JP2002136285A - 油分分解性微生物 - Google Patents

油分分解性微生物

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JP2002136285A
JP2002136285A JP2000335737A JP2000335737A JP2002136285A JP 2002136285 A JP2002136285 A JP 2002136285A JP 2000335737 A JP2000335737 A JP 2000335737A JP 2000335737 A JP2000335737 A JP 2000335737A JP 2002136285 A JP2002136285 A JP 2002136285A
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oil
microorganism
corynebacterium
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JP2000335737A
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English (en)
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Fumihiko Hasumi
文彦 蓮実
Ichiro Okura
一郎 大倉
Miki Kubo
幹 久保
Naoya Ichimura
直也 市村
Masatetsu Kuromoto
雅哲 黒本
Mayumi Hamaura
真由美 濱浦
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Kansai Research Institute KRI Inc
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Kansai Research Institute KRI Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】油分分解性微生物の提供 【解決手段】油分分解活性を有するクレブシエラMI29、
コリネバクテリウムMI148及びこれらと同一の菌学的性
質を示すクレブシエラ属又はコリネバクテリウム属に属
する微生物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、油分分解性を有し
クレブシエラ属又はコリネバクテリウム属に属する微生
物、及び当該微生物を用いた油分の処理方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、各種石油系炭化水素による海洋や
河川等の汚染、土壌等の汚染が深刻化している。このよ
うな汚染は、タンカーの海難事故や工場やガソリンスタ
ンドからの漏洩など様々なケースが考えられるが、いず
れの場合においても有害な油分が流出することになり、
環境への影響は深刻である。
【0003】一方、自動車保有台数の増加とともに、使
用済自動車用エンジンオイルの排出量も年々増大してい
る。使用済エンジンオイル中には使用に伴い増加した多
環式芳香族炭化水素(PAHs)が含まれているが、PAHsは
変異原性および発がん性を有し、かつ難分解性であるた
め、使用済みエンジンオイルの安全かつ環境にやさしい
処理方法の確立が望まれている。
【0004】従来から、このような汚染物質を微生物に
より分解除去しようとする試みが多数行われているもの
の、解決を要する問題点も多い。
【0005】例えば、原油や重油等の燃料油や使用済み
自動車エンジンオイルに含有される難分解性の脂環式炭
化水素(ナフテン)、芳香族炭化水素(アロマティクス)
および多環式芳香族炭化水素(PAHs)を高効率に、かつ
短期間に分解する微生物は見いだされていない。また、
ナフテン等に比して微生物による分解を受けやすい脂肪
族炭化水素を対象とする場合であっても、元来油分が疎
水性で水に溶解あるいは分散しにくいため、微生物が油
分と接触しにくく、結果的にその分解に長い期間を要す
る等の問題があった。さらに、油分による土壌や地下水
の汚染を微生物により分解除去する場合(例えば、バイ
オレメディエーション)、微生物のもつ油分分解能力が
局所的にのみ作用し広範囲に発揮されない他、難分解性
の脂環式炭化水素(ナフテン)、芳香族炭化水素(アロ
マティクス)および多環式芳香族炭化水素(PAHs)の分
解に長期間を要する等、様々な問題が指摘されていた。
【0006】つまり、原油や重油に代表される燃料油や
