JP2002129265A - 生体用Ｔｉ合金 - Google Patents
生体用Ｔｉ合金Info
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- JP2002129265A JP2002129265A JP2000323141A JP2000323141A JP2002129265A JP 2002129265 A JP2002129265 A JP 2002129265A JP 2000323141 A JP2000323141 A JP 2000323141A JP 2000323141 A JP2000323141 A JP 2000323141A JP 2002129265 A JP2002129265 A JP 2002129265A
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Abstract
(57)【要約】
【課題】機械的強度に優れ且つ安価に製造できるととも
に、生体との親和性の高い生体用Ti合金を提供する。 【解決手段】生体用Ti合金を、重量基準でSi：0.2〜2.3
％，Ca：0.002〜0.3％，残部Ti及び不可避不純物から成
る組成とする。更に必要に応じてO若しくはNの何れか一
方或いは両方をO＋1.6N≦0.7％の範囲で含有させる。
に、生体との親和性の高い生体用Ti合金を提供する。 【解決手段】生体用Ti合金を、重量基準でSi：0.2〜2.3
％，Ca：0.002〜0.3％，残部Ti及び不可避不純物から成
る組成とする。更に必要に応じてO若しくはNの何れか一
方或いは両方をO＋1.6N≦0.7％の範囲で含有させる。
Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】この発明は、人工歯，人工歯
根等の各種歯科材料，人工股関節，人工膝関節，骨固定
用のプレート等の各種インプラント材，外科用ピンセッ
ト，クリップ等の医療器具，車椅子等の福祉用具等の生
体用材料として好適な生体用Ti合金に関する。
根等の各種歯科材料，人工股関節，人工膝関節，骨固定
用のプレート等の各種インプラント材，外科用ピンセッ
ト，クリップ等の医療器具，車椅子等の福祉用具等の生
体用材料として好適な生体用Ti合金に関する。
【０００２】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】この種
生体用材料として、例えば歯科材料として金，銀，パラ
ジウム或いはニッケルクロム合金等が従来使用されてお
り、最近ではTiも耐食性に優れ、また生体との馴染みが
良いことから人工股関節，人工膝関節等の人工骨材料と
して、或いはまた人工歯根，人工歯床等のインプラント
用歯科材料その他の生体用材料として使用されている。
生体用材料として、例えば歯科材料として金，銀，パラ
ジウム或いはニッケルクロム合金等が従来使用されてお
り、最近ではTiも耐食性に優れ、また生体との馴染みが
良いことから人工股関節，人工膝関節等の人工骨材料と
して、或いはまた人工歯根，人工歯床等のインプラント
用歯科材料その他の生体用材料として使用されている。
【０００３】この種生体用Ti材料として、工業用純Ti
（ＣＰ−Ti），Ti-6Al-4V等が代表的に上げられるが、
例えば工業用純Tiの場合、生体用材料として用いたとき
に機械的強度が十分でないといった問題がある。この種
生体用材料として要求される特性は、生体と良く馴染む
こと，刺激性或いは毒性が無いこと，腐蝕したり崩壊し
たりしないこと，少々の力を加えても破損しないこと等
であるが、工業用純Tiの場合には機械的強度が十分でな
いといった問題があるのである。
（ＣＰ−Ti），Ti-6Al-4V等が代表的に上げられるが、
例えば工業用純Tiの場合、生体用材料として用いたとき
に機械的強度が十分でないといった問題がある。この種
生体用材料として要求される特性は、生体と良く馴染む
こと，刺激性或いは毒性が無いこと，腐蝕したり崩壊し
たりしないこと，少々の力を加えても破損しないこと等
であるが、工業用純Tiの場合には機械的強度が十分でな
いといった問題があるのである。
【０００４】一方Ti-6Al-4V合金はTi合金として各種分
野で最も広く使用されている合金であるが、このTi合金
は本来他用途に開発されたものであって、これを生体用
材料として転用した場合、本来が生体用材料として開発
されたものでないため、特に合金元素としてのVが細胞
毒性を有するとの報告があって人体への影響が懸念され
ている。
野で最も広く使用されている合金であるが、このTi合金
は本来他用途に開発されたものであって、これを生体用
材料として転用した場合、本来が生体用材料として開発
されたものでないため、特に合金元素としてのVが細胞
毒性を有するとの報告があって人体への影響が懸念され
ている。
【０００５】
