JP2002097046A - セメント補強用カットコードおよび繊維補強セメント複合体 - Google Patents

セメント補強用カットコードおよび繊維補強セメント複合体

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JP2002097046A
JP2002097046A JP2000288584A JP2000288584A JP2002097046A JP 2002097046 A JP2002097046 A JP 2002097046A JP 2000288584 A JP2000288584 A JP 2000288584A JP 2000288584 A JP2000288584 A JP 2000288584A JP 2002097046 A JP2002097046 A JP 2002097046A
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Minoru Mizoe
実 溝江
Koichiro Shimomo
孝一郎 紫桃
Yasushi Uehigashi
泰 上東
Masaaki Miyamoto
雅章 宮本
Yoshio Uchida
美生 内田
Mutsumi Mizukoshi
睦視 水越
Maki Aoki
真材 青木
Takuya Konishi
拓也 小西
Riyouji Morimoto
良自 森元
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Toyobo Co Ltd
Japan Highway Public Corp
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Sumitomo Osaka Cement Co Ltd
Toyobo Co Ltd
Japan Highway Public Corp
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  • Curing Cements, Concrete, And Artificial Stone (AREA)
  • Knitting Of Fabric (AREA)
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 断面積当たりの強度がスチール繊維と同程度
もしくはそれ以上であり、セメント等のマトリックスと
の混合時の攪拌に対しても凝集することなく、マトリッ
クスとの付着性にも優れ、しかもマトリックスに分散さ
せたときに、繊維補強セメント複合体の破断に対する高
強度化と高靭性化を付与できるセメント補強用カットコ
ード、および上記の様な特性を発揮することのできる繊
維補強セメント複合体を提案する。 【解決手段】 本発明のセメント補強用カットコード
は、高強力繊維を主体とするたて編みコードをカットし
てなるものであり、用いる高強力繊維としては破断強力
が12cN/dtex以上、破断伸度が8%以下、初期
引張抵抗度が200cN/dtex以上であることが好
ましい。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、繊維補強セメント
複合体の破断に対する高強度化と高靭性化を付与できる
セメント補強用カットコード、および上記の様な特性を
発揮することのできる繊維補強セメント複合体に関する
ものである。
【0002】
【従来の技術】セメントを硬化させたセメント硬化物
は、容易に成形でき圧縮強度等が優れているので、建築
や土木の分野における主材料として汎用されている。し
かしながら、セメント複合体であるコンクリート建造物
等においては、一旦亀裂が生じると、破壊に至るまでの
靭性がほとんど無く、衝撃に対する耐久性の面で脆いと
いう欠点がある。
【0003】こうしたことから、セメント複合体の強度
を更に向上させる方法として、スチール製のカットコー
ドを補強材として分散させることによって(繊維補強セ
メント複合体)、亀裂の進行を防止したり、コンクリー
ト建造物自体の曲げ強度を向上させ、より大きな衝撃に
も耐え得ることを目的とした方法が採用されてきた。
【0004】しかしながら、スチール製のカットコード
を補強材として分散させた繊維補強セメント複合体で
は、強度や靭性は確かに向上するものの、大気中の水分
や酸素等によってカットコードに錆が発生してコンクリ
ート建造物の強度が低下したり、更には錆発生による膨
張のためにコンクリートが剥落する等の問題がある。
【0005】上記の様な問題を回避するという観点か
ら、スチール製のカットコードの代わりに、有機系や無
機系の各種繊維を補強材(補強用繊維)として用いるこ
とも検討されている。このうち無機系の補強用繊維とし
ては、炭素繊維が代表的なものとして使用されている
が、炭素繊維は細径であって単繊維では腰がなく、コン
クリートとの混合時の攪拌において繊維が凝集してボー
ル状になり易く、作業性が低下するばかりか、繊維の破
断や折れ曲がりが激しくなって補強繊維として有効に作
用しないことが問題となっていた。
【0006】一方、補強繊維として、特にポリプロピレ
ンやナイロン等の有機系繊維を用いた場合には、任意の
形状の繊維を得ることが出来るという利点があり、また
コードとマトリックスとの付着性を向上させることを指
向して、凹凸の形状を付与したものも提案されている
が、スチール繊維に匹敵するような形状(例えば、0.
