JP2002104938A - 養毛料、毛髪退行期移行抑制剤等の予防あるいは治療用組成物 - Google Patents
養毛料、毛髪退行期移行抑制剤等の予防あるいは治療用組成物Info
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Abstract
り性能発現を確認した養毛料、毛髪退行期移行抑制剤、
肝硬変治療薬あるいは腎炎治療薬の提供。 【解決手段】 有効成分として、アマチャエキス中に含
有される成分である、イソクマリン類、特にフィロズル
シン(1)を含有することを特徴とするものである。
Description
特にフィロズルシンを有効成分として含有する毛髪等の
予防あるいは治療組成物に関する。より詳しくは、イソ
クマリン類、特にフィロズルシンを有効成分として含有
する養毛料、毛髪退行期移行抑制剤、肝硬変治療薬ある
いは腎炎治療剤に関する。より好適には、毛髪の伸長を
促進するイソクマリン類、中でもジヒドロイソクマリン
類、特にフィロズルシンを有効成分として含有する養毛
料あるいは毛髪退行期移行抑制剤に関する。
毛髪用化粧料は、毛髪の伸長を促進することが期待され
ており、それには、毛根に浸透して、血管を拡張、血行
を促進、さらに毛乳頭を刺激、毛髪の生成を助け、発毛
を促進するような薬剤が含有されている。その養毛料に
含有されている薬剤を作用別に示すと、血行促進、局所
刺激、毛包賦活、抗男性ホルモン、抗脂漏、角質溶解、
殺菌あるいは消炎等の作用を有する成分が配合される。
る成分としては、具体的にはセンブリエキス、ビタミン
E、トウガラシチンキ、ビタミンB6、ヒノキチオー
ル、エストラジオール、イオウ、サリチル酸、メントー
ル、グリチルリチンあるいはパントテン酸等がある。
は、マウス、ウサギもしくはサル等の動物を使用する方
法、ヒトを使用する方法又は組織培養を使用する方法等
が既存の手法として存在する。そのうちのヒトを用いる
方法は、ヒトの頭部等に被験物質を塗布し、毛髪の伸長
を観察する直接的方法であり、組織培養を使用する方法
には、例えば皮膚から分離した毛包を被験物質の存在下
で培養し、培養された毛の伸長の程度を測定する方法が
ある。
ては、前者のヒトを用いる方法は結果を得るのに長時間
を要し、後者の方法は結果を得るのに顕微鏡を必要とし
ていて操作が複雑であり、かつ多数のサンプルを一度に
検定することが困難である等の問題点がある。そのため
短時間で、かつ簡便な操作で実施することができ、しか
も一度に多数のサンプルを検定することができるスクリ
ーニング方法が望まれていた。
料のスクリーニングに適用することができ、しかも短時
間で、かつ簡便な操作で一度に多数のサンプルを検定す
ることができる新規はスクリーニング方法を開発し、既
に特許出願した(特願平11−86406号)。
殖因子(Transforming Growth Factor−β2;TGF-β
2)が毛髪成長サイクルにおける成長期から退行期への移
行を促進し、TGF-β2の拮抗作用物質(アンタゴニス
ト)により退行期への移行を抑制することにより育毛効
果が得られることを本発明者が見出したことに基づいて
開発されたものである。
に対するアンタゴニストの存在下もしくは非存在下でヒ
ト乳頭細胞を培養した場合、アンタゴニスト非存在下に
生産されるプラスミノーゲン−アクチベーター阻害物質
−1(PAI-1)の量に比べて、TGF-β2アンタゴニスト
の存在下ではPAI-1の生産量が低下することを確認し
た。本発明は、この確認された新規事項の発見に基づい
て開発されたものである。
る過程において、各種の生薬を対象にスクリーニングを
行い、多くの生薬にTGF-β2に対する拮抗作用があるこ
とを確認し、それらに関して養毛料の発明として前記ス
クリーニング方法の発明と共に特許出願した。また、そ
の中でもアマチャエキスはTGF-β2に対する拮抗作用が