【課題を解決するための手段】本発明は以上の事情を背
景としてなされたもので、毒性が少なく且つ安価に製造
可能であって機械的強度も十分な生体用Ti合金を提供す
ることを目的とする。而して本発明の生体用Ti合金は、
重量基準でSi：0.2〜2.3％，Ca：0.002〜0.3％，残部Ti
及び不可避不純物から成ることを特徴とする。
景としてなされたもので、毒性が少なく且つ安価に製造
可能であって機械的強度も十分な生体用Ti合金を提供す
ることを目的とする。而して本発明の生体用Ti合金は、
重量基準でSi：0.2〜2.3％，Ca：0.002〜0.3％，残部Ti
及び不可避不純物から成ることを特徴とする。
【０００６】請求項２のものは、請求項１において、更
に、O若しくはNの何れか一方或いは両方を重量基準でO
＋1.6N≦0.7％の範囲で含有していることを特徴とす
る。
に、O若しくはNの何れか一方或いは両方を重量基準でO
＋1.6N≦0.7％の範囲で含有していることを特徴とす
る。
【０００７】
【作用及び発明の効果】以上のように本発明の生体用Ti
合金は、生体用材料として十分な機械的強度を有すると
ともに生体への悪影響もなく、加えて添加成分としての
Si，Caが安価な元素であることから、これを安価に製造
することができる。更にまた本発明のTi合金は、添加成
分としてCaを含んでいることから生体との親和性が高
く、特に骨組織の代替材として使用されるインプラント
材として用いられた場合、骨組織と短時間で密着するこ
とができる特徴を有する。
合金は、生体用材料として十分な機械的強度を有すると
ともに生体への悪影響もなく、加えて添加成分としての
Si，Caが安価な元素であることから、これを安価に製造
することができる。更にまた本発明のTi合金は、添加成
分としてCaを含んでいることから生体との親和性が高
く、特に骨組織の代替材として使用されるインプラント
材として用いられた場合、骨組織と短時間で密着するこ
とができる特徴を有する。
【０００８】本発明ではまた、O若しくはNの一方又は両
方をO＋1.6N≦0.7％で含有させておくことができる（請
求項２）。この場合、生体用Ti合金の更なる強度アップ
を図ることができる。
方をO＋1.6N≦0.7％で含有させておくことができる（請
求項２）。この場合、生体用Ti合金の更なる強度アップ
を図ることができる。
【０００９】次に本発明における各化学成分の限定理由
を以下に詳述する。 Ti：残部 Tiはステンレス鋼，Co合金等に比べて軽量であり、且つ
耐食性も良好である。また生体内での細胞との親和性も
良いことが知られており、アレルギー性もないことから
ベース材として使用する。
を以下に詳述する。 Ti：残部 Tiはステンレス鋼，Co合金等に比べて軽量であり、且つ
耐食性も良好である。また生体内での細胞との親和性も
良いことが知られており、アレルギー性もないことから
ベース材として使用する。
【００１０】Si：0.2〜2.3％ Siを添加すると、シリサイドTi５Si３を凝固，冷却過程
で形成するようになり、0.2％以上の少量の添加で強度
アップを図ることができる。但し過剰に添加するとシリ
サイドが粒界をフィルム状に取り巻くように形成するよ
うになり延性がなくなるため、2.3％以下に含有量を規
制する。
で形成するようになり、0.2％以上の少量の添加で強度
アップを図ることができる。但し過剰に添加するとシリ
サイドが粒界をフィルム状に取り巻くように形成するよ
うになり延性がなくなるため、2.3％以下に含有量を規
制する。
【００１１】Ca：0.002〜0.3％ Caは骨及びアパタイト中に含まれる成分である。ここで
アパタイト（リン酸カルシウム）は元々生体内で歯や骨
を形成している化学成分である。従ってCaを合金中に添
加することにより、生体内でのアパタイト形成を容易に
する。また強度を低下させずに延性を改善する効果があ
る。但しそのためには0.002％以上含有させる必要があ
る。しかしながら過剰に含有させると溶融温度範囲を広
げ、製造性を低下させるようになる。またCa相を析出す
るようになり、延性改善の効果が飽和する。そこで本発
明では上限を0.3％に規制する。
アパタイト（リン酸カルシウム）は元々生体内で歯や骨
を形成している化学成分である。従ってCaを合金中に添
加することにより、生体内でのアパタイト形成を容易に
する。また強度を低下させずに延性を改善する効果があ
る。但しそのためには0.002％以上含有させる必要があ
る。しかしながら過剰に含有させると溶融温度範囲を広
げ、製造性を低下させるようになる。またCa相を析出す
るようになり、延性改善の効果が飽和する。そこで本発
明では上限を0.3％に規制する。
【００１２】O＋1.6N：≦0.7％ OはTi中で固溶強化元素として扱われる元素で、本発明
ではこれを少量添加することが望ましい。NもOと同様の
働きをする元素であり、それぞれを単独で或いは両方併
