JP2002128520A - 球状カルシウムアルミネート及びその製造方法 - Google Patents

球状カルシウムアルミネート及びその製造方法

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JP2002128520A
JP2002128520A JP2000321417A JP2000321417A JP2002128520A JP 2002128520 A JP2002128520 A JP 2002128520A JP 2000321417 A JP2000321417 A JP 2000321417A JP 2000321417 A JP2000321417 A JP 2000321417A JP 2002128520 A JP2002128520 A JP 2002128520A
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calcium aluminate
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spherical calcium
temperature
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JP2000321417A
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English (en)
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Tsunehiro Shiraishi
恒裕 白石
Takashi Inaga
孝 伊永
Hisaaki Morita
央朗 森田
Masaaki Nobuhara
政明 信原
Takeshi Matsumoto
健 松本
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SHIRAISHI CHUO KENKYUSHO KK
Shiraishi Central Laboratories Co Ltd
Original Assignee
SHIRAISHI CHUO KENKYUSHO KK
Shiraishi Central Laboratories Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】本発明は、粒度の均一性が高い球状カルシウム
アルミネート、その製造方法およびその用途を提供す
る。 【解決手段】式1による均一度(D90/D10)が、4以下であ
る球状カルシウムアルミネート。 【式1】

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、球状カルシウムア
ルミネート、その製造方法およびその用途に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックフィルム、シートなどの合
成樹脂製品は、多くの場合、製造過程や製造後に巻き取
られたり、積み重ねられたりする。その時に、例えば、
プラスチックフィルム面同士が、外力により密着し、作
業性を悪くするブロッキング現象を呈する。この現象を
防止するために、アンチブロッキング剤として、従来か
ら、各種の合成無機粉体または有機粉体あるいは天然無
機粉体が用いられている。
【0003】現在、代表的なアンチブロッキング剤とし
て、例えば、二酸化ケイ素を主成分とするホワイトカー
ボン;合成ゼオライト;タルク、霞石閃長石などの天然
鉱物を粉砕・分級して得られる無機粉体;粘土鉱物を焼
成して得られる焼成クレー;その他炭酸カルシウム粉
末;ポリマービーズ等が市販されている。これらの粉体
は、アンチブロッキング剤として例えば、樹脂フィルム
などの合成樹脂製品中に0.1〜1%程度配合されている。
【0004】アンチブロッキング剤には、高いアンチブ
ロッキング性だけでなく、粒度分布の幅が狭く、均一で
あることが求められる。特に薄膜フィルムに用いる場合
には、膜厚に対応した粒子の大きさを有し、しかも粒度
分布の幅が狭く均一であることが求められる。
【0005】このような特性を有し、さらに安価である
というアンチブロッキング剤は、市販されていない。
【0006】また、アンチブロッキング剤として求めら
れる均一粒度の球状粒子粉末を得ることのできるカルシ
ウムアルミネート水和物の工業的製法は、確立されてい
ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来技術の
問題点に鑑みなされたものであって、主として、粒度の
均一性が高い球状カルシウムアルミネート、その製造方
法およびその用途を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記課題を
解決するため、鋭意研究を進めた結果、特定の分散剤な
どを用いてカルシウムアルミネートを製造した場合に
は、上記課題を解決または軽減することができることを
見出し、本発明を完成するに至った。
【0009】即ち、本発明は、下記のカルシウムアルミ
ネート、その製造方法およびその用途に係るものであ
る。 1.式1による均一度(D90/D10)が、4以下である球状カ
ルシウムアルミネート。
【0010】
【式3】 2.式2による分散指数(D50/W50)が、2.8以下であるこ
とを特徴とする上記1に記載の球状カルシウムアルミネ
ート。
【0011】
【式4】 3.乾式レーザー回折光散乱法により求めた平均粒子径
