JP2002118957A - 電子デバイス保護回路 - Google Patents

電子デバイス保護回路

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JP2002118957A
JP2002118957A JP2000305782A JP2000305782A JP2002118957A JP 2002118957 A JP2002118957 A JP 2002118957A JP 2000305782 A JP2000305782 A JP 2000305782A JP 2000305782 A JP2000305782 A JP 2000305782A JP 2002118957 A JP2002118957 A JP 2002118957A
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zener diode
electronic device
posistor
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Fumiya Sato
文哉 佐藤
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Sony Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 広い範囲の過大電圧の印加にも対応して電子
デバイスを保護することができ、かつツェナーダイオー
ドの過熱や破壊が生じることがなく、しかも回路構成が
極めて簡易である電子デバイス保護回路を提供する。 【解決手段】 過大電圧が印加されると、その過大電圧
の印加に起因した大電流をツェナーダイオード1の方に
流すようにして、二次電池保護IC200のような電子
デバイスの方に流れることを抑制すると共に、ツェナー
ダイオード1に対して並列に接続されている二次電池保
護IC200の端子間電圧を、そのツェナーダイオード
1の降伏電圧程度の一定の電圧に保つ。これにより、過
大電圧の印加に起因した破壊や劣化などから二次電池保
護IC200のような電子デバイスを保護する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えばリチウムイ
オン二次電池や携帯電話装置の内部に設けられた半導体
集積回路などの電子デバイスを過大電圧や過大電流に起
因した破壊から保護するための電子デバイス保護回路に
関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電子デバイス保護回路
は、例えば、半導体集積回路の電源端子や二次電池の入
出力端子(正極および負極)と並列にツェナーダイオー
ドを接続すると共に、その半導体集積回路や二次電池と
外部から電圧が供給される外部接続端子との間に固定抵
抗素子を介挿したものが一般に用いられている。
【0003】このような従来の電子デバイス保護回路に
よれば、半導体集積回路や二次電池の外部接続端子にツ
ェナーダイオードの降伏電圧を超えた過大電圧が印加さ
れた場合、そのツェナーダイオードが電流を流す状態と
なって、このときの過大電圧の印加に起因した過大電流
を半導体集積回路や二次電池よりもツェナーダイオード
の方に多く流すようにすると共に、ツェナーダイオード
の降伏電圧特性によって、半導体集積回路や二次電池の
端子間電圧がその定格電圧を超えないようにすることが
できる。またこのとき、固定抵抗を大電流が流れること
で電圧降下が生じるので、半導体集積回路や二次電池に
印加される電圧を、外部接続端子に印加された電圧から
その固定抵抗による電圧降下分を差し引いた電圧に抑制
することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の電子デバイス保護回路では、外部接続端子
に過大電圧が印加され続けた場合や、ツェナーダイオー
ドの最大許容電流値を超えた大電流が流れる程の過大電
圧が印加された場合などには、ツェナーダイオードが異
常に発熱し、その周辺の回路素子や半導体集積回路など
を損傷させたり、ツェナーダイオード自体が過熱により
破壊されたりする場合があるという問題点がある。
【0005】また、そのようなツェナーダイオードに過
大な電流が流れることに起因した過熱や破損を回避する
ために、過大電圧が印加されても過大な電流が流れるこ
とを抑止することができるように固定抵抗素子の電気抵
抗値を大きくすると、過大電圧が印加された際の電流を
抑制することは可能となるが、その大きな電気抵抗値に
よる電圧降下に起因して、通常の定格電圧以下の正常な
電圧が外部接続端子に印加された場合でも、半導体集積
回路には実用的な許容範囲に満たない程の低い電圧しか
印加されないことになり、正常な電圧を印加しても半導
体集積回路が正常には動作しなくなってしまう。
【0006】このため、保護回路として有効に機能する
電圧の範囲が、あらかじめ想定された狭い範囲内にのみ
限定されてしまい、それ以外の広い範囲では実質的には
使用できないものとなるという問題点があった。
【0007】例えば、定格電圧が5Vの半導体集積回路
を20Vまでの電圧が印加されても保護することができ
るように設定されている従来の電子デバイス保護回路で
は、例えば32V以上の過大電圧が印加されると、ツェ
ナーダイオードが過熱されて、それ自体やその周囲の回
路などが破壊される場合がある。また、20Vを超えた
例えば32Vの過大電圧が印加されてもツェナーダイオ
ードが過熱されないように固定抵抗素子の抵抗値をさら
に大きなものに換装すると、外部から定格電圧の5Vを
印加しても、半導体集積回路の消費電流による固定抵抗
素子の電圧降下のため、半導体集積回路にはそれを大幅
に下回る低電圧が印加されることとなり、半導体集積回
路が正常に動作しなくなる。
【0008】また、電子デバイス保護回路として、いわ
ゆる定電圧回路を用いることも考えられるが、この場合
にも上記と同様に、保護回路として有効に機能する電圧
の範囲が、あらかじめ想定された狭い範囲内にのみ限定
されてしまい、またその回路を構成する要素部品自体が
過大電圧の印加に対して比較的弱い半導体集積回路や素
子あるため、その電子デバイス保護回路を保護するため
に、また別の保護回路が必要になるなど、その回路構成
が繁雑なものとなるという問題点がある。
【0009】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたも
ので、その目的は、過大電圧の印加に起因した破壊や劣
化などから電子デバイスを保護することができると共
に、外部接続端子に過大電圧が印加され続けた場合や、
ツェナーダイオードの最大許容電流値を超えた大電流が
流れる程の過大電圧が印加された場合などでも、ツェナ
ーダイオードの過熱や破壊が生じることなく、かつ広い
範囲の過大電圧にも対応可能であり、しかもその回路構
成が極めて簡易である電子デバイス保護回路を提供する
ことにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明による電子デバイ
ス保護回路は、電子デバイスに定格電圧を超えた電圧が
印加されることを抑止する電子デバイス保護回路であっ
て、降伏電圧以上の電圧が印加されると電流が増大する
特性を有し、その降伏電圧が電子デバイスの定格電圧を
超えた値に設定されており、電子デバイスに対して並列
に接続されたツェナーダイオードと、電流の増大または
温度の上昇のうち少なくともいずれか一方に対応して電
気抵抗が増大して電流を定格電流以下に抑制する特性を
有し、ツェナーダイオードに対して直列に接続されたポ
ジスタとを備えたものである。
【0011】本発明による電子デバイス保護回路では、
電子デバイスの定格電圧を超えた過大電圧が印加される
と、それまでは実質的に非導通状態であったツェナーダ
イオードが電流を流す状態となり、過大電圧の印加に起
因した大電流のほとんどがそのツェナーダイオードの方
に流れて、電子デバイスの方に流れることが抑制され
る。またこのとき、ツェナーダイオードの基本的な特性
から、降伏電圧以上の電圧が印加されると、それ以上の
電圧が印加されてもツェナーダイオードの端子間電圧は
その降伏電圧にロックオンされてほぼ一定の電圧となる
ので、ツェナーダイオードに並列に接続された電子デバ
イスの端子間電圧もその電圧にほぼ一定に保たれて、そ
れ以上の過大電圧になることが抑制される。
【0012】ここで、さらに高い電圧が印加された場合
には、ツェナーダイオードにはさらに大きな電流が流れ
る。あるいは、過大電圧の印加がさらに継続された場合
には、ツェナーダイオードの発熱がさらに継続される。
しかし、ツェナーダイオードにはポジスタが直列に接続
されているので、電流の増大に伴ってポジスタの電気抵
抗がさらに増大して、電流がツェナーダイオードの最大
許容電流値未満にまで抑制される。あるいは、ツェナー
