JP2002144214A - 摺接面の研磨加工方法 - Google Patents

摺接面の研磨加工方法

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JP2002144214A
JP2002144214A JP2000337453A JP2000337453A JP2002144214A JP 2002144214 A JP2002144214 A JP 2002144214A JP 2000337453 A JP2000337453 A JP 2000337453A JP 2000337453 A JP2000337453 A JP 2000337453A JP 2002144214 A JP2002144214 A JP 2002144214A
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contact surface
sliding contact
polishing
peripheral wall
inner peripheral
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JP2000337453A
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Shunsuke Kayama
俊介 香山
Noriyuki Nanba
規之 難波
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Honda Motor Co Ltd
Original Assignee
Honda Motor Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】潤滑剤保持能に優れるとともに摩擦抵抗が低い
摺接面を容易かつ簡便に形成する。 【解決手段】内燃機関用シリンダブロック10のシリン
ダボア12a〜12fの内周壁部14a〜14fに対し
て仕上げ加工を施す際に、シリンダボア12a〜12f
の内周壁部14a〜14fの形成しようとする表面状態
を表す粗さ曲線の粗さパラメータが所望の範囲内となる
加工条件をホーニング加工装置30の制御回路36に入
力する。そして、粒度が2000〜8000メッシュの
砥石、好ましくは3000メッシュのダイヤモンド砥粒
がビトリファイドボンドにより相互に結合されたビトリ
ファイドボンドダイヤモンド砥石を仕上げ加工用砥石と
して使用し、仕上げ加工を施す。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、摺接面の研磨加工
方法に関し、一層詳細には、潤滑剤保持能に優れるとと
もに所定の部材が摺接する際の摩擦抵抗が充分に低い摺
接面を形成することが可能な摺接面の研磨加工方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関用シリンダブロックに設けられ
たシリンダボアの内周壁部には、該内周壁部に潤滑油保
持能を付与するとともに、該内周壁部に対するピストン
および該ピストンに嵌合されたピストンリングの側周壁
部の摺動動作を容易にするために、ホーニング加工とよ
ばれる研磨加工が施される。すなわち、まず、砥粒の粒
度が大きな粗加工用砥石を使用して内周壁部を粗研磨
し、凹部および凸部を形成する。
【0003】次に、砥粒の粒度が小さな仕上げ加工用砥
石に変更し、凹部および凸部が形成された内周壁部を仕
上げ研磨する。これにより凸部の山頂部が研磨除去さ
れ、その結果、内周壁部には凹部と平滑化された凸部と
が残留する。このように、凸部が平滑化されているの
で、仕上げ加工後の内周壁部の摩擦抵抗が仕上げ加工前
に比して低下する。
【0004】なお、必要に応じて、粗加工と仕上げ加工
との間に中仕上げ加工が行われることもある。この場
合、中仕上げ加工用砥石としては、砥粒の粒度が粗加工
用砥石に比して小さくかつ仕上げ加工用砥石に比して大
きなものが使用される。
【0005】このような研磨加工が施された内周壁部に
おいては、凹部がオイルピットとして機能するので、該
内周壁部とピストンおよびピストンリングの側周壁部に
焼き付きが生じることを確実に回避することができる。
