JP2002111505A - アダマール変換されたデータの復号回路および復号方法 - Google Patents

アダマール変換されたデータの復号回路および復号方法

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JP2002111505A
JP2002111505A JP2000298594A JP2000298594A JP2002111505A JP 2002111505 A JP2002111505 A JP 2002111505A JP 2000298594 A JP2000298594 A JP 2000298594A JP 2000298594 A JP2000298594 A JP 2000298594A JP 2002111505 A JP2002111505 A JP 2002111505A
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Shintaro Hirose
新太郎 広瀬
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 アダマール変換の次数が大きくなっても、受
信データの復号に要する演算処理量が膨大なものとなる
ことを防止した、アダマール変換されたデータの復号回
路および復号方法を提供する。 【解決手段】 CDMAのようなデジタル無線通信シス
テムにおいて、アダマール行列の特定の行ベクトルによ
り送信データが符号化される。アダマール行列の各行ベ
クトルの値は、いくつかの基本ベクトルの和によって構
成されるので、受信データに含まれる基本ベクトルを特
定することにより、符号化に用いられたアダマール行列
の行ベクトルを特定することができる。このように各行
ベクトルの相関値を算出することなく相関値が最大とな
る行ベクトルを特定できるので、受信データ復号のため
の演算処理量を著しく低減することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、アダマール変換
されたデータの復号回路および復号方法に関し、より特
定的には、たとえばCDMA(Code Division Multiple
Access)方式のようなデジタル無線通信において、ア
ダマール行列に基づいて符号化されている受信データを
復号するための復号回路および復号方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、たとえば現行のCDMA方式のよ
うなデジタル移動無線通信システムにおいては、送信側
でユーザごとに拡散符号で送信デジタルデータをスペク
トル拡散して送出し、受信側で受信デジタルデータを逆
拡散するスペクトル拡散方式が採用されている。
【0003】CDMA方式においては、このような送信
デジタルデータをスペクトル拡散する方法に等価な一つ
の手法として、従来からアダマール変換による符号化方
法が用いられている。このアダマール変換は、たとえ
ば、宮川他による「符号理論」(昭晃堂)などの各種文
献に詳細に説明されており、デジタル信号処理の分野に
おいては周知の技術であるが、以下にアダマール変換を
用いて符号化(スペクトル拡散)された送信デジタルデ
ータの受信側における復号方法について概略的に説明す
る。
【0004】たとえば、現行のCDMA方式のデジタル
無線通信システムにおいて、端末装置から基地局への上
りチャネルの送信デジタルデータは6ビット単位で区切
られて、次数nがn=2^6=64のアダマール行列
(各行が64ビットからなる64行の行ベクトルで構成
される)のうちの、当該6ビット送信データに対応する
特定の行ベクトルの64ビットのビット列に変換されて
送信される。
【0005】6ビットごとに64ビットに変換された送
信デジタルデータは、通常は数ビットのビット誤りを生
じさせながら、すなわちデータにいくらかの変化を生じ
させながら、基地局によって受信され、復号される。
【0006】アダマール変換されている受信データの復
号は、概略次のように行なわれる。すなわち、アダマー
ル行列の異なる行ベクトル同士は直交性を有し、相互の
相関値はゼロとなるという特質に鑑み、64ビット単位
のアダマール変換されている受信データと、符号化に用
いられた次数n=64のアダマール行列の各行ベクトル
との相関値をすべて算出する。そして相関値が最大とな
る行ベクトルを特定すれば、符号化に用いられたアダマ
ール行列の行ベクトルを特定して受信デジタルデータを
復号することが可能となる。
【0007】なお、このようなアダマール変換されたデ
ータの復号方法は、現行のCDMA方式のデジタル無線
通信システムの端末・基地局のいずれにおいても受信デ
ジタルデータの復号に適用されるものである。
【0008】また、たとえば近年開発されている第三世
代の移動体通信システムであるIMT(International
Mobile Telecommunications)−2000のW(Wideban
d)−CDMA方式の規格では、以下に挙げるデータの
符号化方法として、アダマール変換が採用されている。
【0009】まず、SCH(Secondary Synchronizatio
n Channel)は4ビット単位のデータであり、2^4=
16ビットにアダマール変換されて送信される。
【0010】次に、TFCI(Transport Format Combi
nation Indicator)は5ビット単位のデータであり、2
^5=32ビットにアダマール変換されて送信される。
