JP2002088440A - 一様伸びの大きい高張力鋼材 - Google Patents

一様伸びの大きい高張力鋼材

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JP2002088440A JP2000281763A JP2000281763A JP2002088440A JP 2002088440 A JP2002088440 A JP 2002088440A JP 2000281763 A JP2000281763 A JP 2000281763A JP 2000281763 A JP2000281763 A JP 2000281763A JP 2002088440 A JP2002088440 A JP 2002088440A
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秀治 岡口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 靭性,アレスト性,溶接性に優れ、かつ10
%を超える大きい一様伸びを有した、量産性の良好な高
強度鋼材を提供する。 【解決手段】 高張力鋼材を、C:0.06〜0.19%,Si:
0.15〜0.60%,Mn:0.60〜1.80%,Cr:0.05〜1.20%,
Mo:0.05〜1.00%を含み、更に適量のNb,V,Tiの1種
以上も含有した化学組成とし、かつ粒子径100nm 以下の
Nb,Ti,V炭窒化物を0.01〜 0.8体積%含み、旧γ粒が
粒度番号7以上又は板厚方向厚み平均10μm以下の条
件を満たし、更に好ましくはセメンタイトの平均アスペ
クト比が2〜8を満たして成る、マルテンサイト組織鋼
材又はマルテンサイトとベイナイトの混合組織鋼材とす
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、一様伸びが大き
い高張力鋼材に関するものであって、経済的見地からも
十分に満足できる量産性を備え、かつ靭性やアレスト性
(脆性亀裂伝播停止性能)に優れた一様伸びの大きい例
えば引張強さ780N/mm2以上の高張力厚鋼板等を提供
し、高圧が加わるペンストック(水力発電所の水圧管)
や圧力容器等の性能向上,コスト低減に資するためのも
のである。
【0002】
【従来技術とその課題】近年、高圧が加わるペンストッ
ク(水力発電所の水圧管)や圧力容器などの大型化に伴
って省資材,運搬・施工コスト削減の観点から鋼材には
一層の高強度化が求められており、例えばHT950と
いった高強度厚鋼板がペンストック分野に適用された例
もある。しかし、このような耐圧高張力鋼材の特性に関
する研究が進む中で、高張力鋼材の「加工硬化余裕」と
いう問題に注目が寄せられるようにもなってきた。
【0003】なぜなら、例えば高強度化のためにマルテ
ンサイト主体の組織とされた鋼材では、フェライト主体
の組織に比べて“一様伸び”に代表される「加工硬化
能」が低い。そのため、仮に構造物が降伏する応力域に
まで負荷荷重が上昇するようなことがあると、同じ板厚
が連続している部位等において“局部くびれ”の発生が
早期に起きがちとなり、この現象も構造物の全体破壊に
対する信頼性を損なう要因であるとして問題視される場
合があったためである。
【0004】マルテンサイト組織は、その変態の形態か
らして初期転位密度が非常に高く、そのためポリゴナル
フェライト組織よりも加工硬化能が低くなるのは避けら
れないと考えられる。ただ、マルテンサイトの研究は従
来より数多く実施されてきたものの、「マルテンサイト
組織を前提とした鋼材において加工硬化能(一様伸び)
を向上させること」を主眼においた研究報告は非常に少
ない。
【0005】このような状況ではあるが、特開平5−1
12824号公報を見ると、“マルテンサイト組織を主
体とした一様伸びの大きい780N/mm2級低降伏比鋼
板”の製造方法に係る発明が開示されている。この方法
の特徴は、2相域からの焼入れや2相域からの焼ならし
を行い、この際の相変態を利用してマルテンサイト主体
の組織中における軟質のフェライト組織の分率を上げ、
降伏比(YR)の低い鋼板を実現しようとした点にあ
る。つまり、この方法により得られる鋼板は組織を不均
質に制御して降伏現象を早期に発生させるようにしたも
のであって、これにより低降伏化を図ったものである。
しかしながら、上記発明に係る鋼板は、高圧が加わる溶
接構造物に必要な降伏強度,引張強さ,溶接性等をバラ
ンスさせるためには極めて高コストの成分設計が必要で
あり、実用的な大量生産品として適当であるとは言い難
かった。
【0006】また、特開平7−207334号公報や特
開平7−207335号公報には、Cu含有鋼にCR−T
(制御圧延−焼戻し)法あるいはRQT(圧延−調質処
理)法を適用して組織を微細フェライト−マルテンサイ
ト化し、これにより一様伸びの大きい高張力鋼板を得る
方法が開示されている。て鋼板の加工硬化能を向上させ
一様伸びが大きくなるように図ったものである。しか
し、上記方法によって得られる鋼板は、結晶粒内にCuが
