JP2002127295A - 積層フィルム - Google Patents

積層フィルム

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JP2002127295A
JP2002127295A JP2000324243A JP2000324243A JP2002127295A JP 2002127295 A JP2002127295 A JP 2002127295A JP 2000324243 A JP2000324243 A JP 2000324243A JP 2000324243 A JP2000324243 A JP 2000324243A JP 2002127295 A JP2002127295 A JP 2002127295A
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laminated film
film
thickness
laminated
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JP2000324243A
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Satoshi Kojima
聡史 小島
Hiroyuki Tanaka
裕之 田中
Takashi Mimura
尚 三村
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Toray Industries Inc
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 薄膜のフィルムであっても、耐熱性、寸法安
定性、機械的強度、耐摩耗性に優れている積層フィルム
を提供する。 【解決手段】 二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの少なく
とも片面に、Si、Al、Zr、Ti、In、Sn、Z
nから選ばれる少なくとも1種類以上の金属からの金属
アルコキシド及び/又はその加水分解物と無機粒子とか
らなるゾル溶液を塗布し、金属アルコキシドをゾルゲル
反応させることによって形成される無機層を積層させ、
その無機層の厚み、無機層中の炭素元素濃度を特定範囲
内とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、積層フィルムの改
良に関し、特定の無機層を二軸配向熱可塑性樹脂フィル
ム上に設けることにより耐熱性、寸法安定性、機械的強
度、耐摩耗性に優れた積層フィルムであって、各種工業
材料、磁気材料などに好適な積層フィルムに関するもの
である。
【0002】
【従来の技術】従来、ポリエステルやポリオレフィンな
どの二軸配向熱可塑性樹脂フィルムは、その良好な透明
性、機械的特性、電気的特性などから磁気記録材料、電
気絶縁材料、コンデンサ用材料、包装材料、写真、グラ
フィック、感熱転写などの各種工業材料として使用され
ている。中でも、磁気記録媒体用途においては、テープ
状のものが記録面積を大きく取れることから、ビデオテ
ープやデーターテープとして広く用いられているが、近
年、磁気記録媒体の高容量化が望まれており、その方法
として、磁気記録媒体の支持体を薄膜化することが考え
られている。
【0003】通常、磁気記録媒体の支持体としては、ポ
リエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナ
フタレート(PEN)等のポリエステル系のフィルムを
はじめとする非磁性支持体が用いられ、その厚さは例え
ばVHS型のビデオテープでは16μm程度、8mmビ
デオテープでは9μm程度であるが、高容量化(小型・
長時間)を達成するために、より一層支持体の薄膜化を
進める必要がある。薄膜化されたテープを用いる場合に
は、今までの厚いテープとの互換性(媒体に対するヘッ
ドの当たりや走行性、加工時の耐熱性など)を得ること
が望まれ、この観点から、支持体として、機械的強度を
上げるために延伸方法を工夫して製膜されたポリエステ
ルフィルムや機械的強度、熱的強度の高いポリアミドフ
ィルムが用いられている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、延伸方
法を工夫する方法では、幅方向、長手方向の弾性率が共
に7GPa以上のポリエステルフィルムを製膜すること
が困難であり、また、ポリアミドフィルムは現在市販さ
れている量が従来の市販ポリエステルフィルムの量と比
べて格段に少なく、ポリアミドフィルムによる量的拡大
には制約が多い。また、ポリエステルやポリプロピレン
をそのまま用いると、機械的強度、熱的強度が低いの
で、加工時のトラブルにより生産性が悪く、磁気記録材
料、各種工業材料での使用においても、十分な性能を有
したままの薄膜化には限界があった。
【0005】例えば、機械的強度が弱い薄膜フィルムを
磁気記録媒体の支持体として使用した場合、磁性層を塗
布する工程でかかる大きな張力により皺が入り、精度の
良い塗布が不可能となったり、フィルム搬送時にフィル
ム破れが多発したりする。また磁性層を蒸着で設ける場
