JP2002131691A - 投光装置及びそれを用いた光通信システム - Google Patents

投光装置及びそれを用いた光通信システム

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JP2002131691A
JP2002131691A JP2000330666A JP2000330666A JP2002131691A JP 2002131691 A JP2002131691 A JP 2002131691A JP 2000330666 A JP2000330666 A JP 2000330666A JP 2000330666 A JP2000330666 A JP 2000330666A JP 2002131691 A JP2002131691 A JP 2002131691A
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light
projected
projecting
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wavefront aberration
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Tateki Orino
干城 折野
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 長距離投光したときの投光光の光軸に垂直な
断面において、著しい光強度変化や干渉縞を発生させる
ことなく、効率の良い光強度分布の投光光を投光するこ
とができる投光装置及びそれを用いた光通信システムを
得ること。 【解決手段】 可干渉性のある光を発光する発光部と投
光光学系を有し、光軸に垂直な有効断面内の光強度分布
が、光軸から外周方向にかけて低下する光束を投光する
投光装置において、仕様上の最大投光距離で使用する時
の装置状態で、投光光の波面が参照球面よりも光の進行
方向側にある時の波面収差を正とする時、前記投光装置
からの出射直後の投光光の波面において、有効光束断面
内の7割光線の波面収差が負である場合に、7割光線か
ら10割光線までの波面収差について、任意の微小区間
における光束の外周方向の波面収差の変化量が、ゼロま
たは負であること。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、空間を隔てて対向
配置する受光装置に向かって光ビームを投光する投光装
置及びそれを用いた光通信システムに関し、特に屋外に
おいて光信号の送信を行う空間光通信装置に好適なもの
である。
【0002】
【従来の技術】一般に人工衛星間又は人工衛星と地上局
との間で行われる光通信に於いて、良好な通信状態を確
保する為には送信側より射出する通信信号光束を適切に
設定する必要がある。
【0003】従来より空間を隔てて対向配置する受光装
置に向かって光ビームを投光して通信を行う空間光通信
装置として、半導体レーザーを発光素子として用いる発
光部と、正のパワーを持つ投光光学系とで構成する投光
装置を用いているものがある。
【0004】半導体レーザーからの出射光の光軸(発光
中心に沿った軸)に垂直な断面内における光強度分布の
例を図13に示す。x軸方向(水平方向)の相対光強度
をi(x)、y軸方向(垂直方向)の相対光強度をi(y)
で表している。図13に示すように半導体レーザーから
の出射光は光軸に垂直な断面内において、光強度分布が
ガウス分布状で、光束断面形状が楕円形であるのが一般
的である。従ってx軸方向が長径方向に相当し、y軸方
向が短径方向に相当する。
【0005】また屋外で使用される従来の空間光通信装
置においては装置の開口および受光地点における投光光
束径に比較して対向する受光装置までの投光距離が非常
に大きい場合が一般的である。従って投光装置の発光部
に半導体レーザーのように発振スペクトルの半値幅が1
5Å以下程度の単色光で可干渉性のある光源を用いてい
る場合には投光装置の開口による回折現象により、長距
離の投光による投光光の光軸に垂直な断面内において、
同心円状の干渉縞を発生させる原因となる。
【0006】その例として出射光の光強度分布が図13
に示すような半導体レーザーを有する投光部と、焦点距
離が85mmで前玉有効径が50mmである、Fナンバ
ーで1.7の投光光学系を用いて構成する投光装置から
の投光光において、無収差の場合と収差が残存している
場合の例について説明する。
【0007】まず、この投光装置から無収差の投光光を
投光する場合について説明する。投光距離2kmの地点
における投光光の光強度分布を図14に示す。投光光の
x軸方向の相対光強度I5を実線で示している。更に投
光距離2kmの地点において、前玉有効径が50mmで
ある受光光学系を有する受光装置を対向配置し、受光装
置を投光光の中心からx軸方向に移動させて、この投光
光を受光した時の相対受光強度J5を図14に破線で示
す。
【0008】図14から解るように無収差の投光光であ
っても、投光光の短径方向の光強度分布において、回折
現象に起因する干渉作用による光強度の変化が比較的に
大きく投光光が揺れた場合に受光装置における受光量の
変動が比較的に大きい。
【0009】次に投光装置において収差が残存している
場合について説明する。投光装置からの出射直後の投光
光における波面収差が、図15で示されるような収差曲
線で表される時の投光距離2kmの地点における投光光
の光強度分布を図16に示す。
【0010】図16において、投光光のx軸方向(長径
方向)の相対光強度I6を実線で示す。更に前玉有効径
が50mmである受光光学系を有する受光装置を対向配
置し、受光装置を投光光の中心からx軸方向に移動させ
て、この投光光を受光した時の相対受光強度J6を図1
6に破線で示す。
【0011】図14と図16を比較して解るように投光
装置からの出射直後の投光光における波面収差が図15
に示すように極めて少ないにも関わらず、その投光光の
相対光強度I6の変化は無収差の場合の投光光の相対光
強度I5の変化を更に増幅させる結果となり、投光距離
2kmの地点の投光光の光軸に垂直な断面内において、
明確な同心円状の干渉縞を形成する。その結果、投光光
が揺れた場合に受光装置における受光量の変動が激しく