最も強力であることも確認した。
するTGF-β抑制作用、ヒト毛包器官培養による伸長作
用)を持つことが判明したアマチャエキスについて、さ
らに研究を進めたところ、その有効成分を同定すること
ができた。すなわち、それは、イソクマリン類、特にジ
ヒドロイソクマリン類の一つであるフィロズルシンがそ
の作用の本体であることが確認できた。本発明は、以上
のとおりの研究成果及び新規な知見に基づいてなされた
ものである。
りの研究成果及び新規な知見に基づいてなされた養毛
料、毛髪退行期移行抑制剤、肝硬変治療薬または腎炎治
療剤に関するものであり、そのうちの養毛料は、イソク
マリン類(化合物)、特にフィロズルシンを有効成分と
して含有するものである。また、それ以外の毛髪退行期
移行抑制剤、肝硬変治療薬又は腎炎治療薬についても、
いずれも同様にイソクマリン類(化合物)、特にフィロ
ズルシンを有効成分として含有するものである。
態について説明する。まず、本発明を生み出すもととな
った新規なスクリーニング方法について具体的に説明す
る。ヒトの毛髪の成長サイクルは、5〜6年間の成長
期、2〜3週間の退行期及び2〜3ヶ月の休止期を経て
脱毛し、やがて新しい毛髪が発生し、その成長期が新た
に開始される。
導・開始させること、すなわち成長期が短縮されること
を実験的に証明した。すなわち、ヒト頭皮から得られた
成長期の毛包をTGF-β2の存在下及び不存在下で器官培
養し、TGF-β2の存在下で培養を行った場合に、自然状
態での退行期への移行と同様の形態的変化が生ずること
を確認した。また、成長期にあるヒト毛包及び退行期に
あるヒト毛包におけるTGF-β2の分布を抗TGF-β2抗体を
用いた免疫組織染色により観察し、成長期のヒト毛包に
比べて退行期の毛包に顕著にTGF-β2が発現分布してい
ることを見出した。
ことが知られている抗-TGF-β-抗体及びフェチュイン
(Fetuin)の存在下及び非存在下で、ヒト毛包を器官培
養し、毛の伸長を測定した。その結果、抗-TGF-β2-抗
体又はフェチュインの存在下では、それらの非存在下に
比較して毛の伸長が大であり、TGF-β2のアンタゴニス
トにより、TGF-β2が中和され退行期への移行が抑制さ
れることが確認された。
果を簡単に生ずる手段を見出すべく、種々の濃度でTGF-
β2を含有する倍地中で毛乳頭細胞を培養し、培養物中
のPAI-1を測定することにより、TGF-β2により毛乳頭
細胞でのPAI-1の産成が促進されることを確認した。さ
らに、TGF-β2の存在下で毛乳頭細胞を培養するに際し
て、TGF-β2のアンタゴニストである抗-TGF-β2-抗体を
添加することにより、PAI-1の生産(産成)の上昇が抑
制されることを見出した。これらの実験により、毛乳頭
細胞の培養物中のPAI-1を常法にしたがって測定するこ
とにより、TGF-β2に対するアンタゴニストの存否、
量、活性等を容易に測定することができることが確認さ
れた。
は、スクリーニング方法も開発し、前記したとおり既に
特許出願をした。すなわち、TGF-β2及び種々の被験物
質の存在下で毛乳頭細胞を培養し、培養物中のPAI-1の
量を測定し、低いPAI-1測定値をもたらした被験物質に
ついて、毛包の器官培養による伸長を測定したところ、
PAI-1測定値を低下せしめる被験物質は、毛の伸長を促
進することを確認し、このスクリーニング方法の有効性
を確認した。
細胞(毛乳頭細胞、繊維芽細胞)を、TGF-β2と被験物
質との存在下で培養し、培養物中のPAI-1量を測定すれ
ばよい。その場合、PAI-1の測定値が被験物質を添加し
なかった対照に比べて有意に低い場合、その被験物質
は、TGF-β2(アンタゴニスト)と判定され、養毛料の
候補とすることができる。
頭皮から、Messengerの方法(Messenger AG:BR J De
