JP2002112796A - 水溶性ポリペプチドの製造方法 - Google Patents

水溶性ポリペプチドの製造方法

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JP2002112796A JP2001257835A JP2001257835A JP2002112796A JP 2002112796 A JP2002112796 A JP 2002112796A JP 2001257835 A JP2001257835 A JP 2001257835A JP 2001257835 A JP2001257835 A JP 2001257835A JP 2002112796 A JP2002112796 A JP 2002112796A
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サラー・シー・ボダリー
Cornelia M Gorman
コーネリア・エム・ゴーマン
John W Mclean
ジョン・ダブリュー・マックリーン
Mary A Napier
メアリー・エー・ナピアー
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 GPIIb−IIIaの製造方法を提供す
る。 【解決手段】 GPIIb−IIIaをコードしている
核酸で許容性の宿主細胞を形質転換し、この宿主細胞を
GPIIb−IIIaが細胞膜に蓄積されるまで培養す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】本発明はコンプレックスの可溶性受容体の
製造に関する。さらに詳しくは、本発明は細胞マトリッ
クスまたは血漿タンパク質の組換え受容体の合成に関す
る。
【0002】細胞膜は脂質二重層に存在するポリペプチ
ドを含有している。このようなポリペプチドは、細胞膜
にタンパク質を固定するドメイン、疎水性のトランスメ
ンブランドメインを、多くの場合、C-末端細胞質配列
と共に含有している。通常、これらのポリペプチドは1
本鎖の分子であるか、または翻訳後のタンパク質加水分
解プロセッシングによって元の1本鎖発現産物から導か
れる複数鎖の分子である。このような複数鎖のポリペプ
チドは、ジスルフィド結合によって共有結合しているの
が普通である。しかし、これらポリペプチドの一部は、
塩架橋、ファン・デル・ワールス力、疎水性の相互作用
などによって互いに非共有結合しており、このような場
合にはポリペプチドサブユニットのさらに大きな集合体
への会合が生物学的活性のための前提条件である。
【0003】このような膜結合した複数サブユニット分
子の生物学的活性は異なるが、通常は受容体または結合
機能を反映する。受容体は細胞の外部環境中の物質また
は状態を考慮して細胞にシグナルを送るのに役立つか、
細胞外物質を内部化するのに役立つか、または細胞を互
いに、細胞外マトリックス物質、細胞表面もしくは血漿
タンパク質に結合させるように機能する。
【0004】別のサブクラスに属する膜結合の複数サブ
ユニットのポリペプチドは、それぞれのサブユニットが
異なっており、即ち実質的にホモローガスではなく、別
個の遺伝子によってコードされているポリペプチドであ
る。このようなポリペプチドを、本発明の目的のために
「MSP」(複数サブユニットポリペプチド)と呼ぶ。こ
のようなポリペプチドまたは受容体の多数の例が知られ
ているが、最も重要な群は細胞外マトリックス分子のた
めの細胞表面受容体のクラスであり、その一部は現在同
定されており、それをコードしているDNAがクローニ
ングされている[例えば、Buckら, Ann.Rev.Cell Biol.
3: 179(1987)およびRuoslahtiら, Science 238: 491
(1987)を参照]。
【0005】特に重要なものは、血小板糖タンパク質II
b-IIIa、即ち、血小板凝集に関与しており、フィブリノ
ーゲン、フィブロネクチン、ビトロネクチンおよびフォ
ン・ビレブランド因子に結合する血小板膜結合受容体で
ある。この受容体を構成する2つのサブユニットが同定
されている[Fitzgeraldら,Biochemistry 26: 8158(19
87)およびFitzgeraldら, J.Biol.Chem. 262(9): 3936
(1987)]。BennettらはCos-1細胞でのGPIIbサブユ
ニットの発現を報告したが、このサブユニットは細胞膜
上に見い出されなかった[AHA第61回科学会議;198
8年11月15日]。Bennettらは、膜局在化がIIb-IIIaコン
プレックスの形成を必要としているのかもしれないと示
唆した。組換えの膜結合GPIIb-IIIaを調製することが
できたなら、それはその適切なリガンド(例えば、フィ
ブリノーゲン)に結合するであろうと教示または示唆す
るものはなかった。さらに、同じ会議におけるFreling
erらの口頭発表は、未同定の組換え細胞表面での完全長
GPIIb-IIIaの一時的な発現を示すものと主張したが、
発表のように発現が得られた方法に関する他の情報は提
供されなかった。
【0006】Corbiらは、1988年9月のBoehringer Inge
lheimにより後援されたTitisee Symposiumにおいて、C
OS細胞における機能的な完全長LFA-1の一時的な
発現を口頭で報告した。
【0007】膜結合のMSPは、疎水性のドメインがM
SPをミセルまたは集合体に誘導する傾向があるので、
精製および安定性に困難を与える。適切なヘテロ二量体
の組立て以上に複数分子集合体を形成することなく、特
に血液などの体液中、および食塩水などの薬理学的担体
中で可溶性である形態のこれら受容体が必要とされてい
る。即ち、本発明の目的はこのようなMSP形態を合成
することである。
【0008】別の目的は、通常のリガンドを適切に結合
することができる可溶形態のGPIIb-IIIa受容体を得る
ことである。
【0009】さらに別の目的は、組換え細胞培養におい
てGPIIIaを発現させることである。
【0010】また、別の目的は、組換え細胞培養によっ
てGPIIb-IIIaを高収率で製造することである。これら
およびその他の目的は本出願の全体を考慮することによ
って明らかとなろう。
【0011】本発明によれば、細胞膜結合の複数サブユ
ニットポリペプチド(MSP)(その各サブユニットは別
個の遺伝子によってコードされている)の分泌型類似体
を製造するための方法であって、(1)サブユニットのそ
れぞれをコードしている核酸中に、MSPがもはや脂質
二重層にとどまることができないようにするMSPのア
ミノ酸配列変異体をコードしている突然変異を導入し、
(2)工程(1)の核酸で宿主細胞をトランスフェクション
し、(3)工程(2)の宿主細胞を培養し、そして(4)この宿
主細胞培養物から生物学的に活性な可溶性MSPを回収
する、ことを特徴とする方法が提供される。また、本発
明によれば、インテグリン鎖のアミノ酸配列変異体、特
に、インテグリン鎖のトランスメンブランドメインが修
飾されており、従ってもはや細胞膜にとどまることがで
きない変異体をコードしている核酸および発現ベクター
が提供される。
【0012】また、GPIIb-IIIaの製造方法であって、
GPIIb-IIIaをコードしている核酸で許容宿主細胞を形
質転換し、そしてGPIIb-IIIaが細胞膜に蓄積するまで
この宿主細胞を培養することを特徴とする方法が提供さ
れる。
【0013】特定の態様においては、本発明の目的は、
(a)不活性化された膜アンカードメインを有するMSP
のアミノ酸配列変異体、および(b)MSPとは異なるポ
リペプチド(これは、例えば免疫グロブリンの不変ドメ
インなどの長い血漿半減期を有するタンパク質または免
疫原から選ばれる)の配列に融合したMSPの細胞外ド
メインを含有するポリペプチド、からなる群から選ばれ
る生物学的に活性なMSPのアミノ酸配列変異体を提供
することによって達成される。
【0014】別の態様においては、MSPまたは本明細
書の別のところに記載するMSP類似体のMSPアミノ
酸残基または炭水化物置換体を、共有結合修飾によって
誘導体化するか、またはポリエチレングリコールなどの
非タンパク質性ポリマーにコンジュゲートさせて、改善
された循環半減期を示すMSP誘導体を製造する。
【0015】具体的な態様においては、インテグリンの
生物学的に活性な細胞外ドメインを含有するポリペプチ
ドをそのC-末端のところで免疫グロブリンの不変ドメ
インに融合させるか、または免疫原性ポリペプチドに連
結する。
【0016】本発明で提供されるMSP変異体を精製
し、診断もしくは調合用途のために、または細胞付着の
調節においてインビボ使用するために薬理学的に許容し
うる担体中に配合する。
【0017】本明細書においてMSPとは、その少なく
とも1つの鎖が通常は細胞膜に固定されており、そして
その少なくとも2つの鎖が別個にコードされている複数
鎖のポリペプチドと定義される。通常、MSPは少なく
とも2つの独立した鎖を含有しており、その2つは細胞
膜中に直接入っている。通常は細胞膜中に入っているM
SP鎖に1またはそれ以上の別の鎖が共有結合または非
共有結合していてもよいが、この別の鎖はそれ自体が膜
中に固定されるものであってはならない。通常、このよ
うな鎖は、膜固定されることになる1本鎖の翻訳後プロ
セッシングによって得られる。別個にコードされている
サブユニットは単一の翻訳されたタンパク質の翻訳後プ
ロセッシングによって得られるものではなく、それらの
アミノ酸配列はホモローガスではなく(即ち、このサブ
ユニットの配列は同一ではない)、また、天然において
同一ポリペプチドの二量体または多量体に組立てられな
いものである。それとは異なり、これらは独立したmR
NAまたはポリシストロン性メッセージの翻訳によって
産生される。即ち、複数のMSPポリペプチドをコード
している複数の核酸は、天然においては異なるプロモー
ターおよび他の転写コントロール配列の制御下で見い出
されるのが普通である。MSPには、細胞付着受容体と
も定義される細胞外マトリックス分子に対する細胞表面
受容体が主として含まれる。多数のこれら受容体および
それらのリガンド(これらリガンドにはフィブリノーゲ
ンなどの血漿タンパク質および細胞外マトリックス分子
が含まれる)ならびに細胞表面タンパク質(I-CAMな
ど)が、傷治癒、形態形成移動、発生とは無関係の細胞
移動、止血および転移に関与している細胞付着現象の中
心をなしている。これらの細胞付着受容体は機能的およ
び構造的特徴によって識別されている。機能的には、通
常、これら受容体は配列RGDを含むポリペプチドに結
合し、ペプチドRGDSまたはRGDVなどのRGD配
列を含有する他のポリペプチドとの競合によってそれか
ら解離する。また、これらはリガンド結合のためにカル
シウムなどの2価のカチオンを必要とすることが多い。
MSPには、T細胞受容体などの免疫グログリン上科の
構成員が含まれることもあるし、また含まないこともあ
る。細胞表面の細胞内付着相互作用に関与しているMS
Pの群はインテグリンと呼ばれている[Buckら, Ann.Re
v.Cell Biol. 3: 179-205(1987)を参照]。
【0018】構造的には、このような細胞付着受容体
は、第1の1本鎖ポリペプチドまたはジスルフィド架橋
した複数鎖ポリペプチド(α-鎖)が第2の別のポリペプ
チド(β-鎖と呼ぶ)と非共有結合によって会合してそれ
によってヘテロマルチマーを形成している超遺伝子族の
マルチマーに属する。これら受容体のα-鎖はそれらの
アミノ酸配列に関しては全く異なっており、鳥類インテ
グリン(バンド1)のαサブユニット;VLA1、2およ
び4のα、αおよびα;鳥類インテグリン(バン
ド2)およびVLA3のα;フィブロネクチン受容体
およびVLA5のα ;LFA-1のα;Mac-1のα
;p150,95のα;GPIIbのαα ;ならび
にビトロネクチンのαが含まれる。通常、β-鎖は3
つの群、即ちβ[鳥類インテグリン(バンド3);フィ
ブロネクチン受容体およびVLA]、β [LFA-1/
Mac-1;p150,95]およびβ(GPIIb-IIIaおよ
びビトロネクチン受容体)に分類され、それぞれのβ群
の構成員は実質的にホモローガスであるか、または同一
である。選択したMSPが、天然では互いに会合してい
るのが普通である2つ(またはそれ以上)の鎖を含んでい
るのが好ましいが、これは非天然のヘテロマーがコンプ
レックスを形成しないと推定されるためである。
【0019】MSPのそれぞれの鎖はその天然の環境下
で分泌シグナルを含有するプレタンパク質として発現さ
れ、これが受容体の細胞外配向の間にプロセッシングさ
れる。また、それぞれのサブユニットの少なくとも1つ
の鎖は、ポリペプチドのC-末端部分に位置して約10
〜30個の疎水性の高い残基(phe、leu、ile、val、me
t、glyおよびalaなど)を含有するドメイン、または脂質
(例えば、リン脂質)の共有結合付加のための部位として
働くポリペプチド配列を含有する疎水性のアンカーを有
しているであろう。このような膜アンカー配列またはド
メインは、本明細書ではまとめて膜アンカードメインと
呼ぶ。通常、10〜100残基のオーダーの短い親水性
の細胞質ドメインがトランスメンブランドメインのC-
末端に見い出される。サブユニットなる用語はポリペプ