なる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】従って投光装置と受光
装置を長距離を隔てて対向配置させて利用するような空
間光通信システムにおいては、投光光が無収差でも投光
装置からの投光光の光軸に垂直な断面内で回折現象に起
因する同心円状の干渉縞を形成する原因となる。また投
光光の残存収差によっては更にその干渉作用を増幅させ
ることも起こり得る。
【0013】このような現象が発生すると投光装置の揺
れや大気の揺れにより投光光の揺れが生じた場合に対向
配置する受光装置における受光量の変動が大きく、信号
対雑音比の劣化の原因となる。更に図16に示す様な光
強度分布のように干渉縞が顕著な場合には伝送路内にお
いて、投光光を吸収する塵埃や水蒸気等が比較的微量で
も断続的な通信断状態を発生させる原因となり得る。
【0014】本発明は投光光において、干渉縞を発生さ
せることなく光軸に垂直な断面内の光強度分布における
強度変化を無収差の投光光の場合よりも更に軽減させ
て、投光光に揺れが生じた場合でも受光装置における受
光量の変動が少ない投光光を投光することが出来、常に
良好な光通信を可能とした投光装置及びそれを用いた光
通信システムの提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明の投光装
置は、可干渉性のある光を発光する発光部と投光光学系
を有し、光軸に垂直な有効断面内の光強度分布が、光軸
から外周方向にかけて低下する光束を投光する投光装置
において、仕様上の最大投光距離で使用する時の装置状
態で、投光光の波面が参照球面よりも光の進行方向側に
ある時の波面収差を正とする時、前記投光装置からの出
射直後の投光光の波面において、有効光束断面内の7割
光線の波面収差が負である場合に、7割光線から10割
光線までの波面収差について、任意の微小区間における
光束の外周方向の波面収差の変化量が、ゼロまたは負で
あることを特徴としている。
【0016】請求項2の発明の投光装置は、可干渉性の
ある光を発光する発光部と投光光学系を有し、光軸に垂
直な有効断面内の光強度分布が、光軸から外周方向にか
けて低下する光束を投光する投光装置において、仕様上
の最大投光距離で使用する時の装置状態で、投光光の波
面が参照球面よりも光の進行方向側にある時の波面収差
を正とする時、前記投光装置からの出射直後の投光光の
波面において、有効光束断面内の7割光線の波面収差が
正である場合に、7割光線から10割光線までの波面収
差について、任意の微小区間における光束の外周方向の
波面収差の変化量が、一定であるか、正で減少するか、
または負であるかの何れかであることを特徴としてい
る。
【0017】請求項3の発明の光投受信装置は、請求項
1又は2の投光装置と光通信する相手側からの光信号を
受光する受光装置とを有していることを特徴としてい
る。
【0018】請求項4の発明の光通信システムは、請求
項3の光投受信装置を、複数用いて光通信を行うことを
特徴としている。
【0019】
【発明の実施の形態】図17(A)は本発明の空間光通
信システムにおける要部概略図である。図17(B)は
図17(A)の一部分の拡大説明図である。
【0020】図17では光通信を行う際の通信信号光束
の光路を示している。
【0021】13はポインティング手段であり、全反射
ミラー34,35等を有している。ポインティング手段
13は全反射ミラー34と全反射ミラー35とを相対的
に傾けることにより、ビームスプリッター26以降の光
学要素が成す光軸Lbの傾きを調整し、射出する通信信
号光束の方向を通信相手の方向へ正確に向けている。
【0022】26,29は光束を波長により透過光と反
射光とに分割するビームスプリッタである。ビームスプ
リッター26は、通信相手からのビーコンビームを、追
尾センサー28に導光している。27は集光レンズであ
り、ビームスプリッター26で反射分離されたビーコン
ビームを追尾センサー28上に集光させている。
【0023】31はビーコンビーム発光部であり、自分
が受信者の場合に、通信の送信者側に自分の正確な位置
を知らせる為のビーコンビームを発している。30は凸
レンズであり、ビーコンビーム発光部31から射出され
たビーコンビームを略平行光に変換している。尚、ビー
コンビーム発光部31は凸レンズ30の焦点位置より光
軸L’上の少しずれた位置に配置されており、通信信号
光束と比べてやや広がりを有した平行光と成っている。
【0024】29はビームスプリッターであり、ビーコ
ン信号発生部31からのビーコンビームを通信相手側へ
導光している。
【0025】33は通信信号手段であり、ハーフミラー
49や通信光束発光部(半導体レーザ)41、通信信号
受信器(受光素子)42等を有している。
【0026】通信光束発光部41から射出される通信信
号光束は凸(正の屈折力)レンズ32により平行光とさ
れ、ビームスプリッター29,26を透過して、全反射
ミラー35、34を介して非常に精度の高い平行光と成
って射出される。発光部41から全反射ミラー34に至
る光路上の各要素は投光装置の一要素を構成している。
レンズ32は単一レンズで示しているが、複数のレンズ
より成っていても良い。
【0027】又、通信相手側からの通信信号光束はポイ
ンティング手段13を介し、ビームスプリッタ26,2
9を透過して、集光レンズ32で通信信号手段33の受
光素子42上に集光されている。ここで集光レンズ32
と受光素子42は受光装置の一要素を構成している。
【0028】本実施例に於いて光通信を行う場合、先ず
自分と通信相手の軌道位置及び、姿勢方向を計算で算出
し、本装置が略通信相手方向に向くよう姿勢制御を行
う。次に受信側は送信側に自分の正確な位置を伝える為
に、ビーコンビームを射出する。そして送信側は受信側
から送られてきたビーコンビームを追尾センサー28上
に導光する。
【0029】追尾センサー28からの出力信号を制御シ
ステムコントローラー(不図示)に提供し、ポインティ
ング手段13を調節することによって、光軸のズレを高
精度に補正する。この時、自分の衛星の振動、相手及び
自分の衛星の運動による光行差エラーを補正する。そし
て追尾センサー28により、通信相手の方向に自分の通
信用光学系の光軸が正確に向いたことを確認した後、通
