JP2002131877A - シアン色素形成カプラーを含む写真要素 - Google Patents

シアン色素形成カプラーを含む写真要素

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JP2002131877A
JP2002131877A JP2001285125A JP2001285125A JP2002131877A JP 2002131877 A JP2002131877 A JP 2002131877A JP 2001285125 A JP2001285125 A JP 2001285125A JP 2001285125 A JP2001285125 A JP 2001285125A JP 2002131877 A JP2002131877 A JP 2002131877A
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Llewellyn James Leyshon
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 優れた写真特性を示す写真要素を提供するこ
と。 【解決手段】 (A)式(I): 【化1】 (式中、R1、R2、COGおよびnは本明細書中に記載
のとおり)により表されるシアン色素形成カプラーと、
(B)式(II): 【化2】 (式中、R3、ZおよびXは本明細書中に記載のとお
り)により表されるビスフェノール誘導体を関連して有
する感光性ハロゲン化銀乳剤層を含んで成る写真要素。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、コンベンショナル
ハロゲン化銀カラー写真材料および酸化還元増強型ハロ
ゲン化銀カラー写真材料に関し、より詳細には、特定の
非画像形成カプラーとの組み合わせで色素形成カプラー
を含むそのような写真材料に関する。得られる色素は、
写真特性の優れた組み合わせ、特に色相および安定性に
関して優れた写真特性を示す。
【0002】
【従来の技術】ハロゲン化銀写真要素では、写真要素を
露光し、次いで、一般的に第一級芳香族アミン現像主薬
を使用する発色現像にかけると、カラー画像が形成され
る。発色現像はハロゲン化銀の像様還元および現像主薬
酸化体の生成をもたらす。現像主薬酸化体は1つ以上の
組み込まれた色素形成カプラーと反応して像様分布の色
素を形成する。
【0003】いかなる多色発色性写真材料でも、そのよ
うに形成された色素が幾つかの特性を有することが望ま
しい。例えば、色素は、色が明るく、適切なスペクトル
領域の光を吸収し、しかも良好な色再現性が得られるよ
うに二次吸収をほとんど示さないものであるべきであ
る。処理の間にカラーカプラーによって形成される色素
は、光、熱、湿気および酸素への暴露によって経時的に
退色する傾向がある。3種の画像色素が同じ速度で退色
しないために、画像色の明らかな変化が生じることがあ
る。従って、形成される写真色素画像が、熱、湿気およ
び光による退色に対する抵抗性を有するものであること
が重要である。
【0004】現像主薬酸化体と組み込まれたカプラーの
組み合わせから色素画像をハロゲン化銀写真材料中に形
成する場合は、カプラーの特性についてある種の制約が
ある。例えば、カプラーは、先に述べたような望ましい
特性を有する色素を形成すべきであり、色素形成反応の
効率も高くなくてはならない。さらに、カプラーが容易
に分散しうるものでなくてはならず、カプラー自体が
光、熱および湿気の有害な作用に対する抵抗性を有して
いなければならず、また、カプラーのカブリを形成する
傾向も低くなくてはならない。
【0005】上記の望ましい特性の1つ(例えば色素の
高い光安定性)を達成するためにある1つの官能基を分
子中に組み込んだ場合に、写真的に形成された色素のそ
の他の望ましい特性の1つ以上(例えば色相)に悪影響
がおよぶことが非常にしばしばあることは、カプラー化
学の技術分野においてよく知られている。上記の望まし
い特性の全てまたは大部分を示すカプラーを得ることは
非常に困難である。例えば、ジアシルアミノフェノール
系シアンカプラーにより形成される色素は、熱および湿
気による退色に対して優れた抵抗性を示すが、光の作用
に対するそれらの抵抗能は特に不十分であり、それらの
吸収帯は、望ましい波長より、特にカラーペーパー用途
で望まれる波長よりも短い波長に位置する傾向がある。
【0006】そのようなカプラーの色素形成能並びにそ
れらの画像色素の安定性および吸収特性を、親カプラー
の分子構造中に特定の官能基を組み込むことにより調整
できることも知られている。例えば、特開昭59−74
556号公報には、2−ベンズアミド基が少なくとも1
個のオルト−フッ素原子で置換されている2,5−ジア
シルアミノフェノール系カプラーの使用が、生成する画
像色素の良好な画像安定性に加えて高カプリング効率
(γ,Dmax)を有するシアンカプラーを与えることが
教示されている。同様に、ドイツ特許第3329729
号には、カプラーの2位にペンタフルオロベンズアミド
置換基を使用することが、それらの画像色素で望ましい
深色性色相シフトをもたらすことが教示されている。さ
らに、画像色素が置かれる化学的環境が色素の色相にも
影響を及ぼすこともよく知られている。例えば、特開昭
59−102234号公報には、特定のフェノール系カ
プラー溶剤が上記のフルオロベンズアミド置換カプラー
に由来する色素吸収帯を長波長側にシフトさせる傾向が
あることが教示されている。
【0007】ヨーロッパ特許出願公開第0913729
号明細書には、2,5−ジアシル−アミノフェノール系
カプラーに由来するシアン画像色素の熱および光安定性
を改良するために特定のリン保護ビスフェノールリン酸
エステルを使用することが記載されている。2−ベンズ
アミド基がフッ素原子で置換されているカプラーがこの
特許明細書に記載されているが、そこに開示されている
そのようなカプラーのどれが、画像色素光安定性の観点
でフッ素化されていないカプラーを凌駕する長所を与え
るかについてや、光安定性がフッ素置換基の位置により
影響を受けることについては何ら示唆されていない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】他の写真特性の有意な
低下なしに良好な色相とさらに改良された光安定性を有
する画像色素を提供できるシアン色素形成配合物を含ん
で成る写真要素を提供することが依然として必要であ
る。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の態様によれば、
(A)式(I):
【0010】
【化5】
【0011】[式中、各R1は、それらの少なくとも1
つがフルオロまたはペルフルオロアルキル置換基である
ことを条件として、置換基であり;nは1〜3の整数で
あり;R2は未置換のまたは置換されたアルキル、アリ
ール、アミノもしくはアルコキシ基であるか、あるいは
窒素、酸素および硫黄から選ばれる1個以上のヘテロ原
子を含む未置換のまたは置換された5〜10員複素環式
環であり;そしてCOGは、水素原子であるか、または
カプラーと発色現像主薬酸化体との反応により離脱しう
る基であるが、ただし(a)nが3であり、かつ、各R
1がフッ素である場合に、COGはメトキシ基でないこ
と、および(b)nが2であり、かつ、3位および4位
にあるR1がそれぞれフッ素原子である場合に、COG
が水素でないことを条件とする]により表されるシアン
色素形成カプラーと、(B)式(II):
【0012】
【化6】
【0013】(式中、R3は未置換のまたは置換された
アルキル、アリール、アルコキシもしくはアリールオキ
シ基であるか、または置換アミノ基であり;各Zは独立
に、置換されたまたは未置換のアレーンもしくは複素芳
香環系を完成するのに必要な原子を表し;Xは単結合で
あるか、または前記アレーンもしくは複素芳香環系を連
結する1個の原子を有する連結基であるか;あるいはX
は、前記アレーンまたは複素芳香環系上のXに対してオ
ルト位に存在する置換基とともに、窒素、酸素および硫
黄から選ばれる1または2個のヘテロ原子を含んでいて
よい未置換のまたは置換された5員、6員もしくは7員
縮合環を形成している)により表されるビスフェノール
誘導体化合物とを関連して有する感光性ハロゲン化銀乳
剤層を含んで成る写真要素が提供される。
【0014】本発明の別の態様において、それぞれ少な
くとも1種のイエロー、マゼンタまたはシアン色素形成
カプラーを関連して有する少なくとも1つの青感、緑感
または赤感ハロゲン化銀乳剤層を含むイエロー、マゼン
タおよびシアン画像色素形成ユニットを有する支持体を
含んで成る上記のような多色写真要素が提供される。
【0015】本発明のさらに別の態様において、上記の
ような写真要素を像様露光した後に、写真要素を発色現
像主薬に接触させることを含む、上記のような写真要素
において画像を形成する方法が提供される。
【0016】
【発明の実施の形態】本発明の組み合わせは、「課題を
解決するための手段」の欄に概説した通りである。この
組み合わせは、化合物(I)および(II)を含む。シアン色素形成カプラー(I) シアン色素形成カプラーは式:
【0017】
【化7】
【0018】[式中、各R1は、それらの少なくとも1
つがフルオロまたはペルフルオロアルキル置換基である
ことを条件として、置換基であり;nは1〜3の整数で