合には、瞬間的にフィルム表面が高温になるために平面
性が悪化したり、最悪の場合にはフィルムが融けて切れ
てしまい、生産効率を大きく低下させる原因となる。
【0006】更に、薄膜化すると、フィルム表面に微小
な傷が付いたときに破れや切れが発生しやすくなるので
高度な耐摩耗性、耐傷性が必要となる。
【0007】本発明はこれらの欠点を解消せしめ、薄膜
フィルムであっても耐熱性、寸法安定性、機械的強度、
耐摩耗性に優れた積層フィルムを提供することを目的と
するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成する本
発明の積層熱可塑性樹脂フィルムは、二軸配向熱可塑性
樹脂フィルムの少なくとも片面に、Si、Al、Zr、
Ti、In、Sn、Znから選ばれる少なくとも1種類
以上の金属元素からの金属酸化物及び/又はその誘導体
と無機粒子とからなる無機層が積層されてなり、無機層
の厚みが積層フィルム全体厚みの5%以上40%以下で
あり、かつ、無機層に含まれる炭素元素濃度が0%以上
20%以下であることを特徴とするものである。
【0009】
【発明の実施の形態】本発明における二軸配向熱可塑性
樹脂フィルムとは、溶融押し出し可能で、かつ二軸延伸
により結晶配向し得る熱可塑性樹脂からなる二軸配向フ
ィルムである。その具体例としては、ポリエステル、ポ
リオレフィン、ポリアミド、ポリフェニレンスルフィド
などからなる二軸配向フィルムがあり、特にポリエステ
ルフィルムが透明性、寸法安定性、機械的特性、および
本発明で特定した無機層との密着性などに優れる点で好
ましい。好ましいポリエステルとしては、特に限定しな
いが、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフ
タレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリブチレ
ンテレフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどで
あって、これらの2種以上が混合されたものであっても
よい。またこれらと他のジカルボン酸成分やジオール成
分が共重合されたものであっても良いが、この場合は結
晶配向が完了したフィルムにおいて、その結晶化度が2
5%以上、好ましくは30%以上、更に好ましくは35
%以上のものが好ましい。
【0010】また内層と表層の2層以上の複合体フィル
ムであっても良い。例えば内層部に実質的に粒子を含有
せず、表層部に粒子を含有させた層を設けた複合体フィ
ルム、内層部に粗大粒子を有し、表層部に微細粒子を含
有させた積層体フィルム、内層部が微細な気泡を含有し
た層であって表層部は実質的に気泡を含有しない複合体
フィルムなどが挙げられる。また上記複合体フィルムは
内層部と表層部が異種のポリマーであっても同種のポリ
マーであっても良い。結晶化度が25%未満の場合に
は、寸法安定性や機械的強度が不充分となりやすい。上
述したポリエステルを使用する場合にはその極限粘度
(25℃のo−クロロフェノール中で測定)は0.4〜
1.2dl/gが好ましく、0.5〜0.8dl/gで
あるのがより好ましい。
【0011】本発明において、熱可塑性樹脂フィルム
は、機械的強度や寸法安定性などの点で二軸配向してい
なければならない。二軸配向しているとは、例えば未延
伸、すなわち結晶配向が完了する前の熱可塑性樹脂フィ
ルムを長手方向および幅方向にそれぞれ2.5〜5.0
倍程度延伸し、その後熱処理により結晶配向を完了させ
たものであり、広角X線回折で二軸配向のパターンを示
すものをいう。熱可塑性樹脂フィルムが二軸配向してい
ない場合には、積層フィルムの熱安定性、特に寸法安定
性や機械的強度が不十分であったり、平面性の悪いもの
となるので好ましくない。
【0012】本発明の二軸配向熱可塑性樹脂フィルム中
には、本発明の効果を阻害しない範囲内で各種の添加剤
や樹脂組成物、架橋剤などを含有しても良い。例えば酸
化防止剤、耐熱安定剤、紫外線吸収剤、有機、無機の粒
子、顔料、染料、帯電防止剤、核剤、アクリル樹脂、ポ
リエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリオレフィン樹脂、
ポリカーボネート樹脂、アルキッド樹脂、エポキシ樹
脂、尿素樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、ゴム
系樹脂、ワックス組成物、メラミン系架橋剤、オキサゾ
リン系架橋剤、メチロール化、アルキロール化された尿
素系架橋剤、アクリルアミド、ポリアミド、エポキシ樹
脂、イソシアネート化合物、アジリジン化合物、各種シ
ランカップリング剤、各種チタネート系カップリング剤
などを挙げることができる。
【0013】これらの中でも無機の粒子、例えばシリ
カ、コロイダルシリカ、アルミナ、アルミナゾル、カオ
リン、タルク、マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウ
ム、カーボンブラック、ゼオライト、酸化チタン、金属
微粉末などを添加した場合には易滑性、耐傷性などが向
上するので特に好ましい。用いる無機粒子の平均粒子径
は0.005〜5μmが好ましく、より好ましくは0.
