JP2002086210A - 引抜き加工方法 - Google Patents
引抜き加工方法Info
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Abstract
に線材、棒鋼や鋼線に生ずる曲がり発生量を低減するこ
とができる引抜き加工方法の提供。 【解決手段】引抜き加工の最終パスに、出側テーパ角度
の半角θ(゜)が0.01゜≦θ≦0.5゜を満たすと
ともに、出側テーパ部長さL(mm)とベアリング部長さ
E(mm)との比が1≦L/E≦10を満たすダイスを用
いて、0.3≦100{1−(d/D)2 }≦6及び
0.10D≦E(d/D)2 ≦0.33Dを満たす加工
率で加工する。ここで、Dは引抜き加工最終パスのダイ
ス入り側における被加工材の直径(mm)、dはダイス出
側における被加工材の直径(mm)である。
Description
方法、なかでも孔ダイスを用いて線材、棒鋼や鋼線とい
った中実鋼材を引抜き加工する方法に関する。
棒鋼は、圧延などの「1次加工」によって所望の寸法
(直径)に仕上げられた後、更に、「2、3次加工」と
称される熱処理や冷間引抜き加工、冷間鍛造加工及び冷
間切削加工などの冷間加工工程を経て、自動車、各種産
業機械などに広く用いられるシャフトやロッド、ボルト
などの最終部品に成形される。
(真円度、外径寸法など)や、材料長手方向の真直性に
厳しい精度が要求され、断面形状精度の確保のために、
例えば、前記の冷間引抜き加工が施される。しかし、冷
間引抜き加工後の材料には大きな曲がりが生じることが
あり、このため、例えば、2ロール矯正機や多ロール矯
正機を用いた冷間での矯正加工によって材料長手方向真
直性の確保がなされることがある。
矯正加工によって断面形状精度の確保及び材料長手方向
真直性の確保がなされても、特にラックバーなどに代表
される非軸対称部品のように、最終的に非軸対称の切削
加工が施される場合には、材料長手方向に曲がりが発生
する場合があり、その曲がり量が許容値を超えると、最
終部品の形状修正が困難になってしまう。
止に関する技術が、塑性と加工(日本塑性加工学会誌)
第38巻第433号(1997年)の147〜152ペ
ージに「棒鋼・線材の引抜き条件と残留応力の解析」と
して開示されている。すなわち、前記論文には、引抜き
加工に使用するダイスに関し、従来のダイス角度14゜
から8゜に小さくすることにより、曲がりを大幅に軽減
できることが記されている。
減は可能である。しかし、たとえダイス角度を変更して
も、そのFig.4(a)に示されているように、引抜
き加工後の材料断面内には依然として大きな軸方向残留
応力が存在しており、したがって、前記ラックバーなど
のように非軸対称の切削加工を行う場合には、最終部品
の形状修正が困難な曲がりが生ずる場合があった。
鑑みなされたもので、断面形状が円形の中実鋼材、すな
わち線材、棒鋼や鋼線を孔ダイス(以下、単にダイスと
もいう)を用いて引抜き加工する方法、なかでも引抜き
加工後に後述の非軸対称切削加工を行った場合に、被加
工材の曲がり発生量を無次元曲率r/ρで0.0008
以下に抑制できる引抜き加工方法を提供することを目的
とする。
抜き加工方法を要旨とする。
あって、引抜き加工の最終パスに、出側テーパ角度の半
角θ(゜)が下記 (1)式を満たすとともに、出側テーパ
部長さL(mm)とベアリング部長さE(mm)との比
が下記 (2)式を満たす孔ダイスを用いて、下記 (3)式及
び (4)式を満たす加工率で加工することを特徴とする引
抜き加工方法。
である。
ス入り側における被加工材の直径(mm)、dは前記孔
ダイス出側における被加工材の直径(mm)を意味す
る。
引抜き加工を種々の条件で行い、次いで、後述の非軸対
称切削加工を施し、切削加工後の被加工材の長手方向の
曲がり量を測定した。その結果、下記の知見を得た。 (a)引抜き加工後に切削加工を施した場合の曲がり量
は、ダイス形状としての出側テーパ部長さL(mm)、
ベアリング部長さE(mm)、出側テーパ角度2θ、し
たがってその半角θ(゜)に大きく影響される。なお、
図1は、上記L、E、θの形状のダイスを用いて直径D
(mm)の鋼線を直径d(mm)に引抜き加工する状況
を示す図である。
面率)が、引抜き加工後に非軸対称切削加工(以下、単
に切削加工ともいう)を施した場合の曲がり量に大きく
影響する。したがって、引抜き加工の最終パスの加工率