チド鎖を意味するものと理解されるべきであり、あるポ
リペプチド鎖のドメインまたは機能的なサブ領域を指す
ものではない。
【0020】ある種のMSPは他の構造的特徴を共有し
ている。例えば、ある受容体のサブユニットはシステイ
ンに富む直列のアミノ酸配列反復(ここでは、約80%
以上のシステイン残基がGPIIIaの約2残基のシステイ
ン残基の直列反復内に並べられる)を含んでおり、ま
た、あるサブユニットはコンセンサスN-末端配列 Tyr
/Phe/Leu-Asn-Leu-Aspを有しているか、または
あるサブユニットはカルモジュリンのカルシウム結合部
位に実質的な配列相同性を有するアミノ酸ドメインを含
有している。
【0021】さらに、インテグリン上科の上記構成員に
ホモローガスな受容体がMSPの範囲内に含まれる。本
明細書で定義するホモローガスなる用語は、インテグリ
ン上科の既知構成員に対して少なくとも実質的に同一の
アミノ酸配列の相同性を有する(あらゆる現在既知の構
成員があらゆる他の既知の構成員に対して有しているよ
うに)インテグリン上科の構成員のポリペプチド配列を
有することを意味する。通常、ホモローガスとは、保存
性の置換を考慮に入れることなく最大の相同性が得られ
るように配列を並べた後に、約40%以上のアミノ酸の
相同性を有することを意味する。
【0022】本発明はその一部には、独立してコードさ
れているMSPが、宿主細胞膜中に挿入するその能力を
削除するように修飾されたときに、なお組換え宿主細胞
によって完全に組立てられ、生物学的に活性な形態で分
泌されるという発見に基づいている。サブユニットの適
切な会合がもはや細胞膜における並置によって促進され
ないにもかかわらず、組換え宿主細胞は互いに正しく会
合したサブユニットを分泌し、この組立て物は天然MS
Pの細胞外ドメインの生物学的活性を示す。さらに、こ
のMSP配列がマルチマー形成ポリペプチドに融合され
ていないときであっても適切な組立てが得られた。即
ち、外性の架橋ポリペプチド(免疫グロブリン鎖など)の
助けがないときであってもMSPが正しく会合すること
が見い出された。
【0023】生物学的活性は、天然環境においてMSP
が通常結合するリガンドに定性的に結合する、分泌型M
SPの能力の点で定義されるが、分泌型MSPによるリ
ガンド結合の動力学またはその他の量的な性質が天然細
胞結合MSPのものとは異なっていることもあることは
理解されよう。分泌型のMSPは天然MSPに対して生
成させた抗体と交差反応することができる多数の機能的
な免疫エピトープを保持している可能性が高いが、分泌
型のMSPが本明細書で定義する生物学的活性を示すも
のとするにはこれだけでは不十分である。即ち、「生物
学的活性」な分泌型のMSPは、そのリガンドに結合す
る能力も同様に示さなければならない。しかし、本発明
に従って製造されるMSPのすべてが、本明細書で定義
した意味において生物学的活性を示す必要がある訳では
ないことは理解されよう。このような生物学的には不活
性であるが、しかし例えば免疫学的に活性なMSP類似
体は、診断検定において、MSPに対する抗体の生成に
おいて、またはMSPに対する抗体の精製において用途
が見い出される。
【0024】本発明は、特にMSPのアミノ酸配列変異
体に関する。MSPのアミノ酸配列変異体は考慮される
種々の目的で調製され、これには、MSPのその結合相
手に対する親和性の増大、MSPの安定性、精製および
調製の容易化(水溶性の増大および膜親和性の減少を含
む)、その血漿半減期の増大、上記のような治療効率の
改善、追加の機能の導入、およびMSPを治療に用いた
ときの副作用の重さもしくは発生の軽減などが含まれ
る。MSPのアミノ酸配列変異体は、挿入、置換または
削除変異体の1つまたは組合せに分類される。それぞれ
のMSP変異体または類似体は1つの不活性化された膜
アンカードメインを有しており、これは挿入、置換また
は削除によって達成されるであろうが、これらの変異体
は所望により天然MSPの1つの鎖の膜アンカードメイ
ンを不活性化すること以外のことに関係している別の突
然変異を含んでいることもある。
【0025】挿入アミノ酸配列変異体は、MSPに対し
て外性の1またはそれ以上のアミノ酸残基がMSP中の
予め決めた部位(CまたはN末端を含む)に導入されてい
るものである。このような変異体は、挿入された位置に
MSPにおいて通常見い出される配列以外の配列を含む
ポリペプチドとMSPの融合体と呼ばれる。いくつかの
群の融合体が本発明において意図されている。
【0026】免疫学的に活性なMSP融合体は、非MS
Pエピトープを含有するポリペプチドとMSPからな
る。この非MSPエピトープは任意の免疫学的にコンピ
テントなポリペプチドである。即ち、融合体を投与しよ
うとしている動物において免疫反応を誘導することがで
きるか、または非MSPポリペプチドに対して生成させ
た抗体と結合することができるあらゆるポリペプチドで
ある。代表的な非MSPエピトープはアレルゲン、自己
免疫エピトープ、または他の強力な免疫原もしくは抗原
(融合体の投与を受けるものに予め存在する抗体によっ
て認識される)が保持しているものであり、これには細
菌性ポリペプチド(例えば、trpLE、β-ガラクトシダ
ーゼ)、ウイルス性ポリペプチド(例えば、ヘルペスgD
タンパク質)などが含まれる。免疫原の融合体は、免疫
原ポリペプチドをコードしているDNAで形質転換され
た組換え細胞培養によって、またはインビトロの架橋に
よって調製される。この免疫原の融合体は、免疫原性配
列がペプチド結合によってMSPまたはそのフラグメン
トに結合または挿入された融合体であるのが好ましい。
従って、これらの産物は、MSPエピトープとMSPに
対して外性の少なくとも1つのエピトープを含有する直
線状のポリペプチド鎖からなる。これらエピトープをM
SP分子またはそのフラグメント中のどこかに導入する
ことが本発明の範囲内にあることは理解されよう。この
ような融合体は組換え宿主細胞において、または2官能
性の架橋剤を使用することによって調製するのが好都合
である。架橋剤を用いてMSPを免疫原性ポリペプチド
に融合させるのは、この架橋産物を構造的に均質な形態
で合成するのが容易ではないので、直線状の融合体ほど
には望ましいものではない。
【0027】これらの免疫原挿入体は、薬理学的に許容
しうる担体中に配合され、MSPに対する抗体を生成さ
せるために対象に投与されたときに特に有用であり、次
いでこれらの抗体は診断において、または自体既知の免
疫アフィニティー法によるMSPの精製において有用と
なる。別法では、MSPの精製において、融合した非M
SPポリペプチドの結合相手(例えば、抗体、受容体ま
たはリガンド)を用いて不純な混合物から融合体を吸着
させ、次いでこの融合体を溶離し、そして所望ならMS
Pを例えば酵素切断などによって融合体から回収する。
【0028】免疫学的に活性であってもよいし、また活
性でなくてもよいその他の融合体には、成熟MSP配列
とMSPに対して異種のシグナル配列との融合体、トラ
ンスメンブラン修飾されたMSP(このMSPが細胞膜
にとどまれないようにする配列の削除または修飾を含
む)と例えば高められた血漿半減期(通常は>約20時
間)を有するポリペプチド(高められた血漿半減期を与え
る免疫グロブリン鎖またはそのフラグメントなど)との
融合体が含まれる。
【0029】シグナル配列との融合は、MSPの分泌を
一層迅速にするために行われる。異種のシグナルを天然
のMSPシグナルと置換し、得られた融合体が宿主細胞
によって認識、即ちプロセッシングされ、切断されたと
きに、MSPが分泌される。シグナルは意図している宿
主細胞に基づいて選択され、これには細菌、酵母、哺乳
動物およびウイルス配列が含まれる。天然のMSPシグ
ナルあるいはヘルペスgD糖タンパク質シグナルが哺乳
動物発現系で使用するのに適している。
【0030】修飾された膜アンカードメインを有する可
溶型のMSPの血漿半減期よりも長い高められた血漿半
減期を有する血漿タンパク質には、血清アルブミン、免
疫グロブリン、アポリポタンパク質、およびトランスフ
ェリンが含まれる。融合に使用されるMSP-血漿タン
パク質は、それが使用される動物において免疫原性が有
意なものではなく(即ち、治療対象に対してホモローガ
スであり)、また、この血漿タンパク質はその正常な生
物学的活性の故に患者に望ましくない副作用を引き起こ
すものではないのが好ましい。
【0031】ある具体的な態様では、MSPの細胞外ド
メインを免疫グロブリンの不変領域配列とコンジュゲー
トさせる。免疫グロブリンおよびそのある種の変異体が
既知であり、多数が組換え細胞培養において調製されて
いる。例えば、米国特許 4,745,055; EP 256,654; F
aulknerら, Nature 298: 286(1982); EP 120,694;E
P 125,023; Morrisonら, J.Immun. 123: 793(1979);
K〓hlerら, P.N.A.S.USA 77: 2197(1980); Rasoら, C
ancer Res. 41: 2073(1981); Morrisonら, An n.Rev.Im
munol. 2: 239(1984); Morrisonら, Science 229: 120
2(1985); Morrisonら, P.N.A.S.USA 81: 6851(1984);
EP 255,694; EP 266,663; およびWO 88/03559を
参照。また、再分類された免疫グロブリン鎖も既知であ
る。例えば、米国特許 4,444,878; WO 88/03565; お
よびEP 68,763ならびにこれらに引用された文献を参
照。さらに、Gascoigneら, P.N.A.S.USA 84: 2936-294
0(1987年5月); EP 325,224; およびAndrew Scott
Petersonの論文(Harvard University; 1988年11月22日
に学位が与えられた)をも参照。
【0032】通常、MSPの細胞外ドメインはそのC-
末端で、免疫グロブリンの不変領域のN-末端にその可
変領域の代わりに融合しており、免疫グロブリン重鎖の
不変領域の少なくとも機能的に活性なヒンジ、CH2お
よびCH3ドメインは保持している。2種類の形態のこ
のような融合体が本発明に包含されている。その1つに
おいては、2またはそれ以上の通常の膜結合MSP鎖の
細胞外ドメインがNまたはC末端で免疫グロブリン不変
領域に融合しており(ヘテロ融合)、一方、他の形態で
は、MSPの1つの鎖だけが不変領域に融合している
(モノ融合)。このヘテロ融合には、軽もしくは重鎖不変
領域のいずれか、または両者との融合が含まれる。この
ヘテロ融合体は、軽鎖融合体、重鎖融合体または両者を
コードしているDNAで宿主細胞を形質転換することに
よって得られる。例えば、重鎖不変領域に融合させた1
つのMSP鎖と軽鎖不変領域に融合させた他のMSP鎖
をコードしているDNAでトランスフェクションする
と、MSP鎖との軽および重鎖融合を有するヘテロ四量
体またはヘテロ二量体が得られよう。これらは生物学的
に活性である可能性がそれほど高くないので、モノ融合
ほどには望ましくない。モノ融合体は1を越える融合鎖
を含有することもできるが、この場合にはMSP鎖は常
に同一のサブユニットに由来するであろうことに注意す
べきである。
【0033】モノ融合体は免疫グロブリン変異体であ
り、MSPの1つの鎖が重または軽鎖(またはその不変
ドメイン)に融合しているが、MSPの残りの鎖が免疫
グロブリンに融合しておらず、代わりに、実質的に天然
MSPの場合に普通であるような方法で融合鎖と会合し
ている。通常、モノ融合体中の融合および非融合MSP
鎖の両者は、膜アンカードメインが膜中に存在しないよ
うに修飾された変異体であり、最も普通には、1つのM
SP鎖の膜アンカードメインが削除され、他方の膜アン
カードメインが削除されて次いで残存する細胞外領域が
そのN-末端で免疫グロブリン不変ドメインのC-末端に
融合している。このMSP鎖またはそのフラグメントは
軽鎖または重鎖のいずれかに融合しているが、重鎖に融
合しているのが好ましい。MSPが1つの膜アンカード
メインだけを含有しているときには、残りの鎖は通常そ
の天然の配列を有しているであろう。
【0034】免疫グロブリンの抗原結合能力ならびにM
SPリガンドに結合する能力を有するモノまたはポリ融
合体を得るのが望ましいこともある。このような産物
は、抗原と結合することができる軽および重鎖(また
は、それまでに軽鎖を産生するように選択される)を軽
および/または重鎖MSP融合体および非融合MSP鎖
(モノ融合体の場合)と共にコードしているDNAで宿主
細胞を形質転換することによって調製される。これによ
って、例えば免疫グロブリンの一方または両方の軽-重
アームがMSPの1つの鎖との融合からなり、次いでこ
れがMSPの残りの鎖と組立てられる(共有結合または
非共有結合によって)ことを除いて免疫グロブリンの正
常な構造を有する構築物が得られるであろう。
【0035】融合形質転換体がMSPサブユニットに融
合していない免疫グロブリン鎖をも産生する(または、
産生するように形質転換される)場合には、この免疫グ
ロブリンの可変ドメインはある抗原に対して未知または
既知の特異性を有していてよい。宿主細胞は構成的に未
