JP2002104187A - 車輪押上装置 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【課題】 大掛かりな設備を使用することなく簡単に車
輪をレール面から浮揚させ、作業時間の短縮と作業工数
の削減を可能とする。 【解決手段】 レール軸方向のレ−ル面上に設置し、相
対する二個の車輪受の一方２を固定し他方３をレール軸
方向に油圧ジャッキ６により水平移動することにより車
輪を垂直方向に押し上げる。即ち車輪受が車輪踏面に沿
って移動する際車輪踏面と車輪受の接点とレ−ル面上と
の距離が一定となる結果、車輪踏面と車輪受とで形成さ
れる仮想斜面を車輪が上昇することにより相対的に車輪
が垂直方向に押し上げられる。さらに、押し上げた車輪
を回転させることにより全周にわたって検査・修繕に適
切な位置を確保する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【発明の属する技術分野】本発明は、車輌の在姿状態で
車輪を押し上げるための押上装置に関する。

【０００２】

【従来の技術】従来、鉄道車両の走行装置関係の検査・
修繕作業は構造上狭隘で作業スペースを確保しづらいた
め車体と走行装置とが結合した状態（以下在姿状態とい
う）での実施は困難であった。

【０００３】そのため重要部品である車輪の検査・修繕
ではリフテイングジャッキ４台により車体を持ち上げ、
車体と走行装置とを結合する配線・配管を分離し走行装
置を引き出し検査・修繕場所まで移動する作業が発生
し、大掛かりな設備と多大な労力が要求されていた。

【０００４】また、車両と車両とが電気的に連結される
電車の場合、電線・配管の分離作業と連結作業が発生し
車輪の検査・修繕のためにさらなる労力を要求されてい
た。さらに、分離・連結作業時の作業と連結作業終了後
の各種機能試験の存在は検査・修繕の作業品質に影響を
与え、信頼性の低下が懸念されていた。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】上記したように、重要
部品である車輪の検査・修繕では付帯作業に要する大掛
りな設備と多大な労力を要求されたが、これらを合理化
するための車輪押上装置の提供を目的としている。

【０００６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
に、請求項１記載の発明は、レール軸方向のレ−ル面上
に設置した相対する二個の車輪受の一方を固定し他方を
レール軸方向に水平移動することにより車輪を垂直方向
に押し上げることを特徴とするものである。

【０００７】また、請求項２の発明は、車輪受が車輪踏
面に沿って移動する際車輪踏面と車輪受の接点とレ−ル
面上との距離が一定となる結果、車輪踏面と車輪受とで
形成される仮想斜面を車輪が上昇することにより相対的
に車輪が垂直方向に押し上げられることを特徴とするも
のである。

【０００８】さらに、請求項３の発明は、押し上げた車
輪を自由に回転させることにより全周にわたって検査・
修繕に適切な位置を確保することが可能であることを特
徴とし、請求項４の発明は、鉄道車両の検査・修繕の付
帯作業の合理化を提供することを特徴とするものであ
る。

【０００９】

【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面を参照して詳細に説明する。 [第一の実施の形態]図１は、本発明が適用された車輪押
上装置の正面図であり、図２は平面図である。この車輪
押上装置は架台１と、車輪の外周を保持する固定車輪受
２と、車輪を押し上げるための移動車輪受３と、車輪押
し上げ作業中の反力を受けるための連結部材４と、架台
１と連結部材４とを固定する固定ボルト５と、移動車輪
受３を移動させるための推力を付与する油圧ジャッキ６
とから構成される。

【００１０】前記架台１は、レール上に設置される固定
車輪受２と車輪を押し上げるための移動車輪受３とを連
結し、移動車輪受３を移動させるための油圧ジャッキ６
を収容する。

【００１１】さらに架台１は、車輪押し上げ作業に伴っ
てレール軸方向に発生する反力を分担させるために、連
結部材４にて連結され固定ボルト５により固定される。

【００１２】車輪の検査・修繕のために押し上げ作業を
実施する時の取り扱いは以下の様になる。図１に示す様
に、車輪の外方のレール面上に固定車輪受２が車輪踏面
に接する状態で架台１を設置し、車輪裏面から連結部材
４により架台裏面を連結し固定ボルト５により固定す
る。次に油圧ジャッキ６を操作して、固定車輪受２と反
対側の外方のレール面上に位置する移動車輪受３を移動
させる。これにより固定車輪受２と移動車輪受３との相
対距離が減少することにより双方の車輪受と車輪踏面が
構成する仮想斜面上を車輪が上昇し、結果として車輪が
レール面上から浮揚した状態となる。