せて複合添加し、強度アップを図ることができる。これ
らO，Nの望ましい量はO＋1.6Nで0.2％以上であり、より
望ましくは0.3％以上である。但しO＋1.6Nで0.7％を超
えると強度アップの効果は飽和し鋳造欠陥を招くので、
上限を0.7％に規制する。
ではこれを少量添加することが望ましい。NもOと同様の
働きをする元素であり、それぞれを単独で或いは両方併
せて複合添加し、強度アップを図ることができる。これ
らO，Nの望ましい量はO＋1.6Nで0.2％以上であり、より
望ましくは0.3％以上である。但しO＋1.6Nで0.7％を超
えると強度アップの効果は飽和し鋳造欠陥を招くので、
上限を0.7％に規制する。
【００１３】
【実施例】次に本発明の実施例を以下に詳述する。真空
アーク溶解−加圧鋳造装置を使用して、表１に示す合金
組成を有するTi合金を溶解し、長さ４５ｍｍ，幅２０ｍ
ｍ，厚さ１０ｍｍの矩形棒を鋳造した。
アーク溶解−加圧鋳造装置を使用して、表１に示す合金
組成を有するTi合金を溶解し、長さ４５ｍｍ，幅２０ｍ
ｍ，厚さ１０ｍｍの矩形棒を鋳造した。
【００１４】
【表１】
【００１５】同鋳造材から平行部寸法が長さ１０ｍｍ，
幅２ｍｍ，厚さ０.５ｍｍの引張試験片を切り出し、引
張特性を調査した。その結果が図１に示してある。尚図
１では横軸に引張強さを、また縦軸に伸びを取って各合
金におけるそれらの関係を表している。
幅２ｍｍ，厚さ０.５ｍｍの引張試験片を切り出し、引
張特性を調査した。その結果が図１に示してある。尚図
１では横軸に引張強さを、また縦軸に伸びを取って各合
金におけるそれらの関係を表している。
【００１６】更にまた図２において、Ca無添加のものと
Caを0.02％添加したものについて、Si量を種々変化させ
たときのSi量と引張強さ及び伸びとの関係を表してい
る。
Caを0.02％添加したものについて、Si量を種々変化させ
たときのSi量と引張強さ及び伸びとの関係を表してい
る。
【００１７】これらの結果から、Caを添加することによ
って引張強さを低下させることなく伸びを高め得るこ
と、即ち機械的特性を高め得ることが分る。更にまた、
本発明例のものは何れも比較例のものに比べて機械的な
特性が優れていることが分る。
って引張強さを低下させることなく伸びを高め得るこ
と、即ち機械的特性を高め得ることが分る。更にまた、
本発明例のものは何れも比較例のものに比べて機械的な
特性が優れていることが分る。
【００１８】次に表１中の本発明例２−１材を生体の体
液と同種の組成を有する人工体液中に浸漬し、人間の体
温とほぼ等しい３６．５℃の恒温槽に入れて４週間保持
し、その後表面を観察してアパタイトの生成状況を調査
した。その結果を比較材である工業用純Ti（ＣＰ−Ti）
材の結果と併せて、図３に顕微鏡観察による表面状態の
調査結果を示している。尚、図中黒く現れている部分が
下地のマトリックスであり、白く現れている部分がアパ
タイトの析出した部分である。
液と同種の組成を有する人工体液中に浸漬し、人間の体
温とほぼ等しい３６．５℃の恒温槽に入れて４週間保持
し、その後表面を観察してアパタイトの生成状況を調査
した。その結果を比較材である工業用純Ti（ＣＰ−Ti）
材の結果と併せて、図３に顕微鏡観察による表面状態の
調査結果を示している。尚、図中黒く現れている部分が
下地のマトリックスであり、白く現れている部分がアパ
タイトの析出した部分である。
【００１９】図３の比較から明らかなように、本発明例
のものは工業用純Ti材に比べてアパタイトの析出が多い
ことが認められる。このことは取りも直さず、本発明例
のものが生体内において骨組織との親和性，密着性が高
いことを意味している。
のものは工業用純Ti材に比べてアパタイトの析出が多い
ことが認められる。このことは取りも直さず、本発明例
のものが生体内において骨組織との親和性，密着性が高
いことを意味している。
【００２０】以上本発明の実施例を詳述したがこれはあ
くまで一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない
範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
くまで一実施例であり、本発明はその主旨を逸脱しない
範囲において種々変更を加えた形態で構成可能である。
【図１】本発明の一実施例において得られた引張強さと
伸びとの関係を表す図である。
伸びとの関係を表す図である。
【図２】本発明の実施例において得られたSi量と引張強
さ及び伸びとの関係を表す図である。
さ及び伸びとの関係を表す図である。
【図３】本発明の実施例において得られたアパタイト析
出状態を示す顕微鏡写真である。