ダイオードが発熱すると、その熱によってポジスタの温
度が上昇し、ポジスタの電気抵抗がさらに増大して、電
流がツェナーダイオードの最大許容電流値未満にまで抑
制される。
【0013】なお、上記のように電流をツェナーダイオ
ードの最大許容電流値未満にまで抑制するためには、ポ
ジスタの定格電流をツェナーダイオードの最大許容電流
値未満に設定することが望ましい。また、ポジスタとツ
ェナーダイオードとを熱伝導可能に設けて、電子デバイ
スに定格電圧を越えた過大電圧が印加されると、ツェナ
ーダイオードの発熱によってポジスタの電気抵抗値の増
大が促進されるようにして、そのツェナーダイオードに
過大電流が流れることに起因した過熱や破壊などを、さ
らに確実に抑制するようにしてもよい。
【0014】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。
【0015】[第1の実施の形態]図1は、第1の実施
の形態に係る電子デバイス保護回路の概要構成を表した
ものである。この電子デバイス保護回路100は、二次
電池保護用集積回路(IC;Integrated Curcuit)20
0に並列に接続されたツェナーダイオード1と、そのツ
ェナーダイオード1に直列に接続されたポジスタ3と
を、その主要部として備えており、例えばリチウムイオ
ン二次電池のバッテリーパック内に設けられて、そのリ
チウムイオン二次電池が充電される際などに、外部から
過大な電圧が印加されたとき、それに起因した二次電池
保護用IC200の破壊や劣化等を防ぐものである。
【0016】さらに詳細には、ポジスタ3は、電流の増
大に伴って電気抵抗値が増大し、検知温度あるいは定格
電流を越えるとさらに急峻に電気抵抗値が増大する特性
を有するもので、その定格電流は、ツェナーダイオード
1の最大許容電流値未満に設定されている。このポジス
タ3は、一端が正極側外部接続ターミナル7および二次
電池セル5の正極に接続されており、他端がツェナーダ
イオード1の一端(正極側)に接続されている。このポ
ジスタ3の通常時の電気抵抗値は、一般に約1〜100
0Ω程度であるが、定格最大電圧以下の電圧が印加され
たときに二次電池保護用IC200の電圧検出機能に支
障が生じることのない程度に設定することが望ましいこ
とは言うまでもない。
【0017】ツェナーダイオード1は、降伏電圧未満の
電圧が印加されても、ほとんど電流を流さないが、降伏
電圧以上の電圧が印加されると電流が急峻に増大する特
性を有しており、その降伏電圧が二次電池保護用IC2
00の定格電圧を超えた値に設定されている。このツェ
ナーダイオード1は、一端(正極側)が二次電池保護用
IC200の正極側の接続端子201に接続されると共
にポジスタ3の一端に接続され、他端(負極側)が電界
効果トランジスタ203,205を介して二次電池保護
用IC200の負極側の接続端子207,209に接続
されると共に負極側外部接続ターミナル9に接続されて
いる。
【0018】従って、このツェナーダイオード1は、二
次電池保護用IC200に対して並列に接続されている
と共に、ポジスタ3に対して直列に接続されている。ま
た、このツェナーダイオード1は、ポジスタ3との間で
良好な熱伝導を行うことができるように実装されている
(その実装形態や構造等の詳細は後述する)。
【0019】二次電池セル5は、例えばリチウムイオン
二次電池のような充電可能な二次電池であり、正極が正
極側外部接続ターミナル7およびポジスタ3の一端に接
続されていると共に、負極が電界効果トランジスタ20
3,205を介して二次電池保護用IC200の負極側
端子211および負極側外部接続ターミナル9に接続さ
れていると共に、負極が二次電池保護用IC200の負
極側端子210に接続されている。従って、この二次電
池セル5は、ポジスタ3とツェナーダイオード1とを直
列に接続してなる電子デバイス保護回路100に対して
並列に接続されている。
【0020】二次電池保護用IC200は、正極側外部
接続ターミナル7に印加される電圧を、ポジスタ3を介
して検出し、その電圧に基づいて、二次電池セル5が過
大電圧充電されていることや、過小電圧放電しているこ
となどを検知して、それらの状態を抑止するように機能
するもので、2つの電界効果トランジスタ203,20
5を備えている。そのうちの一方の電界効果トランジス
タ203は、二次電池セル5が過小電圧放電しているこ
とが検知された場合、二次電池保護用IC200によっ
て制御されてゲートがオフになり、二次電池セル5から
の放電電流を遮断する。また、他方の電界効果トランジ
スタ205は、二次電池セル5が過大電圧充電されてい
ることが検知された場合、二次電池保護用IC200に
よって制御されてゲートがオフになり、二次電池セル5
への充電電流を遮断する。この二次電池保護用IC20
0は、ポジスタ3に対して直列に接続されたツェナーダ
イオード1と並列に接続されている。これは換言すれ
ば、二次電池保護用IC200はポジスタ3に対して直
列に接続されているということである。
【0021】この電子デバイス保護回路100では、上
述のように、ツェナーダイオード1と二次電池保護用I
C200とが並列に接続されていると共に、それらに対
してポジスタ3が直列に接続されている。従って、正極
側外部接続ターミナル7および負極側外部接続ターミナ
ル9に印加される電圧が二次電池保護用IC200の定
格電圧以下である場合には、ツェナーダイオード1に印
加される電圧もその降伏電圧以下となり、ツェナーダイ
オード1は実質的に非導通状態となるので、外部からの
電圧印加による電流はツェナーダイオード1の方には流
れない。また、そのときの電流値はポジスタ3の定格電
流以下であるから、ポジスタ3は通常時の比較的低い電
気抵抗のままであり、このポジスタ3での電圧降下に起
因して二次電池保護用IC200の電圧検出機能に支障
を来すことがない。このように、外部から印加される電
圧が定格電圧以下であれば、二次電池保護用IC200
はそのとき印加されている電圧を、ポジスタ3を介して
検出して、通常通りに支障なく機能することができる。
【0022】また、正極側外部接続ターミナル7および
負極側外部接続ターミナル9に印加される電圧が二次電
池保護用IC200の定格電圧を超えたものである場合
には、ポジスタ3での電圧降下を差し引いても、ツェナ
ーダイオード1に印加される電圧はその降伏電圧を超え
たものとなり、ツェナーダイオード1は実質的に導通状
態になるので、このときの過大電圧の印加に起因した大
電流は、二次電池保護用IC200よりもツェナーダイ
オード1の方にバイパスされる。また、このとき、ツェ
ナーダイオード1の特性から、外部から印加される電圧
がさらに増大してもツェナーダイオード1の端子間電圧
は降伏電圧にロックオンされるので、このツェナーダイ
オード1と並列に接続されている二次電池保護用IC2
00の端子間電圧も、ツェナーダイオード1の降伏電圧
にロックオンされる。このように、外部から印加される
電圧が定格電圧を超えた過大電圧である場合には、ツェ
ナーダイオード1が導通状態となって、ポジスタ3から
二次電池保護用IC200ではなくツェナーダイオード
1の方に大電流をパイパスして流すと共に、二次電池保
護用IC200に印加される電圧をツェナーダイオード
1の降伏電圧程度に抑制して、過大電圧の印加に起因し
た二次電池保護用IC200の破壊や劣化等を防ぐこと
ができる。
【0023】また、過大電圧の印加が継続されて大電流
が流れ続けたり、さらに高い電圧が印加された場合など
には、ツェナーダイオード1が発熱する。この状態が長
く続くと、ツェナーダイオード1が過熱状態となり、そ
れ自体やその近隣に実装されている二次電池保護用IC
200の破壊や劣化を引き起こすことになる。しかし、
この電子デバイス保護回路100では、ツェナーダイオ
ード1から発せられた熱によってポジスタ3が加熱され
て検知温度以上になるので、ポジスタ3の電気抵抗が急
峻に増大して電流を抑制する状態となり、そのポジスタ
3と直列に接続されているツェナーダイオード1に大電
流が流れることが抑止される。このように、過大電圧が
印加され続けたり、さらに高い電圧が印加された場合な
どにも、それに起因した二次電池保護用IC200の破
壊や劣化等を防ぐと共に、ツェナーダイオード1の過熱
や破壊等を回避することができる。
【0024】図2は、二次電池セルおよび二次電池保護
用ICと共に、電子デバイス保護回路をリチウムイオン
二次電池のバッテリーパックの内部に実装した状態を模
式的に表したものである。
【0025】例えば携帯電話用のリチウムイオン二次電
池などの薄い箱型のバッテリーパックでは、プラスチッ
クなどの絶縁性材料からなる外装ケース300の表面
に、導電性が高くかつ耐摩耗性の高い銅合金やステンレ
スの薄板などから形成された正極側外部接続ターミナル
7と負極側外部接続ターミナル9とが設けられている。
その外装ケース300の内部には、充・放電可能な二次