(D50)が、0.5〜10μmであって、多面体状或いは有孔多
面体状であることを特徴とする球状カルシウムアルミネ
ート。 4.乾式レーザー回折光散乱法による平均粒子径が0.5
〜10μmである水酸化アルミニウムと5W/V%懸濁液の60
分後の沈降管中沈降体積が40〜95mlである水酸化カルシ
ウムとポリカルボン酸系分散剤とを含む低粘度懸濁液を
調製し、得られた低粘度懸濁液を高剪断攪拌下において
撹拌したのちに、高剪断撹拌をしながら昇温し、昇温後
の温度を保持することにより得られる球状カルシウムア
ルミネート。 5.乾式レーザー回折光散乱法による平均粒子径が0.5
〜10μmである水酸化アルミニウムと5W/V%懸濁液の60
分後の沈降管中沈降体積が40〜95mlである水酸化カルシ
ウムとポリカルボン酸系分散剤とを含む低粘度懸濁液を
調製し、得られた低粘度懸濁液を周速8〜30m/sの高剪断
攪拌下において撹拌したのちに、周速8〜30m/sの高剪断
撹拌をしながら、昇温速度0.2〜2℃/minで昇温し、昇温
後の温度を保持することを特徴とする球状カルシウムア
ルミネートの製造方法。 6.ポリカルボン酸系分散剤が、ポリカルボン酸または
その塩である上記5に記載の球状カルシウムアルミネー
トの製造方法。 7.低粘度懸濁液の20℃における粘度が、2000mPa・s以
下であることを特徴とする上記5または6に記載の球状
カルシウムアルミネートの製造方法。 8.昇温後の保持温度が80〜100℃であって、且つ昇温
後の温度保持時間が10分以上である上記5〜7のいずれ
かに記載の球状カルシウムアルミネートの製造方法。 9.上記1〜4のいずれかに記載の球状カルシウムアル
ミネートを主成分とする填剤。 10.上記1〜4のいずれかに記載の球状カルシウムア
ルミネートを100ppm以上含む合成樹脂組成物、トナー組
成物または塗料組成物。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は、式1による均一度(D90
/D10)が4以下である球状カルシウムアルミネートに係
る。
【0013】
【式5】 本発明の球状カルシウムアルミネートは、式1による均
一度(D90/D10)が、通常約4以下であり、好ましくは1.5
〜3.6程度である。均一度は、その値が小さいほど粒径
の均一性が高いことを示す。
【0014】本発明の球状カルシウムアルミネートの式
2による分散指数(D50/W50)は、特に制限されないが、
通常約2.8以下、好ましくは0.5〜2.6程度、特に好まし
くは0.9〜2.6程度である。分散指数は、その値が1に近
いほど水相における分散度が高いことを示す。
【0015】
【式6】 本発明における平均粒子径とは、レーザー回折光散乱法
により得られた一次粒子の平均粒子径の値である。なか
でも「乾式法」により求めた平均粒子径とは、「粉体を気
相中に分散させた試料(特に粉体を気相中に噴射するこ
とにより分散させた試料)について求めた平均粒子径」を
意味する。より具体的には、以下のような方法により求
めた値である。コンプレッサーにより装置内エジェクタ
に圧縮空気を導入し、その高速流による負圧を利用して
試料粉末を吸引・分散させて測定室内に噴射させる。噴
流に対して直角にレーザー光を当てたときの散乱光強度
を測定することにより平均粒子径を求める。
【0016】一方、「湿式法」により求めた平均粒子径と
は、「粉体を水中に分散させた試料について求めた平均
粒子径」を意味する。より具体的には、以下のような方
法により求めた値である。分散媒である水に試料を分散
させた懸濁液を循環させて、系内のセルにレーザー光を
当てたときの散乱光強度を測定することにより平均粒子
径を求める。
【0017】本明細書における「10%粒径」とは、レーザ
ー回折光散乱法により得られた一次粒子径の粒度分布に
おいて、小さな粒子径側から起算した体積の累計が10%
となる粒径を意味し、「90%粒径」とは、レーザー回折光
散乱法により得られた一次粒子径の粒度分布において、
小さな粒子径側から起算した体積の累計が90%となる粒
径を意味する。
【0018】本発明の球状カルシウムアルミネートの一
次粒子の平均粒子径は、所定の均一度を有していれば特
に制限されない。一次粒子の平均粒子径は、乾式レーザ
ー回折光散乱法による測定値として、通常0.5〜10μm程
度であり、好ましくは1〜7μm程度である。
【0019】本発明の球状カルシウムアルミネートの形
状は、特に制限されず、例えば、多面体状(サイコロの
ように丸みのある角を呈する立方体を含む)、粒子表面
にマイクロホール(くぼみ)を有する有孔多面体状などの
任意の形状を例示できる。
【0020】球状とは、一次粒子の最大径と最小径の比
が、通常1〜1.4程度、好ましくは1〜1.3程度となる形状
を意味する。サイコロのように丸みのある角を呈する立
方体とは、一次粒子の最大辺の長さと最小辺の長さの比
が、通常1〜1.4程度、好ましくは1〜1.3程度となる形状
を意味する。
【0021】本発明の球状カルシウムアルミネートは、
例えば、以下の様な方法により製造することができる。
乾式レーザー回折光散乱法による平均粒子径が0.5〜10
μmである水酸化アルミニウムと5W/V%懸濁液の60分後
の沈降管中沈降体積が40〜95mlである水酸化カルシウム
とポリカルボン酸系分散剤とを含む低粘度懸濁液を周速
8〜30m/sの高剪断攪拌下において撹拌したのちに、高剪
断撹拌をしながら昇温速度0.2〜2℃/minで昇温し、昇温
後の温度を保持する。
【0022】原料として用いる水酸化アルミニウムは、
当該分野で通常用いられるものであれば特に制限され
