JP2002123209A - 表示装置および映像信号補正装置 - Google Patents

表示装置および映像信号補正装置

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JP2002123209A
JP2002123209A JP2000316158A JP2000316158A JP2002123209A JP 2002123209 A JP2002123209 A JP 2002123209A JP 2000316158 A JP2000316158 A JP 2000316158A JP 2000316158 A JP2000316158 A JP 2000316158A JP 2002123209 A JP2002123209 A JP 2002123209A
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video signal
electrode
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signal
δvs
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Application number
JP2000316158A
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English (en)
Inventor
Yukio Tanaka
幸生 田中
Katsuhiko Kumakawa
克彦 熊川
Masanori Kimura
雅典 木村
Kazunori Komori
一徳 小森
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 表示装置において、フリッカや輝度傾斜の無
い映像を得る。また、水平クロストークの無い映像を得
る。 【解決手段】 映像表示部101は、マトリクス状に配
置された複数の画素電極108と、これに接続されたス
イッチング素子107と、走査電極104と、映像信号
電極105とを備えている。映像信号補正部109は、
入力映像信号112とこれを基に演算処理して作られる
補正信号113を足し合わせて補正後映像信号114と
して出力し、補正後映像信号114は映像信号電極10
5に印加される。ある走査電極104を選択するときに
ある映像信号電極105に与えられる補正信号113
を、その走査電極104を選択するときに他の映像信号
電極105に与えられる入力映像信号112を基に演算
処理して作成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は薄膜トランジスタな
どのスイッチング素子を用いたアクティブマトリクス型
の表示装置や、表示装置に適正な映像信号を与えるため
の映像信号補正装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置は、薄型軽量のフラットデ
ィスプレイとして、各種電子機器の表示装置に広く用い
られている。なかでも、薄膜トランジスタなどのスイッ
チング素子を用いたアクティブマトリクス型の液晶表示
装置はその優れた画像特性により、パーソナルコンピュ
ータ用のモニターディスプレイや、液晶テレビなどへの
応用がさかんである。
【0003】このアクティブマトリクス型液晶表示装置
の駆動方法としてはいろいろなものがあるが、これらに
ついて順に述べる。
【0004】第一に、最も一般的な駆動方法について述
べる。これは、例えば、松本正一編著「液晶ディスプレ
イ技術−アクティブマトリクスLCD−」(産業図書、199
6年)の69頁〜73頁に記述されている方式である。以
下、この方式の概要を説明する。
【0005】図6は液晶表示装置の1画素の等価回路を
示すものであり、図7はこれを駆動した場合の各部の電
位を説明するためのものである。図において、TFTは薄
膜トランジスタ(Thin Film Transistor)、Cgdはゲー
ト・ドレイン間容量、Clcは画素電極−対向電極間容量
(主に液晶によって形成される容量であるが、それ以外
の媒質が電気的に直列あるいは並列に付加されることに
より生じる容量成分もある。あるいは意図的にこのよう
な容量を付加することもある。)、Cstは蓄積容量(ま
たは補助容量、あるいは保持容量とも呼ぶ)であり、Vc
(n)は共通電極の電位、Vg(n)は当段走査電極の電位、Vs
は映像信号電位、Vpは画素電極電位、Vfは対向電極電位
を示している。
【0006】液晶に電圧を印加する場合、極性の同じ信
号を長時間印加し続けるとチャージアップが発生して電
圧−透過率特性(T-V特性)が変動したり、あるいはイ
オン分解により劣化するということが発生する。そこ
で、1フレーム(表示周期)毎に正負極性の電圧を交互
に印加するというのが一般的である。
【0007】奇数フレームにおいては、映像信号電圧は
負の値をとり、Vsig(-)である。当段の走査電極電位Vg
(n)がオンレベル(選択時出力電位レベル)Vgonになる
と、TFTが導通状態(ON状態)となり画素電極電位VdがV
sig(-)にまで充電される。次いで、Vg(n)をオフレベル
(保持時出力電位レベル)としてTFTを非導通状態
(OFF状態、Vgoff)にする。ここでVg(n)がVgonからVgo
ffへとステップ状に立ち下がるときに、Cgdを介した容
量結合により画素電極電位は充電完了時の値Vsig(-)か
ら図中のVdo(-)で示される値にまで低下する。そして、
この電圧値Vdo(-)が次の充電まで保持される。
【0008】偶数フレームにおいては、映像信号電圧は
正の値をとり、Vsig(+)である。画素電極がVsig(+)にま
で充電された後、やはりCgdを介した容量結合により画
素電極電位は若干低下し、Vdo(+)という値になる。次の
充電まで、この電圧値Vdo(+)が保持される。
【0009】以上のようにして、走査電極や映像信号電
極がマトリクス状に形成されている表示領域において、
各走査電極を選択する(すなわち、電位をVgonにする)
間に映像信号電極に所望の電圧を印加することにより、
各画素に所望の電位を与えることができ、表示を行うこ
とができる。なお、対向電極電位VfをVdo(+)とVdo(-)の
中間の値に設定しておけば、偶奇フレームにおいて液晶
には絶対値の等しい電圧が印加され、偶奇フレームで液
晶の透過率が等しくなり、フリッカ(ちらつき)は発生
しない(偶奇フレームで液晶に印加する電圧の絶対値が
異なると、透過率も異なり、1フレーム毎に輝度の明暗
が発生してちらついて見える)。
【0010】次に、アクティブマトリクス型液晶表示装
置の第二の駆動方法について述べる。これは、容量結合
駆動方法と呼ばれるもので、例えば特開平2-913号公報
やエーエム・エルシーディー95(AM-LCD95)の59〜62ペ
ージに開示された駆動方法である。これは蓄積容量と画
素容量の間の容量結合を通じて、画素電位に重畳電圧を
加えるものである。通常、蓄積容量は画素電極と前段ま
たは後段の走査電極(ゲート電極、あるいはゲート線と
もいう)との間に形成され、前段または後段の走査電圧
(ゲート電圧)をステップ状に変化させることで重畳電
圧を与えている。この電圧重畳の効果により、映像信号
電圧(ソース電圧)の低電圧化、駆動電力の低減、応答
速度の向上、駆動信頼性の向上などの効果を得ている。
【0011】図8は前段走査電極と画素電極の間に蓄積
容量Cstを形成した液晶表示装置の1画素の等価回路を
示すものであり、図9はこれを駆動した場合の各部の電
位を説明するためのものである。図において、TFTは薄
膜トランジスタ(Thin Film Transistor)、Cgdはゲー
ト・ドレイン間容量、Clcは画素電極−共通電極間容量
(主に液晶によって形成される容量であるが、それ以外
の媒質が電気的に直列あるいは並列に付加されることに
より生じる容量成分もある。あるいは意図的にこのよう
な容量を付加することもある。)であり、Vg(n-1)は前
段走査電極の電位、Vg(n)は当段走査電極の電位、Vsは
映像信号電位、Vpは画素電位、Vfは対向電極の電位を示
している。
【0012】奇数フレームにおいては、映像信号電圧は
負の値をとり、Vsig(-)である。当段の走査電極電位Vg
(n)がオンレベルVgonになると、TFTが導通状態(ON状
態)となり画素電位VpがVsig(-)に充電される。次い
で、Vg(n)をオフレベルとしてTFTを非導通状態(OF
F状態)にする。この後、前段の走査電極でVge(+)からV
goffへの下向きのステップ電圧を加えると、画素電位Vs
には、この電圧差に比例した結合電圧が下向きに重畳さ
れる(図中の矢印)。
【0013】偶数フレームにおいては、映像信号電圧は
正の値をとり、Vsig(+)である。画素をVsig(+)に充電し
た後、今度は、前段の走査電極でVge(-)からVgoffへの
上向きのステップ電圧を加える。画素電位Vsには、この
電圧差に比例した結合電圧が上向きに重畳される。
【0014】いずれの場合も、当段走査電極に印加され
るステップ電圧の影響でさらに若干の結合電圧が発生
し、次の充電までこの電位が保持される。
【0015】この結果、映像信号電極には小さな振幅
(Vsig(+)とVsig(-))の電圧を与えながら、画素電極に
はこれより大きな振幅(Vdo(+)とVdo(-))の電圧を印加
することができる。例えば、出力電圧幅5ボルトの映像
信号用ICを用いて、液晶に印加する電圧幅を10ボルトや
15ボルトに拡大でき、低耐圧ICを用いながら、その耐圧
以上の電圧で液晶を駆動することが可能になる。
【0016】なお、走査電極電位がVge(+)あるいはVge
(-)になる期間を補償期間と呼び、このときの電圧Vge
(±)を補償電圧(補償電位)と呼ぶ。本駆動方法は、走
査信号駆動回路がオンレベル(選択時出力電位レベル)
Vgon、オフレベル(保持時出力電位レベル)Vgoff、お
よび2つの補償電位Vge(±)という少なくとも4値の出力
電位レベルを備えている点に特長があるということもで
きる。
【0017】なお、図8の画素構成を用いながら、第一
の駆動方法のように図7の走査信号電極波形で駆動する
という場合もある。これは、第二の駆動方法において、
特にVge(+)=Vge(-)=Vgoffとなった場合であると考え
ればよい。
【0018】さらに、第三の駆動方法として、画素構造
としては図6と同じであるが、共通電極電位Vc(n)を走
査電極電位Vg(n)に同期させて変調させるという駆動方
法もある。特開平5-143021号公報に開示された駆動法が
その一例である。図10に本駆動方法におけるVg(n)、V
c(n)、および画素電極電位Vdの波形図を示しておく。こ
れは、第一の駆動方法の場合の図7と比較すればわかる
ように、共通電極と画素電極の間に設けられた蓄積容量
を通した容量結合により画素電極電位に重畳電圧を加え
るものである。上記の容量結合駆動法が前段の走査電極
からの電圧重畳であるのに対し、この駆動方法は共通電
極からの電圧重畳であるという点が異なっている。本駆
動方法においても、電圧重畳の効果により、映像信号電
圧(ソース電圧)の低電圧化、駆動電力の低減、応答速
度の向上、駆動信頼性の向上などの効果を得ている。
【0019】さらに、第四の駆動方法として、走査電極
に同期させて対向電極電位を変調させるという駆動方法
もある。これは、いわゆるシンクロゲート駆動と呼ばれ
るものであり、対向電極から結合電圧を与える駆動方法
である。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】以上、4つの駆動方法
について述べてきたが、どの駆動方法を採用しても、画
面サイズが大きくなるに従って、フリッカや輝度傾斜
(輝度ムラ)が顕著に発生することが明らかになってき
た。
【0021】また、画面サイズが大きくなるに従って、
例えば画面にグレー(灰色)背景で中央に白ウィンドウ
を表示したときに、白ウィンドウの左右のグレー部の輝
度が上下と異なるという水平クロストーク(図11参
照)も顕著になるということが明らかになってきた。
【0022】本発明は、以上のような課題に鑑みてなさ
れたものであり、大画面化・高精細化に伴って発生する
フリッカ、輝度傾斜、および水平クロストークを解決す
る手段を与えるものである。
【0023】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めの、本発明の第1の表示装置は、映像表示部と映像信
号補正部を備えた表示装置であって、前記映像表示部
は、マトリクス状に配置された複数の画素電極と、これ
に接続されたスイッチング素子と、走査電極と、映像信
号電極と、を備えていて、前記映像信号補正部は、入力
映像信号と、前記入力映像信号を基に演算処理して作ら
れる補正信号を足し合わせて補正後映像信号として出力
し、前記補正後映像信号は前記映像信号電極に印加され
る表示装置であって、画面内で給電端から近い部分と遠
い部分での前記補正信号をそれぞれΔVs(O)、およびΔV
s(E)とするとき、(数1)を満たすことを特徴とする、
表示装置である。
【0024】また、本発明の第2の表示装置は、本発明
の第1の表示装置において、画面内で給電端から近い部
分と遠い部分の距離的に中間にあたる部分での補正信号
の値をΔVs(M)とするとき、ΔVs(M)は[ΔVs(O)+ΔVs
(E)]/2よりも小さいことを特徴とする、表示装置であ
る。
【0025】また、本発明の第3の表示装置は、映像表
示部と映像信号補正部を備えた表示装置であって、前記
映像表示部は、マトリクス状に配置された複数の画素電
極と、これに接続されたスイッチング素子と、走査電極
と、映像信号電極と、を備えていて、前記映像信号補正
部は、入力映像信号と、前記入力映像信号を基に演算処
理して作られる補正信号を足し合わせて補正後映像信号
として出力し、前記補正後映像信号は前記映像信号電極
に印加される表示装置であって、画面内で給電端から近
い部分と遠い部分での前記補正信号をそれぞれΔVs
(O)、およびΔVs(E)とするとき、ΔVs(O)およびΔVs(E)
のうち少なくとも一方は前記入力映像信号が正極性の場
合と負極性の場合で異なった値であり、前記入力映像信
号が正極性の場合のΔVs(O)およびΔVs(E)をそれぞれΔ
Vs(O,+)およびΔVs(E,+)で表し、負極性の場合のそれ
らをΔVs(O,−)およびΔVs(E,−)で表した場合、(数
2)を満たすことを特徴とする表示装置である。
【0026】また、本発明の第4の表示装置は、本発明
の第3の表示装置において、(数3)を満たすことを特徴
とする、表示装置である。
【0027】また、本発明の第5の表示装置は、本発明
の第3の表示装置において、画面内で給電端から近い部
分と遠い部分の距離的に中間にあたる部分での補正信号
の正極性と負極性それぞれの場合の値をΔVs(M,+)およ
びΔVs(M,−)で表すとき、{ΔVs(M,+)−ΔVs(M,−)}
の値は[{ΔVs(O,+)−ΔVs(O,−)}+{ΔVs(E,+)−
ΔVs(E,−)}]/2よりも大きいことを特徴とする、表
示装置である。
【0028】また、本発明の第6の表示装置は、映像表
示部と映像信号補正部を備えた表示装置であって、前記
映像表示部は、マトリクス状に配置された複数の画素電
極と、これに接続されたスイッチング素子と、走査電極