05〜1μm程度であり、更に好ましくは0.08〜
0.5μm程度である。また、その添加量は0.01〜
5重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜1重量
部であり、更に好ましくは0.03〜0.5重量部であ
る。
【0014】本発明の積層フィルムの厚みは特に限定さ
れるものではなく、用途に応じて適宜選択されるが、機
械的強度、ハンドリング性などの点から、通常1〜30
μm、好ましくは2〜20μmであり、更に好ましくは
3〜10μmである。例えば、磁気記録材料用途では1
〜20μm、各種印刷用リボン用途では3〜20μmな
どである。また、得られたフィルムを各種の方法で貼り
合わせて用いることもできる。
【0015】本発明の積層フィルムは上記二軸配向熱可
塑性樹脂フィルムの少なくとも片面に、金属元素がS
i、Al、Zr、Ti、In、Sn、Znから選ばれる
少なくとも1種類以上である金属酸化物及び/又はその
誘導体と無機粒子とからなる無機層が積層されたもので
あり、この無機層によりフィルムの耐熱性、寸法安定
性、機械的強度、耐摩耗性が向上する。
【0016】本発明における無機層を形成する金属酸化
物及び/又はその誘導体は、その金属元素がSi、A
l、Zr、Ti、In、Sn、Znから選ばれる少なく
とも1種類以上であることを要する。金属酸化物として
は、それら金属の金属アルコキシドからゾルゲル反応に
より生成され得る金属酸化物が挙げられ、例えば、Si
2、Al23、TiO2、ZrO2などで表記される金属酸
化物が例示される。その誘導体としては、アルコキシが
残っているもの、アルキル基が金属原子と直接結合して
いるものなどが挙げられる。
【0017】この様な金属酸化物及び/又はその誘導体
を含む無機層は、蒸着により設けられても良いし、金属
酸化物及び/又はその誘導体を含む溶液を塗布すること
により設けられても良いし、また、金属アルコキシド及
び/又はその加水分解物を含む溶液を塗布し、その溶液
のゾルゲル反応により形成されても良い。この中で最も
好ましいのは金属アルコキシド及び/又はその加水分解
物を含むゾル溶液を塗布し、そのゾル溶液中の金属アル
コキシドをゾルゲル反応させることににより形成する方
法である。本発明で述べるゾルゲル反応とは、ゾル溶液
が塗布後の加熱乾燥時に、溶液中に含まれる金属アルコ
キシド及び/又はその加水分解物の更なる加水分解反応
及び/又は縮合反応による膨潤ゲルを経て、乾燥ゲルと
なる反応のことである。この方法がもっとも平滑で、層
厚みが厚く、機械的強度に優れた無機層を設けることが
できるからである。
【0018】この様な金属アルコキシド及び/又はその
加水分解物としては、シラン、アルミニウム、ジルコニ
ウム、チタン、インジウム、スズ、亜鉛の2価以上(よ
り好ましくは3価又は4価)の金属原子を1個有し、こ
れに1個以上、より好ましくは2個以上、特に好ましく
は3個以上のアルコキシ基が結合している化学構造を有
する化合物及び/又はこれらの加水分解物が好ましい。
アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロ
ポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基等が例示され
るがこれに限定されるものではない。金属原子はアルコ
キシ基以外の置換基を有していてもよく、その置換基と
してはアルキル基(メチル基等)、アリール基(フェニ
ル基等)、ハロゲン原子(塩素原子等)等が例示され
る。
【0019】この金属アルコキシドの具体例としては、
テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ
−n−プロポキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラ
ン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラアセチルオキ
シシラン、テトラフェノキシシラン、メチルトリメトキ
シシラン、エチルトリメトキシシラン、フェニルトリメ
トキシシラン、クロロトリメトキシシラン等のアルコキ
シシラン化合物;テトラメトキシチタン、テトラエトキ
シチタン、テトライソプロポキシチタン、メチルトリイ
ソプロポキシチタン等のアルコキシチタン化合物;トリ
メトキシアルミニウム、トリエトキシアルミニウム、ト
リイソプロポキシアルミニウム、メチルジイソプロポキ
シアルミニウム、トリブトキシアルミニウム、ジエトキ
シアルミニウムクロリド等のアルコキシアルミニウム化
合物;テトラエトキシジルコニウム、テトライソプロポ
キシジルコニウム、メチルトリイソプロポキシジルコニ
ウム等のアルコキシジルコニウム化合物などが挙げられ
る。
【0020】また、上記金属アルコキシドの加水分解物
としては、上記金属アルコキシドからアルコキシ基が1
つ、または2つ加水分解された加水分解物が挙げられ
る。上記金属アルコキシドの中で、溶液の安定性、溶液
の調合のしやすさ、得られる膜の機械的強度の点からア
ルコキシシラン類が好ましく、その中でもテトラエトキ
シシランが特に好ましい。
【0021】本発明において無機層を形成するために塗
布されるゾル溶液中には無機粒子も含まれ、下記に挙げ
るような無機粒子を用いることができる。例えばシリ
カ、コロイダルシリカ、アルミナ、カオリン、タルク、
マイカ、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、ゼオライト、
酸化チタン、などが挙げられるがこれに限定されるもの
ではない。また、これら無機粒子の複数種が混合されて