信信号手段33から通信信号光束を射出し光通信を開始
する。
【0030】図17において1は投光装置から射出され
る参照球面、2は投光光の波面を示している。CAは投
受光装置の筐体である。
【0031】本実施形態では可干渉性のある光(波長
λ)を発光する光源を持つ発光部41と正のパワーを持
つ投光光学系32を有し、装置CAからの出射直後の投
光光の、光軸Lbに垂直な断面内の光強度分布は光束の
外周方向に光強度が低下している。そして最大投光距離
における設定状態で、投光光の波面2が参照球面1より
も光の進行方向側にある時の波面収差を正とする時、装
置CAからの出射直後の投光光の、最大光束(有効断面
光束)の光軸と垂直方向(光軸に対して上下方向、以下
同じ)での7割光線の波面収差が負である場合に、最大
光束の7割光線から10割光線までの波面収差につい
て、任意の微少区間における光束の外周方向の変化量
が、ゼロまたは負(波面で5λ以下)であるように各要
素を設定している。
【0032】逆に装置からの出射直後の投光光の最大光
束の光軸と垂直方向での7割光線の波面収差が正である
場合に、最大光束の7割光線から10割光線までの波面
収差について、任意の微小区間における光束の外周方向
の波面収差の変化量が、一定であるか、正で減少する
か、または負(波面で5λ以下)であるかの何れかであ
るように各要素を設定している。ここで変化量が5λ以
上となると受信地点で発散角が大きくなって振動等で受
光装置への光の受光効率が低下してくる。
【0033】次に本発明の投光光の波面収差に関する理
論的背景について説明しながら、「従来の技術」で説明
した投光装置からの投光光について、その光強度分布を
計算により導いてみる。
【0034】『光学』村田和美著(1979年)によれ
ば開口関数 u0(x0,y0)で表される開口透過光が開口
からzの距離伝播した時の回折光 u(x,y)は次式で表
される。
【0035】 u(x,y) =(i/λ)∬ u0(x0,y0)・(e-ikr/r) dx0dy0 ・(1) ここで、λは伝播光の波長で、波数kは k=2π/λ
で定義される。
【0036】ある開口による回折波の分布は開口からの
伝播距離zによって変わる。上記(1)式の中のrは開
口内の一点 Q(x0,y0,0)と回折光の観測点 P(x,
y,z)の距離であるからrは次式で表される。
【0037】 r= [ z2 +(x−x0)2 +(y−y0)2 ]1/2 = z[ 1+(x−x0)2/z2 +(y−y0)2/z2 ]1/2 ・・・(2) ここで、(x−x0)、(y−y0)に比べてzは大きい
から、上記(2)式を展開すると次式となる。
【0038】 r= z+(1/2z)[(x−x0)2+(y−y0)2] −(1/8z3)[(x−x0)2+(y−y0)2]2 +・・・・ ・・(3) もし上記(3)式の第3項以降が充分小さく無視できる
ときは第2項までを前記(1)式に代入し、またr≒z
として次式を得る。
【0039】 u(x,y)=(ie-ikz/λz)∬u0(x0,y0) ・exp[−(ik/2z)[(x−x0)2 +(y−y0)2]]dx0dy0 ・・・(4) このようにrが前記(3)式の第2項までで近似できる
zの領域をFresnel領域、またこの領域で観察され、上
記(4)式で与えられる回折をFresnel回折と呼んでい
る。Fresnel領域は(3)式から、次式で表される条件
により決まる。
【0040】 z3 ≫ (1/8λ)[ (x−x0)2+(y−y0)2 ]2max ・・・(5) 以上が、村田和美著『光学』の記すところである。
【0041】ところで投光光の光軸に垂直な断面内で投
光光の揺れる方向について、あらゆる方向を考慮する必
要のある空間光通信システムにおいては、前述した図1
3に出射光の光強度分布を示すような半導体レーザーを
発光素子として用い、光束断面形状を楕円形のままで投
光光を投光する場合に短径方向( 図13ではy軸方向
)の投光光の広がりにより、実質的に利用可能な投光
光の広がりが制限される。
【0042】従って長径方向(図13ではx軸方向)の
光強度分布において、最大光強度を1とする時の相対光
強度が0.5程度までの広がりが実質的に利用可能な投
光光の広がりとなる。
【0043】以上のような半導体レーザーを光源として
用いている投光装置の場合も考慮して、本発明では仕様
上の最大投光距離Lの地点における投光光の光軸に垂直
な断面内における最大光強度を1とした時の長径方向の
相対光強度が0.5となる2点間距離の最大値を投光光
束径Bと定義する。
【0044】従来、地上で利用される空間光通信システ
ムにおいては、最大投光距離Lが1kmの地点における
投光光束径Bは0.5m程度である。この時、発光素子
からの出射光が図13に示すような光強度分布となる半
導体レーザーを用いれば、|x|max = B、|y|max
= B/2 であるから次式が得られる。
【0045】 [(x−x0)2+(y−y0)2]2max = [B2+(B/2)2]2 =0.098B4[ m4] ・・・(6) また地上で利用される空間光通信システムにおいては投
光装置の投光光学系を構成する光学ガラスに一般的に使
用される材質の内部透過率は波長2μmを越えると急激
に低下し始める。従って、使用する光源の波長λの実用
的な最大値は2μm程度であるから、このλの値と
(6)式で得られた値を前記(5)式の右辺に代入する
と下記の値となる。
【0046】 [(5)式の右辺の最大値 ] =(1/8・2・10-6)・0.098 = 6.1×103 [ m3] 一方、z3=L3=109[ m3]であるから、前記
(5)式を満足する。
【0047】従って、本発明の対象とする空間光通信シ
ステムに用いる投光装置からの最大投光距離の地点にお
ける投光光の伝播現象はFresnel回折として取り扱うこ
とが出来る。
【0048】即ち、本発明の対象とする空間光通信シス
テムにおいては投光光の断面形状が円形である場合も含
めて、L、λ、Bを前述の定義による諸元とすると次式
が成り立つ。
【0049】L3 ≫ (2B2)2/8λ = B4/2λ 従って、次式が成立する時に、Fresnel回折として取り
扱うことが出来る。
【0050】B4/λ・L3 ≪ 2 次に投光装置から出射直後の投光光において、球面波の
