JP2002082197A - 電子線照射装置の電源監視装置 - Google Patents

電子線照射装置の電源監視装置

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JP2002082197A
JP2002082197A JP2000271457A JP2000271457A JP2002082197A JP 2002082197 A JP2002082197 A JP 2002082197A JP 2000271457 A JP2000271457 A JP 2000271457A JP 2000271457 A JP2000271457 A JP 2000271457A JP 2002082197 A JP2002082197 A JP 2002082197A
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electron beam
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JP2000271457A
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English (en)
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Tatsunobu Sugita
達信 杉田
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Nissin High Voltage Co Ltd
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Nissin High Voltage Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 交流入力をトランスで昇圧して整流し、直流
の高圧を得る直流高圧電源を有する電子線照射装置にお
いて、発生高圧電圧Vを測定するための電圧測定抵抗
そのものの故障を検出すること。 【解決手段】 交流入力電圧Vを測定し、直流電源出
力電圧Vと比較し、比例定数が所定の値からずれるこ
とを検出することによって電圧測定抵抗の異常を検出す
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電圧測定抵抗を使
用して直流高圧電源の電圧測定をしている電子線照射装
置の測定抵抗の異常を監視できるようにした電源監視装
置に関する。電子線照射装置は真空中において熱フィラ
メントから発生させた電子を電圧を掛けて加速し、窓箔
を通して大気中に取り出し、対象となる被処理物に電子
線を照射して、高分子架橋、化学反応、殺菌などの処理
を行う装置である。真空チャンバ、真空排気装置、高圧
電源、電子線発生機構、電子線加速機構、被処理物の搬
送機構、X線の遮蔽筐体などを備える。
【0002】電子線の加速エネルギーによって、その処
理の内容も異なる。電線被覆の架橋反応、医療部品・医
療材料の殺菌、印刷物の処理、塗膜の硬化など、用途が
多岐にわたる。対象物(被処理物)によって必要なエネ
ルギー分布や電子線空間分布が異なるものが要求され
る。
【0003】5MeV〜300keV程度の高い電子線
エネルギーを要する場合は、大型の走査型電子線照射装
置が用いられる。ビーム状電子線を加速して、ある方向
(y方向)に走査して被処理物に当てるようにする。走
査のために真空に引かれた三角形状の走査管と交番磁場
を発生する走査コイルが必要になる。走査管の下部の開
口部が照射窓であり窓箔が張られている。被処理物の搬
送の方向(x方向)と直交する方向に走査するから被処
理物の全面に電子線を照射できる。
【0004】500keV〜数十keVの低いエネルギ
ーの電子線を要する場合は、非走査型(エリア型)の電
子線照射装置を用いる。真空チャンバの中央部に平行或
いは反平行の複数のフィラメントを並べて、初めから広
い断面積を持つ電子線を発生させフィラメントと直交す
る方向に電子線を引き出す。ビーム自体が広い広がりを