電池セル5と、二次電池保護用IC200と、電子デバ
イス保護回路100とが内蔵されている。
【0026】電子デバイス保護回路100は、ツェナー
ダイオード1とポジスタ3とが、例えば難燃性の絶縁
紙、ポリエステルテープ、熱硬化性プラスティックまた
はシリコン系接着剤などからなる電気的絶縁性の外装材
101で覆われている。この外装材101の材質は熱的
絶縁性の高いものとすることが望ましい。これは、過大
電圧が印加されたときにツェナーダイオード1やポジス
タ3から発せられる熱によって二次電池セル5や二次電
池保護用IC200が加熱されることを、外装材101
の熱的絶縁性によって防ぐようにするためである。ある
いは、この電子デバイス保護回路100に放熱板(図示
省略)を付設して、その放熱板をバッテリーパックの外
装ケース300の表面やその外側にまで到達させて、電
子デバイス保護回路100から発せられた熱を外部へと
発散させるようにしてもよい。この電子デバイス保護回
路100は、二次電池保護用IC200と共にユニット
化されて1つのケーシング103の中に包容され、正極
側外部接続ターミナル7および負極側外部接続ターミナ
ル9と二次電池セル5との間にユニット状に実装され
る。
【0027】図3は、ポジスタとツェナーダイオードと
を接合する実体的な構造の一例を示した図である。
【0028】ツェナーダイオード1は、電気絶縁性の外
装材に包容された半導体素子の両側端にそれぞれ端子1
1,15が設けられたものである。このツェナーダイオ
ード1の負極側の端子11には、電極端子13が接合さ
れている。その電極端子13は、さらに、図3では図示
しない実装回路基板に設けられた配線パターン等を介し
て負極側外部接続ターミナル9に接続されると共に、二
次電池保護用IC200に接続されている。この電極端
子13と端子11との接合には、例えば融点が180〜
260℃程度の、鉛と錫を含む合金や銀と銅を含む合金
などの低融点金属を用いることが可能である。また、電
極端子13の材質としては、例えばニッケル、真鍮、鉄
系合金、銅系合金などの、比較的融点が高くかつ加工性
の良好なものが好適である。ツェナーダイオード1の正
極側の端子15には、金属板33が接合されている。こ
の金属板33によってツェナーダイオード1の正極側の
端子15とポジスタ3の一方の端子31とが接続され
る。この接合にも前述の低融点金属などを用いることが
可能である。
【0029】ポジスタ3は、両端にそれぞれ端子31,
35が設けられており、ツェナーダイオード1の上面
に、図中やや右寄りにオフセットされて密着するように
配置され、ツェナーダイオード1から発せられる熱が良
好に伝導されるように設定されている。その一方の端子
31は、前述のように、金属板33を介してツェナーダ
イオード1の正極側の端子15と接続されており、他方
の端子35は、L字状に折り曲げられた電極端子37お
よび図3では図示しない配線パターン等を介して、負極
側外部接続ターミナル9に接続されると共に二次電池セ
ル5の正極に接続されている。このポジスタ3の一方の
端子31と金属板33との接合や、他方の端子35とL
字状の電極端子37との接合には、例えば半田付けなど
が適用可能である。あるいは、電気抵抗溶接法や超音波
溶接法などによってさらに直接的に接合してもよいこと
は言うまでもない。なお、L字状の電極端子37とポジ
スタ3の金属板33や端子31との短絡を避けるため
に、ポジスタ3の上面とL字状の電極端子37との間に
は、絶縁性フィルム38が貼り付けられている。
【0030】ここで、上記の電極端子37や金属板33
は、いずれも帯板状の金属板からなるものとすることが
望ましいことは言うまでもないが、ツェナーダイオード
1からポジスタ3への熱的な伝導性をさらに良好なもの
とするために、金属板33の幅や厚さをある程度大きく
することが望ましい。同様の理由から、ツェナーダイオ
ード1の上面とポジスタ3の下面とが重なり合う面積
を、できるだけ広くすることが望ましい。
【0031】このような構造によれば、大電流が流れる
と、ポジスタ3自体が発熱すると共に、ツェナーダイオ
ード1から発せられる熱をポジスタ3へと効率的に伝導
させることらより、ポジスタ3の電気抵抗を確実に増大
させて、ツェナーダイオード1の過熱や破壊を確実に回
避することができる。また、この構造自体が簡易である
ことから、電子デバイス保護回路100の構造の繁雑化
を回避することができる。
【0032】図4は、ポジスタとツェナーダイオードと
を接続した実体的な構造の、他の一例を示した図であ
る。
【0033】この構造では、ポジスタ3とツェナーダイ
オード1とが積み重ねられるのではなく、ほぼ直線的に
並ぶように配置されており、ツェナーダイオード1の正
極側の端子17に対して直接にポジスタ3の一方の端子
31が接合されている。ツェナーダイオード1の負極側
の端子11には、図3に示した構造と同様に、電極端子
13が接合されている。ポジスタ3の他方の端子35に
は、平坦な電極端子39が接合されている。
【0034】このような構造によっても、ツェナーダイ
オード1から発せられる熱を、端子17を介してポジス
タ3へと効率的に伝導させて、ポジスタ3の電気抵抗を
確実に増大させることにより、ツェナーダイオード1の
過熱や破壊を確実に回避することができる。また、この
構造自体が簡易なものであり、電子デバイス保護回路1
00の繁雑化を回避することができる。
【0035】図5は、ポジスタとツェナーダイオードと
を接続した実体的な構造の、さらに他の一例を示した図
である。
【0036】ツェナーダイオード1とポジスタ3との両
方の上面に、電気絶縁板41を介して、1枚の熱伝導板
43が付設されている。この熱伝導板43としては、例
えば銅,黄銅,アルミニウム,ニッケル,銀のような、
熱的伝導性が高くかつ加工性の良好な金属材料などを用
いることが望ましい。電気絶縁板41としては、例えば
ポリエチレン、ポリイミド、ポリアミドなどの薄板、ま
たはガラス繊維布、パルプ不織布、絶縁紙などが好適で
ある。ツェナーダイオード1の外装材およびポジスタ3
の外装材の、熱伝導板と接着される部分の厚さは、電気
的絶縁性や力学的な強度を損なわない程度に可能な限り
薄く形成されていることが望ましい。
【0037】このような構造により、ツェナーダイオー
ド1から発せられる熱を、熱伝導板43によってポジス
タ3へとさらに効率的に伝導して、ツェナーダイオード
1の過熱や破壊をさらに確実に回避することができる。
【0038】なお、図3から図5までの各図では図示を
省略しているが、例えば金属板33のようにツェナーダ
イオード1の正極側の端子15とポジスタ3の一方の端
子31とを接続する部材は、さらに、配線等を介して二
次電池保護用IC200にも接続されていることは言う
までもない。
【0039】図6は、ポジスタとツェナーダイオードと
を接続した実体的な構造の、さらに他の一例を示した断
面図である。
【0040】この構造は、ツェナーダイオード1の半導
体素子19とポジスタ3の感温素子29とを、熱的伝導
性の良好な中間電極45を介して積層し、その感温素子
29の上面には電極47を、半導体素子19の下面には
電極49を、それぞれ接合して、それら全体を電気絶縁
性材料からなる外装材51で包容したものである。な
お、中間電極45は、図示しない配線等を介して二次電
池保護用IC200に接続されている。
【0041】このような構造により、半導体素子19か
ら発せられる熱を、中間電極45を介して感温素子29
へと最も効率的に伝導させることが可能となる。しか
も、電子デバイス保護回路100をさらに小型で簡易な
ものとすることができる。
【0042】図27は、ツェナーダイオードとポジスタ
とを1つのプリント配線基板の表面に実装した場合の、
平面的な配線パターンおよび実装形態の一例を示したも
のである。
【0043】各電子部品の実装形態としては、ツェナー
ダイオード1およびポジスタ3がチップ部品、二次電池
保護用IC200が2方向フラットパッケージとなって
おり、いずれも表面実装用に設定されたもので、プリン
ト配線基板上の所定位置に設けられた接続パッド上にク
リーム半田を塗布してリフロー処理するといった一般的
な表面実装技術により、プリント配線基板の表面にツェ
ナーダイオード1やポジスタ3が実装される。なお、プ
リント配線板としては、例えばポリイミドやエポキシの
ような熱硬化性樹脂をガラスクロスに含浸させた耐熱性
の高いものが好適である。
【0044】ツェナーダイオード1の負極側の端子53
は、プリント配線板の表面に形成された導体55を介し
て、負極側外部接続ターミナル9に接続されると共に二
次電池保護用IC200の負極接続用の端子(接続ピ
ン)57に接続されている。ツェナーダイオード1の正
極側の端子59は、導体61を介して、ポジスタ3の一
方の端子63に接続されると共に二次電池保護用IC2
00の正極接続用の端子65に接続されている。ポジス