と、映像信号電極と、を備えていて、前記映像信号補正
部は、入力映像信号と、前記入力映像信号を基に演算処
理して作られる補正信号を足し合わせて補正後映像信号
として出力し、前記補正後映像信号は前記映像信号電極
に印加される表示装置であって、ある前記走査電極を選
択するときにある前記映像信号電極に与えられる補正信
号は、前記走査電極を選択するときに他の前記映像信号
電極に与えられる入力映像信号を基にして作られること
を特徴とする、表示装置である。
【0029】また、本発明の第7の表示装置は、本発明
の第6の表示装置において、映像信号補正部は、ある走
査電極を選択するときに画面全体の映像信号電極に与え
られる入力映像信号の平均値を求め、各映像信号電極に
与えられる補正信号は前記映像信号の平均値にそれぞれ
の前記映像信号電極に応じた重み付け係数を与えて決定
するものであることを特徴とする、表示装置である。
【0030】また、本発明の第8の表示装置は、本発明
の第7の表示装置において、画面内で給電端から近い部
分での補正信号の重み付け係数は、画面内で給電端から
遠い部分での重み付け係数よりも小さいことを特徴とす
る、表示装置である。
【0031】また、本発明の第9の表示装置は、本発明
の第8の表示装置において、画面内で給電端から近い部
分と遠い部分の距離的に中間にあたる部分での補正信号
の重み付け係数は、画面内で給電端から近い部分での補
正信号の重み付け係数と画面内で給電端から遠い部分で
の重み付け係数の平均値よりも大きいことを特徴とす
る、表示装置である。
【0032】また、本発明の第10の表示装置は、本発明
の第6の表示装置において、映像信号補正部は、ある走
査電極を選択するときに画面全体の映像信号電極に与え
られる入力映像信号の重み付け平均を求め、各映像信号
電極に与えられる補正信号は前記入力映像信号の重み付
け平均に比例するものであることを特徴とする、表示装
置である。
【0033】また、本発明の第11の表示装置は、本発
明の第10の表示装置において、入力映像信号の重み付け
平均を求めるときの重み付け係数に関して、画面内で給
電端から近い部分に対する重み付け係数が、画面内で給
電端から遠い部分に対する重み付け係数よりも小さいこ
とを特徴とする、表示装置である。
【0034】また、本発明の第12の表示装置は、本発明
の第11の表示装置において、画面内で給電端から近い部
分と遠い部分の距離的に中間にあたる部分に対する重み
付け係数は、画面内で給電端から近い部分に対する重み
付け係数と画面内で給電端から遠い部分に対する重み付
け係数の平均値よりも大きいことを特徴とする、表示装
置である。
【0035】また、本発明の第13の表示装置は、映像表
示部と映像信号補正部を備えた表示装置であって、前記
映像表示部は、マトリクス状に配置された複数の画素電
極と、これに接続されたスイッチング素子と、走査電極
と、映像信号電極と、を備えていて、前記映像信号補正
部は、入力映像信号と、前記入力映像信号を基に演算処
理して作られる補正信号を足し合わせて補正後映像信号
として出力し、前記補正後映像信号は前記映像信号電極
に印加される表示装置であって、ある前記走査電極を選
択するときにある前記映像信号電極に与えられる補正信
号は、前記走査電極を選択するときに他の前記映像信号
電極に与えられる入力映像信号の、1水平周期前の前記
入力映像信号に対する変化分(以下、単に入力映像信号
変化分と呼ぶ)を基にして作られることを特徴とする、
表示装置である。
【0036】また、本発明の第14の表示装置は、本発明
の第13の表示装置において、映像信号補正部は、ある走
査電極を選択するときに画面全体の映像信号電極に与え
られる入力映像信号変化分の平均値を求め、各映像信号
電極に与えられる補正信号は前記映像信号変化分の平均
値にそれぞれの前記映像信号電極に応じた重み付け係数
を与えて決定するものであることを特徴とする、表示装
置である。
【0037】また、本発明の第15の表示装置は、本発明
の第14の表示装置において、画面内で給電端から近い部
分での補正信号の重み付け係数は、画面内で給電端から
遠い部分での重み付け係数よりも小さいことを特徴とす
る、表示装置である。
【0038】また、本発明の第16の表示装置は、本発明
の第15の表示装置において、画面内で給電端から近い部
分と遠い部分の距離的に中間にあたる部分での補正信号
の重み付け係数は、画面内で給電端から近い部分での補
正信号の重み付け係数と画面内で給電端から遠い部分で
の重み付け係数の平均値よりも大きいことを特徴とす
る、請求項15に記載の表示装置。
【0039】また、本発明の第17の表示装置は、本発明
の第13の表示装置において、映像信号補正部は、ある走
査電極を選択するときに画面全体の映像信号電極に与え
られる入力映像信号変化分の重み付け平均を求め、各映
像信号電極に与えられる補正信号は前記入力映像信号変
化分の重み付け平均に比例するものであることを特徴と
する、表示装置である。
【0040】また、本発明の第18の表示装置は、本発明
の第17の表示装置において、入力映像信号変化分の重み
付け平均を求めるときの重み付け係数に関して、画面内
で給電端から近い部分に対する重み付け係数が、画面内
で給電端から遠い部分に対する重み付け係数よりも小さ
いことを特徴とする、表示装置である。
【0041】また、本発明の第19の表示装置は、本発明
の第18の表示装置において、画面内で給電端から近い部
分と遠い部分の距離的に中間にあたる部分に対する重み
付け係数は、画面内で給電端から近い部分に対する重み
付け係数と画面内で給電端から遠い部分に対する重み付
け係数の平均値よりも大きいことを特徴とする、表示装
置である。
【0042】また、本発明の第20の表示装置は、本発明
の第6または第13の表示装置において、映像表示部は、
画素電極と走査電極のうち当段の走査電極を除くものと
の間に蓄積容量を有し、かつ複数の前記走査電極に電圧
信号を印加する走査信号駆動回路を備えていて、前記走
査信号駆動回路は少なくとも4値の出力電位レベルを備
えていることを特徴とする、表示装置である。
【0043】また、本発明の第21の表示装置は、本発明
の第6または第13の表示装置において、映像表示部は共
通電極を有し、かつ画素電極と前記共通電極の間に蓄積
容量あるいは表示媒質による容量を有し、かつ複数の前
記共通電極に電圧信号を印加する共通電極電位制御回路
を備えていて、前記共通電極電位制御回路は少なくとも
2値の出力電位レベルを備えていることを特徴とする、
表示装置である。
【0044】また、本発明の第22の表示装置は、映像表
示部と映像信号補正部を備えた表示装置であって、前記
映像表示部は、マトリクス状に配置された複数の画素電
極と、これに接続されたスイッチング素子と、走査電極
と、映像信号電極と、を備えていて、前記映像表示部
は、前記画素電極と前記走査電極のうち当段の走査電極
を除くものとの間に蓄積容量を備えていて、前記映像表
示部は、複数の前記走査電極に電圧信号を印加する走査
信号駆動回路を備えていて、前記走査信号駆動回路は少
なくとも4値の出力電位レベルを備えていて、前記映像
信号補正部は、入力映像信号あるいは入力映像信号変化
分を基に演算処理して作られる補正信号を発生し、前記
補正信号は、前記走査信号駆動回路の少なくとも4値の
出力電位レベルのうち、選択時出力電位レベルと保持時
出力電位レベルを除くいずれかの出力電位レベルに重畳
されることを特徴とする、表示装置である。
【0045】また、本発明の第23の表示装置は、本発明
の第1から第22のいずれかに記載の表示装置において、
表示媒質は液晶であることを特徴とする、表示装置であ
る。
【0046】また、本発明の第24の表示装置は、入力映
像信号に補正を加えて映像表示素子に適した信号に変換
して出力する映像信号補正装置であって、前記映像信号
補正装置は、入力映像信号と、前記入力映像信号を基に
演算処理して作られる補正信号を足し合わせて補正後映
像信号として出力し、画面内で給電端から近い部分と遠
い部分に対する前記補正信号をそれぞれΔVs(O)、およ
びΔVs(E)とするとき、(数1)を満たすことを特徴とす
る、映像信号補正装置である。
【0047】また、本発明の第25の表示装置は、入力映
像信号に補正を加えて映像表示素子に適した信号に変換
して出力する映像信号補正装置であって、前記映像信号
補正装置は、入力映像信号と、前記入力映像信号を基に
演算処理して作られる補正信号を足し合わせて補正後映
像信号として出力し、画面内で給電端から近い部分と遠
い部分に対する前記補正信号をそれぞれΔVs(O)、およ
びΔVs(E)とするとき、ΔVs(O)およびΔVs(E)のうち少
なくとも一方は前記入力映像信号が正極性の場合と負極
性の場合で異なった値であり、前記入力映像信号が正極
性の場合のΔVs(O)およびΔVs(E)をそれぞれΔVs(O,+)
およびΔVs(E,+)で表し、負極性の場合のそれらをΔVs
(O,−)およびΔVs(E,−)で表した場合、(数2)を満た
すことを特徴とする、映像信号補正装置である。
【0048】また、本発明の第26の表示装置は、入力映
像信号に補正を加えて映像表示素子に適した信号に変換
して出力する映像信号補正装置であって、前記映像信号
補正装置は、入力映像信号と、前記入力映像信号を基に
演算処理して作られる補正信号を足し合わせて補正後映
像信号として出力し、映像表示素子のある走査電極を選
択するときにある映像信号電極に与えられる補正信号
は、前記走査電極を選択するときに他の前記映像信号電
極に与えられる入力映像信号を基にして作られることを
特徴とする、映像信号補正装置である。
【0049】また、本発明の第27の表示装置は、入力映
像信号に補正を加えて映像表示素子に適した信号に変換
して出力する映像信号補正装置であって、前記映像信号
補正装置は、入力映像信号と、前記入力映像信号を基に
演算処理して作られる補正信号を足し合わせて補正後映
像信号として出力し、映像表示素子のある走査電極を選
択するときにある映像信号電極に与えられる補正信号
は、前記走査電極を選択するときに他の前記映像信号電
極に与えられる入力映像信号の、1水平周期前の前記入
力映像信号に対する変化分を基にして作られることを特
徴とする、映像信号補正装置である。
【0050】また、本発明の第28の表示装置は、映像表
示部と映像信号補正部を備えた表示装置であって、前記
映像表示部は、マトリクス状に配置された複数の画素電
極と、これに接続されたスイッチング素子と、走査電極
と、映像信号電極と、を備えていて、前記映像信号補正
部は、入力映像信号と、前記入力映像信号を基に演算処
理して作られる補正信号を足し合わせて補正後映像信号
として出力し、前記補正後映像信号は前記映像信号電極
に印加される表示装置であって、前記補正信号は、前記
入力映像信号、あるいは入力映像信号変化分を基にし
て、フリッカ、輝度傾斜、あるいは水平クロストークの
うちの少なくとも1つを抑制するように計算されたもの
であることを特徴とする、表示装置である。
【0051】以上、28個の本発明について述べてきた
が、このうち第1〜第5の表示装置はフリッカあるいは輝
度傾斜を低減しようとするもの、第6〜第22の表示装置
は水平クロストークを低減しようとするもの、第23およ
び第28の表示装置はその両方に関するものである。
【0052】また、第24および第25の映像信号補正装置
はフリッカあるいは輝度傾斜を低減しようとするもの、
第26および第27の映像信号補正装置は水平クロストーク
を補正しようとするものである。
【0053】
【発明の実施の形態】(従来例の問題点の分析−フリッ
カおよび輝度傾斜)本発明の実施の形態の例を述べる前
に、(発明が解決しようとする課題)のところで述べた
ように、画面サイズが大きくなるに従ってフリッカと輝
度傾斜が顕著になるという課題の発生原因を詳細に解析
した結果について述べる。
【0054】なお、以下特に断りの無い限り、走査信号
(走査電極に加える駆動信号)あるいは共通電極制御信
号は画面の両側から給電する場合を想定する。そして、
画面内で、走査電極(および共通電極)の給電端から近
い部分、すなわち画面両端部分を文字通り「給電端から
近い部分」と呼び、画面中央を「給電端から遠い部分」
と呼ぶ。
【0055】第一に、この課題を考察するにあたって考
察しなければならない再充電という現象について説明す
る。
【0056】いま、例として最も一般的な第一の駆動方
法の場合について考える。図7で走査電極が選択された
後、電位がVgonからVgoffへ移行するときに注目する。
給電端から近い部分においてはこの電圧変化が迅速に生
じるが、給電端から遠い部分においては走査電極自身の
もつCR時定数のために波形に歪みが生じ、電位の推移が
なだらかになる。給電端から近い部分と遠い部分におい
て走査電極電位波形の様子を描くと図12のVgのようにな
る。画素電極電位Vdは、充電が完了した時点では映像信
号電圧Vsig(+)またはVsig(-)にほぼ等しい(図12ではVs
ig(+)の場合を示している)が、図6の回路のCgdによる
容量結合のため、Vgの変化に伴って変動してしまう。Vg
がVgonからVgoffへ変化するときの、容量結合に伴うVd
の変化分は、給電端からの距離にかかわらず(数4)の
ΔVaで表される。
【0057】
【数4】
【0058】この電圧変化分ΔVaを突き抜け(フィール
ドスルー)と呼ぶことにする。この電圧値は映像信号の
極性によらずほぼ同じ値である。
【0059】ところが、走査電極電位が立ち下がるとき
にTFTはすぐにOFF状態になるのではなく、スイッチング
閾値(映像信号電極電位より閾値電圧分だけ上の電位)
を通過するときに初めてOFFになる(但しTFTは、遅くと
も映像信号電極電位が次の走査期間電圧に向かって移行
しはじめるまでにはOFFになるとしている)。よって、
走査電極電位立ち下がり開始からスイッチング閾値通過
までの有限の時間(図中ToあるいはTeで示した期間)
に、突き抜けによって発生する映像信号電極−画素電極
間(TFTのソース・ドレイン間)の電位差を埋め合わせよ
うとしてTFTに電流が流れてしまう。このため、画素電
極電位の実際の変化分の絶対値は|ΔVa|より小さくな
る。TFTに電流が流れることによって生じる電圧差をΔV
bで表すと、画素電極電位の変化分はΔVa+ΔVbとな
る。図12にこのときの画素電極電位Vdの変化の様子も併
せて示す。走査信号駆動回路の給電端から遠くなるほど
Vgの波形がなだらかになり、TFTがOFFになるまでの時間
が長くなるので、ΔVbは一般に給電端から遠くなるに従
って大きくなる。なお、このときにTFTに流れる電流を
再充電電流と呼び、これによって生じる電圧差ΔVbを再
充電電圧と呼ぶことにする。
【0060】なお、以上で述べたスイッチング閾値は、
偶数フレーム(正極性の映像信号を充電する場合)と奇
数フレーム(負極性の映像信号を充電する場合)では異
なった値になる。走査電極電位がVgonからVgoffに移行
するときの、スイッチング閾値のレベルを正極性・負極
性それぞれについて描くと図13のようになる。これを基
に、給電端から近い部分と遠い部分それぞれについて、
TFTがOFFになるまでの時間、すなわち再充電が発生する
期間(上述のToあるいはTeに相当)を正負各極性につい
て示すと下の棒グラフのようになる。棒グラフの長さが
再充電電流、従って再充電電圧の大きさにほぼ対応する
ので、給電端から近い部分での正極性および負極性の場
合の再充電電圧をそれぞれVb(O,+)およびVb(O,-)とし、