析出するが故に母材の靭性やアレスト性が著しく損なわ
れることとなり、圧力容器やペンストック等といった高
靭性が要求される用途に適しているとは言い難い。
【0007】一方、特開平7−233414号公報に
は、特定組成の鋼にオ−ステナイトの再結晶域と未再結
晶域での圧延を施してから特定条件の2段冷却を行い、
微細セメンタイトの析出を回避しつつベイナイト主体の
組織とすることによって、一様伸びの大きい低降伏比高
強度鋼板を得る方法が開示されている。しかし、この方
法は工程条件が極めて煩雑であり、従って大量生産に適
した手段であるとは言えなかった。
【0008】更に、特開平7−278732号公報,特
開平9−3594号公報,特開平9−165644号公
報あるいは特開平10−17981号公報には、フェラ
イトとマルテンサイト又はベイナイトの混合組織を有し
た一様伸びの大きい高張力鋼板に係る発明が提案されて
いる。これらの鋼板は、鋼片を熱間圧延した後の冷却過
程でγ粒界から先行して生成する粒界フェライトと残部
のマルテンサイトあるいはベイナイトの混合組織を利用
し、このうちの先行して降伏する粒界フェライトの部分
によって低降伏比化を実現しようとしたものである。し
かしながら、これらの発明に係る高張力鋼板も母材のア
レスト性や靭性という観点からは今一つ満足できるもの
ではなく、益々厳しさを増している圧力容器やペンスト
ック等の将来に向けての要求性能に十分応え得るもので
はないと考えられた。
【0009】上述のように、これまでに提案されていた
高強度鋼材の一様伸びを確保するための方策は a) フェライトを組織内に含む2相組織鋼とする, b) Cu析出物を組織内に分散析出させることによって加
工硬化能を向上させる, という2通りに大別されるが、これらの対策が講じられ
た従来鋼材でも次の問題が指摘された。
【0010】1) 圧力容器やペンストック等の設計上必
要な降伏強度,引張強さ,溶接性等を兼備させるために
は極めて高コストの成分設計が必要であり、現実的な大
量生産品として適しているとは言い難い。 2) 母材の靭性やアレスト性を著しく損ねる結果とな
り、圧力容器やペンストック等といった高靭性が要求さ
れる用途に適しているとは言い難い。 3) 製造手段が煩雑であり、この点からも大量生産品に
見合ったものであるとは言い難い。
【0011】このようなことから、本発明が目的とする
のは、ペンストックや圧力容器等の材料に求められる優
れた靭性,アレスト性,溶接性を備えることは勿論、1
0%を超える大きい一様伸びを有し、しかも容易かつ安
価に量産することができる低コストの高強度鋼材を提供
することである。なお、「一様伸び10%」という歪み
量は、厚鋼板を用いて大構造物を製作する際に行われる
曲げ加工時の外面の歪み量の最大値とほぼ等しいもので
ある。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明者等は、上記目的
を達成すべく、特に前記1)〜3)項で示した問題等が指摘
される“フェライトを含む混合組織”を利用しないで高
強度鋼材に高い一様伸びを確保し得る手段を求めて鋭意
研究を行った。
【0013】ところで、「高張力鋼材を製造するに当っ
て低温靭性と強度を両立するためには、 ベイナイトとマ
ルテンサイトの混合組織を選択するのが最も適してい
る」という研究報告がある{例えば「鋼の強靱性」(197
1), P.85〜100 }。また、最近では、過去の経験を踏ま
えたところの「低温靭性が要求される工業的780N/m
m2級鋼では殆ど下部ベイナイトとマルテンサイトの混合
組織を指向することにより化学成分,製造工程条件の設
計がなされている」という現実もある。そこで、本発明
者等は、前述した問題が指摘される“フェライトを含む
混合組織”とは異なる“マルテンサイト組織”あるいは
“マルテンサイトとベイナイトの混合組織”の鋼材を前
提とし、その“一様伸び”を大きく維持する手段につい
て検討した。
【0014】さて、“一様伸び”を確保するためには鋼
の降伏後の加工硬化能を高く維持することが要求され
る。なお、図1に示すように、丸棒試験片等の引張試験
片について“最高荷重負荷時の全歪み”から“弾性変形
分”を差し引いた永久歪みを「一様伸び」と呼称する
が、「最高荷重を記録する歪み値が大きければそのまま
一様伸びも大きい」という結果になる。ここで、「最高
荷重を記録する」という意味は、その時点を境に材料が
局部くびれを発生させるということと同義である。
【0015】金属材料の塑性変形では、転位のタングル
(もつれ)等により、歪みを増やせば増やすほど“真応
力”は上昇していく。例えば丸棒試験片を引張変形して
行くと、加工硬化の進行程度が大きい領域では、平滑な
試験片から最初に変形(断面積減少)が進んだ箇所はそ
れだけ加工硬化が進行しているために“くびれ現象”を
発生するほどに更なる変形が急激に進行することはな
く、変形は未変形部において進行することとなる。そし
て、このような現象の繰り返しでもって、試験片には
“局部くびれ”が発生することなく平行部の平行が保た
れたまま単調に(一様に)変形が進行する。しかし、加