rmatol 110,685、1984)に準じて単離する。また、そ
の培養は、10%のウシ胎児血清(FBS)を添加したダ
ルベッコ改変イーグル培地(DMEM)などを用いる。な
お、使用する毛乳頭細胞としては、不死化した培養毛乳
頭細胞を用いることもできる。不死化した毛乳頭細胞
は、その培養により随時、多量に得ることができ、多数
の被験物質を一時に、又は数次にわたりスクリーニング
することができるという利点を有する。
原を正常な毛乳頭細胞に感染させ、培養数週間後に成長
型のコロニーから細胞を多数クローン化し、増殖能に優
れ、形態や性質が正常な毛乳頭細胞に近いクローンの培
養を継続して行くことにより不死化細胞株を樹立するこ
とができる。例えば、半田らの提案した方法(特願平9
−271927号)に従って樹立することができる。
常用の培地中で培養することができる。スクリーニング
用培地中のTGF-β2の濃度はおよそ0.01ng/ml〜
100ng/mlとし、培養は通常37℃にてCO2の存
在下で行われる。PAI-1を測定するまでの培養時間はお
よそ8〜72時間である。線維芽細胞についても、常法
により単離、培養することができ、不死化細胞を樹立す
ることができる。PAI-1の測定は、常法に従って例えば
抗PAI-1抗体を用いたサンドイッチELISA(酵素免疫測定
法)により測定する。
性を確認した前記スクリーニング方法を使用することに
より、本発明の養毛料あるいは毛髪退行期移行抑制剤等
の有効性を確認したものであり、以下に、そのスクリー
ニング方法の有効性を具体的確認試験を以ってさらに説
明する。
確認]前記確認を以下の試験により行った。 (1)TGF-β2が退行期の開始を促進する確認試験 Williams E培地(Gibco)にペニシリン、ストレプトマ
イシン及びファンギゾン(Fungizone)の3種類の抗生
物質を加え、さらに10ng/mlヒドロコーチゾン、
10μg/mlインシュリン、五セレン酸ナトリウム及
び10μg/mlトランスフェリンを添加した培地をイ
ンシュリン含有培地、添加しない培地を基礎培地として
ヒト毛包器官培養に用いた。
ヒト頭皮から成長期の毛包を単離した。単離した毛包は
基礎培地で洗浄した後長さを測定し、インシュリン含有
培地(24穴のマイクロプレート使用:1穴当たり1m
l)中に沈ませて、37℃、5%CO2を含む空気の気
相条件下で一晩培養した。再度長さを測定した後、伸長
が0.25mm以上かつ成長期の形態が維持された毛包
を選択し、伸長が均等になるように10から12本づつ
の群に分けた。
に交換した後、上記の気相条件下で培養した。毛包の伸
長は倒立顕微鏡の接眼鏡部にミクロメーターを挿入して
経時的に測定した。毛包全体および毛球部の写真は、倒
立顕微鏡に接続したカメラによって撮影した。培養2日
目に、TGF-β2を基礎培地に最終濃度50μg/ml添加
した培地に交換し、さらに5日間毛包の伸長と形態変化
を観察しながら培養を続けた。
包は、無添加のコントロールに比較して退行期様の形態
変化が促進された。その他の増殖因子やサイトカインで
は、退行期様の形態変化が促進される前記現象は認めら
れなかった。従って、TGF-β2に退行期の促進作用があ
ると考えられた。また、自然な頭髪における成長期から
退行期に移行する際の毛包の形態変化も観察した。その
両者の観察結果の比較から、TGF-β2により退行期への
移行が促進されることが明らかである。
試験 ヒト頭皮組織または器官培養した毛包をPBSで洗浄した
後、4%パラフォルムアルデヒド−リン酸バッファー
(pH7.2)で4時間固定し、エタノール系列で脱水、パ
ラフィン包埋後、厚さ5μmの組織切片を作製した。ヒ
ト毛包におけるTGF-β2の役割を明らかにするため、ヒ
ト毛包におけるTGF-β2の局在を調べた。ヒト毛包にお
けるTGF-β2の局在の観察は、ヒト頭皮組織切片の抗TGF
-β2抗体免疫染色により行った。
