JP2002082173A - 大電流ビームモニタ - Google Patents

大電流ビームモニタ

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JP2002082173A
JP2002082173A JP2000272524A JP2000272524A JP2002082173A JP 2002082173 A JP2002082173 A JP 2002082173A JP 2000272524 A JP2000272524 A JP 2000272524A JP 2000272524 A JP2000272524 A JP 2000272524A JP 2002082173 A JP2002082173 A JP 2002082173A
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JP
Japan
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faraday cup
duct
current
electron beam
electron
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JP2000272524A
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English (en)
Inventor
Hiromi Kaneko
博実 金子
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Nissin High Voltage Co Ltd
Original Assignee
Nissin High Voltage Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 工業用電子線照射装置の性能向上にビームモ
ニタ技術が不可欠である。研究用加速器に使用されてい
るビームモニタ装置は工業用大電流電子線用途に向かな
いものが多い。工業用電子線照射装置に適するビームモ
ニタを提供する。 【解決手段】 冷却機構付き移動可能なファラディカッ
プでビーム電流を測定するビームモニタを構成し、ファ
ラディカップを設けたダクト部分を他の部分から絶縁し
負電圧をかけファラディカップを挟むように二つの補助
電極を設け、補助電極に負電圧を掛けることにより二次
電子サプレッサ機構を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大電流ビームを使
用する工業用電子線照射装置や電子線ライナックのビー
ム電流分布を測定し、ビームプロフィルあるいはビーム
エミッタンスを求める装置に関する。工業用電子線照射
装置というのはエリア型電子線照射装置(キュアトロ
ン)や走査型電子線照射装置を意味する。電子線という
のは加速電子ビームのことであるが、電子線照射装置は
電子線を被処理物に当てて高分子架橋、殺菌、塗膜硬化
などの処理を行う装置である。ビーム径が細くて電流量
が小さい場合はビーム密度ばらつきは小さくあまり問題
にならない。
【0002】しかし電流量が大きくビームの径も大きい
と空間的なビーム強度の揺らぎが問題になる。電子線照
射によって被処理物に何らかの処理を施そうとする場
合、ビームの面内強度のばらつきはできるだけ小さい方
が良い。空間的なビーム強度揺らぎがあると電子線処理
した被処理物の性能にばらつきが現れる。
【0003】電子線照射装置は電子線を発生するフィラ
メント、高圧電源、真空チャンバ、搬送機構、遮蔽筐
体、加速電極、照射窓などを有する。真空チャンバの内
部でフィラメントから熱電子を発生させ負高圧電源によ
って加速して照射窓を通して大気中に取り出し、搬送機
構によって運ばれている被処理物に電子線を照射するよ
うになっている。電子線によってX線やオゾンが出るの
で照射部や搬送機構は遮蔽筐体によって厚く囲まれてい
る。
【0004】電子線照射装置には走査型とエリア型(非
走査型)がある。走査型は5MeV〜300keVの高
い加速電圧を有し走査管を持つ縦長の装置である。エリ