半径をRとする発散光を投光する時の投光光の開口関数
0(x0,y0) は次式で表される。但し、Rの符号は負
である。
【0051】 u0(x0,y0) = exp{ (ik/2R)(x0 2+y0 2) }・・・(7) ここで、投光装置における投光光学系の前玉有効径の半
分、即ち開口の半径をd/2として、上記(7)式は
(x0 2+y0 2)1/2 ≦ d/2 の時の開口関数u0で、(x
0 2+y0 2)1/2>d/2 の時の開口関数u0はu0(x0,
0) = 0である。
【0052】更に投光装置からの出射直後の投光光の光
強度分布が、図13に示すように光軸に直交する断面内
において、直交する2つの光強度分布の対称軸の交点が
光軸と一致する2次元ガウス分布である場合について考
える。この2次元ガウス分布関数 G(x0,y0)は次式で
表される。
【0053】 G(x0,y0)= exp[ −x0 2/[σ(x0)]2 −y0 2/[σ(y0)]2 ]・・(8) 但し、σx0、σy0は、それぞれ次式で定義される。
【0054】 σ(x0) ≡ (−1/logH)1/2、σ(y0) ≡ (−1/logV)1/2・・・(9) ここでHおよびVは光軸上の光強度を1とした時のそれ
ぞれ水平方向および垂直方向の光束端、即ちそれぞれ
(x0)maxおよび (y0)maxにおける相対光強度である。
【0055】以上より、投光装置から投光距離zの地点
における投光光の振幅分布関数u(x,y) は次式で表さ
れる。
【0056】u(x,y) =(ie-ikz/λz)∬ G(x
0,y0)・u0(x0,y0)・exp[− (ik/2z){ (x−
0)2 + (y−y0)2 }]dx0dy0 従って、投光装置から投光距離zの地点における投光光
の光強度分布I(x,y) は次式で表される。
【0057】 I(x,y) =|u(x,y)|2 = A [ [ C1(x,y) ]2 +[ S1(x,y) ]2 ] ・・・(10) 但し、 A =[ [ sin(−kz)]2 +[ cos(−kz)]2]/
λ221(x,y) = ∬ exp[ −x0 2/[σ(x0)]2−y0 2
[σ(y0)]2 ]・cos(k/2)[(x0 2+y0 2)/R−(x−
0)2/z−(y−y0)2/z]dx0dy01(x,y) = ∬ exp[ −x0 2/[σ(x0)]2−y0 2
[σ(y0)]2 ]・sin(k/2)[(x0 2+y0 2)/R−(x−
0)2/z−(y−y0)2/z]dx0dy0 この(10)式が投光装置からの投光光が無収差で投光
される場合の投光距離zの地点における投光光の光強度
分布を算出する計算式である。そこで、「従来の技術」
の説明で述べた無収差の投光光を投光する投光装置につ
いて、投光距離z=2kmの地点における投光光の光強
度分布を計算してみる。
【0058】その投光装置はFナンバーが1.7の投光
光学系であるので光源からの出射光の片側取込角θが1
6゜となる。よって、tanθ=0.29であるので前述の
(9)式における諸元HおよびVの値は、それぞれ H
=0.30および V=0.01である。
【0059】半導体レーザーからの出射光においては、
図13に示すようにtanθ=0.29の時のy軸方向の相
対光強度は微量である。従って、回折の影響を受ける可
能性の強い方向、即ちx軸方向の光強度分布のみについ
て説明する。以降の本発明に係る実施例における記述に
ついても同様である。
【0060】そして本投光装置をz=2kmの投光距離
で使用する時には、投光装置からの出射直後の投光光に
おける球面波の半径Rが、−1.04X105となるよう
に半導体レーザーの発光点位置を投光光学系側にディフ
ォーカスさせた発散光で投光させる。
【0061】以上に説明した投光装置を投光距離z=2
kmで使用する時の投光光の光強度分布を前述の説明で
導いた計算式に基づいて計算してみる。前述の(10)
式により、投光光のx軸に沿った光強度分布、即ちy=
0の時の光強度分布I(x,0) を数値計算により求め、
Aを1に規格化した相対光強度I5を図14に実線で示
す。
【0062】更に本投光装置から投光距離z=2kmの
地点において、前玉有効径が50mmである受光光学系
を有する受光装置を対向配置させて受光装置を投光光の
中心からx軸方向に移動させて投光光を受光した時の相
対受光強度J5を図14に破線で示す。
【0063】次に投光装置から投光する投光光におい
て、収差が残存している場合の投光距離zの地点におけ
る投光光の光強度分布を計算してみる。残存する波面収
差をW(x0,y0)とした時の投光距離zの地点における
投光光の振幅分布関数u(x,y)は次式で表される。
【0064】u(x,y) =(ie-ikz/λz)∬ W(x
0,y0)・G(x0,y0)・u0(x0,y0)・exp[− (ik/
2z){ (x−x0)2 + (y−y0)2 }]dx0dy0 従って、この投光装置から投光距離zの地点における投
光光の光強度分布I(x,y) は次式で表される。
【0065】 I(x,y) =|u(x,y)|2 = A [ [ C2(x,y) ]2 + [ S2(x,y) ]2 ] ・・・(11) 但し、A =[ [ sin(−kz)]2 + [ cos(−k
z)]2]/λ222(x,y) = ∬ W(x0,y0)・exp[ −x0 2/[σ
(x0)]2−y0 2/[σ(y0)]2 ]・cos(k/2)[(x0 2+y
0 2)/R−(x−x0)2/z−(y−y0)2/z]dx0dy02(x,y) = ∬ W(x0,y0)・exp[ −x0 2/[σ
(x0)]2−y0 2/[σ(y0)]2 ]・sin(k/2)[(x0 2+y
0 2)/R−(x−x0)2/z−(y−y0)2/z]dx0dy0 この(11)式が投光装置から投光する投光光におい
て、収差が残存している場合の投光距離zの地点におけ
る投光光の光強度分布を算出する計算式である。
【0066】そこで本投光装置において、収差曲線を図
15に示すような波面収差が残存し、その波面収差Wが
次式で表される場合について、投光距離z=2kmにお
ける投光光の光強度分布を計算してみる。
【0067】 W(x0,y0) =(a10 4+a20 6+a30 8)λ・・・・・(12) 但し、r0 2=x0 2+y0 2, a1=−2.50, a2=1.