使用済み自動車エンジンオイル等の鉱物油を、特に、こ
れらに含有される難分解性の脂環式炭化水素、芳香族炭
化水素、多環式芳香族炭化水素等を、高効率にかつ短期
間に分解する方法の提供が望まれている。また、元来疎
水性である油分を、水に溶解あるいは分散させ、微生物
と油分との接触頻度を高めて、微生物が有する優れた油
分分解活性をさらに高める方法の提供が望まれている。
さらに、土壌等におけるバイオレメディエーションにつ
いては、当該微生物を、油分を含む土壌あるいは油分中
に拡散させ、微生物のもつ油分分解能力を広範囲に発揮
させる方法の提供が望まれている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、油分分解性
を有する微生物、及び当該微生物を用いた油分の処理方
法に関する。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記従来技
術の問題点に鑑み鋭意検討を重ねた結果、静岡県駿東郡
長泉町牧場脇の新鮮な堆肥から分離された微生物、すな
わちクレブシエラMI29(FERM P-18089)及び静岡県沼津
市の土壌から分離された微生物、すなわちコリネバクテ
リウムMI148(FERM P-18090)が、油分を高効率に、か
つ短期間に分解することを見出した。また、本発明者
は、クレブシエラMI29及びコリネバクテリウムMI148が
界面活性物質を生産し、該界面活性物質が水中あるいは
土壌等に中に存在する油分を親水化させることで微生物
と油分との親和性を改善し、結果的に、該微生物が本来
有する油分分解能力をさらに高めることを見出した。
【0009】すなわち、本発明は、以下の微生物、及び
以下の微生物を用いた油分の分解方法を提供するもので
ある。 項1.クレブシエラ属に属し、油分分解性を有する微生
物。 項2.クレブシエラ属に属し、油分分解性を有し、かつ
界面活性物質を生産する微生物。 項3.微生物が、クレブシエラMI29(FERM P-18089)又
は当該菌株と同一な菌学的性質を有する微生物であるこ
とを特徴とする項1又は2に記載の微生物。 項4.コリネバクテリウム属に属し、油分分解性を有す
る微生物。 項5.コリネバクテリウム属に属し、油分分解性を有
し、かつ界面活性物質を生産する微生物。 項6.微生物が、コリネバクテリウムMI148(FERM P-18
090)又は当該菌株と同一な菌学的性質を有する微生物
であることを特徴とする項4又は5に記載の微生物。 項7.項1から6のいずれかに記載の微生物を用いて油
分を分解することを特徴とする油分の処理方法。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明の微生物は油分を分解す
る。油分とは、一般に、n−ヘキサンや四塩化炭素等で
抽出される炭化水素、炭化水素誘導体をいうが、ここで
はさらに広義の、原油や重油、軽油、灯油、ガソリン等
の燃料油、エンジンオイル、潤滑油等の鉱物油、ラー
ド、サラダ油等の食品に由来する動植物油等も含まれ
る。本発明微生物による分解の対象は上記油分である
が、土壌、水、廃棄物等に含有される油分も分解の対象
となる。より具体的には、土壌、地下水、水、廃棄物等
に含有される脂肪族炭化水素や脂環式炭化水素(ナフテ
ン)、芳香族炭化水素(アロマティクス)、多環式芳香族
炭化水素(PAHs)等の炭化水素及び炭化水素誘導体が本
発明微生物による分解の対象である。
【0011】本発明の微生物は、上記油分に対して顕著
な分解活性を有する。具体的には、脂肪族炭化水素の分
解活性に加えて、特に、脂環式炭化水素(ナフテン)、
芳香族炭化水素(アロマティクス)、多環式芳香族炭化水
素(PAHs)等、一般的に微生物によって分解されにくい
成分の分解活性に優れている。また、本発明の微生物
は、油分の分解活性に加え、界面活性物質の産生能に優
れる。界面活性物質とは、親水基と疎水基の両親媒性構
造を有する物質であって、通常の界面活性剤のように、
水と油の界面に吸着してミセルを形成し、水に溶解しに
くい油を水に溶解しやすくする。
【0012】こうした界面活性物質の産生により、土壌
や水等の中での微生物による油分の分解時に、油分が水
に溶解あるいは分散し、微生物と油分との接触頻度が高
まって、微生物が油分を資化しやすくなり、当該微生物
の有する優れた油分分解活性に加えて、さらに優れた油
分処理効果が発現する。また、油分による土壌の汚染を
微生物により分解除去する場合にあっては、界面活性物
質の生産により、微生物が油分を含む土壌あるいは油分
中に拡散しやすくなり、同様に微生物と油分との接触頻
度が高まって、当該微生物の有する優れた油分分解活性