工硬化の進行が滞ってくると、試験片の最初に変形(断
面積減少)が進んだ箇所ではその断面積減少分だけ真応
力が高くなるもののそれに見合った加工硬化が起きず、
そのため当該箇所の変形は“局部くびれ”に発展して行
く。従って、鋼材の一様伸びを大きくするためには材料
の加工硬化能(硬くなり続ける性能)を向上させること
が必要となる訳である。
【0016】本発明者等は、加工硬化挙動の担い手とし
て鋼材の転位(金属結晶内の格子欠陥)に着目し、この
転位の動きを制御することによって加工硬化能を向上さ
せ、一様伸びを改善できるのではないかと考えた。即
ち、大きな応力が加わると鋼材の変形は弾性変形から塑
性変形へと移行して行くが、塑性変形に移行した時点で
“転位”は固着元素等から解き放たれ、パイエルス応力
にて変形を進行し始める。そして、更に変形が進行する
と転位は増殖を始め、それらの移動が種々の障害物によ
り阻まれる機会が増大するので抵抗が高まって行き、加
工硬化として現れる。そのため、転位の移動を妨げる手
立てを講じることによって加工硬化能が向上し、一様伸
びを大きくすることができると考えた。
【0017】そして、鋼材における転位の運動に対し抵
抗となって加工硬化能を向上させるものとして、特に
“結晶粒界”と“析出物”が有効であることを確認し
た。ここで、“結晶粒界”は方位差の大きい結晶格子が
衝突している箇所であり、転位の運動に対しては大きな
抵抗となるので、一つの結晶内を運動した転位が粒界を
乗り越えるためには多大なエネルギ−を必要とすること
になる。なお、マルテンサイト組織やベイナイト組織の
鋼材ではその旧γ粒界が同等の作用を発揮する。また、
“析出物”とはマトリックス内に存在する異物であり、
やはり転位の運動に対して大きな障害となる。
【0018】なお、マルテンサイト組織やベイナイト組
織の鋼材では、パケット境界,ブロック境界,ラス境界
等にも同じような作用があると考えられたが、様々な結
晶単位のサイズと加工硬化能との関係を調査したとこ
ろ、方位差の小さいラス境界やブロック境界などは転位
の運動に対して抵抗力として働く力が少ないことが分か
った。また、パケット境界も、ラス境界やブロック境界
に比べれば転位の運動阻止効果は大きいと言えるもの
の、その効果は十分とは言えなかった。更に、従来から
置換型の“固溶元素”も結晶格子を歪ませるので転位の
運動に対して抵抗となるものと考えられていたが、実際
には抵抗力の度合いが小さく、また合金元素は焼入れ性
や溶接性の制約でほぼ一意的に決定されてしまう場合が
多いため、現実的には制御すべきパラメ−タではないと
結論された。
【0019】そこで、本発明者等は、前記“結晶粒界”
と“析出物”の作用を最大限に発揮させることができれ
ば一様伸びの大きい鋼材を得ることができると考えて更
に研究を重ねた。その結果、次の知見を得ることができ
た。
【0020】即ち、上述したように、マルテンサイト組
織やベイナイト組織の鋼材では旧γ粒界が転位の運動に
対して抵抗力として働くので加工硬化能の向上に有効で
あるが、旧γ粒界を一様伸びの向上に結び付けるために
は旧γ粒界の頻度(密度)を特定値以上に調整する必要
があり、これによって転位の加工硬化限界に対する余裕
度を向上させることができる。また、旧γ粒界の頻度
(密度)を制御するためのパラメ−タは、調質鋼材の場
合は旧γ粒(球形状の旧γ粒)の粒度であり、圧延工程
での直接焼入鋼材などの旧γ粒展伸鋼材(展伸形状の旧
γ粒鋼材)に関しては板厚方向の旧γ粒厚みであること
も明らかとなった。
【0021】なお、球形状の旧γ粒鋼材については、そ
の旧γ粒径が細かければ細かいほど一様伸びが良好とな
るが、目標とした10%以上という一様伸びを確保する
ためには結晶粒度にして7以上とすれば良いことも分か
った。また、展伸形状の旧γ粒鋼材については、粒度と
いう観点では評価が不可能であるが、測定される展伸し
た旧γ粒の板厚方向の厚みの平均値が旧γ粒径のサイズ
と良く相応しており、この旧γ粒の厚みを10μm以下
とすることで10%以上の一様伸びを確保できることが
分かった。
【0022】一方、析出物については、析出物の全体量
のみならず、その数が一様伸びの向上に極めて重要であ
ることが分かった。つまり、粗大な析出物が少数存在す
るのと、微細な析出物が多数存在するのとでは、同じ全
体量であるとしてもその効果は遙に異なり、分散した微
細な析出物が適量存在することが高強度鋼材の加工硬化
能を著しく高めて一様伸びを向上させる上で欠かせない
ことを確認した。そして、析出物の種類に関しても、微
細に分散する傾向のあるNb,TiあるいはVの炭窒化物が
一様伸びの向上に有効であるとの結論に帰着した。
【0023】更に、マルテンサイトやベイナイトを主組
織とした鋼材では、セメンタイトがラス内あるいはラス
境界面に析出する現象が認められるが、この析出形態も
加工硬化特性に大きな影響を及ぼすことも分かった。即
ち、通常、マルテンサイト組織内あるいはベイナイト組
織内に析出するセメンタイトはアスペクト比(長径/短
径の比)の大きい細長い形状をなしている。しかし、本
発明者等の検討により、前記セメンタイトが細長く伸長