67, a3=1.10上記(12)式を前述の(11)
式に代入して、投光距離z=2kmの地点における投光
光のx軸に沿った光強度分布、即ちy=0の時の光強度
分布I(x,0) を数値計算により求め、Aを1に規格化
した相対光強度 I6を図16に実線で示す。
【0068】更に本投光装置から投光距離2kmの地点
において、前玉有効径が50mmである受光光学系を有
する受光装置を対向配置し、受光装置を投光光の中心か
らx軸方向に移動させて、この投光光を受光した時の相
対受光強度 J6を図16に破線で示す。
【0069】図14と図16から解るように投光装置か
らの投光光において、波面収差量が比較的に少ないにも
関わらず、投光距離2kmの地点における光強度分布に
おいては無収差の投光光を投光する場合の光強度分布よ
りも光強度の変化量を更に増幅し、明確な干渉縞を形成
するまでに至っている。
【0070】本発明は前述の理論に基づき、投光装置か
らの出射直後の投光光における波面の形状と、長距離の
投光地点における投光光の垂直な断面内における光強度
分布の形状との間の関係を調べ、両者の間に明確な相関
関係があることを解明したものである。そして投光光の
波面が所定の形状になるように投光光学系の収差補正を
施した投光装置とすることによって前述した本発明の目
的を達成している。
【0071】次に以上に説明した理論的背景の下に本発
明の投光装置に係る実施形態について図1から図12を
用いて詳細に説明する。
【0072】なお、本発明に係る実施形態では装置から
全て断面形状が楕円形の光ビームを出射する、半導体レ
ーザーを発光素子として用いた例で説明している。この
代わりに本発明による投光装置に光束断面形状が円形の
レーザー光を出射する光源を用いると、より効果的であ
る。
【0073】あるいは発光部からの出射光の光束断面形
状が楕円形の場合には長径方向と短径方向の長さの比を
1対1、即ち円形に近付けるための光束断面形状変換手
段を本発明による投光装置に用いると、より効果的であ
る。
【0074】前記光束断面形状変換手段とは、例えば平
行光束内において、正のパワーを持つシリンドリカルレ
ンズと負のパワーを持つシリンドリカルレンズを配置さ
せた光学系を用いたり、あるいは1個または2個の楔状
プリズムを配置させる光学系を用いて一軸方向の光束径
は変えずに、それに直交する軸方向の光束径を変えるこ
とにより光束断面形状を円形に近付ける手段が適用でき
る。
【0075】[第1の実施例]本発明に係る第1の実施例
について説明する。本実施例の投光装置は発光素子とし
て半導体レーザーを用いる発光部と、前玉有効径が10
0mmで焦点距離が130mmである、Fナンバーが
1.3の投光光学系を備えている。その投光光の波面収
差は本投光装置からの出射直後の投光光において、最大
光束の7割光線の波面収差が負で、最大光束の7割光線
から10割光線までの波面収差について、任意の微小区
間における光束の外周方向の波面の変化量が、負となる
例である。そして、その収差曲線を図1に示すように波
面収差Wは次式で表される。図1において1は参照球
面、2は投光光の波面を示している。
【0076】 W(x0,y0) = −r0 4・λ・・・(13) 但し、r0 は r0 2=x0 2+y0 2 で定義され、他の実
施例についても同様である。
【0077】半導体レーザーからの出射光の発振波長λ
は0.83μmで、光軸に垂直な断面内の光強度分布は
前述の説明と同様に図13に示すように直交する2つの
軸(x軸とy軸)を強度分布の対称軸とするガウス分布
状である。従って、この半導体レーザーからの出射光の
光束断面形状は前述と同様に楕円形である。
【0078】半導体レーザーからの出射光の光強度分布
が前述の図13に示す分布形状をしている時にFナンバ
ーが1.3である投光光学系を用いる場合には光源から
の出射光の片側取込角θが21゜となる。従って、tan
θ=0.38であるから、前述の(9)式における諸元
HおよびVは、それぞれ H=0.13および V=0.0
01となる。
【0079】そして本実施例の投光装置を投光距離z=
2kmで使用する時には出射直後の投光光における球面
波の半径Rが、−1.60X105 となるように半導体レ
ーザーの発光点位置を投光光学系側にディフォーカスさ
せた発散光で投光させる。
【0080】以上に説明した本実施例の投光装置を用い
た時の投光距離z=2kmの地点における投光光の光強
度分布を前述の説明で導いた計算式に基づいて計算して
みる。上記(13)式を前述の(11)式に代入して、
x軸に沿った光強度分布、即ちy=0の時の光強度分布
I(x,0) を数値計算により求め、Aを1に規格化し
た相対光強度I1を図2に実線で示す。
【0081】更に投光距離2kmの地点において、前玉
有効径が50mmである受光光学系を有する受光装置を
対向配置させ、受光装置を投光光の中心からx軸方向に
移動させて、この投光光を受光した時の相対受光強度J1
を図2に破線で示す。
【0082】図2から解るように本実施例の投光装置を
用いた時の投光距離2kmの地点における投光光の光強
度分布において、水平方向(x軸方向)の光強度変化は
比較的少なく、投光距離2kmの地点に対向配置させた
受光装置で、この投光光を受光した場合には投光光にx
軸方向の揺れが生じても受光強度の変動は少ない。
【0083】[第2の実施例]次に本発明に係る第2の実
施例について説明する。本実施例に用いる投光装置は第
