフトのクランクピン部やジャーナル
部、またはベアリング等も研磨加工することが可能であ
る。
【0063】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る有摺
接面部材によれば、その摺接面における十点平均粗さ、
負荷長さ率および有効負荷粗さの平均値が所定の範囲内
に設定されている。このため、該摺接面が潤滑剤保持能
に優れるとともに摩擦抵抗が充分に小さいものとなる。
したがって、焼き付きが生じることを確実に回避するこ
とができ、かつ所定の部材を該摺接面上で容易に摺動動
作させることができるという効果が達成される。
【0064】有摺接面部材の好適な例としては、内燃機
関用シリンダブロックを挙げることができる。この内燃
機関用シリンダブロックにおいては、シリンダボア内部
でピストンおよびピストンリングを容易に往復動作させ
ることができる。このため、内燃機関を付勢するための
燃料消費量を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施の形態に係る有摺接面部材である内燃機
関用シリンダブロックの概略全体斜視図である。
【図2】図1の内燃機関用シリンダブロックに設けられ
たシリンダボアの内周壁部(摺接面)の要部拡大図であ
る。
【図3】十点平均粗さの定義を説明する説明図である。
【図4】負荷長さ率の定義を説明する説明図である。
【図5】有効負荷粗さの定義を説明する説明図である。
【図6】Rz、tpおよびRkの値と粗さ曲線との関係
を説明する説明図である。
【図7】Rz、tpおよびRkの値と粗さ曲線との関係
を説明する説明図である。
【図8】Rz、tpおよびRkの値と粗さ曲線との関係
を説明する説明図である。
【図9】内周壁部をホーニング加工するために使用され
るホーニング加工装置の一部断面概略正面図である。
【符号の説明】
10…内燃機関用シリンダブロック(有摺接面部材) 12a〜12f…シリンダボア 14a〜14f
…内周壁部(摺接面) 16、16a、16b…凹部 18、18a、
18b…凸部 20…うねり 30…ホーニン
グ加工装置 32…ホーニングヘッド 36…制御回路 38…回転軸部 42a〜42d
…砥石 44、74…油源 46、72a、
72b…油路 CV、CV1、CV2、CV3…粗さ曲線 V…負荷曲線
フロントページの続き Fターム(参考) 3G024 AA23 CA15 EA01 FA06 FA07 FA14 GA12 HA03 3J044 AA04 AA12 BB39 BC13 CC03 DA09 EA02 EA10

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の部材が潤滑剤を介して摺接する摺接
    面を有する有摺接面部材であって、 十点平均粗さ、負荷長さ率および有効負荷粗さを複数箇
    所測定した際の平均値が、それぞれ、1μm以上5μm
    以下、55%以上98%以下、1μm以下であることを
    特徴とする有摺接面部材。
  2. 【請求項2】請求項1記載の有摺接面部材において、当
    該有摺接面部材が内燃機関用シリンダブロックであり、
    かつ前記摺接面がシリンダボアの内周壁部であることを
    特徴とする有摺接面部材。
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