いても良い。これら無機粒子の平均粒子径は1〜500
nmが好ましく、より好ましくは5〜100nm程度で
あり、更に好ましくは10〜50nm程度である。
【0022】これら無機粒子としては、使用する金属ア
ルコキシドの種類に応じて適宜選択することが好まし
い。例えば使用する金属アルコキシドがテトラエトキシ
シランの場合にはコロイダルシリカが、無機層の機械的
強度を向上させる上で好適である。
【0023】無機層を形成するためのゾル溶液におい
て、金属アルコキシド及び/又はその加水分解物と、無
機粒子との混合比は、重量比で9/1〜4/6が好まし
い。更に好ましくは8/2〜5/5である。金属アルコ
キシド及び/又はその加水分解物と無機粒子との混合比
が9/1より無機粒子が少ないと、無機層厚みを厚くし
た場合塗膜乾燥時に亀裂が入ってしまい、きれいな連続
塗膜とならず、逆に、4/6より無機粒子が多いと機械
的強度向上効果が十分発揮されないからである。
【0024】本発明において、積層された無機層の厚み
は積層フィルム全体厚みの5%以上、40%以下でなけ
ればならない。好ましくは15%以上、25%以下であ
る。無機層の厚みが積層フィルム全体厚みの5%未満な
らば、無機層を積層させることによる機械的強度の向上
効果、耐熱性、寸法安定性の向上効果が小さく、40%
より大きければフィルムの可撓性が損なわれ、巻き取る
ことが困難となったり、巻き取り時に無機層に亀裂が入
ったり、最悪の場合には、多数の亀裂のために連続無機
膜とならず、本発明の効果を発現できない。
【0025】また、本発明の効果をより有効に発現させ
るためには、無機層を二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの
両面に設ける方が好ましく、それにより機械的強度、耐
熱性、寸法安定性、平面性が飛躍的に向上できる。
【0026】本発明における無機層には本発明の効果を
阻害しない範囲内で各種の添加剤や樹脂組成物、架橋剤
などを含有しても良い。例えば酸化防止剤、耐熱安定
剤、紫外線吸収剤、有機粒子、顔料、染料、帯電防止
剤、核剤、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン
樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ア
ルキッド樹脂、エポキシ樹脂、尿素樹脂、フェノール樹
脂、シリコーン樹脂、ゴム系樹脂、ワックス組成物、メ
ラミン系架橋剤、オキサゾリン系架橋剤、メチロール
化、アルキロール化された尿素系架橋剤、アクリルアミ
ド、ポリアミド、エポキシ樹脂、イソシアネート化合
物、アジリジン化合物、各種シランカップリング剤、各
種チタネート系カップリング剤などを挙げることができ
る。
【0027】更に本発明においては無機層に含まれる炭
素元素濃度が0%以上、20%以下で無ければならな
い。無機層中の炭素元素濃度が20%より大きいと、無
機層に十分な機械的強度を持たせることができなるなる
からである。
【0028】本発明の無機層を形成するゾル溶液には必
要に応じて、硬化速度を速める目的で、また、金属アル
コキシドの縮合率を上げる目的で、触媒を加えても良
い。例えば、本発明の組成物をより速く硬化させるにあ
たっては、硬化条件により硬化促進剤を使用してもよ
く、比較的低い温度で硬化させるためには、硬化促進剤
を併用する方が効果的である。
【0029】硬化促進剤としては、塩酸などの無機酸;
ナフテン酸、オクチル酸、亜硝酸、亜硫酸、アルミン
酸、炭酸などのアルカリ金属塩;水酸化ナトリウム、水
酸化カリウムなどのアルカリ性化合物;アルキルチタン
酸、リン酸、メタンスルホン酸、p−トルエンスルホン
酸、フタル酸などの酸性化合物;エチレンジアミン、ヘ
キサンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレン
テトラミン、テトラエチレンペンタミン、ピペリジン、
ピペラジン、メタフェニレンジアミン、エタノールアミ
ン、トリエチルアミンなどのアミン系化合物;(C49
2Sn(OCOC11232 、(C492 Sn(O
COCH=CHCOOCH32 などのカルボン酸型有
機スズ;(C492SnO、(C8172SnO、ま
たは(C4 92SnO、(C8172SnOなどの有
機スズオキサイドとエチルシリケート、マレイン酸ジメ
チル、マレイン酸ジエチル、フタル酸ジオクチルなどの
エステル化合物との反応生成物などの有機スズ化合物な
どが使用される。これらの硬化促進剤のゾル溶液中にお
ける割合の範囲は、無機層形成用の固形分100重量部
に対して、通常、0.1〜50重量部、好ましくは0.
5〜30重量部が用いられる。
【0030】本発明においては、二軸配向熱可塑性樹脂
フィルム基材の少なくとも片面に上記無機層が積層され
るが、この積層状態において、無機層と二軸配向熱可塑
性樹脂フィルム層(基材)とが直接密着していることが
好ましい。直接密着しているとは、基材上に無機層が積
層された状態において基材と無機層との界面に、基材お
よび無機層を形成する物質以外の物質による層が形成さ
れていないことを意味するものである。ただしその界面
において基材と無機層層との混在層が形成された場合に
は、より接着性が向上するので特に好ましく、その層は
接着層の定義から外れるものである。
【0031】二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの上に、上
記無機層を直接密着させて設ける方法として以下の方法
が挙げられる。第1に、金属元素がSi、Al、Zr、
Ti、In、Sn、Znから選ばれる少なくとも1種類