タ3の他方の端子67は、導体69を介して正極側外部
接続ターミナル7に接続されている。幅広の導体61に
よってツェナーダイオード1とポジスタ3とが接続され
ているので、それらの間での熱的な伝導性が極めて良好
なものとなっており、ツェナーダイオード1から発せら
れる熱をポジスタ3へと効率的に伝導させることができ
る。例えば、それらの温度差を10℃以下にすることな
どが可能となる。
【0045】なお、熱伝導性を確保するためには、導体
61の厚さを例えば35μm以上に設定することが望ま
しい。ただしこれのみには限定されないことは言うまで
もない。一方、ツェナーダイオード1の負極側の端子5
3と二次電池保護用IC200の負極接続用の端子57
とを接続する導体55や、幅広の導体61と二次電池保
護用IC200の正極接続用の端子65とを接続する導
体71は、幅の狭いパターンに形成することにより、ツ
ェナーダイオード1やポジスタ3から発せられる熱が二
次電池保護用IC200へと伝導されることを抑制する
ことができる。
【0046】次に、第1の実施の形態に係る電子デバイ
ス保護回路100の、さらに詳細な作用について説明す
る。
【0047】充電の際などに、負極側外部接続ターミナ
ル9と正極側外部接続ターミナル7とに二次電池セル5
の定格電圧を超えた過大な電圧が印加されると、その電
圧は、ツェナーダイオード1とポジスタ3とを直列に接
続してなる回路にも印加される。このときには、まだポ
ジスタ3の電気抵抗は増大しておらず、ポジスタ3での
電圧降下は少ないので、降伏電圧を超えた電圧がツェナ
ーダイオード1に印加される。すると、ツェナーダイオ
ード1は、実質的に導通状態となって大電流が流れて発
熱する。その熱は、上記の図3ないし図6に示したよう
な各種の構造によってポジスタ3へと効率的に伝導され
るので、ポジスタ3は加熱されてその温度が上昇する。
やがて検知温度以上になると、ポジスタ3の電気抵抗が
急峻に増大して、そのポジスタ3およびツェナーダイオ
ード1に流れる電流が抑制される。またこのとき、増大
したポジスタ3の電気抵抗による電圧降下とツェナーダ
イオード1の端子間電圧のロックオン作用とによって、
ツェナーダイオード1と並列に接続されている二次電池
保護用IC200の端子間電圧は、ツェナーダイオード
1の降伏電圧程度に保たれる。このようにして、過大電
圧が印加されても、二次電池保護用IC200の破壊や
劣化等を防止することができると共に、この電子デバイ
ス保護回路100の過熱や破壊等を回避することができ
る。
【0048】図7は、第1の実施の形態に係る電子デバ
イス保護回路に25Vの電圧を印加する実験を行った結
果を示したものである。
【0049】この実験では、図4に示したような構造の
電子デバイス保護回路100を用いた。ポジスタ3の仕
様は、初期抵抗値が220Ω、検知温度が120℃とな
っている。ツェナーダイオード1の仕様は、降伏電圧が
21V、最大定格電力200mW、最高許容温度150
℃となっている。この実験を行った際の雰囲気温度は約
25℃である。直流電源から出力される電圧は25V、
最大電流は1Aである。なお、図7のグラフでは、横軸
は、電圧の印加開始からの経過時間を示し、左側の縦軸
は、ツェナーダイオード1、ポジスタ3の、それぞれの
電圧を示し、右側の縦軸は、この電子デバイス保護回路
100の主要部であるポジスタ3およびツェナーダイオ
ード1を流れる電流をアンペア単位(A)で示してい
る。
【0050】まず、直流電源が接続された直後には、ポ
ジスタ3の端子間電圧が約4Vになると共に、ツェナー
ダイオード1の端子間電圧が約21Vになる。このよう
に降伏電圧以上の電圧である約21Vが印加されるの
で、ツェナーダイオード1が導通状態になり、約20m
Aの電流がツェナーダイオード1およびポジスタ3に流
れる。すると、21Vの電圧による約20mAの電流が
流れることによって、ツェナーダイオード1は約420
mWの電力で発熱し、その熱によってポジスタ3が加熱
されて温度が上昇する。また、ポジスタ3自体も約80
mW(=4V×20mA)の電力で発熱する。
【0051】このような状態が、例えば数分間に亘って
継続されると、ツェナーダイオード1はそれ自体の発す
る熱とポジスタ3の発する熱とで過熱状態となり、劣化
したり破壊されたりする場合があるが、この電子デバイ
ス保護回路100では、25Vという過大な電圧の印加
が開始されてから約10秒後に、ツェナーダイオード1
の発する熱とポジスタ3自体の発する熱とでポジスタ3
が加熱されて、検知温度の120℃以上の温度に達す
る。すると、ポジスタ3の電気抵抗が急峻に増大して約
400Ωになり、このポジスタ3およびツェナーダイオ
ード1に流れる電流を、それまでの約半分程度の10〜
12mAにまで抑制することができる。その後は、過大
電圧(25V)が印加され続けても、電流は10〜12
mA程度に安定的に保たれる。これにより、ツェナーダ
イオード1やポジスタ3が過熱によって劣化したり破損
したりすることを防ぐことができる。
【0052】ここで、比較例として、ポジスタ3の代り
に220Ωの固定抵抗器を用いて、上記と同様の実験を
行った場合には、最大定格電力の200mWを大幅に超
えた400mWの発熱が継続されてツェナーダイオード
1が過熱状態となり、最終的には破壊に至ることが確認
されている。
【0053】図8は、第1の実施の形態に係る電子デバ
イス保護回路に、さらに過大な電圧である35Vを印加
する実験を行った結果を示したものである。この実験
は、直流電源として35V・1Aの出力特性を有するも
のを用いること以外は、上記の実験と同様の設定条件と
なっている。
【0054】まず、直流電源が接続された直後には、ポ
ジスタ3の端子間電圧が約14Vになると共に、ツェナ
ーダイオード1の端子間電圧が約21Vになる。このよ
うに降伏電圧以上の電圧である約21Vが印加されるの
で、ツェナーダイオード1が導通状態になって、約60
mAの電流がツェナーダイオード1およびポジスタ3に
流れる。すると、この21Vの電圧による約60mAの
電流が流れることによって、ツェナーダイオード1は約
1260mWの電力で発熱し、その熱によってポジスタ
3が加熱されて温度が上昇する。また、ポジスタ3自体
も約840mWの電力によって発熱する。このような3
5Vという極めて過大な電圧の印加が開始されてから約
5〜10秒後には、ツェナーダイオード1の発する熱と
ポジスタ3自体の発する熱とで急速に加熱されて、ポジ
スタ3の温度はその検知温度である120℃以上に達す
る。すると、そのポジスタ3の電気抵抗が急峻に増大し
て約1700Ωになり、ポジスタ3およびツェナーダイ
オード1に流れる電流を、それまでの約1/6以下の8
〜9mAにまで抑制することができる。その後は、過大
電圧(25V)が印加され続けても、電流は8〜9mA
程度に安定的に保たれる。
【0055】このように、さらに過大な電圧が印加され
る場合には、ツェナーダイオード1およびポジスタ3に
流れる電流を、むしろさらに効果的かつ急速に(短時間
で)抑制することができる。
【0056】ここで、比較例として、ポジスタ3の代り
に220Ω、最大定格許容電力250mWの固定抵抗器
を用いて、上記と同様の実験を行った場合には、図9に
示したような結果となる。すなわち、直流電源を接続し
た直後には、固定抵抗器の端子間電圧が約12.5Vな
り、ツェナーダイオード1の端子間電圧が22.5Vと
なるので、ツェナーダイオード1が導通状態となって、
約60mAの電流が固定抵抗器およびツェナーダイオー
ド1に流れる。このとき、ツェナーダイオード1が約1
300mWの電力によって発熱し、それ自身の温度が急
上昇する。また、ツェナーダイオード1から発せられた
熱は、その周囲をも加熱する。過大電圧の印加を開始し
てから約8秒後には、ツェナーダイオード1は最高許容
温度150℃を超えた温度にまで過熱され、その熱によ
って破壊されるに至る。その破壊された状態のツェナー
ダイオード1の端子間電圧は約7Vに低下するが、電流
は約130mAと、さらに大電流となる。これは、破壊
されて間もないツェナーダイオード1の内部で何らかの
短絡が生じているためと考えられる。それからさらに3
秒程度が経過すると、大電流によってツェナーダイオー
ド1の内部がさらに致命的に焼き切れて、完全に開放状
態となる。このときには、ツェナーダイオード1の内部
が焼き切れる程に過熱状態となっているのであるから、
その周囲もかなり高い温度になることは明らかである。
このように、ポジスタ3の代りに固定抵抗器を用いた場
合には、ツェナーダイオード1が過熱状態となって、最
終的にはツェナーダイオード1自体やその周囲に実装さ
れている回路素子や二次電池保護用IC200等が破壊
されることが確認されている。
【0057】図10は、第1の実施の形態に係る電子デ
バイス保護回路に20Vの電圧を印加する実験を行った
結果を示したものである。