しすぎた形状である場合には加工硬化能の向上に寄与し
にくく、また球形になりすぎても転位の運動を阻害する
障害物としての効果が少ないことが分かった。つまり、
マルテンサイトやベイナイトを主組織とした鋼材では、
その一様伸びと前記セメンタイトの平均アスペクト比と
が良く相関し、当該セメンタイトの平均アスペクト比を
2〜8とすることでより高い一様伸びを確保できる傾向
があることを知見した。
【0024】そして、鋼材成分をペンストックや圧力容
器等に望まれる良好な靭性,アレスト性,溶接性等が確
保される化学組成に設計すると共に、このような鋼材中
に微細なNb,TiあるいはVの炭窒化物を特定量分散さ
せ、かつ旧γ粒の大きさを特定の領域に規制したマルテ
ンサイト組織又はマルテンサイトとベイナイトの混合組
織を有して成るか、あるいは更に当該組織のラス内に析
出しているセメンタイトの形状を制御して成るもので
は、良好な靭性,アレスト性,溶接性等を備えることは
勿論、10%以上の大きい一様伸びをも示すようになる
ということを確認した。
【0025】本発明は、上記知見事項等を基になされた
ものであり、次の〜項に示すような一様伸びが大き
くて靭性,アレスト性,溶接性等も優れたペンストック
や圧力容器等として好適な高張力鋼材を提供するもので
ある。 C:0.06〜0.19%(以降、 成分割合を表す%は断りがない限り質量割合と する), Si:0.15〜0.60%, Mn:0.60〜1.80%, Cr:0.05〜1.20%, Mo:0.05〜1.00% を含むと共に Nb: 0.005〜0.10%, V: 0.005〜0.10%, Ti: 0.005〜0.10% の1種以上をも含有した鋼材であって、粒子径が100
nm以下のNb,TiあるいはVの炭窒化物を体積割合で0.01
〜 0.8%含み、かつ旧γ粒が粒度番号7以上であって該
旧γ粒内にはマルテンサイト組織又はマルテンサイトと
ベイナイトの混合組織を有して成ることを特徴とする、
旧γ粒が球形状の一様伸びが大きい高張力鋼材。 C:0.06〜0.19%, Si:0.15〜0.60%, Mn:0.60〜1.80%, Cr:0.05〜1.20%, Mo:0.05〜1.00% を含むと共に Nb: 0.005〜0.10%, V: 0.005〜0.10%, Ti: 0.005〜0.10% の1種以上をも含有した鋼材であって、粒子径が100
nm以下のNb,TiあるいはVの炭窒化物を体積割合で0.01
〜0.8 %含み、かつ旧γ粒が粒度番号7以上であって該
旧γ粒内にはマルテンサイト組織又はマルテンサイトと
ベイナイトの混合組織を有して成り、更に当該組織のラ
ス内に析出しているセメンタイトの平均アスペクト比が
2〜8であることを特徴とする、旧γ粒が球形状の一様
伸びが大きい高張力鋼材。 C:0.06〜0.19%, Si:0.15〜0.60%, Mn:0.60〜1.80%, Cr:0.05〜1.20%, Mo:0.05〜1.00% を含むと共に Nb: 0.005〜0.10%, V: 0.005〜0.10%, Ti: 0.005〜0.10% の1種以上をも含有した鋼材であって、粒子径が100
nm以下のNb,TiあるいはVの炭窒化物を体積割合で0.01
〜 0.8%含み、かつ旧γ粒の板厚方向厚みが平均で10
μm以下であって該旧γ粒内にはマルテンサイト組織又
はマルテンサイトとベイナイトの混合組織を有して成る
ことを特徴とする、旧γ粒が展伸形状の一様伸びが大き
い高張力鋼材。 C:0.06〜0.19%, Si:0.15〜0.60%, Mn:0.60〜1.80%, Cr:0.05〜1.20%, Mo:0.05〜1.00% を含むと共に Nb: 0.005〜0.10%, V: 0.005〜0.10%, Ti: 0.005〜0.10% の1種以上をも含有した鋼材であって、粒子径が100
nm以下のNb,TiあるいはVの炭窒化物を体積割合で0.01
〜 0.8%含み、かつ旧γ粒の板厚方向厚みが平均で10
μm以下であって該旧γ粒内にはマルテンサイト組織又
はマルテンサイトとベイナイトの混合組織を有して成
り、更に当該組織のラス内に析出しているセメンタイト
の平均アスペクト比が2〜8であることを特徴とする、
旧γ粒が展伸形状の一様伸びが大きい高張力鋼材。
【0026】次に、本発明において、鋼材の化学組成,
旧γ粒の大きさ,マルテンサイト組織又はベイナイト組
織のラス内に析出したセメンタイトの形状,更には析出
物の粒子径や量を前記の如くに限定した理由を、その作
用と共に説明する。
【0027】[A] 鋼材の化学組成 (a) C Cは鋼材の強度向上に最も有効な成分であり、かつ安価
な元素であるが、C含有量が0.06%未満では他の元素に
よる強度補償が必要となって結果的に経済性が損なわれ
てしまう。一方、0.19%を超えてCを含有させると、溶
接性が著しく阻害される上、靭性及びアレスト性も著し
く劣化する。従って、C含有量については0.06〜0.19%
と定めた。
【0028】(b) Si Siも鋼材の強度向上に寄与する成分であるが、Si含有量
が0.15%未満では強度向上効果が十分でなく、一方、0.