以上である金属アルコキシド及び/又はその加水分解物
と無機粒子とを含有するゾル溶液を、二軸配向熱可塑性
樹脂フィルムの少なくとも片面に塗布、乾燥し、150
℃以上の温度で熱処理を行い無機膜を形成する方法、第
2に、高沸点双極性非プロトン溶媒を溶媒とし、金属元
素がSi、Al、Zr、Ti、In、Sn、Znから選
ばれる少なくとも1種類以上のである金属アルコキシド
及び/又はその加水分解物と無機粒子とを含有するゾル
溶液を、実質的に結晶配向が完了する前のポリエステル
フィルム上に塗布した後、延伸、乾燥、熱処理すること
により無機膜を形成する方法などがある。
【0032】これらの中でも第2の方法によると、その
界面において、基材の熱可塑性樹脂と無機層との混在層
を形成させることが可能であるので、この様な混在層の
形成により、より密着性が向上するので特に好ましい。
また、第2の方法によると、一貫した工程で製膜するこ
とが可能であるので生産効率が良く、コスト低減の面で
も望ましい。
【0033】先に述べた高沸点双極性非プロトン溶媒と
は、例えばN−メチル−2−ピロリドンなどがあるがこ
れに限定されるものではない。
【0034】本発明において、熱可塑性樹脂フィルム上
へ無機層形成用の塗液を塗布する方法としては、各種の
塗布方法、例えば、リバースコート法、グラビアコート
法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法など
を用いることができる。特に、上記第1の方法ではリバ
ースグラビアコート法が高速塗布が可能で、均質な無機
層を設けることが可能なので好適に用いられ、上記第2
の方法ではバーコート法が厚膜塗布に対応しやすい点で
好適に用いられる。
【0035】このようにして得られる積層フィルムの無
機層と基材との接着性は、T字剥離における剥離応力が
100g/25mm幅、以上、好ましくは200g/2
5mm幅、以上となるように積層されることが好まし
い。100g/25mm、未満では、各種用途に使用し
たときに無機層が剥離する問題が生じる場合がある。
【0036】この様にして設けられた無機層の分析手段
として、以下のものが挙げられるがこれに限定するもの
ではない。無機層を形成する金属元素は、二次イオン質
量分析(Secondary Ion Mass Spectrometry;SIMS)に
よって同定することができ、無機層中の炭素原子濃度は
無機層を削り取り、元素分析を行うことで調べることが
できる。また、積層フィルムに対する無機層の厚み比
は、積層フィルムから断面を切り出し、その断面を透過
型電子顕微鏡で観察することで測定できる。
【0037】この様な積層フィルムの製造方法につい
て、以下具体的に記述するが必ずしもこれに限定される
ものではない。まず、基材となる熱可塑性樹脂を真空乾
燥して充分に水分を除去した後、押し出し機に供給し、
その樹脂の融点以上の温度で溶融押し出しし、T字型の
口金からシート状に成形する。このシートを鏡面の冷却
ドラム上で冷却固化せしめて未延伸シートを得る。この
時キャストドラムとの密着性を向上させる目的で静電印
加法を用いるのが好ましい。その後、熱可塑性樹脂のガ
ラス転移点以上で長手方向に2〜5倍の延伸を行う。こ
の1軸延伸フィルムの表面に、双極性非プロトン溶媒に
溶解した無機層形成用のゾル溶液を塗布し、その後フィ
ルムの両端をクリップで把持しつつテンターに導く。
【0038】テンター内で予熱後、幅方向に約2〜5倍
延伸するが、ここで予熱延伸工程は双極性非プロトン溶
媒の沸点以下の温度とし、延伸中において、フィルム表
面に塗布されたゾル溶液の濃度が50%以下の状態とな
るようにする。延伸前もしくは延伸中に溶媒が多く蒸発
揮散して残留していない場合には基材との共延伸が不可
能であり、フィルム破れや無機層の亀裂が生じ、均一な
無機層が形成されない。基材に透明な熱可塑性フィルム
を用いた場合には、その積層フィルムのヘイズは4%以
下となるようにするのが好ましく、このような積層フィ
ルムを得るためには基材の延伸後に無機層が乾燥、硬化
することが必要がある。幅方向に延伸した積層フィルム
は、更に熱処理を行い、基材フィルムの結晶配向を完了
させるが、その工程においては双極性非プロトン溶媒の
沸点より高い温度で、かつ、弛緩処理を行いながら熱処
理を行う必要がある。熱処理温度が溶媒の沸点より低い
場合には、積層膜中に溶媒が残存し、積層膜の強度が低
下したり、接着性が悪くなるなどの問題が生じ、また、
弛緩処理を行わなかった場合には、塗膜に多数の亀裂が
入るために目的の性能を示さなくなるからである。
【0039】具体的に例示すれば、熱可塑性樹脂として
ポリエチレンテレフタレートを用い、双極性非プロトン
溶媒としてN−メチル−2−ピロリドンを用いた場合に
は、その沸点が202℃であるので、予熱温度を100
〜150℃、延伸温度を85〜130℃、熱処理温度を
205〜245℃程度とするのが好ましい。必要以上に
熱処理温度を高くすると結晶配向が崩れて平面性の悪化
や強度の低下を招きやすいの少なくとも熱可塑性樹脂の
融点より10℃以下、好ましくは20℃以下の温度とす
るのが良い。このような方法によって作製する積層フィ
ルムの無機層の厚みは全フィルム厚みの5%以上、40
%以下、好ましくは15%以上、25%以下が望まし
い。また基材フィルムの厚みは、1μm〜30μmで用
途により適宜選択することができる。また積層フィルム
は熱処理を行うときに、5%〜20%程度、好ましくは
7%〜15%程度の弛緩処理を施した方がよい。
【0040】このようにして本発明の積層フィルムを製
造することができる。
【0041】[特性の測定方法および効果の評価方法]