ア型というのは500keV〜数十keV程度の低い加
速電圧を持つ装置であり、広い実効面積を持つフィラメ
ントから出た広い面積を持つ電子線をそのまま平行に照
射窓から引き出して被処理物に当てる。被処理物に対し
一様に電子線を当てなければならないのでビーム強度は
空間的に一様であることが必要である。
【0005】エリア型電子線照射装置の場合はビーム断
面積が広くて、ビーム強度の空間的な分布が特に問題に
なる。エネルギーが低くて窓箔を通過する時にかなりの
エネルギーを喪失する。だから窓箔通過以前の密度分布
ばらつきがあると窓箔を透過した後の空間的な密度ばら
つきはさらにいっそう大きくなる。だからビーム強度の
面内分布を測定する必要がある。
【0006】走査型電子線照射装置の場合でも近年はス
ループットを上げるために、比較的太いビームを発生さ
せて左右に走査するということもある。走査方向(y方
向)に密度ばらつきがあっても走査によって打ち消すこ
とができる。しかし走査方向と直交する方向に密度ばら
つきがあると打ち消すことができない。だから走査型で
もビーム分布測定の必要が現れてきた。
【0007】電子線ライナックは粒子加速の準備などに
利用される。ライナックというのは直線状に多数の電極
を並べ電極電圧を工夫し直線運動させることによって電
子を加速しているからそのように呼ばれる。電子線照射
装置というような、目的による命名ではない。走査型電
子線照射装置もライナックの一種と言える。目的によっ
てはビーム面内分布の一様性が強く要望される。
【0008】ビーム面内一様性だけでなくて、もう一つ
ビーム密度分布を測定する必要性がある場合がある。ビ
ーム広がりをエミッタンスというが、これはできるだけ
小さい方が良い、つまり平行ビームであることが要求さ
れるという場合がある。電子線ライナックで粒子加速な
どに用いられる場合は特にビームの低エミッタンスが強
く要望される。面密度が小さいビームの場合低エミッタ
ンスは簡単に実現できる。しかし大電流高密度のビーム
であると断面積が大きいだけでなく電流密度も大きいか
らクーロン斥力が荷電粒子間で強く働く。クーロン斥力
のためビームは拡散する傾向にある。ビームの拡散角
度、つまりエミッタンスはビーム経路上の二箇所でビー
ムの直径を測定することによって求められる。そのため
にもビーム電流分布の測定が要求される。
【0009】これら比較的広い面積の電子線を発生し利
用する装置においてはビームの空間的な分布を知るた
め、或いは広がり角を知るためビーム強度分布を測定し
なければならない。本発明はそのような目的にそうもの
である。
【0010】
【従来の技術】ビーム強度分布を測定する方法として、
例えば次のようなものがある。これらは研究用加速器に
おいて既に利用されているビームモニタ装置である。
【0011】(1) 感光フィルムによる方法…照射窓
の直下に感光フィルムをおいて電子線を当て、フィルム
を感光することによってビーム強度分布を求めるという
方法がある。電子線は適当な素材のフィルムを感光させ
るからビーム強度が強い部位はより黒く弱い部位はより
白くなる。ビーム断面積が広くても同程度の面積のフィ
ルムを用いれば電子線密度分布は正確に分かる。ビーム
強度によって適当な感光フィルムとなるものは異なる場
合もある。これは微妙な濃淡の違いを高い空間分解能で
検知できる。またビーム断面積の全体にわたる強度密度
情報を一挙に得る事ができるという長所がある。
【0012】(2) マルチファラディカップによる方
法…二次電子サプレッサ機構と一体化した冷却機構付き
マルチファラディカップをビームに直交するようにおい
てビーム分布を一挙に測定する。ファラディカップとい
うのは金属容器と電流計を接続して入射する電子やイオ
ンを電流に変換して検知する装置である。電子やイオン
が衝突すると二次電子が出る。これが再び同じファラデ
ィカップに戻ると電荷はプラスマイナスで打ち消される
から差し支えない。
【0013】ところが二次電子がファラディカップに戻
らないと、その分の電流が増えたり減ったりするので測
定誤差が出てしまう。ここでは電子測定だけを問題にす
る。二次電子がファラディカップから逃げると電子電流