ず、例えば、ジプサイト、バイヤライト、ノルドストラ
ンダイトなどを例示することができ、これらのなかで
は、ジプサイトが好ましい。
【0023】水酸化アルミニウムの平均粒子径は、特に
制限されないが、乾式レーザー回折光散乱法による測定
値として、0.5〜10μm程度のものが好ましく、1〜5μm
程度のものが特に好ましい。
【0024】原料として用いる水酸化カルシウムは、当
該分野において通常用いられるものであれば特に制限さ
れない。例えば、天然の石灰石を焼成した後水化して得
られるものなどを例示できる。
【0025】水酸化カルシウムの沈降体積は、特に制限
されないが、通常40〜95ml程度、好ましくは50〜90ml程
度である。なお、沈降体積は、濃度が5W/V%(重量/体積
%)の懸濁液において、60分後の沈降管(内径:28mm)中
の沈降体積をmlで示したものである。本発明では、これ
をml/5%, 60minと示すことがある。水酸化カルシウムを
所望の沈降体積にする方法として、例えば、消石灰粉末
を乾式摩砕処理または湿式摩砕処理する方法(例えば、
試料を水に分散させた懸濁液を摩砕する処理など)など
の物理的方法を用いて微細化する方法なども例示するこ
とができる。
【0026】ポリカルボン酸系分散剤として、ポリカル
ボン酸またはその塩(例えば、ナトリウム塩など)などを
例示することができる。ポリカルボン酸としては、例え
ば、ポリアクリル酸;メチルアクリレートとアクリル酸
との共重合物;アクリル酸とマレイン酸との共重合物;
アクリル酸などの不飽和モノカルボン酸とフマル酸、マ
レイン酸などの不飽和ジカルボン酸との共重合物(例え
ば、アクリル酸とマレイン酸の共重合体、アクリル酸と
フマル酸の共重合体など);イソブチレンと無水マレイ
ン酸との共重合物などのポリマーを構成する単量体の全
部または一部としてカルボン酸を含むポリマーを例示す
ることができる。
【0027】低粘度懸濁液を調製するための水酸化アル
ミニウムの濃度は、通常10〜65%程度、好ましくは15〜
60%程度である。
【0028】低粘度懸濁液を調製するための水酸化カル
シウムの濃度は、通常5〜35%程度、好ましくは10〜30
%程度である。
【0029】水酸化カルシウムと水酸化アルミニウムの
比は、モル比(CaO/Al2O3)として通常2.9〜3.1程度、好
ましくは2.95〜3.05程度である。
【0030】ポリカルボン酸系分散剤の添加量は、分散
剤の種類などに応じて適宜設定することができるが、固
形原料(水酸化カルシウムと水酸化アルミニウムの合計
量)100重量部に対して、通常0.2〜1.5重量部程度、好ま
しくは0.4〜1.2重量部程度である。或いは、得られる低
粘度懸濁液の粘度が、20℃において、約2000mPa・s以
下、好ましくは50〜1500mPa・s程度となるようにポリカ
ルボン酸系分散剤を添加すればよい。なお、粘度の値
は、ブルックフィールド形粘度計(BM型)による測定値で
あって、60rpmにおける1分後の値とする。
【0031】水酸化アルミニウム、水酸化カルシウムお
よびポリカルボン酸系分散剤を混合する順番は、特に制
限されない。例えば、水酸化カルシウム懸濁液に水酸化
アルミニウム懸濁液を添加し、さらにポリカルボン酸系
分散剤を添加する方法;水酸化カルシウム懸濁液に分散
剤を添加し、さらに水酸化アルミニウム懸濁液を添加す
る方法;分散剤の水溶液に水酸化アルミニウム粉末を添
加し、得られた懸濁液に水酸化カルシウムの懸濁液を添
加する方法;分散剤の水溶液に水酸化アルミニウム粉末
を添加した懸濁液と水酸化カルシウム懸濁液に分散剤を
添加した懸濁液とを混合する方法などを例示することが
できる。
【0032】高剪断撹拌に供する前に予め、必要に応じ
て、水酸化アルミニウム懸濁液、水酸化カルシウム懸濁
液、低粘度懸濁液などを低速で撹拌してもよい。撹拌時
の温度は、特に制限されず、通常5〜40℃程度、好まし
くは8〜35℃程度である。
【0033】予め調製した水酸化アルミニウム懸濁液を
用いる場合には、水酸化アルミニウム懸濁液を調製する
際にも、高剪断撹拌下において撹拌することが好まし
い。同様に、予め調製した水酸化カルシウム懸濁液を用
いる場合には、水酸化カルシウム懸濁液を調製する際に
も、高剪断撹拌下において撹拌することが好ましい。
【0034】低粘度懸濁液の高剪断撹拌に用いる攪拌機
は、特に制限されないが、コーレスディゾルバーのよう
なディスク型分散機、タービンとステーターの組合せか
らなる高速乳化・分散機などの剪断型攪拌機などを例示
できる。有孔多面体粒子を得るには、ディスク型分散機
が好ましく、非有孔多面体粒子を得るには、タービンと
ステーターの組合せからなる高速乳化・分散機が好まし
い。高剪断撹拌時の容器内径と撹拌翼の直径の比は、特
に制限されないが、通常2〜8程度、好ましくは3〜6程度
である。
【0035】高剪断撹拌の撹拌速度は、特に制限されな
いが、通常周速8〜30m/s程度、好ましくは10〜25m/s程
度である。高剪断撹拌の撹拌時間は、特に制限されない
が、通常5〜90分程度、好ましくは10〜80分程度であ
る。
【0036】ポリカルボン酸系分散剤としてポリカルボ
ン酸の塩を使用し、高剪断撹拌の撹拌速度を周速8〜16m
/s程度、好ましくは8〜14m/s程度とした場合には、粒子
表面にマイクロホールを有する球状カルシウムアルミネ
ートを得ることができる。
【0037】昇温条件は、特に制限されないが、昇温後
の温度及び保持温度は通常80〜100℃程度(好ましくは95
〜99℃程度)、昇温速度0.2〜2℃/min程度(好ましくは0.