【0058】この実験では、図4に示したような構造の
電子デバイス保護回路100を用いた。ポジスタ3の仕
様は、25℃における初期抵抗値が220Ω、検知温度
が120℃となっている。ツェナーダイオード1の仕様
は、降伏電圧が6V、最大定格電力200mW、最高許
容温度150℃となっている。この実験を行った際の雰
囲気温度は約25℃である。直流電源から出力される電
圧は20V、最大電流は1Aである。
【0059】まず、直流電源が接続された直後には、ポ
ジスタ3の端子間電圧が約14Vになると共に、ツェナ
ーダイオード1の端子間電圧が約6Vになる。このよう
に降伏電圧6V以上の電圧が印加されるので、ツェナー
ダイオード1は導通状態になって、約63mAの電流が
ポジスタ3およびツェナーダイオード1に流れる。する
と、この6Vの電圧による約63mAの電流が流れるこ
とによって、ツェナーダイオード1は約380mWの電
力で発熱し、その熱によってポジスタ3が加熱されてそ
の温度が上昇する。また、ポジスタ3自体も約880m
Wの電力によって発熱する。
【0060】ポジスタ3は、ツェナーダイオード1の発
する熱とポジスタ3自体の発する熱とで加熱されて、過
大電圧の印加が開始されてから約16秒後に検知温度の
120℃以上の温度に達する。すると、ポジスタ3の電
気抵抗が急峻に増大して約1100Ωになり、このポジ
スタ3およびツェナーダイオード1に流れる電流を、そ
れまでの1/5程度の約12mAに抑制する。その後
は、過大電圧(20V)が印加され続けても、電流は1
2mA程度に安定的に保たれる。これにより、ツェナー
ダイオード1やポジスタ3が過熱によって劣化したり破
損したりすることを防ぐことができる。
【0061】ここで、比較例として、ポジスタ3の代り
に、電気抵抗値が220Ω、最大定格電力が250mW
の固定抵抗器を用いて、上記と同様の実験を行った場
合、ツェナーダイオード1および固定抵抗器の発熱が共
に継続されて過熱状態となり、最終的にはそれらが破壊
に至ることが確認されている。
【0062】[第2の実施の形態]図11は、通信用I
Cを内蔵したリチウムイオン二次電池に電子デバイス保
護回路を用いて、その通信用ICを過大電圧や過大電流
から保護するようにした場合の概要構成を示したもので
ある。
【0063】この第2の実施の形態では、第1の実施の
形態のリチウムイオン電池における二次電池保護用IC
200の代りに、通信用IC400が装備されている。
通信用IC400は、リチウムイオン電池のバッテリー
パックとしての種類や識別情報、あるいは二次電池セル
5の電圧値、残存容量値などの各種データを、このリチ
ウムイオン電池が装着される本体機器側(図示省略)に
通信する機能を有するものである。その通信手段として
は無線でもよく、有線でもよい。そのような外部との通
信を行うための通信端子73がリチウムイオン電池の表
面に露出するように設けられている。
【0064】この通信用IC400に対して、第1の実
施の形態とほぼ同様に、電子デバイス保護回路110が
接続されている。すなわち、ツェナーダイオード1が通
信用IC400と並列に接続されており、そのツェナー
ダイオード1に対して直列にポジスタ3が接続されてい
る。その他の概要構成は、第1の実施の形態のものと同
様である。ただし、ツェナーダイオード1の降伏電圧や
ポジスタ3の検知温度は、通信用IC400の定格電圧
や最高許容温度などに対応した適切なものとなるように
設定されていることは言うまでもない。
【0065】このような概要構成により、第2の実施の
形態に係る電子デバイス保護回路110では、例えば二
次電池セル5が充電される際などに、正極側外部接続タ
ーミナル7および負極側外部接続ターミナル9に印加さ
れる電圧が通信用IC400の定格電圧以下である場合
には、ツェナーダイオード1に印加される電圧もその降
伏電圧以下となり、ツェナーダイオード1は実質的に非
導通状態となるので、外部からの電圧印加による電流は
ツェナーダイオード1の方には流れない。また、そのと
きの電流値はポジスタ3の定格電流以下であるから、ポ
ジスタ3は通常時の比較的低い電気抵抗のままであり、
このポジスタ3での電圧降下に起因して通信用IC40
0の通信機能等に支障を来すことがない。このように、
外部から印加される電圧が定格電圧以下の場合には、通
信用IC400は通常通りに支障なく機能することがで
きる。
【0066】また、正極側外部接続ターミナル7および
負極側外部接続ターミナル9に印加される電圧が通信用
IC400の定格電圧を超えたものである場合には、ポ
ジスタ3での電圧降下を差し引いてツェナーダイオード
1に印加される電圧も、その降伏電圧を超えたものとな
るので、ツェナーダイオード1は実質的に導通状態にな
る。従って、このときの過大電圧の印加に起因した大電
流は、通信用IC400よりもツェナーダイオード1の
方にバイパスされる。またこのとき、ツェナーダイオー
ド1の特性から、外部から印加される電圧がさらに増大
しても、ツェナーダイオード1の端子間電圧は降伏電圧
にロックオンされるので、このツェナーダイオード1と
並列に接続されている通信用IC400の端子間電圧も
その降伏電圧以上にはならない。このように、外部から
印加される電圧が定格電圧を超えた過大電圧である場合
には、ツェナーダイオード1が導通状態となって、ポジ
スタ3から通信用IC400ではなくツェナーダイオー
ド1の方に大電流をパイパスして流すと共に、通信用I
C400に印加される電圧をツェナーダイオード1の降
伏電圧程度に抑制して、過大電圧の印加に起因した通信
用IC400の破壊や劣化等を防ぐことができる。
【0067】あるいは、このリチウムイオン二次電池が
電子機器本体に装着される際に、何らかの要因で突発的
に二次電池セル5から大電流が流れたり、パルス波形的
な過大電圧が正極側外部接続ターミナル7と負極側外部
接続ターミナル9とに印加された場合などにも、電子デ
バイス保護回路110が上記のように機能して、通信用
IC400の破壊や劣化等を防ぐことができる。
【0068】また、さらには、過大電圧の印加が継続さ
れて大電流が流れ続けたり、さらに高い電圧が印加され
た場合などには、ツェナーダイオード1が発熱するが、
その熱によってポジスタ3が加熱されて検知温度以上に
なると共にポジスタ3自体も発熱するので、ポジスタ3
の電気抵抗が急峻に増大して電流を抑制する状態とな
り、それと直列に接続されているツェナーダイオード1
にも大電流が流れることが抑制される。このように、過
大電圧が印加され続けたり、高い電圧が印加された場合
などにも、ツェナーダイオード1の過熱を防いで、それ
に起因したツェナーダイオード1自体の破壊や通信用I
C400の過熱や劣化などを回避することができる。特
に、通信用IC400のような電子デバイスは、過大電
圧や過大電流によって破壊されやすい傾向にあるので、
そのような破壊を確実に防ぐための保護回路として電子
デバイス保護回路110を用いることが好適である。た
だし、そのような用途のみには限定されないことは言う
までもない。
【0069】[第3の実施の形態]図12は、通信用I
Cと二次電池保護用ICとを内蔵したリチウムイオン二
次電池に電子デバイス保護回路を設けて、通信用ICを
過大電圧や過大電流から保護するようにした場合の概要
構成を示したものである。
【0070】この第3の実施の形態のリチウムイオン二
次電池では、図11に示したような第2の実施の形態の
リチウムイオン二次電池の内部に、さらに二次電池保護
用IC200が追加して設けられている。さらに詳細に
は、二次電池保護用IC200は、二次電池セル5に対
して並列に接続されている。電子デバイス保護回路12
0は、第2の実施の形態とほぼ同様に通信用IC400
に接続されている。すなわち、二次電池保護用IC20
0と二次電池セル5と電子デバイス保護回路120と
は、互いに並列に接続されている。このような概要構成
のリチウムイオン二次電池の内部に用いられる場合に
も、電子デバイス保護回路120は、過大電圧や過大電
流から通信用IC400を保護することができると共
に、電子デバイス保護回路120それ自体が過熱状態に
なることや破壊されることを回避することができる。ま
た、それと並行して、二次電池セル5に対する過大電圧
の印加や二次電池セル5の過小電圧時の放電電流の流失
などを、二次電池保護用IC200によって防ぐことが
できる。
【0071】[第4の実施の形態]図13は、図1に示
したような第1の実施の形態に係る電子デバイス保護回
路に、さらにコンデンサを付加した回路の概要構成を示
したものである。この第4の実施の形態に係る電子デバ
イス保護回路130では、ツェナーダイオード1と並列
にコンデンサ21が接続されている。このコンデンサ2
1を付加することにより、外部から過大電圧が正極側外
部接続ターミナル7と負極側外部接続ターミナル9とに
印加された場合に、その過大電圧が印加された瞬間の電
圧波高値(電圧波形ピーク)を小さくすることが可能と