持つからビーム走査する必要がない。電流量が多くなる
が電圧が低いので電源の負担はその分軽減される。
【0005】走査型、非走査型のいずれにおいても照射
窓より下の構造は共通している。X線を遮断できる厚い
遮蔽筐体と、遮蔽筐体の内部に収容された搬送系を持
ち、被処理物は筐体の入口から投入され搬送系によって
内部を運ばれ照射窓において電子線を浴びる。電子線処
理を受けた被処理物は筐体の出口から外部へと搬出され
る。定型有体物が被処理物の場合、無端周回コンベヤを
搬送系に用いる事が多い。
【0006】遮蔽筐体と搬送系は大気中にある。電子線
発生機構、加速機構、走査機構などは真空中にある。照
射窓というのは真空雰囲気と大気雰囲気を分ける部分に
ある。照射窓は真空中から電子線が大気中へ出る開口部
である。照射窓には窓箔が張ってある。アルミ、チタン
などの強靭な金属箔である。真空と大気の境界にあるか
ら大気圧が全体に掛かる。それに耐える強度が必要であ
る。
【0007】しかし、窓箔が厚すぎると電子線が透過す
るときの損失が増えるから望ましくない。また電子線の
透過損失で甚だしく加熱される。そのままではすぐに溶
けてしまう。それで窓桟に冷却水を通して水冷したり、
大気側から冷却風を吹き付け冷却するようになってい
る。
【0008】
【従来の技術】電子線照射装置は上記のように様々の機
構からなっている。ここでは直流電圧電源を取り上げ
る。電子線に加速エネルギーを与えるためには負の直流
電圧高圧電源が必要である。直流電圧電源の電圧Vに電
子電荷qを掛けたものqVが電子加速エネルギーに等し
い。先述のように目的、対象によって電子線加速エネル
ギーが異なる。直流電圧電源に要求される電源、電流も
相違する。
【0009】直流電圧電源は、商用交流をトランスで昇
圧して整流し、さらに昇圧して高い電圧にしコンデンサ
に蓄電するような構造になっている。商用電源として、
二相交流を使うこともできるし三相交流を用いることも
できる。いずれにしてもトランスを通して昇圧して整流
する。整流も全波整流、半波整流のいずれを用いること
もある。直流に変換してからコンデンサを多数2列直列
に並べ千鳥状に整流器によって結び、直流電圧を高めて
行くコッククロフトウォルトン型の昇圧を行うこともあ
る。交流の昇圧はトランスによって簡単に行われるか
ら、トランスによって昇圧したあと単に整流し、あるい
は倍電圧整流するというだけのこともある。
【0010】商用交流をそのままトランスの一巻線につ
ないだだけの簡単なものであると直流にした場合の電圧
が決まってしまう。一定電圧を用いる場合はそれでもよ
い。しかし直流電圧電源で電圧を変える必要がある場合
それでは困る。電子線照射装置の場合、加速電圧を可変
にするという用途が多いので電源電圧も可変にする必要
がある。直流にしたものを可変にするのは難しいから、
交流の段階で電圧を変えるようにする。トランスの巻数
比を変えるというわけにいかないので、サイリスタなど
の制御整流素子(SCR)を例えば用いる。これによっ
て点弧角制御して電力を変化させることができる。1次
側の交流の電力を変えるからトランスを通り直流に変換
させたときの電圧を変えることができる。
【0011】さて、直流電圧電源の出力電圧Vを測定
しなければならない。これは電子線の加速電圧となるか
ら重要な因子である。高電圧であるから簡単に電圧計で
測定するというわけにはいかない。直流高電圧を測定す
るには、抵抗を用いる方法とコンデンサを用いる方法が
ある。コンデンサによる方法は、高耐圧で容量の大きく
相違するコンデンサC、C(C<<C)を直列
に繋ぎ、容量の大きい方Cの電圧を測定した値に(C
+C)/Cを掛けることによって直流電圧が求め
られる。これは電流が流れないから電力損失はない。し
かし温度特性が良くて劣化の少ないコンデンサの対は入
手しにくいものである。
【0012】もう一つの方法は高い値の抵抗Rを高電
圧直流とアースの間に接続して電流iを測定し、その
積R=Vによって電圧を求める。この抵抗を電
圧測定抵抗と呼ぶことにする。電子線の加速エネルギー
はiによって測定するということになる。電圧を一定