決定の抗体を調製することができないものであって、抗
体を産生するときには既知の免疫グロブリンをコードし
ているDNAによる形質転換によってであるものが好ま
しい。このような免疫グロブリン(重鎖ならびに軽鎖の
両方を含んでいてもよい)は、既知の抗原に対して特異
性を示す。別法では、これらのコンパニオン免疫グロブ
リン鎖は、機能的な可変または超可変ドメインを欠いて
いるであろう(マルチマーの組立ては可能であるが、抗
原結合活性はないように)。例えば、無傷の重および軽
鎖コンパニオン免疫グロブリンを発現しうる宿主細胞か
ら分泌され、回収することができる生成MSP融合体
は、抗原結合機能とMSP機能を保持しているであろ
う。このような産物はMSPリガンドと任意の所望の抗
原との架橋を容易にするであろう。宿主細胞は、そのよ
うな多重形質転換において1を越える免疫グロブリン産
物を調製し、従って、あるマルチマー形態を他の形態か
ら回収することが必要となろう。しかし、これはMSP
リガンド、抗原もしくはその両方に基づくアフィニティ
ークロマトグラフィーによる、またはゲルもしくは他の
クロマトグラフィー法による分離を必要とする通常の必
要事項であろう。
【0036】免疫グロブリン鎖の代わりにトランスフェ
リン、アルブミン、アポリポタンパク質またはその他の
配列を用いることを除き、延長された血漿半減期を有す
る他のタンパク質を同様の方法でMSPに融合する。通
常はマルチマーに組立てられない1本鎖の血漿タンパク
質にMSP鎖を融合するときにはモノ融合体が好まし
い。
【0037】通常、MSPの細胞外ドメインの境界は膜
アンカードメインのN-末端であるか、またはそれから
N-末端約20残基内であり、MSP配列の精査によっ
て容易に同定される。しかし、比較的小さなセグメント
がリガンド結合に十分であることが普通に見い出されて
いるので、全MSP細胞外ドメインを使用する必要はな
い。このようなセグメントは、削除突然変異体または酵
素消化物を調製し、リガンド結合についてスクリーニン
グして活性フラグメントを同定することにより常法によ
って同定され、「MSP」なる用語の範囲内に含まれ
る。
【0038】通常、MSPの細胞外ドメインはそのC-
末端で、免疫グロブリン不変領域または他の安定な血漿
タンパク質のN-末端に融合される。融合が行われる正
確な部位は必須ではなく、可溶性MSPの分泌または結
合の性質を最適なものにするために、成熟N-末端の血
漿タンパク質のC-末端または細胞外領域の内部または
それに隣接する他の部位を選択することもできる。この
最適部位は通常の実験によって決定されるであろう。
【0039】本発明に従って製造されるヘテロおよびキ
メラのMSP−免疫グロブリン変異体の例を以下に図式
的に示す。「A」はリガンド結合部位を含むMSPの細胞
外ドメインの少なくとも一部を意味し;A、A、A
などはAの個々のサブユニット鎖を示し;V
、CおよびCは免疫グロブリンの軽鎖または重
鎖の可変または不変ドメインを示し、nは整数であり;
そして、Yは共有結合架橋部分を示す。 (a)AC; (b)AC-AC; (c)AC-[AC,AC-AC,AC-VC,VC-AC,ま
たはVC-VC]; (d)AC-AC-[AC,AC-AC,AC-VC,VC-AC
,またはVC-VC ]; (e)AC-VC-[AC,AC-AC,AC-VC,VC-
AC,またはVC-V C]; (f)VC-AC-[AC,AC-AC,AC-VC,VC-
AC,またはVC-V C];または (g)[A-Y]n-[VC-VC]
【0040】この表に示した構造は重要な特徴のみを示
すものであり、これらはジスルフィド結合を示していな
い。これらは簡潔にするために削除した。しかし、その
ようなドメインが結合活性に必要であるところでは、免
疫グロブリンドメイン中でそれらが占める通常の位置に
それらは存在しているものとする。これらの例としては
2価の抗体が代表的である。さらに複雑な構造が他のク
ラス(例えば、IgM)に由来する免疫グロブリン重鎖配
列を使用することから生じる。コンパニオン免疫グロブ
リンとも呼ばれる免疫グロブリンV抗体結合部位
は予め決めた抗原に結合しうるものであるのが好まし
い。
【0041】免疫グロブリン構築物の例を以下に図式的
に示す。垂直の線は非共有または共有結合の関係を示し
ている。
【化1】
【化2】
【0042】好都合なコンパニオン免疫グロブリン結合
部位および融合相手はヒトIgG-1、-2、-3もしくは
-4サブタイプ、IgA、IgE、IgDまたはIgMから
得られるが、好ましいのはIgG-1である。可溶型のI
gM、またはIgMの膜アンカードメインを修飾してもは
や膜にとどまることができないようにしたものを用いる
のが好ましい。
【0043】好ましい態様は、IgG Fcを化学的に規
定するパパイン切断部位[重鎖不変領域の最初の残基を
114として残基216(Kabatら,"Sequences of Pro
teinsof Immunological Interest",第4版,1987年)、ま
たは他の免疫グロブリンの類似の部位]のすぐ上流のヒ
ンジ領域において始まる配列とMSPのN-末端部分の
融合体である。
【0044】免疫グロブリンまたは他の血漿安定性ポリ
ペプチドを1またはそれ以上のMSPサブユニットのC
-末端に、通常はMSP鎖の少なくとも1つのトランス
メンブランおよび細胞質ドメインの代わりに融合される
が、1つのサブユニットだけを置換するのが普通であ
る。GPIIb-IIIaの場合には、これはβサブユニットで
あろう。また、重鎖などの免疫グロブリンドメインを、
末端切除または無傷の免疫グロブリン重鎖と普通の方法
で結合させることができる。
【0045】免疫グロブリン鎖の可変領域の代わりにM
SPの細胞外ドメインが置換されている変異体は、改善
されたインビボの血漿半減期を示すものと考えられる。
これらのキメラは、ある種の抗体由来の可変ドメインを
別の種の可変ドメインの代わりに置換するキメラ抗体と
同様の方法で構築する。例えば、EP 0 125 023; Mun
ro[Nature 312 (1984年12月13日)]; Neubergerら[Natu
re 312 (1984年12月13日)]; Sharonら[Nature 309 (19
84年5月24日)]; Morrisonら[Proc.Natl.Acad.Sci.USA
81: 6851-6855(1984)]; Morrisonら[Science 229: 120
2-1207(1985)];および、Boulianneら[Nature 312: 643
-646(1984年12月13日)]を参照。MSPの細胞外ドメイ
ンをコードしているDNAを、制限酵素により、このド
メインをコードしているDNAの3'末端もしくはその
近接点で、および成熟MSPポリペプチドのN-末端を
コードしているDNAのところもしくはその近接点(異
なるリーダーの使用が意図されているとき)で、または
MSPのN-末端暗号領域のところもしくはその近接点
(天然のMSPシグナルを使用するとき)で切断する。次
いで、このDNAフラグメントを、例えば免疫グロブリ
ンの軽鎖または重鎖不変領域をコードしているDNA中
に挿入し、そして必要なら削除突然変異誘発によって加
工するのは容易である。好ましくは、これはヒト免疫グ
ロブリンである。免疫グロブリンの軽鎖または重鎖不変
領域をコードしているDNAは既知であるか、またはc
DNAライブラリーから入手するのが容易であるか、ま
たは合成される。例えば、Adamsら[Biochemistry 19:
2711-2719(1980)];Goughら[Biochemistry 19: 2702-2
710(1980)];Dolbyら[P.N.A.S.USA 77: 6027-6031(198
0)];Riceら[P.N.A.S.USA 79: 7862-7865(1982)];Fa
lknerら[Nature 298: 286-288(1982)];および、Morri
sonら[Ann.Rev.Immunol. 2: 239-256(1984)]を参照。
【0046】キメラ鎖をコードしているDNAを発現用
の宿主細胞中にトランスフェクションする。宿主細胞が
トランスフェクション前に免疫グロブリンを産生してい
るときには、ヘテロ抗体を産生させるためには軽鎖また
は重鎖に融合させたMSPでトランスフェクションする
ことが必要になるだけである。MSPドメインを保持す
る1またはそれ以上のアームおよびコンパニオン可変領
域を保持する1またはそれ以上のアームを有する前記の
免疫グロブリンにより、MSPリガンドおよび抗原に対
する2つの特異性が得られることになる。これらは上記
の組換え法によって、またはインビトロの方法によって
得られる。後者の場合には、例えば自体既知の方法に従
い、免疫グロブリンおよびMSP融合体のF(ab')
ラグメントを調製し、このF(ab')フラグメントを穏
やかな還元条件のもとでの還元によってFab'フラグメ
ントに変換し、次いで酸性条件のもと互いの存在下で再
酸化する[米国特許 4,444,878をも参照]。
【0047】さらに、異なる特異性を有する免疫グロブ
リンから無傷のヘテロ抗体を製造する方法が知られてい
る。これまでに使用されていたいずれかの免疫グロブリ
ンの代わりにMSP融合体を単に置換することによっ
て、これらの方法をヘテロキメラ抗体のインビトロ製造
用に採用する。
【0048】また、ヘテロ機能性の抗体を製造する別の
方法においては、MSP−免疫グロブリン融合体を産生
する宿主細胞(例えば、トランスフェクションされたミ
エローマ)を、ある抗原に対する所望のコンパニオン特
異性を有する抗体を分泌するハイブリドーマまたはB細
胞と融合させる。ヘテロ二機能性抗体がこのようなハイ
ブリドーマの培養培地から回収され、従って通常のイン
ビトロ法によるよりも若干好都合に製造することができ
る(EP 68,763)。
【0049】別の群のMSP変異体は削除変異体であ
る。削除は、MSP配列から1またはそれ以上のアミノ
酸残基を除去することを特徴とする。通常、全MSPサ
ブユニットの膜アンカーおよび細胞質ドメインが削除さ
れる。しかし、MSPのマトリックスタンパク質または
リガンド結合能力を保存しているトランスメンブランの
N-末端側の他のあらゆる部位が適している。削除変異
体の範囲から除外されるのは、これまでMSPのアミノ
酸配列を解明する過程で得られることもあったタンパク
質消化フラグメントである。
【0050】置換変異体は、MSP配列中の少なくとも
1つの残基が除去され、その位置に別の残基が挿入され
ているものである。通常、MSPの性質を微妙に調節す
る結果になる置換を以下の表1に示す。
【0051】
【表1】
【0052】表1の置換より保存性が少ない置換を選択
することによって、即ち、(a)置換領域におけるポリペ
プチド骨格の構造、例えばシートまたは螺旋の立体配
座、(b)標的部位における分子の電荷または疎水性、ま
たは(c)側鎖の大きさ、を維持するその作用がもっと有
意に異なっている残基を選択することによって、機能ま
たは免疫学的な独自性の実質的な変換が行われる。通
常、MSPの性質に最大の変化をもたらすと予想される
置換は、(a)親水性の残基(例えば、セリルまたはトレオ
ニル)が、疎水性の残基(例えば、ロイシル、イソロイシ
ル、フェニルアラニル、バリルまたはアラニル)に代え
て(または、によって)置換されているもの;(b)システ
イニルまたはプロリルが他のいずれかの残基に代えて
(または、によって)置換されているもの;(c)電気陽性
の側鎖を有する残基(例えば、リジル、アルギニルまた
はヒスチジル)が、電気陰性の残基(例えば、グルタミル
またはアスパルチル)に代えて(または、によって)置換
されているもの;または(d)大きな側鎖を有する残基(例
えば、フェニルアラニル)が、側鎖を有さない残基(例え
ば、グリシル)に代えて(または、によって)置換されて
いるものであろう。
【0053】好ましい群の置換または削除変異体は、M
SPの膜アンカー領域が関係している変異体である。M
SPサブユニットのトランスメンブラン領域は、細胞膜
の脂質2重層をまたぐに適切な大きさの疎水性または親
油性の高いドメインである。これらはMSPを細胞膜に
固定するものと考えられている。他の細胞表面分子が、
リン脂質アンカーによるように、脂質の修飾によって固
定される。
【0054】膜アンカードメインの削除または置換は、
MSPの細胞または膜脂質親和性を減少させ、その水溶
性を改善することによって、可溶型のMSPを与え、そ
の回収を容易にするであろう。膜アンカードメインが削
除されるときには、身体によって外来と認識されるであ
ろう他の点では細胞内であるポリペプチドの暴露または
免疫原の可能性がある異種ポリペプチドの挿入のいずれ
かによる、免疫原の可能性があるエピトープの導入を避
ける。膜アンカードメインが削除されたMSPの主な利
点は、それが組換え宿主の培養培地中に分泌されること
である。この変異体は血液などの体液に可溶性であり、
細胞膜脂質に対して検出しうるほどの親和性を有さず、
従ってこれを組換え細胞培養物から回収するのをかなり
簡単なものにする。驚くべきことに、もはや細胞膜中に
安定に挿入することができないように膜挿入鎖が修飾さ
れたMSPは、このMSP鎖が免疫グロブリンなどのマ
ルチマー形成配列に融合されていないときであっても、