なる。
【0072】すなわち、一般に、ツェナーダイオード1
の電圧印加に対する応答遅れ(遅延時間)を完全にゼロ
とすることは実質的に不可能であり、過大電圧が印加さ
れてからツェナーダイオード1が降伏して導通状態にな
るまでには、遅延時間が不可避的に存在する。その遅延
時間は、一般に、最小でも10ns、あるいはそれ以上
である。このため、外部から過大電圧が印加された瞬間
から100ns程度までの間は、ツェナーダイオード1
が完全には応答していないので、その間に、二次電池保
護用IC200などの電子デバイスに過大電圧が印加さ
れたり、極めて高い電圧に突出した波高値のパルスが電
圧印加開始直後の瞬間に印加されたりする場合がある。
あるいは、何らかの要因で、静電気に起因した過大電圧
が正極側外部接続ターミナル7と負極側外部接続ターミ
ナル9とに印加されて、それが極めて高い電圧に突出し
た波高値の電圧パルスとして二次電池保護用IC200
に印加される場合もある。しかし、そのようなツェナー
ダイオード1が十分には応答しきれない100ns程度
以下の瞬間的な過大電圧が印加された場合には、その瞬
間的な過大電圧をコンデンサ21によって吸収すること
ができる。しかも、コンデンサ21はツェナーダイオー
ド1や二次電池保護用IC200に対して並列に接続さ
れているので、瞬間的に過大電圧が印加される場合以外
では、例えば二次電池セル5の充電時などに直流の定格
充電電圧が印加される場合などには、ほとんど機能しな
い。従って、このようなコンデンサ21を付加しても、
ツェナーダイオード1や二次電池保護用IC200の機
能には何ら支障を来すことがない。
【0073】なお、このようなコンデンサ21として
は、例えば二次電池セル5が4.2V程度の非水質リチ
ウムイオン二次電池セル5である場合などには、約60
00pF以上の静電容量が必要である。ただし、コンデ
ンサ21の静電容量は、このような範囲のみには限定さ
れないことは言うまでもなく、保護対象の電子デバイス
や、この電子デバイス保護回路130が組み込まれたリ
チウムイオン二次電池が用いられる電子機器本体等の仕
様に対応して、適宜に設定することが望ましい。
【0074】図16は、コンデンサの無い場合(A)
と、付加した場合(B)とで、30Vの過大電圧を印加
した直後から安定状態に至るまでの、ツェナーダイオー
ドの端子間電圧の時間的推移を計測した実験結果を示し
たものである。なお、図16では、横軸は時間をnsで
示し、縦軸はツェナーダイオード1の端子間電圧をVで
示している。この実験で用いたツェナーダイオード1
は、降伏電圧が6.3V、最大定格電力が200mW、
最高許容温度が150℃である。ポジスタ3は、25℃
における初期抵抗値が220Ω、検知温度が120℃で
ある。
【0075】図1に示したようなコンデンサ21の無い
電子デバイス保護回路100の場合には、図16(A)
に示したように、30V・最大電流1Aの直流電源を接
続した直後から20ns後に、ツェナーダイオード1の
端子間電圧が約6.7Vにまで急峻に上昇する。この
6.7Vが、瞬間的に突出した電圧波高値となってい
る。その後、直流電源を接続してから200nsが経過
した頃には、ツェナーダイオード1の端子間電圧は約
6.3Vで安定する。このように、過大電圧の印加が開
始された直後に、瞬間的に突出した電圧波高値が発生
し、この高い電圧が、ツェナーダイオード1に並列に接
続されている二次電池保護用IC200や通信用IC4
00のような電子デバイスに印加される場合がある。こ
のような高い電圧が瞬間的に印加されると、通信用IC
400などの電子デバイスにとっては過大な電流が流れ
て、その電子デバイスが破壊されてしまう場合がある。
特に、電源回路の配線が長く、その配線のインダクタン
スが大きい場合などには、より高い電圧が瞬間的に発生
する可能性が高く、延いては電子デバイスが破壊されて
しまう確率が高くなる傾向にある。
【0076】そのような場合には、例えば図13に示し
たようなコンデンサ21を用いた電子デバイス保護回路
130によって、瞬間的な高い電圧を即時に吸収して、
二次電池保護用200などの電子デバイスを破壊から保
護することができる。実際に、コンデンサ21を付加し
たことの他は上記のコンデンサ21の無い場合と同じ設
定にして実験を行うと、図16(B)に示したように、
直流電源を接続してから220ns後までに、ツェナー
ダイオード1の端子間電圧は図16(A)の場合よりも
緩やかに上昇して、最大でも6.5Vになり、500n
s以降は約6.3Vに安定する。このように、コンデン
サ21を付加することにより、過大電圧の印加直後の瞬
間に突出した電圧波高値が発生することを防ぐことがで
きる。なお、静電容量のさらに大きなコンデンサ21を
用いることにより、過大電圧の印加直後の急峻な電圧変
化や突出した電圧波高値の発生を、さらに効果的に解消
することができる。また、このようなコンデンサ21の
作用は、その緩和の他にも、例えば静電気による極めて
高い電圧が瞬間的に印加された場合に、その高い電圧を
吸収することなどにも適用可能である。
【0077】[第5の実施の形態]図14は、図11に
示したような第2の実施の形態に係る電子デバイス保護
回路に、さらにコンデンサを付加した回路の概要構成を
示したものである。この図14に示したような通信用I
C400を保護するための電子デバイス保護回路140
においても、第4の実施の形態と同様に、ツェナーダイ
オード1と並列にコンデンサ21を付加することによ
り、外部から過大電圧が正極側外部接続ターミナル7と
負極側外部接続ターミナル9とに印加された場合に、そ
の過大電圧が印加された瞬間に突出した波高値の電圧が
通信用IC400に印加されることを解消することがで
きる。
【0078】[第6の実施の形態]図15は、図12に
示したような第3の実施の形態に係る電子デバイス保護
回路に、さらにコンデンサを付加した回路の概要構成を
示したものである。すなわち、この第6の実施の形態に
係る電子デバイス保護回路150は、図12に示したよ
うな二次電池保護用IC200と通信用IC400とを
備えたリチウムイオン二次電池に用いられる電子デバイ
ス保護回路120に、ツェナーダイオード1と並列して
コンデンサ21をさらに付加したものである。このよう
な概要構成により、外部から過大電圧が正極側外部接続
ターミナル7と負極側外部接続ターミナル9とに印加さ
れた場合に、その過大電圧が印加された瞬間に突出した
波高値の電圧が通信用IC400に印加されることを解
消することができる。
【0079】[第7の実施の形態]図17は、図1に示
したような第1の実施の形態の電子デバイス保護回路に
おけるツェナーダイオードの代りにバリスタを用いた場
合の概要構成を示したものである。
【0080】この第7の実施の形態に係る電子デバイス
保護回路160では、バリスタ23の降伏電圧をツェナ
ーダイオード1のそれと同様の電圧に設定し、その他の
設定や概要構成は、第1の実施の形態に係る電子デバイ
ス保護回路100と同様のものとする。このようにバリ
スタ23を用いることにより、ツェナーダイオード1を
用いた場合と同様に、二次電池保護用IC200を過大
電圧や過大電流による過熱や破壊から保護することがで
きると共に、電子デバイス保護回路160自体の過熱や
破壊を回避することができる。バリスタ23は一般に、
電圧−電流特性曲線がツェナーダイオード1よりも緩や
かである。更に、このバリスタ23自体が、上記の第4
〜第6の実施の形態に述べたようなコンデンサ21と同
様に、過大電圧が印加された瞬間の電圧波高値の突出を
解消あるいは緩和する機能を有している。従って、ツェ
ナーダイオード1の代りにバリスタ23を用いることに
より、ツェナーダイオード1を用いた場合の作用に加え
て、瞬間的な電圧波高値の突出を解消することや、静電
気による極めて高い電圧が印加された場合にそれを吸収
することが可能となる。
【0081】なお、このようにツェナーダイオード1の
代りにバリスタ23を用いた電子デバイス保護回路16
0は、図17に示したような二次電池保護用IC200
が内蔵されたリチウムイオン二次電池の他にも、例えば
図18に示したように、通信用IC400が内蔵された
リチウムイオン二次電池の内部に実装して、その通信用
IC400を過大電圧や過大電流から保護するために用
いることも可能である。あるいは、例えば図19に示し
たように、二次電池保護用IC200と通信用IC40
0とが内蔵されたリチウムイオン二次電池の内部に装備
して、通信用IC400を過大電圧や過大電流から保護
するために用いることも可能である。
【0082】あるいは、例えば図20に示した電子デバ
イス保護回路170のように、ツェナーダイオード1の
代りにバリスタ23を用いると共に、そのバリスタ23
に対してコンデンサ21を並列に接続した回路構成とし
てもよい。このような電子デバイス保護回路170によ
れば、二次電池保護用IC200を過大電圧や過大電流