【００１３】さらに同じ車軸のもう一方の車輪に対して
本装置を使用しレール面上から浮揚させることによりこ
の車軸の両車輪を完全にレール面上から浮揚させること
ができて、固定車輪受２と移動車輪受３とに設置された
ローラにより車輪を自由に回転させて任意の位置で停止
させることが可能になる。

【００１４】検査・修繕が終了し車輪を下降させる時は
油圧ジャッキ６の油圧を徐々に降下させることにより、
車輪に加わる車両の自重で固定車輪受２と移動車輪受３
との相対距離が徐々に増加することにより双方の車輪受
と車輪踏面が構成する仮想斜面上を車輪が下降し、結果
として車輪がレール面上に降下した状態となる。完全に
車輪がレール面上に降下し双方の車輪受けが車輪踏面か
ら分離したことを確認した後、固定ボルト５と連結部材
４を取り外し、架台1をレール面上から撤去して作業は
終了となる。

【００１５】[第二の実施の形態]次に図３および４は、
本発明が適用された車輪押上装置を示す図である。この
車輪押上装置は架台１と、車輪の外周を保持する固定車
輪受２と、車輪を押し上げるための移動車輪受３と、車
輪押し上げ作業中の反力を受けるための連結部材４と、
架台１と連結部材４とを固定する固定ボルト５と、移動
車輪受３を移動させるための推力を付与する減速装置７
とから構成される。

【００１６】図４に示す様に、車輪の検査・修繕のため
に押し上げ作業を実施する時の取り扱いは第１の実施例
と同様であるが、移動車輪受３を移動させるために減速
装置７を操作する点が異なっている。検査・修繕が終了
し車輪を下降させる時は、上昇作業時と反対方向に減速
装置７を操作する。完全に車輪がレール面上に降下し双
方の車輪受けが車輪踏面から分離したことを確認した
後、固定ボルト５と連結部材４を取り外し、架台1をレ
ール面上から撤去して作業は終了となる。

【００１７】なお、本発明は前記実施の形態に限定され
るものではなく、特許請求の範囲に記載された技術思想
を逸脱しない範囲において、様々な実施の形態をとりう
るものであることは当然である。例えば、移動車輪受３
を移動させるための推力を付与する手段として、圧縮空
気にて駆動するアクチュエータを使用することも可能で
あり、移動車輪受３を移動させることにより発生する反
力を分担すべく架台１を強固な構造として連結部材４と
固定ボルト５とを省略することも可能である。

【００１８】

【発明の効果】以上、説明のように本発明によれば、車
輪の検査・修繕作業の際車輪をレール面上から浮揚させ
回転することができるから、車輪を検査・修繕作業に適
した任意の位置に停留させることが可能となる。また、
車体を持ち上げるための大掛かりなリフテイングジヤッ
キ等の設備を使用することなく簡単に車輪をレール面か
ら浮揚させることが可能となり作業場所の制約から解放
される。また、車体を持ち上げることなく在姿状態で車
輪の検査・修繕作業が可能であるから、車体と台車との
電線・配管の分離・連結および車両間の電線・配管の分
離・連結と車両連結後の各種機能試験等の付帯作業を省
略することができるから、作業時間の短縮と作業工数の
削減が可能となる。

【００１９】さらに、上記車体と台車との電線・配管の
分離・連結および車両間の電線・配管の分離・連結と車
両連結後の各種機能試験等の付帯作業を省略することに
より分解・組立作業に伴うミスを発生させる機会を減少
させることにより作業の信頼性の向上にも寄与する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明が適用された車輪押上装置の正面図。

【図２】本発明が適用された車輪押上装置の平面図。

【図３】第２の実施の形態を示す図１に対応する図。

【図４】第２の実施の形態を示す図２に対応する図。

【符号の説明】

１ 架台 ２ 固定車輪受 ３ 移動車輪受 ４ 連結部材 ５ 固定用ボルト ６ 油圧ジャッキ ７ 減速装置

Claims (4)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 相対する二個の車輪受の一方を固定し、
   他方を水平移動することにより車輪を押し上げる車輪押
   上装置
2. 【請求項２】 車輪受の水平移動と同時に車輪の垂直移
   動を行えることを特徴とする請求項１記載の車輪押上装
   置
3. 【請求項３】 二組を使用することにより、車輪受によ
   り車輪を押し上げて車輪を回転させることができること
   を特徴とする請求項１記載の車輪押上装置
4. 【請求項４】 鉄道車輌の車輪を在姿状態で押し上げる
   ことができることを特徴とする請求項１記載の車輪押上
   装置