本発明における特性の測定方法および効果の評価方法は
次のとおりである。 (1)無機層の厚み 積層フィルムから断面を切り出し、その断面を透過型電
子顕微鏡で観察し、積層膜(無機層)の厚みを測定し
た。なお混在相がある場合は混在相を含めた厚みを積層
膜の厚みとした。 (2)無機層の接着性 積層フィルムの両面にポリウレタン(“タケラック”A
−385/“タケネート”A−50(重量比6/1で混
合))の酢酸エチル溶液を乾燥後の厚みが3μmとなる
ように塗布し、110℃で1分間乾燥した。コロナ放電
処理を施した50μmの二軸延伸ポリプロピレンフィル
ムを張り合わせ、90℃で熱ラミネートした。その後、
45℃で70時間熱処理を行い、25mm幅の短冊状に
サンプリングし、テンシロン型引っ張り試験機にて10
0mm/分の速度でT字剥離を行い、界面接着力を求め
た。剥離応力300g/25mmでも積層膜(無機層)
が全く剥離しなかった場合を「測定不能」とした。界面
接着力が200g/25mm以上又は測定不能を良好と
した。
【0042】(3)無機層中の炭素元素濃度 積層フィルムの無機層を約10mg削り取り、CHN分
析装置(ヤナコ CHN CORDER MT-5型)で元素分析を行
い、無機層中の炭素元素濃度を測定した。 (4)耐熱平面性 A4サイズにカットした積層フィルムを150℃に加熱
された平滑なホットプレート上に3分間のせ、その後、
室温程度の平滑な金属板上に3分間放置した。そのとき
の積層フィルムの表面の凹凸、界面への空気の噛み込み
などを目視で観察した。平面性が変化しなかったものを
◎、端部が若干カールするが平面性が変化しなかったも
のを○、平面性が悪化し表面に凹凸があるがものは△、
カールがひどく多数の皺が発生したものを×とした。
【0043】(5)耐傷性 A4サイズにカットした積層フィルムを平滑なガラス板
上におき、#0000番のスチールウールで500g/
cm2の荷重をかけて、無機層表面を10回こすった時
の、表面の傷つき具合を目視で観察した。 10回こすっても表面に傷がつかなかった場合:◎ 6回以上、10回未満こすったときに表面に傷がついた
場合:○ 3回以上、6回未満こすったときに表面に傷がついた場
合:△ 3回未満こすったときに表面に表面に傷がついた場合:
× ◎、○を合格とした。
【0044】(6)フィルムのヤング率 フィルム長手方向又はフィルム幅方向に、長さ200m
m、幅10mmの短冊状のサンプルを切り出して用い
た。JIS K−7127に規定された方法に従って、
東洋精機製作所株式会社製の引っ張り試験器を用いて2
5℃、65%RHにて測定した。初期引っ張りチャック
間距離は100mmとし、引っ張り速度は300m/分
とした。測定はサンプルを変更して20回行い、その平
均を用いた。薄膜での高密度磁気記録テープ等で使用す
る場合、長手方向、幅方向のヤング率が共に高いことが
望ましく、長手方向/幅方向のヤング率が5GPa/5
GPaを下回ると搬送系で皺などの塑性変形が生じ易く
なる、などの問題が発生しやすくなる。この理由から長
手方向、幅方向のヤング率が共に5GPa以上が好まし
いものである。
【0045】
【実施例】次に実施例に基づいて本発明を説明するが、
必ずしもこれに限定されるものではない。
【0046】実施例1 テトラエトキシシラン(東京化成(株)製)(濃度10
0%)とコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製ST
−O)(濃度20%)とを重量比6/10の比率で混合
し、6時間攪拌した。その後、その混合液をN−メチル
−2−ピロリドンで3倍に希釈し、ゾル溶液とした。一
方、平均粒径0.3μmのコロイダルシリカを0.01
5重量%含有するポリエチレンテレフタレート(極限粘
度0.63dl/g)チップを180℃で充分に真空乾
燥した後、押し出し機に供給し、285℃で溶融後、T
字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャスト法
を用いて表面温度20℃の鏡面キャストドラムに巻き付
けて冷却固化した。この未延伸シートを95℃に加熱し
たロール群で長手方向に3.5倍延伸し、1軸延伸フィ
ルムを得た。
【0047】この1軸延伸フィルムの両面に先に調合し
た無機層形成用ゾル溶液をバーコート方式で50μm厚
に塗布した。塗布されたフィルムの両端をクリップで把
持しつつ90℃の予熱ゾーンに導き、引き続き100℃
の加熱ゾーンで幅方向に3.3倍延伸した。更に連続的
に230℃の熱処理ゾーンで10%の弛緩処理を行いな
がら5秒間の熱処理を施し、基材フィルムの結晶配向を
完了させた。この積層フィルムは厚みが6μm、片面当
たりの無機層厚みが0.5μm(全積層フィルム厚みに
対して17%)であり、透明性に優れたものであった。
また界面の接着性は良好で無機層は全く剥がれなかっ
た。その無機層の炭素元素濃度は10.5%であった。
【0048】更にその積層フィルムの耐熱平面性は良好
であり、そのヤング率は長手方向8.0GPa、幅方向
8.7GPaであった。また、その積層フィルムの耐傷
性は良好であった。
【0049】実施例2 実施例1において無機層形成用ゾル溶液を構成する金属
アルコキシドとしてメチルトリエトキシシラン(SZ6
070東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)を
用いた以外は実施例1と同様にして積層フィルムを作製
した。得られた積層フィルムにおける無機層の炭素元素
濃度は15.3%であった。またこの積層フィルムのヤ
ング率は長手方向5.0GPa、幅方向5.8GPaで