水処理したヒト頭皮組織切片を用い、一次抗体として抗
TGF-β2抗体(Santa Cruz)、二次抗体としてパーオキ
シターゼ標識ウサギIgGを用いて、アビジン−ビオチ
ン−パーオキシターゼ複合体法により、ヒト毛包におけ
るTGF-β2の存在部位を免疫組織化学的に染色した。そ
の結果、TGF-β2(の免疫染色性)は成長期後期の毛包
では外毛根鞘の最外層に認められた。他方、退行期後期
の毛包では、外毛根鞘最外層の細胞と毛乳頭上部の退縮
してゆく上皮系細胞にTGF-β2(の免疫染色性)が認め
られた。このことから、退行期後期においてTGF-β2が
働いていると考えれた。
の局在の確認試験 毛包の器官培養において、成長期の毛包断片をインシュ
リン含有培地で培養した場合、約2週間にわたって成長
期の形態が保持されるのに対して、インシュリンを含有
しない基礎培地で培養した場合には、毛包は退行期の毛
包に類似する形態に変化する。
礎培地で成長期の毛包を培養し、わずかに形態変化が見
られた毛包でのTGF-β2の局在を調べれば、退行期にお
いてTGF-β2が働いているかを推定できる。そこで1日
だけ器官培養した後、成長期の形態を保持している毛包
と、わずかに退行期の毛包に類似する形態変化を示した
毛包を、抗TGF-β2により免疫染色した。
ていた毛包では、毛母や毛乳頭にTGF-β2(の免疫染色
性)はほとんど認められなかった。一方、わずかに退行
期の毛包に類似する形態変化を示した毛包では、毛母と
毛乳頭の境界部に強いTGF-β2の免疫染色性が認められ
た。このことから、インビトロ(in vitro)において
もTGF-β2が働いて退行期が誘導されることが明らかと
なった。
果の確認]以上の結果から、ヒト毛周期において、TGF-
β2が働いて退行期が誘導されることが示された。すな
わち、成長期の毛包においてTGF-β2の作用を抑制すれ
ば、退行期への移行を妨げるもしくは遅らせることがで
きると考えれる。つまり、TGF-β2抑制による毛髪成長
期延長効果が期待できる。具体的には、ヒト毛包器官培
養においてTGF-β2の作用を抑制する物質を添加した場
合に、毛伸長が促進される、もしくは退行期様の形態変
化が抑制されるかどうかで毛髪退行期移行抑制効果を検
証した。
持つことが知られている)の毛髪退行期移行抑制効果を
検証した。その方法は、ヒト毛包器官培養法にしたがっ
た。培養2日目に、TGF-β中和作用を有する抗TGF-β抗
体(Genzyme社製)、又はコントロールのマウスIgGを、
基礎培地に最終濃度20μg/ml又は100μg/ml
になるように添加した培地に交換し、さらに4〜7日間
毛包の伸長と形態変化を観察しながら培養を続けた。そ
れによれば、TGF-β中和抗体の添加で毛伸長が促進され
る傾向が見られた。また、表1に示すように、TGF-β中
和抗体の添加で毛球部が保持された毛包の割合が上昇し
た。
響確認試験 シアロ糖タンパク質フェチュイン(分子量48,400)は、
哺乳動物胎児血清や、種々の疾患(特に外傷時)の成体
血中などに存在する物質である。またフェチュインは、
TGF-βのレセプターに類似したアミノ酸配列と二次構造
を持ち、TGF-βのアンタゴニストとして働くことから
(Demetriou M et al: J Biol Chem 271: 12
755-12761, 1996)、フェチュインの毛髪退行期移行抑
制効果を検証した。
M)またはコントロールのウシ血清アルブミン(最終濃
度50μm)を基礎培地に添加した培地に交換し、さら
に7日間毛包の伸長と形態変化を観察しながら培養を続
けた。コントロールのウシ血清アルブミン添加に比べ
て、フェチュイン添加で毛伸長は有意に促進された。こ
れらTGF-β中和抗体とフェチュインの結果から、TGF-β
2作用抑制による毛髪退行期移行抑制効果が実証され
た。
定できることの確認]ペニシリン、ストレプトマイシン