5×0.5×30mm)に製造可能な有機繊維では、伸び
能力こそ高いものの、弾性係数や強度が却って低くなっ
てしまい、スチール繊維を用いた場合の補強効果に及ば
ないということが指摘されている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は上記の様な従
来技術における課題を解決するためになされたものであ
って、その目的は、断面積当たりの強度がスチール繊維
と同程度もしくはそれ以上であり、セメント等のマトリ
ックスとの混合時の攪拌に対しても凝集することなく、
マトリックスとの付着性にも優れ、しかもマトリックス
に分散させたときに、繊維補強セメント複合体の破断に
対する高強度化と高靭性化を付与できるセメント補強用
カットコード、および上記の様な特性を発揮することの
できる繊維補強セメント複合体を提案することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成し得た本
発明のセメント補強用カットコードとは、高強力繊維を
主体とするたて編みコードをカットしてなる点に要旨を
有するものである。本発明のセメント補強用カットコー
ドで用いる高強力繊維は、破断強力が12cN/dte
x以上、破断伸度が8%以下、初期引張抵抗度が200
cN/dtex以上のものが好ましい。
【0009】本発明のセメント補強用カットコードにお
ける具体的な形態としては、(1)たて編みコードが1
ウェールの鎖編組織で構成されてなるものや、(2)た
て編みコードが2以上のウェールの鎖編組織でウェール
間を梯子糸で結接されてなるもの、等を挙げることがで
きる。
【0010】また、上記の様な本発明のセメント補強用
カットコードでは、マトリックスに分散させたときに
は、例えばJCI−SF8の付着試験における4本当り
の最大引抜荷重値が450N以上である様な良好な付着
性を発揮することができる。
【0011】一方、上記目的を達成し得た本発明の繊維
補強セメント複合体とは、上記の様な本発明のセメント
補強用カットコードを用い、(a)マトリックスとして
セメントペーストまたはモルタルを使用して複合化した
ものや、(b)マトリックスとしてコンクリートを使用
して複合化したもの、等を挙げることができる。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明は上記の如く構成される
が、要するに、上記の様な物性を有する高強力繊維を主
体として用いて編成(たて編み)することでセメント補
強用カットコードに凹凸を付与し、アンカー効果によっ
てマトリックスとの機械的付着強度を向上させると共
に、高強力繊維を主体とすることで繊維の破断が従来の
繊維と比較して高荷重域まで耐え得ることができ、しか
もマトリックスに分散させたときに、繊維補強セメント
複合体の破断に対する高強度化と高靭性化を付与できた
のである。
【0013】本発明で使用する高強力繊維は、好ましく
は破断強力が12cN/dtex以上、より好ましくは
20cN/dtex以上、更に好ましくは25cN/d
tex以上、破断伸度が8%以下、より好ましくは5%
以下、初期引張抵抗度が200cN/dtex以上、よ
り好ましくは500cN/dtex以上の物性を有する
のが良いが、こうした性能を発揮する高強力繊維として
は、例えば超高分子量ポリエチレン繊維、ポリベンザゾ
ール(PBZ)繊維[特に、ポリパラフェニレンベンゾ
ビスオキサゾール(PBO)繊維]、アラミド繊維など
が挙げられる。この高強力繊維の破断強力が12cN/
dtex未満であると、たとえマトリックスとの付着力
が大きくともコードの切断が生じ、補強材としての効果
が小さくなる。また、破断伸度が8%を超えるような繊
維では、繊維の弾性係数が小さくなる。このような、弾
性係数がマトリックスの弾性係数に比べて小さい繊維で
は、コンクリートにひび割れが発生したときの荷重の落
ち込みが大きくなる。一方、高強力繊維の初期引張抵抗
度とは、JISL1013 8.10に記載の方法で算
出され、糸の伸び難さの指標となるものであるが、引張
抵抗を必要とする観点から200cN/dtex以上で
あることが好ましい。
【0014】本発明のセメント補強用カットコードにお
いては、編成されてなるコードに空隙があることが肝要
である。即ち、上記の様な空隙を有するセメント補強用
カットコードでは、セメント等のマトリックスと混合さ