【0011】さらに、Signature Codeは、4ビット単位
の端末側の認証コードであり、2^4=16ビットにア
ダマール変換されて送信される。
【0012】このように、アダマール変換は、現行の、
および次世代のCDMA方式において、送信デジタルデ
ータの符号化方法として広範に採用されている。
【0013】つぎに、アダマール行列を用いた従来のア
ダマール変換についてより具体的に説明する。
【0014】以下の説明において、Hはアダマール行列
を表わし、n(=2^m)は、アダマール行列の次数を
表わすものとする(ただし、m,nは、正の整数)。す
なわち、次数nのアダマール行列は、Hnで表わされ
る。
【0015】以下に示す(1)式の行列式は、アダマー
ル行列の規則性を示す漸化式であり、次数を2のべき乗
で拡張することができる。
【0016】
【数1】
【0017】まず、次数がn=1の場合のアダマール行
列H1は、下記の(2)式に示すように表わされる。な
お、以下に示す各行列式において、アダマール行列の行
を示す番号をkとすると、次数nのアダマール行列の各
行ベクトルは、Hn,k(k=0〜n−1)で表わされ
る。
【0018】
【数2】
【0019】この(2)式を、(1)の漸化式に則っ
て、次数をn=2^1=2に拡張すると、アダマール行
列H2は、下記の(3)式のように表わされる。
【0020】
【数3】
【0021】さらに、この(3)式を、(1)の漸化式
に則って、次数をn=2^2=4に拡張すると、アダマ
ール行列H4は、下記の(4)式のように表わされる。
【0022】
【数4】
【0023】さらに、この(4)式を、(1)の漸化式
に則って、次数をn=2^3=8に拡張すると、アダマ
ール行列H8は、下記の(5)式のように表わされる。
【0024】
【数5】
【0025】なお、上述のCDMA方式の符号化では次
数n=64のアダマール行列を用いていたが、説明を簡
単にするために、以下の説明では、(5)式の次数n=
8のアダマール行列H8によって符号化されたデータの
従来の復号方法について示すこととする。
【0026】前述のようにアダマール行列を構成する異
なる行ベクトル同士は、互いに直交しており、相互の相
関値はゼロである。以下の相関値の計算においては、ア
ダマール行列における値「0」は+1に置換えて、値
「1」は−1に置換えて計算する。相関値は、2つの行
ベクトルを構成するそれぞれのデータを列ごとに対応さ
せて乗算し、その総和を取ることによって算出される。
【0027】たとえば(5)式から明らかなように、異
なる行ベクトル同士の相関値は必ずゼロとなり、同一の
行ベクトル同士の相関値は次数の8となる。
【0028】このような次数n=8のアダマール行列H
8を用いたアダマール変換では、(5)式のH8,0〜
H8,7の8とおりの行ベクトルのいずれかが、m=3
ビットの送信データに対応して8ビットの符号語として
採用され、これにより3ビットの送信データが成分数n
=8個のデータに拡散されて送信されることになる。
【0029】なお、前述のように、通常は、データ送信
中の種々の要因によりデータに若干の誤りが生じるた
め、受信されたデータは、送信されたデータと必ずしも
一致するとは限らない。
【0030】このようなアダマール行列H8に基づいて
送信側で符号化されている成分数n=8個の受信データ
をY=(y1,y2,y3,y4,y5,y6,y7,y8)
とすると、この受信データYは、基本的には(5)式に
示した行ベクトルH8,0〜H8,7のいずれかであり、
ビット誤りにより一部データが変化している可能性はあ
る。
【0031】
【数6】
【0032】この符号化されたデータを復号するために
は、上記の(6)式に示すように、符号化に用いた
(5)式のアダマール行列H8と、受信データYとの積
を計算する。より具体的には、アダマール行列H8を構
成する8個の行ベクトルのそれぞれと、受信データYと
の間で、8個の相関値Z=(Z0,Z1,Z2,Z3,Z
4,Z5,Z6,Z7)を算出し、算出された相関値が最
大となるアダマール行列の行を特定すれば、その行の行
ベクトルが送信側で符号化に採用されたものであること
を見出すことができ、ひいては対応する送信データを復
号することが可能になる。なお、この相関値Z0〜Z7
の計算においても、アダマール行列における値「0」は
+1に置換えて、値「1」は−1に置換えて計算する。
【0033】これは、前述のように、次数8のアダマー
ル行列の異なる行ベクトル同士の相関値が常にゼロであ
るのに対し、同一行ベクトル同士の相関値が次数に相当
する8というピーク値になるというアダマール行列の特
質によるものである。
【0034】このようなアダマール変換の特質により、
受信データ中に若干のビット誤りが生じていても、特定
されるべき正しい行ベクトルと受信データとの相関値
は、他の行ベクトルとの相関値に比べて際立った最大値
(ピーク値)を取るため、正しい行ベクトルを特定する
ことができる。このように、アダマール変換は受信デー
タのビット誤りに対する十分な誤り耐性を有している。
【0035】次に、次数nのアダマール行列Hnと、成
分数n個の受信データYとの間で、(6)式に関して説
明したような相関値演算を行なうのに必要な演算数につ
いて検討する。
【0036】最も単純な方法として、成分数n個のデー
タからなる受信データと、次数nのアダマール行列の1
行の行ベクトル(nビットのデータからなる)との相関
を取るためにはn回の演算(乗算)が必要となり、n行
の行ベクトルのすべてとの間で相関を取れば、合計でn
