JP2002137977A - コンクリート構造物の強化方法、およびそれにより得られる強化コンクリート構造物 - Google Patents

コンクリート構造物の強化方法、およびそれにより得られる強化コンクリート構造物

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Yoshio Ichikawa
好男 市川
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 防水性、中性化の阻止、塩素イオン浸透の抑
制、耐凍結融解性能を向上させ、力学的強度の増大を図
り、劣化抑制効果、耐久性、耐自然汚染性を向上するこ
とのできる、コンクリート構造物の強化方法、および強
化コンクリート構造物を提供すること。 【解決手段】 コンクリート構造物、または劣化したコ
ンクリート構造物の表層部に、(a)SiO2を10〜
45重量%含む4級アンモニウムケイ酸塩を固形分換算
で4〜25重量部、および(b)水96〜75重量部
〔ただし、(a)+(b)=100重量部〕を含む組成
物を塗布または含浸させることを特徴とするコンクリー
ト構造物の強化方法、また、このようなコンクリート構
造物の強化方法により得られる強化コンクリート構造
物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンクリート構造
物の強化方法、およびこの強化方法で得られる強化コン
クリート構造物に関する。さらに詳細には、鉄筋コンク
リートなどのコンクリート構造物、セメント系材料によ
る成形品、成形板、モルタル塗装物などのセメント系構
造物の表層部に、特定の組成物を塗布または含浸させ、
セメント成分の水酸化カルシウムと反応させて、密度お
よび硬度を改善し、炭酸ガスや塩化物、窒素酸化物や硫
酸塩などによる侵入を防止し、凍結融解やアルカリ骨材
反応などによる劣化を防止し、さらに表面親水性を付与
することにより耐自然汚染性(セルフクリーニング性)
を改善する方法、およびこのようにして得られた強化コ
ンクリート構造物に関する。また、劣化した上記コンク
リート構造物、セメント系構造物を上記の方法と同様に
して補修、強化する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、建築材料の一つとして、コンクリ
ートおよびその他のセメント系材料がよく知られてい
る。コンクリートは、一般に、ポルトランドセメントと
砂(細骨材)および小石を水と練り混ぜたものを使用す
るものである。しかしながら、コンクリートその他のセ
メント系材料は乾燥し硬化するとき、収縮率の相違など
によりクラックが生じてひび割れが発生しやすい。ま
た、硬化後も、様々な要因により、劣化が起こり、ひび
割れが発生する。コンクリート構造物またはその他のセ
メント系構造物の劣化としては、(1)大気中の炭酸ガ
スによるセメントアルカリの中性化、(2)塩化物、窒
素酸化物、硫酸や硫酸塩による侵蝕、(3)アルカリ骨
材反応によるひび割れや異常膨張、亀裂発生、崩壊、
(4)凍結融解によるひび割れと鉄筋腐食、などが広く
知られている。
【0003】従来、その対応策として、水性またはアル
コール系のコロイド状シリカやケイ酸ナトリウム、ケイ
酸カリウムあるいは高分子ディスパージョンを含浸させ
たり、有機高分子材料入りのセメントペーストを塗布す
るなどの方法が行われている。しかしながら、この方法
では、コロイド状シリカは結合力と密着性が極めて弱い
ため流出などにより、徐々にその効果が低下するという
問題がある。また、ケイ酸ナトリウムやケイ酸カリウム
は、耐水性、耐酸性に劣り、有機高分子は、耐久性、耐
候性に限界があるなどの問題点を有している。このよう
に、コンクリート構造物およびその他のセメント系構造
物を強化したり、補修するにあたり、従来の方法は、何
れも劣化の抑制効果と耐久性の点で満足できるものでは