れたときに、この空隙部にマトリックスが入り込み、マ
トリックスとの強固な付着が可能となるのである。空隙
を付与するコードの作製方法として、トリコット機やラ
ッセル機といったたて編み機を使用し、筬の左右の移動
を無くし、1本のたて編みコードに編み上げる方法が挙
げられる。この様なたて編みコードは、例えば図1に示
す様に1ウェールの鎖編組織1となって凹凸があり、わ
ずかでも空隙を付与することが可能となる。また、図2
に示す様に、たて編みコードが2ウェールの鎖編組織で
ウェール間を梯子糸で結接してなる梯子状コード2にし
て用いることも可能である。尚、図2に示したコードで
は、たて編みコードが2ウェールのものを示したけれど
も、たて編みコードが3ウェール以上の鎖編組織でウェ
ール相互間を梯子糸で結接したものであっても良い。
【0015】本発明では、1種類の高強力繊維を使用し
てコードを編成してセメント補強用カットコードを構成
しても良いし、2種類以上の高強力繊維を組み合わせて
構成することもできる。また、高強力繊維と合わせて、
一部にアミド繊維など汎用繊維と合わせることも可能で
あり、要するに上記の様な物性を有する高強力繊維を主
体として(例えば、80体積%以上)、カットコードを
編成すれば良い。
【0016】尚、本発明で用いる繊維の繊度は、上記の
物性を満足する限り、できるだけ細い銘柄を使う方が好
ましい。これは、細い繊度を用いることによってコード
の重量が軽減され、セメント複合体に混合する場合に、
できるだけ多くの本数を入れることが出来るからであ
る。
【0017】編成加工を行うときに設定する機械の針の
稼動間隔(ピッチ)は、0.5〜20mm程度とするこ
とが好ましく、より好ましくは1〜10mm程度に設定
するのが良い。このピッチが短過ぎると、生産性が悪く
なり、長過ぎると、空隙の形態を保持することが困難と
なる。また、1本のカットコード内には、少なくともピ
ッチが3箇所以上、好ましくは5箇所以上含まれる様に
するのが良い。ピッチの数が少なければ、引抜け時の抵
抗力が小さくなり、高強力繊維の有する強度を十分に発
揮することが出来なくなる。
【0018】編成されたコードには、マトリックスとの
濡れ性を改善するという観点から、その表面に樹脂等を
被覆することも可能である。被覆する樹脂としては、特
に限定されるものではないが、セメントマトリックスと
繊維との両方との接着性に優れた樹脂を選定することが
好ましく、例えばウレタン樹脂、アクリル樹脂およびポ
リビニルアルコール等が挙げられる。また、コードに樹
脂を被覆することは、コードに適度な硬さを付与する効
果も発揮され、セメント等のマトリックスと混合して攪
拌した場合に、コードが折れ曲がったりすることもなく
なり、コードの強力をより有効に活用できる成果が期待
できる。
【0019】編成されたコードのカット長については、
5〜100mm程度が適切である。特にコンクリート補
強用として使用する場合には、20mm以上で且つ粗骨
材(砂利等)の最大寸法の2倍程度までであることが好
ましく、コンクリート中での分散や折れ曲がりを考える
と最大長さは60mm程度以下であることが好ましい。
カット長が短くなり過ぎると、マトリックスとの接着性
が低くなって、繊維の部分的な破断が生じる前に繊維の
引き抜けが生じるようになり、また長くなり過ぎると攪
拌したときに大きな抵抗がかかり、分散性も悪化し、繊
維が折れ曲がってしまうことになる。
【0020】上記の様なセメント補強用カットコードを
用い、マトリックスとしてセメントペーストまたはモル
タルを使用して複合化したり、マトリックスとしてコン
クリートを使用して複合化することによって、本発明の
繊維補強セメント複合体が構成されるが、こうした複合
体を製造する手順は、例えば下記の通りである。
【0021】マトリックスとしてセメントペーストやモ
ルタルを使用する場合には、まず適度な作業性を有する
様なセメントペーストやモルタル(マトリックス)を汎
用的な方法によって調製し、このマトリックスに、編成
されたカットコードを0.1〜5体積%程度混入し、ミ
キサの回転数:10〜40rpm、攪拌時間:0.5〜
10分程度に調整して練混ぜ、その後硬化させる様にす
れば良い。一方、マトリックスとしてコンクリートを使
用する場合には、まず適度な作業性を有する様なコンク
リート(マトリックス)を汎用的な方法によって調製