潤滑油が内周壁部に良好に保持されるので、この潤滑油
により内周壁部とピストンおよびピストンリングの側周
壁部が確実に冷却されるからである。換言すれば、該内
周壁部にピストンおよびピストンリングの側周壁部が摺
接することに伴って発生した摩擦熱が潤滑油で確実に除
去されるからである。
【0006】また、内周壁部の摩擦抵抗が低下している
ので、ピストンおよびピストンリングの側周壁部は、該
内周壁部に対して容易に摺動動作することができるよう
になる。このため、小さな駆動力でピストンおよびピス
トンリングを往復動作させることができるので、内燃機
関を付勢するための燃料消費量が低減される。また、ピ
ストンおよびピストンリングが摺接する際に発生する摩
擦熱量が小さくなるので、焼き付きが生じることを一層
回避することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】シリンダボアの内周壁
部の潤滑油保持能を向上させるためには、上記から諒解
されるように、該内周壁部をさらに粗くして多数の凹部
および凸部を形成するようにすればよい。これにより、
一層多量の潤滑油が凹部に滞留されるようになるからで
ある。
【0008】しかしながら、内周壁部は粗くなるほど摩
擦抵抗が高くなる。したがって、ピストンおよびピスト
ンリングを往復動作させる際に要する駆動力が大きくな
り、結局、内燃機関を付勢するための燃料消費量が増加
してしまうという不具合が惹起される。また、ピストン
およびピストンリングが摺接する際に発生する摩擦熱量
が大きくなるので、焼き付きを招くことが懸念される。
【0009】一方、摩擦抵抗を低下させるために仕上げ
加工時間を長くして凸部を研磨するようにした場合、凸
部の山頂ばかりでなく中腹部、さらには裾野部までが研
磨除去され、その結果、凹部が浅くなってしまう。した
がって、内周壁部の潤滑油保持能が乏しくなる。
【0010】このため、内周壁部の仕上げ加工は、適度
な潤滑油保持能および摩擦抵抗が得られる程度で終了す
る必要がある。しかしながら、仕上げ加工の際、内周壁
部の研磨量は仕上げ研磨時間に略比例して増加する。し
たがって、仕上げ加工時には厳密な時間管理が必要であ
る。しかも、砥石の種類を変更する毎に適切な仕上げ研
磨時間を調査しなければならないので煩雑でもある。
【0011】すなわち、従来技術に係るシリンダボアの
内周壁部の研磨加工方法には、潤滑油保持能に優れかつ
摩擦抵抗が低い内周壁部を形成することが容易ではな
く、しかも、煩雑であるという不具合が顕在化してい
る。
【0012】本発明は上記した問題を解決するためにな
されたもので、潤滑剤保持能に優れるとともに所定の部
材が摺接する際の摩擦抵抗が充分に低い摺接面を容易か
つ簡便に形成することが可能な摺接面の研磨加工方法を
提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】前記の目的を達成するた
めに、本発明は、所定の部材が潤滑剤を介して摺接する
摺接面対し砥石で研磨加工を施することにより所定の表
面状態を形成する摺接面の研磨加工方法であって、粗加
工用砥石で摺接面を粗研磨することにより前記摺接面に
凹部および凸部を形成する粗加工工程と、前記摺接面の
表面状態を表す粗さ曲線の粗さパラメータが所望の範囲
内となるように加工条件を研磨加工装置の制御回路に入
力し、かつ前記粗加工用砥石を仕上げ加工用砥石に変更
した後に前記摺接面を仕上げ研磨する仕上げ加工工程
と、を有し、前記仕上げ加工用砥石として粒度が200
0〜8000メッシュの砥粒がビトリファイドボンドま
たはメタルボンドにより相互に結合されたビトリファイ
ドボンド砥石またはメタルボンド砥石を使用することを
特徴とする。
【0014】ビトリファイドボンド砥石では、砥粒と砥
粒とが軟質なビトリファイドによって相互に結合されて
いる。このため、砥粒は、仕上げ加工が遂行される最中
に比較的容易に脱落する。すなわち、ビトリファイドボ
ンド砥石は研磨加工が進行するにつれて容易に摩耗する
ので、一定量を超えて摺接面を研磨加工することができ
なくなる。メタルボンド砥石においても同様である。要
するに、この場合、摺接面の研磨量は、該摺接面におけ