遠い部分でのそれらをVb(E,+)およびVb(E,-)とすると、
(数5)の関係があることがわかる。
【0061】
【数5】
【0062】なお、参考までに述べておくと、ここでは
簡単のため偶数フレームと奇数フレームにおいて走査電
極電位の立ち下がり波形は同じであるとしたが、必ずし
も同じでないこともありうる。特に、TFTのチャネル容
量の非線形性(TFTがONのときのゲート・ソース間容
量、あるいはゲート・ドレイン間容量がOFFのときのそ
れらよりも大きくなる)を考慮すれば、映像信号が負極
性のほうが見かけ上容量が大きくなり、従って走査電極
電位立ち下りのCR時定数が大きくなり、立ち下がり方が
遅くなるということもありうる。しかし、そのような場
合でも(数16)の関係が成り立つことには変わりはな
い。
【0063】第二に、フリッカおよび輝度傾斜と再充電
電圧の関係について数式的に説明する。いま、給電端か
ら近い部分と遠い部分での、画素電極保持電位の値Vdo
(O,+)、Vdo(O,-)、およびVdo(E,+)、Vdo(E,-)は、図12
での画素電極電位Vdの時間変化を参考にして、(数6)
のように表せる。
【0064】
【数6】
【0065】なお、ΔVaは(数4)で表される。(数6)
において、給電端から近い部分と遠い部分での画素電極
電位のDC平均レベルVdc(O)、Vdc(E)および平均実効値Ve
ff(O)、Veff(E)を計算すると、(数7)のようになる。
【0066】
【数7】
【0067】(数7)の第1式、第3式で与えられるDC平
均レベルVdc(O)およびVdc(E)は、対向電極の電位をこの
値に一致させれば液晶に印加される電圧の時間平均値が
0になり、フリッカが見えなくなるという電圧値であ
る。しかし、(数7)と(数5)により(数8)で表され
る関係が得られ、DC平均レベルが画面内で異なる値を持
つことになり(給電端から遠い部分のほうが近い部分よ
りも大きい)、全画面で同時にフリッカをなくすことは
不可能である。
【0068】
【数8】
【0069】一方、(数7)の第2式、第4式で与えられ
るVeffは液晶に印加される電圧の実効値に相当し、液晶
はこの実効値に対応した輝度(透過率)を呈示する。し
かし、(数7)と(数5)により(数9)で表される関係
が得られ、液晶印加電圧実効値も画面内で分布(傾斜)
をもつ(給電端から遠い部分のほうが近い部分よりも小
さい)ことになる。
【0070】
【数9】
【0071】以上が、再充電電圧の画面内分布によりフ
リッカや輝度傾斜が現れる理由である。
【0072】さて、画面サイズが大きくなると、給電端
から遠い部分の、給電端からの距離は必然的に大きくな
る。すると、上述の再充電電圧ΔVbの、給電端から遠い
部分と近い部分の差は大きくなり、フリッカや輝度傾斜
も大きくなる。
【0073】また、画面サイズが大きい場合には共通電
極の電位変動による影響も無視できなくなる。すなわ
ち、走査電極電位がVgonからVgoffに変化したときに、
画素電極電位は突き抜けにより低下するが、そのとき同
時に図6のCgdおよびCstによって作られる走査電極−共
通電極間の容量結合により、共通電極の電位も低下す
る。この電位低下は共通電極の給電端から近い部分では
小さいが、遠い部分では大きくなる。共通電極電位が低
下するとそれに引っ張られて画素電極電位はさらに低下
する。すると、共通電極電位が全く変化しないと仮定し
た場合に比べて大きい再充電電流が画素電極に向けて流
れる。従って、給電端から遠い部分での画素電極保持電
位が給電端から近い部分に比べて格段に大きくなり、輝
度傾斜やフリッカ等の問題がさらに顕著になる。
【0074】以上、第一の駆動方法を前提として説明し
てきたが、これは他の駆動方法の場合についても当ては
まることである。
【0075】第二の駆動方法、すなわち容量結合駆動方
法の場合について考える。この場合、図9からもわかる
ように、当段の走査電極からの結合電圧、すなわち突き
抜け電圧ΔVaに加えて、前段の走査電極からの結合電圧
が重畳される。この結合電圧をΔVq(+)およびΔVq(-)で
表す(偶奇フレームで異なる結合電圧が与えられるの
で、それぞれ+および-の符号を添えて区別する)と、第
一の駆動方法の場合の(数6)に相当する画素電極保持
電位の値Vdo(O,+)、Vdo(O,-)、およびVdo(E,+)、Vdo(E,
-)は、(数10)のように表せる。
【0076】
【数10】
【0077】なお参考までに、結合電圧ΔVq(+)および
ΔVq(-)の表式を与えておくと、(数11)のようにな
る。これは図9から導くことができる。
【0078】
【数11】
【0079】(数10)を基にして、第一の駆動方法の場
合の(数7)に相当する、給電端から近い部分と遠い部
分での画素電極電位のDC平均レベルVdc(O)、Vdc(E)およ
び平均実効値Veff(O)、Veff(E)を計算すると、(数12)
のようになる。
【0080】
【数12】
【0081】そして、DC平均レベルと平均実効値の、給
電端から近い部分と遠い部分での差を求めると、結合電
圧に起因する項は相殺され、第一の駆動方法の場合の
(数8)および(数9)と全く同じ関係式が得られること
がわかる。すなわち、この駆動方法の場合もやはりフリ
ッカや輝度傾斜が発生することになる。画面サイズが大
きくなることによりこれらが顕著になることも同様であ
る。
【0082】また、第一の駆動方法において、画面サイ
ズが大きいと、共通電極電位の電位変動によりフリッカ
や輝度傾斜がさらに増大することについて説明した。本
駆動方法の場合、図6(第一の駆動方法の場合の回路)
と図8(本駆動方法の場合の回路)を比較すると、図6
における共通電極電位に相当する電極は、図8において
は前段の走査電極電位であることがわかる。したがっ
て、本駆動方法では前段の走査電極の電位変動によりフ
リッカや輝度傾斜が増大する。
【0083】次に、第三の駆動方法(共通電極電位を走
査電極電位に同期させて変動させる駆動方法)について
述べる。この場合、図10からもわかるように、当段の
走査電極からの結合電圧、すなわち突き抜け電圧ΔVaに
加えて、共通電極からの結合電圧が重畳される。この結
合電圧をΔVq(+)およびΔVq(-)で表す(偶奇フレームで
異なる結合電圧が与えられるので、それぞれ+および-の
符号を添えて区別する)と、第一の駆動方法の場合の
(数6)、あるいは第二の駆動方法の場合の(数10)に
相当する画素電極保持電位の値Vdo(O,+)、Vdo(O,-)、お
よびVdo(E,+)、Vdo(E,-)は、第二の駆動方法の場合と全
く同じように、(数10)で表される。
【0084】なお参考までに、第三の駆動方法の場合の
結合電圧ΔVq(+)およびΔVq(-)の表式を与えておくと、
(数13)のようになる。これは図10から導くことがで
きる。
【0085】
【数13】
【0086】ここで、Vc(+)およびVc(-)は当段の走査電
極が選択されているときの当段の共通電極電位(Vc(+)
は偶数フレームの場合、Vc(-)は奇数フレームの場
合)、Vcoffは当段の走査電極が選択されていないとき
の当段の共通電極電位である(いずれも図10に示されて
いる)。
【0087】画素電極保持電位の表式は第二の駆動方法
の場合と全く同じく(数10)であるので、給電端から近
い部分と遠い部分での画素電極電位のDC平均レベルVdc
(O)、Vdc(E)および平均実効値Veff(O)、Veff(E)を計算
すると、やはりその表式は(数12)のようになる。そし
て、DC平均レベルと平均実効値の、給電端から近い部分
と遠い部分での差を求めると、結合電圧に起因する項は
相殺され、やはり、第一の駆動方法の場合の(数8)お
よび(数9)と全く同じ関係式が得られることがわか
る。すなわち、この駆動方法の場合もフリッカや輝度傾
斜が発生することになる。画面サイズが大きくなること
によりこれらが顕著になることも同様である。そして、
回路構造としては図6そのものであるので、共通電極電
位の電位変動によりフリッカや輝度傾斜がさらに増大す
ることについても同様である。
【0088】第四の駆動方法、すなわちシンクロゲート
駆動方法の場合についても、詳細は省略するが全く同様
であり、フリッカや輝度傾斜は顕著に発生する。
【0089】以上により、どのような駆動方法を採用す
る場合でもフリッカおよび輝度傾斜が発生し、画面サイ
ズが大きくなるに従ってそれが顕著になることが理論的
に示された。そして、そのときのフリッカ及び輝度傾斜
の度合いは(数8)および(数9)で表され、すべて同じ
傾向であることも示された。これは、第二〜第四の駆動
方法の場合のように何らかの形で結合電圧が与えられる
駆動方法であっても、その結合電圧は特に画面内で画素
電極保持電位に不均一性を与えるものではないからであ
る(例えば、製造時のマスク合わせずれや電極寸法太り
・細りなどにより面内でCst、Cgdなどの容量値に面内不
均一性が発生し、その結果として結合電圧に不均一性が
発生するということはあり得るが、その影響は微弱であ
るとして問題ない)。画素電極保持電位に不均一性を与
える主原因はあくまでもTFTがONからOFFになる瞬間に発
生する再充電電圧の面内不均一性である。
【0090】(従来例の問題点の分析−水平クロストー
ク)次に、(発明が解決しようとする課題)のところで
述べたように、画面サイズが大きくなるに従って水平ク
ロストークが顕著になるという課題の発生原因を詳細に
解析した結果について述べる。
【0091】液晶に電圧を印加するときには、従来の技
術のところでも述べたように1フレーム毎に正負極性を
反転して書き込むのが一般的である。このとき、画面内
でどのようなパターンで反転させるかという観点で見た
ときにいくつかの方式がある。主なものとしては、(a)
全画面同一局性でフレーム毎に反転を行うフィールド
(フレーム)反転方式、(b)一行毎に交互に極性を反転
させるライン反転方式、(c)一列毎に交互に極性を反転
させるカラム反転方式、あるいは(d)市松模様状に極性
を反転させるドット反転方式、などがある。参考までに
これらの方式における各画素の極性パターンと映像信号
電極電位波形を図14にまとめておく。なお、これら以
外にも、2行(あるいは3行以上)毎、あるいは2列(あ
るいは3列以上)毎に極性を反転させるというパターン
も考えられる。
【0092】以上で述べた各方式のうち、水平クロスト
ークが最も現れやすいのは(b)のライン反転方式であ
り、この場合を例にとって説明する。
【0093】いま、図11のパターンを例にとったと
き、Aで示される行付近に書き込みが行われるときに
は、すべての映像信号電極にグレー表示に相当する映像
信号がライン毎に交互極性で与えられる。これに対し
て、Bで示される行付近に書き込みが行われるときに
は、画面両端付近の映像信号電極にはグレーに相当する
信号が、中央部では白表示に相当する信号がライン毎に
交互極性で印加される。液晶がノーマリブラック型(印
加電圧絶対値が小さいときに黒表示、大きいときに白表
示になる)であるとすると、後者のほうが映像信号振幅
の全画面平均値が大きいことになる(ノーマリホワイト
型ならばその逆である)。
【0094】これまでの解析では対向電極電位Vfは一定
であるとして特に注意を払っていなかった。しかし実際
は、対向電極は有限のシート抵抗を有しているので、た
とえ画面端部で電位を固定しても、画面内部では電位が
変動するということがありうる。特に、映像信号電極と
対向電極の間には映像信号電極−対向電極間容量Cscが
存在する(図6あるいは図8では図示していない)の
で、映像信号電極の電位が変動するときに、Cscを介し
た容量結合により対向電極電位も同じ方向に変動する。
図11の場合、上述のようにA付近よりもB付近のほうが
映像信号振幅の平均値が大きいので、B付近のほうが対
向電極電位Vfの変動が大きくなる。すると、Aライン上
のa点とBライン上のb点を比較した場合、同じグレーの
信号を書き込むにもかかわらずb点のほうが(映像信号
と同じ極性の方向に)対向電極電位Vfが大きく変動して
いて、走査電極選択期間が終了した時点で液晶に印加さ
れる電圧が小さくなる。従って、保持期間においてもb
点に印加される電圧はa点よりも小さく、b点の表示はa
点よりも暗くなる(ノーマリブラック型を基に考えた
が、ノーマリホワイト型の場合も同様に考えられる)。
【0095】なお、カラム反転やドット反転の場合は、
隣接映像信号電極間で信号が逆極性であり、電圧変化が
互いに相殺されるので、よほど特殊な画像パターンを表
示しない限り水平クロストークはそれほど顕著に現れな
い。
【0096】以上が水平クロストークに対する定性的説
明であるが、これはS. トミタ 他ジャーナル・オヴ・ズィ
・エス・アイ・ディー1/2(1993年)の第211頁から第218頁
(S.Tomita et.al.: Journal of the SID, 1/2 (1993)
pp211-218)などにおいても述べられていることであ
り、公知のことである。これに対して、我々は水平クロ
ストークの発生メカニズムをさらに詳細に解析した。以
下、数式を用いて説明する(特に断りのない限り、第一
〜第四のいずれの駆動方法についても適用できる)。
【0097】いま、図15に示すように表示領域内でN
本の映像信号電極1002があるとし、ある走査電極が選択
される場合を考える(以降、この走査電極を特に注目走
査電極1003と呼ぶことにする)。そして、図16に示す
ように注目走査電極1003が選択される前の(すなわち前
段の走査電極が選択されているときの)映像信号電極電
位がVsa(k)であったとし、注目走査電極1003が選択され
るときの映像信号電極電位がVsb(k)であるとする(ここ
で、k=1、2、3、…、N)。また、時刻tでのk番目の映
像信号電極1002の位置における対向電極1001の電位をVf
(k,t)で表す。映像信号電極電位が変動する瞬間(この
瞬間をt=0とする)に、Vf(k,t)はCscを介した容量結合
により図16で示されるように変動する。そして、t>0
においては平衡時の電位Vfoに向かって徐々に緩和する
が、このときの緩和の時定数が大きいと注目走査電極10
03の選択が終了する瞬間(t=Tとする)においても十分
に平衡電位Vfoにまで達せず、Vf(k,T)という値になる
(Vf(k,T)のVfoからのずれをΔVf(k,T)で表す)。
【0098】ΔVf(k,T)は、k番目の映像信号電極1002の
電位変化だけではなく、それ以外の映像信号電極1002の
電位変化の影響もうけると考えられ、一般にはこれらの
線形和として(数14)のように表される。
【0099】
【数14】
【0100】ここで、γ(m,k)はm番目の映像信号電極10
02の電位変動がkという位置の対向電極電位変動に対し
て与える影響の大きさの程度を示す係数である。また、
Vsb(m)とVsa(m)の差をΔVs(m)とおいている。
【0101】次に、注目走査電極1003選択終了時t=Tに
おける対向電極電位がVfoからずれている場合の影響に
ついて考える。いま、図6の回路において、走査電極の
選択が終了する瞬間t=TにTFTが完全にOFF状態になり、
再充電の影響は無視できるものとする。すると、t≧Tに
おいては画素電極上の電荷は保存されることになる。よ
って、t=Tから十分に時間が経過した後の画素電極電位
をVdo(k)とすると、(数15)が成り立つ。
【0102】
【数15】
【0103】ここで、共通電極電位Vc(n)は変化しない