5〜1.5℃/min程度)、昇温後の温度保持時間が約10分以
上(好ましくは30〜60分程度)である。反応後、必要に応
じて、生成物を水洗、乾燥などの後処理に供してもよ
い。
【0038】さらに、本発明の球状カルシウムアルミネ
ートの粒子表面に、用途などに応じて、公知の方法を用
いて、ステアリン酸、シランカップリング剤などで表面
処理を施してもよい。
【0039】本発明の球状カルシウムアルミネートは、
プラスチックフィルム、ゴムシートなどの合成樹脂など
に用いられるアンチブロッキング剤;光拡散剤;トナー
組成物に用いられるトナー外添剤;塗料組成物に用いら
れる艶消し剤などの填剤として極めて有用である。光拡
散剤とは、例えば、照明器具などの明るさを落とさずに
防眩性を付与するものである。本発明の球状カルシウム
アルミネートは、公知の方法によって、填剤として用い
ることができる。例えば、光拡散剤として用いる場合に
は、蛍光灯などの照明器具の内部、背後カバー表面など
に塗布したり、または樹脂カバーに練り込むなどして用
いることができる。
【0040】本発明の球状カルシウムアルミネートの合
成樹脂、トナー組成物または塗料組成物への添加量は、
用いる球状カルシウムアルミネート填剤の性状;最終製
品の種類・用途などに応じて適宜設定することができ
る。添加量は、通常約100ppm以上、好ましくは200〜200
0ppm程度である。
【0041】
【発明の効果】本発明の方法によると、粒径の均一性の
高い球状カルシウムアルミネートを得ることができる。
【0042】本発明の製造方法によると、低粘度懸濁液
を調製する際にポリカルボン酸系分散剤を使用すること
により、反応系の粘度が下がり、攪拌効率が上がって系
内が均一となるので、粒度の揃った球状カルシウムアル
ミネートが得られる。
【0043】低粘度懸濁液を高剪断攪拌し、さらに高剪
断攪拌下で加温し反応させることにより、反応系の均一
性が高まるとともに、生成するカルシウムアルミネート
水和物の二次凝集を防ぎ微細化することができる。
【0044】ポリカルボン酸塩を添加して成る水酸化カ
ルシウム懸濁液並びに水酸化アルミニウム懸濁液を原料
として用いることにより、周速8〜16m/s程度に撹拌強度
を下げた場合でも、反応系の均一性は失われない。しか
も、粒子表面にマイクロホールを有するカルシウムアル
ミネート水和物系球状有孔多面体粒子を生成することが
できる。また、反応系の粘度が低下し、均一化するとと
もに、より高濃度の原料による製造が可能となるので、
経済面で有利である。
【0045】本発明の球状カルシウムアルミネートは、
粒度が揃っているので、光拡散剤、アンチブロッキング
剤などの合成樹脂用填剤;トナー外添剤などのトナー組
成物用填剤;艶消し剤などの塗料組成物用填剤などとし
て優れた効果を発揮する。
【0046】
【実施例】以下、実施例及び比較例により本発明をさら
に具体的に説明する。実施例における粒径および平均粒
子径は、特に断らない限り、乾式レーザー回折光散乱法
による値である。
【0047】以下の実施例および比較例では、タービン
直径が0.1mの高剪断攪拌機を付設した200リットルステ
ンレス鋼製分散槽(容器の内径:0.56m)を使用した。 〔実施例1〕高剪断攪拌機を付設した200リットルステン
レス鋼製分散槽に、水105.0kgを量り取り、低速攪拌下
(周速5m/s)において純度99.6%、一次粒子の平均粒子径
1.8μmの水酸化アルミニウム(ジプサイト)粉末20.0kgを
添加した後、攪拌機の回転数を3600rpm(周速18m/s)と高
速攪拌に切替えて15分間攪拌分散して水酸化アルミニウ
ムの16%懸濁液を調製した。
【0048】高剪断攪拌機を付設した200リットルステ
ンレス鋼製反応器に、水酸化カルシウム16%懸濁液〔沈
降体積90ml/5%,60min〕89.06kgを量り取り、低速攪拌
下(周速5m/s)で撹拌しながら、水酸化アルミニウム16%
懸濁液62.5kgを添加した。
【0049】更に、分散剤アロンT-40[東亜合成(株)
製、ポリアクリル酸ソーダ]の20%水溶液0.75kgを添加
した後、攪拌機の回転数を3600rpm(周速18m/s)と高速に
切替えて30分間攪拌混合した後、昇温速度1℃/minで73
分間掛けて98℃に加温し、30分間保持して反応させた。
反応後、生成物は、注水希釈して水洗、ろ過を行い、11
0℃乾燥機中で乾燥し、粉末に仕上げた。
【0050】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピークが観測された。
【0051】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径2.3μm(10%粒径1.6μm、90%粒径5.3μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径0.9μm(10%粒径0.6μ
m、90%粒径2.3μm)と分布幅の狭い均一粒度の粉末が得
られた。
【0052】生成物の走査型電子顕微鏡観察において、
目視による粒子径が約lμmであって、粒度の揃った球状
多面体粒子が観察された。 〔実施例2〕高剪断攪拌機を付設した200リットルステ
ンレス鋼製分散槽に、水105.0kgを量り取り、低速攪拌
下(周速5m/s)で純度99.6%、平均粒子径1.8μmの水酸化
アルミニウム(ジプサイト)粉末20.0kgを添加した後、攪
拌機の回転数を3600rpm(周速18m/s)と高速攪拌に切替え
て15分間攪拌分散して水酸化アルミニウムの16%懸濁液
を調製した。
【0053】高剪断攪拌機を付設した200リットルステ
ンレス鋼製反応器に、水酸化カルシウム[沈降体積50ml/