×n回の演算(乗算)が必要となる。したがって、この
方法では、アダマール行列の次数nが大きくなると、必
要な演算数は膨大なものとなる。
【0037】このような相関値算出の演算処理量を低減
するための方法が従来から提案されている。たとえば、
前記の宮川他による「符号理論」(昭晃堂)に開示され
た方法では、相関値算出の演算量は、n×log2n回
にまで低減できる。
【0038】図3は、このような方法を実現するための
回路構成の一例を示す機能ブロック図である。この例に
おいて、アダマール行列の次数は、n=2^3=8とす
る。
【0039】図3を参照して、上述の文献による復号回
路(相関値算出回路)は、受信データY=(y1,y2,
y3,y4,y5,y6,y7,y8)を受けて蓄積するレ
ジスタ21と、それぞれの行ベクトルごとに算出された
相関値Z=(Z0,Z1,Z2,Z3,Z4,Z5,Z6,Z
7)を受けて蓄積するレジスタ22と、組合せて配列さ
れた複数の加算器A1〜A12および複数の減算器S1
〜S12とから構成されている。
【0040】受信データY=(y1,y2,y3,y4,y
5,y6,y7,y8)がレジスタ21に蓄積されると、
加算器A1〜A4および減算器S1〜S4の組合せによ
って第1ステップの演算が行なわれる。
【0041】この第1ステップでは、受信データを構成
する8個のデータの先頭から順次2個のデータを対とし
て、y1+y2,y3+y4などの加算値と、y1−y
2,y3−y4などの減算値とを、まず求める。
【0042】次に、加算器A5〜A8および減算器S5
〜S8の組合せによって第2ステップの演算が行なわれ
る。
【0043】この第2ステップでは、第1ステップで得
た加算値および減算値について、2個ずつ対とする組合
せを変更し、変更後の対について、第1ステップと同様
に加算値および減算値を求める。
【0044】次に、加算器A9〜A12および減算器S
9〜S12の組合せによって第3ステップの演算が行な
われる。
【0045】この第3ステップでは、第2ステップで得
た加算値および減算値について、さらに2個ずつ対とす
る組合せを変更し、変更後の対について、第1および第
2ステップと同様に加算値および減算値を求める。
【0046】第3ステップの演算の結果、アダマール行
列のそれぞれの行に対応する相関値Z=(Z0,Z1,Z
2,Z3,Z4,Z5,Z6,Z7)が求められ、レジスタ
22に格納される。
【0047】たとえば、相関値Z2は、第1から第3の
ステップを介して、Z2=(y1+y2)−(y3+y
4)+(y5+y6)−(y7+y8)として求められ
る。この場合の一つの相関値Z2に対する演算反復回数
は、第1から第3の3ステップ(3回)であり、これは
次数nをn=2^3=8とすれば、log2n=3回に
相当する。したがって、アダマール行列のn行すべてに
ついて相関値を求めると、必要な演算量は、前述のよう
に、n×log2n回となる。
【0048】この方法では、前述のn×n回の演算を行
なう単純な方法に比べて、大幅に演算処理量の削減を図
ることができる。
【0049】
【発明が解決しようとする課題】上述のn×n回の演算
を行なう単純な方法、およびn×log2n回の演算を
行なう改良された方法のいずれにおいても、相関値が最
大となる行以外のすべての行についても、それぞれの相
関値を算出しているために計算の無駄が多い。後者の方
法では、前者の方法に比べて演算処理量を大幅に低減す
ることができるが、それでも次数nが大きくなれば演算
量は著しく増大することになる。
【0050】このように、相関値算出のための演算処理
量が増大すると、端末装置または基地局の受信回路系の
回路規模が増大し、また演算処理に要する時間も増加す
る。このため受信回路系の消費電力も増大し、特に端末
装置においては大きな問題となる。
【0051】それゆえに、この発明の目的は、アダマー
ル変換を行なうためのアダマール行列の次数が大きくな
っても、受信データの復号に要する演算処理量が膨大な
ものとなることを防止した、アダマール変換されたデー
タの復号回路および復号方法を提供することである。
【0052】
【課題を解決するための手段】この発明は、次数n=2
^m(m,nは正の整数)のアダマール行列の行ベクト
ルを特定することにより符号化された、成分数n個のデ
ータからなる受信データを復号する復号回路であって、
データ受信手段と、データ保持手段と、加算ベクトル演
算手段と、減算ベクトル演算手段と、第1の総和算出手
段と、第2の総和算出手段と、比較手段と、選択手段
と、制御手段と、決定手段と、復号手段とを備える。ア
ダマール行列は、低次から高次にわたってm行の基本ベ
クトルを含む。データ受信手段は、受信データを受取
る。データ保持手段は、データを保持する。加算ベクト
ル演算手段は、データ保持手段から与えられたデータの
先頭から順次2個のデータを対として、各対ごとのデー
タの加算値を成分とする加算ベクトルを生成する。減算
ベクトル演算手段は、データ保持手段から与えられたデ
ータの先頭から順次2個のデータを対として、各対ごと
のデータの減算値を成分とする減算ベクトルを生成す
る。第1の総和算出手段は、生成された加算ベクトルの
成分であるそれぞれの加算値の絶対値の総和を算出す
る。第2の総和算出手段は、生成された減算ベクトルの
成分であるそれぞれの減算値の絶対値の総和を算出す
る。比較手段は、第1および第2の総和算出手段によっ
てそれぞれ算出された絶対値の総和の大小比較を行な
う。選択手段は、加算ベクトルおよび減算ベクトルのう