に保持する必要があるときは、測定電流iを一定に保
持する。つまり電圧測定抵抗Rは定数であるから電流
が直ちに電子線加速電圧を表現しているということ
である。このような測定系の原理は簡単で、直流電圧電
源の電圧測定抵抗Rは、発生電圧Vの基準となる。
【0013】Vの電力は測定の為に失われる電力
である。Rは大きい抵抗値を持つから高電圧Vであ
っても流れる電流iは微弱であって電力損失は小さ
い。コンデンサの場合に比較して電力損失が伴うが、そ
れはたいして大きいものではない。精度や温度特性はコ
ンデンサよりも優れているから、コンデンサによるもの
より精密な測定が可能である。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】直流高電圧電源の測定
に電圧測定抵抗Rを用いる電子線照射装置において電
圧測定抵抗の抵抗値Rが初期の値から変動してくる可
能性がある。電気抵抗として利用される素子の抵抗が変
化するというのは少し分かりにくいが、実際にそのよう
なことが起こることがある。
【0015】直流の負高電圧とグランド(大地電位)の
間に接続される抵抗なので実は一つの抵抗器ではない。
一つの抵抗では耐圧が不足して使用に耐えない。幾つも
の抵抗器rをk個直列につないで電圧測定抵抗として
いる。複数の抵抗器を直列に接続すると、高電圧がそれ
ぞれの抵抗に分割される。だから一つの抵抗に掛かる電
圧は耐圧よりもずっと低くなり安全である。r(j=
1、…、k)の抵抗器をk個つなぐので合計の抵抗値が
Σrになる。これをRと一括して表現している。R
=Σrである。
【0016】例えば一つの抵抗で放電が起こる場合があ
る。放電によって抵抗材料が痩せてしまい抵抗値が増え
る場合もある。放電によって短絡してしまい抵抗値が0
になる場合もある。k個の抵抗全部でなくて、そのうち
一つだけにでも放電や短絡がおこると全体としての抵抗
値が所定の値からずれてくる。
【0017】既に述べたように、直流高圧電源の電圧測
定抵抗に流れる電流をi(A)、電圧測定抵抗値をR
(Ω)とすると、電源の発生電圧はiとなる。
これによって電源電圧Vがわかり、その値に基づいて
電源が制御されている。
【0018】(a)もしも抵抗値が所定の値よりも下が
っているとすると(R<R)、同じ電流iが流れ
ていても、電圧V=Rは所定の電圧R
り下がっているということである。作業者はiの値か
ら電圧を求めるので、電圧V の低下に気付かない。電
圧が所定の値より低い場合は、電子線エネルギーが所定
のものより不足する。線量不足(透過深さ不足)という
ことで処理が不良になる。そのために電子線照射処理を
受けた製品にムラが発生する。時に運転を中止しなけれ
ばならない。しかし作業者は電子線照射装置の電源装置
のことは知らないので電子線照射不良の原因がわからな
い。電子線照射装置メーカーの技術者を呼び寄せて調べ
てもらう必要がある。
【0019】(b)もしも抵抗値が所定の値よりも上が
っていたとすると(R>R)、同じ電流iが流れ
ていても、電圧V=Rは所定の電圧R
り高いということである。作業者はiだけを見ている
から、電圧の上昇に気付かない。しかし被処理物に当た
る電子線エネルギーが上がり線量過剰ということにな
る。やはりこれも不良である。さらにエネルギーが上が
りすぎて、もはや電子線照射処理を続行できず中止しな
ければならないこともある。この場合も作業者は電子線
照射装置の内部を知らないから、電子線照射装置メーカ
ーから修理のために技術者を呼ぶ必要がある。
【0020】このような故障は発生しているかどうかな
かなか気付かないものである。故障が発生しても容易に
原因が分からないしメーカーの技術者を頼る他はない。
修復して元の状態に回復するまでに時間がかかる。その
間、電子線処理作業は中止しなければならない。作業能
率を著しく低下させる。
【0021】直流電源の電圧測定機構は電圧測定抵抗R
による測定しかないから、そのような不良が分からな
い。電子線照射作業者も容易に気付かない。気付くにし
ても不良品を幾つも出してからということになる。
【0022】電圧測定抵抗Rによる直流電圧電源の電
