JP2002085374A - 磁気共鳴用造影剤 - Google Patents
磁気共鳴用造影剤Info
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Abstract
高く、更に試料溶液の調製が容易な水溶性化合物を含む
磁気共鳴用造影剤を提供すること。 【解決手段】 次の式(I): 【化1】 (式中、nは1または2であり、環内の破線は結合があ
ってもなくてもよいことを示す)で表される化合物を含
有する血液脳関門透過性の磁気共鳴用造影剤。
Description
修飾またはヒドロキシエチル修飾されたニトロキシド化
合物を有効成分とする、電子スピン共鳴(以下ESRと
いう)または核磁気共鳴(以下NMRまたはMRIとい
う)を代表とする磁気共鳴法による非侵襲的な生体画像
形成のための造影剤に関する。
酸素を含むフリーラジカルは、虚血性疾患、消化器疾
患、癌、神経変性を伴う脳神経疾患、炎症、薬物による
臓器障害など数多くの疾患と関係していることが知られ
ている。このため、フリーラジカルは医学、薬学、生物
学の分野で注目され、研究が進められている。
分子内不対電子を直接検出するESR法が知られてい
る。ESR法によれば、溶液試料であっても固体試料で
あっても測定することができ、また、不透明な試料でも
不均一系の試料でも測定対象になる。このため、ESR
法は、採取された生体試料中や生体中の活性酸素を検出
する方法として非常に便利である。
は寿命が短いため、ESR法では活性酸素やフリーラジ
カルを直接測定することはできない。このため、生体に
薬剤を投与し、その薬剤の活性酸素やフリーラジカルに
よる化学変化をESR法で測定して、間接的に生体内の
活性酸素やフリーラジカルを観察する方法がとられてい
る。例えば、比較的安定なフリーラジカルであるニトロ
キシド化合物を生体内に投与し、その分布や動態からフ
リーラジカルと生体機能の関連を解明する研究がなされ
ている。ニトロキシド化合物は、分子内に不対電子を持
ち磁性を有するため、MRIおよびESRイメージング
において生体内分布や病変部の磁性の変化を計測するた
めのMRI造影剤、ESR造影剤として有用である。こ
のため、ESRイメージング法の開発以後、多くのニト
ロキシド化合物を用いた生体計測がなされている。
織集積性の高いものが少ないという欠点がある。特に、
多くのニトロキシド化合物は血液脳関門の影響から脳組
織へ透過しない。このような脳組織移行性の低さを改善
するために、数種の脂溶性ニトロキシド化合物が開発さ
れ(例えば、Free Radical Biology & Medicine, vol.2
8, No.6, 959-969, 2000)、脂溶性ニトロキシド化合物
を用いた脳内の生体機能計測が行われている(例えば、
Magnetic Resonance Imaging, vol.15, No.9,1079-108
4, 1997)。しかし、これらのニトロキシド化合物は脂
溶性であるため、試薬調製時に有機溶媒を用いなければ
ならないなど問題点がある。よって、親水性が高く、組
織集積性の高いニトロキシド化合物を提供することが望
まれていた。
題点や要望を考慮して、本発明は、生体に吸収されやす
く、血液脳関門透過性が高く、更に試料溶液の調製が容
易な水溶性化合物を含む磁気共鳴用造影剤を提供するこ
とを課題とした。また本発明は、磁気共鳴法による外因
性フリーラジカルの分布及び代謝に関する生体画像を得
るのに有効であり、活性酸素やフリーラジカルが関与し
ていると考えられる疾患または症状の診断薬として使用
することができる磁気共鳴用造影剤を提供することも課
題とした。
ねた結果、ニトロキシド化合物をヒドロキシメチル修飾
またはヒドロキシエチル修飾することによって、脳組織
移行性と水溶性を改善しうることを見出し、本発明に到
達した。
ってもなくてもよいことを示す)で表される化合物を含
有する血液脳関門透過性の磁気共鳴用造影剤を提供す
る。
である式(I)の化合物について説明する。式(I)に
おいて、5員環を構成する3位の炭素原子と4位の炭素
原子の間は単結合であっても二重結合であってもよい。
すなわち、式(I)における環は、3−ピロリン環かピ
ロリジン環を表す。環の種類とnの数の組み合わせは特
に制限されず、これらの組み合わせにより形成される4
種類の化合物はすべて式(I)に包含される。
れない。例えば、下記反応式に従い、式(II)で表され
るニトロキシド化合物のカルボキシル基を還元すること
により製造される。
ってもなくてもよいことを示す)
れるニトロキシド化合物(II)のうち、n=1の化合物
は公知である。n=2の化合物については、公知化合物
である3−オキソ−2,2,5,5−テトラメチルピロ