がその分だけ減少する。それで二次電子がファラディカ
ップに戻るようにする機構がサプレッサ機構である。負
電圧を印加した枠体をファラディカップの前方に設けて
二次電子を追い返すようにしたものがファラディカップ
用二次電子サプレッサ機構である。
【0014】ファラディカップに一次電子(元の電子線
に含まれる被測定電子)が大量に入ると運動エネルギー
が熱に変換されファラディカップが加熱される。そのま
まにするとファラディカップが破壊される。それを避け
るために冷却水を流してファラディカップを冷却する。
【0015】「マルチ」というのは独立のファラディカ
ップが縦横に多数並んでいるということである。M×N
個のファラディカップがビーム断面積全体に設けられ
る。全てのビームがどれかのファラディカップに入射す
る。個々のファラディカップから接地電位まで流れる電
流を電流計によって測定する。つまりM×N個の電流値
を一挙に得て、その部分のイオンビ−ム電流を知ること
ができる。だからビーム強度分布が一挙に分かる。ただ
し分解能はファラディカップのサイズdによって制限さ
れる。ここでdは円形カップの場合は直径を、正方形カ
ップの場合は一辺長さを意味する。分解能を上げるため
にはM、Nを増やすようにする。一つ一つのファラディ
カップは容器状をしている場合がある。つまり個々のフ
ァラディカップは底壁と側壁を持つ。側壁の高さhはそ
の場合は縦横に縦穴がM×N個並んだような形状にな
る。そしてファラディカップの上方にメッシュ状の電極
があり、これに負電圧を掛けてサプレッサ機構としてい
る。
【0016】しかしファラディカップの数が多い場合、
それぞれのファラディカップに側壁を設けることが難し
いということもある。そこで1枚の絶縁板の上に互いに
絶縁されたM×N個の正方形の電極板を形成し、それぞ
れに対し電流測定用配線パターンを設けた簡易のファラ
ディカップとしたものもある。これは前述のファラディ
カップの側壁高さhを0にした極限(h→0)と言って
もよい。M、Nの値を増やすことができ、より分解能を
向上することができる。壁のないファラディカップは蒸
着や印刷によって簡単に作製できる。その場合も上方に
メッシュ電極を設けて負電圧を掛ける。メッシュ電極が
上向きの電界を形成するから電子をファラディカップ面
へ追い返すことができる。このような側壁のない検出器
はカップという概念からは少々外れるが、ビーム測定を
する機構だから依然としてファラディカップと呼ぶ。
【0017】(3) 可動式ワイヤによるビーム分布の
スキャン…ある方向に張ったワイヤをビーム断面を横切
るように動かす。例えばz方向に進行するビームがxy
面に存在するとする。x方向に張ったワイヤをy方向に
動かし、ワイヤに当たるビームによる電流を電流計によ
って測定する。これによって電流i(y)が分かる。ま
たy方向に張ったワイヤをx方向に動かしワイヤに入射
するビーム電流を測って電流i(x)を求める。正確な
二次元分布i(x,y)は分からないが、ビームの広が
りを知るのが目的であればこれで足りる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】以上に研究用加速器に
おいてビーム分布測定に用いられている機構を幾つか説
明した。しかし研究用加速器には適していても、工業用
電子線照射装置のビーム分布測定には必ずしも好適でな
い。上に述べた方法はそれぞれに欠点がある。
【0019】(1) 感光フィルムなどビームによる化
学変化を目視で確認する方法だと、測定結果を得るのに
時間がかかる。リアルタイムにビームをモニタできな
い。ビーム分布が不変でなくて揺動する場合は何度も測
定しなければならないが、感光、現像を繰り返すのでは
煩雑である。また使用の直前毎にビーム分布を検査する
というような目的には使えない。
【0020】(2) マルチファラディカップの場合、
隣合うチャンネルの二次電子交換によるクロストークで
測定精度に影響が出る。ファラディカップはM×N個あ
るが、あるファラディカップsから出た二次電子が他の
ファラディカップqに入るということがある。側壁のな
い平坦なファラディカップの場合にはそのような二次電
子の交換ということが起こり得る。するとqに電流が流