あり;R2は未置換のまたは置換されたアルキル、アリ
ール、アミノもしくはアルコキシ基であるか、あるいは
窒素、酸素および硫黄から選ばれる1個以上のヘテロ原
子を含む未置換のまたは置換された5〜10員複素環式
環であり;そしてCOGは、水素原子であるか、または
カプラーと発色現像主薬酸化体との反応により離脱しう
る基である]により表される。
【0019】R2がアミノまたはアルコキシ基である場
合には、R2は例えばハロゲン、アリールオキシまたは
アルキルスルホニルもしくはアリールスルホニル基によ
り置換されていてもよい。しかしながら、R2が未置換
のまたは置換されたアルキルもしくはアリール基あるい
は5〜10員複素環式環、例えばピリジル、モルホリ
ノ、イミダゾリルもしくはピリダゾリル基から選ばれる
ことが好適である。R2はより好ましくは、例えばハロ
ゲン、アルキル、アリールオキシまたはアルキルスルホ
ニルもしくはアリールスルホニル基により置換されたア
ルキル基であることがより好ましく、さらに置換されて
いてもよい。特に、R2は式:
【0020】
【化8】
【0021】(式中、Arは未置換のまたは置換された
アリール基であり、L’は−O−、−SO−または−S
2−等の二価連結基であり、そしてRaおよびRbは独
立にHまたはアルキル基である)により表される基であ
ることができる。1つの態様において、Raはアルキル
基であり、RbはHであり、L’は−SO2−である。し
かしながら、R2が、
【0022】
【化9】
【0023】(式中、各Aは独立に置換基であるが、少
なくとも1つのAはアルキルスルホンアミドもしくはア
リールスルホンアミド基またはアルキルスルファモイル
もしくはアリールスルファモイル基であり、rは1また
は2であり、そしてRcは水素またはアルキル基であ
る)であることが好適である。フェノール酸素原子に対
してオルト位にハロゲンが存在することが好ましい。
【0024】R1は、少なくとも1つ、好ましくは2つ
がフルオロ置換基またはペルフルオロアルキル置換基、
特にフルオロまたはトリフルオロメチルである。R1
3−もしくは4−フルオロフェニル、3−もしくは4−
トリフルオロメチルフェニル、3,4−ジフルオロフェ
ニル、3,5−ジフルオロフェニル、3,5−ジ−トリ
フルオロメチルフェニル、3−フルオロ,4−トリフル
オロメチルフェニルまたは3−トリフルオロメチル,4
−フルオロフェニルであるのが好適である。その環は、
2について先に述べた置換基のうちの1つ、例えばク
ロロ、シアノ、アルキルスルホンアミドまたはアルキル
スルホニル基で置換されていてもよい。COGは水素で
あるか、またはカプリング離脱基、適切には、ハロゲン
原子、または硫黄、酸素もしくは窒素原子により連結さ
れている基である。クロロ基が都合良く使用される。本
明細書において、特に断らない限り、「アルキル」なる
用語は、不飽和または飽和の直鎖または分枝アルキル基
(アルケニルおよびアラルキルを包含する)意味し、ま
た3〜8個の炭素原子を有する環状アルキル基(シクロ
アルケニルを包含する)を包含し、そして「アリール」
なる用語は特に縮合アリールを包含する。式(I)によ
り表されるカプラーの具体例としては、以下のものが挙
げられるが、本発明がこれらに限定されると解釈される
べきではない。
【0025】
【化10】
【0026】
【化11】
【0027】
【化12】
【0028】
【化13】
【0029】
【化14】
【0030】
【化15】
【0031】式(II)により表されるビスフェノール系
安定化剤このビスフェノール系安定化剤は式(II):
【0032】
【化16】
【0033】により表される。この式中、R3は未置換
のまたは置換されたアルキル、アリール、アルコキシも
しくはアリールオキシ基であるか、または置換アミノ基
である。好適な例としては、例えばメチル、フェニル、
エトキシ、フェノキシおよびジメチルアミノ基が挙げら
れる。各Zは、アレーンまたは複素環式環、例えばナフ
タレン、ピリジンまたはキノリン環を完成するのに必要
な原子を表すが、好ましくは置換されていてもよいフェ
ニル環を完成するのに必要な原子を表す。Xは前記アレ
ーンまたは複素芳香環系の間に1つの原子を提供する任
意の連結基であり、好ましくは−CR’R”−、−NR
−、−S(O)q−および−O−から選ばれる2価連結
基(これらの式中、Rは未置換のまたは置換されたアル
キルもしくはアリール基であり、R’およびR”は独立
に水素および未置換のまたは置換されたアルキルもしく
はアリール基から独立に選ばれ、qは0、1または2で
ある)である。代わりに、Xは、前記アレーンまたは複
素芳香環系上のXに対してオルト位に存在する置換基と
ともに、窒素、酸素および硫黄から選ばれる1または2
個のヘテロ原子を含んでいてよい置換されていてもよい
縮合した5員、6員もしくは7員縮合環系を形成してい
てよい。しかしながら、Xは、好ましくは硫黄原子また
は酸素原子、より好ましくは未置換のまたは置換された
メチレン基である。
【0034】好ましい式(II)は式(IIA):
【0035】
【化17】
【0036】[式中、R3は先に定義したとおりであ
り;R4およびR5はそれぞれ独立に、ハロゲン、または
未置換のまたは置換されたアルキル、アリール、アルコ
キシ、アリールオキシ、COORもしくはCONR’
R”基(式中、R、R’およびR”は先に定義したとお
り)から選ばれ;各nは独立に1〜4の整数であり;そ
してXは単結合であるか、またはフェニル環を連結する
1個の原子を有する連結基であるか;あるいはXは、R
4およびR5(オルト位に存在する場合)とともに、窒
素、酸素および硫黄から選ばれる1または2個のヘテロ
原子を含んでいてよい未置換のまたは置換された5員、
6員もしくは7員縮合環を形成している]により表され
る。
【0037】R4およびR5は同じであっても相異なって
いてもよいが、合成のし易さからそれらが同じであるこ
とが都合良く、好ましくは未置換のまたは置換されたア
ルキル、アリールもしくはアルコキシ基またはハロゲン
原子から選ばれ、最も好ましくは未置換アルキル基であ
る。各nが2であるのが都合良く、置換基がオルト位お
よびパラ位に存在することが好ましい。
【0038】より好ましい態様において、安定化剤は式
(IIB):
【0039】
【化18】
【0040】により表される。この式中、R6、R7、R
8およびR9は水素もしくはハロゲン原子または未置換の
または置換されたアルキル、アリールもしくはアルコキ
シ基から独立に選ばれ、好ましくはアルキル基、特に第
2級または第3級アルキル基である。R6、R7、R8
よびR9は同じであっても相異なっていてもよいが、合
成のし易さからR6とR9が同じであることが都合良く、
特にアルキル基であり、R 7およびR8については、それ
らは特にハロゲン原子またはアルキル基である。式(I
I)により表される安定化剤の具体例としては、以下の
ものが挙げられるが、本発明がこれらに限定されると解
釈されるべきではない。
【0041】
【化19】
【0042】
【化20】
【0043】
【化21】
【0044】
【化22】
【0045】
【化23】
【0046】
【化24】
【0047】
【化25】
【0048】本発明での使用に適する安定化剤およびカ
プラーは、低沸点もしくは部分水溶性の補助有機溶剤を
併用してまたは併用せずに、それらの物質を1種以上の
高沸点の持久性有機溶剤に溶解させることによって組み
込まれる。溶解性、色素の色相、熱もしくは光安定性ま
たは分散体のカプリング反応性等の所望の特性を最適化
するために、持久性溶剤のブレンドが都合良いことがあ
る。
【0049】得られた有機溶液を、次に、ゼラチン水溶
液と混合し、そしてヨーロッパ特許出願公開第1037
103号明細書(引用によりその内容が本明細書に含ま
れていることにする)に記載されているように、写真乳
化分散体を調製するのに概して相応しい高剪断または乱
流混合に好適な機械的混合装置に通す。
【0050】式(I)により表されるシアン色素形成カ
プラーを使用する場合に、色素の色相と画像色素の光退
色に対する安定性との望ましい組み合わせが得られるよ
うに、一般式(III)により表されるHドナーカプラー
溶剤を配合に含めることが都合良いことが見い出され
た。そのような溶剤を使用する場合に、画像色素の吸収
特性はより好ましい領域にシフトする。
【0051】
【化26】
【0052】この式中、各R10は置換基であり、mは1
〜3の整数であり、そして全てのR 10基中に含まれる炭
素原子の総数は少なくとも8であり;そしてYはOHま
たはNHSO2R’’’(式中、R’’’は未置換のま
たは置換されたアルキルもしくはアリール基、あるいは
窒素、酸素および硫黄から選ばれる1個以上のヘテロ原
子を含む置換されていてもよい5〜10員複素環式環で
ある)である。置換基の大きさは、これらの結果の両方
を達成する際に影響を及ぼす。少なくとも1つの基がア
ルキル基または置換アルコキシ基であることが好適であ
る。典型例は、8〜15個の炭素原子を有する1個のア
ルキル基、またはそれぞれ4〜5個の炭素原子を有する
2個のアルキル基である。式(II)により表される溶剤
の具体例としては、以下のものが挙げられるが、本発明
がこれらに限定されると解釈されるべきではない。
【0053】
【化27】
【0054】シアン色素形成カプラーの適切なレイダウ
ンは約0.1g/m2〜約2g/m2、好ましくは約0.