リジン−1−オキシルに対して、ジエチルホスホノ酢酸
エチルを用いたWittig反応、接触還元反応、アルカリ加
水分解反応を行うことにより得ることができる。ニトロ
キシド化合物(II)のカルボキシル基の還元は常法によ
り行うことができるが、例えば脱水エーテル中にニトロ
キシド化合物(II)を溶解し、水素化アルミニウムリチ
ウムを加えて還元する方法により行うことが好ましい。
て造影剤を調製するには、当該化合物を適当な薬学的お
よび化学的に許容される溶媒、例えば、生理食塩水、等
張リン酸緩衝液等に溶解すればよい。式(I)の化合物
は、従来のニトロキシド化合物に比べて水溶性が高いた
め、有機溶媒を用いなくても溶液を調製することができ
るという利点がある。調製する造影剤には、薬剤学的に
許容される添加剤が含まれていてもよい。添加剤として
は、例えば、可溶化剤、乳化剤、粘度調節剤、緩衝剤な
どを挙げることができる。造影剤中の式(I)の化合物
の濃度は、画像形成方式、測定方式、対象試料、測定部
位などに応じて決定することができる。
に制限されない。例えば、静脈内注射、皮下注射、筋肉
内注射することにより、試料に適用することができる。
このとき、測定部位における式(I)の化合物濃度が、
0.1mM〜100mMになるように適用することが好
ましく、1mM〜10mMになるように適用することが
より好ましい。
常のMRIイメージング法やESRイメージング法によ
り観測することができる。その具体的詳細については、
以下の実施例に記載される条件に基づいて理解すること
ができる。
有しており、脳組織移行性が高いため、従来のニトロキ
シド化合物では測定することができなかった部位につい
ても、磁気共鳴法による外因性フリーラジカルの分布及
び代謝に関する生体画像を有効に得ることができる。こ
のため、本発明の造影剤は、活性酸素やフリーラジカル
が関与していると考えられる疾患または症状の診断に効
果的に使用することができる。
に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、
処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限
り適宜変更することができる。したがって、本発明の範
囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシルの
合成 3−カルボキシ−2,2,5,5−テトラメチルピロリ
ジン−1−オキシル2.0g(10.7mmol)を脱
水エーテル200mlに溶解し、水素化アルミニウムリ
チウム0.6g(15.8mmol)を加え、窒素雰囲
気下室温にて1日攪拌、反応させた。反応溶液を0℃付
近に冷却し、水を滴下して反応停止後、10%水酸化ナ
トリウム水溶液50mlを加えた。エーテル層を分取
し、水層をエーテルで抽出した。エーテル層をあわせて
水で洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、溶媒を常
圧下で留去した。残留物をシリカゲルカラムクロマトグ
ラフィー(酢酸エチル)にて精製することにより黄色結
晶1.4g(8.1mmol;収率76%)を得た。
L) 水(リン酸緩衝液)−オクタノール分配係数:3.21 H−NMR(in CDCl3+2%フェニルヒドラジ
ン;δ): 1.06,s,3H(CH3) 1.19,s,3H(CH3) 1.20,s,3H(CH3) 1.21,s,3H(CH3) 1.51,m,1H(CH2) 1.89,m,1H(CH2) 1.98,m,1H(CH) 2.88,brs,1H(OH) 3.64,m,1H(CH2) 3.72,m,1H(CH2) ヒドロキシメチル基を置換することによって水溶性の高
い化合物にすることができた。両親媒性であるため、生
体組織への吸収、分布が期待できる。
(160g、7周齢)に150mM 3−ヒドロキシメ
チル−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−
オキシルの生理食塩水4.8mlを腹腔内投与した。ラ
ット頭部を外耳道孔より6mm前方が共振器の中心にな
るように固定した。投与後、ESR計測を行った。比較
として3−カルバモイル−2,2,5,5−テトラメチ
ルピロリジン−1−オキシルについても同様の手法で計
測を行った。ESR信号の測定条件は以下の通りであっ
た。
度の経時変化を示す。3−ヒドロキシメチル−2,2,
5,5−テトラメチルピロリジン−1−オキシル腹腔投
与の頭部ESR信号は通常画像化試薬として用いられて
いる3−カルバモイル−2,2,5,5−テトラメチル
ピロリジン−1−オキシルより強いESR信号が検出さ
れた。
定 ペントバルビタール麻酔したWister系雄性ラット