ものとしている。(数15)および(数14)より、Vdo(k)
は(数16)で表される。
【0104】
【数16】
【0105】ここで、Ctot=Clc+Cst+Cgdである。
(数16)において、右辺第2項は(数4)で表される突き
抜け電圧に他ならない。右辺第3項がVf(k,T)がVfoに対
してずれていることにより生じる項である。Vf(k,T)の
平衡電位からのずれ量ΔVf(k,T)に比例した分だけ画素
電極保持電位が小さくなり、水平クロストークを引き起
こすということを示している。
【0106】なお、以上は第一の駆動方法について説明
した。しかし、第二〜第四の駆動方法の場合も、結合電
圧に起因する項が付加されることを除けば(数16)と同
様である。
【0107】ところで、どの映像信号電極1002の電位変
化がどの部分に対してどの程度の大きさで影響を及ぼす
かを示す指数である(数14)のγ(m,k)が、どのような
形で表されるかということについて、モデル的に考察を
行った。いま、表示領域の1ライン分を取り出して図17
のような等価回路で表す。各映像信号電極1002の電位を
Vs(k,t)で表し(k=1、2、…、N)、その位置での対向
電極電位をVf(k,t)とする。そして、映像信号電極−対
向電極間容量(上述のCscに相当)を単にCで表す。ま
た、対向電極1001の隣接画素間の抵抗をRで代表させ
る。そして、対向電極1001の両端においては電位はVfo
で固定されているものとする(ここでは対向電極は両端
において電位が固定されている場合について考える。便
宜上両端の電位をVf(0,t)およびVf(N+1,t)と置いてい
る)。この回路において、(数17)が成り立つ。
【0108】
【数17】
【0109】ただし、両端の対向電極電位Vf(0,t)=Vf
(N+1,t)=Vfoである。Vs(k,t)は図16からわかるよう
に、(数18)のように表される。
【0110】
【数18】
【0111】ここで、u(t)は単位ステップ関数である。
後の便宜のため、(数19)のようにVf(k,t)を平衡時の
電位Vfoを基準とした値ΔVf(k,t)に置き換えて表してお
く。すると、(数17)〜(数19)より、ΔVf(k,t)に関
する式は(数20)のように表される。
【0112】
【数19】
【0113】
【数20】
【0114】ここで、単位ステップ関数u(t)のtに関す
る微分はデルタ関数δ(t)であることを用いた。なお、
映像信号電極1002の電位変化が起こる前には対向電極10
01のすべての部分が平衡電位Vfoにあったとして、初期
条件を(数21)のようにおく。
【0115】
【数21】
【0116】以降、(数20)と(数21)を解くわけであ
るが、そのためにまず(数22)で与えられる変数変換を
行う。
【0117】
【数22】
【0118】また、ΔVs(k)に関しても、(数23)のよ
うに変換を行っておく。
【0119】
【数23】
【0120】(数22)および(数23)の逆変換は、(数
24)および(数25)で表される。
【0121】
【数24】
【0122】
【数25】
【0123】(数22)の逆変換が(数24)で表され
ることは、(数24)の右辺に(数22)を代入したと
きに、(数26)で示されるようにΔVf(k,t)が得られ
ることからも理解できる。(数23)の逆変換が(数2
5)であることも同様である。
【0124】
【数26】
【0125】なお、(数26)の第3段目から第4段目への
変形は、整数hおよびkに対して成り立つ公式(数27)を
用いている。
【0126】
【数27】
【0127】さて、(数20)にsin[πmk/(N+1)]をか
けて、k=1、2、…、Nに関する和をとると、(数28)の
ようになる。
【0128】
【数28】
【0129】ここで、右辺{ }内の第1項は、(数2
9)のように変形できる。
【0130】
【数29】
【0131】なお、第1段から第2段への変形においては
k→k+1という置き換えを行っている。また、第2段から
第3段への変形においては、第2段のΣの中でk=0に関す
る項は0であること、およびこの項でk=Nとおいたものも
0に等しいことを用いている。第3段から第4段への変形
においては、三角関数の加法定理を用いている。同様に
して、(数28)の右辺{ }内の第3項も、(数30)の
ように変形できる。
【0132】
【数30】
【0133】結局、(数22)、(数23)、(数29)、お
よび(数30)を(数28)に代入すれば、(数31)が得ら
れる。
【0134】
【数31】
【0135】さて、(数31)を解くための、x(m,t)に関
する初期条件は、(数21)と(数22)により、(数32)
で表される。
【0136】
【数32】
【0137】(数31)を(数32)の初期条件の基で解く
と、(数33)のようになる。
【0138】
【数33】
【0139】よって、(数24)により、ΔVf(k,t)は
(数34)のように表される。
【0140】
【数34】
【0141】なお、g(m)は(数23)で与えられるのでこ
れを(数34)に代入し、t=Tとおくと(数35)が得られ
る。
【0142】
【数35】
【0143】ここで、t=Tとおけば、注目走査電極1003
選択完了時のΔVf(k,T)を得ることができる。これは先
に(数14)にて示した式と全く同じ形であり、γ(m,k)
の表式が得られたことになる。
【0144】(数35)で表されるγ(m,k)は図17のモデ
ルを仮定したときの厳密解であるが、Σ中のexp因子はh
が大きくなるに従って指数関数的に小さくなっていく。
そこでh≧2の項を省略してh=1の項のみで表しても十分
近似可能である。すなわち、(数36)のように表され
る。
【0145】
【数36】
【0146】なお、第2段では、N+1が十分大きいとして
近似している。このγ(m,k)を3次元グラフで視覚的に表
すと図18のようになる(N=1600の場合を示している)。
図18からわかるように、画面内両端付近(m=1近傍、お
よびm=1600近傍)の映像信号電極の電位変化が水平クロ
ストークに与える影響は比較的小さいが、中央付近(m=
800近傍)が与える影響は大きい。また、結果として水
平クロストークが現れやすい位置はやはり中央付近(k=
800近傍)であり、両端(k=1近傍、およびk=1600近傍)
においてはそれほど現れないということを示している。
【0147】映像信号電極数Nおよび映像信号電極−対
向電極間容量Cが一定で画面サイズが大きくなる場合を
考える。これは、図17の対向電極上の隣接接点間の距離
が大きくなることを意味し、Rは大きくなる(対向電極
のシート抵抗は一定とする)。Rが大きくなると(数3
6)のexp因子が大きくなるので、水平クロストークは顕
著になる。すなわち、画面サイズが大きくなると水平ク
ロストークが顕著になることが示される。
【0148】なお、以上では映像信号電極電位の変動が
映像信号電極−対向電極間容量Cscを介して対向電極電
位を変動させ、これが水平クロストークを引き起こすと
考えてきた。しかし、これ以外にも以下のようなメカニ
ズムに基づく水平クロストークもあり得る。 (1)図6の回路を用いる場合(第一、第三、あるいは第
四の駆動方法)において、映像信号電極電位の変動が映
像信号電極−共通電極間容量(図6では示していない)
を介して共通電極電位を変動させ、水平クロストークを
引き起こす。 (2)図8の回路を用いる場合(第一、第二、あるいは第
四の駆動方法)において、映像信号電極電位の変動が映
像信号電極−前段走査電極間容量(図8では示していな
い)Cgsを介して前段の走査電極電位を変動させ、水平
クロストークを引き起こす。
【0149】例えば(1)が水平クロストークになるの
は、走査電極選択終了時の共通電極電位が平衡時のそれ
と異なっていることにより、(数15)で示したような電
荷保存の式において左右辺のVc(n)を異なった値とな
り、その差に相当する項が(数16)の右辺に残ってしま
うためであると考えればよい。(2)についても同様で
ある。
【0150】なお、先に(従来例の問題点の分析−フリ
ッカおよび輝度傾斜)の再充電電圧の説明のところでも
共通電極電位の変動、あるいは前段の走査電極電位の変
動という言葉を用いたが、これは、走査電極の電位変化
が起源となりCgd−Cstという容量パスを通して引き起こ
すものである。これに対して、上記の水平クロストーク
に関する共通電極電位の変動、あるいは前段の走査電極
電位の変動とは、映像信号電極の電位変化を起源とする
ものであり、区別されるべきものである。
【0151】(1)に関して、共通電極が両端で電位固
定されている(両側給電されている)とすれば、図17に
おいてCを映像信号電極−共通電極間容量であると考
え、Rを共通電極の抵抗と考えれば全く同じモデルに基
づいて解析することができる。したがって、この場合も
共通電極電位変動に関するγ(m,k)は全く同様の形で表
される。
【0152】また、(2)に関しても、前段の走査電極
が両端で電位固定されている(両側給電されている)と
すれば、図17においてCを映像信号電極−前段走査電極
間容量であると考え、Rを前段走査電極の抵抗と考えれ
ば全く同じモデルに基づいて考えることができる。した
がって、この場合も前段の走査電極電位変動に関するγ
(m,k)は全く同様の形で表される。
【0153】なお、(1)で共通電極が片側だけで固定
されている場合、あるいは[2]で前段の走査電極が片側
給電である場合、図17のモデルにおいて右端の節点Vf(N
+1,t)が開放端であると考えればよい。これは、図17でN
→2Nとしたモデルで左半分だけを考えた場合と等価であ
る。従って、各数式でN→2Nとおけば先の解析はそのま
ま用いることができる。例えば、(数36)のγ(m,k)を3
次元的に描くと図19のようになる。
【0154】実際のパネルにおいては、対向電極電位変
動による効果と、上記の(1)、あるいは(2)による効
果が重畳されて水平クロストークが現れているものと考
えられる。例えば、これらが1:1の割合で重畳される場
合には、γ(m,k)は図20のようになる。
【0155】(本発明の原理1−フリッカ及び輝度傾斜
の補正)先の(従来例の問題点の分析−フリッカおよび
輝度傾斜)の分析を行った上で、輝度傾斜、およびフリ
ッカをなくすための手段を見いだした。これが本発明の
内容であり、その具体的方法および原理について以下に
説明する。図1は、本発明の構成を示す図である。この
図において、全体は大きく2つの部分、映像表示部101と
映像信号補正部109に分かれている。映像表示部101に
は、実際に映像が表示される部分である表示領域106が
あり、ここには走査電極104と映像信号電極105がマトリ
クス(格子)状に形成されている。そして、これらに対
応してマトリクス状に配置された複数の画素電極108と
これに接続されたスイッチング素子107がある。走査電
極104と映像信号電極105はこのスイッチング素子107に
接続されている。また、走査電極104は走査信号駆動回
路102によって、映像信号電極105は映像信号駆動回路10
3によってそれらに印加される電圧が制御される。映像
信号補正部109は、入力映像信号112を基に演算処理を行
う演算部110と、演算部110によって演算が行われた結果
である補正信号113と基の入力映像信号112とを足し合わ
せる加算部111を主な構成要素とする。加算部111によっ
て足し合わせが行われた後の信号は補正後映像信号114
となり、映像信号駆動回路103を経て映像信号電極105に
印加される。
【0156】いま、表示領域内で給電端から近い部分と
遠い部分の映像信号電極105を考え、偶奇フレームそれ
ぞれにおいて、両者の映像信号電極105に同じ電圧レベ
ルの入力映像信号Vsig0(+)、およびVsig0(-)を与えよう
とする場合を考える。ここで、添え字+が偶数フレーム
(画素を対向電極に対して負極性に充電する場合)を、
-が奇数フレーム(画素を対向電極に対して正極性に充
電する場合)を表すものとする。そして、これらの入力
映像信号を基に演算処理された補正信号を偶奇各フレー
ムで各映像信号電極に対してΔVs(O,+)、ΔVs(E,+)およ
びΔVs(O,-)、ΔVs(E,-)とする。ここで、添え字Oは給
電端から近い部分、添え字Eは給電端から遠い部分を表
すものとする。そうすると、偶奇各フレームでの、各映
像信号電極に与えられる補正後映像信号をVsig(O,+)、V
sig(E,+)およびVsig(O,-)、Vsig(E,-)としたときに、そ
れぞれ(数37)のように表される。
【0157】
【数37】
【0158】最終的な画素電極保持電位は、(数6)のV
sig(+)を上記のVsig(O,+)あるいはVsig(E,+)で、Vsig
(-)を上記のVsig(O,-)あるいはVsig(E,-)で置き換えた
ものであるので、(数38)のようになる。
【0159】
【数38】
【0160】給電端から近い部分と遠い部分で同じ映像
信号Vsig0(+)、あるいはVsig0(-)を与えたときに、(数
7)の第2式の1段目の式、および第4式の1段目の式で定
義される液晶印加電圧実効値Veff(O)およびVeff(E)が同
じ値になれば、輝度傾斜をなくすことができる。すなわ
ち、輝度傾斜をなくすための条件は、(数39)で表され
る。
【0161】
【数39】
【0162】これを簡単化すると、(数40)が得られ
る。
【0163】
【数40】
【0164】再充電電圧に関しては、(数9)の関係式
があるので、輝度傾斜をなくすための条件は(数41)で
表される。
【0165】
【数41】
【0166】すなわち、(数41)の関係を満たすように
することにより、輝度傾斜をなくすことが可能となる。
【0167】次に、給電端から近い部分と遠い部分で同
じ映像信号Vsig0(+)、あるいはVsig0(-)を与えたとき
に、(数7)の第1式の1段目の式、および第3式の1段目
の式で定義されるDC平均レベルVdc(O)およびVdc(E)が同
じ値になれば、フリッカをなくすことができる。すなわ
ち、フリッカをなくすための条件は、(数42)で表され
る。
【0168】
【数42】
【0169】これを簡単化すると、(数43)が得られ
る。
【0170】
【数43】
【0171】再充電電圧に関しては、(数8)の関係式
があるので、フリッカをなくすための条件は(数44)で
表される。
【0172】
【数44】
【0173】すなわち、(数44)の関係を満たすように
することにより、フッリカをなくすことが可能となる。
【0174】なお、フリッカに関して言えば、単に(数
45)を満たすような補正信号であっても、(数44)を満
たすので、フリッカをなくすことができる。
【0175】
【数45】
【0176】すなわち、偶奇フレームにかかわらず同じ
演算を行うことでフリッカをなくすことができる。これ
は、偶奇フレームを区別する添え字である+あるいは-を
省略して、(数46)になるような補正演算をすればよい
と言い換えることができる。
【0177】
【数46】
【0178】偶奇フレームにかかわらず同じ演算を行う
ことができると、演算部110の回路規模を小さくするこ
とができ、演算部の占有面積の縮小、あるいはコスト低
減などの効果が得られる。
【0179】(本発明の原理2−ΔVsの最適分布)とこ
ろで、以上では給電端から近い部分と遠い部分を代表点
として扱ってきたが、画面内各位置での、補正信号ΔVs
の与え方としては、様々なものが考えられる。いま、先
に述べてきたΔVs(O,+)、ΔVs(E,+)、あるいはΔVs(O,