を調整することで、前記の曲がり量を抑制することがで
きる。
鋼線を供試材とした引抜き加工を種々の条件で行い、次
いで、後述の非軸対称切削加工を施し、切削加工後の被
加工材の長手方向の曲がり量を測定した。その結果、上
記(a)、(b)が合金鋼線やステンレス鋼線を供試材
とする場合にも成り立つことが確認できた。
ものである。
明する。最終パスダイスの出側テーパ角度の半角θ:図
2は、引抜き加工後に切削加工を施した場合の曲がり量
に及ぼす最終パスダイスの出側テーパ角度の半角θ
(゜)及び引抜き加工の最終パスの加工率(減面率)す
なわち、100{1−(d/D)2 }の値の影響の一例
として、直径Dが30mmであるJIS G 4051に記載のS
45Cの棒鋼を引抜き加工して種々の直径d(mm)に
加工した場合の状況を示すものである。
の曲がり量は、無次元曲率r/ρで評価した。この無次
元曲率(r/ρ)は、引抜き加工された棒鋼を直径d
(mm)に対して45%、すなわち0.45d平面切削
加工した後、切削加工されていない側の稜線座標を三次
元測定機により測定することで曲率半径ρ(mm)を算
出し、次いで引抜き加工後の棒鋼の半径r(すなわち、
d/2)(mm)を上記曲率半径ρで除して求めたもの
である。
スの出側テーパ角度の半角θが0.5゜を超えて1.0
゜になると、引抜き加工後に切削加工を施した場合の曲
がり量が急激に増加し、前記無次元曲率r/ρの値が
0.0008を超えてしまう。一方、最終パスダイスの
出側テーパ角度の半角θが0.01゜より小さい場合、
切削後の曲がり量を抑制できるものの、ダイスとの接触
による引抜き荷重の増加やダイスとの焼き付きなどの問
題が生じる。したがって、最終パスダイスの出側テーパ
角度の半角θに関し、前記 (1)式を満たすように規定し
た。
リング部長さとの比(L/E):図3は、引抜き加工後
に切削加工を施した場合の曲がり量に及ぼす最終パスダ
イスのL/Eの影響の一例として、直径Dが30mmで
あるJIS G 4051に記載のS45Cの棒鋼を引抜き加工し
て29.4mmの直径dに加工し、次いで、この引抜き
加工後の棒鋼を直径dに対して45%、すなわち13.
2mm平面切削加工した場合の状況を示すものである。
なお、この図3においても引抜き加工後に切削加工を施
した場合の曲がり量は、無次元曲率r/ρで示した。
スのL/Eの値が1より小さい場合、引抜き加工後に切
削加工を施した場合の曲がり量が急激に増加し、無次元
曲率r/ρの値が0.0008を超えてしまう。一方、
最終パスダイスのL/Eの値が30を超える場合、前記
曲がり量は抑制できるものの、ダイス自体の大きさが極
端に大きくなり、工業的には適用が困難になる。したが
って、最終パスダイスの出側テーパ部長さとベアリング
部長さとの比であるL/Eの値に関し、前記 (2)式を満
たすように規定した。
パスの加工率(減面率)すなわち、100{1−(d/
D)2 }の値が6を超えると前記の無次元曲率r/ρが
急激に増加する。一方、100{1−(d/D)2 }の
値が0.3を下回ると、断面形状精度を確保することが
困難になるとともに、材料断面内において塑性変形を受
ける領域が極端に少なくなって残留応力が生ずる場合が
あり、この場合には曲がりを抑制できないことになる。
したがって、引抜き加工最終パスの加工率に関し、前記
(3)式を満たすように規定した。
場合の曲がり量に及ぼす最終パスダイスのベアリング部
長さの影響の一例として、直径Dが30mmであるJIS
G 4051に記載のS45Cの棒鋼を種々のベアリング部長
さE(mm)のダイスで最終パスの引き抜き加工を行っ
て直径dが29.4mmにした場合の状況を示すもので
ある。なお、この図4においても引抜き加工後に切削加
工を施した場合の曲がり量は、前記の無次元曲率r/ρ
で示した。
スのベアリング部長さE(mm)と最終パスダイスでの
引抜き加工後及び引抜き加工前の棒鋼の直径比(d/
D)の2乗との積であるE(d/D)2 の値が0.10
Dより小さいか、0.33Dを超える場合には無次元曲
率r/ρの値が0.0008を超えてしまう。したがっ
て、引抜き加工最終パスの加工率に関し、前記 (4)式も
満たすように規定した。
説明する。
1と鋼2を通常の方法によって溶製した。鋼1と鋼2は
それぞれJIS G 4051に記載のS45CとJIS G 4104に記
載のSCr420に相当する鋼である。なお、Tiは不
純物として含まれていたものである。