3g/m2〜約0.7g/m2である。カプラーに対する
安定化剤の質量比は約0.1:1〜約5:1、好ましく
は約0.5:1〜約2:1であるが、安定化剤とカプラ
ーがほぼ等しい質量で存在することがより好ましい。カ
プラーに対する溶剤の質量比は約0.2:1〜約4:
1、好ましくは約0.5:1〜約2:1である。
【0055】特に断らない場合または「基」なる用語を
使用する場合、本明細書全体にわたって、置換基が置換
可能な水素を含む場合に、写真用途に必要な特性をなく
さない限り、その置換基の未置換形態だけでなく、本明
細書に記載の任意の置換基でさらに置換された形態のも
のも包含するものとする。好適には、置換基は、ハロゲ
ンであってもよく、または炭素、ケイ素、酸素、窒素、
リンもしくは硫黄原子によって分子の残りの部分に結合
していてもよい。置換基は、例えば、ハロゲン、例えば
塩素、臭素またはフッ素;ニトロ;ヒドロキシル;シア
ノ;カルボキシル;またはさらに置換されていてもよい
基、例えばアルキル(線状もしくは分枝状または環状の
アルキルを包含する)、例えばメチル、トリフルオロメ
チル、エチル、t−ブチル、3−(2,4−ジ−t-ペン
チル−フェノキシ)プロピルおよびテトラデシル;アル
ケニル、例えばエチレン、2−ブテン;アルコキシ、例
えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ、2−
メトキシエトキシ、sec−ブトキシ、ヘキシルオキシ、
2−エチルヘキシルオキシ、テトラデシルオキシ、2−
(2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)エトキシおよ
び2−ドデシル−オキシエトキシ;アリール、例えばフ
ェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4,6−トリメ
チルフェニル、ナフチル;アリールオキシ、例えばフェ
ノキシ、2−メチルフェノキシ、α−もしくはβ−ナフ
チルオキシおよび4−トリルオキシ;カルボンアミド、
例えばアセトアミド、ベンズアミド、ブチルアミド、テ
トラデカンアミド、α−(2,4−ジ−t−ペンチル−
フェノキシ)アセトアミド、α−(2,4−ジ−t−ペ
ンチル−フェノキシ)ブチルアミド、α−(3−ペンタ
デシルフェノキシ)ヘキサンアミド、α−(4−ヒドロ
キシ−3−t−ブチルフェノキシ)テトラデカンアミ
ド、2−オキソピロリジン−1−イル、2−オキソ−5
−テトラデシルピロリン−1−イル、N−メチルテトラ
デカンアミド、N−スクシンイミド、N−フタルイミ
ド、2,5−ジオキソ−1−オキサゾリジニル、3−ド
デシル−2,5−ジオキソ−1−イミダゾリルおよびN
−アセチル−N−ドデシルアミノ、エトキシカルボニル
アミノ、フェノキシカルボニルアミノ、ベンジルオキシ
カルボニルアミノ、ヘキサデシルオキシカルボニルアミ
ノ、2,4−ジ−t−ブチルフェノキシカルボニルアミ
ノ、フェニルカルボニルアミノ、2,5−(ジ−t−ペ
ンチルフェニル)カルボニルアミノ、p−ドデシルフェ
ニルカルボニルアミノ、p−トリルカルボニルアミノ、
N−メチルウレイド、N,N−ジメチルウレイド、N−
メチル−N−ドデシルウレイド、N−ヘキサデシルウレ
イド、N,N−ジオクタデシルウレイド、N,N−ジオ
クチル−N’−エチルウレイド、N−フェニルウレイ
ド、N,N−ジフェニルウレイド、N−フェニル−N−
p−トリルウレイド、N−(m−ヘキサデシルフェニ
ル)ウレイド、N,N−(2,5−ジ−t−ペンチルフ
ェニル)−N’−エチルウレイドおよびt−ブチルカル
ボンアミド;スルホンアミド、例えばメチルスルホンア
ミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トリルスルホンア
ミド、p−ドデシルベンゼンスルホンアミド、N−メチ
ルテトラデシルスルホンアミド、N,N−ジプロピルス
ルファモイルアミノおよびヘキサデシルスルホンアミ
ド;スルファモイル、例えばN−メチルスルファモイ
ル、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルス
ルファモイル、N−ヘキサデシルスルファモイル、N,
N−ジメチルスルファモイル;N−〔3−(ドデシルオ
キシ)プロピル〕スルファモイル、N−〔4−(2,4
−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチル〕スルファモイ
ル、N−メチル−N−テトラデシルスルファモイルおよ
びN−ドデシルスルファモイル;カルバモイル、例えば
N−メチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイ
ル、N−オクタデシルカルバモイル、N−〔4−(2,
4−ジ−t−ペンチルフェノキシ)ブチル〕カルバモイ
ル、N−メチル−N−テトラデシルカルバモイルおよび
N,N−ジオクチルカルバモイル;アシル、例えばアセ
チル、(2,4−ジ−t−アミルフェノキシ)アセチ
ル、フェノキシカルボニル、p−ドデシルオキシフェノ
キシカルボニル、メトキシカルボニル、ブトキシカルボ
ニル、テトラデシルオキシカルボニル、エトキシカルボ
ニル、ベンジルオキシカルボニル、3−ペンタデシルオ
キシカルボニルおよびドデシルオキシカルボニル;スル
ホニル、例えばメトキシスルホニル、オクチルオキシス
ルホニル、テトラデシルオキシスルホニル、2−エチル
ヘキシルオキシスルホニル、フェノキシスルホニル、
2,4−ジ−t−ペンチルフェノキシスルホニル、メチ
ルスルホニル、オクチルスルホニル、2−エチルヘキシ
ルスルホニル、ドデシルスルホニル、ヘキサデシルスル
ホニル、フェニルスルホニル、4−ノニルフェニルスル
ホニルおよびp−トリルスルホニル;スルホニルオキ
シ、例えばドデシルスルホニルオキシおよびヘキサデシ
ルスルホニルオキシ;スルフィニル、例えばメチルスル
フィニル、オクチルスルフィニル、2−エチルヘキシル
スルフィニル、ドデシルスルフィニル、ヘキサデシルス
ルフィニル、フェニルスルフィニル、4−ノニルフェニ
ルスルフィニルおよびp−トリルスルフィニル;チオ、
例えばエチルチオ、オクチルチオ、ベンジルチオ、テト
ラデシルチオ、2−(2,4−ジ−t−ペンチルフェノ
キシ)エチルチオ、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−
t−オクチルフェニルチオおよびp−トリルチオ;アシ
ルオキシ、例えばアセチルオキシ、ベンゾイルオキシ、
オクタデカノイルオキシ、p−ドデシルアミドベンゾイ
ルオキシ、N−フェニル−カルバモイルオキシ、N−エ
チルカルバモイルオキシおよびシクロヘキシルカルボニ
ルオキシ;アミン、例えばフェニルアニリノ、2−クロ
ロアニリノ、ジエチルアミン、ドデシルアミン;イミ
ノ、例えば1−(N−フェニルイミド)エチル、N−ス
クシンイミドまたは3−ベンジルヒダントイニル;ホス
フェート、例えばジメチルホスフェートおよびエチルブ
チルホスフェート;ホスフィット、例えばジエチルホス
フィットおよびジヘキシルホスフィット;複素環式基、
複素環式オキシ基または複素環式チオ基であって、置換
されていてもよく、炭素原子と、酸素、窒素および硫黄
からなる群より選ばれる少なくとも1個のヘテロ原子と
からなる3〜7員の複素環式環を含むもの、例えば2−
フリル、2−チエニル、2−ベンゾイミダゾリルオキシ
または2−ベンゾチアゾリル;第4級アンモニウム、例
えばトリエチルアンモニウム;並びにシリルオキシ、例
えばトリメチルシリルオキシであってよい。
【0056】所望であれば、これらの置換基はそれら自
体さらに前記置換基で1回以上置換されていてもよい。
使用される個々の置換基は、当業者であれば特定用途に
相応しい望ましい写真特性が得られるように選ぶことが
でき、そのような置換基としては、例えば疎水性基、可
溶化基、ブロッキング基、離脱基または離脱可能な基等
が挙げられる。一般的に、上記の基およびそれらの置換
基としては、48個以下の炭素原子を有するもの、典型
的には1〜36個の炭素原子を有するもの、通常は24
個未満の炭素原子を有するものが挙げられるが、選ばれ
る特定の置換基に応じてそれ以上の数の炭素原子を有す
るものも可能である。
【0057】本発明において使用するのに適する材料
は、当該技術分野で知られている任意の方法でそして任
意の組み合わせで用いることができる。典型的には、そ
れらの材料はハロゲン化銀乳剤に組み込まれ、そしてそ
の乳剤は写真要素の一部を形成するように支持体上に層
としてコートされる。あるいは、特に断らない限り、現
像中、それらが現像生成物、例えば発色現像主薬酸化体
と反応的に関連するようにハロゲン化銀乳剤層に隣接す
る位置に組み込むことができる。本明細書においては
「関連する」なる語句は、前記化合物が、ハロゲン化銀
乳剤層中に存在するか、または処理中にハロゲン化銀現
像生成物と反応できるような隣接位置に存在することを
意味する。
【0058】各種成分の移行を制御するために、高分子
量疎水性基または「バラスト」基をカプラー分子中に含
めることが望ましいことがある。代表的なバラスト基と
しては、8〜48個の炭素原子を含む置換されたまたは
未置換のアルキルまたはアリール基が挙げられる。この
ような置換基上の代表的な置換基としては、アルキル、
アリール、アルコキシ、アリールオキシ、アルキルチ
オ、ヒドロキシ、ハロゲン、アルコキシカルボニル、ア
リールオキシカルボニル、カルボキシ、アシル、アシル
オキシ、アミノ、アニリノ、カルボンアミド、カルバモ
イル、アルキルスルホニル、アリールスルホニル、スル
ホンアミドおよびスルファモイル基が挙げられるが、こ