ち、比較手段により成分の絶対値の総和が大きいと判断
された方のベクトルのデータを選択する。制御手段は、
最初に受信データをデータ保持手段に与え、その後は選
択手段によって選択されたベクトルのデータをデータ保
持手段に順次与えて、低次から高次にわたるm行の基本
ベクトルの次数ごとに対応して、比較手段による絶対値
の総和の大小比較を行なうように制御する。決定手段
は、比較手段による大小比較の結果、減算ベクトルの成
分の絶対値の総和が大きいと、対応する次数の基本ベク
トル成分が受信データ中に存在するものと決定する。復
号手段は、決定手段により存在が決定された基本ベクト
ルの次数に基づいて、符号化に用いられたアダマール行
列の行ベクトルを特定することにより、符号化された受
信データを復号する。
【0053】この発明の他の局面に従えば、次数n=2
^m(m,nは正の整数)のアダマール行列の行ベクト
ルを特定することにより符号化された、成分数n個のデ
ータからなる受信データを復号する復号方法であって、
アダマール行列は、低次から高次にわたってm行の基本
ベクトルを含む。復号方法は、受信データを受取るステ
ップと、データを保持するステップと、保持されたデー
タの先頭から順次2個のデータを対として、各対ごとの
データの加算値を成分とする加算ベクトルを生成するス
テップと、保持されたデータの先頭から順次2個のデー
タを対として、各対ごとのデータの減算値を成分とする
減算ベクトルを生成するステップと、生成された加算ベ
クトルの成分であるそれぞれの加算値の絶対値の総和を
算出するステップと、生成された減算ベクトルの成分で
あるそれぞれの減算値の絶対値の総和を算出するステッ
プと、加算ベクトルおよび減算ベクトルのそれぞれの算
出された絶対値の総和の大小比較を行なうステップと、
加算ベクトルおよび減算ベクトルのうち、成分の絶対値
の総和が大きいと判断された方のベクトルのデータを選
択するステップと、最初に前記受信データを保持し、そ
の後は選択されたベクトルのデータを順次保持して、低
次から高次にわたるm行の基本ベクトルの次数ごとに対
応して、絶対値の総和の大小比較を行なうように制御す
るステップと、大小比較の結果、減算ベクトルの成分の
絶対値の総和が大きいと、対応する次数の基本ベクトル
成分が受信データ中に存在するものと決定するステップ
と、存在が決定された基本ベクトルの次数に基づいて、
符号化に用いられたアダマール行列の行ベクトルを特定
することにより、符号化された受信データを復号するス
テップとを備える。
【0054】以上のように、この発明では、アダマール
行列の各行ベクトルの値は、いくつかの基本ベクトルの
値の和によって与えられることに着目し、受信データに
これらの基本ベクトルの各々が含まれるか否かを判定す
ることにより、符号化に用いられたアダマール行列の行
ベクトルを特定するように構成しているので、従来技術
のように行ベクトルのすべてについて相関値を算出する
必要はなく、特にアダマール行列の次数が大きいとき
に、受信データ復号のための演算処理量を著しく低減す
ることができる。
【0055】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図
面を参照して詳しく説明する。なお、図中同一または相
当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0056】以下に、この発明によるアダマール変換さ
れたデータの復号原理について説明する。
【0057】アダマール行列の次数nは、前述のように
n=2^mで表わされる。この発明は、本来は、次数n
が大きければ大きいほど、たとえばnが32や64、ま
たはそれ以上の場合に顕著な効果を得ることができる
が、説明の簡略化のために、以下の説明では、m=4で
あり、したがって次数nが16の場合について説明する
こととする。
【0058】一般に、アダマール行列の各行の値は、基
本となるいくつかの行ベクトル(基本ベクトル)の組合
せの和(排他的論理和)によって与えられる。基本ベク
トルは、周期的に反復された0,1からなる行ベクトル
であり、次数nをn=2^mで表わすと、繰返し周期が
それぞれ2,4,・・・,2^mであるm個の基本ベク
トルが存在することになる。たとえば、次数nが16で
あれば、以下に示す4個の基本ベクトルが存在すること
になる: 周期=2 H16,1=0101010101010101 周期=4 H16,2=0011001100110011 周期=8 H16,4=0000111100001111 周期=16 H16,8=0000000011111111 なお、前述のように、アダマール行列の行を示す番号を
kとすると、次数nのアダマール行列の各行ベクトル
は、Hn,k(k=0〜n−1)で表わされる。ここ
で、次数n=16のアダマール行列H16の任意の行ベ
クトルの値H16,kは、上記の4個の基本ベクトルを
用いて次のように与えられる: H16,k=a1H16,1+a2H16,2+a3H1
6,4+a4H16,8 この式を一般的に表現すると、H16,k=ΣajH1
6,j(j=1,2,4,8)で与えられる。ここで、ajは、
アダマール行列H16のk行目を2進数で特定するため
の係数であり、この例では係数(a8,a4,a2,a
1)によって特定される(a8がMSB側)。
【0059】すなわち、任意の行ベクトルの係数ajの
各々が0か1かを判定することにより、当該行ベクトル
がアダマール行列H16のどの(k番目の)行ベクトル
であるのかを特定することができる。
【0060】したがって、成分数n個のデータ(ビッ