圧測定を行う装置において抵抗値R が変化しているこ
とを容易に検出できる装置を提供することが本発明の第
1の目的である。電気工学に対する充分な知識のない電
子線照射装置処理作業者が抵抗値Rの変化による制御
不良を検出できるようにした装置を提供することが本発
明の第2の目的である。抵抗値変化による電子線照射過
剰、照射不足などの不良品が発生するのを早い段階で防
ぐことのできる装置を提供することが本発明の第3の目
的である。
【0023】
【課題を解決するための手段】直流高圧電源の入力電圧
を監視し、入力電圧Vと監視電流iを比較し、
比例関係の変化により、電圧測定抵抗R自体の故障を
検出する。
【0024】入力電圧Vというのは交流の段階での電
圧を意味する。二相、三相の商用交流を電源とするが電
力調整機構(サイリスタ、SCRなど)を通して所望の
交流電圧にしてからトランスによって電圧変換して整流
蓄電して直流電圧にする。交流の段階での入力電圧V
は、最終的な直流電源の電圧Vと比例するはずであ
る。これは電気工学的な問題であり証明することができ
る。入力交流電圧Vと直流電圧Vが比例するから、
監視電流iと入力交流電圧Vは比例するはずであ
る。この比例関係は電気工学的なもので電圧測定抵抗R
がいかなる場合でも成り立つ。
【0025】監視電流iと入力交流電流Vの正比例
関係の比例定数Kは、所定のRに対して一つ決まる。
が所定値からずれると、比例定数Kが所定の値から
ずれてくる。比例定数Kのズレによって、電圧測定抵抗
の値Rの偏奇が検出される。本発明は、比例定数Kの
ズレからRの異常を検出し早急に抵抗を修理交換する
ことができるようにする。これによって被処理物の電子
線照射過剰、電子線照射不足など照射不良の発生を早い
段階で防止することができる。
【0026】入力電圧を監視して、電圧測定抵抗異常を
検出するのであるから、電気的知識がなくても故障を発
見することができる。電気知識がなくて電子線照射作業
をしている作業者が簡単に電圧測定抵抗異常を知ること
ができる。
【0027】
【発明の実施の形態】図1によって本発明の電子線照射
装置直流電源回路を説明する。この例では商用の三相交
流を用いて直流の高圧を発生させている。もちろん単相
交流を用いても本発明を実施することはできる。絶縁変
圧器1は交流電圧を昇圧するものである。入力が三相交
流だから絶縁変圧器1の一次側コイルは3つある。一次
側コイルをM、M、Mとする。これらのコイルに
は振幅、周波数が同一で位相が120゜ずつ異なる電圧
がかかる。
【0028】単純な単振動の電圧波形がかかる場合、V
sin(Ωt)、Vsin(Ωt+2π/3)、V
sin(Ωt+4π/3)の電圧がかかる。昇圧され
た出力を取り出す二次コイルも3つある。それらを
、L、Lとする。巻数比を一次:二次=1:N
にしているから電圧をN倍に高める事ができる。二次コ
イルの電圧は、周波数同一、振幅同一(Uとする)で位
相が120゜ずれる。Usin(Ωt)、Usin(Ω
t+2π/3)、Usin(Ωt+4π/3)である。
トランス結合しているから、1:N=V:Uである。
【0029】絶縁トランス1の右側は直流電源の部分で
あり、整流回路2よりなっている。3つの二次コイルL
、L、Lに対して同等の整流回路がある。この例
では全波整流回路を用いている。コイルLの端部e、
fにR、D、R、C、Rが接続される。コイ
ル端部ef間電圧を、Dによって整流するので負の半
波でCに電荷が蓄積される。R、Rは電流を制限
するための保護抵抗である。抵抗値は小さいものであ
る。Rは電圧を安定させるための分圧抵抗である。コ
イルLの端部e、fにはR、D、R、C、R
が先ほどのものと反対の配置になるように繋がれてい
る。コイル端部ef間電圧をDによって整流するから
正の半波においてCに電荷が蓄積される。C、C
は相反するように接続してあるからC+Cは負電圧
に充電される。コンデンサ一つの充電電圧は−Uである
から、二つ併せて−2Uである。これが端子kl間に現
れる電圧である。これは一つの二次コイルLにつなが
る全波整流回路を構成している。
【0030】絶縁トランスの二次側の他のコイルL