出状態を示す顕微鏡写真である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 神谷 晶 愛知県大府市森岡町山田下の坪26丁目73番 地 (72)発明者 渡津 章 愛知県名古屋市千種区北千種３丁目３番２ −309号 (72)発明者 野浪 亨 愛知県名古屋市千種区希望が丘３丁目９番 ６号 (72)発明者 鈴木 昭弘 愛知県名古屋市緑区滝の水４−316 (72)発明者 飯久保 知人 愛知県名古屋市熱田区一番町一丁目20−34 Ｆターム(参考） 4C081 AB03 AB05 AB06 BB08 CG03 DA01 DA03 EA03 4C089 AA02 BA03 BA12 BB02 BB07 CA04
Claims (2)
- 【請求項１】 重量基準でSi：0.2〜2.3％，Ca：0.002
〜0.3％，残部Ti及び不可避不純物から成る生体用Ti合
金。 - 【請求項２】 請求項１において、更に、O若しくはNの
何れか一方或いは両方を重量基準でO＋1.6N≦0.7％の範
囲で含有していることを特徴とする生体用Ti合金。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000323141A JP4617451B2 (ja) | 2000-10-23 | 2000-10-23 | 生体用Ｔｉ合金 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP2000323141A JP4617451B2 (ja) | 2000-10-23 | 2000-10-23 | 生体用Ｔｉ合金 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JP2002129265A true JP2002129265A (ja) | 2002-05-09 |
| JP4617451B2 JP4617451B2 (ja) | 2011-01-26 |
Family
ID=18800884
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP2000323141A Expired - Lifetime JP4617451B2 (ja) | 2000-10-23 | 2000-10-23 | 生体用Ｔｉ合金 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP4617451B2 (ja) |
Citations (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH04105659A (ja) * | 1990-08-27 | 1992-04-07 | Shinya Iwamoto | 生体用チタン合金およびその製造方法 |
| JPH04347164A (ja) * | 1991-05-23 | 1992-12-02 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 生体用チタン合金およびインプラント材 |
| JPH10201771A (ja) * | 1997-01-20 | 1998-08-04 | Injietsukusu:Kk | 歯冠修復物 |
| JP2000144287A (ja) * | 1998-11-06 | 2000-05-26 | Daido Steel Co Ltd | 耐摩耗性に優れた生体用チタン合金 |
-
2000
- 2000-10-23 JP JP2000323141A patent/JP4617451B2/ja not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (4)
| Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
|---|---|---|---|---|
| JPH04105659A (ja) * | 1990-08-27 | 1992-04-07 | Shinya Iwamoto | 生体用チタン合金およびその製造方法 |
| JPH04347164A (ja) * | 1991-05-23 | 1992-12-02 | Ishikawajima Harima Heavy Ind Co Ltd | 生体用チタン合金およびインプラント材 |
| JPH10201771A (ja) * | 1997-01-20 | 1998-08-04 | Injietsukusu:Kk | 歯冠修復物 |
| JP2000144287A (ja) * | 1998-11-06 | 2000-05-26 | Daido Steel Co Ltd | 耐摩耗性に優れた生体用チタン合金 |
Also Published As
| Publication number | Publication date |
|---|---|
| JP4617451B2 (ja) | 2011-01-26 |
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