る粗さパラメータがねらい値となるように研磨加工され
た後、一定値に飽和する。したがって、仕上げ加工の時
間管理を厳密に行う必要がない。
【0015】しかも、摺接面は、その表面における粗さ
パラメータがねらい値となるように形成されているの
で、潤滑剤保持能に優れるとともに摩擦抵抗が充分に低
い。すなわち、潤滑剤保持能に優れるとともに摩擦抵抗
が充分に低い摺接面を容易かつ簡便に形成することがで
きる。
【0016】粗さパラメータとしては、例えば、十点平
均粗さ、負荷長さ率および有効負荷粗さを選定すること
ができる。この場合、潤滑剤保持能に優れるとともに摩
擦抵抗が充分に低い摺接面を得るためには、十点平均粗
さが1μm以上5μm以下、負荷長さ率が55%以上9
8%以下、有効負荷粗さが1μm以下となるように加工
条件を設定すればよい。
【0017】また、仕上げ加工用砥石の砥粒は、ダイヤ
モンドであることが好ましい。この場合、不水溶性クー
ラントを使用することなく仕上げ加工を行うことができ
るので、研磨加工に要するコストを低廉化することがで
きるからである。
【0018】なお、摺接面の好適な例としては、内燃機
関用シリンダブロックに設けられたシリンダボアの内周
壁部を挙げることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明に係る摺接面の研磨
加工方法につき好適な実施の形態を挙げ、添付の図面を
参照して詳細に説明する。
【0020】まず、摺接面を有する有摺接面部材として
の内燃機関用シリンダブロックの概略全体斜視図を図1
に示す。この内燃機関用シリンダブロック10には6箇
所のシリンダボア12a〜12fが設けられており、該
シリンダボア12a〜12fの内部では図示しないピス
トンおよびピストンリングが往復動作される。すなわ
ち、内燃機関用シリンダブロック10において、シリン
ダボア12a〜12fの内周壁部14a〜14fは、ピ
ストンおよびピストンリングの側周壁部が摺接する摺接
面である。
【0021】これら内周壁部14a〜14fをホーニン
グ加工(研磨加工)するためのホーニング加工装置の構
成につき、図2を参照して概略説明する。
【0022】このホーニング加工装置30は、シリンダ
ボア12a〜12f内に挿入されるホーニングヘッド3
2と、該ホーニングヘッド32に拡張力を与えるための
第1油圧シリンダ34と、この拡張力を制御する制御回
路36と、第1油圧シリンダ34を収容した回転軸部3
8と、該回転軸部38を昇降動作させるための第2油圧
シリンダ40とを備える。
【0023】ホーニングヘッド32には、4個の砥石4
2a〜42dが互いに90°ずつ離間して固定されてい
る。また、ホーニングヘッド32と回転軸部38とは互
いに連結されており、したがって、回転軸部38が回転
動作されることに追従してホーニングヘッド32も回転
動作する。なお、後述するように、砥石42a〜42d
は、粗加工と仕上げ加工において互いに異なるものが選
定される。
【0024】ホーニングヘッド32は、拡径または縮径
させることが可能な円柱体である。すなわち、第1油圧
シリンダ34に油圧が加えられた場合、この油圧は図示
しない油路を介してホーニングヘッド32に伝達され、
その結果、ホーニングヘッド32が拡径されて砥石42
a〜42dがシリンダボア12a〜12fの内周壁部1
4a〜14fに当接する。
【0025】第1油圧シリンダ34に作用する油圧の増
減は、該第1油圧シリンダ34と油源44とを連結する
油路46に介装された減圧バルブ48によって遂行され
る。後述するように、この油圧は制御回路36によって
制御される。
【0026】回転軸部38には、第2油圧シリンダ40
のピストンロッド50が連結されている。このピストン
ロッド50には変速歯車52が嵌合されており、該変速
歯車52には、図示しないモータが有する回転軸に嵌合
された図示しない歯車が噛合されている。
【0027】第2油圧シリンダ40のシリンダチューブ
54は、支持盤56により支持されている。この支持盤
56にはガイドバー58が位置決め固定されており、該
ガイドバー58のバー部60は連結盤62に設けられた
貫通孔(図示せず)に嵌合されている。また、連結盤6
2は、図示しないベアリングを介して回転軸部38の側
周壁部に嵌合されている。