5%,60min]の16%懸濁液89.06kgを量り取り、低速攪拌
下(周速5m/s)で分散剤アロンT-40[東亜合成(株)製、ポ
リアクリル酸ソーダ]の20%水溶液0.75kgを添加した
後、上記水酸化アルミニウムの16%懸濁液62.5kgを添加
した。さらに、攪拌機の回転数を3600rpm(周速18m/s)と
高速に切替えて30分間攪拌混合した後、昇温速度1℃/mi
nで73分間掛けて98℃に加温し、30分間保持して反応さ
せた。
【0054】反応後、生成物は、注水希釈して水洗、ろ
過を行い、110℃乾燥機中で乾燥し、粉末に仕上げた。
【0055】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピークが観測された。
【0056】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径4.2μm(10%粒径2.7μm、90%粒径6.6μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径4.6μm(10%粒径2.2μ
m、90%粒径7.9μm)と極めて分布幅が狭く、均一粒度の
粉末が得られた。
【0057】生成物の走査型電子顕微鏡観察において、
目視による粒子径が約4μmであって、粒度の揃った球状
多面体粒子が観察された。 〔実施例3〕高剪断攪拌機を付設した200リットルステン
レス鋼製分散槽に、水80.0kgを量り取り、低速攪拌下
(周速5m/s)で純度99.6%、平均粒子径1.8μmの水酸化ア
ルミニウム(ジプサイト)粉末20.0kgを添加した後、攪拌
機の回転数を3600rpm(周速18m/s)と高速攪拌に切替えて
15分間攪拌分散して水酸化アルミニウムの20%懸濁液を
調製した。
【0058】高剪断攪拌機を付設した200リットルステ
ンレス鋼製反応器に、水酸化カルシウム[沈降体積70ml/
5%,60min]の16%懸濁液89.06kgを量り取り、低速攪拌
下(周速5m/s)で分散剤アロンT-40[東亜合成(株)製、ポ
リアクリル酸ソーダ]の20%水溶液0.75kgを添加した
後、上記水酸化アルミニウムの20%懸濁液62.5kgを添加
し、攪拌機の回転数を3600rpm(周速18m/s)と高速に切替
えて30分間攪拌混合した後、昇温速度1℃/minで73分間
掛けて98℃に加温し、30分間保持して反応させた。反応
後、生成物は、注水希釈して水洗、ろ過を行い、110℃
乾燥機中で乾燥し、粉末に仕上げた。
【0059】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピークが観測された。
【0060】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径4.5μm(10%粒径3.2μm、90%粒径6.8μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径4.0μm(10%粒径2.8μ
m、90%粒径5.4μm)と極めて分布幅が狭く、均一粒度の
粉末が得られた。
【0061】生成物の走査型電子顕微鏡観察において、
目視による粒子径が約4μmであって、粒度の揃った球状
多面体粒子が観察された。 〔実施例4〕高剪断攪拌機を付設した200リットルステン
レス鋼製分散槽に、水80.0kgを量り取り、低速攪拌下
(周速5m/s)で純度99.6%、平均粒子径1.8μmの水酸化ア
ルミニウム(ジプサイト)粉末20.0kgを添加した後、攪拌
機の回転数を3600rpm(周速18m/s)と高速攪拌に切替えて
15分間攪拌分散して水酸化アルミニウムの20%懸濁液を
調製した。
【0062】高剪断攪拌機を付設した200リットルステ
ンレス鋼製反応器に、水酸化カルシウム[沈降体積65ml/
5%,60min]の20%懸濁液71.25kgを量り取り、低速攪拌
下(周速5m/s)で分散剤アロンT−40[東亜合成(株)製、ポ
リアクリル酸ソーダ]の20%水溶液0.75kgを添加した
後、上記水酸化アルミニウムの20%懸濁液50.0kgを添加
し、攪拌機の回転数を3600rpm(周速18m/s)と高速に切替
えて30分間攪拌混合した後、昇温速度1℃/minで73分間
掛けて98℃に加温し、30分間保持して反応させた。
【0063】反応後、生成物は、注水希釈して水洗、ろ
過を行い、110℃乾燥機中で乾燥し、粉末に仕上げた。
【0064】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピークが観測された。
【0065】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径3.1μm(10%粒径2.3μm、90%粒径4.4μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径3.5μm(10%粒径1.4μ
m、90%粒径9.6μm)と極めて分布幅が狭く、均一粒度の
粉末が得られた。
【0066】生成物の走査型電子顕微鏡観察において、
目視による粒子径が約3μmであって、粒度の揃った球状
多面体粒子が観察された。 〔実施例5〕高剪断攪拌機を付設した200リットルステン
レス鋼製分散槽に、水58.5kgと分散剤アロンT-40[東亜
合成(株)製、ポリアクリル酸ソーダ]の20%水溶液1.5kg
を量り取り、低速攪拌下(周速5m/s)で純度99.6%、平均
粒子径1.8μmの水酸化アルミニウム(ジプサイト)粉末2
0.0kgを添加した後、攪拌機の回転数を3600rpm(周速18m
/s)と高速攪拌に切替えて15分間攪拌分散して水酸化ア