適切に会合し、組換え宿主細胞から分泌されうる。マル
チマー形成配列は、天然において非融合形態にあるとき
に共有または非共有結合の複数鎖構造を形成する複数鎖
ポリペプチドの部分を含有する複数鎖のポリペプチドで
ある。
【0055】置換、削除、挿入またはこれらの任意の組
合せを導入して最終的な構築物に至ることは上記の説明
によって十分に明らかであろう。これら変異体はいずれ
も機能的な膜アンカードメインを有しておらず、また好
ましくは機能的な細胞質配列を有していないであろう。
通常、これは関連ドメインの削除によって達成される
が、適切な挿入または置換変異体もこの目的に有効であ
る。例えば、トランスメンブランドメインを、全体とし
て親水性のハイドロパシープロフィールを示す約5〜5
0のセリン、トレオニン、リジン、アルギニン、グルタ
ミン、アスパラギン酸などの親水性残基からなるランダ
ムな配列または予め決めた配列などの任意のアミノ酸配
列によって置換する。削除された(末端切除された)MS
Pと同様、これらの変異体は組換え宿主の培養培地に分
泌される。
【0056】MSP変異体はMSPをコードしているD
NA中のヌクレオチドの部位特異的な突然変異誘発によ
って製造するのが好都合である。これによって変異体を
コードしているDNAを得、次いで組換え細胞培養でこ
のDNAを発現させる。明らかに、変異MSPをコード
しているDNA中の変化はこの配列を読み枠の外側に置
くものであってはならず、また好ましくは、発現に有害
な2次的なmRNA構造を生じることもある相補領域を
創製しないものであろう(EP 75,444A)。通常、MSP
変異体は天然の原型が示す活性と同じマトリックスまた
はリガンド結合活性を示すが、上に示したようなMSP
の性質を修飾するためにも変異体を選択する。
【0057】アミノ酸配列変異を導入する部位は予め決
めるが、突然変異自体は予め決める必要がない。例え
ば、ある部位での突然変異の効果を最大にするため、ラ
ンダムまたは飽和突然変異誘発(ここでは、可能性ある
20残基のすべてが挿入される)を標的コドンまたは領
域で行い、発現したMSP変異体を目的活性の最適組合
せについてスクリーニングしてよい。
【0058】マトリックスタンパク質またはリガンドに
結合することができないMSP変異体はそれでも、少な
くとも1つのMSPエピトープが活性のままである限
り、MSPに対する抗体を生成させるための免疫原とし
て、または免疫検定キットの成分(ラベルして天然MS
Pの競争試薬として、または未ラベルでMSP検定の標
準として)として有用である。
【0059】1またはそれ以上のMSPサブユニットが
非タンパク性ポリマーとコンジュゲートしているMSP
またはMSPのアミノ酸配列もしくはグリコシル化変異
体(上に既述した変異体を含む)が本発明に意図されてい
る。MSPとコンジュゲートする非タンパク性ポリマー
には天然または出発のMSP中の同一位置に存在するオ
リゴサッカリドが含まれないことは理解されよう。即
ち、このポリマーはMSPに対して外性または異種のも
のである。
【0060】炭水化物置換基の位置を変えるか、または
その数を増加させるために、MSPポリペプチドの部位
指向性の突然変異誘発によってグリコシル化部位を移
動、追加または削除することは本発明の範囲内に含まれ
る。選択した炭水化物を添加する(または、全くグリコ
シル化しない)宿主細胞を選択することによって、また
はインビトロの酵素消化によって、常法により炭水化物
の性質を修飾する。
【0061】通常、非タンパク性のポリマーは親水性の
合成ポリマー、即ち他の方法では天然に見い出されない
ポリマーである。しかし、天然に存在するポリマーであ
って組換えもしくは種々の方法により製造されるポリマ
ーが、天然から単離されるポリマーと同様に有用であ
る。親水性のポリビニルポリマー、例えばポリビニルア
ルコールおよびポリビニルピロリドンが本発明の範囲内
にある。特に有用なポリマーは、ポリエチレングリコー
ル、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチレンエ
ステルもしくはメトキシポリエチレングリコールなどの
ポリアルキレンエーテル;ポリオキシエチレン、ポリオ
キシプロピレン、およびポリオキシエチレンとポリオキ
シプロピレンのブロックコポリマー(プルロニック)など
のポリオキシアルキレン;ポリメタクリレート;カルボ
マー;サッカリド単量体であるD−マンノース、Dおよ
びL−ガラクトース、フコース、フルクトース、D−キ
シロース、L−アラビノース、D−グルクロン酸、シア
ル酸、D−ガラクツロン酸、D−マンヌロン酸(即ち、
ポリマンヌロン酸またはアルギン酸)、D−グルコサミ
ン、D−ガラクトサミン、D−グルコースおよびノイラ
ミン酸からなる分岐型もしくは非分岐型のポリサッカリ
ド[ラクトース、アミロペクチン、スターチ、ヒドロキ
シエチルスターチ、アミロース、硫酸デキストラン、デ
キストラン、デキストリン、グリコーゲン、もしくは酸
性ムコポリサッカリド(例えば、ヒアルロン酸)のポリサ
ッカリドサブユニットなどのホモポリサッカリドおよび
ヘテロポリサッカリドを含む];ポリソルビトールおよ
びポリマンニトールなどの糖アルコールのポリマー;お
よび、ヘパリンである。ポリサッカリドに、天然のグリ
コシル化もしくはMSPの組換え発現に付随するグリコ
シル化がなされている場合には、通常の置換部位はMS
PのNまたはO結合グリコシル化部位以外の位置にある
か、またはこのMSP変異体は追加もしくは置換のNま
たはO結合部位が分子中に導入されているアミノ酸配列
変異体である。
【0062】このようなポリマーの混合物を用いるか、
またはこのポリマーは均質なものであってもよい。架橋
前のポリマーは水溶性である必要はないが(水溶性であ
るのが好ましい)、最終コンジュゲートは血液などの生
物学的液体に可溶性でなくてはならない。さらに、治療
用にはこのポリマーはMSPに結合したときに高い免疫
原性を有していてはならず、静脈内注入もしくは注射に
よる投与が意図されているときにはそれに適合しない粘
度を有していてはならない。
【0063】このポリマーはMSPと反応する基を1つ
だけ含んでいるのが好ましい。これがMSP分子の架橋
を避けるための助けとなる。しかし、反応条件を最適な
ものにして架橋を減少させるか、または反応生成物をゲ
ル濾過もしくはクロマトグラフィー・シーブによって精
製して実質的に均質な誘導体を回収することが本発明の
範囲内に含まれる。
【0064】ポリマーの分子量は約100から500,
000の範囲であり、好ましくは約1,000から20,
000の範囲である。選択される分子量はポリマーの性
質および置換の程度に依存するであろう。一般に、ポリ
マーの親水性が高くなり置換の度合が大きくなるほど、
使用可能な分子量は小さくなる。最良の分子量は通常の
実験により決定されるであろう。通常、MSP−ポリマ
ーコンジュゲートの分子量は約70,000を越えるも
のであろうが、より低分子量の分子が適当である。
【0065】通常、ポリマーは、ポリマーおよびMSP
の1もしくはそれ以上のアミノ酸もしくは糖残基と反応
する多官能性架橋剤によりMSPに共有結合させる。し
かし、誘導体化したポリマーをMSPと反応させるか、
もしくはその逆によりポリマーをMSPに直接架橋させ
ることも本発明の範囲内にある。
【0066】適切なMSPの共有結合架橋部位はN-末
端アミノ基およびリジン残基上にあるε-アミノ基であ
るが、他のアミノ、イミノ、カルボキシル、スルヒドリ
ル、ヒドロキシルまたは他の親水性の基も有用な置換部
位として作用する。多官能性(通常は2官能性)の架橋剤
を用いずに、ポリマーをMSPに直接共有結合させるこ
ともできる。このような架橋剤の例には、1,1−ビス
(ジアゾアセチル)−2−フェニルエタン、グルタルアル
デヒド、N−ヒドロキシスクシンイミドエステル、例え
ば4−アジドサリチル酸とのエステル、3,3'−ジチオ
ビス(スクシンイミジル−プロピオネート)などのジスク
シンイミジルエステルを含むホモ2官能性イミドエステ
ルおよびビス−N−マレイミド−1,8−オクタンなど
の2官能性マレイミドが含まれる。メチル−3−[(p−
アジド−フェニル)ジチオ]プロピオイミデートなどの誘
導化剤は、光の存在下で架橋を生成させることができる
光活性化が可能な中間体を与える。別法では、米国特許
第3,959,080号;3,969,287号;3,69
1,016号;4,195,128号;4,247,642
号;4,229,537号;4,055,635号および
4,330,440号に開示されている臭化シアンにより
活性化された炭水化物などの反応性の水溶性マトリック
スおよび系を、ポリマーおよびMSPの架橋用に適切に
修飾する。MSPアミノ基に対する共有結合は、塩化シ
アヌリン、カルボニルジイミダゾール、アルデヒド反応
性基(PEGアルコキシド+ブロモアセトアルデヒドの
ジエチルアセタール;PEG+DMSOおよび無水酢
酸、または塩化PEG+4−ヒドロキシベンズアルデヒ
ドのフェノキシド、スクシンイミジル活性エステル、活
性化ジチオカルボネートPEG、2,4,5−トリクロロ
フェニルクロロホルメートまたはp-ニトロフェニルクロ
ロホルメート活性化PEGに基づく既知の化学により行
われる。カルボキシル基はカルボジイミドを用いるPE
G−アミンの結合により誘導化される。
【0067】オリゴサッカリドをビオチンもしくはアビ
ジンでラベルする目的でHeitzmannら[P.N.A.S. 71:353
7-3541(1974)]またはBayerら[Methods in Enzymology 6
2:310(1979)]が開示した方法と同じ方法で、化学酸化
(例えば、メタペリオデート)または酵素酸化(例えば、
グルコースオキシダーゼもしくはガラクトースオキシダ
ーゼ)によって炭水化物のアルデヒド誘導体を得、続い
てヒドラジドもしくはアミノ誘導化ポリマーと反応させ
ることによってオリゴサッカリド置換基にポリマーをコ
ンジュゲートさせる。さらに、オリゴサッカリドおよび
ポリマーを結合させるためにこれまで用いられていた他
の化学法もしくは酵素法も適しているであろう。置換さ
れたオリゴサッカリドが特に有利であるが、これは、誘
導体化のためにはアミノ酸部位より少ない炭水化物置換
基しか存在しないのでコンジュゲートの安定性、活性お
よび均質性が改善されるためである。最後に、ポリマー
の誘導体化の前に、または最終産物として、MSPオリ
ゴサッカリド置換基を酵素によって、例えばノイラミニ
ダーゼ消化によって修飾して糖を除去する。
【0068】このポリマーは、MSPのアミノ酸側鎖ま
たはNもしくはC末端と直接反応する基、または多官能
性架橋剤と反応する基を有するであろう。一般に、この
ような反応性基を有するポリマーは、固定化タンパク質
の調製用に知られている。このような化学を本発明で使
用するためには、これまでタンパク質の固定化に用いら
れていた不溶性のポリマーと同じ方法で誘導体化した水
溶性のポリマーを用いるべきである。臭化シアンによる
活性化は、MSPにポリサッカリドを架橋させるのに用
いる特に有用な方法である。
【0069】出発ポリマーについて用いる「水溶性」な
る用語は、コンジュゲート反応に用いられるポリマーま
たはその反応性中間体が、MSPとの誘導体化反応に関
与するに十分な水溶性を有することを意味する。
【0070】MSPの置換の程度は、タンパク質上の反
応性部位の数、使用されるMSPが無傷かまたは先端切
除されているか、MSPがMSPに対して異種のタンパ
ク質との融合物であるか否か、分子量、ポリマーの親水
性およびその他の性質、および選択した特定の部位に依
存して変化するであろう。通常、コンジュゲートのMS
P部分は約1〜10ポリマー分子で置換されるが、MS
P部分の活性に有意な悪影響を与えない限り、MSPに
融合される任意の異種配列は本質的に限定されない数の
ポリマー分子で置換することができる。最適の架橋度
は、時間、温度および他の反応条件を変えて置換の程度
を変化させ、次いでマトリックスタンパク質またはリガ
ンドに結合するコンジュゲートの能力を測定する実験マ
トリックスにより容易に決定される。
【0071】PEGなどの非タンパク性のポリマーでタ
ンパク質を共有結合修飾するための自体既知の多種多様
の方法により、ポリマー、例えばPEGをMSPに架橋
させる。しかし、これらの方法の一部は本発明の目的に
とって好ましくない。塩化シアヌリンの化学(法)はタン
パク質の架橋を含む多くの副反応をもたらす。さらに、
スルヒドリル基を含むタンパク質の不活性化を招く可能
性が特に挙げられよう。カルボニルジイミダゾールの化
学[Beauchampら,Anal. Biochem. 131:25-33(1983)]は
高いpH(>8.5)を必要とし、これはタンパク質を不活
性化しうる。さらに、「活性化PEG」中間体は水と反
応しうるので、タンパク質に対して大過剰モルの「活性
化PEG」が必要となる。通常、アルデヒドの化学(Roy
er,米国特許第4,002,531号)は、40倍モル過剰のPE
Gと1〜2時間のインキュベートのみを必要とするので
好ましい。しかし、PEGアルデヒドの製造用にRoyer
により示された二酸化マンガンは、「金属ベースの酸化
剤とでコンプレックスを形成するPEGの傾向が明らか
であるため」[Harrisら,J. Polym. Sci.,Polym. Chem.