【0028】そして、第2油圧シリンダ40のシリンダ
チューブ54において、ピストンロッド50の油圧受部
64で区分される第1室66および第2室68には、切
換バルブ70が介装された油路72a、72bを介して
油源74がそれぞれ接続されている。この油源74によ
り、ピストンロッド50の昇降動作が遂行される。な
お、油源74と制御回路36とは、ケーブル76を介し
て互いに電気的に接続されている。
【0029】このように構成されたホーニング加工装置
30の制御回路36に、シリンダボア12a〜12fの
内周壁部14a〜14fに形成する表面状態の粗さパラ
メータが所望の範囲内となるような加工条件、例えば、
ホーニングヘッド32に供給される油圧等を入力し、か
つ粗加工と仕上げ加工とで砥石を変更してシリンダボア
12a〜12fの内周壁部14a〜14fをホーニング
加工することにより、該内周壁部14a〜14fに潤滑
油保持能を付与することができるとともに該内周壁部1
4a〜14fの摩擦抵抗を低下させることができる。
【0030】次に、本実施の形態に係る研磨加工方法に
つき具体的に説明する。
【0031】まず、粗加工および仕上げ加工を行って内
周壁部14a〜14fをホーニング加工する。この際、
ホーニングヘッド32を拡径する油圧、すなわち、第1
油圧シリンダ34に与える油圧を種々変化させて仕上げ
加工を行う。そして、仕上げ加工後の内周壁部14a〜
14fにつき、粗さパラメータである十点平均粗さ(以
下、Rzとも表記する)、負荷長さ率(以下、tpとも
表記する)および有効負荷粗さ(以下、Rkとも表記す
る)を測定し、仕上げ加工時の油圧とこれらとの相関関
係、および仕上げ加工後の内周壁部14a〜14fにお
ける潤滑油保持能の大小と摩擦抵抗の高低を調査する。
【0032】ここで、Rz、tpおよびRkの定義につ
き説明する。
【0033】まず、十点平均粗さとは、図3に示すよう
に、内周壁部14a〜14fの表面状態を表す粗さ曲線
CVから平均線の方向に基準長さだけ抜き取り、この抜
き取り部分における最も高い凸部100aから5番目に
高い凸部100bまでの標高(平均線から山頂までの距
離Yp1〜Yp5)の絶対値の平均値と、最も低い凹部
102aから5番目に低い凹部102bまでの深さ(平
均線から谷底までの距離Yv1〜Yv5)の絶対値の平
均値の和である。すなわち、Rzは、以下の(1)式に
より求められる。
【0034】
【数1】
【0035】なお、本実施の形態においては、基準長さ
を0.8mmとしかつ評価長さを4mmとしている。ま
た、平均線とは、基準長さ0.8mmにおける各凸部1
00の標高および各凹部102の深さに基づいて最小自
乗法により求められた直線である。
【0036】次に、負荷長さ率とは、図4に示すよう
に、粗さ曲線CVから基準長さだけ抜き取り、この抜き
取り部分における最も高い凸部100aを通る直線(山
頂線)に対して平行な切断レベルで切断したときに得ら
れる切断長さ(図4におけるb1、b2、…bi、…b
n)の総和の基準長さに対する比を百分率で表したもの
である。本実施の形態では基準長さを0.8mmとして
おり、したがって、tpは以下の(2)式により求めら
れる。
【0037】 tp={(b1+b2+…+bi+…+bn)/0.8}×100 …(2)
【0038】なお、本実施の形態では、切断レベルを2
0%としている。すなわち、図4における切断線は、山
頂線と、最も深い凹部102aを通って平均線に平行な
谷底線との間の距離を100%とするとき、その20%
に相当する位置から山頂線および平均線に平行に引かれ
た直線である。
【0039】また、有効負荷粗さとは、図5に示される
直線Lとtp=0%および100%(縦軸)との各交点
であるA点とB点との間の距離である。ここで、直線L
は、横軸をtpとする負荷曲線V上でtp値の差が40
%となるC点およびD点を通る直線の中で最も傾きが小
さい直線である。なお、負荷曲線Vは、各凹部102の
深さおよび各凸部100の標高の分布に基づいて求めら
れる。
【0040】一例として、Rz=1.18μm、tp=
95.1%、Rk=0.15μmである粗さ曲線CV
1、Rz=2.22μm、tp=84.6%、Rk=
0.48μmである粗さ曲線CV2、およびRz=2.