なく、また優れた強化コンクリート構造物も得られてい
ないのが現状である。また、コンクリート構造物および
その他のセメント系構造物は、特に屋外で外気に曝され
るため、自然汚染を受けやすい。このような自然汚染に
対し、降雨などによるセルフクリーニング性に優れたコ
ンクリート構造物およびその他のセメント系構造物が望
まれていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記の従来
技術の課題を背景になされたもので、防水性の向上、中
性化の阻止、塩素イオン浸透の抑制、耐凍結融解性能の
向上、力学的強度の増大などにより劣化抑制効果と耐久
性を向上することのできる、コンクリート構造物の強化
方法、および強化コンクリート構造物を得ることにあ
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、コンクリート
構造物の表層部に、(a)SiO2を10〜45重量%
含む4級アンモニウムケイ酸塩を固形分換算で4〜25
重量部、および(b)水96〜75重量部〔ただし、
(a)+(b)=100重量部〕を含む組成物を塗布ま
たは含浸させることを特徴とするコンクリート構造物の
強化方法を提供するものである。上記第4級アンモニウ
ムケイ酸塩は、(R3N)2O・SiO2(式Rは炭素数
1以上のアルキル基であり、nは1以上の整数である)
で表されるものであることが好ましい。上記コンクリー
ト構造物は、劣化したコンクリート構造物であってもよ
い。また、上記コンクリート構造物は、鉄筋コンクリー
ト、または、セメント系材料による成形品、セメント成
形板およびモルタル塗装物の群から選ばれた少なくとも
1種のセメント系構造物であってもよい。上記コンクリ
ート構造物の強化方法は、組成物の塗布または含浸後、
常温1〜3時間乾燥硬化もしくは60〜120℃で1分
〜1時間低温加熱処理するか、または水蒸気処理をする
ことが好ましい。さらに、本発明は、上記のコンクリー
ト構造物の強化方法により得られる強化コンクリート構
造物を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明の強化方法により強化され
るコンクリート構造物は、鉄筋コンクリートなどのコン
クリート構造物のみならずその他のセメント系構造物を
も含むものである。その他のセメント系構造物として
は、セメント系材料による成形品、成形板、モルタル塗
装物などが挙げられる。上記コンクリート構造物は、劣
化したものであっても本発明の強化方法により強化でき
る。本発明の強化方法に用いられる組成物の一成分であ
る(a)第4級アンモニウムケイ酸塩は、一般式(R3
N)2O・nSiO2(ただし、Rは炭素数1以上のアル
キル基であり、nは1以上の整数である。)で表される
ものである。
【0007】(a)第4級アンモニウムケイ酸塩の具体
例としては、ジメチルジエタノールアンモニウムシリケ
ート、モノメチルトリプロパノールアンモニウムシリケ
ート、ジメチルジプロパノールアンモニウムシリケー
ト、モノエチルトリプロパノールアンモニウムシリケー
トなどの液状のシリケートが挙げられる。これら(a)
第4級アンモニウムケイ酸塩は、希釈した水ガラスを
水素型陽イオン交換樹脂と接触させて得た活性シリカ溶
液に第4級アンモニウム水酸化物を加え、所定の濃度ま
で濃縮する方法、あるいは第4級アンモニウム水酸化
物とシリカヒドロゾルとを反応させる方法などにより、
容易に得られる。ここで、第4級アンモニウム水酸化物
は、通常、アンモニアまたはアミン類にアルキレンオキ
サイドを付加する方法、あるいは第4級アミン塩を陰イ
オン交換樹脂により脱イオンする方法などにより得られ
るが、生成物中に、第3級、第2級あるいは第1級のア
ミン類が少量含まれたものも使用することができ、それ
を用いて得られる第4級アンモニウムケイ酸塩も、本発
明の組成物に使用することができる。なお、(a)第4