60%を超えてSiを含有させると母材靭性を著しく損なう
ことになる。従って、Si含有量は0.15〜0.60%と定め
た。
【0029】(c) Mn Mnも鋼材の強度確保のために0.60%以上を含有させる必
要のある成分であるが、1.80%を超えて含有させると靭
性及びアレスト性を著しく劣化するので、Mn含有量は0.
60〜1.80%と定めた。
【0030】(d) Cr Crは、鋼材の焼入れ性を高める働きを通じて強度及び靭
性の向上に有効な成分であり、Cr含有量が0.05%以上で
その効果が顕著化するが、1.20%を超えて含有させると
溶接性が著しく損なわれるため、Cr含有量については0.
05〜1.20%と定めた。
【0031】(e) Mo Moは0.05%以上含有させることによって強度の向上に資
する成分であるが、1.00%を超えて添加すると靭性に悪
影響を及ぼすようになることから、Mo含有量は0.05〜1.
00%と定めた。
【0032】(f) Nb,V及びTi これらの元素は、鋼材の焼き戻し時に炭窒化物として析
出し、転位の運動に対する抵抗となることで加工硬化能
を増して一様伸びを向上させる重要な成分であり、その
ため1種又は2種以上が含有せしめられるが、以下、個
々の成分についてその他の作用をも含めて含有量の限定
理由を説明する。
【0033】ア) Nb Nbは、焼き戻し時に粒内にNb(C,N)として析出して
鋼材の一様伸びを向上させるほか、スラブ加熱時に結晶
粒粗大化を抑制したり、焼入れ時にも同様の作用を発揮
するので微細組織鋼材を得るのに有効な元素であるが、
その含有量が 0.005%未満であると前記効果を十分に得
られず、一方、0.10%を超えて含有させると鋼材の靭性
に著しい悪影響を及ぼすようになることから、Nb含有量
は 0.005〜0.10%と定めた。
【0034】イ) V Vは、焼き戻し時にV(C,N)として析出して鋼材の
強度を上昇させ、一様伸びを向上させるのに有効な元素
であるが、その含有量が 0.005%未満であると前記効果
が不十分であり、一方、0.10%を超えて含有させると前
記効果が飽和するばかりか、鋼材の靭性に著しい悪影響
を及ぼすようになることから、V含有量は 0.005〜0.10
%と定めた。
【0035】ウ) Ti Tiは、Ti(C,N)として析出して一様伸びを向上させ
るほか、Nを固定してB添加鋼の場合にはBによる焼入
れ性向上効果を高める元素であるが、これらの効果を得
るためには 0.005%以上の含有量を確保する必要があ
る。しかし、過剰な添加は鋼材の靭性劣化を伴うため、
Ti含有量の上限を0.10%と定めた。
【0036】(i) その他 本発明鋼材の主成分はFeであることは言うまでもない
が、前述した各成分のほか、用途に応じて通常に添加さ
れるCu,Ni,sol.Al,Zr,Ca等といった元素を適宜添加
することができる。これらの任意添加元素については、
添加する場合、例えば次の範囲で添加するのが良い。
【0037】Cuは、 1.0%を超えて含有させるとスケ−
ル発生により鋼材の表面性状を著しく劣化させ、更には
靭性及びアレスト性の劣化を招く。従って、Cu添加を行
う場合には含有量の上限を 1.0%とすべきである。Niは
強度及び靭性を向上させるために有効な元素であるが、
多量に添加するとコストの上昇を招き、更には靭性を劣
化させる。従って、Ni添加を行う場合には含有量の上限
を 5.0%とすべきである。sol.Alはγ粒の微細化に有効
な元素であるが、過剰な添加は靭性の劣化を招くため、
sol.Al添加を行う場合には含有量の上限を 0.1%とする
のが良い。Zrは析出により鋼の強度向上に寄与する元素
であるが、多量に添加するとコストの上昇や靭性及びア
レスト性の劣化を招く。従って、Zr添加を行う場合には
含有量の上限を0.15%とすべきである。Caは、硫化物系
非金属介在物の形態制御を通じて亀裂進展抵抗を高める
効果を発揮し、結果的に靭性向上に寄与する元素である
が、その含有量が 0.008%を超えると非金属介在物の量
が増加して逆に靭性に悪影響を及ぼすようになる。その
ため、Ca添加を行う場合には含有量の上限を 0.008%と
すべきである。
【0038】[B] 旧γ粒の大きさ 高張力鋼材において低温靭性,アレスト性と強度を両立
するためには、マルテンサイトとベイナイトの混合組織
あるいはマルテンサイト組織を選択するのが最も適して
いる。そして、このような鋼材では何れも旧γ粒界が残
存したラス状の変態組織となるが、その旧γ粒界が転位
の運動に対する抵抗力として働き、加工硬化能を向上さ
せる。そのため、旧γ粒界の頻度(密度)を上げること
により、転位の加工硬化限界に対する余裕度を向上させ
て鋼材の一様伸びを高めることができる。
【0039】旧γ粒界の頻度(密度)は旧γ粒が細かい
ほど高まり、そのため旧γ粒は細かければ細かいほど一
様伸びにとって好ましいことは言うまでもないが、目標