-)、ΔVs(E,-)などについて、水平位置に関する添え字
O、Eを除いて一般的にΔVs(+)、あるいはΔVs(-)という
記号で表すものとする。そして、補正信号ΔVs(+)、お
よびΔVs(-)に関する量であるΔVs(+)−ΔVs(-)および
ΔVs(+)+ΔVs(-)について、これらの与え方の例を図21
および図22に示す。各グラフは、横軸に画面上での水平
位置をとり、縦軸にΔVs(+)−ΔVs(-)あるいはΔVs(+)
+ΔVs(-)の値を示している。なお、横軸のO、E、およ
びMはそれぞれ、給電端から近い部分、給電端から遠い
部分、および距離的にそれらの中間にあたる部分を示し
ている。最も考えやすいのは図21(a)あるいは図22(a)の
ように直線的に変化するパターンである。また、図21
(b)や図22(b)のように非線形な変化のしかたも考えられ
るし、あるいは図21(c)や図22(c)のように段階的に変化
するというのもあり得る。あるいは図21(d)や図22(d)の
ように、一定の部分とある傾斜を有する部分が混在する
というのも考え得る。いずれも、給電端から近い部分と
給電端から遠い部分でのΔVs(+)−ΔVs(-)およびΔVs
(+)+ΔVs(-)の値が(数41)や(数44)を満たしている
という点では共通である。いずれにおいても本発明の効
果は得られる。
【0180】中でも(b)や(d)のように、ΔVs(+)−ΔVs
(-)は給電端から近い部分と遠い部分の間で上に凸、ΔV
s(+)+ΔVs(-)は下に凸な傾向を示す場合が望ましい。
その理由を以下に示す。
【0181】いま、走査電極はRC分布回路定数をもつ配
線であるとみなすことができる。そこで、給電端から近
い部分と遠い部分の間全体の容量をC、抵抗をRとして図
23のような5段のRC回路で近似的に表す(両側から給電
する場合、左右対称であるので左半分のみを考えれば十
分である)。これは、画面内左半分の走査電極を5等分
し、それぞれを図24のような単位RC回路で表し、縦続接
続したものであると考えればよい。走査電極の半分の長
さをLとすると、図中の各接点電位VgO、Vg1、Vg2、Vg
3、Vg4、Vg5、およびVgEはそれぞれ給電端からの距離が
0(給電端から近い部分)、L/10、3L/10、L/2、7L/10、
9L/10、およびL(給電端から遠い部分)の位置での電位
に相当する。給電端から近いほうの端部には走査信号駆
動回路により電圧が供給される。この図で、Vg0が走査
信号駆動回路の供給電圧であり、Rgは走査信号駆動回路
の内部インピーダンスである。
【0182】この回路で走査電極電位が立ち下がると
き、すなわちVg0がONレベルVgonからオフレベルVgoffへ
とステップ的に変化するときの各接点電位の時間変化は
回路方程式として解くことができる。実際に数値計算を
行った結果を図25に示す。なお、ここでは時刻t=0の瞬
間に走査電極電位Vg0がVgon→Vgoffへと移行するとし、
一例としてRg=R/9、Vgon=25V、Vgoff=0Vの場合につ
いて計算を行っている。横軸はCRで規格化している。
【0183】次に、ΔVbが位置とともにどのように変化
するかを考察する。各点において画素構造は図6の回路
によって表されるので、Vg(n)として上記のVgO、Vg1、V
g2、・・・が印加されたときの画素電極電位Vdの時間変化
を追跡すればよい。この回路において、Vc(n)、Vfおよ
びVsは一定電位であると仮定すれば、Vdの時間変化は
(数47)により表される。
【0184】
【数47】
【0185】なお、ここで、Ctot=Cgd+Cgs+Clcであ
る。また、IdsはTFTのソース・ドレイン間電流であり、
理想MOS特性を仮定すれば(数48)のように表される。
【0186】
【数48】
【0187】ここで、kはTFTの充電能力を示す定数であ
り、VtはTFTの閾値電圧である。(数47)の初期条件
は、t=0においてVd=Vs、Vg(n)=Vgonである。また、
十分に時間が経過した後(t=∞)においてはVg(n)=Vg
offとなり、TFTはOFF状態となってIds=0となり((数4
8)の第4式の場合)、従ってVdは一定値になる((数4
7)より、t=∞においてdVd/dt=0となることが導かれ
る)。このVdの最終安定値Vdoを数値計算により求め、
再充電がないとしたときの最終安定値Vdoの値、すなわ
ち(数47)において常にIds=0としたときのVdoの値、
すなわちVdo=Vs−(Cgd/Ctot)(Vgon−Vgoff)との
差をとったものが再充電電圧ΔVbに相当する。実際に、
一例としてVt=2V、Vs=6V、Cgd/Ctot=0.05、k=6×1
0-9A/V2としてΔVbの値を各位置で計算した結果を図26
に示す。このグラフにおいては、横軸は給電端から近い
部分を0、給電端から遠い部分を1として規格化した値を
示している。また、縦軸も給電端から遠い部分でのΔVb
を1と規格化して示している。このグラフからわかるよ
うに、再充電電圧の分布は上に凸な形状となる。
【0188】このような再充電電圧の分布があると、こ
れによって生じる画素電極のDC平均レベルや平均実効値
の分布もやはり図26のような形状になる(ただし、平均
実効値のほうは図26を上下逆転したものになる)。従っ
て、これらによって生じるフリッカ(DC平均レベルの分
布により生じる)や輝度傾斜(平均実効値の分布により
生じる)を補正するためのΔVs(+)−ΔVs(-)やΔVs(+)
+ΔVs(-)の分布のさせ方も図26に近い形、すなわちΔV
s(+)−ΔVs(-)については図21(b)、ΔVs(+)+ΔVs(-)に
ついては図22(b)のようにするのが望ましい(図21(d)や
図22(d)でも勿論よい)。
【0189】以上のことを、給電端から近い部分と遠い
部分のちょうど距離的に中間にあたる位置(以下、単に
中間位置と呼ぶ)に注目して考えてみる。給電端から近
い部分でのΔVs(+)−ΔVs(-)およびΔVs(+)+ΔVs(-)の
値をΔVs(O,+)−ΔVs(O,-)およびΔVs(O,+)+ΔVs(O,
-)、給電端から遠い部分での値をΔVs(E,+)−ΔVs(E,-)
およびΔVs(E,+)+ΔVs(E,-)、中間位置での値をΔVs
(M,+)−ΔVs(M,-)およびΔVs(M,+)+ΔVs(M,-)とする
と、図21(a)や図22(a)のように直線的な傾斜をつけた場
合の中間位置でのΔVs(+)−ΔVs(-)およびΔVs(+)+ΔV
s(-)の値はそれぞれ(数49)で表される。
【0190】
【数49】
【0191】これと比較してフリッカ・輝度傾斜削減の
効果が有効に得られるような場合、すなわち図21(b)、
図22(b)や図21(d)、図22(d)のような場合は、(数50)
の関係が満たされるときであることがわかる。
【0192】
【数50】
【0193】なお、(数50)の第1式は輝度傾斜に関す
る条件式、第2式はフリッカに関する条件式である。
【0194】なお、(数41)や(数44)を満たした上で
(数50)さえ満たせば、上述のフリッカ、あるいは輝度
傾斜削減の効果は十分得られる。例えばΔVs(+)−ΔVs
(-)の場合で言えば、図27(a)、(b)に示したように給電
端からの距離に関して必ずしも単調増加にならないこと
もありうるし、さらに極端な場合には図27(a)に示した
ようにΔVs(M,+)−ΔVs(M,-)がΔVs(E,+)−ΔVs(E,-)を
越えることもあり得る。しかし、これらの場合でもフリ
ッカ・輝度傾斜削減の効果は得られる。ΔVs(+)+ΔVs
(-)についても同様である。
【0195】(本発明の原理に関する補足事項1−給電
方法について)ここで、走査電極あるいは共通電極の給
電の仕方について補足する。先に、第一〜第四の駆動方
法について説明したが、このうちまず第一あるいは第三
の駆動方法、すなわち図6のように走査電極と共通電極
が存在する画素構成を前提とする駆動方法の場合につい
て考える。(従来例の問題点の分析−フリッカおよび輝
度傾斜)のところで、共通電極の電位変動により再充電
電流、従って再充電電圧が増加するということを述べ
た。そして、この影響は、共通電極の給電端から近い部
分では小さいが、遠い部分では大きくなるということも
述べた。すなわち、再充電電圧の面内での分布は走査電
極の給電の仕方のみならず、共通電極の給電の仕方にも
若干依存する。いま、走査電極と共通電極の給電の仕方
の組み合わせとしては、例えば以下の5通りが考えられ
る。 (1)走査電極、共通電極ともに両側給電(以上までは
この場合を想定して説明を行った) (2)走査電極は両側給電、共通電極は片側給電 (3)走査電極は片側給電、共通電極は両側給電 (4)走査電極、共通電極ともに片側給電(同じ側か
ら) (5)走査電極、共通電極ともに片側給電(異なる側か
ら) (なお、この他にも例えば1行おきに交互に両側から給
電するケースや、画面の上半分が左から給電で下半分が
右から給電というようなケースもありうるが、このよう
な場合もある行に注目すれば上の(1)〜(5)のどれか
にあてはまる。
【0196】以上の(1)〜(5)について、再充電電圧
ΔVbの発生のしかたの画面内分布(水平方向分布)を予
測して示したものを図28に示す。これらの図で、Gが走
査電極を、Cが共通電極を示している。そして、四角印
をつけたところが給電端であることを示している。そし
て、破線で示した曲線が共通電極の電位変動を考慮しな
い場合の(すなわち、共通電極の抵抗が0であり全く電
位が変動しないとした場合の)再充電電圧、太い実線で
示した曲線が共通電極の電位変動を考慮した場合の(す
なわち、実際のパネルでの)それを示している。共通電
極電位変動を考慮しない場合には、走査電極が両側給電
の場合((1)、(2))はアーチ状、片側給電の場合
((3)、(4)、(5))には半アーチ状となる。共通
電極電位変動を考慮すると、それに従った量だけΔVbが
上乗せされる。このときの上乗せ分は、共通電極の給電
端に近い部分では小さく、遠い部分では大きくなる。な
お、(5)の場合は走査電極のみによって発生するΔVb
分布と共通電極電位変動効果によって上乗せされる部分
の大小により、図中(5)で示したように走査電極給電
端のほうが共通電極給電端に比べてΔVbが小さい場合
と、(5')で示したようにその逆の場合とがある。
【0197】本発明による輝度傾斜削減およびフリッカ
削減の効果をもっとも有効に得るには、(1)〜(5)の
ΔVbの形状に従って(すなわち、ΔVbによって発生する
輝度傾斜やフリッカをちょうど補正するように)各映像
信号電極に与える入力映像信号に補正を加えるのがもっ
とも望ましいが、必ずしも厳密に全面であわせる必要は
ない。
【0198】以下、(1)〜(5)の各場合について、本
発明の表現との関係を説明する。まず、(1)〜(5)に
おいて、走査電極と共通電極のうち少なくともいずれか
一方の給電が行われる画面端部を「給電端から近い部
分」と呼ぶことにする。すなわち、(4)を除くすべて
の場合について、画面両端が「給電端から近い部分」と
なる(図28では記号Oで表される)。(4)のみは片方の
端部のみが「給電端から近い部分」である。そして、
(4)以外の場合は画面の中央付近を「給電端から遠い
部分」(記号Eで表される)と呼ぶことにする。(4)の
場合は給電されないほうの端部が「給電端から遠い部
分」である。そして、図中のMの記号で表される位置が
「給電端から近い部分」と「給電端から遠い部分」の間
の距離的に中間にあたる部分である。
【0199】なお、(4)以外の場合「給電端から近い
部分」が2箇所あるが、ある値(ΔVsなど)が「給電端
から近い部分に比べて、給電端から遠い部分の方が大き
い(小さい)」という場合、「給電端から遠い部分」に
おける値が複数ある「給電端から近い部分」のうち少な
くとも1つにおける値よりも大きい(小さい)というこ
とを意味する。
【0200】以上のように解釈すると、図28により(数
5)の関係式がいずれの場合も成り立つことがわかる。
従って、(本発明の原理1−フリッカ及び輝度傾斜の補
正)で述べたことがすべて適用できる。
【0201】なお、(数5)の第1式と第2式についてはV
b(O,+)、Vb(O,-)、およびVb(E,+)、Vb(E,-)をそのまま
図28中のVbに置き換えれば容易に理解できる。第3式に
ついては、図13からわかるように負充電の場合のほうが
正充電の場合に比べて再充電電圧がかなり大きいことを
考慮すればVb(O,+)−Vb(O,-)とVb(E,+)−Vb(E,-)の大小
関係は−Vb(O,-)と−Vb(E,-)の大小関係と同じとみなし
て差し支えなく、第2式が成り立つことから第3式も成り
立つと考えられる。
【0202】また、図28のΔVbの曲線はいずれも上に凸
な形状であるので、(本発明の原理2−ΔVsの最適分
布)で述べたこともすべて適用できる。
【0203】次に、第二の駆動方法の場合について考え
る。この場合、先にも述べたとおり、図6(第一あるい
は第三の駆動方法の場合の回路)における共通電極電位
に相当する電極は、図8(本駆動方法の場合の回路)に
おいては前段の走査電極電位である。また、共通電極の
代わりである前段の走査電極の電位変動によりフリッカ
や輝度傾斜が増大することについてもすでに述べた通り
である。この場合の再充電電圧ΔVbの水平方向分布は、
図28におけるCを前段の走査電極と見なしたものに他な
らない。すなわち、全走査電極が両側から給電される場
合は(1)に相当し、全走査電極が片側から給電される
場合は(4)に相当する。また、1段毎に交互に左右から
給電される場合は(5)(あるいは(5'))である。
(2)および(3)は一段毎に片側給電と両側給電が繰り
返される場合でありあまり現実的な方法ではないが、も
しこのような給電を行うとすればそれぞれ(2)および
(3)のようにΔVbが発生する。従って、第一の駆動方
法と同じように考え、(4)を除くすべての場合につい
て、画面両端を「給電端から近い部分」とし、画面の中
央付近を「給電端から遠い部分」とする。(4)のみは
給電側片方の端部のみを「給電端から近い部分」とし、
給電されないほうの端部を「給電端から遠い部分」とす
る。「給電端から近い部分」と「給電端から遠い部分」
の間の距離的に中間にあたる部分についても、図28に準
じて決めればよい。
【0204】以上のように考えると、(本発明の原理1
−フリッカ及び輝度傾斜の補正)および(本発明の原理
2−ΔVsの最適分布)で述べたことはすべて適用でき
る。
【0205】次に、第四の駆動方法の場合であるが、こ
の場合も対向電極の電位を走査電極電位に同期させて変
化させることを除けば第一あるいは第三の(あるいは、
場合によっては第二の)駆動方法と同じであるので、同
様に考えればよく、(本発明の原理1−フリッカ及び輝
度傾斜の補正)および(本発明の原理2−ΔVsの最適分
布)で述べたことはすべて適用できる。
【0206】以上述べてきたように、本発明の原理はど
のような駆動方法でどのような給電方法であっても適用
することができ、フリッカ削減あるいは輝度傾斜削減と
いう効果が得られる。
【0207】(本発明の原理3−水平クロストークの補
正)(従来例の問題点の分析−水平クロストーク)にお
いて分析を行った上で、水平クロストークをなくすため
の手段も見いだした。これも本発明の内容であり、その
具体的方法および原理について以下に説明する。本発明
の構成も、基本的には図1によって表され、各部の名称
及び機能は(本発明の原理1−フリッカ及び輝度傾斜の