れらの置換基は、典型的には1〜42個の炭素原子を含
む。これらの置換基はさらに置換されていてもよい。
【0059】写真要素は、単色要素または多色要素であ
ることができる。多色要素は、スペクトルの3つの主領
域のそれぞれに感受性の画像色素形成ユニットを含む。
各ユニットは、スペクトルの所定の領域に感受性の1つ
の乳剤層または複数の乳剤層からなることができる。要
素を構成する各層(画像形成ユニットを構成する層を含
む)は、写真技術分野で知られているような種々の順序
で配列することができる。別のフォーマットでは、スペ
クトルの3つの主領域のそれぞれに感受性の乳剤を、1
つのセグメント化された層として配置することができ
る。
【0060】典型的な多色写真要素は、少なくとも1種
のシアン色素形成カプラーを関連して有する少なくとも
1つの赤感性ハロゲン化銀乳剤層を含むシアン色素画像
形成ユニットと、少なくとも1種のマゼンタ色素形成カ
プラーを関連して有する少なくとも1つの緑感性ハロゲ
ン化銀乳剤層を含むマゼンタ色素画像形成ユニットと、
少なくとも1種のイエロー色素形成カプラーを関連して
有する少なくとも1つの青感性ハロゲン化銀乳剤層を含
むイエロー色素画像形成ユニットを有する支持体を含ん
でなる。本発明の要素は、フィルター層、中間層、オー
バーコート層、下引き層等の追加の層を含むことができ
る。
【0061】所望により、本発明の写真要素は、Kennet
h Mason Publications, Ltd.(Dudley Annex, 12a North
Street, Emsworth, Hampshire PO10 7DQ, England所
在)により出版されたResearch Disclosure, Item 3439
0(1992年11月)および日本国特許庁から入手可
能な発明協会公開技報第94−6023号、1994年
3月15日発行(これらの内容は引用により本明細書に
含まれていることにする)に記載されているような塗布
された磁性層と組み合わせて使用できる。小型フォーマ
ットフィルムに本発明の材料を使用することが望ましい
場合は、ResearchDisclosure, Item 36230(1994年
6月)に適切な実施態様が記載されている。
【0062】本発明の乳剤および要素で用いるのに適す
る材料についての以下の議論で、上記のように入手可能
なResearch Disclosure, Item 38957(1996年9
月)を参照する。本明細書では、この文献を「Research
Disclosure」と略記する。このResearch Disclosureの
内容(そこで引用されている特許および文献も含む)は
引用により本明細書中に含まれていることにし、以下で
引用する「節」は、Research Disclosureの「節(Secti
on)」である。
【0063】特に断らない限り、本発明に用いられるハ
ロゲン化銀乳剤含有要素は、本発明の要素に備えつけら
れる処理指示書のタイプ(すなわち、カラーネガ、反転
または直接ポジ処理型)により示されるようにネガ型
(negative-working)であってもまたはポジ型(positi
ve-working)であってもよい。好適な乳剤およびそれら
の調製並びに化学増感および分光増感の方法は第I〜V
節に記載されている。各種の添加剤、例えばUV色素、
蛍光増白剤、カブリ防止剤、安定化剤、光吸収剤、光散
乱剤、および物性調節作用のある添加剤、例えば硬膜
剤、コーティング助剤、可塑剤、滑剤およびマット剤
は、例えば第II節および第VI〜VIII節に記載されてい
る。色材は第X〜XIII節に記載されている。有機溶剤へ
の分散を含むカプラーおよび色素を組み込むための好適
な方法は、第X(E)節に記載されている。走査促進は
第XIV節に記載されている。支持体、露光、現像システ
ム並びに処理方法および処理剤は第XV〜XX節に記載され
ている。先に引用した1994年9月のResearch Discl
osure, Item No. 36544に含まれている内容は、199
6年9月のResearch Disclosure, Item No. 38957にお
いては更新されている。幾つかの写真要素および処理工
程が、カラー反射性プリントと関連して使用できるもの
を含めてResearch Disclosure, Item 37038(1995
年2月)に記載されている。
【0064】カプリング離脱基は当該技術分野において
周知である。そのような基は、カプラーの化学当量、す
なわちカプラーが2当量カプラーであるか4当量カプラ
ーであるかを決定、またはカプラーの反応性を変更する
ことができる。そのような基は、カプラーがコートされ
た層、または写真記録材料中の他の層に、カプラーから
の放出後、色素形成、色素色相調節、現像促進または抑
制、漂白促進または抑制、電子移動促進、色補正等の機
能を発揮することにより有利な効果を与えることができ
る。
【0065】カプリング部位に水素が存在すると、4当
量カプラーとなり、別のカプリング離脱基が存在すると
通常2当量カプラーとなる。そのようなカプリング離脱
基の代表的なものとしては、例えばクロロ、アルコキ
シ、アリールオキシ、ヘテロオキシ、スルホニルオキ
シ、アシルオキシ、アシル、ヘテロシクリル、スルホン
アミド、メルカプトテトラゾール、ベンゾチアゾール、
メルカプトプロピオン酸、ホスホニルオキシ、アリール
チオおよびアリールアゾが挙げられる。これらのカプリ
ング離脱基は、例えば米国特許第2,455,169
号、第3,227,551号、第3,432,521
号、第3,476,563号、第3,617,291
号、第3,880,661号、第4,052,212号
および第4,134,766号明細書、並びに英国特許
公報第1,466,728号、第1,531,927
号、第1,533,039号、第2,006,755A
号および第2,017,704A号(これらの開示は引
用により本明細書に含まれていることにする)に記載さ
れている。
【0066】画像色素形成カプラー、例えば発色現像主
薬酸化体との反応によりシアン色素を形成するカプラー
を要素に含めてもよく、それらのカプラーは、米国特許
第2,367,531号、第2,423,730号、第
2,474,293号、第2,772,162号、第
2,895,826号、第3,002,836号、第
3,034,892号、第3,041,236号、第
4,333,999号および第4,883,746号明
細書、並びに“Farbkuppler-eine Literature Ubersich
t”, Agfa Mitteilungen, 第III巻、第156〜175
頁(1961年)のような代表的な特許明細書および文
献に記載されている。好ましくは、そのようなカプラー
は、発色現像主薬酸化体との反応によりシアン色素を形
成するフェノール類およびナフトール類である。
【0067】発色現像主薬酸化体との反応によりマゼン
タ色素を形成するカプラーは、米国特許第2,311,
082号、第2,343,703号、第2,369,4
89号、第2,600,788号、第2,908,57
3号、第3,062,653号、第3,152,896
号、第3,519,429号、第3,758,309号
および第4,540,654号明細書、並びに“Farbku
ppler-eine Literature Ubersicht”, Agfa Mitteilung
en, 第III巻、第126〜156頁(1961年)のよ
うな代表的な特許明細書および文献に記載されている。
好ましくは、そのようなカプラーは発色現像主薬酸化体
との反応によりマゼンタ色素を形成するピラゾロン類、
ピラゾロトリアゾール類、またはピラゾロベンゾイミダ
ゾール類である。
【0068】発色現像主薬酸化体との反応によりイエロ
ー色素を形成するカプラーは、米国特許第2,298,
443号、第2,407,210号、第2,875,0
57号、第3,048,194号、第3,265,50
6号、第3,447,928号、第4,022,620
号および第4,443,536号明細書、並びに“Farb
kuppler-eine Literature Ubersicht”, Agfa Mitteilu
ngen, 第III巻、第112〜126頁(1961年)の
ような代表的な特許明細書および文献に記載されてい
る。そのようなカプラーは、典型的には開鎖ケトメチレ
ン化合物である。
【0069】発色現像主薬酸化体との反応により無色生
成物を形成するカプラーは、英国特許第861,138
号、米国特許第3,632,345号、第3,928,
041号、第3,958,993号および第3,96
1,959号明細書のような代表的な特許明細書に記載
されている。典型的には、そのようなカプラーは、発色
現像主薬酸化体との反応により無色生成物を形成する環
状カルボニル含有化合物である。
【0070】発色現像主薬酸化体との反応により黒色色
素を形成するカプラーは、米国特許第1,939,23
1号、第2,181,944号、第2,333,106
号および第4,126,461号明細書、並びにドイツ
特許公開公報第2,644,194号およびドイツ特許
公開公報第2,650,764号のような代表的な特許
明細書に記載されている。典型的には、そのようなカプ
ラーは、発色現像主薬酸化体との反応により黒色または
中灰色の生成物を形成するレゾルシノール類またはm−
アミノフェノール類である。
【0071】前述のものの他に、いわゆる「ユニバーサ
ル(universal)」または「ウォッシュアウト(washou
t)」カプラーを用いてもよい。これらのカプラーは画
像色素形成には寄与しない。したがって、例えば未置換