ともに同様の全波整流回路をなしている。第2コイ
ルLの端子g、h間の交流を整流することによって得
られた電圧はコンデンサC、Cによって蓄積され
る。端子mn間に−2Uの電圧が蓄電される。第3コイ
ルLも同様で、C、Cに負電圧が蓄積される。端
子pq間に−2Uの電圧がかかる。lとm、nとpを接
続しているから6つのコンデンサが同じ方向に接続され
たことになり−6Uの電圧が得られる。qは電流計8を
介して接地される。電流計8は負荷を通る電流Iを測
定する。
【0031】一方の端子kが負の高電圧を与える。大地
電位に対して−6Uの電圧を有する。これで電子線照射
装置において電子線を加速する電圧Vということにな
る。ここでは3相交流をトランスで昇圧し二次巻線に現
れた電圧を全波整流した比較的単純な整流回路を示して
いる。あまり高い電圧が入らないという場合はこのよう
な簡単な回路で充分である。より高い電圧が必要ならコ
ッククロフト回路により直流電圧を昇圧するようにす
る。
【0032】本発明は電源回路の種類には無関係であ
る。本発明はどのような直流電源回路に対しても適用す
ることができる。最終的に得られた電圧Vが加速電圧
になるが、これをモニタするために、電圧測定抵抗3
(R)を端子kに接続する。電圧測定抵抗3の抵抗値
は充分に大きい。電圧測定抵抗3は電流計7を介し
て接地される。電流計7を流れる電流iは小さい電流
である。電圧測定抵抗Rとモニタ電流iを掛けたも
のが出力電圧Vである。
【0033】V=R (1)
【0034】このような構成は、初めに述べた直流高圧
電源の一例にすぎない。本発明は電圧測定抵抗内の放電
などによってRが所定の値Rより増えたり減ったり
する事があるということが問題であった。RよりR
が増大すると、同じiに対して、Vがより高くなる
ことになる。その場合、電子線過剰になる。反対に所定
値RがRより減少すると、同じiに対して、V
がより低くなる。その場合電子線不足になる。
【0035】トランスの一次側には商用三相交流から電
力を調整する三相電力調整器4が設けられる。これはS
CRなどによって電圧が一定の三相交流から所望の電力
を取り出すものである。これによってトランスの二次側
の電圧を自在に制御することができる。電力調整器はど
のようなものであってもよい。たとえばサイリスタを3
組設けて点弧角を変化させて電力を変えるようにする。
サイリスタのゲートパルスを与えるタイミングを変える
ことによって、点弧角θを0から90゜の間で動かし電
力を変化させる。
【0036】電力調整した三相交流はトランス1の3つ
の一次コイルM、M、Mに接続される。三相交流
の3本の接続線に流れる電流を電流計5であるA、A
、Aによって測定する。これらは独立の電流ではな
くて、電流値の振幅は共通で位相が120゜異なる。
【0037】3つのコイルの接続点をa、b、cとす
る。それらの端子間電圧Vab、V 、Vcaを電圧
計6によって測定する。これも3つの信号であるが独立
の変数ではない。振幅が同一であり位相が120゜ずつ
異なる。
【0038】電流A、A、Aは負荷に流れる電流
に比例し、負荷状態や運転状態による。電圧Vab、V
bc、Vcaはトランスの一次側電圧になる。つまり、
これまで述べてきたVである。V=Vab
bc、Vcaである。振幅が同一であるのだから一つ
だけを監視していてもよい。一つだけを見る場合はその
実効値又は振幅を求める。実効値というのは振幅を2
1/2で割ったものである。
【0039】3つとも監視していてもよいが、その場合
は振幅或いは実効値の平均値をとって入力電圧Vとす
ればよい。つまり入力電圧Vとして、
【0040】(1) V;Vab、Vbc、Vca
の何れか一つの振幅 (2) V;Vab、Vbc、Vcaの何れか二つ
の振幅の平均値 (3) V;Vab、Vbc、Vcaの振幅の平均
値 (4) V;Vab、Vbc、Vcaの何れか一つ
の実効値 (5) V;Vab、Vbc、Vcaの何れか二つ
の実効値の平均値 (6) V;Vab、Vbc、Vcaの実効値の平
均値 のように多様な定義をすることができる。
【0041】Vをどのように定義しても、入力電圧V
