JP2002095465A - トレハロース高含有酵母及びその製造法 - Google Patents

トレハロース高含有酵母及びその製造法

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JP2002095465A
JP2002095465A JP2000286402A JP2000286402A JP2002095465A JP 2002095465 A JP2002095465 A JP 2002095465A JP 2000286402 A JP2000286402 A JP 2000286402A JP 2000286402 A JP2000286402 A JP 2000286402A JP 2002095465 A JP2002095465 A JP 2002095465A
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trehalose
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Hiroyasu Kawai
弘康 河合
Kukio Yokoikawa
久己男 横井川
Yuka Isobe
由香 磯部
Reiko Hirasawa
玲子 平澤
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Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
Original Assignee
Kanegafuchi Chemical Industry Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 冷凍耐性のある酵母や乾燥耐性のある酵母を
製造するため、現状では酵母菌株の変異や交雑、さらに
は非常に特殊な培養条件などによって酵母中のトレハロ
ース含量を高める工夫がなされているが、育種には膨大
な時間と労力が必要であり、特殊な培養条件でも高額な
設備を要するなどの課題がある。 【解決手段】 酵母をトレハロース溶液に接触させるだ
けで、育種や特殊な培養条件を必要としない一般の酵母
中のトレハロース含量を高めることが可能である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、トレハロースの含
量を高めた酵母及びその製造法に関するものであり、主
にパンを製造する際に用いられるパン酵母及びその製造
法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、焼きたてパンなどの普及に寄与し
ている製パン法として冷凍生地製パン法がある。これ
は、生地を作成した後に直ちに凍結させ、冷凍保管して
おいて、必要なときに必要なだけ解凍して発酵、焼成す
る製法であり、便利で合理的な方法として急速に普及し
つつある。しかし、この方法にも課題はあり、最も大き
な課題がパン酵母の冷凍耐性の問題である。すなわち、
従来の一般的なパン酵母では、凍結前の若干の発酵によ
って冷凍耐性が低下し、解凍焼成後に満足するガス発生
が期待できないという問題であり、この課題のために大
きく分けて2種類の検討がなされている。
【0003】第1の手段は冷凍耐性のある菌株を選び、
または育種して造成する方法であり、第2の手段は冷凍
耐性のない菌株を用い、培養条件などのパン酵母製造法
で冷凍耐性を高めるという方法である。
【0004】第1の菌株選択または育種の方法に関して
は、例えば特開昭58−158179号、特開昭58−
201978号、特開昭59−203442号、特開昭
60−221079号など例挙にいとまがない。近年で
はトレハロースに注目が集まり、トレハロース含量の高
いパン酵母の方が冷凍耐性が高いという通説に基づき、
トレハロース分解酵素遺伝子を破壊してトレハロース含
量を高める(特開平10−117771号、特開平11
−169180号)という、遺伝子組み換え技術の応用
まで例示できる。しかし、菌株を天然から分離したり、
交雑や変異、さらには遺伝子組み換えなどの育種には膨
大な時間と労力を要すという重大な課題がある。