れ、sには流れないからビーム電流を間違って計数する
ことになる。つまりファラディカップ間でクロストーク
がある。
【0021】また全ビームをファラディカップで受けて
しまうので全ビームの運動エネルギーが全部ファラディ
カップで熱になってしまう。過酷な条件となる。冷却水
で冷却するにしても、よほど大量の冷却水を流す必要が
ある。つまり発生熱に対する処置がシビアである。その
ような難点がある。
【0022】(3) 可動式ワイヤの場合は、冷却方法
がない。細いワイヤに沿って冷却パイプを通すわけにゆ
かない。冷却手段がないから小電流の場合はよいが、大
電流には適さない。大電流を受けると加熱によってワイ
ヤが断線する。クロストークがなくてリアルタイム処理
に好適であり、しかも冷却機構を単純化できる大電流用
ビームモニタ装置を提供することが本発明の目的であ
る。
【0023】
【課題を解決するための手段】本発明は、単一の可動式
のファラディカップをビーム断面を横切るように動かす
事によってビーム電流を測定する。ファラディカップは
一つであり、これをビーム断面においてビームに直角に
動かすことによって全ての部位のビーム電流を測定す
る。ファラディカップは単一であるが (a)スポット状ファラディカップ (b)横長のファラディカップ
【0024】の二通りのものがありうる。ビーム進行方
向をz方向としてビーム断面をxy面とする。スポット
状ファラディカップ(a)の場合はx方向に走査し、か
つy方向にも走査する。これによってビーム断面におい
て全ての点(x,y)でのビーム強度(電流密度)w
(x,y)を求めることができる。横長ファラディカッ
プ(b)の場合は、ビーム方向長手方向と直交する方向
にファラディカップを移動させる。横長であるから、こ
れをx方向だとすると、y方向に走査する。任意の点y
での電流u(y)を求めることができる。ここで
【0025】 u(y)=∫w(x,y)dx (1)
【0026】である。ファラディカップに電流計をつな
いでいるから電流をリアルタイムに測定できる。可動式
であるから一つのファラディカップであるのにビーム全
体での電流値を求めることができる。
【0027】つまり本発明は、リアルタイムにビームを
モニタするために、可動式シングルファラディカップに
よっている。感光フィルムによるものよりリアルタイム
測定という点で優れている。
【0028】シングルファラディカップを採用するので
クロストークがおこらない。複数のファラディカップが
存在しないからである。マルチファラディカップにおけ
るチャンネル間のクロストークの問題を回避することが
できる。マルチファラディカップ機構によるものより、
この点で優れている。
【0029】ファラディカップから二次電子サプレッサ
機構を取り除く事により、可動部を単純にすることがで
きる。ファラディカップが一つしかないからサプレッサ
機構をより単純に固定側の装置に設けることができる。
マルチファラディカップの場合はファラディカップの直
前にメッシュ電極のような電位を掛けることのできるも
のが必要で、これが構造を複雑にした。しかもそのよう
なものがあっても、二次電子のファラディカップ間での
交換を完全に防止できない。シングルファラディカップ
であるからサプレッサ機構を可動部から取り除き、構造
を単純にすることができるのである。
【0030】ワイヤによる検知に比較して、本発明はフ
ァラディカップを用いるからスペースに余裕があり冷却
機構を設けることができる。冷却機構があるから大電流
ビームの測定に好適である。
【0031】
【実施例】図1によって帯状の単一ファラディカップを
有する本発明の実施例にかかるビームモニタを説明す
る。これはエミッタンスモニタ用のシステムである。ビ
ームダクト1は円形或いは角型の管状の空間である。こ
の部分は上流型から下流側にかけて3つの部分に分割さ
れている。金属製壁面を持つ上流ダクト2、中流ダクト
3、下流ダクト4である。これらは同心同型の管部材で
ある。
【0032】管部材の中心軸線の方向をz方向とする。
3つの部分は互いに絶縁リング5、6によって電気的に
絶縁されている。上流ダクト2と下流ダクト4は接地電
位に、中流ダクト3は負電位にするためである。負電位