と、高圧直流電圧電源の出力電圧Vとは正比例す
る。これは電気工学の問題である。きれいな正弦波の入
力交流があったとしても波形歪みがある入力交流があっ
たとしても、トランスでの電圧変換は変わらないから、
【0042】V:U=1:N (2)
【0043】の正比例関係がある。先述の全波整流回路
では3つの整流回路で全波整流し、それらを直列に接続
するから
【0044】V=6U (3)
【0045】である。これらから
【0046】V=6NV (4)
【0047】という簡明な正比例式が得られる。つまり
とVは正比例し、その比例定数は電気回路によっ
て決まり一定不変である。しかしVを電圧測定抵抗R
を通して監視する方式の場合は、監視電流iとV
の正比例関係が問題になる。
【0048】V=R=6NV (5)
【0049】iによってVを監視するとき、R
変動すると、見かけのV・V関係が変わってくる。
そこで入力電圧Vと監視電流iの関係が所定の正比
例関係からずれたときに、電圧測定抵抗に異常が生じた
のだと判定する。ここで電子線の照射を中断して電圧測
定抵抗を交換するようにすれば、処理不良を大量に出す
ということもない。
【0050】交流入力電圧Vと、直流高圧電源の出力
電圧Vの比例定数をKとして V=KV (6)
【0051】が常に成り立つ。電圧測定抵抗の抵抗値R
が正常値Rからずれると比例定数Kの値が正常値K
からずれてくる。そこで±10%とか±7%とかいう
ようにズレの許容範囲を与えておく。比例定数Kが許容
範囲を越えて変動した時に、電圧測定抵抗が異常である
と自動的に判断するようにする。
【0052】例えば±10%を許容範囲とすると (i) 0.9K≦K≦1.1K 正常 (ii) K≦0.9K 異常 (iii) 1.1K≦K 異常 というように判断する。このような判断は電子線照射装
置の制御装置の内部でできるから作業者が判断しなくて
もよい。
【0053】或いは出力電圧Vが一定の時に、入力電
圧Vを見て、正常のVから±10%ずれているかど
うかによって判断するようにしてもよい。運転時のV
やV は大体決まっているから比例定数Kの±10%の
ズレを見るのも、入力電圧V の±10%ズレを見るの
も大体等しい。
【0054】さらには入力電圧Vが一定の時に、出力
電圧Vを見て、正常のVから±10%ずれているか
どうかによって判断するようにしてもよい。運転時のV
やVは大体決まっているから比例定数Kの±10%
のズレを見るのも、出力電圧Vの±10%ズレを見る
のも大体等しい。
【0055】
【実施例】本発明において、交流入力電圧Vと直流高
圧電源の出力電圧Vには正比例の関係がある。電圧測
定抵抗の値がずれると比例定数Kが変動する。この特性
を利用し、正常時の電源入出力特性(V、V)を基
準(R、K)として、これと比べることにより、電
圧測定抵抗Rの故障や劣化を自動的に検出する。
【0056】図2は一例を示すもので横軸が直流高圧電
源の出力電圧V(kV)である。縦軸は入力電圧V
(V)である。斜め実線は正常時のVに対するV
値を示す直線である。正比例するから原点を通る直線で
ある。例えば直流電源Vが300kVで入力電圧が2
00Vとする。比例定数は200Vを300kVで割っ
た値になる。出力電圧Vから、入力電圧Vを求める
式は
【0057】 V=(200/300k)×V (7)
【0058】である。これが図2の斜め線ONである。
これに0.9を掛けた勾配の直線OTと、これに1.1
を掛けた勾配の直線OSを点線で図2に引いてある。入
力電圧Vが±10%以上ずれた時に異常とする場合
は、
【0059】(a)異常入力電圧;V<0.9×(2
00/300k)×V が一つの場合である。図2においては直線OTより下の
部分である。 (b)異常入力電圧;V>1.1×(200/300
k)×V がもう一つの場合である。図2においては直線OSより
上の部分である。
【0060】このような異常は電子線照射装置の制御装
置が自動的に検出して作業者に知らせてくれる。比例定
数の異常を検出するのであるから出力電圧が300kV
に限らず任意の出力電圧の時にも行うことができる。制