に加えて、さらに優れた油分処理効果が発現する。
【0013】つまり、本発明の微生物及び該微生物を用
いた油分の処理方法は、燃料油や鉱物油自体の分解処分
に加え、船舶からの原油等の流出による海洋や海岸での
油分処理や、タンク等から漏洩した燃料油及び自動車修
理工場等から排出された使用済みエンジンオイル等で汚
染された土壌や地下水の処理などに有用である。
【0014】本発明において好ましい微生物は、クレブ
シエラMI29、コリネバクテリウムMI148、これら2菌株
と同一な菌学的性質を有し、同等の油分分解活性を備え
た、あるいは同等の油分分解活性と界面活性物質の産生
能を兼ね備えた微生物である。ここで同一な菌学的性質
とは下記に示した菌学的性質が同一であればよく、その
他の菌学的性質の一致、不一致は問わない。
【0015】クレブシエラMI29の分離及び同定は次の方
法により行った。
【0016】内容量500mlの振盪培養フラスコに、Sohng
enの最少培地(滅菌蒸留水1リットル中にリン酸1水素2
カリウム0.5g、アンモニウム0.5g、硫酸マグネシウム
0.2gを含むもの)100mlおよび使用済み自動車エンジン
オイル1mlとを加え、集積培養用培地とした。生理食塩
水(0.85%塩化ナトリウム溶液)10mlに静岡県駿東郡長
泉町牧場脇の新鮮な堆肥1gを懸濁し懸濁後の土壌上清1
mlを集積用培地に添加した。土壌懸濁液添加後の培地に
ついて30℃恒温下、120rpmの条件で7日間振盪培養を行
った(1次集積培養)。7日間の培養終了後、同一組成の
新たな集積用培地100mlに、1次集積培養液1mlを植菌
し、同様の条件下で7日間の集積培養を行った(2次集積
培養)。集積培養後、最少平板培地上(Sohngenの最小
培地に1.5 %の寒天を添加し平板上にしたもの)に希釈
した2次集積培養液100μlを植菌後、エンジンオイル廃
油100μlを塗布し、静置培養を行った。静置培養終了
後、形成されたコロニーを、白金耳を用いてLB平板培地
上(滅菌蒸留水1リットル中にペプトン10g、酵母エキ
ス5g、塩化ナトリウム5g、寒天15gを加え平板状にし
たもの)に画線することにより油分分解性微生物クレブ
シエラMI29を分離した。
【0017】分離したクレブシエラMI29の菌学的性質は
以下の通りである。 形態学的および生理学的性質 形態 桿菌 グラム染色 陰性 チトクロームオキシダーゼ 陰性 β−ガラクトシダーゼ 陽性 アルギニンジヒドロラーゼ 陰性 リジンデカルボキシラーゼ 陽性 オルニチンデカルボキシラーゼ 陰性 クエン酸 陽性 硫化水素産生 陰性 ウレアーゼ 陰性 トリプトファンデアミナーゼ 陰性 インドール産生 陽性 アセトイン産生 陽性 ゼラチナーゼ 陽性 基質特異性 ブドウ糖 + D-マンニトール + イノシット + D-ソルビトール + L-ラムノース + 白糖 + D-メリビオース + D-アミグダリン + L-アラビノース + これらの菌学的性質、特に、グラム陰性桿菌で、ブドウ
糖分解能陽性、硫化水素産生陰性、クエン酸利用能陽
性、リジンデカルボキシラーゼ陽性、オルニチンデカル
ボキシラーゼ陰性であることから、本微生物をクレブジ
エラ属と同定した。
【0018】また、クレブジエラ属の細菌で、高い油分
分解能と界面活性物質産生能を共に備えた菌株は従来全
く知られていないことから、本菌株をクレブジエラ属の
新菌株として、クレブシエラMI29と命名した。
【0019】本菌株は、工業技術院生命工学工業技術研
究所に受託番号FERM P-18089として寄託されている(受
託日、平成12年10月30日)。
【0020】また、コリネバクテリウムMI148の分離及
び同定は次の方法により行った。
【0021】内容量500mlの振盪培養フラスコに改変Sal
t培地(滅菌蒸留水1リットル中に硫酸アンモニウム1
g,リン酸1水素2カリウム5g,硫酸マグネシウム0.1
g、塩化ナトリウム0.5gを含み、pH8.0に調整したも
の)100mlおよび尿素アダクト法によりn-パラフィンを
低減した使用済み自動車エンジンオイル1mlとを加え、
集積培養用培地とした。生理食塩水(0.85%塩化ナトリ
ウム溶液)10mlに静岡県沼津市の土壌1gを懸濁し懸濁
後の土壌上清1mlを集積用培地に添加した。土壌懸濁液
添加後の培地について30℃恒温下、120rpmの条件で7日
間振盪培養を行った。集積培養後、最少平板培地上(So
hngenの最小培地に1.5 %の寒天を添加し平板上にした
もの)に希釈した集積培養液100μlを植菌後、エンジン
オイル廃油100μlを塗布し、静置培養を行った。静置培
養終了後、形成されたコロニーを、白金耳を用いてLB平
板培地上(1リットル中にペプトン10g、酵母エキス5