及びファンギゾン(Fungizone)の3種類の抗生物質を
加えたDMEM培地に、10%ウシ胎児血清を添加した
培地を用い、96穴プレート(1ウエル当たりの細胞数
約7,500)でヒト毛乳頭細胞の培養を行った。まず、PAI
-1の発現上昇のTGF-β2濃度依存性を調べた。適当な細
胞密度になったところで、種々の濃度のTGF-β2を含む
培地に交換し、さらに24時間培養を行った。培地10
μlを取り、市販のPAI-1測定キット(TintElize PAI-
1:biopool社)により定量した。その結果では、TGF-β
2の濃度依存的にPAI-1の上昇が見られた。
F-β中和抗体を加えておくと、TGF-β2によるPAI-1の上
昇が完全に抑制された。この結果は、TGF-βとその作用
を打ち消す物質を共存させると、PAI-1の上昇が抑制さ
れる例であり、本評価方法がTGF-βの作用抑制物質のス
クリーニングに適していることを示すものである。
れら実施例により限定されるものではなく、特許請求の
範囲により特定されるものであることはいうまでもない
ことである。
ての確認試験]本発明者は、アマチャエキスの50%エ
タノール抽出液を作成し、その含有成分を分析したとこ
ろ、フィロズルシン、ヒドランゲノール、クロロゲン
酸、ウンベリフェロン等の多くの物質が存在することを
確認した。本発明者は、前記のとおり確認作業を行った
が、それら物質がアマチャエキス中に存在することは図
1に示すように既知の事実である。
イソクマリン類化合物であるフィロズルシンについて、
TGF-β2によるPAI-1の発現上昇を抑制する作用があるか
どうかを以下のとおり調査した。フィロズルシンをDM
SOに0.05〜50μg/mlの濃度で溶解させて用
いた。1ng/mlのTGF-β2を含む培地で24時間培養後、
培地10μlを用いてPAI-1量を測定した。また、培養
終了時にアラマーブルー(Alamar Blue)法により細胞
の生残率を測定した。
しい培地で細胞を2回洗浄した後、1/10量のアラマーブ
ルー(アラマーバイオサイエンス社)を含む培地に交
換、37℃(5%CO2)で4時間インキュベートし
た。インキュベート後、595nm及び570nmの吸光度
をマイクロプレートリーダーで測定して各ウエルのアラ
マーブルー還元率を算出し、これをフィロズルシン試料
不添加のネガティブコントロールのアラマーブルー還元
率で割ることにより、細胞の生残率を算出した。
によれば、フィロズルシンはPAI-1の発現上昇を抑制す
る。すなわち、この図の縦軸はPAI-1の量で、フィロズ
ルシンを添加した場合には18であり、不添加の場合の
100より大幅に低く、優れたPAI-1の上昇抑制効果を
有することが理解できる。
胞毒性を図示しており、それによれば、フィロズルシン
には細胞毒性は殆ど認められなかった。すなわち、図3
において縦軸は、アラマーブルー還元率(%)を示し、
この値が100%に近いほど細胞毒性は低く、フィロズ
ルシンを添加した場合の還元率は、95%で、不添加の
場合の100%に近接した値であるから、細胞毒性が低
いことがわかる。
検証を以下のとおり行った。フィロズルシン(和光純
薬:生薬検定用標準品)をDMSO50mg/mlの濃
度で溶解させた。使用した方法は、ヒト毛包器官培養法
に従った。培養2日目に、基礎培地に最終濃度0.06
μg/mlにフィロズルシン溶液を添加した培地に交換
し、さらに7日間毛包の伸長と形態変化を観察しながら
培養を続けた。
れば培養8日目においてフィロズルシン0.06μg/
mlの添加群で、溶媒コントロールに比べて有意に毛伸
長が促進された。このことから、TGF-βの作用抑制物質
として選択されたフィロズルシンには、毛髪退行期抑制
効果があることは明らかであり、本発明の有効性が確認
できる。
伸長を調査した。結果は図5の写真に示すとおりであ