ト)からなる受信データについて、m個の基本ベクトル
の各々が存在するか否かを判定することにより、当該受
信データが送信側で、アダマール行列Hnのどの行ベク
トルを用いて符号化されていたかを特定することが可能
となる。
【0061】以下に、基本ベクトルの存在の判定方法に
ついて説明する。なお、この方法では、まず、低次の基
本ベクトルの有無(a1が0か1か)を判定し、その後
高次の基本ベクトル(a2以降)について順次同様の判
定処理を繰返す。
【0062】まず、成分数n個のデータからなる受信デ
ータの先頭から順次2個のデータを対として、各対ごと
のデータの加算値を成分とする加算ベクトル(成分数は
n/2)と、各対ごとのデータの減算値を成分とする減
算ベクトル(成分数はn/2)とを算出する。
【0063】たとえば受信データをY=(y1,y2,y
3,・・・,yn)と表現すると、加算ベクトルおよび減
算ベクトルはそれぞれ下記の式で与えられる: 加算ベクトル=(y1+y2,y3+y4,・・・,y(n-1)+yn) 減算ベクトル=(y1-y2,y3-y4,・・・,y(n-1)-yn) さらに、生成された加算ベクトルの成分であるそれぞれ
の加算値の絶対値の総和と、生成された減算ベクトルの
成分であるそれぞれの減算値の絶対値の総和とを算出
し、それぞれの総和の大小比較を行なう。
【0064】そして、減算ベクトルの成分であるそれぞ
れの減算値の絶対値の総和の方が大きければ、周期2の
基本ベクトル成分Hn,1が受信データ内に存在するも
のと判断され、この基本ベクトルに対応する係数a1
は、a1=1と決定される。
【0065】一方、加算ベクトルの成分であるそれぞれ
の加算値の絶対値の総和の方が大きければ、周期2の基
本ベクトル成分Hn,1が受信データ内に存在しないも
のと判断され、この基本ベクトルに対応する係数a1
は、a1=0と決定される。
【0066】また、加算ベクトルおよび減算ベクトルの
うち、成分の絶対値の総和が大きいと判断された方のベ
クトルのデータ(成分数はn/2)が、新たな入力デー
タとして選択され、上述の処理の対象となる。
【0067】すなわち、新たな入力データとして選択さ
れた成分数n/2個のデータからなる加算または減算ベ
クトルの先頭から順次2個のデータを対として、各対ご
とのデータの加算値を成分とするさらなる加算ベクトル
(成分数はn/4)と、各対ごとのデータの減算値を成
分とするさらなる減算ベクトル(成分数はn/4)とを
算出する。
【0068】そして、生成されたさらなる加算ベクトル
の成分であるそれぞれの加算値の絶対値の総和と、生成
されたさらなる減算ベクトルの成分であるそれぞれの減
算値の絶対値の総和とを算出し、それぞれの総和の大小
比較を行なう。
【0069】そして、さらなる減算ベクトルの成分であ
るそれぞれの減算値の絶対値の総和の方が大きければ、
周期4の基本ベクトル成分Hn,2が受信データ内に存
在するものと判断され、この基本ベクトルに対応する係
数a2は、a2=1と決定される。
【0070】一方、さらなる加算ベクトルの成分である
それぞれの加算値の絶対値の総和の方が大きければ、周
期4の基本ベクトル成分Hn,2が受信データ内に存在
しないものと判断され、この基本ベクトルに対応する係
数a2は、a2=0と決定される。
【0071】また、さらなる加算ベクトルおよび減算ベ
クトルのうち、成分の絶対値の総和が大きいと判断され
た方のベクトルのデータ(成分数はn/4)が、新たな
入力データとして選択され、さらに上述の処理の対象と
なる。
【0072】以後、加算ベクトルおよび減算ベクトルの
それぞれの成分数が1個となるまで同様の処理を繰返
し、最高次の基本ベクトルHn,n/2に対する係数an
/2まで順次求める。
【0073】それぞれの基本ベクトルに対する係数が決
まれば、Σaj*(2^j)を計算することにより、当
該受信データが送信側で、アダマール行列Hnのどの行
ベクトルによって符号化されていたかを特定することが
でき、受信データの復号が可能となる。
【0074】ここで、この方法による演算数について検
討する。加算ベクトルの算出については、算出を繰返す
につれて成分数すなわち演算数が1/2になっていくの
で、演算総数は、Σn(1/2)P≒n(ただしP=1
〜m)となる。減算ベクトル算出の演算総数についても
同様で≒nである。
【0075】また、加算ベクトルおよび減算ベクトルの
各々の絶対値総和の算出についても同様に≒nである。
【0076】したがって、この発明による復号方法(ア
ダマール行列の行ベクトル特定方法)の演算数の総計
は、4n回となる。
【0077】これを従来方法のn×log2n回と比較
すると、アダマール行列の次数nがn=16の場合は、
いずれも16×4回となり、演算数は同じである。しか
し、次数nが32以上になれば、この発明による演算数
4n回の方が従来方法によるn×log2n回よりも少
なくなる。特に、次数nが大きくなるほど演算数の低減
効果は大きく、たとえばn=256の場合には、演算処
理量は、従来例の1/2となる。
【0078】図1は、上述のアダマール変換の復号原理
を実現したこの発明の実施の形態による復号回路の構成
を示す機能ブロック図である。
【0079】図1を参照して、切換回路1は、最初の処
理ステップでは、受信データY=(y1,y2,y3,・
・・,yn)(ただしn=2^m)を選択し、以後の処
理ステップでは後述する選択後データ記憶回路9に記憶
されているデータを選択して、後段の入力データ記憶回
路2に与える。
【0080】入力データ記憶回路2に記憶されるデータ