g、塩化ナトリウム5g、寒天15gを加え平板状にした
もの)に画線することにより油分分解性微生物コリネバ
クテリウムMI148を分離した。
【0022】分離したコリネバクテリウムMI148の菌学
的性質は以下の通りである。 形態学的および生理学的性質 形態 桿菌 グラム染色 陽性 カタラーゼテスト 陽性 硝酸塩還元反応 陰性 ピラジナミダーゼ 陰性 ピロリドニルアリルアミダーゼ 陽性 アルカリフォスファターゼ 陰性 β−グルクロニダーゼ 陽性 β−ガラクトシダーゼ 陰性 N-アセチル-D-グルオサミニダーゼ 陽性 エスクリン 陰性 ウレアーゼ 陽性 基質特異性 ブドウ糖 + リボース + キシロース − マンニトール − マルトース − 乳糖 − 白糖 − グリコーゲン − これらの菌学的性質、特に、グラム陰性桿菌で、カタラ
ーゼ陽性、硝酸塩還元能陰性、ウレアーゼ生産能陽性で
あることから、本微生物をコリネバクテリウム属と同定
した。
【0023】また、コリネバクテリウム属の細菌で、高
い油分分解能と界面活性物質産生能を共に備えた菌株は
従来全く知られていないことから、本菌株をコリネバク
テリウム属の新菌株として、コリネバクテリウムMI148
と命名した。
【0024】本菌株は、工業技術院生命工学工業技術研
究所に受託番号FERM P-18090として寄託されている(受
託日、平成12年10月30日)。
【0025】
【実施例】実施例1 LB培地にて前培養した1mlのクレブシエラMI29およびコ
リネバクテリウムMI148の前培養液を、1wt%の使用済
み自動車エンジンオイルを含む改変Salt培地100mlに植
菌し、30℃恒温下、120rpmの条件で7日間培養した(油
分添加量:1.0g)。培養終了後、培養液中の油分をク
ロロホルム−メタノール溶液(体積比3:1)にて抽出し
た。上記溶液を除去し、残存した油分量(残存油分量)
を測定し、次式に従い油分分解率を算出した。
【0026】ここで、コントロール消費率とは、1wt%
の使用済み自動車エンジンオイルを含む改変Salt培地10
0mlに菌株を植菌しないで、30℃恒温下、120rpmの条件
で7日間培養した際の油分添加量及び残存油分量から算
出した消費率を言う。
【0027】 消費量(g)=油分添加量(g)−残存油分量(g) 消費率(%)={消費量(g)/油分添加量(g)}×
100 油分分解率(%)=消費率(%)−コントロール消費率
(%) 結果を表1に示した。クレブシエラMI29の油分分解率は
15.64%、コリネバクテリウムMI148の油分分解率は17.7
8%であった。
【0028】比較例1 既知のアルカン分解性酵母Yarrowia lipolytica ATCC34
922および好気性細菌Acinetobacter calcoaceticus ATC
C31012を用い、実施例1と同様な方法で油分分解率を求
めた。結果を表1に示した。油分分解率はYarrowia lip
olytica ATCC34922が3.83%、Acinetobacter calcoacet
icus ATCC31012が7.07%であった。
【0029】
【表1】
【0030】実施例2 実施例1と同様に実施し、得られたクロロホルム−メタ
ノール溶液(体積比3:1)抽出物をガスクロマトグラフ
ィーにて分析し、油分に含まれる脂肪族炭化水素成分に
ついてn-パラフィン画分ピーク長さ減少率を求め、同油
分に含まれる脂環式炭化水素(ナフテン)、芳香族炭化
水素(アロマティクス)、多環式芳香族炭化水素(PAHs)
についてナフテン・アロマティクス・PAHs画分ピーク面
積減少率を算出した。
【0031】ここで、上記クロロホルム−メタノール溶
液抽出物をガスクロマトグラフで分析して得られたクロ
マトグラムにおいて、幅広くなだらかな1つのピーク
は、ナフテン、アロマティクス、PAHs画分のまとまった
ピークであり、なだらかなピークの上に認められる複数
の鋭いピークは、それぞれ分子量等の異なるn-パラフィ
ン画分のピークである。
【0032】ここでは、クロマトグラムのn-パラフィン
画分が示す鋭いピークの長さの合計をn-パラフィン画分
ピーク長さと称し、ナフテン、アロマティクス、PAHs画
分に由来する幅広くなだらかな1つのピークの積分値
を、ナフテン・アロマティクス・PAHs画分ピーク面積と
称する。
【0033】n-パラフィン画分ピーク長さ減少率は、培
地に菌株を植菌しないで所定の条件で培養した際のn-パ
ラフィン画分ピーク長さ(以下、コントロール長さ)
と、菌株を植菌して同様に培養した際のn-パラフィン画
分ピーク長さの差を表し、コントロール長さを100と
して換算した値である。つまり、n-パラフィン画分ピー