Ed. 22:341-352(1984)]問題がある。DMSOおよび無
水酢酸を用いるMoffatt酸化を用いることにより、この
問題が回避される。さらに、Royerにより示された水素
化ホウ素ナトリウムは高いpHで用いなければならず、
ジスルフィド結合を減少させる著しい傾向がある。これ
に対して、ナトリウム・シアノボロヒドリドは中性pH
で有効であり、ジスルフィド結合を減少させる傾向はほ
とんどない。
【0072】通常、本発明のMSPコンジュゲートはゲ
ル濾過によって未反応の出発物質から分離する。最も簡
便には、MSPコンジュゲートをアルキルセファロース
などの疎水性相互作用クロマトグラフィー媒体から、減
少性の塩勾配液により溶離する。この方法は、上述のゲ
ル濾過法と同様、置換度に基づいてコンジュゲートを分
離する。
【0073】MSPをコードしているDNAは既知の方
法によって、ほとんどの場合、MSPをコードしている
DNAを記載している刊行物を参照することによって得
られる。通常は、原核生物をMSP変異体のDNA配列
をクローニングするために用いる。例えば、M13ファ
ージを増殖させるための大腸菌(E.coli)JM101の
耐性株[Messingら,Nucl.Acids Res. 9(2): 309-321(19
81)]および大腸菌K12株294(ATCC No.31446)
が特に有用である。使用可能な他の微生物株には大腸菌
BまたはUM101が含まれる。これらの例は限定のた
めのものではなく例示のためのものである。また、核酸
は周知の種々のインビトロ増幅法を用いてクローニング
する。
【0074】変異MSPをコードしているDNAを、発
現のため、意図している宿主細胞に適合する種から導い
たプロモーターおよびコントロール配列を含有するベク
ター中に挿入する。通常、このベクターは、複製部位な
らびに1またはそれ以上のマーカー配列(形質転換細胞
における表現型選択を与えることができる)を担持して
いる(必ずしも必要ではない)。例えば、大腸菌は大腸菌
種から導かれたプラスミドであるpBR322の誘導体
を用いて形質転換されるのが普通である[Bolivarら,Ge
ne 2: 95 (1977)]。pBR322はアンピシリンおよび
テトラサイクリン耐性のための遺伝子を含んでおり、従
って形質転換された細胞を同定するための簡単な手段を
与える。このpBR322プラスミドまたは他の微生物
プラスミドは、組換えDNAの構築に普通に用いられる
プロモーターおよびその他のコントロール要素を含んで
いるか、または含むように修飾されなければならない。
原核宿主で用いるのに適したプロモーターを例示する
と、β-ラクタマーゼおよびラクトースプロモーター系
[Changら, Nature 275:615(1978)およびGoeddelら, Na
ture 281:544(1979)]、アルカリホスファターゼ、トリ
プトファン(trp)プロモーター系[Goeddel,Nucleic Acid
s Res. 8:4057(1980)およびEPO出願公開 No.36,77
6]、およびtacプロモーターなどのハイブリッドプロモ
ーター[H.de Boarら,Proc.Nat'l.Acad.Sci.USA 80:21-
25(1983)]が含まれる。しかし、その他の機能的な細菌
性プロモーターも適している。これらのヌクレオチド配
列は広く知られており、従って当業者はこれらを、任意
の必要な制限部位を供給するためのリンカーまたはアダ
プターを用いて、MSPをコードしているDNAに機能
的に連結することができる[Siebenlistら, Cell 20:26
9(1980)]。また、細菌性の系で用いるためのプロモータ
ーは、抗原をコードしているDNAに機能的に結合させ
たシャイン-ダルガルノ(SD)配列を含有していよう。
【0075】原核生物に加えて酵母培養物などの真核微
生物がクローニングまたは発現宿主として有用である。
Saccharomyces cerevisiaeまたは通常のパン酵母が最
も普通に用いられる真核微生物であるが、他の多数の菌
株も普通に用いることができる。Saccharomyces中で発
現させるためには、通常、例えばプラスミドYRp7[St
inchcombら,Nature 282,39(1979);Kingsmanら,Gene
7:141(1979);Tschemperら,Gene 10:157(1980)]が用
いられる。このプラスミドは、トリプトファン中で増殖
する能力を欠く酵母の突然変異株、例えばATCC N
o.44,076またはPEP4-1[Jones,Genetics 85
12(1977)]のための選択マーカーを与えるtrp1遺伝子を
既に含有している。次いで、酵母宿主細胞ゲノムの性質
としてtrp1欠損が存在すると、トリプトファンの非存
在下での増殖によって有効な選択手段が得られる。
【0076】酵母宿主で用いるのに適した促進配列に
は、3−ホスホグリセレート キナーゼのためのプロモ
ーター[Hitzemanら,J.Biol.Chem. 255:2073(1980)]、
またはその他のグルコース分解酵素、例えばエノラー
ゼ、グリセルアルデヒド−3−ホスフェート デヒドロ
ゲナーゼ、ヘキソキナーゼ、ピルベート デカルボキシ
ラーゼ、ホスホフルクトキナーゼ、グルコース−6−ホ
スフェート イソメラーゼ、3−ホスホグリセレート ム
ターゼ、ピルベート キナーゼ、トリオセホスフェート
イソメラーゼ、ホスホグルコース イソメラーゼ、およ
びグルコキナーゼなどのプロモーター[Hessら,J.Adv.E
nzyme Reg. 7:149(1968)およびHolland,Biochemistry
17:4900(1978)]が含まれる。
【0077】増殖条件によってコントロールされる転写
の別の利点を有している誘導性プロモーターであるその
他の酵母プロモーターは、アルコールデヒドロゲナーゼ
2、イソチトクロムC、酸性ホスファターゼ、窒素代謝
に関与する分解酵素、メタロチオネイン、グリセルアル
デヒド−3−ホスフェート デヒドロゲナーゼ、ならび
にマルトースおよびガラクトース利用に関与する酵素群
のプロモーター領域である。酵母発現において用いるの
に適したベクターおよびプロモーターはR.Hitzemanら
(欧州特許公開No.73,657A)がさらに開示している。ま
た、酵母エンハンサーを酵母プロモーターと共に用いる
のが有利である。
【0078】哺乳動物宿主細胞中のベクターからの転写
をコントロールするためのプロモーターは、種々の供給
源、例えばポリオーマ、サルウイルス40(SV40)、
アデノウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルスお
よび最も好ましくはサイトメガロウイルスなどのウイル
スのゲノムから、または、例えばβ-アクチンプロモー
ターなどのヘテロローガスな哺乳動物プロモーターから
得ることができる。SV40ウイルスの初期および後期
プロモーターは、SV40のウイルス性複製起点をも含
有するSV40制限フラグメントとして好都合に得られ
る[Fiersら,Na ture,273:113(1978)]。ヒトサイトメガ
ロウイルスの即時型プロモーターはHindIII E制限フ
ラグメントとして好都合に得られる[Greenaway,P.J.
ら,Gene,18:355-360(1982)]。また、宿主細胞または
その関連種由来のプロモーターが有用であるのは勿論で
ある。
【0079】高等真核生物中でのDNAの転写は、ベク
ター中にエンハンサー配列を挿入することによって増大
する。エンハンサーは、通常約10〜300bpのシス作
用性のDNA要素であり、プロモーターの転写開始能力
を増強するように作用する。エンハンサーは、その配向
および位置には比較的依存せず、転写単位の5'[Laimin
s,L.ら,Proc.Natl.Acad.Sci. 78:993(1981)]および3'
[Lusky,M.L.ら, Mol.Cell Bio. 3:1108(1983)]に、イ
ントロン内[Banerji,J.L.ら,Cell 33:729(1983)]に、
ならびに暗号配列それ自体内[Osborne,T.F.ら,Mol.Cell
Bio. 4:1293(1984)]に見い出されている。現在では多
数のエンハンサー配列が哺乳動物遺伝子(グロビン、エ
ラスターゼ、アルブミン、α-フェトプロテインおよび
インスリン)から既知となっている。しかし、真核細胞
ウイルス由来のエンハンサーを用いるのが普通である。
その例には、SV40の複製起点の後期側のエンハンサ
ー(bp100〜270)、サイトメガロウイルスの初期プ
ロモーターエンハンサー、ポリオーマの複製起点の後期
側のエンハンサー、およびアデノウイルスのエンハンサ
ーが含まれる。
【0080】また、真核宿主細胞(酵母、菌類、昆虫、
植物、動物、ヒト、または有核細胞)で用いる発現ベク
ターは、mRNAの発現に影響を及ぼす転写の終止に必
要な配列をも含んでいるであろう。これらの領域は、M
SPをコードしているmRNAの非翻訳化部分中のポリ
アデニル化されたセグメントとして転写される。
【0081】通常、発現ベクター系は選択遺伝子(選択
マーカーとも呼ばれる)を含んでいる。哺乳動物細胞に
適した選択マーカーの例は、ジヒドロ葉酸還元酵素(D
HFR)、チミジンキナーゼまたはネオマイシンであ
る。このような選択マーカーが哺乳動物宿主細胞中に成
功裏に移転されると、この形質転換された哺乳動物宿主
細胞は選択圧のもとに置かれたときに生存することがで
きる。選択法には広く用いられている2つの別個のカテ
ゴリーが存在する。第1のカテゴリーは、追加培地とは
無関係に増殖する能力を欠く突然変異セルラインの使用
と細胞の代謝に基づいている。例を2つ挙げると、CH
O DHFR細胞およびマウスLTK細胞である。
これらの細胞は、チミジンまたはヒポキサンチンなどの
栄養素の追加なしでは増殖する能力を欠いている。これ
らの細胞は完全なヌクレオチド合成経路に必要なある種
の遺伝子を欠いているので、この欠失したヌクレオチド
が追加培地に供給されなければ生存することができな
い。培地に追加を行うことの代替は、無傷のDHFRま
たはTK遺伝子をそれぞれの遺伝子を欠く細胞中に導入
してそれらの増殖要件を変えることである。DHFRま
たはTK遺伝子で形質転換されなかった個々の細胞は、
未追加の培地では生存することができないであろう。
【0082】第2のカテゴリーは優性選択であり、あら
ゆる細胞種において用いられる選択法であり、突然変異
セルラインの使用を必要としない。通常、この方法は宿
主細胞の増殖を抑制する薬物を用いる。新規な遺伝子を
保持するこれら細胞は薬物耐性を与えるタンパク質を発
現し、選択に耐えるであろう。このような優性選択の例
は、薬物ネオマイシン[Southern,P.およびBerg,P., J.M
olec.Appl.Genet. 1:327(1982)]、ミコフェノール酸[Mu
lligan,R.C.およびBerg,P., Science 209: 1422(198
0)]、またはハイグロマイシン[Sugden,B.ら,Mol.Cell.