り、この写真よりフィロズルシンを添加した場合には、
コントロールの場合に比較して毛髪が伸長していること
が明確に確認できる。
一つであることは既知であり、フィロズルシンには、前
記したとおりTGF-β2に対する作用抑制能(拮抗作用)
があるので、肝硬変治療薬あるいは腎炎治療剤としての
性能を有することも明らかである。また、フィロズルシ
ン以外のイソクマリン類化合物もフィロズルシンと同様
にTGF-β2に対する作用抑制能(拮抗作用)を有してお
り、養毛料、毛髪退行期移行抑制剤、肝硬変治療薬ある
いは腎炎治療剤として有効である。
類、中でもヒドロイソクマリン類、特にフィロズルシン
を有効成分として含有する養毛料、毛髪退行期移行抑制
剤、肝硬変治療薬あるいは腎炎治療剤を提供するもので
あり、そのうちの養毛料については、医薬品、医薬部外
品あるいは化粧料の形態として提供することができる。
できるものであれば、特に制限はなく、任意に選択でき
る。例えば、液状、乳状、軟膏、クリーム、ゲル、エア
ゾール、ムース等が例示できる。具体的には、トニッ
ク、ローション、コンディショナー、スカルプトリート
メント、シャンプー、リンス等が挙げられる。
るフィロズルシンを含むイソクマリン類化合物のほか
に、通常医薬品や化粧料に配合可能な成分を、本発明の
効果が損なわれない範囲で配合することができる。例え
ば、薬効成分としては、血行促進作用を有する薬剤とし
て、センブリエキス、ビタミンE及びその誘導体、ニコ
チン酸ベンジルエステル等のニコチン酸エステル類など
が挙げられる。
する薬剤としては、トウガラシチンキ、カンタリスチン
キ、カンフル、ノニル酸ワニリルアミド等が挙げられ
る。毛包賦活作用を有する薬剤としては、ヒノキチオー
ル、プラセンタエキス、感光素、パントテン酸及びその
誘導体等が挙げられる。抗男性ホルモン作用を有する薬
剤としては、エストラジオール、エチニルエストラジオ
ール、エストロン等のホルモン剤などが挙げられる。抗
脂漏作用を有する薬剤としてはイオウ、チオキソロン、
ビタミンB6等が挙げれる。
溶解作用、殺菌作用を有するサリチル酸、レゾルシン等
が挙げられ、頭皮の炎症を防止するためにグリチルリチ
ン酸及びその誘導体、メントール等が、さらには毛包へ
の栄養補給、酵素活性の賦活のためにセリン、メチオニ
ン、アルギニン等のアミノ酸類、ビオチン等のビタミン
類、生薬エキス等が挙げられる。
ト、ヨウテイ、トウガラシ、アロエ、クコ、ヨモギ、イ
ネ、マンケイシ、マンネンロウ、コッサイホ、エニシ
ダ、リンドウ、タンジン、ヘチマ、キキョウ、マツ、ク
ジン、トウキ、ベニバナ、メギ、ビンロウジ、ユーカ
リ、カゴソウ、モクツウ、ゴシツ、サイコ、チャ、カン
ゾウ、ホップ、キク、セネガ、ゴマ、センキュウ、カシ
ュウ、カッコン、マイカイカ、サフラン、ローズマリ
ー、ジオウ、ゼニアオイ等の植物抽出物を配合すること
もできる。
オキシド、塩化カルプロニウム、アセチルコリン誘導体
等の血管拡張剤;セファランチン等の皮膚機能亢進剤;
ヘキサクロロフェン、ベンザルコニウムクロリド、セチ
ルピリジウムクロリド、ウンデシレン酸、トリクロロカ
ルバニド、ビチオノール、フェノール、イソプロピルメ
チルフェノール等の抗菌剤;亜鉛及びその誘導体;乳酸
又はそのアルキルエステル;クエン酸;コハク酸;リン
ゴ酸等の有機酸類、トラネキサム酸等のプロテアーゼ阻
害剤等を配合することもできる。その他、サイクロスポ
リン類、オキセンドロン、ジアゾキシド、ミノキシジル
等の薬剤も配合可能である。
ル等のアルコール類;グリセリン、プロピレングリコー
ル、ポリエチレングリコール等の多価アルコール類;高
級脂肪酸、高級アルコール、炭化水素油、天然油脂、エ
ステル油、シリコーン油等の油分;界面活性剤;香料;
キレート剤;1,3−ブチレングリコール、ヒアルロン酸
及びその誘導体、マルチトール、アテロコラーゲン、乳