級アンモニウムケイ酸塩中には、SiO2が10〜45
重量%の範囲で含まれていることが必要で、好ましくは
20〜30重量%である。10重量%未満では、使用量
が多くなりすぎたり、(b)水が増えて乾燥が遅くなっ
たりし、一方、45重量%を超えると、密着力が弱くな
ったり、亀裂が入ったりして好ましくない。
【0008】本発明の方法において、(a)成分の割合
は、固形分換算で、(a)〜(b)成分合計100重量
部中、4〜25重量部、好ましくは7〜20重量部であ
る。4重量部未満では、使用量が多くなりすぎ、一方、
25重量部を超えると、密着力が弱くなったり、浸透性
が悪くなったりして好ましくない。
【0009】本発明の方法に用いられる組成物に使用さ
れる(b)成分の水は、組成物の固形分調整剤および反
応速度調整剤として必須の成分である。水としては、水
道水、蒸留水、イオン交換水を使用できる。また、
(a)成分である第4級アンモニウムケイ酸塩からなる
水性シリカゾルに含まれる水も、本発明の(b)成分に
包含される。
【0010】このような(b)水の量は、(a)〜
(b)成分合計100重量部中、75〜96重量部、さ
らに好ましくは80〜93重量部である。75重量部未
満では、相対的に固形分が多くなりすぎて、密着力が弱
くなったり、浸透性が悪くなったりする。一方、96重
量部を超えると、固形分が少なすぎて目的とする性能が
出なかったり、使用量が多くなりすぎたりして好ましく
ない。
【0011】本発明に用られる組成物は、界面活性剤を
含んでいてもよい。上記界面活性剤とは、親水基と親油
基を併せ持ち、界面活性作用(吸着・ミセル形成、
湿潤・浸透・濡れ性、乳化・分解)をなし、通常の洗
剤の主成分となるものである。この界面活性剤として
は、通常の界面活性剤をすべて使用することができ、陰
イオン界面活性剤、陽イオン界面活性剤、非イオン界面
活性剤、両性界面活性剤、シリコン系界面活性剤などの
いずれもが使用できる。界面活性剤を使用する場合、組
成物中の界面活性剤濃度は、(a)〜(b)成分合計1
00重量部に対し、好ましくは0.1〜1.0重量部、
さらに好ましくは0.2〜0.5重量部である。0.1
重量部未満であると目的とする性能が不足したりし、一
方、1.0重量部を超えると密着力が弱くなったり、反
応が遅くなったりして好ましくない。
【0012】また、本発明に用いられる組成物には、さ
らに、必要に応じて微粒子状の無機顔料、染料、合成樹
脂エマルジョン、水溶性樹脂、コロイド状金属酸化物、
エチレングリコール、アルコールなどのその他の添加剤
を含むことができる。
【0013】本発明に用いられる組成物は、(a)〜
(b)成分、および必要とあれば、その他の添加剤を混
合して調製される。この際、本発明に用いられる組成物
は、撹拌機、その他の分散機により分散させ、ろ過する
ことにより、均一な安定性の良い分散液とすることがで
きる。
【0014】本発明においては、(a)成分と(b)成
分を主成分とする組成物をコンクリートの表層部に塗布
したり、含浸させたりすると、この組成物がセメント成
分の水酸化カルシウムと反応して、密度の高いケイ酸カ
ルシウム層ができる。そのため、密度および硬度が大幅
に増強され、透気性と吸水性が改善される。従って、炭
酸ガスの侵入を防止でき、これによる中性化を抑止でき
る。窒素酸化物や硫酸塩などの侵入を妨げることもで
き、これによる浸食を防止することができる。また、炭
酸ガスとの反応性も低下し、さらに、硬度や割裂強度な
どの物理的強度を向上することもできる。さらに、凍結
融解に対する性能も向上する。
【0015】また、劣化したコンクリート構造物の場合
は、中性化が進んでいるので、アルカリ性である本発明
の組成物(pH11〜12位)を表層部に塗布または含
浸させることによってアルカリ化を促進することがで
き、その後、密度、硬度を改善し、物理的強度を復活さ
せて補修するとともに、以後劣化を防止し、強化するこ