1の実施例と同一仕様の発光部および投光光学系を備え
ているが、投光光の波面収差が異なる例である。その波
面収差は本投光装置からの出射直後の投光光において、
最大光束の7割光線の波面収差が負で、最大光束の7割
光線から10割光線までの波面収差について、任意の微
小区間における光束の外周方向の変化量が、負またはゼ
ロとなる例である。そして、その収差曲線を図3に示す
ように波面収差Wは次式で表される。
【0084】 W(x0,y0) = −(3.0r0 4−2.0r0 6)・λ ・・・(14) そして、本実施例の投光装置を投光距離z=1kmで使
用する時には投光装置からの出射直後の投光光における
球面波の半径Rが、−0.96X105 となるように半導
体レーザーの発光点位置を投光光学系側にディフォーカ
スさせた発散光で投光させる。
【0085】以上に説明した本実施例の投光装置を用い
た時の投光距離z=1kmの地点における投光光の光強
度分布を前述の説明で導いた計算式に基づいて計算して
みる。上記(14)式を前述の(11)式に代入して、
投光光のx軸に沿った光強度分布、即ちy=0の時の光
強度分布 I(x,0) を数値計算により求め、Aを1に
規格化した相対光強度I2を図4に実線で示す。
【0086】更に本投光装置から投光距離1kmの地点
において、前玉有効径が50mmである受光光学系を有
する受光装置を対向配置させ、受光装置を投光光の中心
からx軸方向に移動させて、この投光光を受光した時の
相対受光強度J2を図4に破線で示す。
【0087】図4から解るように本実施例の投光装置か
らの投光光の投光距離1km地点の光強度分布におい
て、投光光の広がりの中の光強度の変化が少なく、本投
光装置から投光距離1kmの地点に受信装置を対向配置
させて、この投光光を受光する場合には投光光に揺れが
生じても受光強度の変動は少ない。
【0088】ところで本実施例の投光装置と同一仕様の
発光部および投光光学系を備えているが、投光装置から
の出射直後の投光光において、特に周辺部の波面収差が
本実施例の投光装置とは異なる投光装置について、投光
光の光強度分布を計算してみる。
【0089】即ち、最大光束の8割光線から10割光線
までの波面収差について、任意の微小区間における光束
の外周方向の変化量が正となる波面収差の場合である。
そして、その収差曲線を図5に示すように波面収差Wは
次式で表される。
【0090】 W(x0,y0) = −( 5.00r4−3.33r6−2.20r8 )・λ (15) この投光装置を投光距離z=1kmで使用する時には投
光装置からの出射直後の投光光における球面波の半径R
が、−0.87X105となるように半導体レーザーの発
光点位置を投光光学系側にディフォーカスさせた発散光
で投光させる。
【0091】以上の投光装置を用いた時の投光距離z=
1kmの地点における投光光の光強度分布を前述の説明
で導いた計算式に基づいて計算してみる。前記(15)
式を前述の(11)式に代入して、投光光のx軸に沿っ
た光強度分布I(x,0) を数値計算により求め、Aを1
に規格化した相対光強度I21を、図6に実線で示す。
【0092】図6から解るようにこの投光装置を用いた
場合には投光距離1kmの地点における投光光の光強度
分布において、周辺部の光強度変化が顕著になる。同時
に周辺部にエネルギーが集中し過ぎて利用される頻度の
最も高い光束中央部において、光強度が低下しているた
めに、投光光の利用効率が低下する。
【0093】これは最大光束の8割から10割の投光光
が最大光束の6割から8割の投光光と干渉作用を起こ
し、投光光の周辺部において光強度変化の特に著しい強
度分布を形成させるからである。
【0094】従って投光装置からの出射直後の投光光の
最大光束の7割光線の波面収差が負である場合には最大
光束の7割光線から10割光線までの波面収差につい
て、任意の微小区間における光束の外周方向の変化量
が、ゼロまたは負(最大で5λ以内)の方が良い。
【0095】[第3の実施例]次に本発明に係る第3の実
施例について説明する。本実施例の投光装置は第1の実
施例に用いたと同一仕様の発光部と、前玉有効径が10
0mmで焦点距離が170mmである、Fナンバーが
1.7の投光光学系を備えている。
【0096】そして、この投光光の波面収差は本投光装
置からの出射直後の投光光において、最大光束の7割光
線の波面収差が正で、最大光束の7割光線から8割光線
までの外周方向の変化量が、正で減少し、最大光束の8
割光線近傍における変化量がゼロで、8割光線から10
割光線までの外周方向の変化量が、負となる例である。
その収差曲線を図7に示すように波面収差Wは次式で表
される。
【0097】 W= ( 5.00r4−3.33r6−2.20r8 )・λ ・・・(16) 半導体レーザーからの出射光が前述の図13に示すよう
な光強度分布をしている時にFナンバーが1.7の投光
光学系を用いる場合には光源からの出射光の片側取込角
θが16°となる。従って、tanθ=0.29であるか
ら、前述の(9)式における諸元HおよびVの値は、そ
れぞれ H=0.30および V=0.01となる。
【0098】そして、本実施例の投光装置を投光距離z
=2kmで使用する時には装置からの出射直後の投光光
における球面波の半径Rが、−1.33X105となるよ
うに半導体レーザーの発光点位置を投光光学系側にディ
フォーカスさせた発散光で投光させる。
【0099】以上に説明した本実施例の投光装置を用い