【0005】なお、トレハロースについては高含有化に
より冷凍耐性が高まるが、同時にドライイーストのよう
に乾燥耐性を要する場合でも、高含有化により酵母の乾
燥耐性が高まるということも期待もできるため、トレハ
ロースの高含有化はパン酵母の機能向上の視点からは、
好ましい方向であるということができる。
【0006】第2の製造方法に関しては、好気培養でト
レハロース含量が高まる(「パン酵母」佐藤、光琳全
書、1966)という知見から、好気培養が冷凍耐性に
も好ましい傾向があるという類推はできるが、培養最終
のトレハロース含量は8.5%であったという例があ
る。但し、この程度のトレハロース含量ではあまり冷凍
耐性の向上は期待できない。近年では特殊な培養方法で
トレハロース含量を15%までに高め、冷凍耐性を向上
させるという知見(特開平11−155559)がある
が、これはトレハロース蓄積培養(「糖蜜の流入を断続
的に行う流加培養を実施し、この流入時間の間隔を調
節、また投入窒素源を通常酵母の培養よりも低く設定す
る」)という通常のパン酵母培養条件と異なる複雑な培
養条件で初めてトレハロース含量が15%になるという
ことを意味しており、培養条件の複雑化という大きな課
題がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、これらパン
酵母の冷凍耐性及び/または乾燥耐性を高めるため、第
1には通常の冷凍耐性のない菌株で、つまり菌株の分離
や育種という作業を必要とせず、第2には特殊で複雑な
培養条件によらずに、容易にトレハロース含量を16%
以上に高める事を課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明者らは上記の課題
を解決するため鋭意研究を重ねた結果、一般の冷凍耐性
のないパン酵母製品を、トレハロース溶液に浸漬すると
いう単純な作業でパン酵母中のトレハロース含量が16
%以上になるという新たな知見を得て本発明を完成させ
た。すなわち、本発明の第1はトレハロース含量が16
%以上である酵母であり、また、本発明の第2は酵母を
トレハロース溶液に接触させることで前記酵母のトレハ
ロース含量を16%以上とするトレハロース高含有酵母
の製造法である。なお、本発明で「トレハロース含量」
とは、乾燥酵母(乾物)におけるトレハロースの含量を
いう。
【0009】ところで、一般に酵母中の成分を高める方
法としては、例えば特開平8−332082号に例示さ
れているように、亜鉛を高含有化させるために亜鉛溶液
中で酵母を懸濁状態で撹拌および/または浸とう処理す
るなどの例があり、本発明と類似しているようにみえる
が、トレハロースという糖類に関しては全く容易に類推
できないものであることをここで述べておく。すなわ
ち、従来のトレハロース含量を高める方法は、上述のト
レハロース蓄積培養の文献にも培養後期流加量制限培養
が例示されているように、糖類を培養の後期にはできる
だけ与えず、いわゆる熟成をする方法が効果があるとい
う考え方が一般的であり、つまり糖類をパン酵母製品に
接触させることはトレハロース含量を下げる方向である
と考えられているわけで、本発明の手段は従来の概念の
全く逆の発想で完成できたものである。
【0010】
【発明の実施の形態】本発明で使用する酵母菌株はどん
な酵母菌株でもよく、培養方法も問わない。酵母菌株は
サッカロミセス・セレビシエが一般的であるが、サッカ
ロミセス・ウバラムやサッカロミセス・エクシギュー
ス、さらにはトルラスポラ属の酵母など、天然食品とし
て使用されている酵母菌株を用いることが可能である。
酵母の培養方法についても、糖蜜を主原料として、窒素
源やリン源を副原料とし、いわゆるフェド・バッチとい
われる流加培養が一般的に行われているが、糖を培養ス
タート時に一括添加するバッチ培養や長時間の連続方式
の培養などによることも可能である。
【0011】このようにして製造された酵母を、トレハ
ロース溶液と接触させることで本発明は容易に実施でき
る。酵母をトレハロース溶液に接触させる方法の例とし
ては、トレハロースの水溶液に酵母を懸濁して酵母をト
レハロース水溶液に浸漬した状態で所定時間放置する方
法があげられる。この場合のトレハロースの濃度は0.