とができる。
【0016】このような反応は、下記反応式(1)〜
(2)で表される。
【0018】上記反応式(1)〜(2)において、Rは
炭素数1以上のアルキル基、例えば、メチル基、エチル
基、ブチル基などのアルキル基を示し、n=1〜3であ
る。本発明の組成物は、対象物であるコンクリート構造
物の表面に刷毛、スプレー、ローラーなどにより塗布し
たり、浸漬するなどの手段で、好ましくは1m2当たり
40〜400g、さらに好ましくは50〜300g、固
形分換算では、4〜80g、さらに好ましくは6〜50
g塗布または含浸させる。ここで、組成物を対象物表面
へ数回に分けて塗布または浸漬することもできる。固形
分換算で4g未満では、少なすぎて目的とする効果の発
現が難しく、一方、80gを超えると密着力が弱くなっ
たり、粉状化したりして好ましくない。
【0019】本発明においては、上記組成物を塗布した
のち、常温乾燥硬化が好ましく、低温加熱処理をするこ
ともできる。低温加熱の温度は、60〜120℃、好ま
しくは70〜100℃である。硬化時間は、常温で1〜
3時間、60〜120℃で1分〜60分間、好ましくは
1〜30分間である。さらには、水蒸気処理を5〜60
分間行ってもよい。また、重ね塗りによって厚膜にする
ことが可能である。
【0020】本発明の方法において、コンクリート構造
物とは、主としてセメント材からなるものであり、細骨
材、小石、水など、必要に応じて他の成分と練り混ぜて
得られるどのようなものも指し、また、その他のセメン
ト系材料から得られる構造物をも包含する。本発明の方
法により、新設のコンクリート構造物を強化し、強化コ
ンクリート構造物を得ることができ、また、劣化したコ
ンクリート構造物を補修、強化することもできる。
【0021】
【実施例】以下、実施例を挙げ本発明をさらに具体的に
説明するが、本発明は、特許請求の範囲を越えない限
り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、実
施例中、部および%は、特に断らないかぎり重量基準で
ある。
【0022】参考例1〜3表1に示すA〜Cの3種類の
組成物を作製した。上記組成物は、攪拌タンクに、表1
に示す(a)、(b)成分、さらに必要に応じて(c)
成分を入れ、軽く攪拌したのち、ろ過して作製した。
【0023】なお、表1中の記号は以下のものを表わ
す。 (a−1);第4級アンモニウムケイ酸塩(株)日板研
究所製、NS−20(水性シリカゾル、SiO2濃度=
約20%、固形分濃度約24%、水分濃度約76%) (a−2);第4級アンモニウムケイ酸塩(株)日産化
学工業(株)製、キャス25(水性シリカゾル、SiO
2濃度=約25%、固形分濃度約29%、水分濃度約7
1%) (b−1)水道水 (c)非イオン系界面活性剤(三洋化成(株)社製、商
品名ノニポール)
【0024】
【表1】
【0025】参考例4(コンクリート供試体の作成) 40(縦)×40(横)×160(長さ)mmのモルタ
ル50個を以下のように作成した。即ち、市販の普通ポ
ルトランドセメントと細骨材として市販の川砂(5mm
以下)を使用し、重量調合比をセメント(C)/水
(W)/砂(S)が1/0.65/2.5となるように
混合し、型枠に注入後、乾燥・硬化した。このモルタル
を28日間20℃の水中で養生した。
【0026】実施例1〜3 上記のようにして得られた供試体に、参考例1〜3で調
整した組成物A、B、Cを表2に示すように刷毛塗り
し、評価試験用の供試品を作成した。 対照例1 参考例4で得られた供試体を対照品としてそのまま用い
た。
【0027】吸水率試験 実施例1〜3で得られた供試品および対照品を20℃の
水中に、1、3、10日浸漬して、その質量変化よりそ
れぞれの吸水率を求めた。結果を表2に示す。表2よ
り、組成物A、B、Cを塗布または浸漬した本発明のコ
ンクリート供試品は、対照例1の無加工のコンクリート
供試品に比べ、吸水率が低いことが分かる。