0℃に加熱してから1200〜950℃の温度で直径3
3mmの丸棒に熱間鍛造し、その後常温まで空冷した。
削加工によって直径が30mmで長さが1mの試験片を
作製した。
鉛被膜処理を施し、ドローベンチ試験機を用いて直径d
が28〜29.4mmとなるよう種々の条件で引抜き加
工を行った。この後更に、フライスによって、その直径
dに対して45%の割合で平面切削加工を行い、切削加
工後の長手方向の曲がり量を測定した。なお、曲がり量
の測定は、既に述べた条件で無次元曲率r/ρの値を求
めることによって行った。
実施例の場合、ドローベンチ試験機を用いた1回の引抜
き加工で最終の寸法にしたので、この加工パスそのもの
が引抜き加工の最終パスとなる。
削加工後の長手方向の曲がり量を無次元曲率r/ρで
0.0008以下に抑制できることが明らかである。
れた試験番号6、7、9及び10においては、切削加工
後の長手方向の曲がり量は無次元曲率r/ρで0.00
08を超えている。なお、試験番号8は、焼き付きが発
生したので、フライスによる平面切削加工及び加工後の
長手方向の曲がり量測定は行わなかった。 (実施例2)表3に示す化学組成を有する鋼3〜5を通
常の方法によって溶製した。鋼3、鋼4、鋼5はそれぞ
れJIS G 4051、JIS G 4104及びJIS G 4308に記載のS2
5C、SCr440及びSUS304に相当する鋼であ
る。なお、鋼3、鋼4おけるTiと、鋼5におけるT
i、Alは不純物として含まれていたものである。
0〜1250℃に加熱してから1200〜950℃の温
度で直径38mmの丸棒に熱間鍛造し、その後常温まで
空冷した。
削加工によって直径が35mmで長さが1mの試験片を
作製した。
鉛被膜処理を施し、ドローベンチ試験機で孔ダイスを2
回以上用いて直径30mmまで多パスの引抜き加工を行
い、その後最終パスの引抜き加工を行って、直径dを2
8〜29.4mmに仕上げた。この後更に、フライスに
よって、その直径dに対して45%の割合で平面切削加
工を行い、切削加工後の長手方向の曲がり量を測定し
た。なお、曲がり量の測定は、既に述べた条件で無次元
曲率r/ρの値を求めることによって行った。
上げたドローベンチ試験機を用いた最終パスの条件を示
す。
は、切削加工後の長手方向の曲がり量を無次元曲率r/
ρで0.0008以下に抑制できることが明らかであ
る。
れた試験番号16、17、19及び20においては、切
削加工後の長手方向の曲がり量は無次元曲率r/ρで
0.0008を超えている。なお、試験番号18は、焼
き付きが発生したので、フライスによる平面切削加工及
び加工後の長手方向の曲がり量測定は行わなかった。
き加工後に非軸対称切削加工を行っても、被加工材の曲
がり量を抑制できるので、断面形状精度の確保と材料長
手方向における真直性の確保を行うことが可能である。
d(mm)に引抜き加工する状況を示す図である。
に及ぼす最終パスダイスの出側テーパ角度の半角θ及び
引抜き加工の最終パスの加工率(減面率)すなわち、1
00{1−(d/D)2 }の値の影響の一例を示す図で
ある。
削加工を施した場合の曲がり量に及ぼす影響の一例を示
す図である。
加工後に切削加工を施した場合の曲がり量に及ぼす影響
の一例を示す図である。
Claims (1)
- 【請求項1】中実鋼材の引抜き加工方法であって、引抜
き加工の最終パスに、出側テーパ角度の半角θ(゜)が
下記 (1)式を満たすとともに、出側テーパ部長さL(m
m)とベアリング部長さE(mm)との比が下記 (2)式
を満たす孔ダイスを用いて、下記 (3)式及び (4)式を満
たす加工率で加工することを特徴とする引抜き加工方
法。 0.01゜≦θ≦0.5゜・・・(1) 1≦L/E≦10・・・(2) 0.3≦100{1−(d/D)2 }≦6・・・(3) 0.10D≦E(d/D)2 ≦0.33D・・・(4) ここで、Dは引抜き加工最終パスの孔ダイス入り側にお
ける被加工材の直径(mm)、dは前記孔ダイス出側に
おける被加工材の直径(mm)である。
Priority Applications (1)
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JP2000275777A JP3608489B2 (ja) | 2000-09-12 | 2000-09-12 | 引抜き加工方法 |
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