を、一般的に成分数L個のデータ(y'1,y'2,・・
・,y'L)と表わすと、このデータは、加算ベクトル演
算回路3と、減算ベクトル演算回路4と、加算ベクトル
の絶対値和演算回路5と、減算ベクトルの絶対値和演算
回路6とに与えられる。
【0081】加算ベクトル演算回路3は、与えられた成
分数L個のデータの先頭から順次2個のデータを対とし
て、各対ごとのデータの加算値を成分とする加算ベクト
ル=(y'1+y'2,y'3+y'4,・・・,y'(L
−1)+y'L)を算出する。また、減算ベクトル演算
回路4は、与えられた成分数L個のデータの先頭から順
次2個のデータを対として、各対ごとのデータの減算値
を成分とする減算ベクトル=(y'1−y'2,y'3−
y'4,・・・,y'(L−1)−y'L)を算出する。
【0082】この演算の結果、加算ベクトルおよび減算
ベクトルの各々の成分数は、L/2となる。
【0083】絶対値和演算回路5は、上述の加算ベクト
ルを構成する加算値の絶対値の総和を算出し、絶対値和
演算回路6は、上述の減算ベクトルを構成する減算値の
絶対値の総和を算出し、それぞれの算出結果は、大小比
較判定回路7に与えられ、いずれのベクトルの絶対値総
和が大きいかが判定される。
【0084】加算ベクトル演算回路3および減算ベクト
ル演算回路4の出力は、選択回路8に与えられ、選択回
路8は、大小比較判定回路7の判定出力に応じて、絶対
値総和が大きい方の入力ベクトルを選択して選択後デー
タ記憶回路9に与える。選択後データ記憶回路9に記憶
された加算ベクトルまたは減算ベクトルは、切換回路1
を介して入力データ記憶回路2に与えられる。
【0085】一方、大小比較判定回路7の判定出力は、
係数決定回路10にも与えられる。この回路は、符号化
に用いられたアダマール行列の基本ベクトルごとにその
有無を示す係数ajを決定する回路である。
【0086】この係数決定回路10は、先に詳細に説明
したこの発明の復号原理にしたがって、基本ベクトルに
対応する係数a1,a2,a4,・・・,an/2を順
次決定していく。
【0087】係数決定回路10で決定されたこれらの係
数は、係数記憶回路11に与えられ順次記憶される。そ
して上述の係数a1,a2,a4,・・・,an/2が
すべて求まった段階で、係数記憶回路11には、アダマ
ール行列の符号化に用いられた行ベクトル番号kを特定
するための復号データk=(an/2,・・・,a4,
a2,a1)が格納されたことになる。
【0088】なお、図1に示す機能ブロック図は、デジ
タルシグナルプロセッサ(DSP)を用いてソフトウェ
ア的に実行することも可能である。
【0089】図2は、図1に示した復号回路の処理を示
すフロー図である。図2を参照して、まずステップS1
において、受信データY=(y1,y2,y3,・・・,y
n)(ただしアダマール行列の次数n=2^m)が図1
の切換回路1によって選択され、入力データ記憶回路2
に取込まれる。この復号方法では、m個の基本ベクトル
に対応するm個の係数ajを求めるため、以下の処理を
m回反復して行なうものである(ステップS2)。
【0090】ステップS3において、図1の加算ベクト
ル演算回路3による加算ベクトルの算出がなされ、ステ
ップS4において、図1の減算ベクトル演算回路4によ
る減算ベクトルの算出がなされる。
【0091】ステップS5において、図1の絶対値和演
算回路5により加算ベクトル成分の絶対値和R+が算出
され、ステップS6において、図1の絶対値和演算回路
6により減算ベクトル成分の絶対値和R−が算出され
る。
【0092】次に、ステップS7において、図1の大小
比較判定回路7により、加算ベクトル成分の絶対値和R
+の方が大きいと判定された場合には、ステップS8に
おいて、対応する基本ベクトルは存在しないものと判断
して、係数a1を0に決定するとともに、ステップS9
において、選択回路8を制御して加算ベクトルを入力デ
ータとして選択して選択後データ記憶回路9に与える。
【0093】一方、ステップS7において、図1の大小
比較判定回路7により、減算ベクトル成分の絶対値和R
−の方が大きいと判定された場合には、ステップS10
において、対応する基本ベクトルが存在するものと判断
して、係数a1を1に決定するとともに、ステップS1
1において、選択回路8を制御して減算ベクトルを入力
データとして選択して選択後データ記憶回路9に与え
る。
【0094】次に、ステップS12において、上述のス
テップS8またはS10で決定された係数a1が、図1
の係数記憶回路11に格納される。
【0095】次に、ステップS9またはS11で選択さ
れた加算ベクトルまたは減算ベクトルが入力データとし
て取込まれ、ステップS3〜S11の処理が再度実行さ
れる。そして、ステップS12において、ステップS8
またはS10で決定された係数a2が、係数記憶回路1
1に格納される。
【0096】このようなステップS3〜S12の処理を
m回繰返すことにより(ステップS2)、ステップS1
3において、符号化に用いられたアダマール行列の行ベ
クトルを特定する値(番号k)であるΣaj*(2^
j)が求められる。
【0097】次に、上述のこの発明による復号方法の具
体例、特にデータ伝送路におけるノイズや干渉などによ
って受信データに誤りが生じている場合の復号動作につ
いて説明する。
【0098】以下の例において、アダマール行列の次数
を、n=16=2^4とし、符号化に用いた行ベクトル
をH16,6とする。なお、前述のように、この発明の
復号方法では、次数nが大きいほど(n=32以上)演