5M以上の濃度が好ましい。0.5Mより低い濃度の場
合は酵母へのトレハロースの取り込み速度が低くて効率
が低くなる。0.5M以上であればよいが、コストとの
兼ね合いを考慮すれば0.5Mから1Mの範囲が好まし
い。トレハロース水溶液へ酵母を懸濁する際の濃度も、
酵母が均一に懸濁できる濃度であればよいが、対液1%
から50%程度の濃度であれば容易に懸濁することが可
能である。酵母の懸濁液はそのまま放置すれば良く、放
置の温度も問わない。一般的には0℃から35℃の温度
が考えられるが、低温であれば放置時間が長くかかり、
高温であれば放置時間が短くてすむ。
【0012】放置後は、例えば遠心分離して酵母を集菌
し、さらに水洗した後に濾過をしてケーキ状のパン酵母
にすることが可能であり、遠心分離を行わずに懸濁した
状態のままのクリームイーストとして用いてもよいし、
遠心分離して水洗後、水に再懸濁して用いてもよい。ケ
ーキ状のパン酵母をさらに乾燥機を用いてドライイース
トにすることも可能であり、この時は酵母の水分を自由
にコントロールできる。
【0013】
【実施例】次に実施例をあげるが、本発明はこの実施例
によりなんら制限されるものではない。
【0014】(実施例1)パン酵母として汎用イースト
である市販のカネカイーストレッド(商品名、鐘淵化学
工業株式会社)を用いた。1.0M濃度のトレハロース
水溶液を120℃15分間オートクレーブ処理し、冷却
後50ml遠心チューブに20mlずつ分注した。それ
ぞれのチューブに上記酵母を4g入れ、均一に懸濁した
のち、4、10、20℃で0〜7日浸漬した。浸漬後、
遠心分離(3000rpm、5分)を行い酵母を集菌し
たのち、0.5M塩化カリウム溶液に懸濁し、菌体の外
部に付着したトレハロースを洗浄、除去した。この洗浄
操作を2回繰り返し、得られた菌体を吸水板上に広げて
過剰の水分を取り除いて湿菌体(水分含量約70%)を
調製した。
【0015】酵母菌体中のトレハロース含量は以下の方
法で測定した。シャーレ(直径9cm)に細かく砕いた
湿菌体を広げて、五酸化二リン(P2O5)デシケータ
ーに入れ、真空ポンプで約1時間吸引し、一夜放置して
乾燥菌体を調製した。乾燥菌体0.2gをチューブに入
れ、0.5Mトリクロロ酢酸(TCA)4mlに懸濁
し、30℃で1時間振とう(100rpm)した。この
菌体懸濁液をスピッツグラスに取り、遠心分離(300
0rpm、10分)し、上清液中のトレハロースをアン
スロン法により定量した。すなわち、試料溶液1mlを
試験管に取り、氷冷してこれに、氷冷したアンスロン試
薬(アンスロン0.2gを水:濃硫酸=2:5の混合液
100mlに溶解したもの)5mlを少しずつ加え、タ
ッチミキサーでよく混和した後、100℃の温浴中で3
分間加熱した。加熱後直ちに流水中で5分間冷却し、室
温で発色させてから1時間以内に、分光光度計を用いて
620nmにおける吸光度を測定した。あらかじめ、純
品のトレハロースを用いて同様の操作を行い、検量線を
作成し、トレハロースの濃度を算出した。
【0016】(比較例1)実施例1で用いたトレハロー
ス溶液の代わりに、0.85%生理食塩水を用いて、そ
の他の条件は実施例1と同様に行った。実施例1と比較
例1の結果を表1に示す。
【0017】
【表1】
【0018】この結果から明らかなように、トレハロー
ス溶液に1日浸漬するだけでパン酵母のトレハロース含
量が16%以上になり、冷凍耐性や乾燥耐性などの向上
が期待できる。
【0019】
【発明の効果】本発明により、酵母菌株の育種や特殊な
培養条件など複雑な方法によらずに、きわめて容易にト
レハロース高含有酵母の製造が可能になった。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 トレハロース含量が16%以上である酵
    母。
  2. 【請求項2】 パン酵母である請求項1記載の酵母。
  3. 【請求項3】 酵母をトレハロース溶液に接触させるこ
    とで前記酵母のトレハロース含量を16%以上とするト
    レハロース高含有酵母の製造法。
  4. 【請求項4】 トレハロース水溶液に酵母を懸濁し、酵
    母をトレハロース水溶液に浸漬した状態で所定時間放置
    することでトレハロース溶液に接触させる請求項3記載
    のトレハロース高含有酵母の製造法。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US7052724B2 (en) 2001-02-02 2006-05-30 Suntory Limited Method of producing active dry yeast
JP2021078358A (ja) * 2019-11-14 2021-05-27 秋田県 酵母及びこれを用いた食品
US20220228181A1 (en) * 2019-05-29 2022-07-21 Ohly Gmbh Trehalose-rich yeast extract

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