あった。
【0050】実施例3 実施例1において無機層形成用ゾル溶液を以下に示した
ゾル溶液に変更した以外は実施例1と同様にして積層フ
ィルムを作製した。窒素雰囲気下で、テトラエトキシシ
ランとテトライソプロポキシチタンとを重量比10/3
で混合し、この混合液に対してコロイダルシリカのメタ
ノールゾル(日産化学工業(株)製MA−ST−S)
(25%)を重量比5/5で加え、さらに0.1Nの塩
酸をゆっくりと10重量部攪拌しながら加えた。この溶
液を4時間反応攪拌後、N−メチル−2−ピロリドンで
3倍に希釈し、無機層形成用ゾル溶液とした。
【0051】得られた積層フィルムにおける無機層の炭
素元素濃度は9.3%であった。またこの積層フィルム
のヤング率は長手方向7.1GPa、幅方向7.8GP
aであった。
【0052】比較例1 無機層の片面当たりの厚みを0.1μm(全積層フィル
ム厚みに対して4%)に変更した以外は実施例1と同様
にして積層フィルムを作成した。得られた積層フィルム
は、耐熱平面性において、平面性の悪化が見られた。
【0053】実施例4 無機層の片面当たりの厚みを0.2μm(全積層フィル
ム厚みに対して7%)に変更した以外は実施例1と同様
にして積層フィルムを作成した。得られた積層フィルム
における無機層の炭素元素濃度は10.8%であった。
更にその積層フィルムの耐熱平面性は良好であり、その
ヤング率は長手方向5.8GPa、幅方向6.7GPa
であった。その積層フィルムの耐傷性は良好であった。
【0054】実施例5 実施例1において無機層形成用ゾル溶液を構成する金属
アルコキシドとしてメチルトリエトキシシラン(SZ6
070東レ・ダウコーニング・シリコーン(株)製)を
用い、さらに無機層の片面当たりの厚みを1.5μm
(全積層フィルム厚みに対して38%)とした以外は実
施例1と同様にして積層フィルムを作製した。得られた
積層フィルムにおける無機層の炭素元素濃度は15.4
%であった。またこの積層フィルムのヤング率は長手方
向6.0GPa、幅方向7.1GPaであった。
【0055】比較例2 無機層の片面当たりの厚みを2.0μm(全積層フィル
ム厚みに対して44%)に変更した以外は実施例5と同
様にして積層フィルムを作成した。得られた積層フィル
ムは、無機層の膜に多数の亀裂が入っており、平滑な連
続無機層を有する積層フィルムは得られなかった。
【0056】比較例3 実施例1において、無機層形成ゾル溶液を塗布しなかっ
た以外は実施例1と同様にしてフィルムを作成した。得
られた積層フィルムは耐熱平面性において不良であり、
機械的強度も不足していた。
【0057】実施例6 厚み5.8μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレート
フィルムの市販品“ルミラー”F53(東レ(株)製)
に、実施例1の無機層形成用ゾル溶液の調合において希
釈溶媒のN−メチル−2−ピロリドンをエタノールに変
更して5倍に希釈して得られたゾル溶液を、無機層形成
用ゾル溶液として用い、最終積層厚みが片面あたり0.
5μm(全積層フィルム厚みに対して15%)となるよ
うに両面に塗布し、100℃で3分間乾燥させた。更に
端部を固定することなく200℃で10秒間乾燥し、積
層フィルムを得た。
【0058】得られた積層フィルムの接着力は280g
/25mmで良好で、耐熱平面性も良好であった。ま
た、無機層中の炭素元素濃度は9.8%であった。この
積層フィルムのヤング率は長手方向7.8Gpa、幅方
向7.0GPaであった。
【0059】比較例4 実施例6において用いた二軸配向ポリエチレンテレフタ
レートフィルムの市販品“ルミラー”F53(東レ
(株)製)を、無機層を形成させずにそのまま測定し
た。その結果、耐熱平面性が不良であった。
【0060】実施例7 テトラエトキシシラン(東京化成(株)製)(濃度10
0%)とコロイダルシリカ(日産化学工業(株)製ST
−O)(濃度20%)とを重量比6/10の比率で混合
し、6時間攪拌した。その後、その混合液をN−メチル
−2−ピロリドンで3倍に希釈し、ゾル溶液とした。
【0061】一方、平均粒径0.3μmのコロイダルシ
リカを0.015重量%含有するポリエチレンナフタレ
ート(以下PENという)チップを180℃で充分に真
空乾燥した後、押し出し機に供給し、300℃で溶融
後、T字型口金よりシート状に押し出し、静電印加キャ
スト法を用いて表面温度20℃の鏡面キャストドラムに
巻き付けて冷却固化した。この未延伸シートを135℃
に加熱したロール群で長手方向に3.9倍延伸し、1軸
延伸PENフィルムを得た。
【0062】この1軸延伸PENフィルムの両面に先に
調合した無機層形成用ゾル溶液をバーコート方式で50
μm厚に塗布した。塗布されたフィルムの両端をクリッ
プで把持しつつ100℃の予熱ゾーンに導き、引き続き
135℃の加熱ゾーンで幅方向に5.4倍延伸した。更
に連続的に230℃の熱処理ゾーンで10%の弛緩処理
を行いながら5秒間の熱処理を施し、基材フィルムの結
晶配向を完了させた。この積層フィルムは厚みが6μ
m、片面当たりの無機層厚みが0.5μm(全積層フィ
ルム厚みに対して17%)であり、透明性に優れたもの
であった。また界面の接着性は良好で無機層は全く剥が
れなかった。その無機層の炭素元素濃度は10.1%で
あった。
【0063】更にその積層フィルムの耐熱平面性は良好
であり、そのヤング率は長手方向9.4GPa、幅方向
9.4GPaであった。その積層フィルムの耐傷性は良
好であった。
【0064】比較例5 厚み5.8μmの二軸配向ポリエチレンテレフタレート
フィルムの市販品“ルミラー”F53(東レ(株)製)