ルミニウムの25%懸濁液を調製した。
【0067】高剪断攪拌機を付設した200リットルステ
ンレス鋼製反応器に、上記水酸化アルミニウムの25%懸
濁液40.0kgを移し、低速攪拌下(周速5m/s)で水酸化カル
シウム[沈降体積50ml/5%,60min]の20%懸濁液71.25kg
を添加し、攪拌機の回転数を2000rpm(周速10m/s)として
30分間攪拌混合した後、昇温速度1℃/minで73分間掛け
て98℃に加温し、30分間保持して反応させた。
【0068】反応後、生成物は、注水希釈して水洗、ろ
過を行い、110℃乾燥機中で乾燥し、粉末に仕上げた。
【0069】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピークが観測された。
【0070】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径2.7μm(10%粒径2.1μm、90%粒径3.6μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径2.9μm(10%粒径1.7μ
m、90%粒径7.5μm)と極めて分布幅が狭く、均一粒度の
粉末が得られた。
【0071】生成物の走査型電子顕微鏡観察において、
粒子表面に0.2〜0.6μm程度のマイクロホールを有する
粒子径約2μm前後の均一な粒度の球状有孔多面体粒子が
観察された。 〔実施例6〕高剪断攪拌機を付設した200リットルステン
レス鋼製分散槽に、水79.0kgと分散剤アロンT-40[東亜
合成(株)製、ポリアクリル酸ソーダ]の20%水溶液1.0kg
を量り取り、低速攪拌下で溶解後、純度99.6%、平均粒
子径1.8μmの水酸化アルミニウム(ジプサイト)粉末20.0
kgを添加した後、攪拌機の回転数を3600rpm(周速18m/s)
と高速攪拌に切替えて15分間攪拌分散して水酸化アルミ
ニウムの20%懸濁液を調製した。
【0072】高剪断攪拌機を付設した200リットルステ
ンレス鋼製反応器に、水酸化カルシウム[沈降体積50ml/
5%,60min]の20%懸濁液71.25kgを量り取り、低速攪拌
下(周速5m/s)で分散剤アロンT-40[東亜合成(株)製、ポ
リアクリル酸ソーダ]の20%水溶液1.0kgを添加し20分間
攪拌後、更に上記水酸化アルミニウムの20%懸濁液50.0
kgを添加し、攪拌機の回転数を2000rpm(周速10m/s)とし
て30分間攪拌混合した後、昇温速度1℃/minで73分間掛
けて98℃に加温し、30分間保持して反応させた。
【0073】反応後、生成物は、注水希釈して水洗、ろ
過を行い、110℃乾燥機中で乾燥し、粉末に仕上げた。
【0074】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピークが観測された。
【0075】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径4.4μm(10%粒径2.7μm、90%粒径5.6μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径3.0μm(10%粒径2.1μ
m、90%粒径5.2μm)と極めて分布幅が狭く、均一粒度の
粉末が得られた。
【0076】生成物の走査型電子顕微鏡観察から、粒子
表面に0.2〜0.6μm程度のマイクロホールを有する粒子
径約3μm前後の均一な粒度の球状有孔多面体粒子が観察
された。 〔比較例1〕沈降体積25ml/5%,60minの16%水酸化カル
シウム懸濁液を用いた以外は、実施例2と同様の操作を
行って生成物を得た。
【0077】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピーク以外に、若干の水酸化アルミニウムと水酸化カ
ルシウムのピークも認められた。
【0078】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径9.0μm(10%粒径4.9μm、90%粒径28.5μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径7.1μm、(10%粒径4.6
μm、90%粒径24.0μm)と分布幅が広く、不均一な粒度
の粉末が得られた。
【0079】生成物の走査型電子顕微鏡観察から、6〜1
0μm前後の不完全な球状多面体粒子と不定形の微細な薄
片粒子が混在した不均一な物であった。 〔比較例2〕純度99.6%、平均粒子径14.0μmの16%水酸
化アルミニウム懸濁液を用いた以外は、実施例2と同様
の操作を行って生成物を得た。
【0080】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピーク以外に、水酸化アルミニウムと水酸化カルシウ
ムのピークが認められた。
【0081】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径4.6μm(10%粒径1.9μm、90%粒径12.7μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径5.8μm(10%粒径1.8μ
m、90%粒径13.8μm)と分布幅が広く、不均一な粒度の
粉末が得られた。
【0082】生成物の走査型電子顕微鏡観察から、4〜1
0μm前後の不完全な球状多面体粒子と不定形の微細な薄
片粒子が混在した不均一な物であった。 〔比較例3〕沈降体積65ml/5%,60minの16%水酸化カル
シウム懸濁液を用いる、また、化合時の攪拌を1200prm
(周速6m/s)とした以外は、実施例4と同様の操作を行っ