カルバモイルを有するナフトールまたは2位もしくは3
位で低分子量置換基により置換されたものを使用しても
よい。このタイプのカプラーは、例えば米国特許第5,
026,628号、第5,151,343号および第
5,234,800号明細書に記載されている。
【0072】米国特許第4,301,235号、第4,
853,319号および第4,351,897号明細書
に記載されているように、カプラーの組み合わせであっ
て、それらのカプラーのいずれかに周知のバラストまた
はカプリング離脱基を含んでいてもよいものを使用する
ことも有用な場合がある。米国特許第4,482,62
9号明細書に記載されているような、可溶化基を含有し
てもよい。カプラーは、「ロング(wrong)」カラード
カプラー(例えば層間補正のレベルを調整するため)と
組み合わせて用いてもよく、カラーネガ用途では、ヨー
ロッパ特許第0213,490号;特開昭58−172
647号;米国特許第2,983,608号、第4,0
70,191号および第4,273,861号明細書;
ドイツ特許第2,706,117号および第2,64
3,965号;英国特許第1,530,272号;並び
に特開昭58−113935公報に記載されているもの
のようにマスキングカプラーと組み合わせて使用しても
よい。マスキングカプラーは、必要に応じてシフトまた
はブロックされたものであってもよい。
【0073】本発明に使用される材料は、画像の品質を
改良するために、処理工程、例えば漂白または定着の工
程を促進さもなければ変更する写真有用基(PUG)を
放出する材料と組み合わせて使用してもよい。漂白促進
剤放出カプラー、例えばヨーロッパ特許第019338
9号、ヨーロッパ特許第0301477号;米国特許第
4,163,669号、第4,865,956号および
第4,923,784号明細書に記載されているものは
有用であろう。造核剤、現像促進剤またはそれらの前駆
体(英国特許第2,097,140号、英国特許第2,
131,188号);電子移動剤(米国特許第4,85
9,578号、米国特許第4,912,025号);カ
ブリ防止剤および混色防止剤、例えばヒドロキノン類、
アミノフェノール類、アミン類、没食子酸の誘導体;カ
テコール;アスコルビン酸;ヒドラジド類、スルホンア
ミドフェノール類;並びに非色形成カプラーと組み合わ
せて本発明の組成物を使用することも考えられる。
【0074】また、本発明に使用される材料は、コロイ
ド銀ゾル、またはイエロー、シアン、および/もしくは
マゼンタフィルター色素を水中油型分散体、ラテックス
分散体または固体粒子分散体として含んでなるフィルタ
ー色素層と組み合わせて使用してもよい。さらに、本発
明に使用される材料は「スミアリング(smearing)」カ
プラー(例えば米国特許第4,366,237号;ヨー
ロッパ特許第96,570号;米国特許第4,420,
556号および第4,543,323号明細書に記載さ
れているようなもの)と共に使用してもよい。また、本
発明の組成物は、例えば特開昭61−258249号公
報または米国特許第5,019,492号明細書に記載
されているように保護された形態で覆われるかまたはコ
ートされてもよい。
【0075】本発明に使用される材料は、さらに、例え
ば「現像抑制剤放出」化合物(DIR)等のPUGを放
出する画像調整作用のある化合物と組み合わせて使用し
てもよい。本発明の組成物との組み合わせで有用なDI
Rは、当該技術分野において知られており、その例は、
米国特許第3,137,578号;第3,148,02
2号;第3,148,062号;第3,227,554
号;第3,384,657号;第3,379,529
号;第3,615,506号;第3,617,291
号;第3,620,746号;第3,701,783
号;第3,733,201号;第4,049,455
号;第4,095,984号;第4,126,459
号;第4,149,886号;第4,150,228
号;第4,211,562号;第4,248,962
号;第4,259,437号;第4,362,878
号;第4,409,323号;第4,477,563
号;第4,782,012号;第4,962,018
号;第4,500,634号;第4,579,816
号;第4,607,004号;第4,618,571
号;第4,678,739号;第4,746,600
号;第4,746,601号;第4,791,049
号;第4,857,447号;第4,865,959
号;第4,880,342号;第4,886,736
号;第4,937,179号;第4,946,767
号;第4,948,716号;第4,952,485
号;第4,956,269号;第4,959,299
号;第4,966,835号および第4,985,33
6号明細書、英国特許公報第1,560,240号;第
2,007,662号;第2,032,914号および
第2,099,167号、ドイツ特許第2,842,0
63号;第2,937,127号;第3,636,82
4号および第3,644,416号、並びにヨーロッパ
特許公報第0272573号;第0335319号;第
0336411号;第0346899号;第03628
70号;第0365252号;第0365346号;第
0373382号;第0376212号;第03774
63号;第0378236号;第0384670号;第
0396486号;第0401612号および第040
1613号に記載されている。
【0076】そのような化合物は、Photographic Scien
ce and Engineering, 第13巻、174頁(1969
年)のC. R. Barr, J. R. ThirtleおよびP. W. Vittum
による“Developer-Inhibitor-Releasing(DIR) Coupler
s for Color Photography”(引用によりその記載は本
明細書に含まれていることにする)にも開示されてい
る。一般的に、現像抑制剤放出(DIR)カプラーは、
カプラー部分および抑制剤カプリング離脱部分(IN)
を含む。抑制剤放出カプラーは、抑制剤を遅延放出する
タイミング部分または化学的スイッチも含む時間遅延型
(DIARカプラー)のものであってよい。典型的な抑
制剤部分の例としては、オキサゾール類、チアゾール
類、ジアゾール類、トリアゾール類、オキサジアゾール
類、チアジアゾール類、オキサチアゾール類、チアトリ
アゾール類、ベンゾトリアゾール類、テトラゾール類、
ベンゾイミダゾール類、インダゾール類、イソインダゾ
ール類、メルカプトテトラゾール類、セレノテトラゾー
ル類、メルカプトベンゾチアゾール類、セレノベンゾチ
アゾール類、メルカプトベンゾオキサゾール類、セレノ
ベンゾオキサゾール類、メルカプトベンゾイミダゾール
類、セレノベンゾイミダゾール類、ベンゾジアゾール
類、メルカプトオキサゾール類、メルカプトチアジアゾ
ール類、メルカプトチアゾール類、メルカプトトリアゾ
ール類、メルカプトオキサジアゾール類、メルカプトジ
アゾール類、メルカプトオキサチアゾール類、テレウロ
テトラゾール類またはベンゾイソジアゾール類が挙げら
れる。好ましい実施態様において、抑制剤部分または基
は、以下の式のものから選ばれる:
【0077】
【化28】
【0078】[前記式中、RIは1〜約8個の炭素原子
を有する直鎖および分枝アルキル、ベンジル、フェニル
およびアルコキシ基並びにこれらの置換基を全く含まな
いか1個以上含有する基からなる群より選ばれ;RII
Iおよび−SRIから選ばれ;RIIIは1〜約5個の炭
素原子を有する直鎖もしくは分枝アルキル基であり、m
は1〜3であり;そして、RIVは水素、ハロゲン、アル
コキシ、フェニル、カルボンアミド基、−COORV
よび−NHCOORV(前記式中、RVは置換されたおよ
び未置換のアルキル基およびアリール基から選ばれる)
からなる群より選ばれる]。
【0079】現像抑制剤放出カプラー中に含まれるカプ
ラー部分は、カプラーが配置されている層に対応する画
像色素を形成するのが典型的であるが、異なるフィルム
層と組合わさった場合は異なる色を形成してもよい。現
像抑制剤放出カプラー中に含まれるカプラー部分が無色
生成物および/または処理中に写真材料から洗い出され
る生成物(いわゆる「ユニバーサル」カプラー)を形成
することも有用であろう。
【0080】カプラーのような化合物は、処理中に化合
物との反応によって直接的に、またはタイミング基もし
くは連結基を介して間接的にPUGを放出することがで
きる。タイミング基は、分子内求核置換反応を使用する
基(米国特許第4,248,962号明細書);共役系
に沿う電子移動反応を利用する基(米国特許第4,40
9,323号、第4,421,845号および第4,8
61,701号明細書;特開昭57−188035号、
特開昭58−98728号、特開昭58−209736
号および特開昭58−209738号明細書);カプラ
ー反応後にカプラーまたは還元剤として機能する基(米
国特許第4,438,193号および第4,618,5
71号明細書);および前記特徴を併せ持つ基のように
PUGの時間的遅延放出をもたらす。典型的には、タイ
ミング基は下記式のうちの1つにより表される:
【0081】
【化29】
【0082】[前記式中、INは抑制剤部分であり、Z
はニトロ、シアノ、アルキルスルホニル、スルファモイ
ル(−SO2NR2)およびスルホンアミド(−NRSO
2R)基からなる群より選ばれ;nは0または1であ
り;そして、RVIは置換されたおよび未置換のアルキル
基およびフェニル基からなる群より選ばれる]。各タイ
ミング基の酸素原子は、DIARの各カプラー部分のカ
プリング離脱位置に結合している。
【0083】タイミング基または連結基は非共役鎖に沿