し、このマトリックスに、編成されたカットコードを
0.1〜3体積%程度混入し、その後上記と同様の練混
ぜ条件で練混ぜ、硬化させる様にすれば良い。尚、いず
れの場合にも、マトリックスの製造時に、単位水量を減
ずることを目的として、必要に応じてセメントに対して
0.5〜3%程度の減水剤を添加することも有効であ
る。
【0022】上記の様にして構成される繊維補強セメン
ト複合体では、セメント補強用カットコードがマトリッ
クス中で破損したり折れ曲がることなく、本来の剛性を
維持しつつ適度に分散する。また、セメント補強用カッ
トコードの空隙にマトリックスが入り込み、マトリック
スとの強固なる付着が可能となり、コード表面の凹凸に
よっても付着力が向上するため、コンクリート等の補強
効果を高めるとともに靱性を高めることができる。従っ
て、コンクリート等の一部に亀裂が生じた後も、補強用
カットコードの高い引張強度を有効に発揮させ、亀裂の
進行を防止することができる。
【0023】以下、本発明を実施例によって更に詳細に
説明するが、下記実施例は本発明を限定する性質のもの
ではなく、前・後記の趣旨に徴して設計変更することは
いずれも本発明の技術的範囲に含まれるものである。
【0024】
【実施例】下記実施例1〜7および比較例1〜5の各種
セメント補強用カットコードを作製した。
【0025】(実施例1)破断強力:27cN/dte
x、破断伸度:4%、初期引張抵抗度:970cN/d
texの超高分子量ポリエチレン繊維(商品名「ダイニ
ーマ1760T」、東洋紡績株式会社製)を用い、鎖編
み状のコード(前記図1)に編成した。このとき、ピッ
チは5mmとし、それを30mmの長さにカットした。
【0026】(実施例2)実施例1と同じ超高分子量ポ
リエチレン繊維を用い、鎖編み状のコード(前記図1)
にピッチは5mmとして編成した。そして、そのコード
をウレタン樹脂にてコートした後に、3cmの長さにカ
ットした。
【0027】(実施例3)破断強力:38cN/dte
x、破断伸度:3%、初期引張抵抗度:1350cN/
dtexのPBO繊維(商品名「ザイロン555」、東
洋紡績株式会社製)を用い、梯子状のコード(前記図
2)にピッチは5mmとして編成した。そのコードをウ
レタン樹脂にてコートした後に、3cmの長さにカット
した。
【0028】(実施例4)破断強力:38cN/dte
x、破断伸度:3%、初期引張抵抗度:1350cN/
dtexのPBO繊維(商品名「ザイロン1110」、
東洋紡績株式会社製)を用い、鎖編み状のコード(前記
図1)にピッチは5mmとして編成した。そのコードを
ウレタン樹脂にてコートした後に、3cmの長さにカッ
トした。
【0029】(実施例5)実施例1と同じ超高分子量ポ
リエチレン繊維を用い、鎖編み状のコード(前記図1)
にピッチは1mmとして編成した。そのコードをウレタ
ン樹脂にてコートした後に、1cmの長さにカットし
た。
【0030】(実施例6)実施例1と同じ超高分子量ポ
リエチレン繊維を用い、鎖編状のコード(前記図1)に
ピッチは10mmとして編成した。そのコードをウレタ
ン樹脂にてコートした後に、10cmの長さにカットし
た。
【0031】(実施例7)実施例1と同じ超高分子量ポ
リエチレン繊維を用い、鎖編み状のコード(前記図1)
にピッチは25mmとして編成した。そのコードをウレ
タン樹脂にてコートした後に、5cmの長さにカットし
た。
【0032】(比較例1)実施例1と同じ超高分子量ポ
リエチレン繊維(ダイニーマ1760T)3本を、撚り
数100t/mとして合撚した。そのコードをウレタン
樹脂にてコートした後に、3cmの長さにカットした。
【0033】(比較例2)実施例4と同じPBO繊維
(ザイロン1110)4本を製紐し、組紐コードを作製
した。そのコードをウレタン樹脂にてコートした後、3
cmの長さにカットした。
【0034】(比較例3)破断強力:8cN/dte
x、破断伸度:20%、初期引張抵抗度:30cN/d
texのナイロン1800T(東洋紡績株式会社製)
を、鎖編み状のコード(前記図1)にピッチは5mmと
して編成した。そのコードをウレタン樹脂にてコートし
た後に、3cmの長さにカットした。
【0035】(比較例4)破断強力:8cN/dte
x、破断伸度:20%、初期引張抵抗度:30cN/d
texのナイロン470T(東洋紡績株式会社製)を、
梯子状のコード(前記図2)にピッチは5mmとして編