た時の投光距離z=2kmの地点における投光光の光強
度分布を前述の説明で導いた計算式に基づいて計算して
みる。前記(16)式を前述の(11)式に代入して、
投光光のx軸に沿った光強度分布 I(x,0) を数値計
算により求め、Aを1に規格化した相対光強度I3を図8
に示す。
【0100】更に本投光装置から投光距離2kmの地点
に前玉有効径が50mmである受光光学系を有する受光
装置を対向配置し、受光装置を投光光の中心からx軸方
向へ移動させて、この投光光を受光した場合の相対受光
強度J3を図8に破線で示す。
【0101】図8から解るように本実施例の投光装置か
らの投光光の投光距離2kmの地点における光強度分布
については、投光光の広がりの中における光強度の変化
が極めて少なく、本投光装置から距離2kmの地点に受
光装置を対向配置して、この投光光を受光する場合に投
光光の揺れが生じても受光強度の変動が少ない。
【0102】[第4の実施例]次に本発明に係る第4の実
施例について説明する。本実施例に用いる投光装置は第
3の実施例と同一仕様の投光部および投光光学系を備え
ているが投光光の波面収差が異なる例である。そしてこ
の投光光の波面収差は本投光装置からの出射直後の投光
光において、最大光束の7割光線の波面収差が正で、最
大光束の7割光線から10割光線までの波面収差につい
て、任意の微小区間における光束の外周方向の変化量が
正で、その絶対値が減少し、10割光線近傍における変
化率がゼロである例である。
【0103】その収差曲線を図9をに示すように波面収
差Wは次式で表される。
【0104】 W(x0,y0) = ( 3.0r4−2.0r6 )・λ ・・・(17) そして本実施例の投光装置を投光距離z=2kmで使用
する時には装置からの出射直後の投光光における球面波
の半径Rが、−1.64X105となるように半導体レー
ザーの発光点位置を投光光学系側にディフォーカスさせ
た発散光で投光させる。
【0105】以上に説明した本実施例の投光装置を用い
た時の投光距離z=2kmの地点における投光光の光強
度分布を前述の説明で導いた計算式に基づいて計算して
みる。前記(17)式を前述の(11)式に代入して、
x軸に沿った光強度分布 I(x,0) を数値計算により
求め、Aを1に規格化した相対光強度I4を図10に示
す。
【0106】更に本投光装置から距離2kmの地点にお
いて、前玉有効径が50mmである受光光学系を有する
受光装置を対向配置し、受光装置を投光光の中心からx
軸方向に移動させて、この投光光を受光した場合の相対
受光強度J4を図10に破線で示す。
【0107】図10から解るように本実施例の投光装置
からの投光光は投光距離2kmにおける光強度分布にお
いて、投光光の広がりの中の光強度の変化が少なく、本
投光装置から距離2kmの地点に対向配置された受光装
置で受光した時に投光光の揺れが生じても受光強度の変
動が少ない。
【0108】ところで本実施例と同一仕様の投光装置を
用いているが、投光光の波面収差が異なる場合につい
て、同一の投光距離の地点における投光光の光強度分布
を計算してみる。この投光光の波面収差は投光装置から
の出射直後の投光光において、最大光束の7割光線から
10割光線までの波面収差について、任意の微小区間に
おける光束の外周方向の変化量が、正で増加するような
波面収差である。
【0109】その収差曲線を図11に示すように波面収
差Wは次式で表される。
【0110】 W = ( 0.5r4+0.5r6 ) ・λ ・・・(18) そしてこの投光装置を投光距離z=2kmで使用する時
には装置からの出射直後の投光光における球面波の半径
Rが、−1.62X105となるように半導体レーザーの
発光点位置を投光光学系側にディフォーカスさせた発散
光で投光させる。
【0111】以上に説明した投光装置を用いた時の投光
距離z=2Kmの地点における投光光の光強度分布を前
述の説明で導いた計算式に基づいて計算してみる。上記
(18)式を前述の(11)式に代入して、投光光のx
軸に沿った光強度分布、即ちy=0の時の光強度分布I
(x,0) を数値計算により求め、Aを1に規格化した相
対光強度I41を、図12に実線で示す。
【0112】更にこの投光装置から投光距離2kmの地
点において、前玉有効径が50mmである受光光学系を
有する受光装置を配置し、受光装置を投光光の中心から
x軸方向へ移動させて、この投光光を受光した時の相対
受光強度J41を図12に破線で示す。
【0113】図12から解るようにこの投光装置からの
投光光の投光距離2kmの地点における光強度分布にお
いては、光強度の変化が目立ち始め、光強度が周辺部に
偏り、投光光の利用効率が低下する。これは最大光束の
8割から10割までの光線が最大光束の6割から8割ま
での光線に対して干渉作用を及ぼすからである。
【0114】従って投光装置からの出射直後の投光光に
おいて、最大光束の7割光線の波面収差が正である場合
には最大光束の7割から10割光線までの波面収差につ
いて、任意の微小区間における光束の外周方向の変化量
が、一定であるか、正で減少するか、または負であるか
の何れかが良い。
【0115】以上説明したように本発明に係る投光装置
によれば、可干渉性のある光を発光する光源を持つ発光
部と正のパワーを持つ投光光学系を有し、装置又は投光
光学系からの出射直後の投光光の光軸に垂直な断面内の
光強度分布が、光軸から外周部方向に低下する光束を投