う電子移動によっても機能を発揮することもある。連結
基は当該技術分野で様々な名称で知られている。ヘミア
セタールもしくはイミノケタールの開裂反応を利用でき
る基またはエステル加水分解による開裂反応を利用でき
る基(例えば米国特許第4,546,073号明細書)
としばしば呼ばれる。非共役鎖に沿うこの電子移動は、
典型的には、比較的速い分解をもたらして二酸化炭素、
ホルムアルデヒドまたは他の低分子量副生成物が生成す
る。これらの基はヨーロッパ特許第464,612号、
第523,451号、米国特許第4,146,396号
明細書、並びに特開昭60−249148号および第6
0−249149号公報に例示されている。
【0084】本発明に用いるのに好適な現像抑制剤放出
カプラーとしては以下のもの挙げられるが、これらに限
定されない:
【0085】
【化30】
【0086】
【化31】
【0087】
【化32】
【0088】本発明の思想が、Kenneth Mason Publicat
ion, Ltd.(Dudley Annex, 12a North Street, Emswort
h, Hampshire PO101 7DQ, England所在)から入手可能
なResearch Disclosure, Item 18716(1979年11
月)(引用によりその記載が本明細書に含まれているこ
とにする)に記載されているような反射カラープリント
を得ることに使用できることも考えられる。本発明に使
用される材料は、米国特許第4,917,994号明細
書に記載されているようなpH調整された支持体上に;
酸素透過性が低い支持体上に(ヨーロッパ特許第055
3339号); エポキシ溶剤を使用して(ヨーロッパ特
許第0164961号);ニッケル錯体安定化剤ととも
に(例えば米国特許第4,346,165号、第4,5
40,653号および第4,906,559号明細書に
記載);多価カチオン、例えばカルシウムに対する感受
性を低減するためのバラスト化されたキレート剤、例え
ば米国特許第4,994,359号明細書に記載されて
いるようなバラスト化されたキレート化剤とともに;お
よび例えば米国特許第5,068,171号明細書に記
載されているようなステイン低減作用のある化合物とと
もに適用してもよい。本発明と組み合わせて使用するの
に有用な他の化合物は、第90−072,629号;第
90−072,630号;第90−072,631号;
第90−072,632号;第90−072,633
号;第90−072,634号;第90−077,82
2号;第90−078,229号;第90−078,2
30号;第90−079,336号;第90−072,
337号;第90−079,338号;第90−07
9,690号;第90−079,691号;第90−0
80,487号;第90−080,488号;第90−
080,489号;第90−080,490号;第90
−080,491号;第90−080,492号;第9
0−080,494号;第90−085,928号;第
90−086,669号;第90−086,670号;
第90−087,360号;第90−087,361
号;第90−087,362号;第90−087,36
3号;第90−087,364号;第90−088,0
97号;第90−093,662号;第90−093,
663号;第90−093,664号;第90−09
3,665号;第90−093,666号;第90−0
93,668号;第90−094,055号;第90−
094,056号;第90−103,409号;第83
−62,586号;第83−09,959号のようなア
クセス番号を有するDerwent Abstractsに記載されてい
る日本国公開公報に開示されている。
【0089】塩化銀、塩臭化銀、塩臭ヨウ化銀、臭化
銀、臭ヨウ化銀または塩ヨウ化銀等のいかなるハロゲン
化銀の組み合わせもこの写真要素に使用できる。乳剤組
成物が混合ハロゲン化物である場合に、結晶形成中にま
たは増感もしくは融解の一環として形成後に、少量成分
を添加してよい。ハロゲン化銀乳剤粒子の形状は、立方
体形、擬立方体形、八面体形、十二面体形または平板状
であることができる。その記載が引用により本明細書に
含まれていることにするヨーロッパ特許出願公開第10
37103号に記載されているように、熟成環境、還元
性環境または酸化性環境等のいかなる適切な環境でも乳
剤を析出させることができる。
【0090】平板状粒子ハロゲン化銀乳剤を本発明にお
いて使用できる。特に考えられる平板状粒子乳剤は、乳
剤粒子の全投影面積の50%超が0.3マイクロメート
ル未満(青感性乳剤については0.5マイクロメートル
未満)の厚さおよび25より大きい平均平板度(T)
(好ましくは100より大きい)を有する平板状粒子に
より占められているものであり、ここで、「平板度(ta
bularity)」なる用語は、
【0091】
【数1】
【0092】[前記式中、ECDは平板状粒子の平均等
価円直径(マイクロメートル単位)であり、そしてtは
平板状粒子の平均厚さ(マイクロメートル単位)であ
る]を表すものとして、当該技術分野で使用されてい
る。
【0093】実際には、乳剤ECDは約4マイクロメー
トルを超えることはほとんどないが、写真乳剤の平均有
効ECDは、上は約10マイクロメートルまでの範囲に
およぶことができる。写真感度と粒状度の両者はECD
の増大につれて増加するので、一般的に、所望の感度要
件の達成と両立する最小の平板状粒子ECDを用いるこ
とが好ましい。
【0094】乳剤の平板度は、平板状粒子の厚さの減少
につれて著しく増加する。所望の平板状粒子の投影面積
が、薄い(t<0.2マイクロメートル)平板状粒子に
より満たされることが好ましい。最低レベルの粒状度を
達成するためには、所望の平板状粒子投影面積が、超薄
(t<0.07マイクロメートル)平板状粒子により満
たされることが一般的に好ましい。平板状粒子の厚さ
は、典型的には、下は約0.02マイクロメートルまで
の範囲におよぶ。しかしながら、よりいっそう薄い平板
状粒子厚さが考えられる。例えばDaubendiek等の米国特
許第4,672,027号明細書には、粒子厚さ0.0
17マイクロメートルの3モル%ヨウ化物平板状粒子臭
ヨウ化銀乳剤について報告されている。超薄平板状粒子
高塩化物乳剤はMaskaskyの米国特許第5,217,85
8号明細書に開示されている。
【0095】先に述べたように、特定厚さ未満の平板状
粒子が、乳剤の全粒子投影面積の少なくとも50%を占
める。高平板度の利点を最大限に高めるためには、上記
の厚さの基準を満足する平板状粒子が、乳剤の全粒子投
影面積の都合良い最大限達成可能な百分率を占めること
が一般的に好ましい。例えば好ましい乳剤において、上
記の厚さ基準を満足する平板状粒子が全粒子投影面積の
少なくとも70%を占める。最高性能の平板状粒子乳剤
において、上記の厚さの基準を満足する平板状粒子は全
粒子投影面積の少なくとも90%を占める。
【0096】好適な平板状粒子乳剤は、各種の従来の教
示、例えば以下のものから選ぶことができる:Kenneth
Mason Publications Ltd.(Emsworth, Hampshire PO10
7DD,England所在)により出版されたResearch Disclosu
re, Item 22534(1983年1月);米国特許第4,4
39,520号;第4,414,310号;第4,43
3,048号;第4,643,966号;第4,64
7,528号;第4,665,012号;第4,67
2,027号;第4,678,745号;第4,69
3,964号;第4,713,320号;第4,72
2,886号;第4,755,456号;第4,77
5,617号;第4,797,354号;第4,80
1,522号;第4,806,461号;第4,83
5,095号;第4,853,322号;第4,91
4,014号;第4,962,015号;第4,98
5,350号;第5,061,069号および第5,0
61,616号明細書。
【0097】これらの乳剤は、表面感光性乳剤、すなわ
ち、主にハロゲン化銀粒子の表面に潜像を形成する乳剤
であってよく、またはこれらの乳剤は、主にハロゲン化
銀粒子の内部に内部潜像を形成することができる乳剤で
あってよい。これらの乳剤は、ネガ型乳剤、例えば表面
感光性乳剤またはカブらせていない内部潜像形成型乳
剤、またはカブらせていない内部潜像形成型の直接ポジ
乳剤であって、現像を均一露光を使用してまたは造核剤
の存在下で行った場合にポジ型であるものであってよ
い。
【0098】写真要素は、典型的にはスペクトルの可視
領域の化学放射線に露光されると潜像を形成し、次に処
理して可視色素画像を形成することができる。可視色素
画像を形成する処理は、要素を発色現像主薬と接触させ
て、現像可能なハロゲン化銀を還元するとともに発色現
像主薬を酸化する工程を含む。発色現像主薬酸化体は、
次に、カプラーと反応して色素を形成する。
【0099】ネガ型ハロゲン化銀を使用する場合に、上
記処理工程によりネガ画像が得られる。カラーネガフィ
ルムと称されるそのような要素の1つのタイプは画像捕
捉に合うように設計されている。通常そのような要素に
おいて十分な画像を得るには、感度(低光条件に対する
要素の感度)が重要である。そのような要素は、典型的
には、臭ヨウ化銀乳剤であり、例えば周知のカラーネガ
処理方法、例えばTheBritish Journal of Photography
Annual of 1988、第191〜198頁に記載のKodak C-
41(商標)処理で処理することができる。カラーネガフ
ィルム要素を、続いて映画用のものとして観察可能な投