酸ナトリウム等の保湿剤;マルメロ粘質物、カルボキシ
ビニルポリマー、キサンタンガム等の増粘剤;高分子化
合物;酸化防止剤;紫外線吸収剤;色素;水;安定化剤
等、通常医薬品や化粧料に配合される成分を配合するこ
とができる。
の有効成分であるイソクマリン類は、医薬品、医薬部外
品、化粧料等における皮膚外用剤に配合することがで
き、特に、ニキビ等の皮膚障害を改善する皮膚障害治療
剤として有用である。その皮膚外用剤の形態は、例え
ば、軟膏、ローション、乳液、クリーム、パック、ジェ
ル、ファンデーション、口紅、フェイスカラー、皮膚洗
浄料、浴用剤等、通常皮膚外用剤として適用される剤形
であれば特に限定されない。また、皮膚外用剤には、カ
ウレン類の他、通常皮膚外用剤に配合可能な成分を問題
の生じない範囲で配合することができる。
組成物は、上記以外の医薬用組成物、化粧用組成物とし
ても使用可能である。医薬組成物としては、経口用、非
経口用剤型のいずれでもよく、その剤型も任意で、例え
ば、液状、シロップ状、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル
剤、座剤あるいは注射剤等の剤型とすることができる。
剤、賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤、着色剤、矯味矯
臭剤、安定化剤、可溶化剤、pH調製剤等、通常使用さ
れる添加剤を用いて、常法により製造すればよい。例え
ば、液状製剤とするには、生理食塩液、エタノール、
1,3−ブチレングリコールなどを希釈剤または担体と
して使用することができる。
化合物の配合濃度については、組成物の形態または使用
目的等に応じて適宜決定されるが、通常組成物中に0.
001〜2重量%配合される。0.001重量%未満で
は、本発明効果を十分に発揮することが難しく、他方2
重量%を超えると製剤上好ましくない。また、その投与
量についても、組成物の形態または使用目的等に応じて
適宜決定されるが、養毛料又は外用剤の場合には、通常
0.001〜100mgを1日1回または数回に分けて
頭皮または皮膚に塗布または散布することが好ましい。
髪成長サイクルにおける成長期から退行期への移行を促
進し、TGF-β2の拮抗作用物質(アンタゴニスト)によ
り退行期への移行を抑制することにより育毛効果が得ら
れることを本発明者が見出したことに基づいて開発した
新規なスクリーニング方法により、フィロズルシンを含
むイソクマリン類に、養毛料、毛髪退行期移行抑制剤、
肝硬変治療薬あるいは腎炎治療薬の有効成分としての特
性を持つことを見出したことにより開発されたものであ
る。
シンを含むイソクマリン類を含有することにより、養毛
料、毛髪退行期移行抑制剤、肝硬変治療薬あるいは腎炎
治療薬として有効に効能を発現することができるもので
ある。また、イソクマリン類は、細胞毒性もほとんどな
く、養毛料あるいは毛髪退行期移行抑制剤等として適正
な性能を発現することができるものである。さらに、そ
の化合物は飲料用として利用されているアマチャ中の成
分でもあり、この点からしても、安心して使用できる有
効成分である。
覧。
に関し、フィロズルシンについて調査した結果を示す。
ブルー還元率を測定した結果を示す。
効果に関する試験結果を示す。
の毛髪の伸長調査結果を示す写真。
Claims (4)
- 【請求項1】 イソクマリン類、特にフィロズルシンを
有効成分として含有する養毛料。 - 【請求項2】 イソクマリン類、特にフィロズルシンを
有効成分として含有する毛髪退行期移行抑制剤。 - 【請求項3】 イソクマリン類、特にフィロズルシンを
有効成分として含有する肝硬変治療薬。 - 【請求項4】 イソクマリン類、特にフィロズルシンを
有効成分として含有する腎炎治療薬
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