【0028】炭酸化(中性化)阻止効果確認試験 炭酸化阻止効果を調べるため、供試品を銅製の容器に入
れ、二酸化炭素ガス(CO2)を満たし、ガス圧力を3
kg/cm2として14時間保持して、供試品の中性化
促進試験を行った。促進試験後、長さ方向に直角に供試
品を切断し、その切断面全面にフェノールフタレイン指
示薬を塗布し、アルカリ性保持領域〔Ca(OH)2
と炭酸化領域〔CaCO3〕を赤色変化の有無により調
べた。図1は、長さ方向に直角に供試品を切断し、その
断面にフェノールフタレイン指示薬を塗布したものの状
態を示すものである。断面の打点域1はアルカリ保持域
を、白い部分2は炭酸化領域を示す。対照例1の無加工
のコンクリートでは、表面から約12〜14mm深さま
で中性化が進行しているが、実施例1〜3のコンクリー
ト供試品では全く中性化域が認められず、本発明が炭酸
化阻止に顕著な効果があることがわかる。
【0029】塩素イオン浸透阻止効果確認試験 供試品を海水中に、1.5時間、3時間浸漬した後に取
り出し、それぞれ、長さ方向に直角に供試品を切断し、
その切断面の表面から浸透した塩素イオンを検出し、そ
の深さにより、海水浸透域を調べた。塩素の検出には亜
硝酸銀とフルオレセンを使用し、変色域により判別し
た。結果を図2に示す。図2は、実施例1〜3のコンク
リートの長さ方向に直角に供試品を切断し、その断面に
亜硝酸銀とフルオレセインを塗布したものの変色状態を
示すものである。図2において、打点域3は塩素が検出
されなかった領域を示し、白抜き部分4は塩素が検出さ
れた領域を示す。対照例1の無加工のコンクリートで
は、海水中に浸漬後、1.5時間後には表面より約15
mmまで、3時間後には断面の中心まで、塩素が浸透す
ることが確認された。しかしながら、実施例1〜3で
は、3時間後でも塩素は断面に全く検出されなかった。
また、浸水後7日後でも、塩素は断面に全く検出されな
かった。これにより、本発明の方法は、塩素イオンの浸
透阻止効果に優れていることがわかる。
【0030】物理的強度試験 供試品の物理的強度を調べるために、圧縮強度、シュミ
ットハンマー強度および表面硬度(マイクロビッカース
硬度)試験を行った。なお、圧縮強度は、JIS 11
08に準拠して評価し、シュミットハンマー強度は、J
SCE G504に準拠して評価し、表面硬度(マイク
ロビッカース硬度)は、マイクロビッカース硬度計(装
置名;スクラッチ試験器)により評価した。結果を表2
に示す。実施例はいずれの場合も、無加工のコンクリー
トである対照例1に比較して、強度、表面硬度ともに向
上していることがわかる。
【0031】
【表2】
【0032】耐凍結融解性能試験 米国試験規格ASTMC666−77により、供試品の
耐凍結融解性能を評価した。凍結融解サイクル数(回)
と曲げ強度(kgf/cm2)の関係を図3に示す。無
加工のコンクリートである対照例1では凍結融解を繰り
返すと、曲げ強度が低下してゆくが、本発明の実施例1
〜3はいずれも、凍結融解を繰り返しても、曲げ強度が
低下せず、耐凍結融解性能に優れていることがわかる。
【0033】耐自然汚染性試験 また、本発明の実施例1〜3および対象例1のコンクリ
ートを交通量の多い国道沿いの建物の屋上に塗布面を垂
直にして設置し、120日間屋外に放置し、曝露して耐
自然汚染性試験を行った。耐自然汚染性試験の結果、実
施例1〜3のコンクリートは、非試験体に比べて汚れの
付着がなく、見分けがほとんどつかない状態であった。
一方、対象例1のコンクリートは汚染が明らかであり、
汚れてまだらな黒灰色になっていた。
【0034】参考例5(劣化したコンクリートの供試体
の作成) 40×40×160mmのモルタルを、28日間20℃
の水中で養生せず、室内に放置した以外は、参考例4と
同様の方法で作成した。上記モルタルを100℃の乾燥
室で6時間加熱乾燥した後、銅製の容器に入れ、二酸化