て生成物を得た。
【0083】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピーク以外に、若干の水酸化アルミニウムと水酸化カ
ルシウムのピークも認められた。
【0084】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径3.5μm(10%粒径1.0μm、90%粒径15.7μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径5.1μm、(10%粒径1.7
μm、90%粒径12.8μm)と分布幅が広く、不均一な粒度
の粉末が得られた。
【0085】生成物の走査型電子顕微鏡観察から、4μm
前後の不完全な球状多面体粒子と10μm前後の球状多面
体粒子並びに薄片粒子が混在した不均一な物であった。 〔比較例4〕化合時の昇温速度を5℃/minとした以外
は、実施例2と同様の操作を行って生成物を得た。
【0086】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピーク以外に、若干の水酸化アルミニウムと水酸化カ
ルシウムのピークも認められた。
【0087】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径7.2μm(10%粒径1.8μm、90%粒径23.5μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径6.7μm(10%粒径3.5μ
m、90%粒径20.8μm)と分布幅が広く、不均一な粒度の
粉末が得られた。
【0088】生成物の走査型電子顕微鏡観察から、2μm
前後の球状多面体粒子と10μm前後の大きな粒子の混在
した分布幅の広い不均一な物であった。 〔比較例5〕分散剤アロンT−40を添加しないこと以外、
実施例1と同様の操作を行って生成物を得た。
【0089】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピーク以外に、若干の水酸化アルミニウムと水酸化カ
ルシウムのピークも認められた。
【0090】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径2.8μm(10%粒径1.2μm、90%粒径10.8μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径5.2μm(10%粒径1.8μ
m、90%粒径13.4μm)と分布幅が広く、不均一な粒度の
粉末が得られた。
【0091】生成物の走査型電子顕微鏡観察から、粒子
径約2μm前後の球状多面体粒子とそれらが凝集した粗大
な二次粒子ならびに10μm前後の大きな球状多面体粒子
が混在した分布幅の広い不均一な物であった。
【0092】[比較例6]沈降体積95ml/5%, 60minの16%
水酸化カルシウム懸濁液を用いる以外は、実施例1と同
様にして、球状カルシウムアルミネートを製造した。
【0093】生成物をX線回折法で測定したところ、3Ca
O・Al2O3・6H2Oで表されるカルシウムアルミネート水和物
のピークが観測された。
【0094】また、島津製、レーザー回折式SALD-2000J
を用いて粒度分布を測定した結果から、乾式法(噴霧式)
で平均粒子径3.0μm(10%粒径1.7μm、90%粒径14.1μ
m)、湿式法(循環式)で平均粒子径6.2μm(10%粒径2.3μ
m、90%粒径15.4μm)と分布幅が広く、不均一な粒度の
粉末が得られた。
【0095】生成物の走査型電子顕微鏡観察において、
目視による粒子径が2μm前後の球状多面体粒子とその凝
集粒子並びに10μm前後の粗大粒子が混在しているのが
観察された。形状の揃った微細均一粒度の球状多面体粒
子は、得られなかった。
【0096】実施例1〜6および比較例1〜6の実験条
件を表1に、得られた結果を表2に示す。
【0097】
【表1】
【0098】
【表2】
【0099】沈降体積40ml/5%,60min以下の水酸化カ
ルシウム又は平均粒子径10μm以上の水酸化アルミニウ
ムを原料とした場合、微細均一粒度で形状の揃った球状
カルシウムアルミネート多面体粒子粉末が得られず、10
μm以上の不定形凝集粒子が混在することを避けられな
かった。
【0100】沈降体積95ml/5%,60min以上の水酸化カ
ルシウムを原料とした場合においても、反応初期に微細
なカルシウムアルミネート水和物の核が多数生成すると
ともに、反応系が増粘したために不均一となり、粒形が
不揃いであって、粗大な凝集粒子が混在し、形状の揃っ
た微細均一粒度の多面体粒子粉末が得られなかった。 〔配合例l〕 低密度ポリエチレンフィルムへの配合効
果 本発明の球状カルシウムアルミネート、比較例における
生成物または従来のアンチブロッキング剤を添加したポ
リエチレンフィルムの光学的性質並びにブロッキング性
などを評価した。以下にその方法を示し、結果を表3に
示す。
【0101】それぞれのアンチブロッキング剤につい
て、その粒子表面にステアリン酸を乾式表面処理した。
処理後のアンチブロッキング剤を市販のマスターバッチ
用低密度ポリエチレン樹脂(J-RED LD JF630S、日本ポリ
オレフィン(株)社製)100重量部に対して5および10重量
部添加してマスターバッチを作成した。次いで、フィル
ム用低密度ポリエチレン樹脂(J-RED LD JF324S、日本ポ
リオレフィン(株)社製)に対して2000ppm(ブランクは4w/
w%)となるようマスターバッチを添加し、インフレーシ
ョンによりフィルム(厚み:30μm)を成型した。