補正)において説明した通りである。
【0208】以下特に断らない限り、対向電極電位は画
面の両端で固定されていて、水平クロストークを引き起
こす主因が対向電極の電位変動である場合(共通電極や
前段走査電極の電位変動による影響が小さい場合)につ
いて考える。なお、駆動方法としては先に述べた第一〜
第四のどの駆動方法であってもよいが、以下では第一の
駆動方法を中心にして説明する(第二〜第四の駆動方法
の場合、結合電圧に関する項が加わるが、本質は以下の
議論と何ら変わりはない)。また、反転方法もフレーム
反転、ライン反転、カラム反転、ドット反転、あるいは
それ以外の反転方法であってもよい。
【0209】いま、図1の構成で、映像表示部101が図15
のような構造のパネルである場合を考える。k=1、2、
…、Nについて、注目走査電極が選択される直前にはk番
目の映像信号電極に対応する入力映像信号としてVsiga0
(k)が与えられ、注目走査電極が選択されるときには入
力映像信号としてVsigb0(k)が与えられるとする(ここ
では偶奇フレームによる区別は特に考えない)。そし
て、それぞれに対する補正後映像信号はVsiga(k)および
Vsigb(k)であるとする。注目走査電極が選択されるとき
の入力映像信号Vsigb0(k)に対する補正信号をΔVs(k)と
おけば、(数51)のようにあらわされる。
【0210】
【数51】
【0211】最終的な画素電極保持電位Vdo(k)は、(数
16)においてVsb(k)をVsigb(k)で置き換えたものであ
り、(数52)のようになる。
【0212】
【数52】
【0213】ただし、δVs(m)は(数53)で表される。
【0214】
【数53】
【0215】なお、(数52)においては(数4)のΔVa
を用いて表し、また、Clc/Ctot=λと置いている。さら
に、(数14)を用いて表している(なお、(数14)では
ΔVs(m)という記号を用いているが、ここではΔVs(k)が
補正信号として用いられているので、混乱を避けるため
にδVs(m)と表している)。(数52)の右辺に現れるδV
s(m)について、厳密には(数53)のように表すべきであ
るが、補正信号ΔVs(m)がそれほど大きくなければ近似
的にVsiga(k)の代わりにVsiga0(k)を、Vsigb(k)の代わ
りにVsigb(0)を用いて表しても差し支えない。すなわ
ち、(数54)のように表してもかまわない。
【0216】
【数54】
【0217】(数54)のように表したときのδVs(m)
を、入力映像信号変化分と呼ぶことにする。なお、γ
(m,k)は(数35)に示した式で表されるが、(数36)の
ように近似することも可能である。
【0218】(数52)において、水平クロストークを引
き起こす因子である最終項をΔVs(k)によって相殺する
ことができれば、水平クロストークをなくすことができ
る。そのための最も望ましい条件は、ΔVs(k)が(数5
5)のように表されることである。
【0219】
【数55】
【0220】ただし、ΔVooは定数である。実際、(数5
5)の式を(数52)に代入すれば、(数56)のようにな
り、クロストーク因子は相殺され、入力映像信号Vsigb0
(k)と画素電極保持電位Vdo(k)には定数だけの差しかな
く、所望の画素電極保持電位が得られることになる(定
数の差は対向電極電位を調整することにより容易に補正
することができる)。そして、クロストークの無い映像
が得られるのである。
【0221】
【数56】
【0222】(数55)の補正信号ΔVs(k)の特徴は、注
目走査電極を選択するときにある映像信号電極kに与え
られる補正信号ΔVs(k)が、(自身の入力映像信号のみ
ならず)他の映像信号電極に与えられる入力映像信号Vs
igb0(m)の、1水平周期前の入力映像信号Vsiga0(m)に対
する変化分、すなわち入力映像信号変化分δVs(m)を基
にして作られていることである。こうすることにより水
平クロストークを抑制できることが、先の(従来例の問
題点の分析−水平クロストーク)での解析に基づいて帰
結できるのである。なお、(数55)のように表したとき
のγ(m,k)を重み付け係数と呼ぶことにする。
【0223】さて、(数55)に基づいて補正信号ΔVs
(k)を計算するには、一つ一つのkについて、Σの中に現
れるN回の積計算を行わなければならない。すなわち、1
水平周期内にN×N=N2回の計算を要する(和演算は、積
演算に比べれば容易であるので特に考慮する必要はな
い)。映像信号補正部109においてこれだけの演算を行
うことは決して不可能ではないが、かなり性能の高い演
算回路が必要になる。あるいは、映像信号補正部109を
並列に複数配置して処理能力を高めてもよいが、コスト
アップは免れない。そこで、(数55)の計算精度を多少
犠牲にして計算を簡略化することを考えてみる。
【0224】いま、γ(m,k)は(数35)あるいは(数3
6)によって与えられるが、(数36)の近似式を用いれ
ば、(数57)のように表せる。
【0225】
【数57】
【0226】この式に注目すると、1水平周期について
Σ部分の和を1回計算しておけば(ここでN回の積計算を
行う)、各kについてこの値とsin[πk/(N+1)]の積を
計算すれば(ここでさらにN回の積計算を行う)、ΔVs
(k)を求められる(expの項などは定数としてよい)。し
たがって、合計2N回の積演算をすることにより所望のΔ
Vs(k)が得られる。すなわち、(数36)の近似式に基づ
いて計算すれば、積の計算を大幅に(例えばN=1600とす
ると256万回から3200回に)減らすことができる。
【0227】さらに、(数57)のΣ内のsin[πm/(N+
1)]を省略することを考える。すなわち、Σの部分を単
に(数58)で表し、これにsin[πk/(N+1)]を掛け、さ
らに適当な比例定数を掛けることによりΔVs(k)を得る
ことを考える。
【0228】
【数58】
【0229】これは、ある走査電極を選択するときに画
面全体の映像信号電極に与えられる入力映像信号変化分
の平均値((数58)の1/N倍)をまず求め、各映像信号
電極に与えられる補正信号を、その映像信号変化分の平
均値にそれぞれの映像信号電極に応じた重み付け係数
(sin[πk/(N+1)]に相当)を与えて決定するというこ
とである。こうすると、Σ内での積演算を行う必要がな
いので、1水平周期あたりの積計算数はNでよいことにな
り、(数57)の場合のさらに半分の計算量でΔVs(k)を
得ることができる。(数57)に従ってΔVs(k)を得る場
合に比べても、それほど遜色のない水平クロストーク抑
制効果が得られる。
【0230】ところで、この場合の重み付け係数はkを
横軸にとったときに図2(a)の(a1)のように正弦波状の曲
線で表される。これは先の解析に従って得られた帰結で
あるが、これに近い波形であれば、必ずしも正弦波状で
なければならないというものではない。(a1)の曲線に近
ければ近い方が望ましいが、例えば(a2)のように折れ線
状の重み付け係数や、(a3)のような曲線で表される重み
付け係数であってもよい。あるいは、図2(b)のように階
段状の分布の与え方であってもよい。これらの各例はい
ずれも対向電極電位が固定されている画面内で給電端か
ら近い部分における重み付け係数が画面内で給電端から
遠い部分での重み付け係数よりも小さいという特徴があ
り、少なくとも図2(c)のように重み付け係数がどの位置
においても等しい場合に比べればクロストーク削減の効
果が期待できる。
【0231】さらに、図2(a)の(a1)〜(a3)を比較する
と、(a1)が最も望ましいのはいうまでもないが、(a2)が
その次に望ましく、(a3)はその次である。(a1)のように
上に凸な形状であることが最も望ましい。これは、別の
言い方をすれば、画面内で給電端から近い部分における
重み付け係数と給電端から遠い部分の中央における重み
付け係数の(相加)平均値よりも、画面内で給電端から
近い部分と遠い部分との中間に当たる部分での重み付け
係数が大きい場合に、水平クロストーク削減効果が最も
顕著に得られるということである。
【0232】なお、以上では正弦波状という表現を用い
たが、別に必ずしも数学的に厳密な意味での正弦波でな
くても、例えばガウス分布状やローレンツ分布状、ある
いは2次関数状など、正弦波と類似の波形であってもよ
いのはもちろんである。
【0233】また、別の簡略化法として、(数57)のsi
n[πk/(N+1)]を省略するという方法も考えられる。こ
れは、(数57)のΣ部分を計算し、すべての映像信号電
極に対して同じ値の補正信号を加えるということであ
る。すなわち、ある走査電極を選択するときに画面全体
の映像信号電極に与えられる入力映像信号変化分の重み
付け平均((数57)のΣ部分に相当)をまず求め、各映
像信号電極に与えられる補正信号は(映像信号電極によ
らず)それに比例したものにするということである。こ
の場合も、Σ部分でN回の計算を行うだけであり、やは
り(数57)の場合のさらに半分の計算量でΔVs(k)を得
ることができる。この場合も、(数57)に従ってΔVs
(k)を得る場合に比べても、それほど遜色のない水平ク
ロストーク抑制効果が得られる。
【0234】なお、この場合も重み付け係数はmを横軸
にとったときに図3(a)の(a1)のように正弦波状の曲線で
表される(横軸がkではなくmであることに注意)。これ
も先の解析に従って得られた帰結であるが、これに近い
波形であれば、必ずしも正弦波状でなければならないと
いうものではない。(a1)の曲線に近ければ近い方が望ま
しいが、例えば(a2)のように折れ線状の重み付け係数
や、(a3)のような曲線で表される重み付け係数であって
もよい。あるいは、図3(b)のように階段状の分布の与え
方であってもよい。これらの各例はいずれも対向電極電
位が固定されている画面内で給電端から近い部分に対す
る重み付け係数が画面内で給電端から遠い部分に対する
重み付け係数よりも小さいという特徴があり、少なくと
も図3(c)のように重み付け係数がどの位置に対しても等
しい場合に比べればクロストーク削減の効果が期待でき
る。
【0235】さらに、図3(a)の(a1)〜(a3)を比較する
と、(a1)が最も望ましいのはいうまでもないが、(a2)が
その次に望ましく、(a3)はその次である。(a1)のように
上に凸な形状であることが最も望ましい。これは、別の
言い方をすれば、画面内で給電端から近い部分に対する
重み付け係数と画面内で給電端から遠い部分に対する重
み付け係数の(相加)平均値よりも、画面内で給電端か
ら近い部分と遠い部分の距離的に中間に当たる部分に対
する重み付け係数が大きい場合に、水平クロストーク削
減効果が最も顕著に得られるということである。
【0236】なお、以上においても正弦波状という表現
を用いたが、別に必ずしも数学的に厳密な意味での正弦
波でなくても、例えばガウス分布状やローレンツ分布
状、あるいは2次関数状など、正弦波と類似の波形であ
ってもよいのはもちろんである。
【0237】(本発明の原理に関する補足事項2−給電
方法について)ところで、ここまでは対向電極の電位変
動が支配的であり、かつ対向電極電位は画面の左右両端
で固定されているものとした。しかし、場合によっては
共通電極電位変動あるいは前段走査電極電位変動が支配
的であったり、対向電極自体も片側だけで電位固定され
ていたりする場合もある。いま、共通電極電位変動があ
り得る場合について考える(第二の駆動方法などの場合
のように前段の走査電極電位変動がありうる場合も、以
下の説明において「共通電極」を「前段の走査電極」と
読み替えればそのまま成立する)。対向電極と共通電極
に注目した場合に、これらの電位の固定(給電)のしか
たには以下の各場合があり得る。 (1)対向電極、共通電極ともに両側給電(以上までは
この場合を想定して説明を行った) (2)対向電極は両側給電、共通電極は片側給電 (3)対向電極は片側給電、共通電極は両側給電 (4)対向電極、共通電極ともに片側給電(同じ側か
ら) (5)対向電極、共通電極ともに片側給電(異なる側か
ら) (なお、この他にも例えば1行おきに交互に両側から給
電するケースや、画面の上半分が左から給電で下半分が
右から給電というようなケースもありうるが、このよう
な場合もある行に注目すれば上の(1)〜(5)のどれか
にあてはまる)。
【0238】以上の(1)〜(5)について、最も理想的
なγ(m,k)のmあるいはk依存性プロファイル(水平方向
分布)を予測して示したものを図4に示す(横軸はmとみ
てもkとみてもよい)。これらの図で、対向電極と共通
電極について四角印をつけたところが給電端であること
を示している。そして、破線で示した曲線が共通電極の
電位変動を考慮しない場合の(すなわち、対向電極の電
位変動が支配的な場合の)γ(m,k)、太い実線で示した
曲線が共通電極の電位変動の影響が無視できずこれが重
畳された場合のそれを示している。共通電極電位変動を
考慮しない場合には、対向電極電位が両側固定の場合
((1)、(2))はアーチ(正弦波)状、片側固定の場
合((3)、(4)、(5))には半アーチ(半正弦波)
状となる。共通電極電位変動を考慮すると、それに従っ
た量だけγ(m,k)が上乗せされる。このときの上乗せ分
は、共通電極の給電端に近い部分では小さく、遠い部分
では大きくなる。なお、(5)の場合は対向電極電位変
動の影響と共通電極電位変動の影響の大小により、図中
(5)で示したように対向電極給電端のほうが共通電極
給電端に比べてγ(m,k)が小さい場合と、(5')で示し
たようにその逆の場合とがある。なお、以上の各曲線
は、先の解析で得た図18、図19、あるいは図20の縦また
は横方向の断面に対応するとみることもできる。
【0239】以下、(1)〜(5)の各場合について、本
発明の表現との関係を説明する。まず、(1)〜(5)に
おいて、対向電極と共通電極のうち少なくともいずれか
一方の給電が行われる(あるいは電位が固定される)画
面端部を「給電端から近い部分」と呼ぶことにする。す
なわち、(4)を除くすべての場合について、画面両端
が「給電端から近い部分」となる(図28では記号Oで表
される)。(4)のみは片方の端部のみが「給電端から
近い部分」である。そして、(4)以外の場合は画面の
中央付近を「給電端から遠い部分」(記号Eで表され
る)と呼ぶことにする。(4)の場合は給電されないほ
うの端部が「給電端から遠い部分」である。そして、図
中のMの記号で表される位置が「給電端から近い部分」
と「給電端から遠い部分」の間の距離的に中間にあたる
部分である。
【0240】なお、(4)以外の場合「給電端から近い
部分」が2箇所あるが、γ(m,k)が「給電端から近い部分
に比べて、給電端から遠い部分の方が大きい(小さ
い)」という場合、「給電端から遠い部分」における値
が複数ある「給電端から近い部分」のうち少なくとも1
つにおける値よりも大きい(小さい)ということを意味
する。
【0241】以上のように解釈すると、先に説明した
(本発明の原理3−水平クロストークの補正)で述べた
ことがすべて適用できる。
【0242】なお、図4はフリッカおよび喜怒傾斜の補
正のところで説明した図28と非常に似通ったものにな
る。これは、図4も図28も、走査電極、共通電極、ある
いは対向電極などのように水平方向に抵抗を有する配線
の電位変動が主要な役割を演じているという点で共通し
ているからである。
【0243】(本発明の原理に関する補足事項3−入力