88μm、tp=55.1%、Rk=0.94μmであ
る粗さ曲線CV3を図6〜図8にそれぞれ示す。これら
粗さ曲線CV1〜CV3は、内周壁部14a〜14fの
表面状態を表している。すなわち、図6〜図8に示され
るように、内周壁部14a〜14fは、RzおよびRk
が小さくかつtpが大きいほど平滑になり、一方、Rz
およびRkが大きくかつtpが小さいほど粗くなる。
【0041】内周壁部14a〜14fは、図6に示され
る状態に近づくほど摩擦抵抗が低下するが、オイルピッ
ト(凹部102)の数が減少するので潤滑油保持能が乏
しくなってしまう。一方、図8に示される状態に近づく
ほど潤滑油保持能は向上するが、摩擦抵抗が上昇してし
まう。このことから、Rz、tpおよびRkを規定する
ことにより、潤滑油保持能に優れ、かつ摩擦抵抗が充分
に低い内周壁部14a〜14fを得ることができること
が諒解される。
【0042】具体的には、Rzを1μm〜5μmの範囲
内とする。Rzが1μm未満であると、凹部102が浅
くなるので潤滑油を充分に貯留することができなくな
る。すなわち、内周壁部14a〜14fが潤滑油保持能
に乏しくなる。また、5μmを超えると、内周壁部14
a〜14fの摩擦抵抗が高くなる。
【0043】そして、tpは55%〜98%の範囲内と
する。tpが55%未満であると、内周壁部14a〜1
4fの摩擦抵抗が大きくなる。また、98%を超える
と、凹部102の数が少なくなる。すなわち、オイルピ
ットの数が少なくなるので、内周壁部14a〜14fが
潤滑油保持能に乏しくなる。
【0044】さらに、Rkは1μm以下とする。Rkが
1μmよりも大きいと、内周壁部14a〜14fの摩擦
抵抗が高くなるからである。
【0045】なお、内周壁部14a〜14fの表面状態
を表す粗さ曲線におけるRz、tpおよびRkは、該内
周壁部14a〜14fの全領域に亘って上記範囲内であ
る必要は特になく、内周壁部14a〜14fの複数箇所
で測定されたRz、tpおよびRkの平均値が上記範囲
内であればよい。
【0046】実際の研磨加工を行うに際しては、まず、
粒度が170〜325メッシュの砥粒、好ましくは23
0メッシュのダイヤモンド砥粒が銅、錫、鉄、コバル
ト、ニッケル、タングステン等の合金からなるメタルボ
ンドで相互に結合されることにより構成されたメタルボ
ンドダイヤモンド砥石をホーニングヘッド32に装着し
た後、制御回路36に「起動」の命令を与える。これに
より切換バルブ70内の油源74から第2油圧シリンダ
40への流路が開き、第2油圧シリンダ40のシリンダ
チューブ54の第2室68内に作動油が導入される。こ
れに伴い該第2室68内の油圧が上昇し、その結果、ピ
ストンロッド50が下降動作してホーニングヘッド32
が例えばシリンダボア12a内に挿入される。この際、
回転軸部38は、連結盤62を介してガイドバー58の
バー部60により案内される。
【0047】制御回路36は、ホーニングヘッド32が
所定の位置に到達した際にピストンロッド50の下降動
作を停止させる。すなわち、制御回路36は、ケーブル
76を介して切換バルブ70に制御信号を送ることによ
り該切換バルブ70を閉止する。
【0048】次いで、制御回路36の制御作用下に減圧
バルブ48が開かれ、その結果、ホーニングヘッド32
が拡径されてメタルボンドダイヤモンド砥石がシリンダ
ボア12aの内周壁部14aに当接する。
【0049】この状態で、制御回路36の制御作用下に
図示しないモータが付勢される。これに伴い該モータが
有する回転軸が回転動作を開始することに追従して変速
歯車52が回転動作し、最終的に回転軸部38が回転動
作するに至る。なお、回転軸部38と連結盤62との間
には図示しないベアリングが介在されているので、連結
盤62およびガイドバー58が回転動作することはな
い。
【0050】回転軸部38が回転動作することにより、
メタルボンドダイヤモンド砥石が内周壁部14aに摺接
する。これにより該内周壁部14aが粗く研磨され(粗
加工)、該内周壁部14aに微細な凸部100および凹
部102(図3および図4参照)が形成されるに至る。
【0051】所定時間が経過した後、制御回路36は、