光するとき、装置又は投光光学系からの出射直後の投光
光の波面を所定の形状になるように投光光学系の収差補
正を施し、これにより長距離投光した時の投光光の光軸
に垂直な断面において、著しい光強度変化や干渉縞を発
生させることなく効率の良い光強度分布の投光光を投光
することが出来る。
【0116】又、投光装置と受光装置を長距離の空間を
隔てて対向配置させて利用される空間光通信システムに
適用すれば、大気の揺れや投光装置の揺れが発生した場
合に投光光の揺れが生じても対向配置する受光装置にお
ける受光強度の変動を軽減させることが出来るという効
果がある。その結果、従来より信号対雑音比の劣化が少
なく、また断続的な通信断状態を起こすことなく、より
信頼性のある空間光通信システムを実現出来る。
【0117】
【発明の効果】本発明によれば投光光において、干渉縞
を発生させることなく、光軸に垂直な断面内の光強度分
布における強度変化を、無収差の投光光の場合よりも更
に軽減させて、投光光に揺れが生じた場合でも、受光装
置における受光量の変動が少ない投光光を投光すること
が出来、常に良好な光通信を可能とした投光装置及びそ
れを用いた光通信システムを達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る第1の実施例の投光光の波面収
差図
【図2】 本発明に係る第1の実施例の光強度分布図
【図3】 本発明に係る第2の実施例の投光光の波面収
差図
【図4】 本発明に係る第2の実施例の光強度分布図
【図5】 本発明に係る第2の実施例の補足説明のため
の波面収差図
【図6】 本発明に係る第2の実施例の補足説明のため
の光強度分布図
【図7】 本発明に係る第3の実施例の投光光の波面収
差図
【図8】 本発明に係る第3の実施例の光強度分布図
【図9】 本発明に係る第4の実施例の投光光の波面収
差図
【図10】 本発明に係る第4の実施例の光強度分布図
【図11】 本発明に係る第4の実施例の捕捉説明のた
めの波面収差図
【図12】 本発明に係る第4の実施例の補足説明のた
めの光強度分布図
【図13】 半導体レーザーからの出射光の光強度分布
の例を説明する図
【図14】 「発明の理論的背景」の説明に用いた無収
差の投光光による光強度分布図
【図15】 「発明の理論的背景」の説明に用いた投光
光の波面収差図
【図16】 「発明の理論的背景」の説明に用いた収差
の残存する投光光による光強度分布図
【図17】 本発明の光投受信装置の実施形態の要部概
略図
【符号の説明】
1:参照球面 2:波面 I1,I2,I3,I4,I5,I6,I21,I41:投光光の
x軸方向の相対光強度 J1,J2,J3,J4,J5,J6:受光装置におけるx軸
方向の受光強度 i(x):半導体レーザーからの出射光のx軸方向の相対
光強度 i(y):半導体レーザーからの出射光のy軸方向の相対
光強度

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】可干渉性のある光を発光する発光部と投光
    光学系を有し、光軸に垂直な有効断面内の光強度分布
    が、光軸から外周方向にかけて低下する光束を投光する
    投光装置において、 仕様上の最大投光距離で使用する時の装置状態で、投光
    光の波面が参照球面よりも光の進行方向側にある時の波
    面収差を正とする時、 前記投光装置からの出射直後の投光光の波面において、
    有効光束断面内の7割光線の波面収差が負である場合
    に、7割光線から10割光線までの波面収差について、
    任意の微小区間における光束の外周方向の波面収差の変
    化量が、ゼロまたは負であることを特徴とする投光装
    置。
  2. 【請求項2】可干渉性のある光を発光する発光部と投光
    光学系を有し、光軸に垂直な有効断面内の光強度分布
    が、光軸から外周方向にかけて低下する光束を投光する
    投光装置において、 仕様上の最大投光距離で使用する時の装置状態で、投光
    光の波面が参照球面よりも光の進行方向側にある時の波
    面収差を正とする時、 前記投光装置からの出射直後の投光光の波面において、
    有効光束断面内の7割光線の波面収差が正である場合
    に、7割光線から10割光線までの波面収差について、
    任意の微小区間における光束の外周方向の波面収差の変
    化量が、一定であるか、正で減少するか、または負であ
    るかの何れかであることを特徴とする投光装置。
  3. 【請求項3】請求項1又は2の投光装置と光通信する相
    手側からの光信号を受光する受光装置とを有しているこ
    とを特徴とする光投受信装置。
  4. 【請求項4】請求項3の光投受信装置を、複数用いて光
    通信を行うことを特徴とする光通信システム。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022118402A1 (ja) * 2020-12-02 2022-06-09 日本電信電話株式会社 光通信装置及び光通信方法

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2022118402A1 (ja) * 2020-12-02 2022-06-09 日本電信電話株式会社 光通信装置及び光通信方法

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