影プリントを形成するのに使用する場合に、Eastman Ko
dak Co. から入手可能なH-24マニュアルに記載されてい
るKodak ECN-2(商標)処理のような処理を用いてカラ
ーネガ画像を透明支持体上に得ることができる。カラー
ネガ現像時間は典型的には3分15秒以下であり、望ま
しくは90秒以下であり、60秒以下の場合もある。
【0100】本発明の写真要素は、反復使用を意図した
露光構造物または限定使用を意図した露光構造体(「使
い捨てカメラ」、「フィルム付レンズ」または「感光材
料パッケージユニット」と種々の呼び方がある)中に装
填することができる。
【0101】別のタイプのカラーネガ要素はカラープリ
ントである。そのような要素は、画像捕捉カラーネガ要
素から光学的にプリントされた画像を受容するように設
計されている。カラープリント要素は、反射観察(例え
ばスナップショット)のために反射性支持体上に、また
は映画におけるように投影観察のために透明支持体上に
提供することができる。カラー反射プリント用の要素
は、反射性支持体、典型的には紙上に提供され、塩化銀
乳剤を使用し、要素が先に述べたように処理されたカラ
ーネガフィルムを通して露光されるいわゆるネガ−ポジ
プロセスを用いて光学的にプリントしてもよい。このプ
リントを次に、例えばBritish Journal ofPhotography
Annual, 第198〜199頁(1988年)に記載さ
れているようなKodak RA-4(商標)処理を用いて処理し
てポジ反射画像を形成する。カラー投影プリントは、例
えばH-24マニュアルに記載されているようにKodak ECP-
2(商標)処理に従って処理することができる。カラー
プリント現像時間は、典型的には90秒以下であり、望
ましくは45以下であり、30秒間以下の場合もある。
【0102】反転要素は、光学プリントすることなくポ
ジ画像を形成できる。ポジ(または反転)画像を得るに
は、発色現像工程の前に、非発色現像主薬を用いて現像
して、露光ハロゲン化銀を現像するけれども色素は形成
させず、その後要素を均一にカブらせて未露光ハロゲン
化銀を現像可能にする。このような反転乳剤は典型的に
はKodak E-6(商標)処理等のカラー反転処理を用いて
処理するように書かれた使用説明書を添えて販売されて
いる。あるいは、直接ポジ乳剤を用いてポジ画像を得る
こともできる。上記乳剤は、典型的には、上述のカラー
ネガ(Kodak C-41(商標))、カラープリント(Kodak
RA-4(商標))または反転(Kodak E-6(商標))処理
のような適切な方法を用いて処理するための指示書を添
えて販売されている。
【0103】好ましい発色現像主薬は、p−フェニレン
ジアミン類、例えば以下のものである:4−アミノ−
N,N−ジエチルアニリン塩酸塩、4−アミノ−3−メ
チル−N,N−ジエチルアニリン塩酸塩、4−アミノ−
3−メチル−N−エチル−N−(2−メタンスルホンア
ミドエチル)アニリンセスキ硫酸塩水和物、4−アミノ
−3−メチル−N−エチル−N−(2−ヒドロキシエチ
ル)アニリン硫酸塩、4−アミノ−3−(2−メタンス
ルホンアミドエチル)−N,N−ジエチルアニリン塩酸
塩および4−アミノ−N−エチル−N−(2−メトキシ
エチル)−m−トルイジン ジ−p−トルエンスルホン
酸。現像に続いて、通常、漂白、定着または漂白−定着
の従来工程を行って、銀またはハロゲン化銀を除去し、
洗浄し、そして乾燥する。
【0104】
【実施例】以下の例により、本発明の化合物の調製およ
び写真使用を具体的に示す。本発明がこれらの例に限定
されないことは理解されるべきである。使用した比較の
ためのカプラーの構造は以下の通りである:
【0105】
【化33】
【0106】
【化34】
【0107】カプラーの合成は以下に示す一般スキーム
に従い、実験に関する詳細な情報をカプラーC−5につ
いて例1に示す。
【0108】
【化35】
【0109】式(II)により表されるビスフェノール誘
導体化合物は、ヨーロッパ特許出願公開第091372
9号に記載されているようにおよびST1について下記
例2に示すように、対応する市販入手可能なビスフェノ
ールから調製できる。本発明において有利な使用した式
(III)により表される全てのカプラー溶剤は、市販入
手可能なものであるか、または標準的な技術を使用して
調製されたものであった。
【0110】例1 カプラーC−5の合成 (i)2−(3,4−ジフルオロベンズアミド)−4−
クロロ−5−ニトロフェノールの調製 2−アミノ−4−クロロ−5−ニトロフェノール(2
3.0g,0.10mol)を酢酸エチル(250ml)
中にスラリー化した。3,4−ジフルオロベンゾイルク
ロライド(25.0g,0.12mol)を添加し、そし
て反応混合物を2時間還流した。その後、溶剤を、その
原体積の約半分になるまで減圧下で除去し、そして生成
物を60/80ガソリン(200ml)で稀釈した。得
られた沈殿物を濾過し、5:1酢酸エチル−ガソリン混
合物でよく洗浄した。濾過によって、25.5g(64
%)の生成物が固形物として得られた。正確な構造をI
R、NMRおよびマススペクトルによって確認した。 (ii)2−(3,4−ジフルオロベンズアミド)−4−
クロロ−5−アミノフェノールの調製 前記ニトロフェノール(25.0g,0.075mol)
をテトラヒドロフラン(THF)(250ml)および
ジメチルホルムアミド(DMF)(50ml)に溶解さ
せた。この溶液を、ラネーニッケル上、3,040kP
a/25℃で15時間水素化した。触媒を珪藻土パッド
に通して濾過し、次いで粗アミノフェノール溶液を次の
反応工程に直ちに使用した。 (iii)カプラーC−5の調製 前工程からのアミン溶液(0.075mol)をジメチル
アニリン(20ml)と共に攪拌し、次いでTHF(5
0ml)中の調製されたばかりのバラスト酸クロライド
(40.5g,0.085mol)を15分間にわたって
滴下添加した。生成物を室温でさらに2時間攪拌した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)からは、その後の残
留アミンは確認されなかった。溶剤を、約3分の1の体
積になるまで減圧下で除去し、そして残留物を酢酸エチ
ルと希塩酸(それぞれ300ml)との間で分配させ
た。有機層をさらに水で洗浄し、次いで分離し、そして
硫酸マグネシウムにより乾燥させた。減圧下での溶剤の
除去によって、褐色の粘稠な油状物が得られた。この油
状物を、アセトニトリルから3回結晶化させると、白色
固形物として28.6g(51%)の生成物であるカプ
ラーが得られた。 C3748ClF236Sとしての計算値: C,60.4%;H,6.6%;N,5.7% 実験値: C,60.5%;H,6.5%;N,5.6% 高速液体クロマトグラフィー(HPLC)から99%の
純度が示され、正確な構造をNMRおよびマススペクト
ルによりさらに確認した。
【0111】例2 安定化剤ST1の合成 2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−4−エチル
フェノール)(74.0g,0.2mol)をトルエン
(300ml)に溶解し、次いでアセトン氷浴中で撹拌
した。トリエチルアミン(46.0g,0.45mol)
および4−ジメチルアミノピリジン(6.0g,0.0
5mol)を添加し、続いてフェニルホスホン酸二塩化物
(0.22mol)を0.5時間にわたって調節しながら
添加した。撹拌を室温でさらに16時間続け、次にトリ
エチルアミン塩酸塩の大量の沈澱物を濾過して取り除
き、廃棄した。濾液を無水状態になるまで蒸発させ、次
いで酢酸エチルと希塩酸(それぞれ300ml)の間で
分配させた。有機層を分離し、乾燥させ(MgS
4)、次いで溶剤を減圧下で除去して粗生成物を粘稠
な油状物として得た。この油状物は次第に固化した。こ
の物質を、60/80ガソリン−酢酸エチルの10:1
混合物を使用して溶出するカラムクロマトグラフィー
(シリカカラムを使用)により精製した。生成物を淡黄
色固形物として得た。この生成物を60/80ガソリン
で粉砕すると無色結晶51.2g(52%)が得られ
た。 C31393Pとしての計算値: C,75.9%;H,8.0% 実験値: C,75.7%;H,7.8% HPLCから99%の純度が示され、正確な構造をNM
Rおよびマススペクトルによりさらに確認した。
【0112】写真の例 例3 例示的コーティング(a)の作製および評価 カプラーC−1を以下の手順に従ってゼラチン中に分散
させた:カプラーC−1(4.94g,6.88mmol)
と同じ質量の安定化剤ST1を、カプラー溶剤S1
(4.94g)および酢酸エチル(2g)の混合物に溶
解させた。この混合物を加熱して溶液とした。0.25
%のジイソプロピルナフタレンスルホン酸(ナトリウム
塩)界面活性剤を含有する水性ゼラチン(40g,10
%)を60℃で添加後、Dawe Instruments“Soniprob
e”を使用してこの混合物を2分間の超音波撹拌により
分散させた。得られた分散体を水で60gに希釈した。
カプラーC2〜C9の同様な分散体を、それぞれについ
て同じモル数のカプラーを使用し、安定化剤ST1とカ
プラー溶剤S1の質量をそれに応じて調節して、同様に
調製した。その後、前記カプラーを比較のためのカプラ
ーCC1〜CC2に置き換えて、同様にしてさらに2つ
の分散体を調製した。上記分散体のそれぞれを、予めコ
ートされたゲルパッド(3g・m-2)を有する樹脂コー
ト紙支持体上にコートする前に、適切な量の水性ゼラチ
ンおよび赤感性立方晶塩化銀写真乳剤(平均エッジ長:
0.36μm)と混合した。銀およびカプラーの被覆量