Biol. 5: 410-413(1985)]の使用である。ここに挙げた
3つの例は、真核性のコントロール下に細菌性遺伝子を
用いて、それぞれ適当な薬物G418もしくはネオマイ
シン(ジェネチシン)、xgpt(ミコフェノール酸)、または
ハイグロマイシンに対する耐性を与えるものである。
【0083】「増幅」とは、細胞の染色体DNA中の隔
離された領域の増加または複製を意味する。選択試薬、
例えばDHFRによって不活性化されるメトトレキセー
ト(MTX)を用いて増幅を行う。増幅すなわちDHFR
遺伝子の連続コピーの生成によって、MTX量の増加に
つれて生成するDHFR量が増加する結果になる。内生
のDHFRの存在にかかわらず、さらに多量のMTXを
培地に加えることによって増幅圧をかける。同時組込み
が可能なDHFRまたは増幅遺伝子と所望のタンパク質
をコードしているDNAを保持するプラスミドで哺乳動
物宿主細胞を同時トランスフェクションすることによっ
て、所望の遺伝子の増幅を達成することができる。さら
に増加させたMTX濃度のもとで増殖することができる
細胞だけを選択することによって、細胞がさらに多量の
DHFRを要求することを確実なものにする(この要求
は選択遺伝子の複製によって満たされる)。所望の異種
タンパク質をコードしている遺伝子が選択遺伝子と同時
組込みされる限り、この遺伝子の複製によって所望のタ
ンパク質をコードしている遺伝子の複製が得られる。こ
の結果、コピー数が増加した所望の異種タンパク質をコ
ードしている遺伝子(即ち、増幅された遺伝子)は、さら
に多量の所望の異種タンパク質を発現することになる。
【0084】本発明のMSP変異体を発現させるのに好
ましい宿主細胞は哺乳動物宿主−ベクター系であり、適
当な宿主の例には次のものが含まれる:SV40で形質
転換されたサル腎CV1ライン[COS-7、ATCC
CRL 1651];ヒト胚腎ライン[293、Graham,F.
L.ら,J.Gen Virol. 36:59(1977)および293S細胞;
この両方が等しく満足する];新生ハムスター腎細胞[B
HK、ATCC CCL 10];チャイニーズ・ハムス
ター卵巣細胞-DHFR[CHO、UrlaubおよびChasin,P
roc.Natl.Acad.Sci.USA 77:4216(1980)];マウス セル
トーリ細胞[TM4、Mather,J.P.,Biol.Reprod. 23:24
3-251(1980)];サル腎細胞[CV1、ATCC CCL
70];アフリカミドリザル腎細胞[VERO-76、A
TCC CRL-1587];ヒト子宮頸癌細胞[HEL
A、ATCC CCL 2];イヌ腎細胞[MDCK、AT
CC CCL 34];バッファロラット肝細胞[BRL
3A、ATCC CRL 1442];ヒト肺細胞[W13
8、ATCC CCL 75];ヒト肝細胞[Hep G2、
HB 8065];マウス乳腫瘍[MMT 060562、
ATCC CCL51細胞];およびTRI細胞[Mather,
J.P.ら,Annals N.Y.Acad.Sci. 383:44-68(1982)]。
【0085】「形質転換」とは、染色体外要素として、
または染色体組込みのいずれかによって、複製可能なよ
うに生物中にDNAを導入することを意味する。宿主細
胞の形質転換に適した方法の1つは、Graham,F.および
van der Eb,A.[Virology 52:456-457(1978)]の方法で
ある。しかし、細胞中にDNAを導入するための他の方
法、例えば核注射による方法またはプロトプラスト融合
による方法なども用いることができる。原核細胞または
強固な細胞壁を有する細胞を宿主として用いるときに
は、好ましいトランスフェクション法はCohen,F.N.ら
[Proc.Natl.Acad.Sci.(USA) 69:2110(1972)]が開示し
ている塩化カルシウム使用のカルシウム処理法である。
【0086】所望の暗号配列およびコントロール配列を
含有する適切なベクターの構築には通常操作の連結法を
用いる。単離したプラスミドまたはDNAフラグメント
を切断し、加工し、そして目的の形に再連結して必要な
プラスミドを得る。本明細書に記載した構築に適切な方
法は周知である。例えば、Maniatis,T.ら[MolecularClo
ning, 133-134 Cold Spring Harbor(1982)];"Current
Protocols in Molecular Biology"[Ausubelら編,Green
e Publishing Associates & Wiley-Interscience版(198
7)]を参照。
【0087】通常、あるMSP(またはトランスメンブ
ラン修飾した変異体)のそれぞれのサブユニットをコー
ドしているDNAを宿主細胞に同時にトランスフェクシ
ョンするが、このようなトランスフェクションを連続し
て行うこともできる。異種のヘテロ二量体を調製するた
めにあるサブユニットを別のMSPの類似サブユニット
と交換したMSP変異体は、例えば、GPIIb-IIIaのα
サブユニットの代わりにフィブロネクチンのαサブユニ
ットを交換するか(αサブユニット交換)、またはGPII
b-IIIaのβサブユニットの代わりにフィブロネクチンの
βサブユニットを交換し(βサブユニット交換)、組換え
宿主(通常は哺乳動物細胞)をそれぞれの異種サブユニッ
トで同時形質転換することによって得られる。
【0088】Messingら[Nucleic Acids Res. 9: 309(19
81)]の方法またはMaxamら[Methods in Enzymology 65: 4
99(1980)]の方法により、大腸菌K12株294(ATC
C31446)を連結混合物で形質転換し、適当なとこ
ろで成功裏の形質転換体をアンピシリンまたはテトラサ
イクリン耐性で選択し、形質転換体からプラスミドを調
製し、次いで制限酵素消化による分析および/または配
列決定によって正しいプラスミド配列を確認する。
【0089】宿主細胞を本発明の発現ベクターで形質転
換する。次いで、これを、例えばプロモーターを誘導、
形質転換体を選択、または遺伝子を増幅するための物質
を含有する適当な培養培地で培養する。温度、pHなど
の培養条件は発現用に選択した宿主細胞でこれまで用い
られていた条件であり、当業者には明らかであろう。G
PIIb-IIIaの発現のためには、分泌型のGPIIb-IIIaお
よび他のカルシウム依存性MSPの安定性を高めるため
に2価のカチオンが必要とされるので、カルシウムおよ
びマグネシウム塩を培養培地に含ませるのが好ましい。
【0090】分泌されたMSP変異体を、培養上清また
は組換え宿主のリゼイトから回収および精製する。通常
は、上清を限外濾過によって濃縮し、リガンド(例え
ば、RGD)またはマトリックスタンパク質アフィニテ
ィーまたは免疫アフィニティー樹脂に接触させてMSP
変異体を吸着させ、そして吸着体から溶出させる。所望
により、MSPをHPLC、レクチンカラム、ゲル排
除、疎水相互作用またはイオン交換クロマトグラフィー
によって精製する。
【0091】この精製したMSPを通常の薬理学的に許
容しうる担体中に配合する。
【0092】本発明の可溶性のMSP変異体は、治療、
診断および製造法において有用である。診断において
は、可溶性のMSPを標準または対照として膜抽出物の
代わりに用いるか、またはMSPもしくはその抗体の競
争型の放射免疫検定もしくは放射受容体検定で用いるた
めの放射性同位体もしくは他の検出可能な基でラベルす
る。
【0093】可溶性のMSPを本明細書中に記載した方
法によって不溶性の支持体に架橋させ、そのリガンドま
たはマトリックスタンパク質(例えば、フィブロネクチ
ン、フィブリノーゲンなど)の精製に用いる。別法で
は、可溶性のMSPを用いて溶液中でリガンドまたはマ
トリックスタンパク質を吸着させ、次いで抗血清、硫酸
アンモニウムなどよって沈澱させ、リガンドまたはマト
リックスタンパク質のコンプレックスを回収する。次い
で、このコンプレックスをHPLC、電気泳動、ゲルク
ロマトグラフィーまたはその他の常法によって解離させ
る。
【0094】可溶性MSPの治療用の使用はそれぞれの
MSPの生物学的活性の関数であり、それから明らかで
あろう。本発明の可溶性MSP変異体は、対応する天然
の膜結合受容体のアゴニストまたはアンタゴニストとし
て作用する。例えば、可溶性のGPIIb-IIIa受容体は、
抗凝固薬として、および血小板凝集に関係した疾患の治
療に、特に血栓溶解治療の後の再閉塞の防止に有用であ
る。また、可溶性のマトリックス受容体、特に可溶性の
GPIIb-IIIaは、マトリックス付着依存性の新生物転移
に対するアンタゴニストとして有用である。可溶性のL
FA-1変異体はT-リンパ球機能のアンタゴニストであ
り、それによって特に再灌流障害において免疫抑制薬ま
たは抗炎症薬として有効である。可溶性のMac-1変異
体は、補体活性化障害の治療にその用途が見い出されよ
う。
【0095】以下に挙げる実施例の理解を容易にするた
め、一部の頻繁に現れる方法および/または用語を次に
説明する。
【0096】「プラスミド」は、小文字p、その前およ
び/またはその後の大文字および/または数字で表す。
本発明の出発プラスミドは、市販品から入手可能である
か、制限のない状態でだれでも入手可能であるか、また
は入手可能なプラスミドから公知の方法に従って構築す
ることができる。さらに、記載したものと等価なプラス
ミドが当分野で知られているが、これらは当業者には明
らかであろう。
【0097】DNAの「消化」とは、DNA中のある配
列にのみ作用する制限酵素によるDNAの触媒的切断を
意味する。本発明で用いられる種々の制限酵素は市販品
から入手可能であり、それらの反応条件、補助因子およ
びその他の必要条件は、当業者に既知である条件を用い
た。分析用には、通常、1μgのプラスミドまたはDN
Aフラグメントを、約20μlの緩衝液中、約2単位の
酵素と共に用いる。プラスミド構築のためのDNAフラ
グメントの単離のためには、通常、5〜50μgのDN
Aを、さらに大きい容量中、20〜250単位の酵素で
消化する。特定の制限酵素のための適切な緩衝液および
基質量は製造元によって指定されている。通常は37℃
で約1時間のインキュベート時間を用いるが、供給元の
指示に従って変えてもよい。消化の後、反応液を直接ポ
リアクリルアミドまたはアガロースゲルの電気泳動にか
け、所望のフラグメントを単離する。
【0098】制限消化物からのあるDNAフラグメント
の「回収」または「単離」とは、ポリアクリルアミドま
たはアガロースゲル電気泳動による消化物の分離、その
移動度と既知分子量のマーカーDNAフラグメントの移
動度の比較による目的フラグメントの同定、目的のフラ
グメントを含有しているゲル切片の取り出し、およびゲ
ルからのDNAの分離を意味する。この方法は広く知ら
れている[Lawn,R.ら,Nucleic Acids Res. 9:6103-611
4(1981)およびGoeddel,D.ら,Nucleic Acids Res. 8:4
057(1980)]。
【0099】「連結(ライゲート)」とは、2つの2本鎖
核酸フラグメントの間でホスホジエステル結合を形成さ
せる過程を指す[Maniatis,T.ら,上記,146頁]。特に
記さなければ、連結は、連結しようとするほぼ等しい量
のDNAフラグメント(0.5μg)に対してT4 DNA
リガーゼ(「リガーゼ」)(10単位)を用い、既知の緩衝
液および条件を用いて行ってよい。
【0100】以下に挙げる実施例は、本発明を実施する
ために現在意図されている最良の態様を単に説明するた
めのものであり、本発明はこれらに限定されるものでは
ない。
【0101】
【実施例】
【0102】実施例1 糖タンパク質IIb(GPIIb)cDNAのクローニング 培養したヒト赤白血病細胞(HEL、ATCC TIB
180)からメッセンジャーRNAを調製した。バクテ
リオファージλZAP(Stratagene Cloning Systems)に