炭素ガス(CO2)を満たし、ガス圧力を3kg/cm2
として14時間保持した。さらにこれを0.5%硫酸液
に24時間浸漬し、その後100℃の乾燥室で6時間加
熱乾燥した。
【0035】実施例4、5 参考例5で得られた供試体に、参考例1、2で得られた
組成物A、Bを表3に示すように刷毛塗りし、評価試験
用の劣化したコンクリートの供試品を作成した。 対照例2 参考例5で得られた供試体を対照品としてそのまま用い
た。
【0036】劣化したコンクリートの物理的強度試験 上記のようにして得られた実施例4、5の劣化コンクリ
ート供試品、対照例2の無加工の劣化コンクリート供試
品について、シュミットハンマー強度、針進入度、およ
び鉛筆硬度試験を行った。なお、針進入度は、マックゲ
ージ針進入測定器を使用して評価し、鉛筆硬度試験は、
JIS K5600.5.4「鉛筆法」に準拠して評価
した。結果を表3に示す。劣化コンクリートに本発明の
組成物を塗布した供試品である実施例4および5は、対
照品に比べ、強度、針進入度、硬度が全て向上し、本発
明の組成物により、コンクリートが補修、強化できるこ
とが分かる。
【0037】
【表3】
【0038】
【発明の効果】本発明の方法は、コンクリート構造物に
対して、防水性の向上、中性化の阻止、塩素イオ
ン浸透の抑制、凍結融解性能の向上、力学的強度の
増大などの効果が顕著であり、コンクリートの強化およ
び劣化防止に大きく寄与することができる。また、本発
明の方法は、コンクリート構造物に表面親水性を付与す
ることにより耐自然汚染性(セルフクリーニング性)を
改善することができる。さらに、本発明は、劣化したコ
ンクリート構造物の補修、強化方法としても大きな効果
があり、工業的、社会的意義は極めて大きい。
【図面の簡単な説明】
【図1】炭酸化阻止効果試験の結果を示すコンクリート
供試品の断面図である。
【図2】塩素イオン浸透阻止効果試験の結果を示すコン
クリート供試品の断面図である。
【図3】凍結融解サイクル数とコンクリート供試品の曲
げ強度の関係を表すグラフである。

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コンクリート構造物の表層部に、(a)
    SiO2を10〜45重量%含む4級アンモニウムケイ
    酸塩を固形分換算で4〜25重量部、および(b)水9
    6〜75重量部〔ただし、(a)+(b)=100重量
    部〕を含む組成物を塗布または含浸させることを特徴と
    するコンクリート構造物の強化方法。
  2. 【請求項2】 第4級アンモニウムケイ酸塩が、(R3
    N)2O・SiO2(式Rは炭素数1以上のアルキル基で
    あり、nは1以上の整数である)で表される請求項1記
    載のコンクリート構造物の強化方法。
  3. 【請求項3】 コンクリート構造物が劣化したコンクリ
    ート構造物である請求項1または2記載のコンクリート
    構造物の強化方法。
  4. 【請求項4】 コンクリート構造物が、鉄筋コンクリー
    ト、または、セメント系材料による成形品、セメント成
    形板およびモルタル塗装物の群から選ばれた少なくとも
    1種のセメント系構造物である、クレーム請求項1〜3
    いずれか1項記載のコンクリート構造物の強化方法。
  5. 【請求項5】 組成物の塗布または含浸後、常温1〜3
    時間乾燥硬化もしくは60〜120℃で1分〜1時間低
    温加熱処理するか、または水蒸気処理をする請求項1〜
    4いずれか1項記載のコンクリート構造物の強化方法。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5いずれか1項記載のコンク
    リート構造物の強化方法により得られる強化コンクリー
    ト構造物。
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