ク長さ減少率が80%とは、植菌しないで所定の条件で
培養した際のn-パラフィン画分ピーク長さの80%が、
菌株を植菌して同様に培養した際に、消失した(n-パラ
フィン画分が分解した)ことを示す。
【0034】また、ナフテン・アロマティクス・PAHs画
分ピーク面積減少率は、培地に菌株を植菌しないで所定
の条件で培養した際のナフテン・アロマティクス・PAHs
画分ピーク面積(以下、コントロール面積)と、菌株を
植菌して同様に培養した際のナフテン・アロマティクス
・PAHs画分ピーク面積の差を表し、コントロール面積を
100として換算した値である。つまり、ナフテン・ア
ロマティクス・PAHs画分ピーク面積減少率が80%と
は、植菌しないで所定の条件で培養した際のナフテン・
アロマティクス・PAHs画分ピーク面積の80%が、菌株
を植菌して同様に培養した際に、消失した(ナフテン、
アロマティクス、PAHs画分が分解した)ことを示す。
【0035】結果を表2及び3に示した。クレブシエラ
MI29のn−パラフィン画分ピーク長さ減少率は82%、コ
リネバクテリウムMI148のn−パラフィン画分ピーク長さ
減少率は82%であった。ナフテン・アロマティクス・PA
Hs画分ピーク面積減少率に関しては、クレブシエラMI29
が30.6%、コリネバクテリウムMI148が40.0%であっ
た。
【0036】比較例2 既知のアルカン分解性酵母Yarrowia lipolytica ATCC34
922およびアルカン分解性微生物Nocardia paraffinae A
TCC21509を用い実施例2と同様に実施した。結果を表2
及び3に示した。n-パラフィン画分ピーク長さ減少率は
Yarrowia lipolytica ATCC34922が62%、Nocardia para
ffinae ATCC21509が61%であった。ナフテン・アロマテ
ィクス・PAHs画分ピーク面積減少率に関しては、Yarrow
ia lipolytica ATCC34922が4.5%、Nocardia paraffina
e ATCC21509が7.0%であった。
【0037】
【表2】
【0038】
【表3】
【0039】実施例3 洗浄したシャーレに蒸留水を20ml加え、その上に原油
(イラニアンヘビー)100μlを滴下した。蒸留水上に形
成された油膜中央に、LB液体培地により培養したクレブ
シエラMI29又はコリネバクテリウムMI148の菌液100μl
を滴下し、滴下後直ちに、菌液周囲に形成された廃油排
除部分(ハロー)の直径を測定、ハロー面積を算出し
た。界面活性物質産生能は、形成ハローの面積が大きい
もの程優れており、これを菌液1mlあたりの形成ハロー
面積(cm2)で評価した。すなわち、菌液1mlにより1cm2
の油膜が排除された場合を1ユニット/mlとして評価し
た。
【0040】結果を表4に示した。クレブシエラMI29の
界面活性物質産生能は80.4ユニット/ml、コリネバクテ
リウムMI148の界面活性物質産生能は53.1ユニット/mlで
あった。
【0041】比較例3 既知のアルカン分解性酵母Yarrowia lipolytica ATCC34
922および好気性細菌Acinetobacter calcoaceticus ATC
C31012、アルカン分解性微生物Nocardia paraffinae AT
CC21509を用い実施例3と同様に実施した。結果を表4に
示した。界面活性物質産生能はYarrowia lipolytica AT
CC34922が5.0ユニット/ml、Acinetobacter calcoacetic
us ATCC31012が20.1ユニット/ml、Nocardia paraffinae
ATCC21509が5.0ユニット/mlであった
【0042】
【表4】
【0043】考察 従来より知られている油分分解性微生物Yarrowia lipol
ytica ATCC34922の油分分解率が3.83%であるのに対
し、コリネバクテリウムMI148はその4.6倍、クレブシエ
ラMI29はその4.1倍を示した。この結果は、コリネバク
テリウムMI148およびクレブシエラMI29が油分に対して
顕著な分解活性を有する微生物であることを示すもので
ある。
【0044】n-パラフィン画分のピーク減少率に関して
も、クレブシエラMI29及びコリネバクテリウムMI148
は、比較例である微生物より高い減少率を示している。
また、ナフテン・アロマティクス・PAHs画分ピーク面積
減少率においては、比較例であるYarrowia lipolytica
ATCC34922の減少率が4.5%であるのに対し、コリネバク
テリウムMI148はその8.9倍、クレブシエラMI29はその6.