おいてこのmRNAを用いてオリゴ(dT)プライムしたc
DNAライブラリーを調製した。このλZAPライブラ
リーを、HEL細胞由来のGPIIbの公知cDNA配列[P
onczら,J.Biol.Chem. 262(18): 8476-8482(1987)]の
5'末端から導いた45-merのオリゴヌクレオチド(2b
1)でスクリーニングした。いくつかのポジティブにハ
イブリダイズするファージを精製し、それらが含んでい
るcDNA挿入体を制限酵素消化分析にかけた。これら
の結果から、GPIIbの完全長の暗号挿入体を含んでい
ると考えられるファージをさらに分析するために選択し
た。このファージ挿入DNAのDNA配列決定により3
00塩基余りが得られ、これは、その5'末端に4個の
付加的な塩基を有することを除き、mRNAの5'末端由
来の公知cDNA配列(Ponczら)と正確に一致した。この
cDNA挿入体をEcoRI(この部位は、ライブラリーの
調製中にcDNAの末端に連結したリンカーから導かれ
る)およびHindIII(これは、暗号配列末端から下流の唯
一の部位でGPIIb挿入体を切断する)で消化した。GP
IIbの全暗号領域を含有するこのEcoRI−HindIII制
限フラグメントを、EcoRIおよびHindIIIで消化して
おいた哺乳動物細胞発現ベクターpRK5[欧州特許出願
公開No.307,247(1989年3月15日公開)]に連結し、発現
ベクターGPIIb-pRK5を回収した。
【0103】完全長の糖タンパク質IIIa(GPIIIa)cD
NAの構築 5'末端が不完全なGPIIIaのcDNAクローンを得た[R
osaら,Blood 72(2): 593(1988)]。このcDNAは、プラ
スミドベクターpIBI20(International Biotechnol
ogies,Inc.)中のEcoRI(cDNAライブラリー作成の
リンカーから導かれる部位)−PstI(暗号配列の末端か
ら下流の部位)挿入体として得られる。このプラスミド
をHindIIIで消化して、cDNA挿入体中の末端PstI
部位の下流のpIBI20中の唯一のHindIII部位でこ
のプラスミドを切断し、そしてApaIで不完全に消化し
て、配列の5'末端のApaI部位とプラスミドベクター
由来のHindIIIで囲まれたcDNAフラグメントを得
た。この構築のための関連ドメインを以下に示す。
【0104】 -7 -1 1 6 L A G V G V G G P N I C T .... CTG GCG GGC GTT GGC GTA GGA GGG CCC AAC ATC TGT ACC .... .... GAC CGC CCG CAA CCG CAT CCT CCC GGG TTG TAG ACA TGG .... EcoRI ApaI HindIII
【0105】合成の相補性オリゴヌクレオチドを用い、
公知のクローンしたcDNA配列[Fitzgeraldら,J.Bio
l.Chem. 262(9): 3936(1987)]に基づいて、GPIIIaの
完全長の暗号構築物を再構築した。ApaIで終わるオリ
ゴヌクレオチド配列を上記のApaI−HindIIIフラグメ
ントのApaI部位に連結し、EcoRIおよびHindIIIで
囲まれたDNAフラグメントを得た。GPIIIaの完全な
暗号領域を含有するこのEcoRI−HindIIIフラグメン
トを、EcoRIおよびHindIIIで消化しておいたpRK
5に連結し、発現ベクターGPIIIa−pRK5を回収し
た。関係のオリゴヌクレオチド配列を以下に示す。
【0106】 -26 M R A R P R P R P L W AAT TCT AGA GCC GCC ATG AGA GCA CGT CCT CGA CCA CGT CCT CTC TGG GA TCT CGG CGG TAC TCT CGT GCA GGA GCT GGT GCA GGA GAG ACC EcoRI XbaI -1 1 A T V L A L G A L A G V G V G G P GCG ACT GTG CTG GCA CTG GGA GCA CTG GCT GGT GTT GGA GTA GGA GGG CC CGC TGA CAC GAC CGT GAC CCT CGT GAC CGA CCA CAA CCT CAT CCT C ApaI
【0107】この合成オリゴヌクレオチドは、コードさ
れているアミノ酸は公知のクローンされたcDNA(Fitz
geraldら、Rosaら)から予想されるアミノ酸と同一であ
るが、そのコドンは天然のクローンされたcDNAと必
ずしも同一ではない。図3は合成および天然配列の暗号
鎖を比較するものである。それぞれの配列の間の星印
は、どのヌクレオチドが同一であるかを示している。こ
れらの変化は3つの理由から導入した。 1.cDNAを配列決定する際に直面した困難性に照ら
して、我々はこのcDNAが翻訳効率に悪影響を及ぼす
2次構造を含んでいるものと結論した。発現構築物から
産生されるmRNA中の可能性ある2次構造を最少にす
るため、一部のコドンを他のコドンに変えることによっ
て、即ち、より少ないGおよび/またはC含量を有する
が同じアミノ酸をコードしているコドンに変えることに
よって、天然の暗号配列中のGおよびC塩基の割合を少
なくした。これらの変化させたコドンは、cDNAの残
りに頻繁に用いられるコドンだけが置換されるように選
択した[Karnickら,J.Biol.Chem. 262(5): 9255 (198
7); Devlinら, Gene 65: 13 (1988)]。 2.イニシエーターのメチオニンコドン(M、−26)に
すぐ続くアルギニン(R、−25)のコドンを、CGAか
らAGAに変えた[Kozak, Nucl.Acids Res. 15(20): 81
25 (1987)およびKozak, J.Mol.Biol. 196: 947 (198
7)]。 3.イニシエーターのメチオニンコドンの上流のDNA
配列は天然のDNA配列に基づいていない。合成した相
補性オリゴヌクレオチドは、一方の末端にEcoRI部位
が存在し、それにXbaI認識配列が続き、次いでイニシ
エーターのメチオニンのすぐ上流にGCC GCCが続
いている[Kozak, J.Mol.Biol., 同上]。GPIIbおよび
GPIIIaをコードするプラスミド(GPIIb-pRK5およ
びGPIIIa-pRK5)を293S細胞にトランスフェク
ションし、以下に記載するような一時的な発現のための
通常の条件下で培養した。この細胞を集め、GPIIb-II
Iaの発現について分析した。FACS選別によって免疫
学的に可視化したウエスタン・ゲルにおける正しい大き
さのバンドの存在、および35Sで代謝的にラベルした
かまたは125I表面ラベルによる無傷細胞の免疫沈澱
によって発現を確認した。
【0108】実施例2 末端切除したGPIIbをコードしているcDNAの構築 GPIIbの末端切除された形態を構築するための出発点
は実施例1記載のGPIIbの完全長の暗号構築物であ
る。この構築物の関係ドメインを以下に示す。
【0109】 推定のトランス メンブラン領域 962 L R A L E E R A I ..... CTC CGG GCC TTG GAG GAG AGG GCC ATT ..... ..... GAG GCC CGG AAC CTC CTC TCC CGG TAA ..... EcoRI StyI
【0110】上に示したEcoRI部位(イニシエーター
ATGコドンの上流)からStyI部位までのDNAフラ
グメントを単離し、補足的な合成オリゴヌクレオチドに
連結し、こうして得られたDNA配列が天然GPIIb配
列のアミノ酸残基962(アルギニン)までをコードして
おり、次いでこれにTGA停止コドンが続くようにし
た。
【0111】
【0112】天然の配列では、アルギニン962に約2
6アミノ酸の推定の疎水性トランスメンブランドメイン
および細胞質ドメインが続いている(Ponczら)。即ち、
この構築において、これらドメインの両方を構築物の暗
号領域から削除した。この合成フラグメントの末端はH
indIII制限部位で終わっている。EcoRIおよびHindI
II制限部位で囲まれたこの全DNAフラグメントを、E
coRIおよびHindIIIで消化しておいたpRK5に連結
した。発現ベクターGPIIbtrunc-pRK5を回収した。
【0113】上記のEcoRI−HindIIIフラグメントを
GPIIbtrunc-pRK5から取り出し、DNA配列決定分
析にかけた。挿入体のそれぞれの末端から250塩基余
りを配列決定したところ、予想される配列と正確に一致
していた。
【0114】末端切除したGPIIIaをコードしているc
DNAの構築 GPIIIaの末端切除された形態を構築するための出発点
は実施例1記載のGPIIIaの完全長の暗号構築物であ
る。この構築物の関係ドメインを以下に示す。
【0115】
【0116】上に示したXbaI部位(イニシエーターA
TGコドンの上流)からApaI部位までのDNAフラグ
メントを単離し、補足的な合成オリゴヌクレオチドに連
結し、こうして得られたDNA配列が天然GPIIIa配列
のアミノ酸残基692(アスパラギン酸)までをコードし
ており、次いでこれにTGA停止コドンが続くようにし
た。
【0117】
【0118】天然の配列では、アスパラギン酸692に
約29アミノ酸の推定の疎水性トランスメンブランドメ
インおよび細胞質ドメインが続いている(Fitzgerald
ら)。即ち、この構築において、これらドメインの両方
を構築物の暗号領域から削除した。この合成フラグメン
トの末端はHindIII制限部位で終わっている。XbaIお
よびHindIII制限部位で囲まれたこの全フラグメント
を、予めXbaIおよびHindIIIで消化しておいたpRK
5に連結し、trunc発現ベクターGPIIIatrunc-pRK5
を回収した。
【0119】上記のXbaI−HindIIIフラグメントをG
PIIIatrunc-pRK5から取り出し、DNA配列決定分
析にかけた。挿入体のそれぞれの末端から200塩基余
りを配列決定したところ、予想される配列と正確に一致
していた。
【0120】真核宿主における末端切除したヒトGPII
b-IIIa受容体の発現 EP 260,148に記載されている宿主系を用い、CaPO
を用いて、ヒト胚腎細胞(293S)を発現ベクターG
PIIbtrunc-pRK5およびGPIIIatrunc-pRK5で同
時トランスフェクションした[Grahamら,Virology 52:
456 (1973)]。
【0121】一時的な発現 293S細胞をGPIIbtrunc-pRK5、GPIIIatrunc-
pRK5およびアデノウイルスVA RNA-DNA[欧州
出願公開No.309,237(1989年3月29日公開);Akusjarvie
tal,Mol.Cell.Biol. 7: 549(1987)]で同時トランスフェ
クションし、スタンダード増殖培地[50%ダルベッコ
改良イーグル培地、50%F12混合物、2mM L-グ
ルタミンおよび10%ウシ胎児血清]で増殖させたとき
に、高レベルの一時的な発現が得られた。グリセロール
ショックを与えて16時間後に、細胞を血清不含の培地
[ダルベッコ改良イーグル培地、0.1%グルコース、1
0μg/mlインスリン]に移し、さらに48時間増殖さ
せ、細胞および培養培地を集めた。培養した細胞の培養
液を遠心して不純な細胞の残骸を除去し、次いでドライ
アイス-エタノールで急速凍結し、分析を行うまで−7
0℃で保存した。細胞は、0.6mlの150mM NaC
l、10mMトリス(pH7.5)、1%トリトンX-10
0、2mM PMSF、0.5μg/mlロイペプチンおよび
2μg/mlペプスタチンAに浮遊させ、次いで撹拌しな
がら氷上で30分間抽出することによって6cmプレート
から除去した。10,000gでの遠心によって細胞の
残骸を除き、試料を−70℃で保存した。10倍カラム
容量の20mM MES緩衝液/1mMCaCl(pH6.