とする10%以上の一様伸びを確保するためには、球形
状旧γ粒の場合は結晶粒度にして7以上の大きさであれ
ば良い。なお、球形状旧γ粒に対するこの規定は、製品
厚までの圧延後に再加熱焼入れ処理を実施した鋼材ある
いは未再結晶域での圧下を経ない直接焼入れ材に適用さ
れる。また、展伸形状の旧γ粒に関しては、粒度という
観点では評価が不可能であるので、旧γ粒径のサイズと
相応することが明らかとなった“旧γ粒の板厚方向厚み
の平均値”を10μm以下と規定する。これによって鋼
材に10%以上の一様伸びを確保することができる。な
お、展伸形状の旧γ粒に対するこの規定は、未再結晶域
での圧下を経た直接焼入れ材に適用される。
【0040】ここで、マルテンサイト組織鋼材あるいは
マルテンサイトとベイナイトの混合組織を有した鋼材の
旧γ粒界は、組織の状態やエッチングの状態について電
子顕微鏡による薄膜透過観察あるいは抽出レプリカ観察
等を実施することによって推し量ることができる。
【0041】なお、旧γ粒径や展伸形状の旧γ粒の大き
さは、周知のγ粒調整手段(例えば未再結晶域における
圧下率の調整,焼入れ温度の調整,焼戻し条件の調整
等)によって制御することができる。
【0042】また、マルテンサイトやベイナイトを主組
織とした鋼材ではセメンタイトがラス内あるいはラス境
界面に析出している現象が認められる場合もあるが、こ
の析出形態も加工硬化特性に大きな影響を及ぼす。つま
り、電子顕微鏡による薄膜透過観察又は抽出レプリカ観
察によって組織中のセメンタイトの析出形態を観察する
と、焼入れのままのマルテンサイトの場合は過飽和にC
を固溶した状態のままであるためにラス内部にセメンタ
イトの析出は見られないが、冷却過程でオ−トテンパ−
と呼ばれるテンパ−相当効果が発揮された場合には、焼
戻しマルテンサイトと同様、ラス内の4つのバリアント
に配列する形でセメンタイトの析出が観察される。一
方、ベイナイト組織は、焼き戻しマルテンサイトと同じ
くベイニティックフェライト内部にセメンタイト析出が
見られるが、ラス間にセメンタイト析出が見られる上部
ベイナイトと、ラス内のベイニティックフェライト端面
(γ中に一定角を保って成長するラス状ベイニティック
フェライトの先端部の面)と60°の角度をなしてセメ
ンタイトが析出する下部ベイナイトとに分類できる。な
お、上部ベイナイトラス間に僅かに残留γが残存する場
合があるが、本発明では上部ベイナイトの一部として捉
え、ラス間に残留γが残存する場合もマルテンサイト−
ベイナイト混合組織であると考える。
【0043】ただ、マルテンサイト組織内あるいはベイ
ナイト組織内に析出するセメンタイトは非常に細長く、
アスペクト比(長径/短径の比)の大きい形状をなして
いるが、このセメンタイトが細長く伸長しすぎた形状の
場合は加工硬化能向上に寄与しにくく、また球形になり
すぎても転位の運動の障害としての効果が少ない。しか
し、上記セメンタイトの平均アスペクト比を2〜8とす
ることで更に良好な一様伸びが得られる。
【0044】ここで、ラス境界面に析出するセメンタイ
トについては形状制御は極めて難しいものの、ラス内に
析出するセメンタイトは常法の旧γ粒の大きさ制御や、
通常のマルテンサイトあるいはベイナイト組織鋼材の製
造条件内で鋼材の化学組成に応じた圧延条件,冷却条
件,熱処理条件の調整によって制御することが可能であ
る{特に焼戻し温度はセメンタイト形状に影響を及ぼし
やすいので、 焼戻し温度を高めることはセメンタイトの
アスペクト比(平均アスペクト比)を2〜8の範囲に調
整する上で有効な手立てとなる}。従って、ラス内に析
出するセメンタイトのアスペクト比(平均アスペクト
比)を制御することにより、前述した旧γ粒の大きさ制
御や後述する析出物制御との組み合わせで、具体的には
80キロ級以上の高強度鋼で12%以上の一様伸びを得
ることが可能になる。
【0045】なお、このセメンタイトの形態について
は、前述した通り、組織の抽出レプリカ等を電子顕微鏡
で観察することによって容易に判定することができ、ま
たその平均アスペクト比の定量化は例えば2000倍の
電子顕微鏡にて10視野程度測定して平均値を計算する
ことにより十分に可能である。
【0046】[C] 析出物 高強度鋼材において、微細に分散する傾向のあるNb,Ti
又はVの炭窒化物は加工硬化能を著しく高め、鋼材の一
様伸びを向上させる効果をもたらす。なお、一様伸びの
向上効果に関しては、上記析出物の全体量のみならず、
その数も極めて重要である。即ち、前記析出物は、その
全体量が0.01体積%以上になると一様伸びの向上効果が
顕著化するが、析出物個々のサイズが100nmを越える
場合(即ち析出物の数が少ない場合)には一様伸びの向
上効果は極めて小さくなる。また、前記析出物の全体量
が 0.8体積%を超えると材料の靭性劣化が目立つように
なる。そのため、本発明鋼材では「粒子径が100nm以