から保護することができると共に、瞬間的な電圧波高値
の突出をさらに確実に解消することや、静電気による極
めて高い電圧が印加された場合にそれをさらに確実に吸
収することができる。
【0083】あるいは、例えば図21に示したように、
通信用IC400が内蔵されたリチウムイオン二次電池
に、ポジスタ3とコンデンサ21とバリスタ23とを備
えた電子デバイス保護回路170を設けて、その通信用
IC400を過大電圧や過大電流から保護することも可
能である。
【0084】あるいは、例えば図22に示したように、
二次電池保護用IC200と通信用IC400とが内蔵
されたリチウムイオン二次電池に、ポジスタ3とコンデ
ンサ21とバリスタ23とを備えた電子デバイス保護回
路170を設けて、その通信用IC400を過大電圧や
過大電流から保護することも可能である。
【0085】図23は、ポジスタとバリスタとを接続し
た実体的な構造の一例を示したものである。
【0086】この構造は、ポジスタ3とバリスタ23と
を、熱的伝導性の良好な中間電極75を介して積層し、
ポジスタ3の上面には電極77を、バリスタ23の下面
には電極79を、それぞれ接合したものである。なお、
中間電極75は、図示しない配線等を介して二次電池保
護用IC200の正極側端子201に接続されている。
このような構造により、バリスタ23から発せられる熱
をポジスタ3へと効率的に伝導させることが可能とな
る。しかも、その構造は、極めて小型で簡易なものとな
っている。
【0087】図24は、ポジスタとバリスタとを接続し
た実体的な構造の、他の一例を示したものである。
【0088】ポジスタ3の端子81とバリスタ23の端
子83とが、低融点金属95によって接合されている。
端子81,83や低融点金属95は、電気的および熱的
な伝導性の高い金属が望ましい。ポジスタ3の他方の端
子85は、図24中では図示しない配線等を介して二次
電池セル5の正極等に接続されている。また、バリスタ
23の他方の端子87は、図示しない配線等を介して二
次電池セル5の負極等に接続されている。端子81,8
3,85,87の材料としては、例えばニッケル系合
金、鉄系合金、銅系合金などを用いることができる。こ
のような構造により、バリスタ23から発せられる熱を
ポジスタ3へと効率的に伝導させることができると共
に、ポジスタ3とバリスタ23とを一体化して実装する
ことができる。しかも、この構造自体が最も簡易で小型
なものとなっている。なお、図24中では図示を省略し
たが、ポジスタ3の端子81とバリスタ23の端子83
との接合部分には、図24中には図示を省略した二次電
池保護用IC200の端子等と接続される配線が接合さ
れていることは言うまでもない。
【0089】図25は、ポジスタとバリスタとを接続し
た実体的な構造の、さらに他の一例を示したものであ
る。
【0090】この構造は、ポジスタ3とバリスタ23と
を、絶縁板89を介して積み重ねて配置し、それらを金
属板91で接続したものである。ポジスタ3の図中右側
の端子81と、バリスタ23の図中右側の端子83と
が、それぞれ低融点金属93によって1枚の金属板91
に接合されている。この金属板91が、ポジスタ3とバ
リスタ23とを電気的に直列に接続すると共に、それら
の間での熱的な伝導性を良好なものとしている。ポジス
タ3とバリスタ23との間には、それら両者間を電気的
に絶縁するために、絶縁板89が介挿されている。この
ような構造により、バリスタ23から発せられる熱をポ
ジスタ3へと効率的に伝導させることができる。また、
その構造自体が、ポジスタ3とバリスタ23とを一体化
して、簡易かつ小型なものとなっている。
【0091】図26は、図19に示したような第7の実
施の形態に係る電子デバイス保護回路に対して25Vの
電圧を印加する実験を行った結果の一例を示したもので
ある。
【0092】この実験では、図24に示したような構造
の電子デバイス保護回路を用いた。ポジスタ3は、25
℃における初期抵抗値が220Ω、検知温度が120℃
である。バリスタ23は、降伏電圧が18V、最大定格
電力が100mW、最高許容温度が150℃である。こ
の実験を行った際の雰囲気温度は約25℃である。直流
電源は出力電圧が25V、最大電流が1Aである。
【0093】まず、直流電源が接続されると、ポジスタ
3の端子間電圧が約4Vになると共に、バリスタ23の
端子間電圧が急峻に約21Vになる。しかしこのとき、
バリスタ23には電圧波高値の突出は生じない。バリス
タ23に降伏電圧を超えた電圧が印加されたことで、1
9〜20mAの電流がバリスタ23およびポジスタ3に
流れて、バリスタ23が約420mWの電力によって発
熱すると共に、ポジスタ3が約80mWの電力によって
発熱する。これらの発熱によって、ポジスタ3の温度が
上昇して120℃以上になると、そのポジスタ3の電気
抵抗が急峻に増大して約540Ωになり、その電気抵抗
によって抑制されて電流が緩やかに低下して行き、約1
1mAになる。このとき、ポジスタ3の端子間電圧が7
Vに上昇する一方、バリスタ23の端子間電圧が約18
Vに低下する。
【0094】こうして、直流電源が接続されてから約1
0s後には、バリスタ23の端子間電圧が低下して約1
8Vに保たれると共に、ポジスタ3およびバリスタ23
に流れる電流が抑制されて約11mAに保たれる。これ
により、バリスタ23に対して並列に接続されている通
信用IC400や二次電池保護用IC200などの電子
デバイスに過大電圧が印加されることを防ぐことができ
ると共に、この電子デバイス保護回路160自体の有す
るポジスタ3やバリスタ23が過熱状態になることや破
壊されることを回避することができる。また、さらに
は、過大電圧が印加された瞬間の電圧波高値の突出や、
静電気の極めて高い電圧の印加などに起因した、通信用
IC400などの電子デバイスの破壊や劣化等を防ぐこ
とができる。
【0095】なお、上記の各実施の形態では、二次電池
保護用ICや通信用ICを備えたリチウムイオン二次電
池に、本発明による電子デバイス保護回路を用いた場合
について説明したが、このようなリチウムイオン二次電
池以外にも、例えば、無線電話機能が作り込まれた通信
用ICと、それに電源電力を供給する二次電池セルとを
備えた、携帯電話装置などにも、本発明の電子デバイス
保護回路は適用可能である。その場合には、例えば図1
1に示したような回路構成とすることにより、携帯電話
装置内の通信用ICを、過大電圧や過大電流から保護す
ることが可能である。
【0096】また、二次電池セルを有さない通信用IC
に対して、外部から電源電圧が供給されるような回路構
成の場合などにも、その通信用ICを過大電圧や過大電
流から保護するするために、本発明による電子デバイス
保護回路を好適に用いることが可能である。
【0097】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電子デバ
イス保護回路によれば、電子デバイスの定格電圧を超え
た過大電圧が印加されると、その過大電圧の印加に起因
した大電流のほとんどがツェナーダイオードの方に流れ
て、電子デバイスの方に流れることを抑制すると共に、
ツェナーダイオードに並列に接続された電子デバイスの
端子間電圧をそのツェナーダイオードの降伏電圧にロッ
クオンしてほぼ一定の電圧に保つようにしたので、過大
電圧の印加に起因した破壊や劣化などから電子デバイス
を保護することができるという効果を奏する。また、そ
れと共に、ツェナーダイオードにポジスタを直列に接続
し、電流のさらなる増大やツェナーダイオードの発熱に
よる温度の上昇に伴ってポジスタの電気抵抗が増大して
電流をツェナーダイオードの最大許容電流値未満にまで
抑制するようにしたので、過大電圧が印加され続けた場
合や、ツェナーダイオードの最大許容電流値を超えた大
電流が流れる程の過大電圧が印加された場合などでも、
ツェナーダイオードの過熱や破壊などを確実に防ぐこと
ができる。
【0098】特に、請求項2,4,6,8のいずれかに
記載の電子デバイス保護回路によれば、ツェナーダイオ
ードとポジスタとを熱伝導可能に設けて、電子デバイス
に定格電圧を越えた過大電圧が印加されると、ツェナー
ダイオードが発熱してポジスタの電気抵抗値の増大を促
進するようにしたので、過大電流が流れることに起因し
たツェナーダイオードの過熱や破壊などをさらに確実に
防ぐことができる。
【0099】また、特に請求項3または7記載の電子デ
バイス保護回路によれば、コンデンサを電子デバイスに
対して並列に接続して、定格電圧を超えた電圧が瞬間的
に印加されたときに、その電圧変化をコンデンサで吸収
するようにしたので、例えば過大電圧の印加が開始され
た直後や、静電気などによる瞬間的な過大電圧が印加さ
れた際など、ツェナーダイオードの端子間電圧が降伏電
圧に達する以前の瞬時にも、過大電圧が電子デバイスに
印加されることをさらに確実に防ぐことができる。
