JP2002084685A - レクテナとレクテナ大電力化方法 - Google Patents

レクテナとレクテナ大電力化方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 レクテナにおいて、ダイオードの性能を問わ
ずに、低コストで効率よく大電力化を実現する。 【解決手段】 本発明のレクテナは、入力端Aに入力さ
れたマイクロ波をウィルキンソン型の電力分配回路部に
より4系統の伝送線路にマイクロ波を等分配し、各伝送
線路に直列に配置されたチップコンデンサCにより直流
成分をカットして、ダイオードD、λ/4線路E、オー
プンスタブによる整流回路部により整流・平滑すること
で、一定の直流電力を得る。各分配経路で得られた直流
電力は出力端Bから取り出され、適宜合成されて出力電
力として利用される。分配数に応じて最適な入力電力が
異なることから、様々な入力電力に対して分配数を適宜
選択することで、変換効率の最適なレクテナを実現する
ことができる。この場合、ダイオードの個数を変えて同
様の効果を得るよりもコストがかからない。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、マイクロ波エネル
ギー伝送に用いられ、受電されたマイクロ波を整流出力
するレクテナと、このレクテナの大電力化を実現する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、電気エネルギーをマイクロ波
に変換し、無線で送電を行うマイクロ波無線電力伝送の
技術開発が進められている。この技術は、地上において
は山頂や離島への無線送電、宇宙空間においては他の衛
星への送電を実現するものである。
【0003】現在までに、模型飛行機や飛行船といった
移動体に対する送電実験を行われており、ガス管内を移
動する検査ロボットへの応用も考えられている。ロボッ
トへの電力供給を目的とする場合には、電力密度を高め
た送電が想定され、マイクロ波受電整流素子であるレク
テナ1素子の大電力化が必須となる。
【0004】従来のレクテナの大電力化の研究におい
て、その多くは、レクテナの整流回路部に用いるダイオ
ードの大電力化を図った方法、ダイオードを直列・並列
に数多く接続することで大電力化を図った方法である。
【0005】しかしながら、前者の方法では、ダイオー
ドの性能にレクテナの性能が大きく依存する。後者の方
法では、ダイオードの接続数を増やすに従って効率が悪
くなり、コストの増加が問題となる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】以上のように、従来の
レクテナにおける大電力化技術では、ダイオードの性能
に依存したり、効率の低下、コスト増の問題が生じたり
している。
【0007】そこで、本発明は、ダイオードの性能を問
わずに、低コストで効率よく大電力化を実現するレクテ
ナと、その大電力化方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するた
めに本発明に係るレクテナは、受電されたマイクロ波を
複数の伝送線路に電力分配する電力分配回路部と、前記
複数の伝送線路それぞれに接続され、電力分配されたマ
イクロ波を整流し平滑出力する複数の整流回路部とを具
備した構成とする。
【0009】前記電力分配回路部は、吸収抵抗のないウ
ィルキンソン型であり、前記マイクロ波の電力を複数の
伝送線路に等分配することを特徴とする。
【0010】前記整流回路部は、分配マイクロ波入力端
と基準電位線路とを整流素子を介して接続してなる整流
回路と、一方端が分配マイクロ波入力端に接続される線
路幅λ/4(λは前記マイクロ波の実効波長)の伝送線
路の他方端に容量素子を接続してなるフィルタ回路とを
備えることを特徴とする。
【0011】前記電力分配回路部の分配出力端前にコン
デンサを介在させるようにしたことを特徴とする。
【0012】上記構成によるレクテナにおいて、前記電
力分配回路部の分配数を受電されるマイクロ波の入力電
力に応じて選定する。
【0013】すなわち、本発明は、電力分配回路部と整
流回路部を組み合わせることで、これまでにない大電力
を受電整流することのできるレクテナを提供する。
【0014】本発明に係るレクテナは、マイクロ波エネ
ルギー伝送に用いるものであり、通信用とは異なり、マ
イクロ波−直流変換効率が最も重要である。通信等で用
いられる電力分配回路部は吸収抵抗のついたウィルキン
ソン型電力分配回路である。吸収抵抗は出力側の不整合
による反射を吸収し、電力の等分配性を保つ役割を果た
すが、レクテナでは、電力分配後は整流して直流になる
ため、マイクロ波の反射は極めて少ない。そこで、スペ
ースの節約も兼ねて、吸収抵抗のないウィルキンソン型
電力分配回路部を整流回路部に接続することで、レクテ
ナの大電力化を図った。本発明のために製作した電力分
配回路部の損失は5〜7%であった。
【0015】この電力分配回路部は2分配、4分配、8
分配と分配数を増やすことで、様々な入力電力で最大マ
イクロ波−直流変換効率を持つレクテナを容易に構成す
ることができる。レクテナは入力マイクロ波強度に対
し、ある値で最大のマイクロ波−直流変換効率を持つ
が、それをピークにマイクロ波が強くても弱くても効率
が減少するという特徴を持つ。また、マイクロ波エネル
ギービームは中心強度が強く、中心から離れるに従って
強度が弱くなる。このため、同一の性能を持つ基本設計
は同じレクテナで分配数のみを変えることで、あらゆる
電力密度で最高性能を発揮できるアレイ型レクテナを構
築することが可能となる。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明の実
施の形態を詳細に説明する。
【0017】図1は本発明に係るレクテナの構造を示す
ものである。このレクテナは、裏面にグランド層を形成
した誘電体基板上にマイクロストリップ線路を形成する
ことでマイクロ波集積回路を形成したものである。図1