に保持した中流ダクト3の全体がサプレッサ機構とな
る。前述の従来例のように、ビーム中に介在するメッシ
ュ電極のようなものでないサプレッサ機構である。検出
器自体にサプレッサ機構がないから検出器の構造を単純
化することができる。
【0033】それぞれのダクトにはいくつかの電極が設
けられる。電極板はビーム軸線(z方向)に直交する板
面(xy面)よりなる。上流ダクト2にはダクト側第1
補助電極8が設けられる。これは上流ダクト2と同じく
接地電位にある。
【0034】中流ダクト3はサプレッサ機構をなすが、
ここには二つの補助電極が設けられる。前方にはサプレ
ッサ側第1補助電極9が、後方にはサプレッサ側第2補
助電極10が壁面に固定される。これらは負電位が印加
される。例えば−100Vの負電圧をサプレッサ電源7
によってサプレッサ側補助電極9、10と中流ダクト3
に与える。後に述べるように中流ダクト3にはファラデ
ィカップを設けるが、これは接地電位にあり、二次電子
が出ても補助電極9、10でファラディカップへ追い返
すから補助電極9、10が二次電子サプレッサ機構とし
て機能する。
【0035】下流ダクト4にはダクト側第3補助電極1
1が壁面内側に取り付けられる。これらの補助電極8、
9、10、11は全てダクト壁面に固定された板状の電
極で、中心に通し穴12、13、14、15が開口して
いる。これらの通し穴はビームを通すための穴である。
【0036】上流ダクト2の中には小さい開口17を有
するスリット16が設けられる。これは開口17によっ
て入射ビームの口径を制限する。電子線照射装置や電子
ライナックから発生した電子ビームBはスリット16に
当たり一部だけが開口17を通って前進する。開口17
を通り抜けた電子ビームをCとする。開口17からの電
子ビームの広がり角がエミッタンスである。が開口17
以外のスリット部分に当たった電子は熱を発生する。加
熱によってスリット16が溶損しないように背後にスリ
ット冷却パイプ18を設け内部に冷却水を通している。
スリット16はワイヤ19によって上流ダクト2に結合
される。だからスリット16は接地電位(グランド電
位)である。
【0037】上流ダクトにスリットを設けるのはビーム
エミッタンスを求めるのが目的だからである。スリット
16の開口部17の直径dと、ファラディカップによっ
て測定したビームの直径Dを比較してビームの開口角Θ
が求められる。スリット16とファラディカップの距離
をLとして、ビーム開口角Θは
【0038】 sinΘ=(D−d)/2L (2)
【0039】によって求めることができる。ビーム直径
Dは例えばガウシアンビームなら強度が1/eになる部
位を外延としてその直径を測定して決める。エミッタン
ス測定のためのビームを限定するためスリットが必要な
のである。もしもエミッタンス測定でなくて、ビーム面
内強度分布を求めるのであればスリット16は不要であ
る。
【0040】サプレッサ機構には本発明の中心になる単
一のファラディカップ20がビームを横切る方向に移動
可能に設けられている。ビームを横切りながらビーム電
流を測定して、ビーム電流密度を局所的に求めてビーム
の直径を求めエミッタンスを求めるか或いは、密度分布
を求めるようにする。
【0041】ここでは横長帯状の単一ファラディカップ
20を設ける。図2はファラディカップ20の部分の正
面図、図3はファラディカップ20の背面方向の斜視図
である。x方向に伸びたファラディカップ20は四辺形
の枠21の下辺に固定されている。カップの開口方向は
ビームが飛来する方向である。ビームの進行方向がz方
向だから、カップ開口は−z方向を向く。枠21の背後
にはファラディカップ冷却パイプ22が取り付けてあ
る。これに冷却水を通して枠21とファラディカップ2
0を冷却する。ファラディカップ20には強い電子ビー
ムCが当たり加熱されるから強力に冷却する必要があ
る。枠21の上端には支持棒23が固着されている。
【0042】ファラディカップ20はビームに直交する
方向(x方向)に伸びているが、これをビームとファラ
ディカップ延長方向の両方に直交する方向(y方向)に
移動させるファラディカップ走査機構24が設けられ