映像信号変化分の簡単化)以上までは、補正信号は(数
55)のように入力映像信号変化分δVs(m)=Vsigb0(m)−
Vsiga0(m)に基づいて、これらの線形結合として構成し
てきた。しかし、演算処理をより簡単化するために(言
い換えれば、映像信号補正部109の回路規模を小さくし
コストを下げるために)、δVs(m)の代わりにVsigb0(m)
を用いて(すなわちVsiga0(m)を省略して)計算すると
いう方法もありうる。特にライン反転やドット反転など
の場合、映像信号の極性(対向電極電位を基準としたと
きの符号)が1水平周期毎に入れ替わるので、縦方向に
急激なパターン変化をする画像でなければ、対向電極電
位をVfとしたときにVsiga0(m)−VfとVsigb0(m)−Vfは絶
対値がほぼ等しく符号が逆である。従って、δVs(m)≒2
(Vsigb0(m)−Vf)となる。すなわち、Vsigb0(m)だけを
用いることによっても、先の場合に対して遜色のない水
平クロストーク低減効果が得られる。
【0244】この場合、ある走査電極を選択するときに
ある映像信号電極に与えられる補正信号が、そのときに
他の映像信号電極に与えられる入力映像信号を基にして
作られるということであるが、「入力映像信号変化分」
を単に「入力映像信号」と読み替えれば、これまでに述
べてきたことはすべて成り立つ。
【0245】(本発明の原理に関する補足事項4−駆動
方法について)以上までで述べた水平クロストーク補正
の方法は、第一〜第四のいずれの駆動方法に対しても適
用できるものである。しかし、第二、第三、あるいは第
四の駆動方法の場合は映像信号駆動回路を低電圧化でき
るという特長がある(一般に、第一の駆動方法の場合10
〜15Vの映像信号ダイナミックレンジが必要だが、第二
〜第四の場合にはダイナミックレンジは5Vあれば十分で
ある)ので、図1における映像信号補正部109も同時に低
電圧回路で構成できるという利点が得られる。すなわ
ち、第一の駆動方法で採用する映像信号補正部109より
も低コストで水平クロストーク補正効果が得られる。
【0246】(本発明の原理4−水平クロストーク補正
の他の方法)ここでは、第二の駆動方法の場合に限って
適用できる水平クロストーク補正方法について述べる。
第二の駆動方法は前段の走査電極からの結合電圧を得る
という駆動方法であるが、この場合の(数52)に相当す
る画素電極保持電位Vdo(k)の式は、入力映像信号に補正
信号を重畳せずそのまま映像信号電極に印加する場合を
想定すると、(数59)で表される。
【0247】
【数59】
【0248】(数52)と比較すると、前段走査電極から
の結合電圧ΔVqが付加される点、および補正信号Vs(k)
がなくなる点が異なるだけである。なお、第3段の式でV
ge(prev)は、注目走査電極が選択されるときのその前段
の走査電極の電位、すなわち補償電位である。
【0249】我々が考案したのは、結合電圧ΔVqをあた
かも補正信号ΔVs(k)のように扱うという方法である。
水平クロストークを表す項である(数59)第1式の右辺
第4項はkに依存する値であり、一方ΔVqは注目行の全て
の画素電極に対して同じ値で重畳される値であるので、
厳密に補正を加えることは困難である。しかし、先に補
正信号ΔVs(k)の式(数57)において、kに起因する因子
であるsin[πk/(N+1)]を省略し全ての映像信号電極に
対して同じ値の補正信号を加えるという方法について説
明した。この方法であれば補正信号をΔVqを通して加え
ることが可能となる。具体的には、注目走査電極が選択
されるときにその行に与えられる入力映像信号、あるい
は入力映像信号変化分から(数60)の右辺第2項を計算
し、補正信号を加えない場合の補償電位Vge0(prev)に対
してこの項を重畳した電位を補正後の補償電位Vge(pre
v)として走査信号駆動回路102を通して前段の走査信号
電極に与えるというものである。なお、(数57)におい
て定数項ΔVooは省略し、第1項のΣの前の係数はまとめ
て係数Kの中に含めてある。
【0250】
【数60】
【0251】この方法を用いれば、先の方法(sin[πk
/(N+1)]を省略し全ての映像信号電極に対して同じ値の
補正信号を加えるという方法)と同等の水泳クロストー
ク削減効果が得られる。また、補正回路の規模も先の方
法と同程度で済む。なお、本方法のブロック図を描くと
図5のように表せる。図1では補正信号113が入力映像信
号112に重畳されたが、ここでは、補正信号113が走査信
号駆動回路102に送られ、ここで補償電位に対して重畳
されるという点が異なっている。
【0252】なお、本方法はフレーム反転、ライン反
転、カラム反転、ドット反転、あるいはそれ以外の反転
方法(例えば2行毎に極性反転させる方法)のどの場合
においても採用できる。なお、本駆動方法でカラム反転
やドット反転を行うには、たとえば浅田 他、映像情報
メディア学会誌Vol.52、No.7、pp992-995(1998年)で
述べられている構成を採用するとよい。
【0253】なお、(数60)は水平クロストークの要因
として対向電極電位変動が支配的であり、かつ対向電極
電位が両端で固定されている場合について得られる式で
あるが、前段走査電極電位変動が支配的要因である場合
や、両者が拮抗している場合などにおいても、図4を参
考にして補正因子γ((数60)のsin[πk/(N+1)]に相
当する因子)を決めればよいことは言うまでもない。
【0254】なお、この方法は第三の駆動方法にも応用
することができる。すなわち、注目走査電極が選択され
ているときに、共通電極に補正信号を加えるというもの
である。また、第四の駆動方法に対しても応用できる。
すなわち、対向電極に補正信号を加えるというものであ
る。
【0255】(全体を通しての補足)なお、映像表示部
には液晶を用いるものとしてここまで説明してきたが、
必ずしも液晶でなくても、印加電圧によって透過率等の
光学的特性が変化するものであれば用いることができ
る。例えばBSO(ビスマスシリコンオキサイド)やLiNbO
3(ニオブ酸リチウム)等の電気光学結晶であってもよ
い。さらには、エレクトロクロミック材料や、自発光型
のダイオード、レーザー、エレクトロルミネッセンス材
料などであってもよい。あるいは、DMD(Deformable Mi
rror Device)などでもよい。ただ、液晶が最も安価で
あり、これを使用するのが望ましい。
【0256】液晶を用いる場合には、別にどのようなモ
ードであってもよい。TN(ツイステッド・ネマティッ
ク)液晶、IPS(面内スイッチング)液晶などでもよい
し、応答速度が比較的速くかつ高コントラストが得られ
るVA(垂直配向)液晶を用いてもよいし、MVA(マルチ
ドメインVA)液晶であっても良いし、他の液晶であって
もよい。例えば、TN(ツイステッド・ネマティック)液
晶、STN(スーパー・ツイステッド・ネマティック)液
晶、VA液晶(垂直配向液晶、またはホメオトロピック液
晶)やホモジニアス配向液晶等を含むECB(電界制御複
屈折)型液晶、ベント液晶、IPS(面内スイッチング)
液晶、GH(ゲスト・ホスト)液晶、高分子分散型液晶、
強誘電性液晶、反強誘電性液晶、OCB(光学補償複屈
折)液晶、ディスコテック液晶、およびその他のさまざ
まなモードが使用しうる。
【0257】なお、本発明では図1や図5の構成全体を
「表示装置」として説明してきたが、映像信号補正部10
9の部分のみを単体で独立した「映像信号補正装置」と
みなし、映像表示部とセットで用いる部品のように考え
てもよい。以上で述べてきたフリッカ・輝度傾斜を補正
する映像信号補正装置、あるいは水平クロストークを補
正する映像信号補正装置などが考えられる。勿論、フリ
ッカ・輝度傾斜と水平クロストークを同時に補正する映
像信号補正装置なども考えられる。さらには、例えばコ
ンピュータなどのモニタとして用いる場合、このような
映像信号補正装置の機能をもつ(ソフトウェア的な)ド
ライバをコンピュータにインストールしてフリッカ・輝
度傾斜あるいは水平クロストーク削減の効果を得るとい
う形態も勿論可能である(この場合、コンピュータその
ものが映像信号補正装置となる)。
【0258】なお、本発明では直視型の液晶ディスプレ
イパネルを中心に述べてきたが、液晶プロジェクタなど
に用いられる液晶素子(多結晶Si型、単結晶Si型、ある
いはSOI(シリコン・オン・インシュレータ)型なども含
む)などにも当然応用することができる。スイッチング
素子としては、主としてTFT(薄膜トランジスタ)を想
定して述べてきたが、単結晶SiやSOIなどで用いられるM
OSFETや、バイポーラトランジスタ、フォトダイオード
なども当然スイッチング素子に含まれる。なお、スイッ
チング素子はn型の場合(閾値電圧以上でON、閾値電圧
以下でOFF)の場合について主に述べてきたが、p型の場
合(閾値電圧以上でOFF、閾値電圧以下でON)について
も同様に採用できる。但し、(数41)、(数44)、ある
いは(数46)は不等号の向きが逆になることに注意を要
する。あるいは、例えば特開2000-137246のようにp型と
n型の両方を用いる場合であっても採用できる。この場
合、p型とn型のうちn型のほうが主体的であれば(すな
わち電流量が大きければ)(数41)、(数44)、あるい
は(数46)はそのまま成り立つが、p型のほうが主体的
である場合は(数41)、(数44)、あるいは(数46)は
不等号の向きが逆になる。
【0259】なお、走査信号駆動回路から画面端部まで
の配線部の距離が各行毎に異なっていることによる各行
毎の再充電電圧の発生ムラ、あるいは対向電極の上端や
下端で電位固定しているために生じる中央部と上下とで
の再充電電圧差、あるいは対向電極電位変動の差などを
補正するために、各行毎に重み付け係数の値を変えても
よい。
【0260】なお、実際の映像表示部では製造プロセス
上の誤差(合わせ、抜き、残し等の寸法のずれや不均一
性)によってもフリッカや輝度傾斜、あるいは水平クロ
ストークが生じるが、これらをも考慮した上で補正信号
を計算すればフリッカや輝度傾斜、あるいは水平クロス
トークを抑制できることは言うまでもない。
【0261】なお、走査信号駆動回路は上から給電する
としたが、別に下から給電してもかまわないし、上下両
側から給電してもかまわない。また、1列おきに交互に
上下から給電してももちろんかまわない。
【0262】なお、以上では走査信号は左(または右)
から、映像信号は上(または下)から給電するとして説
明したが、別に走査信号を上(または下)から、映像信
号を左(または右)から給電するような表示装置であっ
ても本発明は採用できる。
【0263】なお、本発明によるフリッカ・輝度傾斜の
補正においては、補正信号ΔVs(O,+)やΔVs(E,+)と、Δ
Vs(O,-)やΔVs(E,-)の関係を(数41)や(数44)のよう
にすればよいことを説明した。このときの補正信号は画
面内の位置と極性のみによって決まる値としてもよい
し、入力映像信号の振幅にも依存させて決定してもよ
い。
【0264】なお、本発明による水平クロストークの補
正においては、映像信号電極mの入力映像信号Vsigb0(m)
あるいは入力映像信号変化分δVs(m)の線形結合の形で
補正信号ΔVs(k)を計算した((数55)、(数57)
等)。しかし、必ずしも線形である必要はなく、Vsigb0
(m)あるいはδVs(m)に関して非線形な計算により求めて
もよい。
【0265】なお、本発明の中で第二の駆動方法に関わ
るものについて、画素電極と前段の走査電極の間に蓄積
容量を有するものを主体として述べてきたが、必ずしも
前段でなくても、前々段や後段、あるいは後々段との間
に蓄積容量を有するものであってもよい。一般には、画
素電極と、走査電極のうち当段の走査電極を除くものと
の間に蓄積容量を有していればよい。先に述べた、浅田
他、映像情報メディア学会誌Vol.52、No.7、pp992-99
5(1998年)で述べられている構成のように、列毎に蓄
積容量の接続先が異なっていてもよい。あるいは、当段
以外の複数の走査電極に対して蓄積容量が接続されてい
てもよい。
【0266】
【発明の効果】以上説明したように本発明による液晶表
示装置あるいは映像信号補正装置によれば、アクティブ
マトリクス型の液晶表示装置において、フリッカあるい
は輝度傾斜を大幅に低減することができる。また、水平
クロストークを抑制することもできる。
【0267】このように、大型高解像度の液晶表示装置
の均一性を大幅に高めることができるので、産業上の価
値は極めて大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の映像表示装置の構成を示すブロック図
【図2】重み付け係数γ(m,k)のkに対する依存性を示す
【図3】重み付け係数γ(m,k)のmに対する依存性を示す
【図4】対向電極や共通電極の電位固定のしかたと重み
付け係数の関係を示す図
【図5】本発明の映像表示装置の別の構成を示すブロッ
ク図
【図6】映像表示装置の1画素分の等価回路図
【図7】第一の駆動方法の原理を説明するための波形図
【図8】映像表示装置の1画素分の等価回路図
【図9】第二の駆動方法の原理を説明するための波形図
【図10】第三の駆動方法の原理を説明するための波形
【図11】水平クロストークの説明図
【図12】突き抜け・再充電を説明するための波形図
【図13】給電端から近い部分と遠い部分での再充電電
圧の差を説明するための波形図
【図14】フレーム反転、ライン反転、カラム反転、お
よびドット反転における画素の反転パターンと映像信号
を示す図
【図15】水平クロストークの発生メカニズムを説明す
るためのモデル図
【図16】水平クロストークの発生メカニズムを説明す
るための波形図
【図17】水平クロストークの発生メカニズムを解析す
るための等価回路図
【図18】重み付け係数γ(m,k)のmおよびkに対する依
存性を示す図(その1)
【図19】重み付け係数γ(m,k)のmおよびkに対する依
存性を示す図(その2)
【図20】重み付け係数γ(m,k)のmおよびkに対する依
存性を示す図(その3)
【図21】補正信号の給電端からの距離に対する依存性
を示す図(その1)
【図22】補正信号の給電端からの距離に対する依存性
を示す図(その2)
【図23】再充電電圧の給電端からの距離に対する依存
性を解析するための回路モデル図
【図24】図23の回路モデル図の、基本単位を示す回路
【図25】選択終了時の走査電極信号の変化の、給電端
からの距離に対する依存性を示す波形図
【図26】再充電電圧の、給電端からの距離に対する依
存性を計算した図
【図27】補正信号の給電端からの距離に対する依存性
を示す図(その3)
【図28】走査電極や共通電極の電位固定のしかたと再
充電電圧ΔVbの関係を示す図
【符号の説明】
101 映像表示部 102 走査信号駆動回路 103 映像信号駆動回路 104 走査電極 105 映像信号電極 106 表示領域 107 スイッチング素子 108 画素電極 109 映像信号補正部 110 演算部 111 加算部 112 入力映像信号 113 補正信号 114 補正後映像信号 1001 対向電極 1002 映像信号電極 1003 注目走査電極