成した。そのコードをウレタン樹脂にてコートした後
に、3cmの長さにカットした。
【0036】(比較例5)長さ30mm、断面積0.2
7mm2のスチールコード(ステンレス鋼製)を準備し
た。
【0037】上記各種セメント補強用カットコードにつ
いて、コードの付着試験を行った。この試験の方法につ
いては、日本コンクリート工学協会から発行されている
「繊維補強コンクリートの試験方法に関する基準」(J
CI−SF8)に準じて下記の手順で実施した。
【0038】(付着試験方法)まず、供試体をプリケッ
ト形とし、これは中央部の最小面積部に4本の繊維を配
置した仕切り板を有するものである。仕切り板にカット
コードを設置する場所は、JCI−SF8に規定されて
いる条件に合わし、カットコードの中心が仕切り板に挟
まれるようコードを設置した。次に、モルタルの配合に
ついては、水/セメント比:41質量%、セメント/砂
比(質量比):2.52とし、ナフタリンスルホン酸塩
のホルマリン高縮合物からなる減水剤(商品名「マイテ
イー150」、花王株式会社製)をセメントとの体積比
1%で加えて、20℃気中養生を行い、材齢7日で引張
試験を行い、下記の方法で評価した。
【0039】(評価方法)評価方法については、万能引
張試験機1125型(インストロン社製)を使用し、ス
パン中でのヘッドスピード0.5mm/分の速度で試験
を行った。そして、チャートより最大引抜荷重値を読み
取った。試験回数は1サンプル3回行い、その平均値で
評価した。また、最大引抜け荷重値を示した地点での繊
維のすべり量(移動距離)も記録した。
【0040】また、靭性の評価については、引抜試験の
最大引抜荷重値を示した時点のすべり量(移動距離)か
ら、更に1mm滑らした後の荷重値をチャートより読み
取り、最大引抜荷重値で除した値(靭性比率)を百分率
にて算出した。
【0041】このとき、各カットコードの単位面積当た
りの引抜強度についても測定した。各コードの径につい
ては、ノギスを用いて測定を行った。鎖編みや梯子状の
コードについては、断面がほぼ長方形になるので、長辺
と短辺を測定し、断面積を算出した。また、三つ撚りや
ブレード品については、円とみなし直径を計測し、断面
積を算出した。これらの結果を、下記表1に示す。
【0042】
【表1】
【0043】次に、コードをコンクリートに適用したと
きのコンクリート試験を行なった。このときの、試験条
件は下記の通りである。
【0044】(コンクリート試験条件)補強用コードと
してザイロン1100(前記実施例4)を鎖編み状のコ
ードにピッチを5mmとして編成し、そのコードをウレ
タン樹脂にてコートした後に30mmの長さにカットし
たコードを使用した。このコードを混入して、下記表2
に示す配合により繊維補強コンクリート複合体を作製
し、曲げ試験をJCI−SF4(繊維補強コンクリート
の曲げ強度及び曲げタフネス試験方法)により材齢7日
で行った。尚、比較のため、鋼繊維補強コンクリート
(SFRC)、プレーンコンクリート(繊維無混入コンク
リート)についても同様に試験し、下記の方法で評価し
た。
【0045】(評価方法)評価方法については、万能試
験機UH−A1000kN(島津試験機社製)を使用
し、たわみ速度を毎分スパンの1/1500で載荷を行
った。そして、チャートより荷重−たわみ曲線をスパン
中央たわみが5mmになるまで記録した。
【0046】また靭性の評価については、スパン中央た
わみが2mmまで、および5mmまでの換算曲げ強度を
求めた。試験回数は1サンプル3回行い、その平均値で
評価した。
【0047】試験に用いたコンクリートの配合割合を下
記表2に、試験結果を下記表3に示す。尚、下記表2に
おいて、W/Cは水/セメント比(質量%)、s/aは
砂/(砂+砂利)比(体積%)、Vfはカットコードの
配合比(体積%)を示し、減水剤(前記「マイテイー1
50」)の配合比はセメントに対する割合[セメントの
質量×(%)]を示している。
【0048】
【表2】
【0049】
【表3】
【0050】これらの結果から明らかな様に、本発明で
規定する要件を満足するカットコードでは、コンクリー
トとの接着性に優れ、高い引張抵抗性と高い靭性を発揮
することが分かる。
【0051】
【発明の効果】本発明は以上の様に構成されており、断
面積当たりの強度がスチール繊維と同程度もしくはそれ
以上であり、セメント等のマトリックスとの混合時の攪