第1油圧シリンダ34に作用する油圧が低下するように
減圧バルブ48を制御する。これに伴いホーニングヘッ
ド32が縮径してメタルボンドダイヤモンド砥石が内周
壁部14aから離間する。
【0052】そして、切換バルブ70内の第2室68か
ら油源74への流路および油源74から第1室66への
流路が開き、その結果、作動油が第1室66内に導入さ
れるとともに第2室68から導出される。これに伴い該
第1室66内の油圧が第2室68内に比して高くなり、
したがって、ピストンロッド50が上昇動作してホーニ
ングヘッド32がシリンダボア12aから離脱する。こ
の際にも、回転軸部38は、連結盤62を介してガイド
バー58のバー部60より案内される。
【0053】この時点でホーニング加工装置30の運転
を一旦停止して、砥石を仕上げ加工用のものに変更す
る。この場合、仕上げ加工用砥石としては、砥粒の粒度
が2000〜8000メッシュのビトリファイドボンド
砥石が選定される。2000メッシュ未満のものである
と、単位時間当たりの研磨量が著しく大きくなるので凹
部102が浅くなり、結局、内周壁部14aの潤滑油保
持能が乏しくなる。また、8000メッシュを超えるも
のであると、単位時間当たりの研磨量が著しく小さくな
るので、研磨加工の効率が著しく低下する。好ましい砥
粒の粒度は、3000メッシュである。
【0054】砥粒としては、不水溶性クーラントを使用
する必要がないことから、ダイヤモンドを選定すること
が好ましい。この場合、不水溶性クーラントの処理コス
トが不要となるので、研磨加工に要するコストを低廉化
できるからである。
【0055】次に、ホーニングヘッド32を拡径する油
圧等の加工条件パラメータを、Rzが基準長さ0.8m
m、評価長さ4mmにおいて1μm〜5μm、tpが基
準長さ0.8mm、評価長さ4mm、切断レベル20%
において55%〜98%、Rkが基準長さ0.8mm、
評価長さ4mmにおいて1μm以下であるうねりが内周
壁部14aに形成される範囲内の値で制御回路36に入
力する。油圧は、例えば、1MPa(10kgf/cm
2)程度とすればよい。
【0056】その後、制御回路36に再び「起動」の命
令を与える。これにより上記と同様にしてピストンロッ
ド50が下降動作し、ホーニングヘッド32がシリンダ
ボア12a内に挿入される。
【0057】そして、制御回路36は、ホーニングヘッ
ド32に供給される油圧が入力された油圧となるように
減圧バルブ48の開度を調整する。すなわち、ホーニン
グヘッド32がこの油圧(拡張力)で拡径され、ビトリ
ファイドボンド砥石が内周壁部14aに当接する。以
下、ビトリファイドボンド砥石により上記と同様にして
内周壁部14aの仕上げ加工が遂行される。
【0058】ビトリファイドボンド砥石では、砥粒と砥
粒とが軟質なビトリファイドによって相互に結合されて
いる。したがって、仕上げ加工が遂行される最中に、砥
粒が比較的容易に脱落する。換言すれば、ビトリファイ
ドボンド砥石は仕上げ加工が進行するにつれて摩耗する
ので、一定量を超えて内周壁部14aを研磨加工するこ
とができなくなる。要するに、内周壁部14aの研磨量
は、図9に示すように一定値で飽和する。このように、
仕上げ加工用砥石としてビトリファイドボンド砥石を採
用することにより、内周壁部14aが必要量を超えて研
磨されることを確実に回避することができる。
【0059】しかも、上記したように、ホーニングヘッ
ド32は、制御回路36に入力された油圧、すなわち、
Rz、tpおよびRkが上記した範囲内であるうねりが
形成される油圧(拡張力)で拡径されている。したがっ
て、ビトリファイドボンド砥石が摩耗して内周壁部14
aを研磨加工することができなくなった際には、該内周
壁部14aには、図10に拡大して示すように、凸部1
00および凹部102が連なってなり、かつRz、tp
およびRkが上記した範囲内である微細なうねり110
が多数形成されている。
【0060】このように、仕上げ加工用砥石としてビト
リファイドボンド砥石を使用することにより、内周壁部
14aにRz、tpおよびRkが上記した範囲内である