る。ファラディカップ走査機構24は支持棒23をy方
向に往復運動させ任意の部位に固定させることができ
る。ファラディカップ20は電流計(図示しない)を介
して接地電位に接続されている。ファラディカップ20
に電子が入射すると、これが接地電位に流れ電子電荷に
等しい電流を生ずる。図2のように電子ビームCの円形
広がりに対し、ファラディカップ20を下ろしてゆき電
流を測定する。
【0043】ファラディカップ20は接地電位であり前
後に負電圧のサプレッサ側第1補助電極9、サプレッサ
側第2補助電極10が設けられる。ファラディカップで
発生した二次電子は補助電極の負電圧によってファラデ
ィカップへ追い返される。前後の補助電極9、10がフ
ァラディカップ二次電子に対するサプレッサ機構とな
る。
【0044】下流ダクト4にはダクト側第2補助電極2
5が電子ビームCを遮るように設けられる。これも電子
ビームの運動エネルギーを熱に変えるから強く加熱され
る。背後に補助電極冷却パイプ26があってダクト側第
2補助電極25を冷却するようになっている。下流ダク
ト4は接地電位であるが、ワイヤ27によってダクト側
第2補助電極25が下流ダクト4と接続されるので、ダ
クト側第2補助電極25も接地電位である。ワイヤ27
の途中に電流計を設けると電子ビームCの全電流を計測
することができる。
【0045】以上の構成において、その作用を説明す
る。電子線照射装置やライナックからの電子ビームBが
ダクトの内部へと導かれる。スリット16において、電
子ビームBの一部だけが開口17を通り一定直径の定型
の断面を持つ電子ビームCになる。電子ビームCはクー
ロン斥力によって広がろうとするから開口17を通過し
た後は広がりビームとなる。このビームCは中流ダクト
3を経て下流ダクト4のダクト側第2補助電極25に当
たる。第2補助電極25はビームCの全電流Iを測定す
る。
【0046】さらに中流ダクト3のファラディカップ2
0をビーム中へ下ろしてゆくと、電子ビームCの一部が
ファラディカップ20に入射して電流変換され測定され
る。ファラディカップ走査機構24はファラディカップ
20をy方向に移動させる。このファラディカップ20
はx方向に伸びた帯状のものであるから、点(x,y)
でのビーム強度をw(x,y)として、これをx方向に
積分したビーム電流u(x,y)を感じることになる。
【0047】 u(y)=∫w(x,y)dx (3)
【0048】yを変えることによってy方向のビーム電
流を求めることができる。y方向のビーム電流分布が求
められる。それによってy方向のビームの広がりDyが
分かる。スリット開口17でのy方向の広がりdyが既
知であるから、(2)式によってエミッタンスが計算さ
れる。
【0049】この実施例ではy方向のエミッタンスしか
わからないが、x方向に変位する帯状ファラディカップ
を設けることによって、x方向のビームエミッタンスを
求めることも可能である。
【0050】さらには点状のファラディカップを用いる
と、(x,y)面でのビーム密度分布を計測することも
できる。図4、図5は点状の単一ファラディカップ30
を用いて任意の点(x,y)でのビーム電流w(x,
y)を求めるようにしたものを示す。枠21は絶縁物3
3を介してファラディカップ30を両側から支持する。
枠21、絶縁物33は冷却パイプ22によって冷却され
る。その場合はファラディカップ走査機構24は、y方
向だけでなくてx方向にもファラディカップを移動させ
るようにする。このような単一ファラディカップをx方
向、y方向に移動させることによって、全ての(x,
y)点でのビーム強度が測定できるようになり、ビーム
密度分布が明確に分かる。
【0051】ビーム密度分布の測定によって、ビームの
外形や内部における密度の揺らぎもハッキリと分かるよ
うになる。
【0052】本発明の他の利点の一つはサプレッサ機構
の単純化ということである。中流ダクトの全体に負電圧
を掛けて、ファラディカップの両側に補助電極9、10
を設けている。
【0053】後段のサプレッサ側第2補助電極10は、
下流ダクト4のダクト側第2補助電極25で発生した二
次電子を第2補助電極25に追い返す作用がある。その
他にファラディカップ20に衝突した電子線が生じる二