算処理量の低減効果を発揮することができるが、n=3
2以上とすると、説明があまりにも煩雑化するため、あ
えてn=16の場合について説明することとする。
【0099】この発明は、実施の形態に示すn=16の
場合に限られず、より大きな次数nに適用され、演算処
理量低減の効果を発揮するものであることは言うまでも
ない。
【0100】また、この発明では、受信データの判定と
して、硬判定または軟判定のいずれにも適用できるが、
以下の実施の形態では、0,1の2値判定を行なう硬判
定に適用されたものとする。
【0101】まず、符号化に用いた行ベクトルをH1
6,6=0011110000111100とする。このデータに、伝送
路におけるノイズなどにより、先頭から3、8、および
14ビット目に、合計3ビットのデータ誤りが生じたも
のとする。
【0102】この結果、受信データは、00011101001110
00となる。以後の計算においては、受信データビットの
0,1を、それぞれ+1,−1と置換えて加減算するも
のとする。
【0103】この置換えにより、上記受信データ000111
0100111000は、(1,1,1,-1,-1,-1,1,-1,1,1,-1,-1,-1,
1,1,1)と表わされる。
【0104】まず、係数a1を求める処理について説明
する。この場合、上記受信データ(1,1,1,-1,-1,-1,1,-
1,1,1,-1,-1,-1,1,1,1)から、加算ベクトルは、(2,0,
-2,0,2,-2,0,2)となり、その加算値の絶対値和は10
となる。また、減算ベクトルは、(0,2,0,2,0,0,-2,0)
となり、その減算値の絶対値和は6となる。
【0105】したがって、加算ベクトルの方が絶対値和
が大きいので、係数a1は、a1=0となる。
【0106】次に、係数a2を求める処理について説明
する。この場合、新たな入力データは、絶対値和の大き
かった上記加算ベクトル(2,0,-2,0,2,-2,0,2)であ
り、その加算ベクトルは、(2,-2,0,2)となり、その加
算値の絶対値和は6となる。また、減算ベクトルは、
(2,-2,4,-2)となり、その減算値の絶対値和は10と
なる。
【0107】したがって、減算ベクトルの方が絶対値和
が大きいので、係数a2は、a2=1となる。
【0108】次に、係数a4を求める処理について説明
する。この場合、新たな入力データは、絶対値和の大き
かった上記減算ベクトル(2,-2,4,-2)であり、その加
算ベクトルは、(0,2)となり、その加算値の絶対値
和は2となる。また、減算ベクトルは、(4,6)とな
り、その減算値の絶対値和は10となる。
【0109】したがって、減算ベクトルの方が絶対値和
が大きいので、係数a4は、a4=1となる。
【0110】次に、係数a8を求める処理について説明
する。この場合、新たな入力データは、絶対値和の大き
かった上記減算ベクトル(4,6)であり、その加算ベ
クトルは、(10)となり、その加算値の絶対値和は1
0となる。また、減算ベクトルは、(−2)となり、そ
の減算値の絶対値和は2となる。
【0111】したがって、加算ベクトルの方が絶対値和
が大きいので、係数a8は、a8=0となる。
【0112】以上のようにして決定された係数に基づい
て、符号化に用いられたアダマール行列の行ベクトルの
行番号kを特定する2進数表示の値k=(a8,a4,a
2,a1)=(0,1,1,0)=6が得られる。
【0113】このように、この発明の実施の形態によれ
ば、受信データにおける基本ベクトルの有無を決定する
ことにより、アダマール行列に基づいて符号化されたデ
ータを、従来のような膨大な相関値算出演算を行なうこ
となく、復号することができる。
【0114】また、受信データに伝送誤りが生じていて
も、受信データの加算ベクトルおよび減算ベクトルのそ
れぞれの絶対値和を求めて大小判定を行なっているの
で、復号時におけるデータの誤りの影響を排除すること
ができる。
【0115】なお、この発明は、現行の、または次世代
のCDMA方式のデジタル無線通信システムだけに限ら
ず、アダマール行列を用いて送信データを符号化し、受
信側でこれを復号するデジタル無線通信システムの端末
および基地局のいずれにも適用することができる。
【0116】今回開示された実施の形態はすべての点で
例示であって制限的なものではないと考えられるべきで
ある。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求
の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味お
よび範囲内でのすべての変更が含まれることが意図され
る。
【0117】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、アダ
マール行列の各行ベクトルの値は、当該アダマール行列
の基本ベクトルのうちのいくつかの値の和によって構成
されることに着目し、受信データに含まれるこれらの基
本ベクトルを特定することにより、符号化に用いられた
アダマール行列の行ベクトルを特定するように構成して
いる。すなわち従来技術のように、アダマール行列の行
ベクトルのすべてについて相関値を算出するまでもなく
相関値が最大となる行ベクトルを特定することができ、
特にアダマール行列の次数が大きいときに、受信データ
復号のための演算処理量を著しく低減することができ
る。
【0118】このため、復号回路の回路規模を大幅に縮
小することができ、さらに演算処理時間を短縮すること