うねり110を確実に形成することができる。
【0061】なお、仕上げ加工用砥石としてレジンボン
ド砥石を選定した場合、レジンボンド砥石はビトリファ
イドボンド砥石よりもさらに容易に摩耗するので、内周
壁部14aが必要量研磨される前に研磨量が飽和し、結
局、仕上げ加工をそれ以上続行することができなくなる
(図9参照)。
【0062】以下、同様にして残余のシリンダボア12
b〜12fの内周壁部14b〜14fをホーニング加工
することにより、Rz、tpおよびRkが上記した範囲
内であるうねり110が内周壁部14b〜14fにも形
成される。
【0063】勿論、残余のシリンダボア12b〜12f
(図1参照)の内周壁部14b〜14fにおいても、内
周壁部14aと同様にRz、tpおよびRkが上記範囲
内に規定されている。このようなシリンダボア12a〜
12fを有する内燃機関用シリンダブロック10におい
ては、該シリンダボア12a〜12f内でピストンおよ
びピストンリングを容易に往復動作させることができ
る。該シリンダボア12a〜12fの内周壁部14a〜
14fの摩擦抵抗が低いからである。したがって、燃料
消費量を低減することができる。しかも、摩擦熱量が小
さくなるので、焼き付きが発生することを回避すること
もできる。
【0064】また、内周壁部14a〜14fが潤滑油保
持能に優れているので、焼き付きが発生することが一層
回避される。
【0065】なお、上記した実施の形態においては、粗
加工と仕上げ加工とからなる研磨加工を例示して説明し
たが、必要に応じて、これらの間に中仕上げ加工を行う
ようにしてもよい。この場合、中仕上げ加工用砥石とし
ては、例えば、砥粒の粒度が400メッシュ程度のメタ
ルボンドダイヤモンド砥石を採用することができる。
【0066】また、この実施の形態では、砥粒の粒度が
170〜325メッシュのメタルボンドダイヤモンド砥
石を粗加工用砥石として採用したが、所望の表面粗さ、
研磨量および効率で粗加工を施すことができる砥石であ
ればどのようなものであってもよい。仕上げ加工用の砥
石も、メタルボンド砥石であってもよい。
【0067】さらに、粗さパラメータとして十点平均粗
さ、負荷長さ率および有効負荷粗さを選定したが、潤滑
剤保持能に優れるとともに摩擦抵抗が充分に低い摺接面
が得られるのであればどのような粗さパラメータを選定
してもよい。
【0068】さらにまた、摺接面として内燃機関用シリ
ンダブロック10に設けられたシリンダボア12a〜1
2fの内周壁部14a〜14fを例示したが、潤滑剤を
介して所定の部材が摺接する面であればどのような部材
の摺接面であってもよい。
【0069】
【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る摺接
面の研磨加工方法によれば、摺接面に形成しようとする
表面状態の粗さ曲線における粗さパラメータが所望の範
囲内となるような加工条件を研磨加工装置の制御回路に
入力し、かつ仕上げ加工時の砥石として2000〜80
00メッシュの砥粒がビトリファイドボンドまたはメタ
ルボンドにより相互に結合されたビトリファイドボンド
砥石またはメタルボンド砥石を使用するようにしてい
る。このため、摺接面における粗さパラメータ、例え
ば、十点平均粗さ、負荷長さ率および有効負荷粗さの平
均値がねらい値となるように研磨加工された後に、該摺
接面に対してさらに研磨加工が施されることがない。し
たがって、厳密な時間管理を行うことなく潤滑剤保持能
に優れるとともに摩擦抵抗が充分に低い摺接面を容易か
つ簡便に形成することができるという効果が達成され
る。
【0070】有摺接面部材の好適な例としては、内燃機
関用シリンダブロックを挙げることができる。この内燃
機関用シリンダブロックにおいては、シリンダボア内部
でピストンおよびピストンリングを容易に往復動作させ
ることができる。このため、内燃機関を付勢するための
燃料消費量を低減することができるとともに焼き付きが
生じることを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】内燃機関用シリンダブロック(有摺接面部材)