次電子をファラディカップ20に戻す作用もある。前段
のサプレッサ側第1補助電極9は、ファラディカップ2
0で発生した二次電子をファラディカップ20へ追い戻
す作用がある。
【0054】ファラディカップ20が一つしかないの
で、マルチファラディカップのものに比較してクロスト
ークの問題がない。またサプレッサ機構が単純になる。
感光フィルムによるものに比べてリアルタイム測定が可
能である。測定に時間がかからないし揺動ビームの場合
はより正確な測定を行うことができる。またファラディ
カップを中心にしてサプレッサ側補助電極9、10が鏡
像面になるよう対象に各要素が配置されている。
【0055】
【発明の効果】感光フィルムを現像して電子線分布を求
める方法に比較して本発明はリアルタイムにビームモニ
タすることができる点で優れている。感光フィルムをビ
ーム系に取り付け真空に引いて感光し、これを大気圧に
戻してフィルムを取り出し現像するのでは時間が掛か
る。短時間でビーム密度分布を求めることができるの
で、より便利である。
【0056】ビーム形状がリアルタイムに測定できるの
で、パラメータ調整にかかる時間と労力が非常に短縮さ
れる。ケースによってはリアルタイムのフィードバック
が可能となる。ビーム異常の発見も容易である。マルチ
ファラディカップによるビーム測定に比較し、カップ間
のクロストークがなくビーム測定の精度が上がるという
長所がある。ファラディカップが一つしかなくて、これ
を動かしながらビーム測定をするのだからクロストーク
がないのは当然である。
【0057】サプレッサ機構がファラディカップを大き
く囲む構造とすることができる。サプレッサ機構がファ
ラディカップを包囲し二次電子の取りこぼしがなくな
る。だからビーム測定の精度が上がる。
【0058】冷却機構が付いているため、大電流ビーム
に対しても溶損しない。本発明は (1)エリア型キュアトロンのビーム分布測定 (2)スキャン型電子線照射装置のビーム分布測定 (3)電子線ライナックのビーム分布測定 などに用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例にかかる大電流ビームモニタの
概略構成図。
【図2】ビーム電流検出器である帯状ファラディカップ
支持構造部近傍のみの正面図。
【図3】ビーム電流検出器である帯状ファラディカップ
支持構造の背面方向の斜視図。
【図4】ビーム電流検出器である点状ファラディカップ
支持構造部近傍のみの正面図。
【図5】ビーム電流検出器である点状ファラディカップ
支持構造の背面方向の斜視図。
【符号の説明】
1 ビームダクト 2 上流ダクト 3 中流ダクト 4 下流ダクト 5 絶縁リング 6 絶縁リング 7 サプレッサ電源 8 ダクト側第1補助電極 9 サプレッサ側第1補助電極 10 サプレッサ側第2補助電極 11 ダクト側第3補助電極 12 通し穴 13 通し穴 14 通し穴 15 通し穴 16 スリット 17 開口 18 スリット冷却パイプ 19 ワイヤ 20 ファラディカップ 21 枠 22 ファラディカップ冷却パイプ 23 支持棒 24 ファラディカップ走査機構 25 ダクト側第2補助電極 26 補助電極冷却パイプ 27 ワイヤ 30 ファラディカップ 33 絶縁物 B 電子ビーム C 電子ビーム

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電子線ビームが通過する空間を形成する
    ダクトと、ダクトの途中に設けられ他の部分から絶縁さ
    れ負電圧が印加された中流ダクトと、中流ダクト中に設
    けられた単一の冷却機構付きファラディカップと、ファ
    ラディカップをビーム進行方向に直交する方向に走査す
    る走査機構と、中流ダクトにおいてファラディカップを
    挟む位置に設けた通し穴を有するサプレッサ側補助電極
    とよりなり、ビームを横切るようにファラディカップを
    走査して、ビーム電流を測定するようにしたことを特徴
    とする大電流ビームモニタ。
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