【0100】また、特に請求項5ないし8のうちいずれ
か1項に記載の電子デバイス保護回路によれば、所定電
圧以上の電圧が印加されると電流が増大する特性を有
し、その所定電圧が電子デバイスの定格電圧を超えた値
に設定されているバリスタ素子を、ツェナーダイオード
の代りに備えて、過大電圧の印加に対してツェナーダイ
オードよりもさらに速く応答できるようにしたので、例
えば過大電圧の印加が開始された直後や、静電気による
高電圧が瞬間的に印加された場合などにも、過大電圧が
電子デバイスに印加されることを、さらに確実に防ぐこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る電子デバイス
保護回路の概要構成を表した図である。
【図2】図1に示した電子デバイス保護回路を、二次電
池セルおよび二次電池保護用ICと共にリチウムイオン
二次電池のバッテリーパックの内部に実装した状態を模
式的に表した図である。
【図3】ポジスタとツェナーダイオードとを接合する実
体的な構造の一例を示した図である。
【図4】ポジスタとツェナーダイオードとを接続した実
体的な構造の、他の一例を示した図である。
【図5】ポジスタとツェナーダイオードとを接続した実
体的な構造の、さらに他の一例を示した図である。
【図6】ポジスタとツェナーダイオードとを接続した実
体的な構造の、さらに他の一例を示した図である。
【図7】第1の実施の形態に係る電子デバイス保護回路
に25Vの電圧を印加する実験を行った結果を示した図
である。
【図8】第1の実施の形態に係る電子デバイス保護回路
に、さらに過大な電圧である35Vを印加する実験を行
った結果を示した図である。
【図9】比較例として、ポジスタの代りに220Ω、最
大定格許容電力250mWの固定抵抗器を用いた実験を
行った場合の結果を示した図である。
【図10】第1の実施の形態に係る電子デバイス保護回
路に20Vの電圧を印加する実験を行った結果を示した
ものである。
【図11】通信用ICを内蔵したリチウムイオン二次電
池に電子デバイス保護回路を用いた場合の概要構成を示
した図である。
【図12】通信用ICと二次電池保護用ICとを内蔵し
たリチウムイオン二次電池に電子デバイス保護回路を設
けた場合の概要構成を示した図である。
【図13】図1に示したような第1の実施の形態に係る
電子デバイス保護回路に、さらにコンデンサを付加した
回路の概要構成を示した図である。
【図14】図11に示したような第2の実施の形態に係
る電子デバイス保護回路に、さらにコンデンサを付加し
た回路の概要構成を示した図である。
【図15】図12に示したような第3の実施の形態に係
る電子デバイス保護回路に、さらにコンデンサを付加し
た回路の概要構成を示した図である。
【図16】30Vの過大電圧を印加した直後から安定状
態に至るまでのツェナーダイオードの端子間電圧の時間
的推移を、コンデンサの無い場合(A)と付加した場合
(B)とで計測した実験結果を示した図である。
【図17】図1に示した第1の実施の形態の電子デバイ
ス保護回路におけるツェナーダイオードの代りにバリス
タを用いた場合の概要構成を示した図である。
【図18】通信用ICが内蔵されたリチウムイオン二次
電池に電子デバイス保護回路を用いた場合の概要構成を
示した図である。
【図19】二次電池保護用ICと通信用ICとが内蔵さ
れたリチウムイオン二次電池に電子デバイス保護回路を
用いた場合の概要構成を示した図である。
【図20】ツェナーダイオードの代りにバリスタを備え
ると共に、そのバリスタに対してコンデンサを並列に接
続した電子デバイス保護回路を、二次電池保護用ICが
内蔵されたリチウムイオン二次電池に用いた場合の概要
構成を示した図である。
【図21】図20に示した電子デバイス保護回路を、通
信用ICが内蔵されたリチウムイオン二次電池に用いた
場合の概要構成を示した図である。
【図22】図20に示した電子デバイス保護回路を、二
次電池保護用ICおよび通信用ICが内蔵されたリチウ
ムイオン二次電池に用いた場合の概要構成を示した図で
ある。
【図23】ポジスタとバリスタとを接続した実体的な構
造の一例を示した図である。
【図24】ポジスタとバリスタとを接続した実体的な構
造の他の一例を示した図である。
【図25】ポジスタとバリスタとを接続した実体的な構
造の、さらに他の一例を示した図である。
【図26】図19に示した第7の実施の形態に係る電子
デバイス保護回路に対して25Vの電圧を印加する実験
を行った結果の一例を示した図である。
【図27】ツェナーダイオードとポジスタとを1つのプ
リント配線基板の表面に実装した場合の平面的な配線パ
ターンおよび実装形態の一例を示した図である。
【符号の説明】
1…ツェナーダイオード、3…ポジスタ、5…二次電池
セル、21…コンデンサ、23…バリスタ、100、1
10、120、130、140、150、160、17
0…電子デバイス保護回路、101…外装材、200…
二次電池保護用IC、400…通信用IC

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子デバイスに定格電圧を超えた電圧が
    印加されることを抑止する電子デバイス保護回路であっ
    て、 降伏電圧以上の電圧が印加されると電流が増大する特性
    を有し、その降伏電圧が前記定格電圧を超えた値に設定
    されており、前記電子デバイスに対して並列に接続され
    たツェナーダイオードと、 電流の増大または温度の上昇のうち少なくともいずれか
    一方に対応して電気抵抗が増大して電流を抑制する特性
    を有し、前記ツェナーダイオードに対して直列に接続さ
    れたポジスタとを備えたことを特徴とする電子デバイス
    保護回路。
  2. 【請求項2】 前記ポジスタが、温度の上昇に対応して
    電気抵抗値が増大する特性を有するものであり、 前記ツェナーダイオードが、降伏電圧以上の電圧が印加
    されると電流が増大して発熱する特性を有するものであ
    り、 前記ツェナーダイオードと前記ポジスタとが熱伝導可能
    に設けられており、 前記電子デバイスに前記定格電圧を越えた過大電圧が印
    加されると、前記ツェナーダイオードが発熱して前記ポ
    ジスタの電気抵抗値の増大を促進するように設定されて
    いることを特徴とする請求項1記載の電子デバイス保護
    回路。
  3. 【請求項3】 前記電子デバイスに対して並列に接続さ
    れ、前記定格電圧を超えた電圧が瞬間的に印加されたと
    きに、その電圧変化を吸収するコンデンサをさらに備え
    たことを特徴とする請求項1記載の電子デバイス保護回
    路。
  4. 【請求項4】 前記ツェナーダイオードと前記ポジスタ
    とが熱伝導部材によって熱的に結合されていることを特
    徴とする請求項1記載の電子デバイス保護回路。
  5. 【請求項5】 前記ツェナーダイオードの代りに、所定
    電圧以上の電圧が印加されると電流が増大する特性を有
    し、その所定電圧が前記定格電圧を超えた値に設定され
    ているバリスタ素子を備えたことを特徴とする請求項1
    記載の電子デバイス保護回路。
  6. 【請求項6】 前記ツェナーダイオードの代りに、所定
    電圧以上の電圧が印加されると電流が増大する特性を有
    し、その所定電圧が前記定格電圧を超えた値に設定され
    ているバリスタ素子を備えたことを特徴とする請求項2
    記載の電子デバイス保護回路。
  7. 【請求項7】 前記ツェナーダイオードの代りに、所定
    電圧以上の電圧が印加されると電流が増大する特性を有
    し、その所定電圧が前記定格電圧を超えた値に設定され
    ているバリスタ素子を備えたことを特徴とする請求項3
    記載の電子デバイス保護回路。
  8. 【請求項8】 前記ツェナーダイオードの代りに、所定
    電圧以上の電圧が印加されると電流が増大する特性を有
    し、その所定電圧が前記定格電圧を超えた値に設定され
    ているバリスタ素子を備えたことを特徴とする請求項4
    記載の電子デバイス保護回路。
  9. 【請求項9】 前記ポジスタと前記ツェナーダイオード
    とを直列に接続した回路に対して、並列に接続された二
    次電池セルをさらに備えたことを特徴とする請求項1記
    載の電子デバイス保護回路。
  10. 【請求項10】 前記電子デバイスが、前記二次電池セ
    ルに対する過充電を監視する機能を有する半導体集積回
    路であることを特徴とする請求項9記載の電子デバイス
    保護回路。
  11. 【請求項11】 前記電子デバイスが、通信機能を有す
    る半導体集積回路であることを特徴とする請求項1記載
    の電子デバイス保護回路。
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