はそれぞれ0.21g・m-2および0.831mmol・m
-2であった。適切な量のビス(ビニルスルホニルメタ
ン)硬膜剤を含む保護ゼラチンスーパーコート(1.0
g・m-2)を感光層上に適用した。全コーティング構造
を以下に示す。
【0113】
【外1】
【0114】これらのコーティングの試料ストリップを
ステップタブレット(濃度範囲0〜3,濃度差0.1
5)を通して露光し、次いで標準的なKodak RA4(商
標)処理液によって現像した。各コーティングのセンシ
トメトリー曲線を作成し、そして反射モードで動作する
分光光度計を使用して画像色素の分光吸収特性も求め
た。試料面で50klxの露光強度を与えるキセノンア
ーク光源を具備する標準的な模擬デイライト退色装置を
使用して画像色素の光安定性を評価した。試料ストリッ
プを、この退色装置内でTinuvin 328(商標)(Ciba-Ge
igy)を含む紫外線吸収フィルターの下側に据え付け
た。このTinuvin 328(商標)は、ゼラチン中に分散さ
れ、そして1.0g・m-2の塗布量で透明ポリエステル
シート上にコートされたものである。これらの試験の最
後に、センシトメトリー曲線を再び読みとって初期曲線
と比較した。1.0の初期値からのステータスA赤濃度
の減少を記録した。結果を表1に再現した。この表の中
で極大吸収(λmax)の波長を引用して、各コーティン
グに由来する画像色素の色相を示す。この表の中で、画
像色素の光安定性は1.0からの赤濃度の減少により表
されている。
【0115】
【表1】
【0116】得られた結果から、本発明で使用されるカ
プラーC−1〜C−9を含むコーティングが、比較のた
めのカプラーCC−1およびCC−2を含むものよりも
画像色素の色相の観点で優れていることが判る。本発明
で使用されるカプラーC−1〜C−9を含むコーティン
グが優れている理由は、それらの画像色素がより長い波
長を吸収するからである。それらは、比較のためのカプ
ラーCC−1およびCC−2の画像色素安定性よりも優
れた画像色素安定性を示した。これらの比較のためのカ
プラーは、フッ素置換基の位置という観点でのみ、カプ
ラーC−1と異なることに注目すべきである。フッ素置
換基は、CC−1ではオルト置換されており、CC−2
ではオルトおよびメタ置換されているが、C−1だけが
メタ置換されている。カプラーのベンズアミド基中にメ
タおよび/またはパラ置換フッ素含有置換基のみを有す
ることの予想外の利点がはっきり示された。
【0117】例4 例示的コーティング(b)の作製および評価 例3に概説した手順に従ってカプラーC−10を分散さ
せてコートした。比較のためのカプラーCC−3および
CC−4の類似のコーティングを同様にして作製した。
得られたコーティングを、例3に記載したように露光し
て処理し、画像安定性および色相の評価のための試験ス
トリップを得た。試験手順は、光安定性試験を6週間に
延長したことを除き、例3に記載した試験手順と同様で
あった。結果を表2に再現した。この表から、カプラー
C−10が、その他の点では同じように置換されたオル
トおよびメタ−フルオロ置換ならびにペンタフルオロ置
換された比較のためのカプラーCC−3およびCC−4
よりも優れた画像色素光安定性を与えることが判る。
【0118】
【表2】
【0119】例5 例示的コーティング(c)の作製および評価 表3に、カプラーC−6および比較のためのカプラーC
C−5のコーティングから得られた結果をさらに示す。
表3に示されているコーティングは、カプラー溶剤S1
の代わりに化合物S10またはS11のいずれかを使用
したことを除いて例3に記載の配合に従って調製された
カプラーの分散体から作製した。
【0120】
【表3】
【0121】このデータは、両方のフォーマット(すな
わち、溶剤S10またはS11を使用)において、メタ
位およびパラ位にある置換基を有するカプラーC−6
が、オルト位およびパラ位でフッ素原子により置換され
た比較のためのカプラーCC−5よりも優れた光安定性
を有する画像色素を与えることをはっきり示しており、
このデータからも、CC−5におけるオルト−フルオロ
置換基の存在が画像色素光安定性に有害であることがは
っきり判る。本発明を特定の好ましい態様を参照して詳
しく説明したが、本発明の精神および範囲の中で様々な
変更および改良をなすことができることが当然に理解さ
れるべきである。
【0122】
【発明の効果】本発明の要素は、他の写真特性の有意な
低下なしに光の作用に対する優れた安定性を示す、良好
な色相を有する画像色素を提供する。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 レウェリン ジェイムズ レイション イギリス国,ハートフォードシャー ダブ リュディー1 3エイチダブリュ,ワット フォード,スタンベリー アベニュ 30 (72)発明者 ケイティ エマ スミス イギリス国,ハートフォードシャー ダブ リュディー2 3エヌユー,ブシェイ,コ ールドハーバー レーン 69 Fターム(参考) 2H016 BD05 BE01 BF02

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)式(I): 【化1】 [式中、各R1は、それらの少なくとも1つがフルオロ
    またはペルフルオロアルキル置換基であることを条件と
    して、置換基であり;nは1〜3の整数であり;R2
    未置換のまたは置換されたアルキル、アリール、アミノ
    もしくはアルコキシ基であるか、あるいは窒素、酸素お
    よび硫黄から選ばれる1個以上のヘテロ原子を含む未置
    換のまたは置換された5〜10員複素環式環であり;そ
    してCOGは、水素原子であるか、またはカプラーと発
    色現像主薬酸化体との反応により離脱しうる基である
    が、ただし(a)nが3であり、かつ、各R1がフッ素
    である場合に、COGはメトキシ基でないこと、および
    (b)nが2であり、かつ、3位および4位にあるR1
    がそれぞれフッ素原子である場合に、COGが水素でな
    いことを条件とする]により表されるシアン色素形成カ
    プラーと、(B)式(II): 【化2】 (式中、R3は未置換のまたは置換されたアルキル、ア
    リール、アルコキシもしくはアリールオキシ基である
    か、または置換アミノ基であり;各Zは独立に、置換さ
    れたまたは未置換のアレーンもしくは複素芳香環系を完
    成するのに必要な原子を表し;Xは単結合であるか、ま
    たは前記アレーンもしくは複素芳香環系を連結する1個
    の原子を有する連結基であるか;あるいはXは、前記ア
    レーンまたは複素芳香環系上のXに対してオルト位に存
    在する置換基とともに、窒素、酸素および硫黄から選ば
    れる1または2個のヘテロ原子を含んでいてよい未置換
    のまたは置換された5員、6員もしくは7員縮合環を形
    成する)により表されるビスフェノール誘導体化合物と
    を関連して有する感光性ハロゲン化銀乳剤層を含んで成
    る写真要素。
  2. 【請求項2】 式(I)において、R2がハロゲンによ
    り置換されたアルキル基であるか、あるいは未置換のま
    たは置換されたアルキル、アリールオキシ、アルキルス
    ルホニルもしくはアリールスルホニル基である請求項1
    記載の写真要素。
  3. 【請求項3】 R2が基: 【化3】 (式中、各Aは独立に置換基であるが、少なくとも1個
    のAはアルキルスルホンアミドもしくはアリールスルホ
    ンアミド基またはアルキルスルファモイルもしくはアリ
    ールスルファモイル基であり、rは1または2であり、
    そしてRcは水素またはアルキル基である)である請求
    項2記載の写真要素。
  4. 【請求項4】 ビスフェノール誘導体化合物が式(II
    A): 【化4】 [式中、R3は未置換のまたは置換されたアルキル、ア
    リール、アルコキシもしくはアリールオキシ基である
    か、または置換アミノ基であり;R4およびR5は、ハロ
    ゲン、あるいは未置換のまたは置換されたアルキル、ア
    リール、アルコキシ、アリールオキシ、COORもしく
    はCONR’R”基(式中、Rは未置換のまたは置換さ
    れたアルキルもしくはアリール基であり、R’および
    R”は水素および未置換のまたは置換されたアルキルも
    しくはアリール基から独立に選ばれる)からそれぞれ独
    立に選ばれ;各nは独立に1〜4の整数であり;そして
    Xは単結合であるか、またはフェニル環を連結する1個
    の原子を有する連結基であるか;あるいはXは、R4
    よびR5(オルト位に存在する場合)とともに、窒素、
    酸素および硫黄から選ばれる1または2個のヘテロ原子
    を含んでいてよい未置換のまたは置換された5員、6員
    もしくは7員縮合環を形成する]により表される請求項
    1〜3のいずれか1項に記載の写真要素。
  5. 【請求項5】 Xが−CR’R”−、−NR−、−S
    (O)q−および−O−から選ばれる2価連結基である
    が、Rが未置換のまたは置換されたアルキルもしくはア
    リール基であり、R’およびR”は水素および未置換の
    または置換されたアルキルもしくはアリール基から独立
    に選ばれ、qは0、1または2である請求項1〜4のい
    ずれか1項に記載の写真要素。
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