御系が自動的に行って作業者に表示し警告するので、作
業者が高圧電源に関する電気的知識がなくてもこのよう
な異常に気付く。
【0061】出力電圧の範囲が大体決まっているという
場合は、図3のように正常の直線ONの上下に、正常範
囲を与える平行線HS、GTを引いても良い。入力電圧
・出力電圧の座標がHS〜GT間で正常と判断する。H
Sより上は異常、GTより下は異常とする。出力電圧が
300kV、入力電圧が200Vの場合の近傍のみで運
転するなら図3のような場合でも図2のような場合でも
大差はない。
【0062】
【発明の効果】本発明は、入力電圧を監視することによ
って、直流高圧電源の発生電圧の基準となる電圧測定抵
抗自体の故障や劣化を自動検出することができる。これ
により、照射物の照射不良を防ぐことができる。また自
動検出により電気知識がなくても、故障劣化を発見する
ことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電圧測定抵抗の異常検出装置を持つ電
子線照射装置電源回路の概略図。
【図2】高圧直流電源の出力電圧Vと、交流入力電圧
の間に正比例関係があり、正常の場合比例定数K
が一つ決まり、比例定数Kがそれから±10%離れる時
に電圧測定抵抗異常とすることを説明するためのグラ
フ。
【図3】高圧直流電源の出力電圧Vと、交流入力電圧
の間に正比例関係があり、出力電圧Vに対して、
の正常電圧が決まり、それから一定電圧の範囲は正
常範囲とし二本の斜線で示す。これら斜線から、出力電
圧・入力電圧の関係がずれる時に電圧測定抵抗異常とす
ることを説明するためのグラフ。
【符号の説明】
1 絶縁変圧器 2 整流回路 3 電圧測定抵抗 4 三相電力調整器 5 電流計 6 電圧計 7 電圧測定抵抗電流測定用電流計 8 負荷電流測定用電流計
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G05F 1/10 304 G05F 1/10 304E G21K 5/04 G21K 5/04 E H02M 7/10 H02M 7/10 Z H05H 5/02 H05H 5/02 A Fターム(参考) 2G085 AA01 BA19 CA04 CA15 CA26 EA03 EA06 EA08 4C058 AA01 BB06 DD20 EE26 KK01 5H006 AA04 BB00 CA07 CA12 CB01 CC08 DC02 DC05 5H410 CC03 DD02 EA35 EB40 FF29 LL01 LL05 LL11 LL18 LL20

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 交流電圧をトランスで電圧変換し整流し
    て高圧直流電圧Vを得て、出力電圧Vと大地電圧間
    に接続された電圧測定抵抗Rに流れる電流iを測定
    して直流高圧電源の出力電圧Vを測定することとした
    電子線照射装置の直流高圧電源において、入力電圧V
    を監視しVとVの比例関係が正常の場合からずれる
    ことによって、電圧測定抵抗の異常を検出することを特
    徴とする電子線照射装置の電源監視装置。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006507023A (ja) * 2002-04-11 2006-03-02 バクスター・インターナショナル・インコーポレイテッド 滅菌器のモニタリングならびに制御システムおよび方法
JP2008059894A (ja) * 2006-08-31 2008-03-13 Toshiba Corp 灯火監視装置
JP2017131022A (ja) * 2016-01-19 2017-07-27 株式会社東芝 直流高電圧発生装置
JP2023178109A (ja) * 2022-06-03 2023-12-14 デジタルアーツ株式会社 情報処理装置、認証システム、情報処理方法、及び情報処理プログラム

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