下のNb,TiあるいはVの炭窒化物を体積割合で0.01〜
0.8%含むこと」と限定した。
【0047】なお、上記析出物のサイズと量について
は、鋼材をこの種の鋼に常用される条件で電解し、その
電解抽出残渣を分析することにより確認することができ
る。また、当該析出物のサイズと量は、鋼材の化学組成
を調整したり、通常の製造条件内で圧延条件,冷却条
件,熱処理条件を調整することによって制御することが
可能である。
【0048】以下、本発明を実施例によって更に具体的
に説明するが、本発明がこの実施例により不当に制限さ
れるものでないことは言うまでもない。
【0049】
【実施例】まず、連続鋳造法を適用して常法通りに表1
に示す化学組成のスラブ(厚さ:200〜300mm)を
製造した。なお、表1に示す化学組成を有したマルテン
サイト組織あるいはマルテンサイトとベイナイトの混合
組織を有する厚板材は、何れもペンストック用や圧力容
器用等の低温用抗張力鋼材に望まれる優れた靭性,アレ
スト性,溶接性を備えていることを確認済である。
【0050】
【表1】
【0051】次に、前記スラブを表2に示す鋼板製造条
件で処理し、厚さが40mmで、何れも引張強さが780
N/mm2以上の、表3及び表4に示すような製品高張力厚
鋼板(鋼板No.1〜70)を得た。
【0052】ここで、鋼板No.1〜35については、オフラ
イン焼入れ法を適用したか、あるいは未再結晶域圧下を
せずに直接焼入れを実施した材料であり、旧γ粒が球形
状をなしているものである。また、鋼板No.36 〜70につ
いては、未再結晶域圧下を実施した後に直接焼入れを実
施した材料であり、旧γ粒が展伸形状をなしているもの
である。
【0053】そして、これら各鋼板について一様伸びを
調査したが、その調査結果も表3及び表4に示す。
【0054】
【表2】
【0055】
【表3】
【0056】
【表4】
【0057】なお、表3並びに表4において、「粒子径
が100nm以下のNb,Ti,V炭窒化物の量」については
抽出残渣法を用い、また「セメンタイトのアスペクト
比」についてはCレプリカ法によるTEM観察法を用い
て、何れも1/4t(tは板厚)の板厚位置で5視野ずつ観
察し、その調査値を平均したものである。
【0058】また、「一様伸び」に関しては、1/4tの板
厚位置でC方向(圧延方向に直角方向)より丸棒引張試
験片(JIS 22014号)を切り出し、この試験片につ
き、ゲ−ジレングス50mmの差動トランス型伸び計を用
いてデジタルでロ−ドセルからの荷重情報と伸び計から
の歪み情報を取り込んで測定した。ここで、「一様伸
び」を最高荷重を示す時点での弾性変形分を除いた永久
歪みにて評価したことは言うまでもないが、引張試験の
一般的な規則事項についてはJIS Z2241に従った。
【0059】さて、前述したように、表3に示す鋼板N
o.1〜35は調質熱処理によって旧γ粒が球形状をなして
いる厚鋼板であるが、このうちで本発明の規定要件を満
たしている鋼板No.1〜3,8〜10,15〜17,22〜24,29
〜31については、何れも一様伸びが10%以上の良好な
特性を有している。中でも、焼き戻し温度を高めたこと
によりマルテンサイト組織又はマルテンサイトとベイナ
イトの混合組織のラス内に析出しているセメンタイトの
平均アスペクト比が2〜8の範囲内となっている鋼板N
o.3,10,17,24,31については、その一様伸びが特に
優れる結果となっている。
【0060】これに対して、鋼板No.4〜5,11〜12,18
〜19,25〜26,32〜33は焼入れ温度が高めになっている
ことにより旧γ粒の粒度番号が本発明の規定条件から外
れているものであるが、これらは何れも一様伸びが不芳
なレベルに止まっている。また、鋼板No.6〜7,13〜1
4,20〜21,27〜28,34〜35は焼き戻しを実施しなかっ
たために100nm以下のNb,Ti,V炭窒化物の量が本発
明の規定条件から外れているものであるが、これらも一
様伸びは不芳なレベルに止まる結果となっている。
【0061】一方、表4に示す鋼板No.36 〜70は未再結
晶域圧下を実施した後に直接焼入れを実施したために旧
γ粒が展伸形状をなしている厚鋼板であるが、このうち
で本発明の規定要件を満たしている鋼板No.36 〜38,43
〜45,50〜52,57〜59,64〜66については、何れも一様
伸びが10%以上の良好な特性を有している。中でも、
焼き戻し温度を高めたことによりマルテンサイト組織又
はマルテンサイトとベイナイトの混合組織のラス内に析
出しているセメンタイトの平均アスペクト比が2〜8の
範囲内となっている鋼板No.38, 45, 52, 59, 66 につい
ては、その一様伸びが特に優れる結果となっている。
【0062】これに対して、鋼板No.39 〜40,46〜47,
53〜54,60〜61,67〜68は未再結晶域における圧下率が