では基板を省略し、マイクロストリップ線路の形状のみ
を示している。
【0018】図1において、Aは図示しないアンテナ部
により受電されたマイクロ波が入力されるマイクロ波入
力端であり、この入力端Aに入力されたマイクロ波はま
ず電力分配回路部に供給される。
【0019】この電力分配回路部は、吸収抵抗のないウ
ィルキンソン型で構成し、供給されたマイクロ波を2系
統の伝送線路に等分配し、さらに各分配出力を2系統の
伝送線路に等分配して、4系統の伝送線路にマイクロ波
を等分配する。ウィルキンソン型は、ある条件を満たす
特性インピーダンスのλ/4線路(λは入力マイクロ波
の実効波長)に信号を通すことで、信号を損失なく出力
端に分配するという特徴を有する。
【0020】各伝送線路に等しく分配されたマイクロ波
は、伝送線路に直列に配置されたチップコンデンサCに
より直流成分がカットされて整流回路部に供給される。
チップコンデンサCは、後段の整流回路部で得られる直
流電力が受電アンテナ部への逆流を防止する機能も有す
る。
【0021】この整流回路部は、整流回路とフィルタ回
路とを備える。
【0022】整流回路は、入力端(チップコンデンサC
との接続点)を1個以上(図では2直列2並列)のダイ
オードDを介してグランド線路Gに接続して構成され、
分配されたマイクロ波を整流する。ダイオードDの個数
は、ダイオードの性能に応じて任意に選定する。
【0023】フィルタ回路は、λ/4線路Eの一方端を
入力端に接続し、他方端におよそλ/8のオープンスタ
ブ(線路幅を広くして基板裏面のグランド層との間でキ
ャパシタンスを持たせるようにしたキャパシタ)Fを接
続して構成され、整流回路のマイクロ波整流出力を平滑
して一定の直流電力を得る。本実施形態では、λ/4線
路及びλ/8オープンスタブFによるフィルタを2段直
列に接続した構成となっている。
【0024】オープンスタブFから引き出された伝送線
路の端部を出力端Bとする。各分配系統で得られた直流
電力は出力端Bから取り出され、適宜合成されて出力電
力として利用される。
【0025】ここで、上記構成によるレクテナでは、入
力したマイクロ波を4系統の伝送線路に等分配するもの
としたが、その分配数は任意に設定可能である。図2に
分配数を1,2,4,8としたときのマイクロ波入力電
力−直流(RF−DC)変換効率の計測結果を示す。
【0026】図2において、aは分配数1(単体)のレ
クテナの場合であり、入力電力1.3W時に最大変換効
率77.5%が得られた。このときの特性インピーダン
スは250Ω、出力電力は1.0Wとなった。bは分配
数2のレクテナの場合であり、1つの線路にて、入力電
力1.5W時に最大変換効率75.7%が得られた。こ
のときの特性インピーダンスは150Ω、合成出力電力
は2.1Wとなった。cは分配数4のレクテナの場合で
あり、1つの線路にて、入力電力4.5W時に最大変換
効率73.0%が得られた。このときの特性インピーダ
ンスは70Ω、合成出力電力は4.1Wとなった。dは
分配数8のレクテナの場合であり、1つの線路にて、入
力電力11.5W時に最大変換効率68.6%が得られ
た。このときの特性インピーダンスは30Ω、合成出力
電力は6.7Wであった。
【0027】図2の計測結果から明らかなように、分配
数に応じて最適な入力電力が異なる。このことから、様
々な入力電力に対して分配数を適宜選択することで、変
換効率の最適なレクテナを実現できることがわかる。こ
の場合、ダイオードの個数を変えて同様の効果を得るよ
りもコストがかからない。
【0028】
【発明の効果】以上のように本発明によれば、ダイオー
ドの性能を問わずに、低コストで効率よく大電力化を実
現するレクテナと、その大電力化方法を提供することが
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るレクテナの実施の形態を示す回
路構成図。
【図2】 本発明に係るレクテナの分配数別マイクロ波
−直流変換効率の計測結果を示す特性図。
【符号の説明】
A…受電マイクロ波入力端 B…直流電力出力端 C…チップコンデンサ D…ダイオード E…λ/4線路 F…オープンスタブ G…グランド線路

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 受電されたマイクロ波を複数の伝送線路
    に電力分配する電力分配回路部と、 前記複数の伝送線路それぞれに接続され、電力分配され
    たマイクロ波を整流し平滑出力する複数の整流回路部と
    を具備することを特徴とするレクテナ。
  2. 【請求項2】 前記電力分配回路部は、吸収抵抗のない
    ウィルキンソン型であることを特徴とする請求項1記載
    のレクテナ。
  3. 【請求項3】 前記電力分配回路部は、前記マイクロ波
    の電力を複数の伝送線路に等分配することを特徴とする
    請求項1記載のレクテナ。
  4. 【請求項4】 前記整流回路部は、分配マイクロ波入力
    端と基準電位線路とを整流素子を介して接続してなる整
    流回路と、一方端が分配マイクロ波入力端に接続される
    線路幅λ/4(λは前記マイクロ波の実効波長)の伝送
    線路の他方端に容量素子を接続してなるフィルタ回路と
    を備えることを特徴とする請求項1記載のレクテナ。
  5. 【請求項5】 前記電力分配回路部の分配出力端前にコ
    ンデンサを介在させるようにしたことを特徴とする請求
    項1記載のレクテナ。
  6. 【請求項6】 受電されたマイクロ波を複数の伝送線路
    に電力分配する電力分配回路部と、前記複数の伝送線路
    それぞれに設けられ、電力分配されたマイクロ波を整流
    し平滑出力する複数の整流回路部とを備えるレクテナに
    用いられ、 前記電力分配回路部の分配数を受電されるマイクロ波の
    入力電力に応じて選定するようにしたことレクテナ大電
    力化方法。
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