(160g、7周齢)に150mM 3−ヒドロキシメ
チル−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−1−
オキシルの生理食塩水4.8mlを腹腔内投与した。ラ
ット頭部を外耳道孔より6mm前方が共振器の中心にな
るように固定した。投与20分後、ESR−CT計測を
行った。比較として3−カルバモイル−2,2,5,5
−テトラメチルピロリジン−1−オキシルについても同
様の手法で計測を行った。ESR−CTの測定条件は以
下の通りであった。
図は、ブレグマ(冠状縫合および矢状縫合の会合部にあ
たる頭蓋状の点)より3mm下部のラット脳ESR−C
Tの画像を示す。脳への生体内分布を示さない3−カル
バモイル−2,2,5,5−テトラメチルピロリジン−
1−オキシルのESR−CT画像との比較を行ったとこ
ろ、3−ヒドロキシメチル−2,2,5,5−テトラメ
チルピロリジン−1−オキシルが脳への高い分布を示す
ことが判明した。
物は、水溶性が高く、血液脳関門透過性を有し、生体組
織への特徴的な分布が観測された。このため、式(I)
の化合物を含む本発明の磁気共鳴用造影剤は、磁気共鳴
法による外因性フリーラジカルの分布及び代謝に関する
生体画像を得るのに有効であり、活性酸素やフリーラジ
カルが関与していると考えられる疾患または症状の診断
薬として使用することができる。
グラフである(実施例2)。
(実施例3)。
Claims (1)
- 【請求項1】 次の式(I): 【化1】 (式中、nは1または2であり、環内の破線は結合があ
ってもなくてもよいことを示す)で表される化合物を含
有する血液脳関門透過性の磁気共鳴用造影剤。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000280465A JP2002085374A (ja) | 2000-09-14 | 2000-09-14 | 磁気共鳴用造影剤 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2000280465A JP2002085374A (ja) | 2000-09-14 | 2000-09-14 | 磁気共鳴用造影剤 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2002085374A true JP2002085374A (ja) | 2002-03-26 |
Family
ID=18765297
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000280465A Pending JP2002085374A (ja) | 2000-09-14 | 2000-09-14 | 磁気共鳴用造影剤 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2002085374A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013142079A (ja) * | 2012-01-12 | 2013-07-22 | Oita Univ | Esri用造影剤 |
-
2000
- 2000-09-14 JP JP2000280465A patent/JP2002085374A/ja active Pending
Non-Patent Citations (3)
Title |
---|
JPN6010037289, HALPERN,H.J. et al, "In vivo spin−label murine pharmacodynamics using low−frequency electron paramagnetic resonance imagi", Biophys J, 1996, Vol.71, No.1, p.403−9 * |
JPN6010037291, KVEDER,M. et al, "Spin probe reduction in cells and tissues", Magn Reson Med, 1988, Vol.8, No.3, p.241−7 * |
JPN6010037293, 日本生物物理学会年会講演予稿集, 1997, Vol.35th, S51 * |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013142079A (ja) * | 2012-01-12 | 2013-07-22 | Oita Univ | Esri用造影剤 |
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