ができる。したがって、復号回路の消費電力の低減をも
図ることができる。
【0119】また、伝送路のノイズなどによる受信デー
タ誤りに対しても十分な耐性があるため、特に移動体通
信システムのようなノイズや干渉などの妨害が顕著な通
信システムにおいて、受信データの正確な復号のために
有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態による復号回路の構成
を示す機能ブロック図である。
【図2】 この発明の実施の形態による復号方法を示す
フロー図である。
【図3】 従来のアダマール行列の行ベクトルと受信デ
ータとの相関値算出のための演算回路構成の一例を示す
ブロック図である。
【符号の説明】
1 切換回路、2 入力データ記憶回路、3 加算ベク
トル演算回路、4 減算ベクトル演算回路、5,6 絶
対値和演算回路、7 大小比較判定回路、8選択回路、
9 選択後データ記憶回路、10 係数決定回路、11
係数記憶回路、21,22 レジスタ、A1〜A12
加算器、S1〜S12 減算器。

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 次数n=2^m(m,nは正の整数)の
    アダマール行列の行ベクトルを特定することにより符号
    化された、成分数n個のデータからなる受信データを復
    号する復号回路であって、前記アダマール行列は、低次
    から高次にわたってm行の基本ベクトルを含み、 前記受信データを受取るデータ受信手段と、 データを保持するデータ保持手段と、 前記データ保持手段から与えられたデータの先頭から順
    次2個のデータを対として、各対ごとのデータの加算値
    を成分とする加算ベクトルを生成する加算ベクトル演算
    手段と、 前記データ保持手段から与えられたデータの先頭から順
    次2個のデータを対として、各対ごとのデータの減算値
    を成分とする減算ベクトルを生成する減算ベクトル演算
    手段と、 前記生成された加算ベクトルの成分であるそれぞれの加
    算値の絶対値の総和を算出する第1の総和算出手段と、 前記生成された減算ベクトルの成分であるそれぞれの減
    算値の絶対値の総和を算出する第2の総和算出手段と、 前記第1および第2の総和算出手段によってそれぞれ算
    出された絶対値の総和の大小比較を行なう比較手段と、 前記加算ベクトルおよび減算ベクトルのうち、前記比較
    手段により成分の絶対値の総和が大きいと判断された方
    のベクトルのデータを選択する選択手段と、 最初に前記受信データを前記データ保持手段に与え、そ
    の後は前記選択手段によって選択されたベクトルのデー
    タを前記データ保持手段に順次与えて、低次から高次に
    わたるm行の基本ベクトルの次数ごとに対応して、前記
    比較手段による絶対値の総和の大小比較を行なうように
    制御する制御手段と、 前記比較手段による大小比較の結果、前記減算ベクトル
    の成分の絶対値の総和が大きいと、対応する次数の基本
    ベクトル成分が前記受信データ中に存在するものと決定
    する決定手段と、 前記決定手段により存在が決定された基本ベクトルの次
    数に基づいて、符号化に用いられた前記アダマール行列
    の行ベクトルを特定することにより、符号化された受信
    データを復号する復号手段とを備えた、復号回路。
  2. 【請求項2】 次数n=2^m(m,nは正の整数)の
    アダマール行列の行ベクトルを特定することにより符号
    化された、成分数n個のデータからなる受信データを復
    号する復号方法であって、前記アダマール行列は、低次
    から高次にわたってm行の基本ベクトルを含み、 前記受信データを受取るステップと、 データを保持するステップと、 前記保持されたデータの先頭から順次2個のデータを対
    として、各対ごとのデータの加算値を成分とする加算ベ
    クトルを生成するステップと、 前記保持されたデータの先頭から順次2個のデータを対
    として、各対ごとのデータの減算値を成分とする減算ベ
    クトルを生成するステップと、 前記生成された加算ベクトルの成分であるそれぞれの加
    算値の絶対値の総和を算出するステップと、 前記生成された減算ベクトルの成分であるそれぞれの減
    算値の絶対値の総和を算出するステップと、 前記加算ベクトルおよび減算ベクトルのそれぞれの算出
    された絶対値の総和の大小比較を行なうステップと、 前記加算ベクトルおよび減算ベクトルのうち、成分の絶
    対値の総和が大きいと判断された方のベクトルのデータ
    を選択するステップと、 最初に前記受信データを保持し、その後は選択されたベ
    クトルのデータを順次保持して、低次から高次にわたる
    m行の基本ベクトルの次数ごとに対応して、前記絶対値
    の総和の大小比較を行なうように制御するステップと、 前記大小比較の結果、前記減算ベクトルの成分の絶対値
    の総和が大きいと、対応する次数の基本ベクトル成分が
    前記受信データ中に存在するものと決定するステップ
    と、 前記存在が決定された基本ベクトルの次数に基づいて、
    符号化に用いられた前記アダマール行列の行ベクトルを
    特定することにより、符号化された受信データを復号す
    るステップとを備えた、復号方法。
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