8倍を示した。この結果は、難分解化合物として知られ
るナフテン、アロマティクス、PAHsに対しても本微生物
が充分な分解活性を有することを示すものである。
【0045】界面活性物質産生能についても、Yarrowia
lipolytica ATCC34922が5.0ユニット/mlであるのに対
し、クレブシエラMI29はその16倍、コリネバクテリウム
MI148は10倍の値を示した。このことは、コリネバクテ
リウムMI148およびクレブシエラMI29が界面活性物質の
産生能に優れていることを示し、その優れた界面活性物
質産生能により、油分を水に溶解あるいは分散させ、微
生物と油分との接触頻度を高めて、土壌、水および廃棄
物中で当該微生物による油分分解活性をさらに高めるこ
とを示唆する結果である。
【0046】
【発明の効果】本発明によって提供される微生物は、脂
肪族炭化水素に加え、難分解性であるナフテン、アロマ
ティクス、PAHsを含む油分に対して優れたな分解活性を
有する。このため、本微生物を様々な形態で利用するこ
とにより、土壌や地下水、排水、廃棄物に含有される油
分を高効率に、かつ短期間に分解除去することが可能に
なる。また、本発明によって提供される微生物は、優れ
た油分分解能に加えて、優れた界面活性物質産生能を有
する。産生された界面活性物質は、分解の対象となる油
分を、水に容易に溶解あるいは分散させ、微生物と油分
との接触頻度を高めて、あるいは、当該微生物を、油分
を含有する土壌あるいは油分中に容易に拡散させ、結果
的に、土壌や水、廃棄物中の油分をさらに短期間に分解
除去することを可能にする。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) //(C12N 1/20 C12R 1:22) C12R 1:22) (C12N 1/20 (C12N 1/20 C12R 1:15) C12R 1:15) B09B 3/00 ZABE (72)発明者 市村 直也 京都府京都市下京区中堂寺南町17京都リサ ーチパーク 株式会社関西新技術研究所内 (72)発明者 黒本 雅哲 京都府京都市下京区中堂寺南町17京都リサ ーチパーク 株式会社関西新技術研究所内 (72)発明者 濱浦 真由美 京都府京都市下京区中堂寺南町17京都リサ ーチパーク 株式会社関西新技術研究所内 Fターム(参考) 4B065 AA24X AA29X AC12 AC14 AC20 BA23 BB01 BB40 BC03 BD50 CA02 CA56 4D004 AA41 AB02 CA18 CC07 4D040 DD03 DD11 DD12 DD24

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 クレブシエラ属に属し、油分分解性を有
    する微生物。
  2. 【請求項2】 クレブシエラ属に属し、油分分解性を有
    し、かつ界面活性物質を生産する微生物。
  3. 【請求項3】 微生物が、クレブシエラMI29(FERM P-1
    8089)又は当該菌株と同一な菌学的性質を有する微生物
    であることを特徴とする請求項1又は2に記載の微生
    物。
  4. 【請求項4】 コリネバクテリウム属に属し、油分分解
    性を有する微生物。
  5. 【請求項5】 コリネバクテリウム属に属し、油分分解
    性を有し、かつ界面活性物質を生産する微生物。
  6. 【請求項6】 微生物が、コリネバクテリウムMI148(F
    ERM P-18090)又は当該菌株と同一な菌学的性質を有す
    る微生物であることを特徴とする請求項4又は5に記載
    の微生物。
  7. 【請求項7】 請求項1から6のいずれかに記載の微生
    物を用いて油分を分解することを特徴とする油分の処理
    方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2011110517A (ja) * 2009-11-27 2011-06-09 Parker Engineering Kk 塗装ブース循環水の処理方法
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