【0102】得られたフィルムについて、JIS K7105に
規定された方法に従って光学的性質を評価し、ASTM D18
93に規定された方法に従ってブロッキング性を評価し
た。
【0103】
【表3】
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、実施例1で得た試料の粒子構造を示す
走査顕微鏡写真(2000倍)である。
【図2】図2は、実施例1で得た試料のX線回折チャー
トである。
【図3】図3は、実施例4で得た試料の粒子構造を示す
走査顕微鏡写真(2000倍)である。
【図4】図4は、実施例4で得た試料のX線回折チャー
トである。
【図5】図5は、実施例6で得た試料の粒子構造を示す
走査顕微鏡写真(2000倍)である。
【図6】図6は、実施例6で得た試料のX線回折チャー
トである。
【図7】図7は、比較例1で得た試料の粒子構造を示す
走査顕微鏡写真(2000倍)である。
【図8】図8は、比較例1で得た試料のX線回折チャー
トである。
【図9】図9は、実施例1で得た試料の乾式レーザー回
折光散乱法による粒度分布チャートを示す。
【図10】図10は、実施例1で得た試料の湿式レーザ
ー回折光散乱法による粒度分布チャートを示す。
【図11】図11は、実施例4で得た試料の乾式レーザ
ー回折光散乱法による粒度分布チャートを示す。
【図12】図12は、実施例4で得た試料の湿式レーザ
ー回折光散乱法による粒度分布チャートを示す。
【図13】図13は、実施例6で得た試料の乾式レーザ
ー回折光散乱法による粒度分布チャートを示す。
【図14】図14は、実施例6で得た試料の湿式レーザ
ー回折光散乱法による粒度分布チャートを示す。
【図15】図15は、比較例1で得た試料の乾式レーザ
ー回折光散乱法による粒度分布チャートを示す。
【図16】図16は、比較例1で得た試料の湿式レーザ
ー回折光散乱法による粒度分布チャートを示す。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03G 9/08 374 G03G 9/08 374 (72)発明者 信原 政明 兵庫県西宮市獅子ヶ口町12番31号 (72)発明者 松本 健 兵庫県神戸市東灘区御影中町1丁目15番18 号 Fターム(参考) 2H005 AA08 CB08 EA05 EA10 4G076 AA18 AB06 BA24 BB08 BC08 BD02 CA03 CA25 CA26 DA02 4J002 AA011 BG012 DE146 DE186 FD206 4J038 CB132 CG032 CG072 CG142 CH032 CJ132 EA011 GA06 HA246 KA09 KA20 LA06 MA08 MA10 NA10 PC08

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式1による均一度(D90/D10)が、4以下であ
    る球状カルシウムアルミネート。 【式1】
  2. 【請求項2】式2による分散指数(D50/W50)が、2.8以下
    であることを特徴とする請求項1に記載の球状カルシウ
    ムアルミネート。 【式2】
  3. 【請求項3】乾式レーザー回折光散乱法により求めた平
    均粒子径(D50)が、0.5〜10μmであって、多面体状或い
    は有孔多面体状であることを特徴とする球状カルシウム
    アルミネート。
  4. 【請求項4】乾式レーザー回折光散乱法による平均粒子
    径が0.5〜10μmである水酸化アルミニウムと5W/V%懸濁
    液の60分後の沈降管中沈降体積が40〜95mlである水酸化
    カルシウムとポリカルボン酸系分散剤とを含む低粘度懸
    濁液を調製し、得られた低粘度懸濁液を高剪断攪拌下に
    おいて撹拌したのちに、高剪断撹拌をしながら昇温し、
    昇温後の温度を保持することにより得られる球状カルシ
    ウムアルミネート。
  5. 【請求項5】乾式レーザー回折光散乱法による平均粒子
    径が0.5〜10μmである水酸化アルミニウムと5W/V%懸濁
    液の60分後の沈降管中沈降体積が40〜95mlである水酸化
    カルシウムとポリカルボン酸系分散剤とを含む低粘度懸
    濁液を調製し、得られた低粘度懸濁液を周速8〜30m/sの
    高剪断攪拌下において撹拌したのちに、周速8〜30m/sの
    高剪断撹拌をしながら、昇温速度0.2〜2℃/minで昇温
    し、昇温後の温度を保持することを特徴とする球状カル
    シウムアルミネートの製造方法。
  6. 【請求項6】ポリカルボン酸系分散剤が、ポリカルボン
    酸またはその塩である請求項5に記載の球状カルシウム
    アルミネートの製造方法。
  7. 【請求項7】低粘度懸濁液の20℃における粘度が、2000
    mPa・s以下であることを特徴とする請求項5または6に
    記載の球状カルシウムアルミネートの製造方法。
  8. 【請求項8】昇温後の保持温度が80〜100℃であって、
    且つ昇温後の温度保持時間が10分以上である請求項5〜
    7のいずれかに記載の球状カルシウムアルミネートの製
    造方法。
  9. 【請求項9】請求項1〜4のいずれかに記載の球状カル
    シウムアルミネートを主成分とする填剤。
  10. 【請求項10】請求項1〜4のいずれかに記載の球状カ
    ルシウムアルミネートを100ppm以上含む合成樹脂組成
    物、トナー組成物または塗料組成物。
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