に、一般的なハードコート剤を塗布して無機層の代わり
に有機層を積層した。その塗液としては、ジペンタエリ
スリトールヘキサアクリレート70重量部、及びN−ビ
ニルピロリドン30重量部、1−ヒドロキシシクロヘキ
シルフェニルケトン4重量部を混合し、これをメチルエ
チルケトンで10%に希釈した液を用いた。wet膜厚
み5μmとなるようにフィルム片面に塗布し、熱風オー
ブンで乾燥させ、120W/cmの照射強度を有する高
圧水銀灯で、紫外線を10秒間照射し、硬化させた。更
に同様にして裏面にも処理をした。得られた積層フィル
ムの積層膜厚みは片面あたり0.5μmであった。
【0065】その積層フィルムのヤング率は長手方向
4.0Gpa、幅方向4.9GPaであり、強度不足で
あった。また、耐熱平面性も不良であった。
【0066】上気した各実施例、比較例の結果をまとめ
て表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの片面又
は両面に特定の無機層を積層させてなる本発明の積層フ
ィルムは、薄膜のフィルムであっても、耐熱性、寸法安
定性、機械的物性、耐摩耗性に優れ、電気絶縁材料、感
熱転写材料、グラフィック材料、コンデンサーなどの各
種工業材料や、磁気材料などとして好適に使用すること
ができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) // B29K 67:00 B29K 67:00 B29L 9:00 B29L 9:00 C08L 101:00 C08L 101:00 Fターム(参考) 4F006 AA35 AB64 AB67 AB68 AB76 BA02 BA06 CA02 EA05 4F100 AA01B AA17B AA19B AA20B AA21B AA25B AA27B AA28B AK01A AK41A BA02 DE01B EJ38A GB41 JA20 JA20B JB16A JK06 JM01B YY00 YY00B 4F210 AA24 AG01 AG03 AH38 QA02 QA03 QC05 QC06 QD08 QG01 QG18 5D006 CB01 CB07 CB08

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 二軸配向熱可塑性樹脂フィルムの少なく
    とも片面に、Si、Al、Zr、Ti、In、Sn、Z
    nから選ばれる少なくとも1種類以上の金属元素からの
    金属酸化物及び/又はその誘導体と無機粒子とからなる
    無機層が積層されてなり、無機層の厚みが積層フィルム
    全体厚みの5%以上40%以下であり、かつ、無機層に
    含まれる炭素元素濃度が0%以上20%以下であること
    を特徴とする積層フィルム。
  2. 【請求項2】 無機層が、Si、Al、Zr、Ti、I
    n、Sn、Znから選ばれる少なくとも1種類以上の金
    属元素からの金属アルコキシド及び/又はその加水分解
    物と無機粒子とを含有するゾル溶液を塗布し、金属アル
    コキシドをゾルゲル反応させることによって形成された
    無機層であることを特徴とする請求項1記載の積層フィ
    ルム。
  3. 【請求項3】 積層フィルムの全体厚みが1μm以上、
    30μm以下であることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の積層フィルム。
  4. 【請求項4】 二軸配向熱可塑性樹脂フィルムと無機層
    とが直接密着し、その剥離応力が100g/25mm、
    以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに
    記載の積層フィルム。
  5. 【請求項5】 無機層を形成する金属酸化物に含まれる
    主な金属元素がSiであることを特徴とする請求項1〜
    4のいずれかに記載の積層フィルム。
  6. 【請求項6】 無機層を形成するために塗布されるゾル
    溶液中に含まれる主な無機粒子の粒径が1nm以上50
    0nm以下であることを特徴とする請求項2に記載の積
    層フィルム。
  7. 【請求項7】 二軸配向熱可塑性樹脂フィルムがポリエ
    ステルフィルムであることを特徴とする請求項1〜6の
    いずれかに記載の積層フィルム。
  8. 【請求項8】 積層フィルムが、磁気記録テープに用い
    られるフィルムであることを特徴とする請求項1〜7の
    いずれかに記載の積層フィルム。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2012067285A1 (ko) * 2010-11-18 2012-05-24 코오롱글로텍주식회사 투명 플렉시블 필름 및 이의 제조방법
US20120225319A1 (en) * 2009-11-10 2012-09-06 Christian Seidel Coated insulating films for electric machines and manufacturing process therefor
US20130130022A1 (en) * 2011-10-14 2013-05-23 Canon Kabushiki Kaisha Member for electrophotography, process cartridge, and electrophotographic apparatus

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