の概略全体斜視図である。
【図2】本実施の形態に係る研磨加工方法を遂行するた
めのホーニング加工装置の一部断面概略正面図である。
【図3】十点平均粗さの定義を説明する説明図である。
【図4】負荷長さ率の定義を説明する説明図である。
【図5】有効負荷粗さの定義を説明する説明図である。
【図6】Rz、tpおよびRkの値と粗さ曲線との関係
を説明する説明図である。
【図7】Rz、tpおよびRkの値と粗さ曲線との関係
を説明する説明図である。
【図8】Rz、tpおよびRkの値と粗さ曲線との関係
を説明する説明図である。
【図9】ビトリファイドボンド砥石またはレジンボンド
砥石を使用した場合における加工時間とシリンダボアの
内周壁部の研磨量との関係を示すグラフである。
【図10】図1の内燃機関用シリンダブロックに設けら
れたシリンダボアの内周壁部(摺接面)の要部拡大図で
ある。
【符号の説明】
10…内燃機関用シリンダブロック(有摺接面部材) 12a〜12f…シリンダボア 14a〜14f
…内周壁部(摺接面) 30…ホーニング加工装置 32…ホーニン
グヘッド 36…制御回路 38…回転軸部 42a〜42d…砥石 44、74…油
源 46、72a、72b…油路 100、100
a、100b…凸部 102、102a、102b…凹部 110…うねり CV、CV1、CV2、CV3…粗さ曲線 V…負荷曲線

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】所定の部材が潤滑剤を介して摺接する摺接
    面に対し砥石で研磨加工を施すことにより所定の表面状
    態を形成する摺接面の研磨加工方法であって、 粗加工用砥石で摺接面を粗研磨することにより前記摺接
    面に凹部および凸部を形成する粗加工工程と、 前記摺接面の表面状態を表す粗さ曲線の粗さパラメータ
    が所望の範囲内となるように加工条件を研磨加工装置の
    制御回路に入力し、かつ前記粗加工用砥石を仕上げ加工
    用砥石に変更した後に前記摺接面を仕上げ研磨する仕上
    げ加工工程と、 を有し、 前記仕上げ加工用砥石として粒度が2000〜8000
    メッシュの砥粒がビトリファイドボンドまたはメタルボ
    ンドにより相互に結合されたビトリファイドボンド砥石
    またはメタルボンド砥石を使用することを特徴とする摺
    接面の研磨加工方法。
  2. 【請求項2】請求項1記載の研磨加工方法において、前
    記加工条件は、前記粗さパラメータが十点平均粗さ、負
    荷長さ率および有効負荷粗さであり、かつ各々を複数箇
    所測定した際の平均値が1μm以上5μm以下、55%
    以上98%以下、1μm以下となるように設定されるこ
    とを特徴とする摺接面の研磨加工方法。
  3. 【請求項3】請求項1または2記載の研磨加工方法にお
    いて、前記仕上げ加工用砥石として砥粒がダイヤモンド
    であるビトリファイドボンド砥石またはメタルボンド砥
    石を使用することを特徴とする摺接面の研磨加工方法。
  4. 【請求項4】請求項1〜3のいずれか1項に記載の研磨
    加工方法において、前記摺接面が内燃機関用シリンダブ
    ロックに設けられたシリンダボアの内周壁部であること
    を特徴とする摺接面の研磨加工方法。
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Cited By (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2008180218A (ja) * 2006-12-28 2008-08-07 Yamaha Motor Co Ltd 内燃機関用部品およびその製造方法
JP2010042502A (ja) * 2008-08-18 2010-02-25 Waertsilae Schweiz Ag 往復ピストン式燃焼機関のシリンダライナーのシリンダ壁に滑走面を形成する機械加工方法

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