低めであったために旧γ粒の板厚方向厚みが本発明の規
定条件から外れているものであるが、これらは何れも一
様伸びが不芳なレベルに止まっている。また、鋼板No.4
1 〜42,48〜49,55〜56,62〜63,69〜70については焼
き戻しを実施しなかったために100nm以下のNb,Ti,
V炭窒化物の量が本発明の規定条件から外れているもの
であるが、これらも一様伸びは不芳なレベルに止まる結
果となっている。
【0063】
【発明の効果】以上に説明した如く、この発明によれ
ば、靭性,アレスト性,溶接性に優れると共に10%を
超える大きい一様伸び特性を有し、かつ量産性の良好な
高強度鋼材を提供することが可能となり、ペンストック
や圧力容器等といった高い応力が加わる構造物の性能向
上,低価格化に大きく寄与することが期待できるなど、
産業上有用な効果がもたらされる。
【図面の簡単な説明】
【図1】一様伸びに関する説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 有持 和茂 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 岡口 秀治 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内 (72)発明者 誉田 登 大阪府大阪市中央区北浜4丁目5番33号 住友金属工業株式会社内

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 質量割合にて、 C:0.06〜0.19%, Si:0.15〜0.60%, Mn:0.60〜1.80%, Cr:0.05〜1.20%, Mo:0.05〜1.00% を含むと共に Nb: 0.005〜0.10%, V: 0.005〜0.10%, Ti: 0.005〜0.10% の1種以上をも含有した鋼材であって、粒子径が100
    nm以下のNb,TiあるいはVの炭窒化物を体積割合で0.01
    〜 0.8%含み、かつ旧γ粒が粒度番号7以上であって該
    旧γ粒内にはマルテンサイト組織又はマルテンサイトと
    ベイナイトの混合組織を有して成ることを特徴とする、
    旧γ粒が球形状の一様伸びが大きい高張力鋼材。
  2. 【請求項2】 質量割合にて、 C:0.06〜0.19%, Si:0.15〜0.60%, Mn:0.60〜1.80%, Cr:0.05〜1.20%, Mo:0.05〜1.00% を含むと共に Nb: 0.005〜0.10%, V: 0.005〜0.10%, Ti: 0.005〜0.10% の1種以上をも含有した鋼材であって、粒子径が100
    nm以下のNb,TiあるいはVの炭窒化物を体積割合で0.01
    〜0.8 %含み、かつ旧γ粒が粒度番号7以上であって該
    旧γ粒内にはマルテンサイト組織又はマルテンサイトと
    ベイナイトの混合組織を有して成り、更に当該組織のラ
    ス内に析出しているセメンタイトの平均アスペクト比が
    2〜8であることを特徴とする、旧γ粒が球形状の一様
    伸びが大きい高張力鋼材。
  3. 【請求項3】 質量割合にて、 C:0.06〜0.19%, Si:0.15〜0.60%, Mn:0.60〜1.80%, Cr:0.05〜1.20%, Mo:0.05〜1.00% を含むと共に Nb: 0.005〜0.10%, V: 0.005〜0.10%, Ti: 0.005〜0.10% の1種以上をも含有した鋼材であって、粒子径が100
    nm以下のNb,TiあるいはVの炭窒化物を体積割合で0.01
    〜 0.8%含み、かつ旧γ粒の板厚方向厚みが平均で10
    μm以下であって該旧γ粒内にはマルテンサイト組織又
    はマルテンサイトとベイナイトの混合組織を有して成る
    ことを特徴とする、旧γ粒が展伸形状の一様伸びが大き
    い高張力鋼材。
  4. 【請求項4】 質量割合にて、 C:0.06〜0.19%, Si:0.15〜0.60%, Mn:0.60〜1.80%, Cr:0.05〜1.20%, Mo:0.05〜1.00% を含むと共に Nb: 0.005〜0.10%, V: 0.005〜0.10%, Ti: 0.005〜0.10% の1種以上をも含有した鋼材であって、粒子径が100
    nm以下のNb,TiあるいはVの炭窒化物を体積割合で0.01
    〜 0.8%含み、かつ旧γ粒の板厚方向厚みが平均で10
    μm以下であって該旧γ粒内にはマルテンサイト組織又
    はマルテンサイトとベイナイトの混合組織を有して成
    り、更に当該組織のラス内に析出しているセメンタイト
    の平均アスペクト比が2〜8であることを特徴とする、
    旧γ粒が展伸形状の一様伸びが大きい高張力鋼材。
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