拌に対しても凝集することなく、マトリックスとの付着
性にも優れ、しかもマトリックスに分散させたときに、
繊維補強セメント複合体の破断に対する高強度化と高靭
性化を付与できるセメント補強用カットコードが実現で
きた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセメント補強用カットコード(たて編
みコード)の一形態を示す概略説明図である。
【図2】本発明のセメント補強用カットコード(たて編
みコード)の他の形態を示す概略説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 溝江 実 東京都千代田区霞ヶ関3−3−2 日本道 路公団内 (72)発明者 紫桃 孝一郎 東京都町田市忠生1−4−1 日本道路公 団 試験研究所内 (72)発明者 上東 泰 東京都町田市忠生1−4−1 日本道路公 団 試験研究所内 (72)発明者 宮本 雅章 東京都町田市忠生1−4−1 日本道路公 団 試験研究所内 (72)発明者 内田 美生 大阪市大正区南恩加島7丁目1番55号 住 友大阪セメント株式会社セメントコンクリ ート研究所内 (72)発明者 水越 睦視 大阪市大正区南恩加島7丁目1番55号 住 友大阪セメント株式会社セメントコンクリ ート研究所内 (72)発明者 青木 真材 大阪市大正区南恩加島7丁目1番55号 住 友大阪セメント株式会社セメントコンクリ ート研究所内 (72)発明者 小西 拓也 滋賀県大津市堅田二丁目1番1号 東洋紡 績株式会社総合研究所内 (72)発明者 森元 良自 大阪市北区堂島浜二丁目2番8号 東洋紡 績株式会社本社内 Fターム(参考) 4G012 PA24 PB24 PC12 PE05 4L002 AA05 AC00 CA03 DA03 EA00 FA06 4L033 AA05 AA06 AA08 AB06 AC11 CA50

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 高強力繊維を主体とするたて編みコード
    をカットしてなることを特徴とするセメント補強用カッ
    トコード。
  2. 【請求項2】 前記高強力繊維は、破断強力が12cN
    /dtex以上、破断伸度が8%以下、初期引張抵抗度
    が200cN/dtex以上のものである請求項1に記
    載のセメント補強用カットコード。
  3. 【請求項3】 たて編みコードが1ウェールの鎖編組織
    で構成されてなる請求項1または2に記載のセメント補
    強用カットコード。
  4. 【請求項4】 たて編みコードが2以上のウェールの鎖
    編組織でウェール間を梯子糸で結接されてなる請求項1
    または2に記載のセメント補強用カットコード。
  5. 【請求項5】 JCI−SF8の付着試験における4本
    当りの最大引抜荷重値が450N以上である請求項1〜
    4のいずれかに記載のセメント補強用カットコード。
  6. 【請求項6】 請求項1〜5のいずれかに記載のセメン
    ト補強用カットコードを用い、マトリックスとしてセメ
    ントペーストまたはモルタルを使用して複合化したもの
    であることを特徴とする繊維補強セメント複合体。
  7. 【請求項7】 請求項1〜5のいずれかに記載のセメン
    ト補強用カットコードを用い、マトリックスとしてコン
    クリートを使用して複合化したものであることを特徴と
    する繊維補強セメント複合体。
JP2000288584A 2000-09-22 2000-09-22 セメント補強用カットコードおよび繊維補強セメント複合体 Withdrawn JP2002097046A (ja)

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2005009015A1 (en) * 2003-07-19 2005-01-27 Aeontel Co Ltd Method , system and terminal for providing customized information during call setup process in telecommunication systems.

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