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G02F 1/133 580 G02F 1/133 580 G09G 3/36 G09G 3/36 (72)発明者 木村 雅典 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 (72)発明者 小森 一徳 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電器 産業株式会社内 Fターム(参考) 2H093 NA16 NA32 NA33 NA43 NA53 NC13 NC34 NC35 NC50 NC62 ND09 ND10 ND15 ND58 NH18 5C006 AA16 AC11 AC24 AF42 AF43 AF44 AF46 BB16 BC16 BF28 FA22 FA23 FA36 5C080 AA10 BB05 DD03 DD06 DD10 EE29 FF11 GG09 JJ02 JJ03 JJ04 JJ05 JJ06

Claims (28)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 映像表示部と映像信号補正部を備えた表
    示装置であって、 前記映像表示部は、マトリクス状に配置された複数の画
    素電極と、これに接続されたスイッチング素子と、走査
    電極と、映像信号電極と、を備えていて、 前記映像信号補正部は、入力映像信号と、前記入力映像
    信号を基に演算処理して作られる補正信号を足し合わせ
    て補正後映像信号として出力し、 前記補正後映像信号は前記映像信号電極に印加される表
    示装置であって、 画面内で給電端から近い部分と遠い部分での前記補正信
    号をそれぞれΔVs(O)、およびΔVs(E)とするとき、(数
    1)を満たすことを特徴とする、表示装置。 【数1】
  2. 【請求項2】 画面内で給電端から近い部分と遠い部分
    の距離的に中間にあたる部分での補正信号の値をΔVs
    (M)とするとき、ΔVs(M)は[ΔVs(O)+ΔVs(E)]/2よ
    りも小さいことを特徴とする、請求項1に記載の表示装
    置。
  3. 【請求項3】 映像表示部と映像信号補正部を備えた表
    示装置であって、 前記映像表示部は、マトリクス状に配置された複数の画
    素電極と、これに接続されたスイッチング素子と、走査
    電極と、映像信号電極と、を備えていて、 前記映像信号補正部は、入力映像信号と、前記入力映像
    信号を基に演算処理して作られる補正信号を足し合わせ
    て補正後映像信号として出力し、 前記補正後映像信号は前記映像信号電極に印加される表
    示装置であって、 画面内で給電端から近い部分と遠い部分での前記補正信
    号をそれぞれΔVs(O)、およびΔVs(E)とするとき、 ΔVs(O)およびΔVs(E)のうち少なくとも一方は前記入力
    映像信号が正極性の場合と負極性の場合で異なった値で
    あり、前記入力映像信号が正極性の場合のΔVs(O)およ
    びΔVs(E)をそれぞれΔVs(O,+)およびΔVs(E,+)で表
    し、負極性の場合のそれらをΔVs(O,−)およびΔVs(E,
    −)で表した場合、(数2)を満たすことを特徴とする
    表示装置。 【数2】
  4. 【請求項4】 (数3)を満たすことを特徴とする、請
    求項3に記載の表示装置。 【数3】
  5. 【請求項5】 画面内で給電端から近い部分と遠い部分
    の距離的に中間にあたる部分での補正信号の正極性と負
    極性それぞれの場合の値をΔVs(M,+)およびΔVs(M,−)
    で表すとき、{ΔVs(M,+)−ΔVs(M,−)}の値は[{Δ
    Vs(O,+)−ΔVs(O,−)}+{ΔVs(E,+)−ΔVs(E,
    −)}]/2よりも大きいことを特徴とする、請求項3に
    記載の表示装置。
  6. 【請求項6】 映像表示部と映像信号補正部を備えた表
    示装置であって、 前記映像表示部は、マトリクス状に配置された複数の画
    素電極と、これに接続されたスイッチング素子と、走査
    電極と、映像信号電極と、を備えていて、 前記映像信号補正部は、入力映像信号と、前記入力映像
    信号を基に演算処理して作られる補正信号を足し合わせ
    て補正後映像信号として出力し、 前記補正後映像信号は前記映像信号電極に印加される表
    示装置であって、ある前記走査電極を選択するときにあ
    る前記映像信号電極に与えられる補正信号は、前記走査
    電極を選択するときに他の前記映像信号電極に与えられ
    る入力映像信号を基にして作られることを特徴とする、
    表示装置。
  7. 【請求項7】 映像信号補正部は、ある走査電極を選択
    するときに画面全体の映像信号電極に与えられる入力映
    像信号の平均値を求め、各映像信号電極に与えられる補
    正信号は前記映像信号の平均値にそれぞれの前記映像信
    号電極に応じた重み付け係数を与えて決定するものであ
    ることを特徴とする、請求項6に記載の表示装置。
  8. 【請求項8】 画面内で給電端から近い部分での補正信
    号の重み付け係数は、画面内で給電端から遠い部分での
    重み付け係数よりも小さいことを特徴とする、請求項7
    に記載の表示装置。
  9. 【請求項9】 画面内で給電端から近い部分と遠い部分
    の距離的に中間にあたる部分での補正信号の重み付け係
    数は、画面内で給電端から近い部分での補正信号の重み
    付け係数と画面内で給電端から遠い部分での重み付け係
    数の平均値よりも大きいことを特徴とする、請求項8に
    記載の表示装置。
  10. 【請求項10】 映像信号補正部は、ある走査電極を選
    択するときに画面全体の映像信号電極に与えられる入力
    映像信号の重み付け平均を求め、各映像信号電極に与え
    られる補正信号は前記入力映像信号の重み付け平均に比
    例するものであることを特徴とする、請求項6に記載の
    表示装置。
  11. 【請求項11】 入力映像信号の重み付け平均を求める
    ときの重み付け係数に関して、画面内で給電端から近い
    部分に対する重み付け係数が、画面内で給電端から遠い
    部分に対する重み付け係数よりも小さいことを特徴とす
    る、請求項10に記載の表示装置。
  12. 【請求項12】 画面内で給電端から近い部分と遠い部
    分の距離的に中間にあたる部分に対する重み付け係数
    は、画面内で給電端から近い部分に対する重み付け係数
    と画面内で給電端から遠い部分に対する重み付け係数の
    平均値よりも大きいことを特徴とする、請求項12に記
    載の表示装置。
  13. 【請求項13】 映像表示部と映像信号補正部を備えた
    表示装置であって、 前記映像表示部は、マトリクス状に配置された複数の画
    素電極と、これに接続されたスイッチング素子と、走査
    電極と、映像信号電極と、を備えていて、 前記映像信号補正部は、入力映像信号と、前記入力映像
    信号を基に演算処理して作られる補正信号を足し合わせ
    て補正後映像信号として出力し、 前記補正後映像信号は前記映像信号電極に印加される表
    示装置であって、ある前記走査電極を選択するときにあ
    る前記映像信号電極に与えられる補正信号は、前記走査
    電極を選択するときに他の前記映像信号電極に与えられ
    る入力映像信号の、1水平周期前の前記入力映像信号に
    対する変化分(以下、単に入力映像信号変化分と呼ぶ)
    を基にして作られることを特徴とする、表示装置。
  14. 【請求項14】 映像信号補正部は、ある走査電極を選
    択するときに画面全体の映像信号電極に与えられる入力
    映像信号変化分の平均値を求め、各映像信号電極に与え
    られる補正信号は前記映像信号変化分の平均値にそれぞ
    れの前記映像信号電極に応じた重み付け係数を与えて決
    定するものであることを特徴とする、請求項13に記載
    の表示装置。
  15. 【請求項15】 画面内で給電端から近い部分での補正
    信号の重み付け係数は、画面内で給電端から遠い部分で
    の重み付け係数よりも小さいことを特徴とする、請求項
    14に記載の表示装置。
  16. 【請求項16】 画面内で給電端から近い部分と遠い部
    分の距離的に中間にあたる部分での補正信号の重み付け
    係数は、画面内で給電端から近い部分での補正信号の重
    み付け係数と画面内で給電端から遠い部分での重み付け
    係数の平均値よりも大きいことを特徴とする、請求項1
    5に記載の表示装置。
  17. 【請求項17】 映像信号補正部は、ある走査電極を選
    択するときに画面全体の映像信号電極に与えられる入力
    映像信号変化分の重み付け平均を求め、各映像信号電極
    に与えられる補正信号は前記入力映像信号変化分の重み
    付け平均に比例するものであることを特徴とする、請求
    項13に記載の表示装置。
  18. 【請求項18】 入力映像信号変化分の重み付け平均を
    求めるときの重み付け係数に関して、画面内で給電端か
    ら近い部分に対する重み付け係数が、画面内で給電端か
    ら遠い部分に対する重み付け係数よりも小さいことを特
    徴とする、請求項17に記載の表示装置。
  19. 【請求項19】 画面内で給電端から近い部分と遠い部
    分の距離的に中間にあたる部分に対する重み付け係数
    は、画面内で給電端から近い部分に対する重み付け係数
    と画面内で給電端から遠い部分に対する重み付け係数の
    平均値よりも大きいことを特徴とする、請求項18に記
    載の表示装置。
  20. 【請求項20】 映像表示部は、画素電極と走査電極の
    うち当段の走査電極を除くものとの間に蓄積容量を有
    し、かつ複数の前記走査電極に電圧信号を印加する走査
    信号駆動回路を備えていて、前記走査信号駆動回路は少
    なくとも4値の出力電位レベルを備えていることを特徴
    とする、請求項6または13に記載の表示装置。
  21. 【請求項21】 映像表示部は共通電極を有し、かつ画
    素電極と前記共通電極の間に蓄積容量あるいは表示媒質
    による容量を有し、かつ複数の前記共通電極に電圧信号
    を印加する共通電極電位制御回路を備えていて、前記共
    通電極電位制御回路は少なくとも2値の出力電位レベル
    を備えていることを特徴とする、請求項6または13に
    記載の表示装置。
  22. 【請求項22】 映像表示部と映像信号補正部を備えた
    表示装置であって、 前記映像表示部は、マトリクス状に配置された複数の画
    素電極と、これに接続されたスイッチング素子と、走査
    電極と、映像信号電極と、を備えていて、 前記映像表示部は、前記画素電極と前記走査電極のうち
    当段の走査電極を除くものとの間に蓄積容量を備えてい
    て、 前記映像表示部は、複数の前記走査電極に電圧信号を印
    加する走査信号駆動回路を備えていて、前記走査信号駆
    動回路は少なくとも4値の出力電位レベルを備えてい
    て、 前記映像信号補正部は、入力映像信号あるいは入力映像
    信号変化分を基に演算処理して作られる補正信号を発生
    し、 前記補正信号は、前記走査信号駆動回路の少なくとも4
    値の出力電位レベルのうち、選択時出力電位レベルと保
    持時出力電位レベルを除くいずれかの出力電位レベルに
    重畳されることを特徴とする、表示装置。
  23. 【請求項23】 表示媒質は液晶であることを特徴とす
    る、請求項1から22のいずれかに記載の表示装置。
  24. 【請求項24】 入力映像信号に補正を加えて映像表示
    素子に適した信号に変換して出力する映像信号補正装置
    であって、 前記映像信号補正装置は、入力映像信号と、前記入力映
    像信号を基に演算処理して作られる補正信号を足し合わ
    せて補正後映像信号として出力し、 画面内で給電端から近い部分と遠い部分に対する前記補
    正信号をそれぞれΔVs(O)、およびΔVs(E)とするとき、 (数1)を満たすことを特徴とする、映像信号補正装
    置。
  25. 【請求項25】 入力映像信号に補正を加えて映像表示
    素子に適した信号に変換して出力する映像信号補正装置
    であって、 前記映像信号補正装置は、入力映像信号と、前記入力映
    像信号を基に演算処理して作られる補正信号を足し合わ
    せて補正後映像信号として出力し、 画面内で給電端から近い部分と遠い部分に対する前記補
    正信号をそれぞれΔVs(O)、およびΔVs(E)とするとき、 ΔVs(O)およびΔVs(E)のうち少なくとも一方は前記入力
    映像信号が正極性の場合と負極性の場合で異なった値で
    あり、前記入力映像信号が正極性の場合のΔVs(O)およ
    びΔVs(E)をそれぞれΔVs(O,+)およびΔVs(E,+)で表
    し、負極性の場合のそれらをΔVs(O,−)およびΔVs(E,
    −)で表した場合、(数2)を満たすことを特徴とする、
    映像信号補正装置。
  26. 【請求項26】 入力映像信号に補正を加えて映像表示
    素子に適した信号に変換して出力する映像信号補正装置
    であって、 前記映像信号補正装置は、入力映像信号と、前記入力映
    像信号を基に演算処理して作られる補正信号を足し合わ
    せて補正後映像信号として出力し、 映像表示素子のある走査電極を選択するときにある映像
    信号電極に与えられる補正信号は、前記走査電極を選択
    するときに他の前記映像信号電極に与えられる入力映像
    信号を基にして作られることを特徴とする、映像信号補
    正装置。
  27. 【請求項27】 入力映像信号に補正を加えて映像表示
    素子に適した信号に変換して出力する映像信号補正装置
    であって、 前記映像信号補正装置は、入力映像信号と、前記入力映
    像信号を基に演算処理して作られる補正信号を足し合わ
    せて補正後映像信号として出力し、 映像表示素子のある走査電極を選択するときにある映像
    信号電極に与えられる補正信号は、前記走査電極を選択
    するときに他の前記映像信号電極に与えられる入力映像
    信号の、1水平周期前の前記入力映像信号に対する変化
    分を基にして作られることを特徴とする、映像信号補正
    装置。
  28. 【請求項28】 映像表示部と映像信号補正部を備えた
    表示装置であって、 前記映像表示部は、マトリクス状に配置された複数の画
    素電極と、これに接続されたスイッチング素子と、走査
    電極と、映像信号電極と、を備えていて、 前記映像信号補正部は、入力映像信号と、前記入力映像
    信号を基に演算処理して作られる補正信号を足し合わせ
    て補正後映像信号として出力し、 前記補正後映像信号は前記映像信号電極に印加される表
    示装置であって、 前記補正信号は、前記入力映像信号、あるいは入力映像
    信号変化分を基にして、フリッカ、輝度傾斜、あるいは
    水平クロストークのうちの少なくとも1つを抑制するよ
    うに計算されたものであることを特徴とする、表示装
    置。
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