5)と0〜400mM NaClの勾配溶離によるQ-セファ
ロース(ファースト-フロー)クロマトグラフィーによっ
て、可溶性のGPIIb-IIIaを回収した。ピークの可溶性
GPIIb-IIIaは約200〜250mM NaClのところで
溶出した。この溶出液をS-300カラムのカラム容量
の3%まで濃縮し、次にこの濃縮液を10mMトリス/
150mM NaCl/1mM CaCl(pH7.5)を用いて
a-350カラムの排除クロマトグラフィーにかけた。
293S細胞にトランスフェクションされた完全長のG
PIIbの一部は内生のαと結合した。可溶性のGPIIb
を可溶性のGPIIIaと共に分泌させると、完全長のサブ
ユニットを使用したときのように、αビトロネク
チン受容体からBPIIb-IIIaを精製する必要が避けられ
た[Bodaryら,J.Biol.Chem. 32:18859(1989年11月15日)
を参照]。
【0122】安定な発現 pRSVneo[Gormanら,Science 221: 551-552 (1983)]
とともにGPIIbtrunc-pRK5およびGPIIIatrunc-p
RK5を同時トランスフェクションすることによって、
末端切除したGPIIb-IIIaを発現する安定な293Sク
ローンを樹立した。トランスフェクションの48時間後
に、細胞を800μg/ml G418を含有するスタンダ
ード増殖培地に継代した。2週間後にG418耐性のク
ローンを取り、400μg/ml G418を含有するスタ
ンダード増殖培地で増殖させた。クローンを血清不含の
培地で48時間増殖させ、培養を行った培養培地につ
き、ウエスタンブロット分析によって分泌型のGPIIb-
IIIaの発現を調べた。
【0123】発現された末端切除GPIIb-IIIaの分析 一時的にトランスフェクションされた細胞の発現を、パ
ルス-チェース分析とそれに続く免疫沈澱(精製した血小
板GPIIb-IIIaに対して生成させたモノクローナル抗体
のパネルを用いる)によって調べた。35S-システイン
および35S-メチオニンで代謝的にラベルしたタンパ
ク質を、上記のようにGPIIbtrunc-pRK5およびGP
IIIatrunc-pRK5の両方で同時トランスフェクション
した細胞の培養液から回収した。マウスモノクローナル
抗体AP2[Montgomeryら,J.Clin.Invest. 71: 385 (1
983)]、2D2、3A8、4B12、およびAP3[Newm
anら,Blood 65: 227 (1985)]のパネルを用い、マウス
IgGに指向性のウサギIgG抗体と結合させたプロテイ
ンAセファロースCL4B(Pharmacia)とインキュベー
トすることによって、末端切除したGPIIb-IIIaを細胞
培養液から免疫沈澱させた。この免疫沈澱させたタンパ
ク質の電気泳動によって、組換えの末端切除GPIIb-II
Iaの分泌が証明され、その大きさは修飾されたcDNA
から予想される分子量と一致した。GPIIb-IIIaコンプ
レックス(AP2)、GPIIb(2D2、3A8)およびG
PIIIa(4B12、AP3)に特異的なモノクローナル抗
体はすべてGPIIbおよびGPIIIa末端切除タンパク質
の両方を沈澱させ、組換えの分泌タンパク質がコンプレ
ックスの形態で存在していることを示した。DNAを与
えなかったか、またはGPIIbtrunc-pRK5単独もしく
はGPIIIatrunc-pRK5単独を与えた細胞は、GPIIb
またはGPIIIaに対するモノクローナル抗体によって検
出しうるレベルではタンパク質を分泌しない。
【0124】一時的にトランスフェクションされた細胞
におけるGPIIbまたはGPIIIaの個々のサブユニット
の発現はウエスタンブロット分析を用いて証明した。細
胞を上記のように抽出し、上記のように回収した培養培
地を限外濾過によって2倍に濃縮し、ポリアクリルアミ
ドゲル電気泳動[Laemmli,U.K., Nature 227: 680-685(1
970)]およびウエスタンブロット法[Towbinら,Proc.Nat
l.Acad.Sci.USA 76:4350-4354 (1979)]によって分析し
た。GPIIbおよびGPIIIaに特異的なマウスモノクロ
ーナル抗体をこの分析に用いた。ネズミモノクローナル
に対して指向性の西洋ワサビペルオキシダーゼ-コンジ
ュゲートした抗体を用いて抽出物中の個々のGPIIbtru
ncおよびGPIIIatruncタンパク質を可視化した。GPI
Ib-IIIaの末端切除構築物を発現する安定なクローン
は、ウエスタンブロット分析により予想される大きさの
組換えタンパク質を分泌することがわかった。
【0125】安定なクローンから分泌されるGPIIb-II
Ia truncタンパク質がコンプレックスとして存在するこ
とは、吸引によって培養培地をニトロセルロースに直接
移した後に、モノクローナル抗体AP2による検出によ
って証明した。末端切除されたGPIIbまたはGPIIIa
タンパク質は個々のサブユニットとして発現されたとき
には培養培地中に検出されなかった。これは、分泌され
なかったか、または免疫沈澱もしくはウエスタンブロッ
ト分析による検出を不可能にするレベルまで分泌効率が
低下したことによるであろう。
【0126】実施例3 分泌型ヒトGPIIb-IIIaポリペプチドコンプレックスの
フィブリノーゲン結合の証明 分泌型の末端切除GPIIb-IIIaの機能的な活性を、GP
IIb-IIIa受容体に対する天然のリガンドであるフィブリ
ノーゲンを含むアフィニティーマトリックスへのその特
異的な吸収によって示す。
【0127】GPIIb-IIIa末端切除ポリペプチドコンプ
レックスを発現している実施例2由来の安定なクローン
を、血清不含の条件下[DMEM培養培地、0.1%グル
コース、10μg/mlインスリン、1.5μg/ml L-シ
ステイン、2.4μg/ml L-メチオニン、200μCi
/ml 35Sメチオニンおよび200μCi/ml 35
システイン]で20時間増殖させた。培養した細胞培養
液を初めに限外濾過によって濃縮し、次いでフィブリノ
ーゲン アフィニティークロマトグラフィーによって精
製した。このフィブリノーゲンアフィニティーカラム
は、製造元の推奨法を用い、精製度の高いヒトフィブリ
ノーゲンをCNBr活性化したセファロース4B(Pharma
cia)に結合させることによって調製した。初めに、濃縮
した細胞培養液を対照のトリス/エタノールアミン反応
させたCNBr活性化セファロース4Bカラムにかけ、
未結合の物質をフィブリノーゲン-セファロースカラム
に直接かけた。1mM Ca2+、1mM Mg2+、25m
Mオクチルグルコシド(OG)および2mMフッ化フェニ
ルメチルスルホニル(PMSF)を含有するリン酸緩衝食
塩溶液を用い、室温で不純タンパク質を洗い落とした。
結合したGPIIb-IIIaは、15mM EDTA、25mM
OGおよび2mM PMSFを含むリン酸緩衝食塩水を用
い、室温でカラムから溶離した。次いで、この溶出した
GPIIb-IIIaを限外濾過によって濃縮し、予想される分
子量のサブユニットをオートラジオグラフィーおよびウ
エスタンブロット分析[GPIIb(3A8)およびGPIIIa
(4B12)に特異的なモノクローナル抗体を用いる]に
よって同定した。このフィブリノーゲンカラムへの結合
の特異性は、両方法で測定した対照カラムからの溶出液
中にタンパク質が存在しないことによって示される。
【0128】実施例4 LFA-1およびMac-1末端切除体の発現 LFA-1およびMac-1は、同一のβ鎖(β-2)と別の
α鎖(それぞれ、α-Lおよびα-M)を有するインテグリ
ンである。本研究においては、完全長の鎖を宿主細胞中
に導入した。さらに、これらインテグリンのそれぞれの
αおよびβ鎖のトランスメンブランドメインをコードし
ているDNAを削除し、末端切除したDNAを同時発現
用に宿主細胞中に導入した。
【0129】完全長のLFA-1のα-L鎖で形質転換し
ても検出可能な細胞結合のα-Lは全く発現されなかっ
たが、末端切除α-Lおよび末端切除β-2で、または末
端切除α-Mおよび末端切除β-2で同時形質転換すると
末端切除ヘテロ二量体が分泌される結果になった。おも
しろいことに、Mac-1の完全長α-M鎖単独で形質転換
すると細胞表面α-Mが生成した。組換えのα-M鎖が宿
主細胞にとって内生のβ鎖と結合するようになることが
考えられるので、この生成物が安定なα-M単量体を示
すものであるとは確認されなかった。
【0130】
【図面の簡単な説明】
【図1】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIbサブ
ユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示すもの
である。このサブユニットの重および軽形態のシグナル
プロセッシング部位をそれぞれ矢印−Hおよび矢印−L
で示す。
【図2】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIbサブ
ユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示すもの
である。このサブユニットの重および軽形態のシグナル
プロセッシング部位をそれぞれ矢印−Hおよび矢印−L
で示す。
【図3】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIbサブ
ユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示すもの
である。このサブユニットの重および軽形態のシグナル
プロセッシング部位をそれぞれ矢印−Hおよび矢印−L
で示す。
【図4】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIbサブ
ユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示すもの
である。このサブユニットの重および軽形態のシグナル
プロセッシング部位をそれぞれ矢印−Hおよび矢印−L
で示す。
【図5】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIbサブ
ユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示すもの
である。このサブユニットの重および軽形態のシグナル
プロセッシング部位をそれぞれ矢印−Hおよび矢印−L
で示す。
【図6】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIbサブ
ユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示すもの
である。このサブユニットの重および軽形態のシグナル
プロセッシング部位をそれぞれ矢印−Hおよび矢印−L
で示す。
【図7】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIbサブ
ユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示すもの
である。このサブユニットの重および軽形態のシグナル
プロセッシング部位をそれぞれ矢印−Hおよび矢印−L
で示す。
【図8】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIbサブ
ユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示すもの
である。このサブユニットの重および軽形態のシグナル
プロセッシング部位をそれぞれ矢印−Hおよび矢印−L
で示す。
【図9】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIIaサ
ブユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示すも
のである。シグナルプロセッシング部位は矢印で示され
ている。
【図10】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIIa
サブユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す
ものである。シグナルプロセッシング部位は矢印で示さ
れている。
【図11】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIIa
サブユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す
ものである。シグナルプロセッシング部位は矢印で示さ
れている。
【図12】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIIa
サブユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す
ものである。シグナルプロセッシング部位は矢印で示さ
れている。
【図13】 MSP GPIIb-IIIaの分泌型のGPIIIa
サブユニットのアミノ酸およびヌクレオチド配列を示す
ものである。シグナルプロセッシング部位は矢印で示さ
れている。
【図14】 GPIIIa遺伝子の5'末端のところで天然
および再設計核酸配列を比較するものである。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (71)出願人 596168317 460 Point San Bruno Blvd.,South San Fra ncisco,California 94080 USA (72)発明者 コーネリア・エム・ゴーマン アメリカ合衆国カリフォルニア94117、サ ン・フランシスコ、ベルヴェデレ・ストリ ート124番 (72)発明者 ジョン・ダブリュー・マックリーン アメリカ合衆国カリフォルニア94107、サ ン・フランシスコ、サン・ブルーノ・アベ ニュー622−1番 (72)発明者 メアリー・エー・ナピアー アメリカ合衆国カリフォルニア94010、ヒ ルスボロウ、ヘイン・ロード1015番 Fターム(参考) 4B024 AA01 AA11 BA63 CA04 CA20 DA03 EA04 FA10 GA11 GA27 HA03 4B064 AG20 CA10 CA19 CC01 CC24 CE02 CE03 CE07 CE11 DA01 DA13 4B065 AA93X AA93Y AB01 AC14 BA02 BA25 BB01 BC01 BC50 BD01 BD14 BD15 CA26 CA44 CA46 4H045 AA10 AA20 BA10 CA40 DA50 EA20 EA50 FA74 GA01 GA15 GA22 GA23

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 GPIIb-IIIaをコードしている核酸で許
    容性の宿主細胞を形質転換し、この宿主細胞をGPIIb-
    IIIaが細胞膜に蓄積されるまで培養することを特徴とす
    るGPIIb-IIIaの製造方法。
  2. 【請求項2】 ドメインGCC GCCがGPIIIaをコ
    ードしている核酸の開始メチオニンコドンのすぐ5'側
    に存在している請求項1に記載の方法。
  3. 【請求項3】 GPIIIaをコードしている核酸がプレG
    PIIIaをコードするものであり、このプレGPIIIaシグ
    ナル配列中のアルギニン−25のコドンがAGAである
    請求項1に記載の方法。
  4. 【請求項4】 GPIIIaをコードしている核酸の5'末
    端の最初の約100塩基中のGとCの割合をGPIIIa c
    DNA中のGとCの割合以下に減少させたものである請
    求項1に記載の方法。
JP2001257835A 1988-12-22 2001-08-28 水溶性ポリペプチドの製造方法 Pending JP2002112796A (ja)

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